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雪解けのあと~米国小売売上とホリデー商戦結果

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昨年末のホリデー商戦結果が明らかになった。寒気の影響で予想比やや下ブレたものの、米個人消費の伸びには上方モメンタムがある。1月前半までは引き続き悪天候の影響がでそうだが、その後は積み上がり需要も含め再び消費は加速しそうだ。2014年通年の実質個人消費は2013年並みの前年比+2%の伸びを見込む。

ホリデー商戦売上の伸びは+3.6%: 小売売上高大幅下方改訂

14日に公表された米12月小売売上高は、前月比+0.2%と比較的堅調な伸びだった。12月の新車販売減少が全体の売上高を押し下げる要因になっており、自動車・同部品を除くベースでは同+0.7%と2013年2月以来の強い伸びだった。12月の寒気による悪天候に拘らず単月の売上は好調だったと言える([第1図])。

しかしながら、前月11月分の売上高は下方改訂となった。11月の小売売上高は全体で前月比+0.4%と、速報値の+0.7%から大幅に下方改訂された。内訳では、家電店売上が速報の同+1.1%から同-2.1%に下ブレたのが目立つほか、建設資材・園芸品店、衣服店などホリデー商戦(クリスマス商戦)の主力商品を取り扱う業種が下方改訂された。

結果、2013年のホリデー商戦売上高は、前年比+3.6%にとどまり、筆者個人の予想同+4.1%(12月31日付当レポート参照)を下回った。これは、2年連続でホリデー商戦売上の伸びが減速との結果になる([第2図])。

[第1図]
20140121図1
[第2図]
20140121図2

悪天候の一時的影響が終われば再び消費の加速を見込む

しかし、これは今後の米国の個人消費予想に影響を与えるものではない。国際ショッピングセンター評議会ICSCの週次チェーンストア売上指数によれば、2013年12月の売上は年末にかけて加速し、クリスマスを含む週では前年の伸びを上回っている。これは米国経済見通しの好転や株価上昇等により個人消費が上昇モメンタムにあったことを示唆している([第3図])。

更に、2013年のホリデー商戦の伸びが前年の伸びを下回った主な要因は悪天候にあると考えられる。12月に米国は例年にない寒気に見舞われて、12月半ばに売上が一旦減速した。その後気温の持ち直しとともに年末にかけて売上が加速した。また2013年のホリデー商戦期間はイースター祝日のシフトにより例年比短い26日間(2012年は32日間、2011年は30日間)だったことも勘案すれば実質的には例年並みの売上の伸びに相当すると評価できる。

ただし、米国では再び年初から1月中旬にかけて寒気に見舞われており、1月の個人消費のスタートは減速を与儀なくされたようだ。ICSCチェーンストア売上高指数は1月第1週に伸びを大きく減速させ、第2週にもその傾向が続いている([第4図])。もっとも第3週以降気温は再び上昇傾向にあり、1月後半からは、悪天候の間の積み上がり需要も併せ消費の反転上昇が期待できるところである。

[第3図]
20140121図3
[第4図]
20140121図4

小売業界の評価もポジティブ

今回のホリデー商戦結果に対する米小売業界の評価は押し並べて高い。ICSCは、同評議会集計によるホリデー商戦売上高(ショッピングセンターベース)が前年比+3.0%となったと公表した。ICSCの集計結果は、同評議会の9月時点での予想同+3.4%は下回ったものの、前年の同+2.7%から加速した。ICSCは「悪天候や慎重な消費者に対し、小売業界の販促活動が、概ね期待に沿った前年を上回る伸びを達成した」としている(1月9日ICSCプレスリリース)。

調査会社ShopperTrak社は9月時点で2013年ホリデー商戦の伸びを前年比+2.4%(前年実績は同+3.0%)と控えめに予想していたが、同社集計結果はこれを上回る同+2.7%となった。同社は「経済回復の継続で予想通り昨年以上の売上の伸びが達成できた」「しかし感謝祭以降消費者は買い物を一時休止し、小売業者は更に販促をすることでクリスマス週を良いトーンで終えた」とし、今後についても「消費者信頼感の上昇と経済進展により堅調な売上増加を見込む」としている(同社1月8日プレスリリース)。

全米小売業連盟NRFは、10 月時点で前年比+3.9%と前年実績+3.5%から加速すると強気に予想していた。NRFによる集計結果は同+3.8%となり、予想とほぼ同じ強い結果となった。NRFは「小売業者の戦略が(天候などの)困難に打ち勝った」とし、今後については「消費者信頼感が高まるとともに、小売業者が更なる割引や販促活動をする必要性は薄れていくだろう」としている(1月14日付NRFプレスリリース)。

今年も個人消費は2%成長を見込む

今後の米国の個人消費については、GDP統計上の実質個人消費が2014年通年で2013年並みの前年比+2.0%の伸びとなるとの見方を維持する([第5図])。四半期別には、年末にかけての消費加速で2013年第4四半期は3%弱の強めの伸びを見込む。個人所得統計によれば、実質個人消費は10月に前月比+0.4%、11月に+0.5%の強い伸びを示している。12月が仮に前月比横ばいでも10-12月期の実質個人消費は前期比年率+4%の極めて強い伸びになる計算になる。しかし11月までの実質個人消費の伸びはやや違和感のある強さであり、小売統計の下方改訂からは個人消費統計も12月分公表時に過去分が下方改訂になる可能性がある。ここではやや保守的に10-12月期の伸びを3%弱と見ておく事にする。

2014年に入ってからは、拡大失業保険給付の停止が全体の個人消費を最大-0.3%押し下げるとの想定でやや伸びが減速すると見る([第6図])。ただし可処分所得の伸びに加え株価・住宅価格といった資産効果が今年から本格的に消費を押し上げるとみる(12月31日付当レポート参照)。

[第5図]
20140121図5
[第6図]
20140121図6

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構造要因が相当を占める~米国の労働参加率低下

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米国では失業率低下とともに労働参加率が低下している。労働参加率の低下は今後失業率の再上昇を示唆するため良い傾向とは評価されにくい。一方で、10年以上に亘る労働参加率低下には景気循環以外の構造要因もあると見るべきである。ここでは、労働参加率の低下を構造要因と循環要因の双方から見ることで、将来の失業率再上昇のレベルを見通すことを試みる。

労働参加率低下を伴う失業率低下の評価

これまでの米国の失業率低下は労働参加率の低下を伴うものだったことから、必ずしも良い失業率低下ではないと評価されることがしばしばあった([第1図])。2013年12月時点で失業率は前年同月比-1.2%低下したが、これを要因分解すると、労働参加率要因が-1.2%、就業者要因が-0.9%、生産年齢人口要因が+0.9%となっている([第2図])。限界的な失業率低下は失業者の労働力人口からの退出で説明可能で、就業者増加は人口増加分を吸収しているのみとの見方もできる。

当レポートでもこれまでは、労働参加率低下を伴う失業率低下は良い内容ではないと見てきた。労働参加率低下が、景気悪化による労働力人口からの一時的人口流出(循環要因)であった場合、将来景気回復時に労働力人口に再流入することで失業率が再上昇する可能性があるからである。

しかし、これまで10年以上に亘り長期間の労働参加率低下が続いていることから、労働参加率低下はむしろ構造要因かつ人口動態等の構造要因に依存する部分が相応にある可能性が否定できなくなっている。以下この見方を検討していく。

[第1図]
20140113図1
[第2図]
20140113図2

男性の労働参加率は戦後一貫して低下、女性の参加率は2000年にピークアウトした

長期的な米国の労働参加率の推移を見てみよう。戦後労働参加率はほぼ一貫して上昇したのち、2000年にピークを付けたあと低下に転じ、現在に至るまでほぼ一貫して低下を続けている([第3図])。

2000年までの労働参加率上昇は戦後の経済拡大に加え医療や職場など社会環境の整備向上によるとされている。一方2000年以降の労働参加率低下は、ひとつにはITバブル崩壊により就業機会が大幅に低下しその後も大きな雇用を創出する技術革新がされていないという経済要因、また90年台後半からいわゆるベビーブーマー世代が引退を始めるなど高齢化という人口動態要因が指摘されている。これら長期的要因は構造要因といえる。

労働参加率の推移を男女別に見ると構造要因がより明瞭になる。男性の労働参加率は戦後現在まで一貫して低下しているのに対し、女性の労働参加率は戦後2000年にかけて上昇、その後低下に転じている([第4図])。男性の労働参加率が恒常的に低下している理由は主に高学歴化にあると考えられる。一方、女性の労働参加率は戦後2000年までは女性の社会進出拡大で継続上昇したが、2000年頃にそれが飽和点に達しその後ITバブル崩壊でピークアウトしたと考えられる。

[第3図]
20140113図3
[第4図]
20140113図4

若年層の参加率は低下、高齢層の参加率は上昇中

労働参加率を年齢層別に見ると、構造要因と循環要因の双方が見える。[第5図]は16~19歳(若年層、いわゆるティーンエイジャー)と、55歳以上(高齢層)の労働参加率の長期推移である。これによれば、若年層の労働参加率は70年代にかけて上昇したのちピークアウトしてその後現在に至るまでほぼ低下傾向をたどっている。高齢層の労働参加率は90年代にかけて低下のうち上昇に転じて現在までほぼ上昇を続けている。

ここから読み取れる構造要因は次の通りである。まず70年代以降の若年層の労働参加率低下は主に高学歴化によると考えられる。また90年代以降の高齢層の労働参加率上昇は、医療の進歩により高齢でも仕事を継続できる社会要因が寄与していると考えられる。

一方、循環要因も寄与していると考えられるのが、主に2000年代以降の若年層の参加率低下と高齢層の参加率上昇である。ITバブル崩壊と金融危機などにより景気が悪化すると、高齢層は収入確保のため通常の退職年齢以降も就業意欲が継続しやすい。一方不況期にはスキルに乏しい若年層の新規就業機会よりも熟練した高齢層の就業継続機会の方が高いと考えられる。結果若年層の労働参加率は低下し高齢層の参加率は上昇する。若年層と高齢層の労働参加率逆転は金融危機による景気悪化という循環要因である可能性が高い。

[第5図]
20140113図5

就業意欲ある非労働力人口の伸びは減速している

2008年の金融危機による景気悪化という循環要因が労働参加率低下に与えた影響を見てみよう。米労働省の雇用統計上、過去4週間求職活動を停止した人口は、労働力人口から退出したとみなされ「非労働力人口」に計上される。非労働力人口の中には景気悪化などにより一時的に求職活動を停止してもなお就業意欲がある人口が存在する。この「就業意欲のある非労働力人口not in labor force but want a job now」は、景気悪化という循環要因で一時的に労働力人口から退出したものの景気回復すれば求職を再開し労働力人口に復帰する可能性がある人口を含んでいることになる。

就業意欲のある非労働力人口の推移を見ると、2000年から金融危機まではほぼ横ばいだったのが、2008年金融危機を契機に急増し、その後2013年後半から減少の傾向が見られる。その内訳である縁辺労働力(「縁辺労働力marginally attached to labor force」や「求職意欲喪失者discouraged workers」は「就業意欲のある非労働力人口」に含まれる)も同様に金融危機以降急増したが、2011年をピークに緩やかに減少に転じている([第7図])。

就業意欲のある非労働力人口の増加率を非労働力人口全体の増加率と比較したのが[第8図]である。これによれば、金融危機以降就業意欲のある非労働力人口が非労働力人口全体の伸びを上回っていたが、直近2013年末には既にその伸びが全体の伸びにほぼ一致するまでに減速していることが分かる。就業意欲ある非労働力人口は金融危機後暫く非労働力人口増加の大きな要因であったが、景気回復とともにその伸びはマクロの人口増加にほぼ一致するまでに減速したことになる。

[第6図]
20140113図6
[第7図]
20140113図7

就業意欲ある非労働力人口の労働参加率低下への寄与はわずか

就業意欲のある非労働力人口の増加の労働参加率低下への寄与を試算したのが[第8図]である。2008年金融危機後約1年間は、就業意欲のある非労働力人口増加の労働参加率低下への寄与度が全体の労働参加率低下幅を上回っていたが、その後寄与度はほぼ横ばいから低下して現在は-0.2%となっている。一方労働参加率全体は一貫して低下を続けている。つまり、金融危機以降の労働参加率は金融危機による労働力人口からの一時退出という循環要因以外の要因で低下していることになる。[第8図]の就業意欲のある非労働力人口増の労働参加率低下への寄与度からは、今後景気回復が進んでも循環要因による労働参加率の上昇はたかだか+0.5%程度にとどまる計算になる。

循環要因以外の労働参加率低下要因は上記のとおり、高齢化による引退といった人口動態要因、高学歴化や女性社会進出の飽和化といった社会要因が考えられ、これらは構造要因とみなされうるものである。

なおこのほかに、雇用ミスマッチという構造要因が考えられる。産業構造の変化により職業スキルと労働需要がマッチしないことで労働力人口から退出した人口が相応にあると考えられる。スキル・教育不足により求職活動を停止した人口は統計上「求職意欲喪失者」に計上されることになっているが、アンケート調査形式による労働省統計ではその分別は定かではない。

[第8図]
20140113図8

労働参加率のうち循環要因は約1%にとどまる

次に純粋に統計的に労働参加率を構造要因(トレンド)と循環要因(サイクル)に分けることを試みる。[第9図]は、1983年以降の労働参加率の年次時系列データからトレンドを抽出したものである。これによれば、2010年から2013年の4年間の労働参加率実績はそのトレンドを下回っている。2013年の労働参加率実績(年平均)は63.2%で、同時期のトレンドである63.8%から‐0.6%下方乖離している([第10図])。なお、労働省月次統による12月末の労働参加率は62.8%にまで低下しており、これはトレンドから約-1%下方乖離していることになる。

ここからも、労働参加率変動のうちの循環要因は1%に満たず、今後労働人口への人口再流入があったとしても労働参加率の上昇余地はたかだか1%にとどまることになる。失業率が6.7%だった12月統計値からの試算では、労働参加率が+0.5%上昇して相当額の労働力人口と失業者が増加した場合、他の条件が同じとして失業率は約0.7%上昇して7.4%になる計算になる。今後労働参加率再上昇による失業率再上昇は7%台半ば(2013年半ば頃の水準)レベルまでを見込んでおけばよいことになる。実際には今後も継続的な就業者増加は失業率低下に寄与することから、現実的には失業率の一時的上昇があっても2014年末に6.5%までの失業率低下は十分可能と推測できる。

需給ギャップと失業率の相関からは、今後経済が3%成長しても失業率は2014年末時点で7%台半ばの高水準にとどまる計算になる。しかし、2012年を境に実際の失業率は需給ギャップからの推計値を下回り続けていて、下方乖離は拡大している(2013年5月28日付当レポート参照)。そこで、需給ギャップ以外に失業率を低下させる別要因があると考えざるを得ない。筆者個人予想においては、構造的な労働参加率低下の失業率への寄与の可能性を勘案し、2014年末時点の米国失業率予想を従前見通し比下方修正して6.5%とした(1月4日付当レポート参照)。

[第9図]
20140113図9
[第10図]
20140113図10

<参考文献>
本レポート作成に当たり以下の調査研究を参考とした。フィラデルフィア連銀とシカゴ連銀は最近の労働参加率低下を主に構造要因と、サンフランシスコ連銀は主に循環要因と見ている。なおバーナンキFRB議長は、資産購入ペース縮小を決定した昨年12月18日FOMC声明文後の記者会見で「労働参加率の低下は人口高齢化等長期影響のみならず、潜在的労働者の意欲喪失も反映している」と述べている。

Federal Reserve Bank of Philadelphia, “On the Causes of Declines in the Labor Force Participation Rate”, November 19, 2013.
Federal Reserve Bank of San Francisco, “Will Labor Force Participation Bounce Back?”, FRBSF Economic Letter, May 13, 2013.
Federal Reserve Bank of Chicago, “Explaining the decline in the U.S. labor force participation rate”, Chicago Fed Letter, March 2012.

寒気は一時の滞留~米12月雇用統計

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12月雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが予想を大幅に下回った。しかしこれは悪天候による一時要因で、米雇用は今後前年比1.7%程度の拡大を持続するとの見方を維持する。FOMCの資産購入ペース縮小政策見通しへの影響もなく、今後t定例会合毎に100億ドルの資産購入ペース縮小を継続すると見る。

非農業部門雇用者数は74千人増どまり

10日に公表された米雇用統計によれば、昨年12月の非農業部門雇用者数は前月比+74千人の増加にとどまった。11月までの3ヶ月平均で+200千人を超える増加を続けていた米雇用増が急減速したことになる。+74千人の増加幅は2011年1月以来の低水準となる([第1図])。なお、過去分については11月分が同+241千人と+41千人上方改訂された。

雇用増の急減速は天侯要因による一時的なものと見たい。12月の米国は東海岸と中西部中心に例年以上の寒波に見舞われた。業種別の雇用者数増減を見ると、雇用増の減速に寄与した主な業種は建設と教育・医療である([第2図])。建設業は天侯の影響を受けやすい業種で、12月に-16千人の雇用減となった。非住宅建設の契約労働者の雇用減少が全体の数字を押し下げている。しかし、昨今の住宅建設と非住宅建設の増加基調からは、建設業雇用は天候回復次第増加すると見る。教育・医療は景気変動の影響を受けにくい業種で、12月は前月比横ばいにとどまったものの再び堅調な伸びで米雇用を支えると見たい。

一方で、景気に敏感な小売業の雇用は同+55.3千人と順調に増加した。ホリデー商戦(クリスマス商戦)は12月初に一旦売上が軟化したもののクリスマスにかけて売上増が加速している。個人消費を牽引役とする経済拡大の構図が雇用市場にも見て取れる。

[第1図]
20140112図1
[第2図]
20140112図2

天候回復後は雇用増は再び1.7%ペースへ

今後の米雇用は、引き続き前年比+1.7%レベルの増加ペースを保つのとの見方を維持したい。12月の雇用ペース減速が一時的と見る背景は次の通りである。まず、企業景況感指数からは12月にも雇用増加が続いた証跡が見える。ISM製造業指数と同非製造業指数の雇用DIを、12月時点の雇用者数比(製造業:非製造業=1:9)で加重平均したDIを作成してみると、同DIは12月時点で+55.8%ポイントと前月比大幅改善している。企業の同指数は非農業部門雇用者数に約1ヶ月先行する傾向があり、他の要因を除けば1月には再び雇用者数の伸びは反転増加に転じる可能性が高い([第3図])。

次に、新規失業保険申請件数が総じて低位にあることである。直近1月4日〆週の新規失業保険申請件数は330千件、同4週移動平均は349千件と比較的低水準を保っており、12月に急激に失業者が増加した形跡は見られない([第4図])。2004年‐2013年のデータを用いて新たに試算した失業保険申請件数と非農業部門雇用者数の関係からは、直近の330千件の申請数は約190千人の月次雇用増に相当する([第5 図])。また、家計調査によれば就業者のうち悪天候のため仕事ができなかった人が12月には273千人に上り、これは12月については1977年以来の高水準となっている。これは12月の悪天候が雇用市場に与えた影響の大きさを示唆している。

なお、米国は東海岸中心に年末から1月現在にかけても寒波が滞留している。悪天候要因は1月まで継続する可能性があり、1月分雇用統計でも影響が見られる可能性があることには留意しておきたい。

[第3図]
20140112図3
[第4図]
20140112図4
[第5図]
20140112図5

失業率は6.7%に低下しFOMCの目標に接近した

家計調査では逆に、失業率が6.7%(前月比-0.3%)と大幅に低下した。水準的にはリーマンショック直後の2008年10月以来の低水準となる。就業者は前月比+143千人増加、失業者は同-490千人減少しており、実態的に労働市場が回復した内容になっている。ただ労働力人口が-347千人減少した結果労働参加率が前月比‐0.2%低下して62.8%と10月と並び2000年台以降最低水準となった([第6図])。失業率低下幅をこれらの要因に分解してみると、労働参加率低下要因が就業者数増加要因を大幅に上回り、失業率を-0.3%押し下げた形になっている([第7図])。

実際に12月には、非労働力人口に含まれる縁辺労働人口(就業意欲があり、過去12月間に求職活動をしたものの過去4週間の間停止していた人口)や求職意欲喪失者(就職見込み低下、学歴・訓練不足等の考えにより過去4週間の間求職活動を行わなかった労働者)が前月比で急増している([第8図])。しかしこの急増も、景況感悪化というより一時的増加と見るのが自然だろう。12月の失業率急低下の主因たる労働参加率低下ペースは1月以降は減速し、代わって就業者数要因で失業率は緩やかに低下、2014年末にFOMCの低金利政策見直しの閾値である6.5%に辿り着くとの予想を維持する。

なお、失業率低下が労働参加率低下を主因とすることは将来の失業率再上昇の可能性があることから、あまり良い傾向ではないとこれまで当レポートでも見てきたが、現在では、かかる長期の労働参加率低下はむしろ構造要因による部分が大きく将来の失業率再上昇のリスクは後退していると見ている。

[第6図]
20140112図6
[第7図]
20140112図7
[第8図]
20140112図8

FOMCの金融政策見通しに影響はなし

以上より、12月雇用統計の結果は今後のFOMCの資産購入縮小ペースには影響を与えないと見る。1月以降各FOMCで100億ドルずつの購入ペース縮小を決定し2014年末に購入停止を決定すると予想する。

非農業部門雇用者数増加ペースの急減速は寒気による一時要因とみなされ、資産購入縮小を見あわせる材料にはならない。失業率は、短期的には労働力人口への循環的人口再流入によって一旦7%台に上昇ののち年末にかけて6.5%に低下すると見れば、失業率が一時的に閾値に接近したことは資産購入停止時期を前倒しする材料にはなりにくい。

次回1月定例会合では12月分の改訂値と1月分の速報が既に公表済であり、12月統計の一時的なブレが判明していると思われる。単月の指標で資産購入ペースを変更することは、金融政策への信頼感維持の観点から採用しにくい選択肢である。

需給と調整のはざまで~米国住宅市場見通し

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米住宅市場の好調な拡大は短期的な需給要因によるところが大きい。中期的にはまだ住宅市場は調整局面にある。ただ今年1年間は主に需給要因によって住宅建設は約10%伸び、住宅価格は10~15%上昇すると見る。リスク要因は金利上昇とタイトな信用条件である。

住宅投資は2ケタの伸びが続いている

米住宅投資は堅調な伸びで米国経済を支えている。GDPに占める住宅投資の比率は住宅バブル期2005年の6%台をピークに金融危機後の2010年に2.5%にまで低下したが、その後底入れして2013年には3%台にまで持ち直している。GDP統計上の実質住宅投資は2012年に前年比+12.9%の伸びを見せ、2013年も同約+13%(筆者予想)と2年連続で2ケタの成長となる見込みだ。

米住宅投資の拡大は[第1図]に示すとおり、やや減速の兆しを見せつつも高いペースである。実質住宅投資の先行指標である住宅着工件数は増加ペースをやや落としながら前年比+20%近い伸びを保っている。これに遅行する形で実質住宅投資は約10%の伸びを維持している。このペースだと、2014年通年の住宅投資も、13年よりわずかに減速しつつも前年比+10%レベルの成長が期待できる。

[第1図]
20140104図1

タイトな住宅需給が住宅建設を促している

好調な住宅投資の背景には、極めてタイトな住宅市場の需給がある。まず販売市場では、住宅販売の太宗を占める中古住宅販売の在庫期間(販売在庫戸数÷月次販売戸数)が短期化している。中古住宅販売在庫期間は、2012年に節目となる6ヶ月を割りこんで以来、2013年末には5ヶ月レベルにまで低下した([第2図])。通常米国の適正な住宅販売在庫は6ヶ月程度と見られるから、5ヶ月の在庫はかなりタイトな状況だと言える。

次に賃貸市場の需給を表す貸家空室率が大幅低下している。貸家空室率は金融危機後の2009年に11%台にまで上昇したのち景気回復とともに低下し、現在では8%強と2005年頃の住宅バブル期の8%を下回る水準にまで低下している([第2図])。

これらタイトな需給要因は住宅着工の増加を促し、2014年一杯は投資が2ケタの伸びを続けるという見方を支持している。

[第2図]
20140104図2

中期的には住宅市場はまだ調整局面

一方中期的に見ると住宅需給が寧ろ緩和している材料もある。家計の持家比率は2005年の69%台をピークに低下を続け、現在では90年台前半とほぼ同じ65%台になっている([第3図])。90年台後半以降政府による住宅公社を活用した持家取得推進策や、サブプライムローンなど民間住宅ローンの拡大により米国民の持家比率が飛躍的に拡大した。

しかし2005年以降住宅バブル崩壊や金融危機により、持家を手放す家計が増加したことから持家比率が低下した。持家比率が低下を続けていることは、中期的な住宅市場が未だ調整途上にあることを示唆している。

[第3図]
20140104図3

実質住宅投資は10%レベルの安定した伸びを予想する

住宅投資の伸びをこれら短期的需給要因と中期的需給要因に分けて要因分解してみた。短期的需給要因として販売需給要因(中古住宅販売在庫期間)と賃貸需給要因(貸家空室率)、中期的需給要因として持家比率を用いた結果が[第4図]である。

これによれば、持家比率の低下が住宅投資の抑制要因となっているものの、販売需給と賃貸需給要因という二つの短期的需給要因がこれを上回り、住宅投資を拡大させていることが分かる。

一方、短期的需給のタイト化、長期的需給の緩和いずれもそのペースが徐々に落ちていて、住宅投資に対する寄与度が低下している。ここからは、今後の住宅投資がより安定した伸びに落ち着くことを示唆している。これらより、2014年のGDP統計上の実質住宅投資は過去2年の伸びよりやや減速しても、約+10%の伸びが可能になると予想する。

住宅価格も引き続き強めの前年比+10~15%の上昇を維持すると見る。住宅価格の伸びは住宅販売在庫期間に約半年遅行する傾向がある。[第5図]によれば、現在の住宅販売在庫期間5ヶ月は、住宅価格の伸び約10%に相当する。実際にはS&Pケースシラー住宅価格指数(20都市)は昨年9月時点で前年比+13%台と、在庫期間との相関からの推計値を上回るペースで上昇している。

[第4図]
20140104図4
[第5図]
20140104図5

リスク要因は金利上昇と信用条件

もっとも直近の指標を見ると、金利上昇が住宅販売の抑制要因になり始める兆しがある。昨年11月の中古住宅販売は年率4,900千戸と3ヶ月連続減少し、約2年ぶりに前年同月比でマイナスの伸びに転化した([第6図])。全米不動産業協会NARは「モーゲージ(住宅ローン)金利上昇と在庫不足とタイトな信用の継続」を中古住宅販売悪化の要因として挙げている。「新築住宅建設の遅い回復による住宅供給の制約」が家賃上昇、住宅価格上昇の原因となっているとしている(2013年12月19日付NARプレスリリース)。

住宅市場が在庫不足でタイトな状況にあり、住宅建設需要が極めて強い状況であることは前述の筆者予想の前提と整合している。ただし実際、住宅ローン金利はFRBの緩和縮小期待が高まった昨年10月頃から急上昇している。また住宅ローン残高は金融危機以降減少トレンドが続いていて、増加の確実な兆しはまだ見られない(2013年12月31日付当レポート参照)。金利上昇とタイトな信用条件は上記予想に対するリスク要因として認識する必要がある。

[第6図]
20140104図6

住宅ストック水準はまだトレンドを下回っている

因みに、現在の住宅市場はいわゆるバブルではない。住宅価格は需給をほぼ適正に反映しているといえる。住宅着工件数もバブル期に比べて低水準にある。フローベースでの住宅投資は今後さらに回復の余地がある。

ストックベースでの住宅も経済規模に対して低水準にある。民間住宅投資ストックの対GDP比率は持家比率同様に2005年をピークに低下傾向にある[第7図]。GDPに対して積み上がりすぎた住宅ストックは未だ調整局面にある。[第8図]は民間住宅ストックの推移からそのトレンドをHPフィルターを用いて抽出したものである。これによれば2012年時点で民間住宅ストックの水準はトレンドをやや下回っている。民間住宅のストック調整終了と住宅価格上昇による住宅ローン貸出条件緩和が進めば、住宅市場が中期的回復局面に入るだろう。

なお、筆者個人の2014年の実態経済・金融市場予想を[第1表]に示す。

[第7図]
20140104図7
[第8図]
20140104図8
[第1表]
20140104表1

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