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成長見通しには下方リスク~米国4-6月期GDP統計

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4-6月期の米国成長率は予想以上に強かったが、統計改訂により直近の成長率が下方改訂されたことで、通年成長率見通しには下方リスクが出てきている。今後は堅調な雇用に加え、企業部門の持ち直しが年後半の成長を支えると見る。

4-6月期米成長率は+1.7%

7月31日に公表された米国GDP統計によれば、4-6月期の米国実質GDP成長率は前期比年率+1.7%と2四半期連続で成長が加速したとの結果になった。筆者は4-6月期の成長率を1%台前半と見ていたから、単四半期の数字としては予想を上回る結果だった。

ただし今回のGDP統計には、ほぼ5年ごとに実施されるGDP統計の包括改訂が1929年に遡って実施されている。過去分の改訂結果を合わせてみると今回の数字必ずしも良いものとは言えない。今年4-6月期成長率は上ぶれたが、2012年4-6月期~2013年1-3月期の直近4四半期の成長率がいずれも下方改訂されているため、今年通年の成長率見通しはわずかながらも下方修正を考慮せざるを得ない([第1図])。

[第1図]
20130804図1


GDP統計包括改訂の概要: 知的財産投資上乗せ分がGDPを押し上げ

米商務省の経済分析局BEAによるGDP統計定期改訂は、毎年行われる年次改訂と、ほぼ5年毎に行われる包括改訂がある。今回の改訂は2009年以来の包括改訂である。

BEAによれば、今回の包括改訂には、実質GDP算出の際の連鎖価格の基準年改訂(2005年連鎖価格から2009年連鎖価格へ)、「企業・政府・非営利組織の研究開発(R&D費用)」や民間企業の娯楽・文学・芸術創造の支出」を新たに設備投資として認識すること、年金基金からの期間対応所得の個人所得への計上、その他推計手法の改善、等が含まれる。この中で最も抜本的な改訂はR&D費用等を新たに設備投資としてGDPに計上することである。これに伴い、GDP統計に新たな需要項目「知的財産生産物」が民間設備投資の内訳項目として追加された。

民間設備投資に追加計上された知的財産生産物投資の規模は実質年率6265億ドル(2013年4-6月期)である。これは同四半期の機器ソフトウウェア投資(同9317億ドル)よりは小さいが、住宅投資(同4862億ドル)よりも大きな数字である。この需要項目が過去に遡りGDPに上乗せされることで、例えば2000年から現在までの実質GDP水準は平均+3.7%上方改訂されている。BEAは、GDP水準改訂はこの設備投資の定義変更の影響が最も大きく寄与しているとしている。

また、知的財産投資の成長の実質GDP成長率への寄与度は2010年以降の四半期ベースで見ると概ね-0.1%~+0.2%である([第2図])。これは、知的財産投資の変動が、機器ソフトウエア投資など同様の影響を成長率に与えることを意味する。

[第2図]
20130804図2


直近4四半期の下方改訂で今年の成長見通しは下振れリスク

包括改訂後の実質GDP成長率の推移を改訂前と比較してみると、これまでの景気サイクル認識に大きな影響を与える変更は見られないことが分かる。2000年以降の年次の実質GDPの推移を改訂前後で比較したのが[第3図]である。直近10年間は概ねパラレルに成長率が上方改訂されている。BEAによれば2002年~2012年の間の年間成長率は平均1.8%となり、改訂前に比べて約0.2%上方改訂となっている。これは上記の知的財産投資の成長の寄与度と概ね整合的な改訂幅である。

ところが上記のとおり、2012年4-6月期~2013年1-3月期の直近4四半期については、成長率が下方改訂されている。特に、2012年第4四半期、2013年第1四半期は、個人消費・設備投資・住宅投資の内需項目が全て下方改訂されている。

従って今後の成長見通しはこれに伴い下方改訂を考慮せざるを得ない。現在筆者は、2013年通年の成長率予想を前年比+1.6%としている。しかし、今回の改訂によりこの成長予想を-0.2%ほど引下げて1.4%程度に下方改訂を考慮することとする。

[第3図]
20130804図3


今後は企業部門が鍵:設備投資回復が成長を支えると見る

改訂後の実質GDP成長率を需要項目ごとに見たのが[第4図]である。4-6月期は純輸出のマイナスの拡大が成長率を-0.81%押し下げたのが最も成長抑制要因となっている。その他の需要項目では。個人消費が前期比年率+1.8%と前期の同+2.3%から減速した。一方民間設備投資は同+4.6%と前期のマイナス成長からプラスに転じた。住宅投資は同+3.8%と底堅い成長になっている。直近の基礎統計からは設備投資・住宅投資いずれも4-6月期にマイナス成長を予想していたが、これらは上方サプライズとなった。

今後については、個人消費は引続き堅調な雇用と金融市場の安定を背景に2%程度の成長を今年後半にも見込む事が出来る。設備投資は非国防資本財出荷に関する基礎統計は低調ながらも、新規受注が6月まで4ヶ月連続増加している。1日に公表された7月ISM製造業指数の急伸企業景況感が大幅に改善し、生産が急増していることを示唆するものだった。

企業部門は今年後半には低調から抜け出せる可能性が高い。一方住宅投資は、住宅ローン金利の上昇や一時的な在庫不足により一時的に減速する可能性が高いと見る。

[第4図]
20130804図4

[第5図]
20130804図5


政府部門のマイナス寄与は今後縮小を見込む

政府支出は歳出自動削減と政府債務上限という2つの制約から、引続き成長押下げ要因になるだろう。ただし、歳出自動削減実施直後の大幅なマイナス成長から、今後は前期比のマイナスの寄与度は縮小すると考えられる。4-6月期時点で連邦政府支出のマイナスの伸び率は前期比年率-1.5%にまで縮小した。また州・地方政府支出は景気回復による税収増を背景に4四半期ぶりのプラス成長に転じている([第6図])。

[第6図]
20130804図6


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