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出口を探して~1月FOMC議事要旨

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1月分FOMCの議事要旨からは、量的緩和終了時期の前倒しを主張する委員が増加していたことが読み取れる。全体に前回12月会合よりややタカ派な内容だったと見たい。量的緩和終了時期は早くて2014年前半、ゼロ金利解除時期は2015年頃と見る。

QE終期をめぐる議論が活発化

1月30日のFOMCでは、毎月400億ドルのMBS購入と毎月450億ドルの長期米国債の購入による量的緩和政策(いわゆるQE4)の継続が決定されていた。20日に公表された議事要旨には量的緩和の効果と期間などについて前回以上に様々な意見がみられる。主なタカ派意見、ハト派意見は以下の通りである(「数人several」「多く a number of」「多数many」による意見)。

【タカ派意見】
「数人の参加者は、潜在的な過度なリスクテイキングと、金融安定に対する悪影響を懸念した」
「多数の参加者は、更なる資産購入からくる潜在的なコストとリスクにいくらかの懸念を示した」
「数人の参加者は、追加的な資産購入が最終的な緩和政策解除を複雑にすると述べた」
「数人の参加者は、極めて大規模な長期資産ポートフォリオは…FRBに著しい損失をもたらしうると述べた」
「数人の参加者は、経済見通しの変化に応じて、あるいは資産購入の効果とコストの評価の変動に応じて、委員会は資産購入のペースを変える準備をするべきだと強調した」
「多くの参加者は、資産購入の効果・コスト・リスクについて継続中の評価の結果委員会は労働市場の見通しの本質的な改善があったと判断する前に資産購入を減速もしくは終了させることに十分になりうると述べた」

【ハト派発言】
「数人の参加者は、高失業率の経済社会的コストを強調した」
「多くの参加者は、委員会の出口原則での想定よりも長期間証券を保有することによる金融緩和を、資産購入と補完的または代替として行う可能性を論じた」
(他に、「2-3人a couple of」「いくらかsome」 「何人かa few」によるハト派意見あり)

量的拡大の副作用を認識:前回よりタカ派な内容と見る

全体的には、資産購入による量的緩和のリスク・コスト・期間についてはタカ派意見がやや優勢だった模様である。特に「多くのa number of」参加者が「労働市場見通しの著しい改善」以前に資産購入を終了する可能性を論じたことは注目に値する。前回12月会合の議事要旨では「数人のseveral」メンバーが「2013年末以前に(資産)購入を減速または終了することが適切と」述べたとされていたが、今回は資産購入の早期終了を論じる委員の数が前回より増えたことになる。

1月会合議事要旨の意見には「2013年末以前」のような終了時期の明示は見られない。しかし、現在FRBは声明文で量的緩和を「労働市場の見通しが本質的に改善しないかぎり」継続すると明言している。1月会合の議論は、この条件を緩和して労働市場見通しの本質的改善以前に量的緩和解除に踏み切る可能性を示唆したものとして、重要な転換の契機となる可能性がある。1月会合の議事要旨は12月会合よりややタカ派色が強まったと見たい。

資産購入終了時期の議論が大きくなったのは、資産購入による長期金利抑制などの効果に対して、資産購入によるリスクをより明瞭に認識しはじめたためだろう。今回決定に反対したカンサスシティ連銀ジョージ総裁は①長期的なインフレ期待の上昇リスクを明言した(同総裁は1月会合より投票メンバー、なお12月まで投票メンバーだったリッチモンド連銀ラッカー総裁もインフレリスクを理由の一つとして量的緩和に反対していた)。議事要旨ではさらに資産購入のリスクとして②過度なリスクテイクを助長する、③大規模なFRBのポートフォリオがFRBに損失をもたらす、④緩和解除を困難にする、という懸念が挙げられている。こうした資産購入のリスクがメリットを上回ると判断されるようになった場合には、量的緩和の早期終了もありえよう。

資産購入終了は早くて2014年前半、ゼロ金利解除は2015年頃とみる

前回12月議事要旨では数人の委員が2013年末を資産購入終了目途として提示していた。しかし、2013年は今後も連邦政府の自動歳出削減発動や連邦政府債務上限問題などのリスクがあり、これらが顕現した場合経済成長が1%台前半にまで抑制される可能性がある。従って2013年中には米国経済のマイナスの需給ギャップが大幅縮小する可能性は低く、したがって失業率も大幅低下は望めないだろう。一方で、非農業部門雇用者数は毎月200千人程度のペースで今後も増加する可能性が高い。そうすると、雇用増加の継続と失業率低下の双方が再び確認できるのは2014年になってからということになる。労働市場の改善がある程度見える時期として資産購入終了が前倒しされた場合でもその実施は2014年前半頃となりそうだ。

一方ゼロ金利政策解除は、FOMC委員の多数が予測しているとおり(2012年12月FOMC時点での委員の経済予測)2015年頃になりそうだ。現在FOMCはゼロ金利政策について「フェデラルファンドレートのこの例外的な低いレンジは少なくとも失業率は6.5%を上回っている限り」適切だとしている。筆者の試算によれば、今後米国経済が毎四半期3%成長をつづけたとしても、失業率が6.5%になるのは2015年の事になる(GDPギャップと失業率の相関による筆者試算)。

なお1月会合から、輪番制の地区連銀総裁投票メンバーが交代している。ハト派ではサンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁が投票メンバーからはずれ、シカゴ連銀エバンス総裁、ボストン連銀ローゼングレン総裁がメンバーとなった。タカ派ではリッチモンド連銀ラッカー総裁がはずれカンサスシティ連銀ジョージ総裁がメンバーとなった。全体のハト・タカ分布は昨年にくらべややハト派が増えていることになる。それでもなお「多くの」参加者が量的緩和の副作用を認識してその終了時期を論じはじめた。量的緩和の出口探しのための判断基準(メリットとデメリット)がFOMC内でも徐々に明らかになってきたといえる。

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