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<経済指標コメント> 米10月実質個人消費は前月比+0.4%

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[日本]

完全失業率(10月)は2.4%(前月比+0.1%ポイント)

10月の完全失業率は2.4%(前月比+0.1%ポイント)とやや上昇したが、引き続き92年以来の低水準レベルにある。就業者数の前年比伸び率は+2.2%と5ヶ月ぶりに+2%台を回復、また筆者試算の労働力化率は61.8%と2001年以来の高水準に上昇した。労働市場のタイト化を労働力人口増加が一部緩和している状況は不変である。

20181202図1

鉱工業生産指数(10月)は前月比+2.9%(前年比+4.2%)

10月の鉱工業生産指数は前月比+2.9%と強めの上昇。出荷指数は同+5.4%、在庫指数同-1.4%、在庫率指数同-7.4%と、出荷増で在庫削減が進んだ形。自然災害の影響と思われる8-9月の生産減速から10月にはその反動で生産・出荷が増加したといえる。今後復興需要等も含め10-12月期には生産の回復を見込んでおきたい。公表元の経済産業省は基調判断を「生産は緩やかに持ち直している」と上方改訂した。

20181202図2

住宅着工戸数(10月)は年率950千戸(前月比+0.8%)

10月の住宅着工戸数は年率950千戸(前月比+0.8%)と小幅増。8月同横ばい、9月同-1.6%からまだ大幅な反発は見られない。もっとも今後は9月の自然災害の復興需要が徐々に着工戸数を押し上げると見たい。

20181202図3

[米国]

実質GDP成長率(7-9月期、改定値)は前期比年率+3.5%

実質GDP成長率(7-9月期、改定値)は前期比年率+3.5%と速報値から不変。需要項目別内訳は、個人消費同+3.5%(速報値同+4.0%)、設備投資同+2.5%(同+0.8%)、住宅投資同-2.6%(同-4.0%)、政府支出同+2.6%(同+3.0%)、在庫投資寄与度同+2.27%(同+2.07%)、純輸出寄与度同-1.91%(同-1.78%)。在庫増ペース加速による成長押し上げを輸出減による財・サービス赤字拡大が相殺している形は速報値と同様である。個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は同+3.2%と、前期の同+4.4%からは減速したものの引き続き個人消費をけん引役に堅調といえる。2018年通年成長率は前年比+3%前後との見通しを維持する。

20181202図4

実質個人消費(10月)は前月比+0.4%、PCEデフレーターは前月比+0.2%(前年比+2.0%)、コアPCEデフレーター前月比+0.1%(前年比+1.8%)

10月の実質個人消費は前月比+0.4%と強い伸び。内訳は、耐久財消費同+0.4%、非耐久財消費同+0.3%、サービス消費同++0.5%と押しなべて消費が増加した。10-12月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+3%が可能な計算で、当レポートの見通しをやや上回るペースである。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.2%(前年比+2.0%)、食品及びエネルギーを除くコアPCEデフレーター前月比+0.1%(前年比+1.8%)といずれも当レポート個人予想通り+2%レベルを維持している。FOMCが12月定例会合で+0.25%の利上げを決定、2019年に3回の利上げを決定するとの個人予想を支持する結果である。ただし11月FOMC議事要旨によれば、複数の参加者から今後の利上げペースに対する不確実性を表明する発言が出ており、これは当予想に対する下方リスクの兆しが見られると言わざるを得ない。12月18-19日の定例会合後のFOMC委員経済予測では、来年の利上げに係る委員予測がやや下方シフトする可能性も出てきた。

20181202図5

新築住宅販売戸数(10月)は年率544千戸(前月比-8.9%)、在庫期間は7.4ヶ月

10月の新築住宅販売戸数は年率544千戸(前月比-8.9%)と大幅かつ過去6ヶ月で4回目の減少、2016年3月以来の低調な販売戸数となった。6ヶ月移動平均は同600.5千戸(同-2.4%)と6ヶ月連続で低下している。一方在庫期間は7.4ヶ月と2011年以来の水準に上昇した。中央販売価格は前年比-3.1%と2ヶ月連続で低下した。住宅指標にはここの所明らかな減速がみられる。在庫が増加していることを見ると供給不足のみが販売減速の要因とも言い切れない。米経済における住宅投資の寄与度は極めて限られているものの、住宅指標の減速は米経済サイクルが近々転換する可能性を支持する一つの要因であると見たい。

20181202図6


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<経済指標コメント> 日本の7-9月期実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率-1.2%

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[日本]

実質GDP成長率(7-9月期、1次速報値)は前期比年率-1.2%

7-9月期の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率-1.2%と、9月の自然災害の影響で2四半期ぶりのマイナス成長となった。需要項目別内訳は、家計消費同-0.5%、住宅投資同+2.6%、設備投資同-0.9%、公的需要同-0.9%、在庫投資寄与度同-0.3%、純輸出寄与度同-0.3%と、住宅投資を除くすべての需要項目がマイナス成長となった。家計消費・住宅投資・設備投資を合わせた国内最終民間需要は同-0.5%と内需が2四半期ぶりにマイナスの伸びに転化した。7-9月期の成長の落ち込みは、9月の台風21号、北海道胆振東部地震の影響と考えられる。10-12月期は反動による需要増加や復興需要で再び成長はプラスに転化すると見る。結果、2018暦年の成長率は前年比+1%前後と、当レポート個人予想にほぼ沿った結果に落ち着きそうだ。

20181118図1

[米国]

消費者物価指数(10月)は前月比+0.3%(前年比+2.5%)、同コア指数前月比+0.2%(前年比+2.1%)

10月の消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%(前年比+2.5%)、食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比+0.2%(前年比+2.1%)と、いずれも前年比+2%を超える伸び率を維持した。7月をピークにCPIインフレ率はやや低下傾向にあるが、需給のタイト化を反映してインフレ率は依然堅調に推移していると見たい。10月に雇用統計による時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者、季節調整済)の前年比上昇率が+3.2%に急伸しており、労働市場のタイト化がようやく賃金上昇率に反映され始めた。経済全体でも需給の引き締まりから今後インフレ率は2%前後で推移すると見る。FOMCが12月定例会合で+0.25%の利上げを決定するとの見方を支持する結果である。

20181118図2

企業在庫(9月)は前月比+0.3%、企業売上高同+0.4%、在庫売上高比率1.34倍

9月の企業在庫は前月比+0.3%と堅調な増加、3ヶ月前対比の増加幅は6月のそれを大きく上回った。7-9月期GDP統計において在庫投資が成長に大幅プラス寄与したことと整合している。

20181118図3

小売売上高(10月)は前月比+0.8%、除く自動車関連同+0.7%

10月の小売売上高は前月比+0.8%と強い伸び。もっとも過去分の下方改訂で8、9月はいずれも同マイナスの伸びとなった。7-9月期GDP統計(速報値)で前期比年率+4.0%と大幅な伸びとなった個人消費は今後下方改訂の可能性がある。自動車・ガソリン・レストランを除く売上高は+0.4%にとどまった。小売売上高全体の前年比の伸び率は+4.6%と、7月の同+6.5%をピークにやや低下傾向にある。月によりばらつきはあるものの、所得税減税の効果で個人消費は引き続き堅調と見たい。10-12月期のGDP統計上の個人消費はやや減速するものの前期比年率+2%台半ばの伸びを見込む。11月23日のブラックフライデーからクリスマス前日までのホリデー商戦売上高(自動車・ガソリン・レストランを除く小売売上高の11月、12月合計)は前年比+4%前後の伸びを個人的に見込む(前年は同+6.1%)。全米小売業連盟(NRF)は同+4.3-4.8%とやや強気の予想をしている(10月3日NRFプレスリリース)。

20181118図4

<経済指標コメント> 米9月消費者物価指数は前月比+0.1%(前年比+2.3%)

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[日本]

景気ウォッチャー調査(9月):現状判断DIは48.6(前月比-0.1ポイント)、先行き判断DIは51.3(同-0.1ポイント)

9月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは48.6(前月比-0.1ポイント)、2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは51.3(同-0.1ポイント)と、いずれも小幅低下した。9月の台風21号や北海道丹振東部地震にも関わらず、予想外に街角景気はほぼ横ばいにとどまった。景気判断理由として「北海道胆振東部地震の影響で外国人観光客及び近郊のイベント関連での宿泊客が激減(北海道観光型ホテル)」「月の前半は30度以上の暑い日が続き、後半は台風を含め雨天が多かったので、今月は来客自体がかなり少ない(南関東=一般レストラン)」など景気へのマイナス影響がみられた一方、「月初めに、台風に備えたまとめ買いによる売上高のプラス(東海=スーパー)」「災害の復旧に助成金が出るほか、年度内での完了といった条件もあるため、建築や設備などの特需は続く(近畿=経営コンサルタント)」といったプラス影響もあり、全体としては街角景気への影響は限定的だったことになる。家計消費や設備投資関連の実体経済指標も8月分まではおおむね好調で、7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+1%強との筆者個人予想より上ぶれる可能性が出てきた。

20181014図1

機械受注(8月、船舶・電力を除く民需)は前月比+6.8%(前年比+12.6%)

8月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+6.8%と2ヶ月連続で前月比増加、前年比でも+12.6%と2ヶ月連続で2桁の伸びとなった。8月までの7-9月期同受注は前期比+6.4%の高めの伸びのペースであり、GDP統計上の設備投資が年後半にもプラス成長を継続する可能性を示唆している。

20181014図2

[米国]

消費者物価指数(9月)は前月比+0.1%(前年比+2.3%)、同コア前月比+0.1%(前年比+2.2%)

9月の消費者物価指数(CPI)は前月比+0.1%(前年比+2.3%)、食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比+0.1%(前年比+2.2%)と、いずれも前月比の伸びが小幅にとどまり、前年比の伸びを低下させた。前月比ではエネルギー(同-0.5%)、中古車(同-3.0%)などが価格を2ヶ月連続で低下させた。もっともここ2ヶ月のCPIの前年比伸び率の低下は、昨年8、9月に大幅に上昇した同指数との比較によることが主因で、伸び率低下は想定の範囲内である。年末には総合CPIインフレ率、コアインフレ率ともに前年比+2%レベルに着地するとの見方に沿った動きである。見かけのインフレ率は低下したものの、FOMC金融政策への影響は限定的で、来年にかけFF金利誘導目標が3%以上に引き上げられるとの個人予想を維持する。

20181014図3


<経済指標コメント> 米9月非農業部門雇用者数は前月比+134千人

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[日本]

日銀短観(9月調査):大企業製造業業況判断DIは19(6月調査比-2ポイント)

日銀短観9月調査、大企業製造業業況判断DIは19(6月調査比-2ポイント)と3四半期連続の低下、大企業非製造業業況判断DIも22(同-2ポイント)と低下に転じた。昨年末に2006年以来の高水準にあった大企業製造業業況判断DIは今年に入り減速傾向がみられる。非製造業も堅調な水準から減速の兆しがみられる。トランプ政権による貿易戦争などによる不透明感がその背景と思われる。もっとも需要超過で過熱気味の日本経済環境からは、そろそろ企業景況感の転換があってもよい時期である。

20181007図1

実質家計消費(8月、二人以上の世帯)は前月比+3.5%(前年比+2.8%)

8月の実質家計消費(二人以上の世帯)は前月比+3.5%(前年比+2.8%)と予想外に急増した。7月の豪雨による消費減少の反動ともみられる。8月までの7-9月期実質家計消費は前期比+2.5%と4強い伸びのペースである。総消費動向指数(CTIマクロ)も前月比+0.3%と6ヶ月連続の上昇で、7-9月期GDP統計上の実質家計消費は、当レポート個人予想(前期比年率+1%レベル)よりも上ぶれる可能性が出てきた。9月には台風や地震の影響で再び消費が一時的に減速すると考えられるが、雇用増加と賃金上昇を背景として家計消費の基調は底堅いと見たい。

20181007図2

[米国]

新車販売台数(9月、乗用車及び軽トラック)は年率17.4百万台(前月比+4.5%)

9月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率17.4百万台(前月比+4.5%)と3ヶ月ぶりかつ大幅な増加。もっとも季節調整前の販売台数は9月に東海岸を襲ったハリケーン・フローレンスの影響で前月比、前年比ともに大幅減少となった。10月にはその反動で新車販売の再びの増加が期待できる。

20181007図3

雇用統計(9月):非農業部門雇用者数は前月比+134千人、失業率は3.7%

9月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+134千人と、昨年9月以来の低い伸びにとどまった。9月はハリケーン・フローレンスの影響による一時的な減速と見たい(昨年9月もハリケーン・イルマ、同ハーヴェイの影響で雇用増加が一時的に大幅減速した)。業種別には、小売業同-20.0千人、娯楽宿泊業同-17千人の減少が目立つ一方、建設業同+23千人、製造業同+18千人、専門ビジネスサービス業同+54千人などは堅調に雇用を増加させており、内容はまちまちである。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)は前年比+2.7%と前月の同+2.9%から伸びが減速した。家計調査による失業率は3.7%と実に1969年11月以来の低水準に低下した。労働参加率は62.7%と前月比横ばい。総じて短期的には、ハリケーン影響で雇用者数や時間当たり賃金の伸びは一時的に減速したものの、10月はその反動で再び加速すると見たい。労働市場の需給は極めてタイトであり、雇用増加に対して労働力人口の増加が追い付かない状況である。米経済のインフレ圧力が継続することを示唆する結果である。

20181007図4

<経済レポート> 緩和の終わりと引き締めの始まり:9月FOMC

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FOMCは9月25-26日の定例会合で、予想通りFF金利誘導目標レンジを+0.25%引き上げ2.00-2.25%とすることを決定した。FOMC委員経済予測では、2018年にFF金利は中立水準を超える3%台半ばにまで引き上げられることが示唆されている。米経済が今後需要超過になり、インフレ率が2%水準で推移するとの見方に整合的な内容である。来年にかけFF金利誘導目標が3%台に引き上げられるとの筆者の個人予想を維持する。

FOMCは+0.25%の利上げを決定した:来年の利上げ回数予測は不変

FRB連邦公開市場委員会(FOMC)は9月25-26日の定例会合で、予想通りFF金利誘導目標レンジを+0.25%引き上げ2.00-2.25%とすることを決定した([第1図])。会合後に公表された声明文では、従前の「金融政策のスタンスは緩和的であり続け、強い労働市場条件と2%インフレ率の持続的回帰を支持する」との文言が削除された。声明文のその他の文言は、前回8月1日声明文の文言とほぼ不変であった。「委員会は、FF金利誘導目標の漸進的な引き上げが、持続的経済拡大、強い労働市場条件、そして委員会の対照的な2%中期目標近辺のインフレ率と整合的であると予想する」との文言は存置された。

声明文と同時に公表されたFOMC委員の四半期経済予測では、2018年末の適正FF金利予測中央値は2.4%(2.25-2.50%レンジ)、2019年末のそれは3.1%(同3.00-3.25%)と前回6月予測と不変で、2018年内にあと1回、2019年内に3回の利上げを予測する内容となっている。2020年のFF金利予測中央値は3.4%(同3.25-3.50%)これも6月予測と不変で、2020年内にさらに1回の利上げ(同3.00-3.25%)を実施し、2021年までこの水準が維持されることが示唆されている([第1表])。

パウエルFRB議長は会合後の定例記者会見の冒頭発言で「“金融政策のスタンスは緩和的であり続ける”文言の削除は金融政策の工程の変更の証左ではなく、金融政策が我々の予想通りに進んでいることの証左である」「声明文の通り、我々は漸進的なFF金利誘導目標引き上げを依然予想しておりこの予想は委員予測に反映されている」とのべ、今後も段階的な利上げを継続していく意図を示唆した。

[第1図]
20180930図1

[第1表]
20180930表1

FOMCは2%インフレ持続、需給ギャップは需要超過を予測している

9月FOMCの結果は当レポート予想及び市場の期待とほぼ整合的で、特段のサプライズはなかったといえる。注目されていた2019年の利上げ回数の予測中央値も6月時点予測から不変であり、FOMCの今後の金融政策に対するスタンスが過去3ヶ月で大きくはシフトしていないことを示唆している。

9月時点のFOMC委員経済予測のポイントは以下である。まず実質GDP成長率の予測中央値を見ると、2018年に前年比(第4四半期前年同期比)+3.1%と減税効果などで大幅に拡大したのち、2019年に同+2.5%、2020年に同+2.0%と徐々に減速していくことが予測されている。一方長期的な均衡成長率(潜在成長率)は同+1.8%とされており、今後約2年にわたり米国経済が潜在成長率を上回る成長を継続することが予測されている。結果米経済の需給ギャップは大幅な需要超過になることが予測されていることになる。失業率についても同様で、長期均衡失業率と予測されている4.5%に対し、今後の失業率は2021年にかけ3.5~3.7%と自然失業率を大幅に下回って推移するとの予測中央値となっている。GDP成長率予測同様に、米経済(労働市場)が大幅な需要超過になることをこの予測中央値は示唆している。

PCEインフレ率の予測中央値は2020年にかけ前年比+2.0~2.1%と、おおむねFRBの目標値(長期均衡水準)に近いところで推移するとされている。これに対してFF金利の長期均衡水準の予測中央値+3.0%とされている。ここからは、FOMCの見る自然利子率がおおむね+1%であることが示唆されている。

FF金利は長期均衡水準以上に引き上げられる

かかる経済予測を前提に、FOMC委員予測中央値ではFF金利誘導目標が2019年以降、長期均衡水準である3%を超えて3.4%引き上げられるとされている。すなわち、インフレ率がほぼ均衡水準で推移、需給ギャップが需要超過で推移することから、適正な政策金利は長期均衡水準(インフレ率+自然利子率=2%+1%=3%)以上に引き上げられるのが適切との考え方である。

これらのFOMC委員予測の内容は、これまでの当レポートでの見方にも整合している。テイラー・ルール公式において適正なFF金利水準は、インフレ率実績と自然利子率の合計に需給ギャップとインフレギャップを加重平均して加味した水準として表される。インフレ率実績=2%、自然利子率=1%とした場合、需給均衡における適正FF金利は3%となる。需給ギャップがプラス(需要超過)である場合適正FF金利は3%よりも上方に位置することになる。テイラー・ルール(1993年版)において、自然利子率を1%とした場合の適正FF金利水準は、2018年1-3月期時点の需給ギャップとインフレ率実績をもとに計算すると+2%台後半と計算される。同じく成長とインフレに関する筆者の個人予想に基づく2018末時点での適正FF金利を計算すると+3%台半ばと推計される([第2図])。2018年後半にインフレ率が2%に上昇してインフレギャップが解消し、潜在成長率を上回る成長継続により需給ギャップが需要超過になることにより、適正FF金利水準が需給均衡における適正水準よりも上方にシフトするためである。2018年の成長加速により既に適正なFF金利水準は現状でも3%レベルにあるといえる。したがって少なくとも3%台半ばの水準に向かって段階的に利上げを継続するというスタンスは妥当と考えられる。

なお、2021年については、FOMC委員経済予測中央値は、成長率+1.8%、PCEインフレ率+2.1%と、成長とインフレがともに均衡レベルに回帰することとなっている。一方失業率予測中央値は3.7%と依然自然失業率4.5%を大幅に下回ることとなっている。つまり2021年において、米経済は需要超過状態のままプラスの需給ギャップ水準は横ばいで推移、またインフレ率は依然均衡水準で推移することとなる。プラスの需給ギャップが一定でインフレ率が一定のもとではFF金利は中立水準を上回るレベルで据え置かれることが適切であることがテイラー・ルール公式からも導かれる。FOMC委員の経済・インフレ予測と、2020年以降FF金利が横ばいで推移するとの予測は整合的である。

[第2図]
20180930図2

2019年に3%台に利上げとの個人予想を維持する

以上から、年内12月FOMC定例会合であと1回の利上げが決定され2019年にはFF金利誘導目標が3%台にまで引き上げられるとの個人予想を維持する。米経済は2018年4-6月期に前期比年率+4.2%の強い拡大を見せ、7-9月期も筆者予想を上回る+3%台の成長となる可能性が出てきている。PCEインフレ率は8月時点で前年比+2.2%と2%を超えて推移している。これらの直近の状況は、筆者個人予想及びFOMC委員の経済予測に沿った動きである。FRBの金融政策スタンスは、これまでの「緩和的」から「中立」へ、さらに来年には「引き締め」スタンスに段階的に移行していくと見る。

一方で、2020年以降の金融政策動向については不確実性があると言わざるを得ない。FOMC委員の経済予測は、今後米経済が2021年にかけて巡航速度の成長に回帰していくことを前提としているように見える。しかしながら、現実的には来年以降2021年にかけて米経済にはどちらかといえば下方のリスクがあると見ておきたい。

まず、中期的な景気循環の観点からは、2018年に需要超過に転化した経済がその後1~3年の間にサイクルの転換期を迎える可能性がある。次に、これまでトランプ政権への期待から上昇を続けてきた株価などのリスク資産価格はバリュエーション的に相当に割高になっている(9月末時点のS&P500の株価収益率は約25倍)。さらに期近なイベントとして、2018年11月には米議会中間選挙が予定されている。米議会下院において共和党が過半数を割り込む状況になった場合、トランプ政権への期待剥落から金融市場の反落の可能性もある。2年後以降の中期的な金融政策見通しについて、FOMC委員予測がこれらを完全に織り込んでいるとは考えにくい。2020年以降の金融政策スタンスについての委員予測はあくまで経済が均衡に回帰するとの前提におけるものに過ぎないと見るべきであろう。