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リセッションは終わり~日本成長予想を引上げ

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筆者個人の今年の日本の成長率予想を+0.8%から+1.3%に上方修正する。主に昨年分統計の上方改訂を受けたもので、今年の成長要因の見方に大きな修正はない。金融追加緩和の可能性が高まり景況感の好転が続く一方で、企業部門の生産は再び低下に転じる可能性が高いと見る。ただし予想以上の株価上昇と円安進行がさらに続けば上方リスク要因となる。

リセッションは終わっていた: 10-12月期統計はプラスに改訂

今月8日に公表された日本のGDP統計(2次速報)では、2012年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.2%のプラス成長に上方改訂された(1次速報値は同-0.4%のマイナス成長)。国内民間需要項目のうちの家計消費支出と民間企業設備、さらに公的需要も上方改訂され、結果需要項目がほぼまんべんなく上方改訂された。なお、2012年通年の成長率は前年比+2.0%となった。

これにより、過去5年間で3回目のテクニカルリセッション(2四半期以上連続するマイナス成長)は昨年4-6月期と7-9月期の2四半期で終了していたことが判明した。金融危機直前の08年4-6月期からのマイナス成長は4四半期、東日本大震災直前の10年10-12月期からのマイナス成長は3四半期続いたが、欧州財政問題を主な外部契機とする今回の事実上のリセッションは浅く短期間で終了したことになる([第1図]参照)。

[第1図]
20130317図1


今年の成長率予想を1.3%に上方修正する

筆者は昨年10-12月期の成長率が大幅なマイナス成長になることを前提に、今年の通年(2013暦年)実質GDP成長率を前年比+0.8%と予想した(1月20日付当レポート参照)。今回のGDP統計の上方改訂で、通年成長率が1月時点予想比約+0.5%押し上げられる計算になる。これに伴い、筆者個人の日本の2013年実質GDP成長率予想を、前年比+1.3%に上方修正する。

景気の先行指標は改善していて、今後も経済成長がプラスを維持できることを示唆している。内閣府の2月景気ウォッチャー調査では、現状判断DI、先行き判断DIがいずれも4ヶ月連続の上昇となり、かついずれもが横ばいを示す50ポイントを上回っている([第2図]参照)。同じく景気先行指数も12月に+1.4ポイント上昇のあと1月(速報)でも+3.1ポイントの大幅上昇を見せた。指数を押し上げた指標の構成も、株価や消費者態度指数のみならず在庫や求人など実体経済を反映する指標に広がっている。

[第2図]
20130317図2


家計消費は好調: 雇用と賃金が追い風になる

家計消費の好調さはほぼ予想通りである。家計最終消費支出は10-12月期に前期比年率+1.9%の伸びとなり、3四半期ぶりのプラス成長に回復して実質GDPを年率+1.2%押し上げた。

今年に入ってもそのペースは保たれている。内閣府の1月消費総合指数は前月比+0.5%と強めの上昇となる107.0ポイントだった。2月、3月の同指数を前月比横ばいとしても1-3月期の同指数は前期比年率+2.5%の伸びになる計算である([第3図]参照)。この伸びは昨年10-12月期の同+2.1%から加速する結果になる。2月に入っても消費者センチメントが良好だ。2月の内閣府消費者態度指数は2ヶ月連続の上昇となる前月比+1.0ポイント上昇した。

これらの指標は、1-3月期には家計最終消費支出の伸びが前期より加速する可能性が高いことを示唆している。

家計最終消費の好調な伸びは年を通じたものになりそうだ。家計消費を後押しする要因としては雇用環境の底入れの兆しがある。総務省の1月労働力調査によれば、1月の就業者数は前年同月比170千人の増加で、過去4ヶ月中2ヶ月で増加している。また厚生労働省公表の有効求人倍率は、2012年まで3年連続で上昇したのち今年1月時点では0.89倍と前年同月比+0.11倍の上昇である。さらに今年は、安倍政権の経済政策の波及により企業による賃金引上げが予想される。こうした環境からは、現在の株価上昇が一時的なものであったとしても、雇用と賃金が追い風になって家計消費を支えるだろう。

[第3図]
20130317図3


企業部門はまだ弱い: 在庫と設備の過剰がハードル

一方、企業部門はまだ完全回復とはいかないようだ。昨年10-12月期の民間企業設備は前期比年率-5.7%と4四半期連続のマイナス成長だった。

経済産業省の鉱工業生産指数統計によれば、鉱工業生産は昨年9月をボトムに底入れから持ち直しに入っている。在庫率は依然として高いものの、徐々に在庫削減が進んでいることが読み取れる。こうした動きからは1-3月期に民間企業設備が5四半期ぶりにプラス成長に回復することも十分期待できる([第4図]参照)。

しかし、企業部門の強さはまだ本物ではない。内閣府の機械受注統計によれば、昨年10月から12月まで3ヶ月連続で機械受注が増加したが、今年の1月には急減している。また製造工業生産予測調査(2月調査)によれば、製造工業の生産予測は2月が前月比+5.3%なのに対し、3月は同+0.3%と再び生産が停滞することを示唆している。製造工業の設備稼働率指数は1月時点で86.0ポイント(2005年=100)であり、金融危機以前の水準には遥かに及ばない。

在庫調整が今後しばらく続くことと、全体的な設備稼働率の低さとが企業設備の伸びの頭を抑え、4-6月期以降は再びマイナス成長か横ばい程度にとどまる可能性が高いと見る。海外経済の不透明感が払拭されれば持ち直しもありうるが、まずは在庫と設備の過剰が解消されることが必要だろう。

[第4図]
20130317図4


緊急経済対策の効果は従前の見方を維持

2月26日に、10.3兆円の緊急経済対策を含む平成24年度補正予算が政府案通りに成立した。財政政策の効果は従来通り今年の成長への寄与を約+1.2%とみてこれまでの見方を維持したい。すなわち、緊急経済対策のうちの約4分の3が実際に執行され、うち2013年暦年への寄与はその更に約4分の3と想定する。

株価とドル円の上昇は上ブレリスク要因

引上げ後の成長率予想はどちらかと言えばさらに上方リスクを孕んでいるといえる。株価・ドル円がこれまでの筆者予想を上回って上昇しているからだ。

いわゆるアベノミクスの「三本の矢」である「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(1月28日安倍首相所信表明演説)」のうち、「大胆な金融政策」期待が主な押し上げ要因といえる。15日には国会が日銀総裁・副総裁人事への同意を終え、黒田総裁・岩田規久男副総裁・中曽宏副総裁の新執行部が決定した。筆者が1月時点で想定した今年の日経平均株価は年間レンジ9000円~12000円、3月末水準11000円だった。しかし日経平均株価は3月15日終値12560円と、既に年間想定レンジを上回っている。

為替市場でも想定以上の円安になっている。筆者の1月時点の想定ドル円レートは年間レンジ85円~95円、3月末水準85円だった。しかしドル円も3月初に95円を上抜けた後一時96円台まで上昇している。

想定以上の株価と円安は、今後の日本の成長率予想の上方修正要因にはなりうる。しかし今回の予想修正ではこの効果を完全には反映せず、将来の上方リスクとするにとどめる。現在の株価と為替の動きは今後の追加金融緩和を先取りして織り込んでいるもので、実際に追加緩和が行われて以降も同じスピードで上昇する可能性は低いと筆者はみている。日経株価の年間想定レンジ上限は13000円に引き上げるが、年末値の想定は12000円に据え置く。ドル円は年間レンジ想定上限を100円に引上げるがここへの到達は年末頃と見ることにする。

経済・金融予想修正まとめ

経済・金融についての筆者個人の1月13日付当レポートからの修正予想を[第1表]にまとめる。米国経済成長は予想据置き。日本は引上げ、ユーロ圏は引き下げる。株価・ドル円は現状に合わせて全体を上方に修正する。

[第1表]
20130317表1


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