<経済指標コメント> 米5月非農業部門雇用者数は前月比+138千人

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[日本]

実質家計消費支出(4月、二人以上の世帯)は前月比+0.5%(前年比-1.4%)

4月の実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比+0.5%と過去4ヶ月で3回目の前月比増加。3ヶ月移動平均は同+0.3%と3ヶ月連続で上昇した。前年比の伸びは-1.4%と依然マイナスが続いているが、短期的には家計消費に底入れの兆しもみられる。一方、勤労者世帯の実収入(実質ベース)は前年比-0.9%と2ヶ月連続のマイナスとなった。家計消費は依然低迷は続いているものの、失業率の低下や賃金上昇の可能性から、今後底入れが見込まれると見たい。

20170604b図1

完全失業率(4月)は2.8%

4月の完全失業率は2.8%と前月比横ばい、1994年6月以来の低水準を3ヶ月連続で維持した。筆者試算の労働力化率は60.4%と2ヶ月連続で上昇し、2016年12月以来の水準に回帰した。労働市場の拡大を伴う失業率低位安定が続いている。労働市場は依然タイトであり完全雇用状態にあるといえる一方、労働力人口の拡大がこれを緩和している。

20170604b図2

鉱工業生産指数(4月)は前月比+4.0%(前年比+5.7%)

4月の鉱工業生産指数は前月比+4.0%と前月の同-1.9%から反発、前年比では+5.7%と前月の同+3.5%から伸びが加速した。出荷指数は前月比+2.7%、在庫指数同+1.5%、在庫率指数同+2.9%と、生産、出荷、在庫積み増しのいずれもが増加する生産拡大を単月では示している。在庫循環図は在庫積み増し局面に入っており、生産拡大が当面継続することを示唆している。GDP統計上の設備投資の先行指標となる資本財出荷は前月比+5.5%と3ヶ月ぶりかつ大幅な増加。4-6月期にはGDP統計上の設備投資がプラス成長に回帰することを示唆している。公表元の経済産業省は「生産は持ち直しの動き」と従前の基調判断を維持している。企業部門の回復ペースは1-3月期に一時一服したが、4月以降再び堅調な拡大に戻りそうだ。

20170604b図3

住宅着工戸数(4月)は年率1004千戸(前月比+2.0%)

4月の住宅着工戸数は年率1004千戸(前月比+2.0%)と2ヶ月連続の増加、着工戸数は2015年6月以来の高水準となった。前年比でも+2.0%とプラスの伸びを維持しており、住宅着工戸数は減速しつつも増加基調にある。内訳は持家前月比+1.6%、貸家同-2.4%、分譲住宅同+9.9%と、分譲住宅が全体を押し上げているが、持家も堅調な増加を見せている。総じて住宅着工戸数は増加ペースに減速感はあるものの、依然高水準で推移しそうだ。

20170604b図4

[米国]

実質個人消費(4月)は前月比+0.2%、PCEデフレーター前年比+1.7%、同コア前年比+1.5%

4月の実質個人消費は前月比+0.2%と堅調な拡大。内訳は自動車販売の増加を反映した耐久財消費が同+1.1%の大幅増、非耐久財消費が同+0.5%と、財消費の増加が全体を押し上げた。サービス消費は同横ばい。なお、前月5月分が同+0.5%に大幅上方改訂され、1-3月期のGDP統計上の実質個人消費(改定値)は前期比年率+0.6%に上方改訂された。1-3月期の上方改訂により、4-6月期の実質個人消費は前期比年率+2%を超える拡大になる可能性が出てきており、これは筆者個人予想に対する上振れ要因である。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.2%(前年比+1.7%)、同コア指数は前月比+0.2%(前年比+1.5%)といずれも堅調、前年比の伸び率は総合PCE、コアPCEとも前月よりやや低下したものの、2017年末には総合、コアともに前年比+1.7%程度のインフレ率になるとの見方に沿った結果である。

20170604b図5

新車販売台数(5月、乗用車及び軽トラック)は年率16.58百万台(前月比-1.4%、前年比-3.1%)

5月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率16.58百万台(前月比-1.4%、前年比-3.1%)と、前月比で反落、また5ヶ月連続で前年同月の売上を下回った。昨年末の同18百万台台をピークに自動車販売台数にはやや頭打ち感があり、今後も増加ペースは緩やかにとどまると見る。

20170604b図6

雇用統計(5月):非農業部門雇用者数は前月比+138千人、失業率は4.3%

5月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+138千人にとどまった。また、3月分(同+79千人→+50千人)、4月分(同+211千人→174千人)もそれぞれ下方改訂され、非農業部門雇用者数前月比増加の3ヶ月移動平均は+120.7千人と、3ヶ月連続で低下かつ+200千人を下回った。5月の業種別内訳は、製造業同-1千人、小売業同-6.1千人などの雇用減少が目立つ。専門ビジネスサービス同+38千人、教育・医療同+47千人などは巡航速度の雇用増を維持している。非農業部門雇用者数増加幅はここ3ヶ月については期待を下回ったといわざるを得ない。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)は前年比+2.4%と前月並みの伸び率。一方、家計調査による失業率は4.3%(前月比-0.1%ポイント)と、実に2000年8月以来の水準に低下した。ただし、労働力人口、就業者数ともに前月比で減少しており、単月では労働市場の縮小を伴う失業率低下である。総じて雇用者数増加幅の減速は期待を下回ったが、前年比の非農業部門雇用者数の伸び率は+1.6%と、ほぼ今年に入ってからの巡航速度を維持しており、増加幅の縮小は中期的な循環的減速といえる。失業率は自然失業率(米議会予算局推計では4.7%)を-0.3%下回っており、労働市場は需要超過状態にあるといえる。今後も雇用増加ペースは循環的な減速局面で、中期的な個人消費の減速がつづきそうだ。一方で雇用市場の過熱や雇用の余剰などの証跡はなく、今後も雇用は堅調に拡大すると見る。PCEインフレ率の推移と合わせて、FOMCが6月FOMCで追加利上げを決定するとの個人予想は維持する。

20170604b図7

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<経済レポート> フル稼働状態:日本経済定点観測

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日本経済は家計消費と輸出増を背景に成長が加速している。今後年内はややペースを落として潜在成長率程度の成長を維持し、通年成長率は+1%程度になると個人予想する。日本経済は完全雇用状態にあり、マイナス需給ギャップもほぼ解消したフル稼働状態にあるといえる。もっともインフレ率2%の達成には構造的な政策が必要で、日本銀行は年内量的・質的緩和政策を現状維持すると見る。

家計消費が堅調に成長をけん引

5月18日に公表された1-3月期の日本の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率+2.2%と予想以上の拡大となった。結果日本経済は5四半期連続で潜在成長率(内閣府推計では同+0.8%)を超える成長となった。1-3月期の成長をけん引したのはまず家計消費である。GDP統計上の実質家計消費は同+1.4%と前期の同+0.1%から大幅に回復し、成長率を+0.8%押し上げた。総務省家計調査によれば、4月に入っても実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比+0.5%とまずまずのスタートとなっている([第1図])。

今後も年内の個人消費は前期比年率+0.5%程度の安定した拡大を続けると見る。中期的に見ると個人消費は、2014年4月の消費税率引上げ以後現在までの3年間ほぼ一貫して前年比マイナスの伸びが続いており、低迷が続いていると言わざるを得ない。しかし今後については徐々に持ち直しが期待できる兆候がみられる。現金給与総額(所定内給与)は名目ベースで概ね前年比+0.3~0.4%の伸びを維持している([第2図])。失業率と名目賃金の関係を示すシンプルなフィリップス曲線によれば、4月現在の失業率(2.8%)に相当する賃金上昇率は前年比+1.2%と推計される([第3図])。今後も現在の低失業率が継続すれば、賃金上昇ペースは加速する可能性がある。インフレ率は2017年末にかけて前年比約+0.7%程度の上昇にとどまると見ることから、実質ベースでの家計消費の約+0.5%程度の成長維持が理論上は可能ということになる。

労働市場と家計消費を取り巻く環境は一進一退ではあるものの、今後の悪化が見込まれる状況ではない。労働市場はほぼ完全雇用状態にあり、人手不足がますます明かになっている。社会的には、同一労働・同一賃金など賃金格差是正の動きが広がっている。企業のベースアップも引き続き期待できる。街角景気を表す内閣府の景気ウォッチャー調査は横ばいを示す50ポイントをやや割り込む水準にあるが、昨年春以降はほぼ一貫して上昇基調が続いている。

[第1図]
20170604図1

[第2図]
20170604図2

[第3図]
20170604図3

企業部門の回復は一服感

企業部門は昨年来の回復基調にやや一服感がみられる。資本財出荷は1-3月期に4四半期ぶりに前期比減少し、1-3月期のGDP統計上の実質設備投資は前期比年率+0.1%の伸びにとどまった([第4図])。しかし前年比の伸び率は+3.2%と2四半期連続で伸びを加速させている。企業部門の回復の背景には、海外景気回復による輸出増加と在庫調整の終了がある。在庫循環図は在庫積み増し局面に入りつつあり、今後企業の生産が増加して設備投資が堅調に拡大する可能性を示唆している([第5図])。設備投資は今後も年内に前期比年率+2~3%の成長を維持すると見る。日銀短観3月調査によれば、2017年度の設備投資計画(除く土地投資額)は前年度比+3.1%と、2016年度の修正計画同-1.5%からプラスに転じている。企業部門は回復しているものの、今後の見通しについては、地政学リスクや欧米政治などに不確実性が高く、為替相場変動も見通しが立てにくい状態にある。その為、設備投資はプラス成長を維持するもののその拡大ペースは緩やかなものにとどまると見ておきたい。

財・サービス収支は、2016年度に輸出の大幅な拡大により成長にプラス寄与した([第6図])。海外景気の回復がその主な背景といえる。今後も輸出は堅調に拡大して、純輸出が成長にプラスの寄与を続けると見る。しかしながら一方で昨年11月の米大統領選以降急激に進んだ円安が、1月をピークに円高方向に転じていることは、輸出に対する下方リスク要因である。

以上から、今後年度内において実質GDP成長率は潜在成長率に近い+0.8%程度の成長を維持すると見る。1-3月期の成長加速は、家計消費と純輸出がけん引したが、在庫投資も+0.5%の寄与度を占めている。家計消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は前期比年率+1.4%と+1%台の成長である。4-6月期以降は家計消費が減速することを勘案すれば、持続可能な成長ペースは同+1%弱とみるのが妥当であろう。結果2017暦年成長率は前年比+1.3%、2017年度成長率は前年度比+1.1%と個人予想する。これらは、1月時点の当レポートでの個人予想比若干の上方修正となる(1月15日付当レポート参照)。上方修正の主要因は、主に1-3月期の成長実績が予想を上回ったことである。

[第4図]
20170604図4

[第5図]
20170604図5

[第6図]
20170604図6

経済は完全雇用でフル稼働状態

マクロ的に見ると、現在の日本経済はほぼその供給力一杯の状態で稼働しているといえる。コアインフレ率(生鮮食品を除く総合消費者物価指数)の変化と失業率実績との関係からの筆者個人の推計によれば、2017年1-3月期時点の自然失業率は約3.6%となる。現在の失業率2.8%はこれを-0.8%も下回る水準であり、労働市場は完全雇用から需要超過にあるといえる([第7図])。内閣府の推計する潜在GDPと潜在成長率をもとにした試算では、日本のGDPギャップは1-3月期時点で-0.1%とマイナス需給ギャップがほぼ解消した計算になる。今後年内に日本経済が潜在成長率(内閣府推計では+0.8%)を維持すれば、日本の需給はほぼ均衡した状態で推移することになる([第8図])。

しかしながら、マイナスの需給ギャップの解消だけではインフレ率の急上昇は見込みにくい。需給ギャップとインフレ率との相関からは、需給ギャップ0%に相当するコアインフレ率は前年比約+0.4%と計算される([第9図])。これまでの消費者物価指数の推移からは実際には2017年末にコアインフレ率は同+0.7%程度には上昇すると個人的には見ている。しかし日本銀行の目標とする2%インフレ率の実現には+5%を超える大幅な供給超過が必要になる計算になる。これは現実的には考えにくい数字であり、2%インフレ達成のためには、労働市場の流動化によるフィリップス曲線の上方シフト政策などが必要である状況は従前と変わらない。

もっとも、需給ギャップとインフレ率の関係を示す曲線の形状からは、需要超過状態になるとインフレ率の上昇ペースが加速する傾向が見て取れる。今後仮に日本が潜在成長率を超えるペースで拡大を継続すれば、需給ギャップが2%程度の需要超過になったところで2%インフレ率を実現する蓋然性はあるといえる。ちなみに、日本経済は金融危機直前の2007年頃に+1%半ばの供給超過状態にあり、そのごややラグを置いて2008年には一時的に2%台のインフレ率を実現したことがある。

[第7図]
20170604図7

[第8図]
20170604図8

[第9図]
20170604図9

金融政策は現状維持と見る

日本銀行の金融政策については、年内は現状の金融政策すなわち「長短金利操作付き量的・質的緩和」を維持すると見る。日銀当座預金の政策金利残高への-0.1%のマイナス金利付利、10年物日本国債金利をゼロ%程度への誘導という操作目標も、おそらく年内は維持されるだろう。上記の通り成長率は潜在成長率を超え、インフレ率も名目上は今後プラス圏を維持して上昇していくと筆者個人は見ている。この予想の下では、追加的な金融緩和を正当化する材料は見当たらない。一方で日銀の「オーバーシュート型コミットメント」では「マネタリーベースを消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続する」(2016年9月21日付日本銀行公表文)とされており、+0.7%程度のインフレ率では量的・質的緩和の出口戦略を議論するには時期尚早といえるだろう。

なお、4月27日の日銀「経済・物価情勢の展望」(「展望レポート」)での「政策委員の大勢見通し」によれば、2017年度の実質GDP成長率見通しの中央値は前年比+1.6%、コアインフレ率見通しの中央値は前年度比+1.6%となっている。これらの見通しは筆者個人の予想にくらべていずれもかなり強気といえる。

上記の個人予想に対するリスクはやや下方と見ておきたい。個人消費については賃金上昇率の加速には常に下方リスクがつきまとう。輸出においては、円高の進行が下方リスクとなる。そのほかに、北朝鮮情勢や米国政治など、日本経済に直接影響を与えうる政治的・地政学的要因にも留意する必要がある。

なお、現状での筆者個人の経済・金融予想を[第1表]に示す。

[第1表]
20170604表1

<経済指標コメント> 米4月中古住宅販売戸数は年率5570千戸(前月比-2.3%)

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[日本]

全国消費者物価指数(4月、生鮮食品を除く総合)は前月比横ばい(前年比+0.3%)

4月の全国消費者物価指数、生鮮食品を除く総合指数(いわゆるコアCPI)は3ヶ月連続となる前月比横ばい、しかし前年比では+0.3%と4ヶ月連続でプラスの伸びを維持した。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(いわゆる新コアコアCPI)は前月比+0.1%、前年比横ばい。コアCPIの前年比伸び率にはエネルギー(前年比+3.9%)の上昇が寄与し、インフレ率を同+0.32%押し上げている。原油価格が今後安定推移すれば、年末にはコアCPI、新コアコアCPIインフレ率ともに前年比+1%程度に上昇する計算になる。しかし、エネルギー価格に左右されない新コアコアCPIインフレ率の低下はやや気になるほか、インフレ率の上昇ペースはこれまでの当レポートの見方を下回っていると言わざるを得ない。

20170528図1

[米国]

新築住宅販売戸数(4月)は年率569千戸(前月比-11.4%)、在庫期間は5.7ヶ月

4月の新築住宅販売戸数は年率569千戸(前月比-11.4%)と4ヶ月ぶりかつ大幅な減少。6ヶ月移動平均は590.7千戸(同-0.2%)とわずかに下向きに転じた。販売在庫は268千戸(同+1.5%)と増加を続け、結果在庫期間は5.7ヶ月と2014年11月以来の水準に長期化した。新築住宅販売戸数は月次の振れが大きく、6ヶ月移動平均のわずかな下降は販売市場の著変を表すものとは言いにくい。しかし中古住宅販売と合わせ住宅販売戸数増加ペースが今年に入り徐々に減速していることには留意しておきたい。

20170528図2

中古住宅販売戸数(4月)は年率5570千戸(前月比-2.3%)、在庫期間は4.2ヶ月

4月の中古住宅販売戸数は年率5570千戸(前月比-2.3%)と反落、3ヶ月移動平均は同5580千戸(同-0.7%)と下降に転じている。販売在庫は1930千戸(同+7.2%)と大幅増加し、結果在庫期間は4.2ヶ月と、依然タイトながら昨年10月以来の水準にまで長期化した。中央販売価格は前年比+6.0%と、高めの上昇率ながら2ヶ月連続で伸び率を低下させた。総じて中古住宅販売市場はまだタイトな需給にあるが、販売の減速で需給はやや緩和されつつある。公表元の全米不動産業協会(NAR)はプレスリリースで「3月の強い販売増からは4月の減少は予想されていた」「需要が供給を上回っていることで、消費者が購入物件を探せない状態」と述べており、販売減速はあくまで供給要因と見ている模様だ。

20170528図3

耐久財受注(4月)は前月比-0.7%、除く運輸関連同-0.4%、非国防資本財受注(除く航空機)同横ばい、同出荷同-0.1%

4月の耐久財受注は前月比-0.7%、除く運輸関連は同-0.4%。設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(除く航空機)は同横ばい。GDP統計の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同-0.1%。1-3月期のGDP統計で前期比年率+7.2%と大幅に回復した機器投資だが、4月は受注、出荷ともにやや一服感がある。海外景気の回復と在庫調整の終了で回復した設備投資だが、設備稼働率がまだ低位であることもあり、今後の拡大ペースは緩やかにとどまりそうだ。

20170528図4

実質GDP成長率(1-3月期、改定値)は前期比年率+1.2%

1-3月期の実質GDP成長率(改定値)は前期比年率+1.2%と、速報値の同+0.7%から上方改訂された。需要項目別内訳は個人消費同+0.6%(速報値同+0.3%)、設備投資同+11.4%(同+9.4%)、住宅投資同+13.8%(同+13.7%)、政府支出同-1.1%(同-1.7%)、在庫投資寄与度同-1.07%(同-0.93%)、純輸出寄与度同+0.13%(同+0.07%)。個人消費と設備投資の上方改訂が主因である。今後の米経済見通しへの影響はさほど大きくはなく、2017年通年の成長率は引き続き前年比+2%程度を見込む。

20170528図5



<経済指標コメント> 日本の1-3月期実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率+2.2%

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[日本]

機械受注(3月、船舶・電力を除く民需)は前月比+1.4%(前年比-0.7%)

3月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+1.4%と2ヶ月連続の前月比増加、しかし前年比では-0.7%とマイナスの伸びになった。前年比伸び率の3ヶ月移動平均は-2.3%と8ヶ月ぶりにマイナスの伸びに転化した。回復基調にあった企業部門にやや減速の兆しがみられる。

20170522図1

実質GDP成長率(1-3月期、1次速報値)は前期比年率+2.2%

1-3月期の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率+2.2%と2四半期連続で加速、2016年1-3月期以来の2%成長に回帰した。結果、2017年度の成長率は前年度比+1.3%となり、前年度と同じ成長率を維持した(2016暦年成長率は前年比+1.0%)。1-3月期の需要項目別内訳は、家計消費同+1.4%、住宅投資同+3.0%、設備投資同+0.9%、公的需要同+0.4%、在庫投資寄与度同+0.5%、純輸出寄与度同+0.5%。すべての需要項目が成長にプラス寄与するバランス良い成長となった。家計調査による家計消費支出の増加からGDP統計上の家計消費の加速は順当なところ。住宅投資のプラス成長も住宅着工戸数の増加と整合しており、在庫積み増しの加速で在庫投資もプラス寄与となった。1-3月期の資本財出荷は前期比マイナスの伸びだったが、GDP統計上の設備投資はわずかながら2四半期連続でプラス成長となった。1-3月期の成長率は筆者個人の予想をやや上回るペースである。現在のところ、2017暦年成長率は前年比+1%前半、2017年度成長率は前年度比+1%程度となり、いずれも潜在成長率を上回る拡大が維持できる計算になる。

20170522図2

[米国]

住宅着工戸数(4月)は年率1172千戸(前月比-2.6%)、着工許可件数は同1229千戸(同-2.5%)

4月の住宅着工戸数は年率1172千戸(前月比-2.6%)と2ヶ月連続の減少、住宅着工許可件数も同1229千戸(同-2.5%)と反落した。着工戸数の6ヶ月移動平均は同1219.3千戸、許可件数は同1254.8千戸といずれも低下に転じているが、着工許可件数のそれは着工戸数を上回っており、今後着工が再び増加に転じる可能性を示唆している。

20170522図3

鉱工業生産指数(4月)は前月比+1.0%、設備稼働率は76.7%

4月の鉱工業生産指数は前月比+1.0%と3ヶ月連続の上昇。内訳は、製造業同+1.0%、鉱業同+1.2%、公益事業同+0.7%とすべての業種で指数が上昇した。鉱工業生産指数の前年比の伸び率は昨年12月以来概ねプラスの伸びを保って上昇しており、企業部門の生産が回復期にあることを示唆している。設備稼働率は76.7%(前月比+0.6%ポイント)と2ヶ月連続上昇。ただしその水準は、1972-2016年平均の79.9%を依然大きく下回っており、鉱工業設備の余剰はまだ相応に存在しているといえる。

20170522図4

<経済レポート> 経済は平時に回帰:米経済定点観測

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米経済成長率は1-3月期に一時的に低下したが、今後は再び+2%台の成長に回帰すると見る。個人消費は中期的な減速に入っているが潜在成長率を超える成長には十分な雇用の伸びがある。企業収益や景況観も回復した。インフレ率は今後もFRBの目標である2%近辺で推移すると見る。FRBの金融政策については、従前の個人予想を上方修正し、実施済の3月利上げを含め年内合計4回(+1.00%)の利上げが決定されると今や個人予想する。

今後2%台に回復を見込む:消費は中期的に減速へ

米実質GDP成長率は1-3月期に前期比年率+0.7%(速報値)に減速した。主因は個人消費の同+0.3%への減速と、在庫積み上げペース減速による成長へのマイナス寄与(寄与度同-0.93%)であった。しかし、個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は同+2.2%と、前期の同3%台から減速はしたものの2%台の成長を維持している。1-3月期の成長減速は個人消費の一時的軟化と在庫要因による一時的なものと見たい。本レポートでは各経済指標を基に、4月以降の米経済成長予想を点検していく。

個人消費のベースとなる個人の購買力の伸びは減速を続けている。非農業部門雇用者数の伸び率は1-3月期時点で前年比約+1.6%と、1年前の同+1.8%、2年前の同+2.2%から減速が続いている。これは、失業率が自然失業率に接近したことに伴う中期循環的な減速といえる。現在の非農業部門雇用者数は約146百万人であるから、年率2%の雇用増を達成するには月間+243千人の雇用増が必要になる計算で、月間+200千人の雇用増では2%の雇用増加ペースを実現できないことになる。また、インフレ率を差し引いた実質ベースの時間当たり賃金は、インフレ率の上昇により今年の1、2月に一時前年比マイナスの伸びに転化した。結果、雇用者数、実質賃金、週平均労働時間の伸びを合わせた実質購買力の伸びは1月時点で前年比+1.2%と2013年以来の低い伸びに低下した([第1図])。

今後雇用が前年比+1.6%、インフレ率が同+1.7%程度で推移するとした場合、実質ベースで+2%の購買力の伸びを確保するためには、名目時間当たり賃金が同+2.1%上昇すれば足りる。名目時間当たり賃金の伸び率は想定以上に低位ではあるが、4月時点で同+2.3%は確保している。ここからは、今後も個人消費は前年比+2%の成長は十分に可能である。4月までの小売売上高統計なども勘案し、4-6月期以降のGDP統計上の個人消費は前期比年率+1.8%の成長を継続すると見る([第2図])。

[第1図]
20170521図1

[第2図]
20170521図2

設備投資は大幅に回復した

1-3月期には設備投資が個人消費に代わり回復を見せた。1-3月期のGDP統計上の設備投資は前期比年率+9.4%と、13四半期ぶりの強い伸びとなった。うち機器投資は同+9.1%と2四半期連続のプラス成長で、それまでの4四半期連続のマイナス成長から脱却した。この背景には、企業の在庫調整の終了、海外景気の回復による輸出財の生産回復があると考えられる。企業設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機を除く)は1-3月期に前期比年率+6.0%と前期比伸びが加速、かつ2四半期連続のプラスの伸びとなっており、4月以降の設備投資もこの増加基調を維持できることを示唆している。

株価上昇、海外景気の回復で、企業収益も回復している。2016年10-12月期企業収益(在庫評価及び資本減耗調整後)は前年比+9.3%と2四半期連続プラスの伸びかつ2012年7-9月期以来の高い伸び率に回復した。内訳は、国内金融機関同+21.0%、国内非金融機関同+3.0%、海外部門同+14.5%と、金融機関と海外部門の回復が目立つ。これに伴い、設備投資の源泉となる企業ネットキャッシュフローも10-12月期には同+10.9%と2四半期連続のプラスの伸びに回復した。企業景況観も不悪である。ISM製造業指数はトランプ米大統領当選後上昇基調にあり、4月時点で54.8%と8ヶ月連続で景気判断の分かれ目を示す50%を超えている。フィラデルフィア連銀製造業景況感調査における設備投資DI(6ヶ月先)は4月時点で36.5ポイントと、昨年後半以降上昇ペースの加速が著しい([第3図])。こうした背景から、GDP統計上の企業設備投資は4-6月期以降もプラス成長を継続できると見る。

もっとも企業部門の回復ペースは緩やかなものにとどまり、今後は前期比年率1桁の伸びになりそうだ。鉱工業設備稼働率は3月時点で76.1%と、1972-2016年平均の79.9%に比べ依然低水準にある。

[第3図]
20170521図3

住宅は今後も堅調に、輸出は拡大へ

住宅市場の需給は依然タイトであり、今後も住宅投資は堅調に増加して成長にプラス寄与を続けると見る。GDP統計上の住宅投資は1-3月期に前期比年率+13.7%の強い拡大だった。住宅販売市場では、中古住宅販売の在庫期間が3.8ヶ月と、極めてタイトな需給になっている。全米住宅建設業協会(NAHB)の住宅市場指数は5月時点で70ポイントと、実に2005年7月以来の高水準にある([第4図])。4月時点の住宅着工許可件数の6ヶ月移動平均は年率1254.8千戸と、住宅着工件数のそれ(同1219.3千戸)を上回っており、今後も住宅着工件数が堅調に増加することを示唆している。GDP統計上の住宅投資は4-6月期以降も前期比年率約+8%程度の拡大継続を見込む。

企業在庫は、現在在庫循環図が在庫積み上げ局面にあることから、今後年内は成長にプラスの寄与を続けると見る([第5図])。企業の在庫売上高比率は3月時点で1.35倍と、2014年末以来の低水準にまで低下しており、昨年初からの在庫調整が一巡したことを示唆している。純輸出は今後年内成長にプラスの寄与をすると見る。財・サービス収支は米ドル高にも関わらず強い拡大を続けている([第6図])。財輸出の拡大ペースは現状輸入の増加ペースを上回っている。内需が徐々に減速するのに対して、欧州他海外景気の回復ペースは速く、今後はわずかながら貿易収支赤字は縮小の方向にあると見たい。

以上から、4-6月期以降も米経済は前期比年率+2%台半ばも成長を継続し、2017年通年成長率は前年比約+2%と個人予想する。この予想は、1月時点の個人予想(1月9日付当レポート参照)であった同+2.4%からは若干の下方修正となる。これは主に1-3月期の成長率の予想比下振れを背景とするものであり、米経済に対する見通しの大きな変更を伴うものではない。

[第4図]
20170521図4

[第5図]
20170521図5

[第6図]
20170521図6

FOMC利上げ個人予想を上方修正する:政治的なリスクは継続

インフレ率は今後、FRBの目標である2%に近いかややそれを下回る水準での推移を個人予想する。失業率とインフレ率の関係を示すシンプルなフィリップス曲線によれば、現在の失業率4.4%は、コア個人消費支出価格指数(コアPCEデフレーター)の前年比約+1.9%のインフレ率に相当する([第7図])。現在のコアPCEインフレ率は3月現在で同+1.6%と、フィリップス曲線による推計値をやや下回っているものの概ね近い水準である。インフレ率が失業率に対して相対的に低めである背景として、一般的なインフレの失業率に対する遅行性に加え、賃金上昇ペースが低位にとどまっていることがあげられる。しかしながら、今後原油価格が安定推移した場合、PCEインフレ率、コアPCEインフレ率はいずれも、2017年末に前年比+1.7%程度に着地する見込みである([第8図])。また、賃金上昇率、インフレ率ともに、失業率が自然失業率(米議会予算局推計では4.7%)を下回ったところから上昇ペースが加速することは十分に考えられる。非農業部門雇用者数は今後も前月比+150千人~+200千人ペースの増加を続け、失業率は自然失業率を下回る水準を維持すると見る。

FRBの金融政策については、上記の通りインフレ率が政策目標の2%近辺で推移し、失業率が自然失業率を下回るとの見通しのもと、3月に実施された利上げを含め年内に4回、合計+1.0%の利上げが決定される(2017年末のFF金利誘目標レンジは1.50-1.75%)と個人予想する。今後の利上げ決定は6月、9月、12月のFRB連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合においてなされると見る。これは1月時点の筆者個人予想に比べ、年内利上げペースを3回から4回に上方修正したことになる。1-3月期の実質GDP成長率下振れにも関わらず、テイラー・ルールによれば、2017年末の適正FF金利は約2.2%と推計される(5月5日付当レポート参照)。市場へのショックを緩和するために金融緩和政策の解除を漸進的に実施するとのFOMCスタンスの下でも、年内合計+1%の利上げは十分に正当化しうること、雇用市場とインフレ率がほぼFOMCの見通しに沿って推移していることが個人予想上方修正の背景である。

上記の予想に対するリスク要因は、主に政治要因となる。当レポートでは、トランプ米大統領の経済政策を潜在的に経済に対する上振れ要因と見てきた。しかしながら、就任100日以上を経ても、トランプ氏の経済政策が具体化される見込みは立っていない。3月16日に公表された大統領予算教書(ブループリント)、4月26日に公表された「経済成長と米国雇用のための2017年税制改革」はいずれも従前からのトランプ氏の公約の概要にすぎず、具体的な政策の数値化や行程が示されていない。トランプ大統領の経済・財政政策が実現した場合でも、成長への効果を発揮は2018年以降とならざるを得ない。成長見通しへの上方リスク要因は徐々に縮小しているといえる。オバマケア代替法案は3月にいったん採決を断念したのち5月4日に米議会下院で可決された。しかし、上院での成立の目途はまだ立たず、トランプ氏の政策遂行にはまだ不確定要素が多い。さらに、米司法省は17日、ロシアが昨年の米大統領選に影響を及ぼしたとされる疑惑につき、米連邦捜査局(FBI)捜査を監督する特別検察官にロバート・ミュラー元FBI長官を任命すると公表した。これは、トランプ政権維持そのものにすら影響を与えかねない下方リスク要因である。

[第7図]
20170521図7

[第8図]
20170521図8