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<経済指標コメント> 米9月消費者物価指数は前月比+0.1%(前年比+2.3%)

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[日本]

景気ウォッチャー調査(9月):現状判断DIは48.6(前月比-0.1ポイント)、先行き判断DIは51.3(同-0.1ポイント)

9月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは48.6(前月比-0.1ポイント)、2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは51.3(同-0.1ポイント)と、いずれも小幅低下した。9月の台風21号や北海道丹振東部地震にも関わらず、予想外に街角景気はほぼ横ばいにとどまった。景気判断理由として「北海道胆振東部地震の影響で外国人観光客及び近郊のイベント関連での宿泊客が激減(北海道観光型ホテル)」「月の前半は30度以上の暑い日が続き、後半は台風を含め雨天が多かったので、今月は来客自体がかなり少ない(南関東=一般レストラン)」など景気へのマイナス影響がみられた一方、「月初めに、台風に備えたまとめ買いによる売上高のプラス(東海=スーパー)」「災害の復旧に助成金が出るほか、年度内での完了といった条件もあるため、建築や設備などの特需は続く(近畿=経営コンサルタント)」といったプラス影響もあり、全体としては街角景気への影響は限定的だったことになる。家計消費や設備投資関連の実体経済指標も8月分まではおおむね好調で、7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+1%強との筆者個人予想より上ぶれる可能性が出てきた。

20181014図1

機械受注(8月、船舶・電力を除く民需)は前月比+6.8%(前年比+12.6%)

8月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+6.8%と2ヶ月連続で前月比増加、前年比でも+12.6%と2ヶ月連続で2桁の伸びとなった。8月までの7-9月期同受注は前期比+6.4%の高めの伸びのペースであり、GDP統計上の設備投資が年後半にもプラス成長を継続する可能性を示唆している。

20181014図2

[米国]

消費者物価指数(9月)は前月比+0.1%(前年比+2.3%)、同コア前月比+0.1%(前年比+2.2%)

9月の消費者物価指数(CPI)は前月比+0.1%(前年比+2.3%)、食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比+0.1%(前年比+2.2%)と、いずれも前月比の伸びが小幅にとどまり、前年比の伸びを低下させた。前月比ではエネルギー(同-0.5%)、中古車(同-3.0%)などが価格を2ヶ月連続で低下させた。もっともここ2ヶ月のCPIの前年比伸び率の低下は、昨年8、9月に大幅に上昇した同指数との比較によることが主因で、伸び率低下は想定の範囲内である。年末には総合CPIインフレ率、コアインフレ率ともに前年比+2%レベルに着地するとの見方に沿った動きである。見かけのインフレ率は低下したものの、FOMC金融政策への影響は限定的で、来年にかけFF金利誘導目標が3%以上に引き上げられるとの個人予想を維持する。

20181014図3


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<経済指標コメント> 米9月非農業部門雇用者数は前月比+134千人

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[日本]

日銀短観(9月調査):大企業製造業業況判断DIは19(6月調査比-2ポイント)

日銀短観9月調査、大企業製造業業況判断DIは19(6月調査比-2ポイント)と3四半期連続の低下、大企業非製造業業況判断DIも22(同-2ポイント)と低下に転じた。昨年末に2006年以来の高水準にあった大企業製造業業況判断DIは今年に入り減速傾向がみられる。非製造業も堅調な水準から減速の兆しがみられる。トランプ政権による貿易戦争などによる不透明感がその背景と思われる。もっとも需要超過で過熱気味の日本経済環境からは、そろそろ企業景況感の転換があってもよい時期である。

20181007図1

実質家計消費(8月、二人以上の世帯)は前月比+3.5%(前年比+2.8%)

8月の実質家計消費(二人以上の世帯)は前月比+3.5%(前年比+2.8%)と予想外に急増した。7月の豪雨による消費減少の反動ともみられる。8月までの7-9月期実質家計消費は前期比+2.5%と4強い伸びのペースである。総消費動向指数(CTIマクロ)も前月比+0.3%と6ヶ月連続の上昇で、7-9月期GDP統計上の実質家計消費は、当レポート個人予想(前期比年率+1%レベル)よりも上ぶれる可能性が出てきた。9月には台風や地震の影響で再び消費が一時的に減速すると考えられるが、雇用増加と賃金上昇を背景として家計消費の基調は底堅いと見たい。

20181007図2

[米国]

新車販売台数(9月、乗用車及び軽トラック)は年率17.4百万台(前月比+4.5%)

9月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率17.4百万台(前月比+4.5%)と3ヶ月ぶりかつ大幅な増加。もっとも季節調整前の販売台数は9月に東海岸を襲ったハリケーン・フローレンスの影響で前月比、前年比ともに大幅減少となった。10月にはその反動で新車販売の再びの増加が期待できる。

20181007図3

雇用統計(9月):非農業部門雇用者数は前月比+134千人、失業率は3.7%

9月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+134千人と、昨年9月以来の低い伸びにとどまった。9月はハリケーン・フローレンスの影響による一時的な減速と見たい(昨年9月もハリケーン・イルマ、同ハーヴェイの影響で雇用増加が一時的に大幅減速した)。業種別には、小売業同-20.0千人、娯楽宿泊業同-17千人の減少が目立つ一方、建設業同+23千人、製造業同+18千人、専門ビジネスサービス業同+54千人などは堅調に雇用を増加させており、内容はまちまちである。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)は前年比+2.7%と前月の同+2.9%から伸びが減速した。家計調査による失業率は3.7%と実に1969年11月以来の低水準に低下した。労働参加率は62.7%と前月比横ばい。総じて短期的には、ハリケーン影響で雇用者数や時間当たり賃金の伸びは一時的に減速したものの、10月はその反動で再び加速すると見たい。労働市場の需給は極めてタイトであり、雇用増加に対して労働力人口の増加が追い付かない状況である。米経済のインフレ圧力が継続することを示唆する結果である。

20181007図4

<経済レポート> 緩和の終わりと引き締めの始まり:9月FOMC

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FOMCは9月25-26日の定例会合で、予想通りFF金利誘導目標レンジを+0.25%引き上げ2.00-2.25%とすることを決定した。FOMC委員経済予測では、2018年にFF金利は中立水準を超える3%台半ばにまで引き上げられることが示唆されている。米経済が今後需要超過になり、インフレ率が2%水準で推移するとの見方に整合的な内容である。来年にかけFF金利誘導目標が3%台に引き上げられるとの筆者の個人予想を維持する。

FOMCは+0.25%の利上げを決定した:来年の利上げ回数予測は不変

FRB連邦公開市場委員会(FOMC)は9月25-26日の定例会合で、予想通りFF金利誘導目標レンジを+0.25%引き上げ2.00-2.25%とすることを決定した([第1図])。会合後に公表された声明文では、従前の「金融政策のスタンスは緩和的であり続け、強い労働市場条件と2%インフレ率の持続的回帰を支持する」との文言が削除された。声明文のその他の文言は、前回8月1日声明文の文言とほぼ不変であった。「委員会は、FF金利誘導目標の漸進的な引き上げが、持続的経済拡大、強い労働市場条件、そして委員会の対照的な2%中期目標近辺のインフレ率と整合的であると予想する」との文言は存置された。

声明文と同時に公表されたFOMC委員の四半期経済予測では、2018年末の適正FF金利予測中央値は2.4%(2.25-2.50%レンジ)、2019年末のそれは3.1%(同3.00-3.25%)と前回6月予測と不変で、2018年内にあと1回、2019年内に3回の利上げを予測する内容となっている。2020年のFF金利予測中央値は3.4%(同3.25-3.50%)これも6月予測と不変で、2020年内にさらに1回の利上げ(同3.00-3.25%)を実施し、2021年までこの水準が維持されることが示唆されている([第1表])。

パウエルFRB議長は会合後の定例記者会見の冒頭発言で「“金融政策のスタンスは緩和的であり続ける”文言の削除は金融政策の工程の変更の証左ではなく、金融政策が我々の予想通りに進んでいることの証左である」「声明文の通り、我々は漸進的なFF金利誘導目標引き上げを依然予想しておりこの予想は委員予測に反映されている」とのべ、今後も段階的な利上げを継続していく意図を示唆した。

[第1図]
20180930図1

[第1表]
20180930表1

FOMCは2%インフレ持続、需給ギャップは需要超過を予測している

9月FOMCの結果は当レポート予想及び市場の期待とほぼ整合的で、特段のサプライズはなかったといえる。注目されていた2019年の利上げ回数の予測中央値も6月時点予測から不変であり、FOMCの今後の金融政策に対するスタンスが過去3ヶ月で大きくはシフトしていないことを示唆している。

9月時点のFOMC委員経済予測のポイントは以下である。まず実質GDP成長率の予測中央値を見ると、2018年に前年比(第4四半期前年同期比)+3.1%と減税効果などで大幅に拡大したのち、2019年に同+2.5%、2020年に同+2.0%と徐々に減速していくことが予測されている。一方長期的な均衡成長率(潜在成長率)は同+1.8%とされており、今後約2年にわたり米国経済が潜在成長率を上回る成長を継続することが予測されている。結果米経済の需給ギャップは大幅な需要超過になることが予測されていることになる。失業率についても同様で、長期均衡失業率と予測されている4.5%に対し、今後の失業率は2021年にかけ3.5~3.7%と自然失業率を大幅に下回って推移するとの予測中央値となっている。GDP成長率予測同様に、米経済(労働市場)が大幅な需要超過になることをこの予測中央値は示唆している。

PCEインフレ率の予測中央値は2020年にかけ前年比+2.0~2.1%と、おおむねFRBの目標値(長期均衡水準)に近いところで推移するとされている。これに対してFF金利の長期均衡水準の予測中央値+3.0%とされている。ここからは、FOMCの見る自然利子率がおおむね+1%であることが示唆されている。

FF金利は長期均衡水準以上に引き上げられる

かかる経済予測を前提に、FOMC委員予測中央値ではFF金利誘導目標が2019年以降、長期均衡水準である3%を超えて3.4%引き上げられるとされている。すなわち、インフレ率がほぼ均衡水準で推移、需給ギャップが需要超過で推移することから、適正な政策金利は長期均衡水準(インフレ率+自然利子率=2%+1%=3%)以上に引き上げられるのが適切との考え方である。

これらのFOMC委員予測の内容は、これまでの当レポートでの見方にも整合している。テイラー・ルール公式において適正なFF金利水準は、インフレ率実績と自然利子率の合計に需給ギャップとインフレギャップを加重平均して加味した水準として表される。インフレ率実績=2%、自然利子率=1%とした場合、需給均衡における適正FF金利は3%となる。需給ギャップがプラス(需要超過)である場合適正FF金利は3%よりも上方に位置することになる。テイラー・ルール(1993年版)において、自然利子率を1%とした場合の適正FF金利水準は、2018年1-3月期時点の需給ギャップとインフレ率実績をもとに計算すると+2%台後半と計算される。同じく成長とインフレに関する筆者の個人予想に基づく2018末時点での適正FF金利を計算すると+3%台半ばと推計される([第2図])。2018年後半にインフレ率が2%に上昇してインフレギャップが解消し、潜在成長率を上回る成長継続により需給ギャップが需要超過になることにより、適正FF金利水準が需給均衡における適正水準よりも上方にシフトするためである。2018年の成長加速により既に適正なFF金利水準は現状でも3%レベルにあるといえる。したがって少なくとも3%台半ばの水準に向かって段階的に利上げを継続するというスタンスは妥当と考えられる。

なお、2021年については、FOMC委員経済予測中央値は、成長率+1.8%、PCEインフレ率+2.1%と、成長とインフレがともに均衡レベルに回帰することとなっている。一方失業率予測中央値は3.7%と依然自然失業率4.5%を大幅に下回ることとなっている。つまり2021年において、米経済は需要超過状態のままプラスの需給ギャップ水準は横ばいで推移、またインフレ率は依然均衡水準で推移することとなる。プラスの需給ギャップが一定でインフレ率が一定のもとではFF金利は中立水準を上回るレベルで据え置かれることが適切であることがテイラー・ルール公式からも導かれる。FOMC委員の経済・インフレ予測と、2020年以降FF金利が横ばいで推移するとの予測は整合的である。

[第2図]
20180930図2

2019年に3%台に利上げとの個人予想を維持する

以上から、年内12月FOMC定例会合であと1回の利上げが決定され2019年にはFF金利誘導目標が3%台にまで引き上げられるとの個人予想を維持する。米経済は2018年4-6月期に前期比年率+4.2%の強い拡大を見せ、7-9月期も筆者予想を上回る+3%台の成長となる可能性が出てきている。PCEインフレ率は8月時点で前年比+2.2%と2%を超えて推移している。これらの直近の状況は、筆者個人予想及びFOMC委員の経済予測に沿った動きである。FRBの金融政策スタンスは、これまでの「緩和的」から「中立」へ、さらに来年には「引き締め」スタンスに段階的に移行していくと見る。

一方で、2020年以降の金融政策動向については不確実性があると言わざるを得ない。FOMC委員の経済予測は、今後米経済が2021年にかけて巡航速度の成長に回帰していくことを前提としているように見える。しかしながら、現実的には来年以降2021年にかけて米経済にはどちらかといえば下方のリスクがあると見ておきたい。

まず、中期的な景気循環の観点からは、2018年に需要超過に転化した経済がその後1~3年の間にサイクルの転換期を迎える可能性がある。次に、これまでトランプ政権への期待から上昇を続けてきた株価などのリスク資産価格はバリュエーション的に相当に割高になっている(9月末時点のS&P500の株価収益率は約25倍)。さらに期近なイベントとして、2018年11月には米議会中間選挙が予定されている。米議会下院において共和党が過半数を割り込む状況になった場合、トランプ政権への期待剥落から金融市場の反落の可能性もある。2年後以降の中期的な金融政策見通しについて、FOMC委員予測がこれらを完全に織り込んでいるとは考えにくい。2020年以降の金融政策スタンスについての委員予測はあくまで経済が均衡に回帰するとの前提におけるものに過ぎないと見るべきであろう。

<経済指標コメント> 米8月PCEデフレーターは前年比+2.2%

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[日本]

完全失業率(8月)は2.4%

8月の完全失業率は2.4%(前月比-0.1%ポイント)と低下した。失業率は依然1993年以来の低水準にある。筆者試算の労働力化率は61.6%(同+0.2%ポイント)と上昇基調を継続している。労働市場の需給は依然タイトであるが、労働力人口の拡大がこれを一部緩和している。

20180929図1

鉱工業生産指数(8月)は前月比+0.7%

8月の鉱工業生産指数は前月比+0.7%と4ヶ月ぶりかつ強めの上昇となった。出荷指数は同+2.1%とこれも強めの伸び。在庫指数同-0.4%、在庫率指数同-2.2%と、出荷増により在庫調整が進んだ形。ただし生産指数の3ヶ月移動平均は3ヶ月連続で低下しており、鉱工業生産には依然減速感がみられる。設備投資の先行指標となる資本財出荷指数は同+5.2%と反転上昇したが、8月までの7-9月期同指数は前期比-1.8%と大幅なマイナスとなっている。7-9月期のGDP統計上の設備投資が8四半期ぶりのマイナス成長に転化するリスクが出てきている。公表元の経済産業省は「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」との基調判断を維持している。

20180929図2

住宅着工戸数(8月)は年率957千戸(前月比横ばい)

8月の住宅着工戸数は年理宇957千戸(前月横ばい)、3ヶ月移動平均は同943.3千戸と低下している。8月までの7-9月期着工戸数は前期比-1.1%とマイナスの伸びのペースであり、GDP統計上の住宅投資もマイナス成長になるリスクがある。

20180929図3

[米国]

新築住宅販売戸数(8月)は年率629千戸(前月比+3.5%)、在庫期間は6.1ヶ月

8月の新築住宅販売戸数は年率629千戸(前月比+3.5%)と3ヶ月ぶりの増加に転じた。しかし6ヶ月移動平均は同635.5千戸(同-0.9%)と4ヶ月連続で低下しており、新築住宅販売の減速感は継続している。在庫期間は6.1ヶ月と前月比-0.1ヶ月短期化してほぼ適正水準にある。ただし在庫期間はここの所長期化傾向にあり、住宅市場の需給が徐々に緩和方向に向かいつつある可能性を示唆している。

20180929図4

実質GDP成長率(4-6月期、確報値)は前期比年率+4.2%

4-6月期の実質GDP成長率(確報値)は前期比年率+4.2%と改定値から不変。需要項目別内訳は、個人消費同+3.8%(改定値同+3.8%)、設備投資同+8.7%(同+8.5%)、住宅投資同-1.3%(同-1.6%)、政府支出同+2.5%(同+2.3%)、在庫投資寄与度同-1.17%(同-0.97%)、純輸出寄与度同+1.22%(同+1.17%)と、改定値とほぼ不変であった。個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は同+4.4%と2014年10-12月期以来の極めて強い伸びで、減税効果などによる内需主導の経済拡大となっている。7-9月期の実質GDP成長率は同+2%台後半への減速を見込んでいるが、個人消費が予想以上に強い拡大となっており、同+3%台への上振れの可能性が出てきている。

20180929図5

耐久財受注(8月)は+4.5%、除く運輸関連同+0.1%、非国防資本財出荷(除く航空機)同-0.5%、同出荷同+0.1%

8月の耐久財受注は+4.5%、除く運輸関連同+0.1%。設備投資の先行指標となる非国防資本財出荷(除く航空機)同-0.5%のマイナス、GDP統計上の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同+0.1%と弱めの伸びだった。ただし同受注・出荷ともに7月の大幅増により7-9月期は前期比プラスの位置にある。企業部門も年内は堅調な拡大を続けるとの見方を支持する結果である。

20180929図6

実質個人消費(8月)は前月比+0.2%、PCEデフレーターは前月比+0.1%(前年比+2.2%)、同コア前月比横ばい(前年比+2.0%)

8月の実質個人消費は前月比+0.2%と堅調な伸び。前月の同+0.3%の強めの伸びと合わせ、7-9月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+3%台になるペースで、筆者個人予想である同+2%台半ばより上ぶれて推移している。減税効果による個人消費の拡大は継続している。実質可処分所得の伸びは前年比+2.9%と依然+3%レベルの拡大となっており、経済拡大をけん引する個人消費が+3%レベルの増加を継続する可能性を示唆している。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.1%(前年比+2.2%)、食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比横ばい(前年比+2.0%)と、いずれも前年比伸び率+2%台を維持した。今後総合PCEインフレ率、コアPCEインフレ率ともに前年比伸び率をやや低下させて、年末にはいずれも同+1.9%レベルで着地すると見る。もっともインフレ率がFRBの目標である+2%を概ね持続的に維持している状況であり、FF金利誘導目標が来年にかけ3%台に引き上げられるとの個人予想を支持する結果である。

20180929図7



<経済レポート> 目先は好調維持:米企業部門動向

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米企業部門の設備投資は現在強めの拡大を続けており、年内は堅調な拡大を持続すると見る。しかしながら、トランプ政権の政策効果の剥落やこれに伴う企業景況感の悪化、中期的に低い設備稼働率などを背景に来年には拡大ペースを減速させると見る。トランプ政権の対中国を始めとする通商政策の動向は依然波乱要因である。

年内の設備投資は拡大を続けよう

米企業部門の設備投資は強めの拡大を続けている。GDP統計上の設備投資は、2018年1-3月期に前期比年率+11.5%、4-6月期に同+8.5%と2桁前後の拡大を見せた。2015年~16年初にかけて一時マイナス成長に転化した企業部門がここ2年間回復を見せている。企業部門の回復は特に2017年のトランプ政権発足後に顕著である。同政権のプロ・ビジネスな政策が企業部門の設備投資意欲をも刺激した可能性がある。

2018年後半も設備投資は堅調に拡大する可能性が高いことを月次の指標も示唆している。7-9月期の非国防資本財出荷(航空機を除く)は7月までで前期比年率+6.5%とプラス成長かつペースが加速している。同受注も+8.5%と堅調で、この設備投資拡大ペースが年内持続する可能性を示唆している([第1図])。鉱工業生産指数は上昇基調を継続しており、8月現在で前年比+4.9%と実に2010年以来の強い伸びとなっている。うち製造業も同+3.1%と2012年以来の強い伸びを示している([第2図])。企業収益もまず堅調に推移している。4-6月期の企業収益(在庫評価・資本減耗調整後)は前年同期比+7.7%と3四半期連続で伸びが加速した。企業ネットキャッシュフローは、「減税及び雇用法」の法人税支払い額が減少し、2017年の水準(海外収益蓄積に対する2017年末の一時課税影響を除く)から大幅に増加した([第3図])。

こうした短期指標からは、年内いっぱい企業部門が堅調に拡大していく可能性が高いと見る。GDP統計上の設備投資は、2018年通年で前年比+8%レベルの強い伸びを個人予想する。

[第1図]
20180924図1

[第2図]
20180924図2

[第3図]
20180924図3

来年は設備投資拡大ペースは減速すると見る

ただし、かかる企業部門の拡大が今後中期的に持続的とは言いにくい。海外経済の回復と、トランプ政権政策期待という外的要因が、2017年以降の企業部門の回復を支えてきたといえる。IMFによれば、2017年は中国を含むアジア新興国で前年比+6.5%前年並みの高い成長が維持され、ユーロ圏でも同+2.4%と2%台成長に加速した。しかし2018年は、中国経済成長率が前年の同+6.6%から同+6.6%に減速が見込まれるうえ、ユーロ圏も同+2.2%程度の成長に減速の見込みである(IMF「世界経済見通しアップデート」2018年7月による)。トランプ政権の政策については、まず2017年末に成立した「減税及び雇用法」における法人税減税も企業部門拡大要因だったといえる。しかし、同減税効果は主に従業員還元や自社株買いに充てられたと考えられるうえ、来年以降は減税による成長率押し上げ効果は剥落していくだろう。企業部門への活性化策としてトランプ大統領は、1月の一般教書演説で10年間1.5兆ドルのインフラ投資計画を表明したが、政府財源の根拠が希薄であることなどから議会の同意が得られておらずこれまでに実態的な進展は見られない。

企業景況感も低下傾向にある。フィラデルフィア連銀製造業景況感調査における設備投資DI(6ヶ月後)は2017年半ばをピークに現在にかけて低下傾向にあり、今後設備投資の伸び率が低減していく可能性を示唆している([第4図])。鉱工業の設備稼働率は8月現在で78.1%と、1972-2017年平均の79.8%に回復していない。設備稼働率の相対的な低さは、設備投資がやや過大に拡大していることをも示唆しており、今後設備投資の拡大ペースが持続的でなくなる可能性を示唆する材料である。

在庫循環図は現在「在庫積み増し」局面から「意図せざる在庫増」局面に移行しつつある([第5図])。年内いっぱいは在庫積み上げが成長を押し上げる要因になると見るが、来年以降は在庫調整が成長にマイナス寄与する局面に入る可能性が高いと見る。

[第4図]
20180924図4

[第5図]
20180924図5

対中貿易戦争は本格化:2000億ドル相当に10%の追加関税

トランプ大統領は9月17日の声明で、米通商代表(USTR)宛に通商法301条に基づき中国からの輸入約2000億ドルに対する追加輸入関税賦課を指示した旨表明した、追加関税は24日から発効し年末までは10%とし、2019年1月1日から25%とするとされた。さらに中国が米国からの農産物輸入に対し報復を実施した場合、さらに2670億ドル相当の中国からの輸入製品に対する追加関税実施をただちに実施するとした。USTRは同日、同追加関税の実施と対象となる5745品目のリストを公表した。米国の対中財サービス輸入は2017年で約5055億ドル、財・サービス収支赤字は約-3756億ドルとなっている([第6図])。7月6日に340億ドル相当、8月23日に160億ドル相当の品目につきすでに実施された追加関税と合わせ、すべての追加関税が実施されれば、中国からの輸入額のほぼすべてに相当する金額が追加関税の対象となることになる。

現在のところ、中国に対する貿易戦争は米国の輸出入全体に対して大きな影響は見られない。また、企業の受け取り価格と支払い価格の差額である交易条件は2016年後半以降悪化傾向にあるが、これはむしろドル安傾向が企業の支払い価格を押し上げている要因が大きいとみられる([第7図][第8図])。

その他の国に対する通商政策は、欧州連合との間では関税ゼロの方向で合意を見た(9月10日USTR公表)。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉については、メキシコとの間で調達比率・数量制限・為替条項を含む合意内定に達したもののカナダとの交渉は前進がみられず、NAFTA再交渉が米国メキシコ間でのみ実施される可能性も示唆されている(各種報道による)。日本に対しては、24日に日米通商協議(FFR)、26日に日米首脳会談が実施される予定である。対日輸入については自動車・農産物がその焦点となろう。

[第6図]
20180924図6

[第7図]
20180924図7

[第8図]
20180924図8


貿易戦争は引き続き不確実要因

今後トランプ大統領がどこまで貿易戦争を拡大させるか、またその米経済への影響は不確実と言わざるを得ない。トランプ大統領の仕掛けている「貿易戦争」は当初の市場の想定以上に具体化している。当レポートでは、貿易戦争は11月の米議会中間選挙までには収束し、米中間に何等かの貿易に関する合意がなされるとの想定で、米経済成長への影響は限定的になると見たい。リスクシナリオとして、この制裁関税及び報復関税が長期化した場合には米国消費や生産に与えるマイナスの影響を見ておく必要があるだろう。


以上、米企業部門の設備投資については、年内は堅調な拡大維持を見込むものの、トランプ政権の景気刺激策効果の剥落、低い設備稼働率、在庫循環を背景に来年以降は減速を見ておきたい。トランプ大統領の通商政策は依然として波乱要因である。企業部門に係る月次統計は依然高等、雇用市場も堅調に拡大し、株価は9月に史上最高値を更新するなど引き続き好調である。これらの好調な指標が現状の企業や消費者の景況感を支えている可能性が高い。ただ、中期的なファンダメンタルズがそろそろ過熱から調整局面に入りつつあることは常に留意しておくべきであろう。