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堅調な雇用に回帰~米国4月雇用統計

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米国4月雇用統計では、予想外に雇用者数の増加が大きく、また過去分も大幅に上方改訂された。米国経済のソフトパッチ入りシナリオは杞憂だったといえる。そこで今後米国消費につき従前の筆者個人の予想を若干上方修正することを考慮する。リスクは5月19日以降の連邦政府債務上限問題と、上昇を続ける株式市場の行方である。

4月雇用統計は上方サプライズ

3日に公表された4月米国雇用統計は、予想外に好調な結果となった。非農業部門雇用者数は前月比+165千人(うち民間部門同+176千人)と、筆者個人が予想していた+100千人弱を大幅に上回った。のみならず過去分も大幅上方改訂され、2月は同+332千人(速報同+268千人)、3月同+138千人(速報同+88千人)となった。3、4月の2ヶ月連続で雇用増が100千人を下回るという「ソフトパッチ」シナリオも想定していたが、これは杞憂となった。

4月分統計と過去分改訂で、雇用市場の現状はかなり様変わりしたといえる([第1図参照])。月次の非農業部門雇用者数の増加幅にはばらつきがある。しかし前月比増減の3ヶ月移動平均は、3月に一旦下降に転じたのち4月にふたたび上昇に転じた。中期的な雇用増加の趨勢を示す前年比の伸びは、ここ4カ月間で+1.5~1.6%と安定して底入れ感も出てきている。

[第1図]
20130506図1


今後の雇用拡大ペースは「安定的」にとどまりそう

しかし、今後の雇用市場の拡大ペースが加速する兆候は見られない。概ね前月比+150~200千人、前年比1.5%程度の増加ペースで安定すると見たい。

まず、企業景況感に見る雇用関連指数が伸び悩んでいる。4月のISM製造業指数、同非製造業指数では、いずれも雇用DIが低下し、増加・減少の分岐点である50%に接近している([第2図]参照)。

次に、労働市場に需給のタイト感が見られない。労働市場の需給を表す求人比率は2月時点で2.8%にまで上昇している。しかし、その動きはまだ一進一退で、過去の好況期に見られた3%台半ばに比較するとまだ低い。さらに、失業率と求人比率の関係を表すUV曲線は、金融危機以降右方にシフトしていて、同じ求人比率でも高い失業率にとどまる傾向が鮮明になっている。これは労働市場のミスマッチを表すものと考えられ、労働力需要があってもそれに見合う雇用が創出されない可能性を示唆している([第3図]参照)。

[第2図]
20130506図2


[第3図]
20130506図3


実質ベースで2%の個人消費の伸びが可能

かかる前提で、今後の雇用は家計にどれほどの所得と購買力をもたらすだろうか。[第4図]で雇用者数、週平均労働時間、そして時間当たり賃金の前年比の伸びの推移を見てみる。これによれば、雇用者数の伸びが前年比約+1.5~1.6%、週平均労働時間の伸びが同ほぼゼロ、時間当たり賃金の伸びは同+1.7~1.8%で推移している。これらを合わせ、労働市場は前年比約+3.2~3.4%レベルの購買力の伸びを生み出すことになる。

ここからインフレ率(3月時点の消費者物価指数の伸びは前年比+1.5%)を差し引くと、実質ベースの個人消費は今後前年比+2%弱の伸びが期待できることになる。これは、当レポートで予想してきたGDP統計上の実質個人消費の伸び(2013通年で前年比+2%)にほぼ沿っている。

[第4図]
20130506図4


今年の成長予想の上方修正を考慮する

もっとも、3月までの実質個人消費の伸びは既にこのペースをかなり上回っている。1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+3.2%の大幅な伸びを見せた。従って4月以降も2%レベルの消費の伸びが続くとすると、通年の個人消費の伸びは2%をかなり上回る計算になる。

ついては、筆者個人の成長予想を若干上方修正することを考慮する。2013年通年の実質GDP成長率は現状予想である前年比+1.8%から、同+2%レベルへの引上げが必要な見込みだ。

この見通しに対するリスクシナリオは2つある。ひとつは連邦政府債務上限撤廃という暫定措置が5月18日に期限を迎えることだ。2月4日に成立した債務上限暫定撤廃法によれば、18日の公的債務額が19日以降の新たな債務上限となる。これによりその後の米国債発行額減額や歳出の一部停止が実施される可能性がある。これは経済成長に新たな下押し要因となりうる。政府債務上限問題の再開を前に、米議会では目立った解決策が合意される様子は今のところない模様だ。

次に金融市場の動向である。3日にNYダウは一時15000ドルを超え、終値でも史上最高値を更新する14973ドルを付けた。この株価上昇が個人消費を心理面で後押ししてきたことは間違いない。所得税増税にも拘わらず消費伸びが加速して結果貯蓄率が低下していることは、1-3月期の個人消費に短期的な資産効果とでもいうべきものが寄与したことが推察できる。しかし、筆者は株価の今年のピークを5月のNYダウ15000ドルレベルだと個人的には見ている。いわゆる「5月売り」が今年も起きれば、今後この短期的資産効果は剥落していくリスクがある。


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