<経済指標コメント> 米3月消費者物価指数は前年比+2.4%

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[日本]

機械受注(2月、船舶・電力を除く民需)は前月比+2.1%(前年比+2.4%)

2月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+2.1%と2ヶ月連続の前月比増加。前年比でも+2.4%と2ヶ月連続のプラスの伸びを維持した。2月までの1-3月期同受注は前期比+4.3%と前期の同+0.3%から伸びが加速している。1-3月期には一時的に軟化が予想される設備投資も、その後は堅調な拡大への回帰が示唆されている。

20180415b図1

景気ウォッチャー調査(3月):現状判断DIは48.9(前月比+0.3ポイント)、先行き判断DIは49.6(同-1.8ポイント)

3月の景気ウォッチャー調査3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは48.9(前月比+0.3ポイント)と4ヶ月ぶりの上昇だったが、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。2~3ヶ月先の景気の先行気に対する判断DIは49.6(同-1.8ポイント)と5ヶ月連続の低下で、10ヶ月ぶりに50を下回った。景気判断理由としては「天候がすっかり春めいている。需要期の真っ最中でもあるため、新規の来客数も例年同様に好調な状態である(東北=乗用車販売店)」「米国の通商政策などにより、株価が下がることが予想され、富裕層の購買意欲が低迷する(近畿=百貨店)」「米国の保護主義的な動きにより、円高が進行したり、株価の下落が続くと、ビジネスにも影響が出てくる(東海=電気機械器具製造業)」など、株価下落、米国通商政策への懸念が先行き判断DIを押し下げていることが示唆されている。総じて街角景気は昨年末辺りをピークに下降傾向にある。株価や米通商政策の不透明性は成長率予想への下方リスク要因となりつつある。

20180415b図2

[米国]

消費者物価指数(3月)は前月比-0.1%(前年比+2.4%)、同コア指数は前月比+0.2%(前年比+2.1%)

3月の消費者物価指数(CPI)は前月比-0.1%(前年比+2.4%)、食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比+0.2%(前年比+2.1%)と、いずれも前年比伸び率を加速させた。昨年3月の携帯電話料金値下げ要因が剥落し、同品目の前年比伸び率が-2.4%と、前月の同-9.4%から大幅にマイナス幅が縮小したことが全体を押し上げている。前月比ではガソリン(前月比-4.7%)価格低下が指数を押し下げたが、医療サービス(同+0.5%)などの上昇がコアCPIを押し上げた。携帯電話料金要因による3月CPIインフレ率上昇は想定通りであり、今後もCPIインフレ率は前年比+2%を超えて推移、年末はやや軟化して総合、コアともに前年比+2%程度に着地すると見る。需給の引き締まりでインフレ圧力は着実に高まっているといえる。FOMCが年内3回以上の利上げを決定するとの個人予想を支持する内容である。

20180415b図3



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<経済レポート> インフレ圧力さらに:米経済定点観測

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米経済指標は個人消費を中心に1-3月期にやや軟化している。しかしながら減税効果が今後顕在化することで成長は今後加速しよう。インフレ率は一時要因の剥落もあり今後2%のFRB目標に近いところで推移すると見る。結果米経済が2018年に前年比+2.8%の成長を実現するとの個人予想を維持する。またFOMCは成長とインフレ率見通しの高まりにより、年内に3回以上の利上げを決定すると引き続き予想する。

米経済は需要超過へ

米経済は2017年に前年比+2.3%の成長を実現した。2018年は、昨年末に成立した大型減税(「2018年減税及び雇用法」)が実質GDPを約+0.5%押し上げ、今年の成長率は同+2.8%となると見ている([第1図])。今年に入ってからの経済指標は個人消費を中心に必ずしも芳しくはない。しかし年央から徐々に減税効果が顕在化して上記の成長率は達成可能と引き続き見る。一方で米経済は中期循環的な減速局面に入っている。減税効果を除くベースラインの成長率は前年と横ばい程度であり、減税効果が剥落する2019年からは米経済は転換点に入るリスクがあるとの見方も不変である。

まず、米経済の現在の立ち位置を確認しておく。米議会予算局(CBO)が4月に公表した「財政・経済見通し 2018-2028年」では米国の潜在GDPは前回2017年6月推計値よりも上方改訂された。結果、CBO推計米潜在GDPに基づく2017年10-12月期時点の需給ギャップは-0.3%と、依然マイナスの需給ギャップが残っているとの結果になった(これまで当レポートでは2017年6月推計値に基づき同期の需給ギャップを+0.5%と2四半期連続の需要超過と試算していた)。しかしながら、今後2018年に減税効果で前年比+2.8%の成長が実現すると、2018年末のプラスの需給ギャップは需要超過に転じ+0.5%となる見込みである([第2図])。したがって今年の米経済が均衡から過熱方向への進行が進むことを意味していることには変わりない。米経済は基本的にはタイトな需給のもと拡大ペースを加速し、結果インフレ圧力が高まる状況にあるといえる。

過去の経験則からは、米経済が需要超過にあった期間は総じて短期間である。経済が需要超過になるとまもなく景気サイクルの転換点が訪れ景気後退に入っていた。90年代以降のプラスの需給ギャップの最大値は、いわゆるITバブル期の2000年4-6月期の+1.7%である。金融危機前のプラスの需給ギャップのピークは2006年1-3月期の+0.3%であった。2018年末の米経済は既に、金融危機直前期を超える需要超過になる計算になる。一方で、現在の米経済に大幅な不均衡は見えにくい。株価はバリュエーション的に実態上ITバブル期以来の高水準の株価収益率(PE)にまで買い進まれていること、また米連邦政府財政赤字の拡大はあえて言うならば不均衡といえよう。CBO「見通し」によれば2018会計年度の財政赤字はGDP比-4.0%、2019会計年度のそれは同-4.6%に拡大の見込みである。これは金融危機後の巨額財政出動時を除くと、90年代の双子の赤字時代以来の高水準である([第1表])。しかし、ITバブルや住宅バブル比その程度は相対的に低いと見たい。結果、次回の景気サイクル転換による景気後退は浅いものにとどまると見ておく。

[第1図]
20180415図1

[第2図]
20180415図2

[第1表]
20180415表1

個人消費は一時軟化するも減税効果で今後拡大へ

以下では、2018年に入ってからの経済指標をもとに、今年の経済成長個人予想を点検していく。まず個人消費は、年初から想定外の減速が目立つ。実質個人消費は1月に前月比-0.2%、2月に同横ばいと不振だった。自動車販売が飽和状態から減速しているうえに、自動車及び同部品を除く小売売上高も、昨年12月、今年1月と連続して前月比マイナスの伸びののち3月にようやくプラスに転じた。仮に3月の実質個人消費が前月比+0.2%に回復したとしても、1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+0.9%程度にとどまる計算になる。

2月以降の株価反落も個人消費の押し下げ要因になりうる。株価と個人消費の相関関係は年々低下しているが、昨年末にかけての好調な個人消費は株式等売却に伴う消費(あるいは自動車・住宅購入)が押し上げていた可能性があるからだ。従前は1-3月期の実質個人消費を同+2%台前半とみていたが、2月までの個人消費実績に鑑みこれを同+1.0%に下方修正する([第3図])。

もっとも、個人消費をめぐる短期的な環境は悪くはない。雇用と賃金の増加に加えてインフレ率の安定で、個人の実質可処分所得の伸び率は昨年後半から上昇に転じている([第4図])。可処分所得の増加と消費の減速で、1-2月の個人貯蓄率はやや上昇した。つまり、個人消費は減速しているものの所得はほぼこれに追いつく形で拡大に転じており、また消費を減らした分は貯蓄として個人の手元に残っていることになる。個人所得税減税による可処分所得拡大への期待も個人消費の底支え要因となりそうだ。ミシガン大学調査による消費者センチメント指数は101.5ポイントと、2004年以来の高水準に上昇している。年後半にかけて、個人消費は再び+2%台の伸びに回復すると見たい。

[第3図]
20180415図3

[第4図]
20180415図4

企業の設備投資意欲は高い

設備投資については、2018年通年で前年比+6%台の堅調な拡大を引続き予想する。直近の統計によれば、GDP統計上の設備投資(機器投資)の先行指標となる非国防資本財出荷(除く航空機)は2月までで前期比+5.6%とプラスを維持している。企業景況観も好調である。フィラデルフィア連銀製造業景況感指数は3月時点で+22.3ポイントと短期的には軟化しているものの、2014年以来の高水準を維持している。同指数調査における設備投資DI(先行き)は実に80年代前半以来の高水準にあり、企業の設備投資意欲が極めて高いことを示唆している([第5図])。

一方で、2018年減税法により、企業設備投資の源泉となるネットキャッシュフローは2017年に一時的に大幅縮小していることには留意が必要である。同法により、企業の海外現地法人からの配当金への課税が将来にわたり廃止された一方で、1986年から現在までの海外収益蓄積に対し一時課税が実施された。この影響により、2017年10-12月期の企業ネットキャッシュフローは従前比約半分に落ち込んだ([第6図])。むろん2018年にはこの一時要因は解消し、かつ法人税減税効果でネットキャッシュフロー従前以上の水準に回復すれば、再び設備投資は堅調な拡大に回帰すると見る。

在庫循環は「在庫積み上げ」局面にあり、今後も在庫積み上げが成長にプラス寄与することを示唆している([第7図])。特に1月企業在庫統計によれば、企業在庫は2ヶ月連続で前月比+0.6%の大幅な増加となっている。1-3月期には、個人消費と設備投資の伸びの下ブレが在庫増加でカバーされて、従前筆者個人予想に近い成長率が維持できると見たい。

[第5図]
20180415図5

[第6図]
20180415図6

[第7図]
20180415図7

トランプ政権通商政策の影響は不確実

純輸出の成長への寄与度は、トランプ政権の通商政策如何で変動の可能性がある。輸出入ともに経済拡大に伴い増加を続けているトレンドからは、今後も財・サービス収支の赤字拡大が成長の押し下げ要因になると基本的には見ておきたい([第8図])。

一方で、トランプ政権は3月8日、通商拡大法232条に基づき鉄鋼製品・アルミニウムに対する輸入関税の引き上げを決定した。3月22日ホワイトハウスは、同輸入制限が3月23日から効力を発すること、また7ヶ国・地域(アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、メキシコ、EU、韓国)を5月1日までその適用対象外とすることを公表した。さらにトランプ政権は4月5日、通商法301条に基づく中国製品への輸入制限発動の検討を公表した。中国はこれに対し報復措置を検討しているとされる。

輸入制限政策は、一時的に米国の輸入を縮小させて貿易赤字の縮小と成長へのマイナス寄与縮小をもたらす一方で、相手国からの報復措置は米国の輸出の抑制要因となる。ここではかかる通商政策の影響の不確実性から、従前の予想を維持して純輸出が2018年一杯は成長にマイナス寄与すると見ておく。

[第8図]
20180415図8

インフレ率は2%に上昇、年内利上げは3回以上とみる

雇用市場は依然需要超過の状態がつづいている。失業率は3月時点で4.1%と、CBO推計の自然失業率4.6%を大幅に下回っている。非農業部門雇用者数は3月に前月比+103千人と大幅減速したが、雇用市場の拡大基調は不変とみたい。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)の前年比伸び率は3月時点で+2.4%と失業率低下に比して依然伸び悩んでいる。しかし労働市場需給のタイト化は今後賃金にも上昇圧力をもたらすと見ておきたい。

インフレ率は今後FRBの目標値である前年比+2%前後で推移すると見る。3月消費者物価指数は、昨年3月の携帯電話料金値下げの影響が剥落して、総合指数が前年比+2.4%と、前月の同+2.2%から大幅に伸びが拡大した。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は、2018年中に一時的に前年比+2%を超える水準にまで上昇してその後年末に同+2%に着地すると筆者個人は見ている。需給ギャップと期待インフレ率を外生変数とする推計式によれば、2017年10-12月期時時点のコアPCEデフレーターの前年比伸び率は+1.8%と推計される。同時期のコアPCEデフレーター実績値は同+1.5%程度であり、現在のインフレ率は推計値よりもかなり低い水準にあることがわかる([第9図])。今後インフレ率が均衡値に向けて上昇傾向を保ち、2018年末には+2%の水準に安定すると引き続き見ておく。

FRBの金融政策については、FOMCが年内に(3月実施済の利上げを含め)3回以上の利上げを決定するとの個人予想を維持する(3月25日付当レポート参照)。11日に公表された3月FOMC議事要旨によれば、多数の(a number of)参加者が「経済活動見通しの強まりとインフレ率が中期的に2%に回帰するとの確信の高まりは、今後数年のFF金利の適切な行程が従前期待していたよりも急(steeper)になることを示唆している」と述べている。昨年末の「減税及び雇用法」の成立と、インフレ率の3月以降の上昇は、今後のFOMCをしてよりタカ派にシフトさせる要因となるだろう。

[第9図]
20180415図9


<訂正>4月16日「トランプ政権通商政策の影響は不確実」の通商拡大法232条に関する記述を修正しました。

<経済指標コメント> 米3月非農業部門雇用者数は前月比+103千人

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[日本]

日銀短観(3月調査):大企業製造業業況判断DIは24ポイント(前月比-2ポイント)

日銀短観(3月調査)、大企業製造業業況判断DI(最近)は24ポイント(前月比-2ポイント)と8四半期ぶりの低下。先行き判断DIは20ポイントと最近からの低下を示唆している。大企業製造業は最近DIが23ポイント(同-2ポイント)、先行き20ポイントとこれも低下した。総じて金融危機前以来の高水準の企業景況観にはやや飽和感がみられるといえる。

20180407図1

実質家計消費支出(2月、二人以上の世帯)は前月比-1.5%(前年比+0.1%)

2月の実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比-1.5%と前月の同+2.7%から反落。2月までの1-3月期同支出は前期比+1.4%とプラス圏にあり、1-3月期のGDP統計上の実質家計消費はプラス成長が見込める。同時に公表された実質総消費動向指数は前月比-0.1%、2月までの1-3月期同指数平均は前期比+0.3%とこれも前期比プラスを維持している。

20180407図2

[米国]

新車販売台数(3月、乗用車及び軽トラック)は年率17.40百万台(前月比+2.5%)

3月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率17.40百万台(前月比+2.5%)と3ヶ月ぶりの前月比増加。自動車販売は総じて飽和状態にあり、長期金利も上昇傾向にあることから、今後は減速を見込んでいるが、所得税減税の効果で今年については堅調に推移しそうだ。

20180407図3


雇用統計(3月):非農業部門雇用者数は前月比+103千人、失業率は4.1%

3月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+103千人と、前月の同+326千人から大幅に伸びが減速した。もっとも3ヶ月移動平均は同+202千人と、前月比低下したものの2ヶ月連続で+200千人台を保っている。3月の業種別内訳は、建設業同-15千人、製造業同+22千人、小売業同-4.4千人専門ビジネスサービス同+33千人、教育・医療業同+25千人。建設業や小売業の雇用減が目立つほか、幅広い業種で雇用増加が減速した。ただ3月の減速は前月の大幅増の反動や天候による一時要因とみておきたい。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)は前年比+2.4%と前月並みの伸びで、依然低位にある。家計調査による失業率は4.1%と前月比横ばい。内訳をみると、労働力人口、就業者数いずれもが前月比で減少しており、労働参加率は60.4%と前月比横ばい。総じて労働市場は、失業率が自然失業率を下回るタイトな状態が続いているといえる。

20180407図4

<経済指標コメント> 米2月PCEデフレーターは前年比+1.8%

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[日本]

完全失業率(2月)は2.5%(前月比+0.1%ポイント)

2月の完全失業率は2.5%(前月比+0.1%ポイント)と上昇したが、その水準は依然93年以来の低水準を保っており、6ヶ月移動平均は2.65%(同-0.05%ポイント)と低下している。筆者試算の労働力化率は61.4%と2002年以来の高水準に上昇した。労働市場需給のタイト化を労働力化率の上昇が緩和している構造が続いている。

20180401図1

鉱工業生産指数(2月)は前月比+4.1%(前年比+1.4%)

2月の鉱工業生産指数は前月比+4.1%と前月1月の同-6.8%の大幅低下からやや反発した。前月の生産・出荷指数の大幅低下は一時要因だった可能性が高い。前年比でも+1.4%とプラス成長を維持した。出荷指数は前月比+2.2%、在庫指数は同+0.9%、在庫率指数は同-0.1%。2月は生産と出荷の増加で在庫積み増しがやや進んだ形。在庫循環図は「意図せざる在庫増」局面に入っている。設備投資の先行指標となる資本財出荷は前月比-3.9%と2ヶ月連続の低下。ただし2月までの1-3月期平均は前期比プラスを保っている。総じて鉱工業生産は振れの大きい動きながら堅調な増加は保っているといえそうだ。公表元の経済産業省は「生産は緩やかに持ち直している」と1月に下方改訂した基調判断を維持した。

20180401図2

住宅着工戸数(2月)は年率926千戸(前月比+8.2%)

2月の住宅着工戸数は年率926千戸(前月比+8.2%)と、前月1月の同-8.6%をほぼカバーする水準に反発した。もっとも3ヶ月移動平均は3ヶ月連続で低下しており、昨年以来住宅着工の緩やかな減少基調は不変である。

20180401図3

[米国]

実質GDP成長率(10-12月期、確報値)は前期比年率+2.9%

10-12月期の実質GDP成長率(確報値)は前期比年率+2.9%と、改定値の同+2.5%から上方改訂された。需要項目別内訳は個人消費同+4.0%(改定値同+3.8%)、設備投資同+6.8%(同+6.6%)、住宅投資同+12.8%(同+13.0%)、政府支出同+3.0%(同+2.9%)、在庫投資寄与度同-0.53%(同-0.70%)、純輸出寄与度同-1.16%(同-1.13%)。個人消費、設備投資、在庫投資の上方改訂が成長率の上ブレに寄与している。2017年通年成長率は+2.3%と改定値から不変。総じて昨年末の米経済は強い拡大を続けたといえる。2018年通年成長率についての筆者個人予想前年比+2.8%は(下記個人消費の下ブレによる下方リスクはあるが)維持できる。

20180401図4

実質個人消費(2月)は前月比横ばい、PCEデフレーターは前年比+1.8%、同コア同+1.6%

2月の実質個人消費は前月比横ばいにとどまり、前月の同-0.2%に続き低調な結果に終わった。内訳は耐久財消費同+0.6%、非耐久財消費同-0.3%、サービス消費同横ばい。このペースだと1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+1%前後にとどまる計算になる。これは1-3月期成長率を前期比年率+2%台後半とみている当レポート予想に対する下方リスクである。個人所得税減税にも関わらずその効果は1-2月にはまだ見られない。ただ今後は雇用増加と減税効果により個人消費の拡大ペースは加速すると見ておく。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.2%(前年比+1.8%)と前年比の伸びを加速させた。食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比+0.2%(前年比+1.6%)とこれも前年比伸び率が加速。需給のタイト化によりインフレ圧力は確実に強まっている。2018年中にはPCEインフレ率前年比+2%を持続的に維持できる計算になる。FRBが年内に3回以上の利上げを決定するとの当レポートの見方を支持する結果である。

20180401図5

<経済レポート> 加速へのギアシフト:3月FOMC

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FOMCは3月の定例会合で予想通り+0.25%の利上げを決定した。FOMC委員経済予測では、減税法案の成立を反映して成長予測は上方シフトした。年内の利上げ予測は3回と前回予測から不変であったが、全体としてFOMCがタカ派にシフトしていることがわかる。パウエル新FRB議長は金融政策において「ルール」が有効としていることも、今後利上げペースが加速する可能性を示唆している。今回を含め年内3回以上の利上げが決定されるとの個人予想を維持する。

FOMCは+0.25%の利上げを決定:年内利上げ予測は3回にとどまった

FRB連邦公開市場委員会(FOMC)は3月20-21日の定例会合で、予想通りFF金利誘導目標レンジを+0.25%引き上げ1.50-1.75%とすることを決定した。FOMCの利上げ決定は昨年12月定例会合以来のこととなる([第1図])。会合後に公表された声明文の内容は、前回1月定例会合のそれから本質的な変更はなかった。基調判断のパラグラフでは、1月以降の消費統計や資本財出荷統計の軟化を反映して「家計消費と設備投資の成長ペースが第4四半期の強い数字から軟化した」とされたが、経済見通しのパラグラフでは「経済見通しは最近強まった」との新たな文言が挿入されたうえ「経済活動は中期的に適度なペースで拡大」し「労働市場は強くあり続けると予想している」「12ヶ月のインフレ率はここ数ヶ月で上昇し、中期的には委員会の2%目標付近で安定するだろうと予想している」と従前の見通しを維持した。その上で上記の利上げが決定された([第2表])。

声明文と同時に公表されたFOMC委員の四半期経済予測においては、前回昨年12月予測に比べていくつかの大きな変化がみられた。まず実質GDP成長率(第4四半期前年同期比)の予測中央値が2018年+2.7%(12月予測+2.5%)、2019年+2.4%(同+2.1%)と上方シフトした。次に失業率(第4四半期平均)予測中央値も下方シフトし、2018年3.8%(同3.9%)、2019年3.6%(同3.9%)となった。PCEインフレ率予測中央値は12月予測と不変で、2018年前年比+1.9%、2019年同2.0%と、来年にかけてFOMCの目標値2%が達成されるとの予測が維持された。適正なFF金利水準は2018年については2.1%と前回予測比不変であったが、2019年については2.9%(前回2.7%)、2020年も3.4%(同3.1%)から上方シフトした。長期的均衡FF金利は2.9%(同2.8%)とわずかに上方シフトした([第1表][第2図])。

今回のFOMC委員経済予測では昨年末の減税法案成立が反映されて、成長率と失業率が好転方向に改訂された。利上げ見通しについては、今年の利上げ回数はこれまでと同様に年3回にとどまったものの、来年については上方シフトしている。年内の利上げ回数については3回以下とみる委員が8人、4回以上とみる委員が7人おり、両者は拮抗しているうえ、利上げ回数を4回以上とみる委員の数は12月予測比増加している([第3図])。これは減税法の成立によりFOMC委員の経済見通しと金融政策見通しがタカ派シフトしたことの証跡である。これらは従前からの当レポートの見方とも整合している。

[第1図]
20180325b図1

[第1表]
20180325b表1

[第2図]
20180325b図2

[第3図]
20180325b図3

経済成長予測は上方シフト:FOMCはタカ派に

3月FOMC定例会合は、2月に就任したパウエル氏のFRB議長として最初の会合であった。当レポートでは、パウエル氏は基本的にこれまでのイエレン氏の路線を継承しこれを調整していく政策をとると見ていた。パウエル氏は経済学者出身ではなく、共和党政権財務次官などを歴任した行政官である。しかしFRB理事として6年近くその任にあり、FOMCの運営についてはバランス感覚をもってこれを実施しうる十分な経験があるといえる。金融政策について特定の学説は持っておらず、基本的には中立路線を歩むと考えられる。しかしながら、リベラル派の経済学者であったイエレン前議長の金融政策との比較、また昨年末からの経済見通しの好転や需給の引き締まりの状況、また多数のFOMC委員がトランプ政権になってから交代していることからは、FOMCはタカ派にシフトしていくと見る。

3月FOMC会合の声明文やパウエル議長記者会見の内容はこうした見方を裏付けるものであった。声明文の構成や内容は議長交代にも関わらず従前の書式をほぼ踏襲したものであった。記者会見の内容もいわば安全運転といってよく、特段の注目すべき発言は見られなかった。一方でFOMC委員経済予測は従前比タカ派色が強かったといってよい。

パウエル氏は特段の金融政策に関する特定の学説はもっていないとしたが、同氏は就任直後の議会証言で興味深い発言をしている。2月27日の米議会下院金融サービス委員会における半期金融政策報告においてパウエル氏は「金融政策スタンスの評価においてFOMCは、政策処方箋と我々の使命に関係する変数とを結びつける金融政策ルールを定期的に参照している」「私は個人的にルール処方箋を有用なものとみている」と述べている。これは、パウエル議長が金融政策の遂行に当たりルールを重視していること、また同氏率いるFOMCが従前のイエレン前議長でのFOMCよりもタカ派しシフトする可能性を示唆するものである。

金融政策ルールによれば適正FF金利はより高い水準になる

FRBが議会宛に提出する半期金融政策報告書には、前回の2017年7月報告書以来、複数の金融政策ルールに基づく適正FF金利の推計値が掲載されている。2月の金融政策報告においては、金融政策ルールとして5通りの公式が示され、これらに基づく2017年第4四半期時点での適正FF金利推計値はゼロ%~3%の間に位置するとされている。これらの中で最も高い適正FF金利を推計する公式は「バランスト・アプローチ・ルール」(テイラー・ルールの一種)とされている公式で、2017年第4四半期の適正FF金利が約3%との推計結果になっている。また「テイラー・ルール(1993)」公式による推計値もほぼ3%を指している。最も低い適正FF金利を推計する公式は「価格レベル・ルール」とされているもので、2017年第4四半期の適正FF金利は約ゼロ%と推計されている。一般に適正FF金利の推計において、需給ギャップ(労働市場ギャップ)の比率を高く見る公式(バランスト・アプローチ・ルールやテイラー・ルール)」は、需給ギャップがマイナス(失業率が自然失業率を上回る)の時期には適正FF金利が低めに推計され、需給ギャップがプラス(失業率が自然失業率を下回る)時期には適正FF金利が高めに推計される。FRB金融政策報告書によれば、需給ギャップを相対的に重視する公式では高めの適正FF金利が推計され、インフレ率を重視する公式では低めの適正FF金利が推計されている。

パウエル議長が金融政策決定において金融政策ルールを重視し、またその際にテイラー・ルールまたはその修正版を用いた場合、今後FOMCは、3月時点の委員予測よりもさらに利上げペースを加速させる可能性がある。テイラー・ルールによれば2017年末の適正FF金利水準は実績値よりもかなり高い水準であり、さらに2018年の成長加速とインフレ率上昇を勘案すれば、2018年の適正FF金利は更に高水準になる計算になる。

テイラー・ルール公式を用いた当レポートにおけるこれまでの筆者個人の適正FF金利推計値もこれらと同様の傾向を示している。自然利子率を0.8%とした場合の筆者による適正FF金利推計値は、2017年末が2.6-2.8%、2018年末が3.3%-4%である([第4図])。これはFRBの内部推計の結果とも方向性を一にするものである(なお、当レポートで「99年版」テイラー・ルールとしている公式はFRB金融政策報告では「テイラー・ルール(1993)」とされている。当レポートでの「1993年版」に相当する公式はFRB金融政策報告には記載されていない)。

[第4図]
20180325b図4

年内3回以上の利上げ予想を維持する

以上より、FOMCが3月利上げを含め年内3回以上の利上げを決定するとの当レポートの個人予想を維持する(年末のFF金利誘導目標レンジは2.00-2.25%またはそれ以上)。筆者個人の成長率及びインフレ率予想はFOMC委員予測とほぼ整合している([第5図])うえ、上記の通りテイラー・ルールによる適正FF金利推計値は2018年末に3%以上を示唆している。パウエルFRB議長の発言も今後FOMCが利上げを加速する可能性を示唆している。

インフレ率の上昇に対して中央銀行がビハインド・ザ・カーブになるリスクを、FOMCは今後より重視することになるだろう。1月FOMC定例会合の議事要旨によれば、インフレの上方リスクに対する参加者発言が複数出されている。現状すでに米経済は需要超過の状態にあり、伸び悩んでいる時間当たり賃金も今後上昇ペースが加速する可能性が高いと見る。昨今の為替市場におけるドル安に加え、3月にトランプ大統領が決定した鉄鋼・アルミニウムに対する輸入制限は、米国の輸入物価を上昇させる可能性が高い。

一方で、上記個人予想に対する下方リスク要因は、米経済の予想外の減速である。大型減税による購買力拡大が内需ではなく輸入拡大につながった場合は成長が予想通りに加速しない可能性がある。また米トランプ政権の内政・通商問題による混乱も下方リスクである。トランプ大統領が決定した輸入制限は「企業部門の懸念事項」とパウエル議長も記者会見で述べている。トランプ政権の混乱は引続き米経済及び金融政策予想への下方リスク要因であり続けそうだ。

[第5図]
20180325b図5

[第2表]
20180325b表2