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<経済指標コメント>日本のGDPは予想下回る

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[日本]

実質GDP成長率(10-12月期)は前期比年率+1.0%、2013年通年成長率は前年比+1.6%
10-12月期実質GDP成長率は予想を大きく下回る前期比年率+1.0%の伸びにとどまった(前期同+1.1%)。GDPを押し上げた需要項目は、民間最終消費支出が前期比年率+2.0%(前期同+0.9%)、民間住宅同+17.8%(前期同+13.9%)、企業設備同+5.3%(同+0.8%)、公的需要同+3.6%(前期同+6.3%)。消費税引上げ前の駆け込み需要と見られる個人消費と企業設備投資の伸びが加速して成長率を押し上げた。一方、純輸出(寄与度-1.8%)、民間在庫(同-0.1%)が成長を押し下げている。特に実質輸入の増加(同+14.9%)が輸出増加(同+1.7%)を大きく上回り、純輸出が成長を-1.8%押し下げている。総じて内需は力強く加速しており、個人消費・住宅投資・設備投資を合わせた国内民間最終需要は前期比年率+3.1%の強い伸び。また前年同期比の伸びは+2.6%と、2013年に入り同+0.8%(1-3月期)、+1.0%(4-6月期)、2.0%(7-9月期)に続き4四半期連続で伸びを加速させた。表面上のGDP成長率は低位にとどまったが、2013年(暦年)通年の成長率は前年比+1.6%と前年の同+1.4%をわずかに上回った。内需中心に経済拡大は加速していると見る。1-3月期も引き続き消費税前駆け込み需要で内需は加速すると見る。ただし、2013年度の成長率は10-12月期の下ブレで筆者個人予想の前年度比+2.7%の達成は困難で、2%台前半に下ぶれる見込みとなる。またリスク要因は海経済減速による外需の減速である。個人消費における駆け込み需要の加速や公的需要の伸びが想定よりやや弱めなのも懸念事項である。
20140222図1

[米国]

住宅着工件数(1月)は年率880千件(前月比-16.0%)
1月住宅着工件数は2ヶ月連続の減少となる年率880千件、前月比では-16%の大幅減少となった。1月の悪天候が住宅建設に悪影響を及ぼしたと考えられる。着工許可件数も3ヶ月連続の減少となる年率937千件(前月比-5.4%)だったが、着工件数に比べればその推移は安定している。米国は2月も引き続き悪天候がつづいているが、潜在的な需要増と在庫不足で、住宅着工は天候回復後再び増加に転じると見る。住宅在庫のタイト化に対して供給が追い付かないことが寧ろリスクといえ、供給力が伸びない場合GDP統計上の住宅投資の伸びが減速して住宅価格が更に上昇する可能性もある。GDP統計上の実質住宅投資は昨年の前年比12.0%に対し、2014年は6%台の伸びに減速するとみている。
20140222図2
消費者物価指数(1月)は前月比+0.1%(前年比+1.6%)、同コア指数は前月比+0.1%(同+1.6%)
消費者物価指数は前月比+0.1%とやや弱めの伸び、しかし前年比では+1.6%と3ヶ月連続で伸びを加速させた。費目別に前月比の価格上昇率を見ると、物価を押し上げているのは暖房油(前月比+3.7%)、電気料金(同+1.8%)、ガス代(同+3.6%)とエネルギー関連で、寒波の影響を反映しているとも見れる。物価を押し下げているのは新車(同‐0.3%)、中古車(同-0.5%)、衣服(同-0.3%)など一般的な耐久・非耐久消費財に及んでいる。米国経済の需給ギャップの大きさ(2013年10-12月期時点で-3.8%)もあり、デフレ圧力は依然残存している。しかし、現在のインフレ率は失業率低下に比してやや低すぎるとみており、今年中にインフレ率はFRBの目標とする2%に向かって上昇していくと見る。
20140222図3
中古住宅販売戸数(1月)は年率4620千戸(前月比-5.1%)、中央販売価格前年比+10.7%(前月同9.7%)、販売在庫期間4.9カ月(前月4.6ヶ月)
1月中古住宅販売は前月比‐5.1%の大幅減少となる年率4620千戸。一部は寒波の影響と考えられる。公表元の全米不動産業協会は「長期化した悪天候が経済全体に悪影響を与えており、住宅も例外ではない」としている。ただし住宅需給がタイトであることは不変。在庫期間は前月から0.3ヶ月長期化したものの1月時点でも4.9ヶ月と標準の6ヶ月を大幅に下回っている。中央販売価格は前年比+10.7%と2ヶ月連続で伸びを加速。しかし、販売戸数は昨年7月がピークでその後半年感下方サイクルにある。住宅販売軟化の要因としては天候のみならず「タイトなクレジット」(NAR)や住宅ローン金利上昇もあると考えられる。天候要因とその他要因の住宅販売軟化への影響度合いは、天候回復後の販売状況をもって見る必要がある。
20140222図4


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<経済レポート> 生産性向上が鍵~米国の潜在成長率

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米議会予算局推計によれば、米国の潜在成長率は今後10年間平均で+2.1%とされている。中長期的に潜在成長率が低下している要因は主に人口動態と社会環境変化による労働力人口の伸び鈍化とされている。今後潜在成長率を向上させようとすれば新たな技術革新や高生産性産業の復活が必要になる。

米国の潜在成長率は長期的な低下トレンドにある

米国の潜在成長率は長期的な逓減トレンドにある。[第1図]は、シンプルなオークンの法則に基づき失業率の前期比変化とGDP成長率実績から潜在成長率を推計したものである。回帰式〔(実質GDP前期比年率成長率)=α*(失業率の前期比変化幅)+(定数項)〕における定数項は、失業率が変化しない水準の成長率、つまり潜在成長率を表す。2009年から2013年までの20四半期データに基づく米国の潜在成長率は約+1.8%と推計できる。これを過去に遡り20四半期ローリング回帰した結果をプロットしたのが[第2図]の点線グラフである。

米議会予算局(CBO)は、4日に公表した「2014-2024年財政・経済見通し(The Budget and Economic Outlook: 2014 to 2024)」において、米国潜在成長率推計の年次アップデートを行っている。CBO「見通し」による潜在GDP推計値に基づき現状の米国の潜在成長率を計算すると、2013年10-12月期時点で+1.7%と、上記推計に近い結果になった。また両者の推移を過去に遡ってプロットしてみると、いずれの推計値も潜在成長率が2000年前後にピークアウトしたのち逓減を続けたこと、また金融危機後2010年頃からやや持ち直しの兆しを見せていることを示唆している([第2図])。

しかし以下に述べるように、今後米国の潜在成長率が大きく反転上昇する可能性は低い。その要因、人口動態と社会環境による労働力増加ペースの減速、及び企業の設備投資に大きなのりしろ(slack)があることだ。今後潜在成長率が本格的に高まるためには90年代のIT革命のような技術革新による生産性向上が必要になる。以下、CBOの分析を参考に米国の潜在成長率の構造と行方を見てみる。

[第1図]
20140216図1
[第2図]
20140216図2

今後大幅な潜在成長率上昇は見込めない:米議会予算局見通し

CBOは、潜在GDP推計に当たり労働投入量・資本蓄積・全要素生産性の3つを説明変数とする生産関数を使用している。CBO推計による戦後から現在までの潜在成長率と各変数の寄与度の推移は[第3図]の通りである。すなわち、戦後から1970年までは労働投入量と資本蓄積の増加、及び生産性の向上で潜在成長率は高水準にあった。しかし、戦中の生産能力低下の反動による潜在成長率拡大は70年代に一服した。70年代以降は主に労働投入と資本拡大が潜在成長率を支えたが、生産性上昇がピークアウトしたことで全体の成長率は低下が続いた。ところが、90年代から2001年にかけてIT革命による全要素生産性の上昇が牽引役となり潜在成長率が再び上昇した。その後2001年以降は主に労働投入量と資本蓄積の減速が潜在成長率を低下させている。

今後の潜在成長率につきCBOは「見通し」で次のように予測している。すなわち「今後10年間に亘り潜在産出量は年率+2.1%の水準で成長する、これは1950年以来の平均成長率より大幅に低い」とし、その要因として、①ベビーブーマー世代の高齢化による潜在的労働力人口の伸び減速、②一部の人口層における労働参加率の低下(特に女性の労働参加率が最盛期からピークアウトしたこと)、③労働力人口増加減速による資本蓄積増の抑制、を挙げている。さらに、④リセッション影響の長期化、⑤連邦政府の税制と歳出政策、も潜在成長率を抑制する背景だとしている。潜在GDPの決定要因別には、まず非農業部門の労働投入量は上記の要因から「2018年~2024年の間年率+0.6%の増加」にとどまるとしている。非農業部門の資本蓄積は「2018年から2014年の間年率+3.2%の増加」「これは1980年~90年の平均よりも低いが2002年~2013年までの平均よりも高い」と予測し、その背景として「企業はリセッションの間手控えていた」ものの、上記労働力人口の伸び減速が資本蓄積を抑制するとしている。またこれらを合わせ、CBOは今回の「見通し」で潜在GDP推計値を前回(2013年2月)の推計値から下方修正した。

以上をまとめると、米国の潜在成長率低下は主に労働力人口の伸び率減少(ベビーブーマー世代引退という人口動態要因と、労働参加率低下という社会構造要因による)および、資本蓄積の減速が要因であり、この傾向は今後20年間ほぼ同様に継続するということになる。

[第3図]
20140216図3
[第4図]
20140216図4

労働力人口増加ペースの減速が潜在成長率の低下要因

CBO推計では米国で今後約2%の潜在成長率が維持できるとしているが、これは今後米国の潜在成長率が歴史的にみてかなり低位な水準で推移することを意味する。この潜在成長率が今後大きく上昇する可能性は既述の材料からは期待しにくく、またCBO予測にはどちらかと言えば下方リスクがあると見たい。

まず、企業の資本蓄積が今後CBO予測通りに拡大するかは不確実といえる。CBOによれば資本蓄積はリセッション期の設備投資手控えの反動で増加するとされている。しかしCBOも指摘している通り、潜在GDP下方修正後も米国経済には大きな「のりしろ」がある。CBO推計の潜在GDPを基に米国経済の需給ギャップを試算してみると、2013年10-12月期時点で-3.8%のマイナスとなる。今回のCBOによる潜在GDP推計値の下方修正により、昨年2月時点の推計値に基づく試算値よりも実際のマイナス需給ギャップはかなり小さかったことになる([第5図])。しかしながらその水準はリセッション前に比べてまだ大きい。筆者試算では今後毎年3%の成長が継続したとしてもマイナスの需給ギャップ解消には2019年までかかる計算になる。また、鉱工業生産指数は1月時点でリセッション開始時期である2007年12月の水準を回復しているにも拘らず、設備稼働率や失業率はまだ当該期の水準を回復していない。相対的に経済にはまだ大きなのりしろがある。こうした環境下では企業設備投資は当面大きな拡大は望みにくいと言える(企業設備投資見通しについては2013年11月13日付当レポート参照)。

次に、今後の生産性の持続可能性の問題がある。CBOの潜在成長率予測は全要素生産性が今後「2018年~2024年にかけて+1.2%」と「2002年以降より幾分早いペース」を維持することが前提となっている。ここで、全要素生産性の一部をなす労働生産性の推移を見てみよう。米労働省労働生産性統計によれば、非農業部門の労働生産性(時間当たり産出量)〔=(実質GDP)/(総労働時間))〕のトレンドは90年代のIT革命期に急上昇したのち2000年頃をピークに低下し、現在のトレンドは前年比+1.8%の水準にある。これは80年代後半から90年代前半の水準にほぼ相当する([第6図])。労働生産性の水準がこのレベルに今後も維持されるならば、米国の潜在成長率はCBO推計通りに今後平均2.1%レベルで推移する可能性が高いことになる。ちなみに2013年単年の労働生産性は前年比+0.6%の低位にあり、今後このトレンドが更に下方に向かう可能性もあるといえる。

[第5図]
20140216図5
[第6図]
20140216図6

労働生産性の伸びが鍵:技術革新か高生産性分野の復活に期待

労働力人口の伸び減速が人口動態と社会要因による構造的なものであり、経済ののりしろが大きい間は資本蓄積が伸びないならば、生産性の向上がなければ潜在成長率は加速しにくいことになる(米国の労働参加率低下要因については1月13日付当レポート参照)。過去の米国の労働生産性の伸びの推移を見ると、90年代から2000年にかけてインターネット中心のIT革命期に労働生産性が一躍向上したが、ITバブル崩壊後は(リセッション期に労働投入量減少で数値上労働生産性が上昇した時を除き)技術革新による労働生産性の大幅な向上は見られない。

経験則では一般に、労働生産性の伸びは非製造業よりも製造業の方が大きい。[第7図]によれば過去約20年の殆どの時期において、製造業の労働生産性の伸びが非農業部門全体を上回っている。これは、主に資本集約的な製造業が技術革新の恩恵をより受けやすいことに起因していると憶測できる。非製造業で主に知的サービスを提供する分野(IT技術者、経営コンサルタントなど)は製造業に比べより労働集約的な産業といえるが、かかる分野では産出量は主に従事する労働者の熟練度や労働時間に依存すると考えられる。

米国経済の産業構造は生産性の飛躍的向上を期待しにくい形状になっている。製造業のシェアは構造的に低下しており、民間雇用者数に占める製造業の割合は10%を切っている([第8図])。非製造業の中でも金融業や不動産業は伝統的に労働生産性の高い業種であるが、これらは金融危機以降その地位を大幅に後退させている。一方、非農業部門雇用者数のうち常に高い雇用増を示しているのが上記IT技術者やコンサルタントなどを含む「専門ビジネスサービス」分野である。また伝統的に生産性が低いとされる「医療・教育」分野も米国の雇用増を常に支える位置にある。さらに米国では他の先進国同様、資本集約的な製造工程を海外に移転する傾向があり、結果労働集約的産業が国内に残ることになる。こうした産業構造を前提とすれば、米国の潜在成長率上昇のために、新たな技術革新か労働生産性の高い分野の復活が期待されることになる。

[第7図]
20140216図7
[第8図]
20140216図8

<経済指標コメント>米小売売上は大幅減速

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米小売売上高(1月)は前月比-0.4%(前月同-0.1%)、除く自動車・同部品ディーラー同0.0%(前月同+0.3%)
1月小売売上高は2ヶ月連続のマイナスとなる前月比-0.4%、自動車・同部品ディーラーを除くベースでも前月比横ばいにとどまった。売上減となった業種は自動車・同部品ディーラー(前月比-2.1%)、衣服店(同-0.9%)、スポーツ用品・玩具・書籍店(同-1.4%)、百貨店(同-1.5%)など。また前月12月分も大幅下方改訂され前月比-0.1%の減少となった(速報値は同+0.2%)。家具店、家電店、レストランなどが大幅下方改訂された。結果、昨年のホリデー商戦売上高は、前月比+3.3%に下方改訂(速報は同+3.6%、1月21日付当レポート)となり、前年の同+4.3%から-1%に大幅減速との結果になった。小売の不振は米国の悪天候の影響と考えられる。天候回復次第再び消費は拡大ペースを強めると見る
20140215図1

米企業在庫(12月)は前月比+0.5%(前月同+0.4%)、企業売上高は同+0.1%(前月同+0.7%)
企業在庫は7ヶ月連続の伸びとなる前月比+0.5%の強い伸び、企業売上高はやや伸びが減速して同+0.1%にとどまった。結果在庫売上高比率は0.01上昇し、昨年4月以来の1.30に上昇した。3ヶ月前対比の在庫増をみると、積み上げペースがやや減速した。年末年初の悪天候による売上減速で、今後企業在庫は調整局面に入ると見る。
20140215図2

米鉱工業生産指数(1月)は前月比‐0.3%(前月同+0.3%)、設備稼働率は78.5%(前月78.9%)
鉱工業生産指数は6ヶ月ぶりの低下、電力・ガスなど公益事業のみが前月比上昇、製造業・鉱業はいずれも低下した。寒気の影響で電力ガス需要が増加の一方で生産は滞ったと見られる。設備稼働率も6ヶ月ぶりの低下。水準的には1972-2013年の平均値である80.1%にはまだ距離がある。鉱工業生産指数はリセッション開始時の2007年12月の水準を既に上回っているが設備稼働率はまだリセッション前の水準に戻っていない。経済全体ののりしろはまだ大きいと言える。
20140215図3

ミシガン大消費者センチメント(2月速報)は81.2ポイント(前月比横ばい)
消費者センチメントは前月比横ばい、水準は81.2ポイントの高水準を維持した。悪天候で雇用・個人消費が減速しているにも拘らず消費者センチメントは相対的に安定している。株価調整や、拡大失業給付停止なども消費者センチメントには向かい風要因であるが、今のところセンチメントは悪化していない模様だ。天候回復に伴い個人消費も回復に向かうとの見方を維持する。
20140215図4

縮小ペースに影響なし~米1月期雇用統計とFOMC見通し

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米1月雇用統計はまちまちな内容だったが、総じて雇用市場拡大ペースの堅調さを示唆するものと見る。本指標はFOMCの資産購入縮小ペース予想には影響せず、今後も定例会合ごとに100億ドルの縮小が決定されると見る。中期的視点からは、労働市場の流動性低下や業種別回復のばらつきなど雇用市場の脆弱さを示唆する要因もあり、ハト派のイエレン新議長がこれらを重視すれば緩和長期化のリスクもある。

非農業部門雇用者数は悪天候勘案すれば堅調な伸び

7日に公表された米1月雇用統計は表面上まちまちな内容となった。まず事業所調査では、非農業部門雇用者数は前月比+113千人と、前月の+75千人を上回ったものの新規失業保険申請件数との相関から予想された同+170千人レベルは大きく下回った。前月比の伸びの3ヶ月移動平均は+154千人と2ヶ月連続低下し、2012年6月以来の低水準となった。一方、前年同月比の雇用者数の伸びは+1.7%と前月並かつ過去1年間のほぼ中央値の伸び率を維持した([第1図])。

この結果は、米国が12月に続き強い寒気に見舞われたことを勘案すれば堅調な結果である。12月に米国を襲った悪天候は1月も継続した。米海洋大気局NOAAによれば全米中心気温は12月1月とも月平均で華氏32度(摂氏約0度)となっている。かかる悪条件を勘案すれば、12月、1月に雇用の伸びが減速するのは自然で、1月の+113千人増は通常なら+100千人台後半に相当する堅調な雇用の伸びと評価しできる。雇用の減速は一時要因と見ておきたい。

ただし、天候の影響もあり統計にやや乱れもある模様だ。1月の業種別の雇用増減を見ると、小売業が前月の大幅増から雇用減少に転じたのに対し、建設業は前月の減少から1月は大幅増加に転じている([第2図])。小売業の雇用減は12月までのホリデー商戦での雇用増からの反動と見れる。しかし、悪天候の影響を受けやすい建設業の雇用が1月に急増したのは違和感なしと言わざるを得ない。天候が回復して統計が安定するまで数字の扱いには注意が必要だ。なお、1月は事業所調査統計につき年次改訂が実施されたが、改訂による統計への影響は軽微だった([第3図])。

[第1図]
20140210図1
[第2図]
20140210図2
[第3図]
20140210図3

企業の雇用意欲を背景に今後は150-200千人増への回帰を見込む

今後は、天候回復後に雇用者数は再び毎月150~200千人の増加を続けると見る。労働省雇用統計では2ヶ月連続で大幅減速したものの、他の雇用関連指標には雇用市場の急激な悪化を示唆するものはない。ADP社集計の民間就業者数は、12月に前月比+227千人、1月に同+175千人と、11月同+289千人から2ヶ月連続減速したものの水準的には堅調な雇用の伸びを示している。

また企業景況感調査による雇用状況も同様である。1月ISM製造業指数は総合DIが前月比-5.2%ポイントの51.3%に急低下、雇用DIも同-3.5%の52.3%に低下した。しかしながら一方で、ISM非製造業指数は同+10.%ポイントの上昇で54.0%、雇用DIも同+0.8%ポイント上昇の56.4%だった。米国の民間雇用者数に占める製造業の割合は約10%にすぎず、残りの90%は非製造業が占める。製造業雇用DIと非製造業雇用DIを雇用者数の比率(1:9)で加重平均したDIは4ヶ月連続上昇となる56.0%となり、企業の雇用拡大はむしろ加速している。([第4図])。ここからも12月、1月の雇用統計の数字は一時要因によるものと推測できる。

なお、1月の時間当たり賃金の前年同月比の伸びは+2.2%と8カ月連続で2%台を維持した。雇用が現状の前年比+1.7~2.0%で増加すれば、時間当たり賃金の伸び約2%を加えて家計の購買力の伸びは約3%台後半から4%が維持できる計算になる。消費者物価上昇率を約1.5%として物価調整後の実質個人消費は2%台の伸びが十分に期待できる。

[第4図]
20140210図4

失業率は6.6%に低下しFOMCの条件に接近

次に家計調査を見る。1月の失業率は前月比-0.1%低下して6.6%に低下となり、FOMCがゼロ金利継続の条件としている6.5%に大きく接近した。内容を見ると、労働参加率が前月比+0.2%の63.0%に上昇、労働人口・就業者数のいずれもが前月比増加している。単月指標としては良い内容の失業率低下といえる。中期的に見ても労働参加率には底入れの兆しが見られ、今後雇用市場が労働人口を含め持続的拡大に転じると推測できる([第5図])。

ところで筆者は、労働参加率が今後上昇に転じても失業率が大幅に再上昇する可能性は低いと現在は考えている。1月13日付当レポートで論じたように、労働参加率の低下は相当部分が構造要因によると考えられる。労働人口から退出した人口のうち、就業意欲のある人口は昨年から減少に転じている。非労働力人口の増加に対する就業意欲のある人口の寄与はほぼその他の要因と同じ水準にまで低下している([第6図])。筆者試算では今後労働市場に人口が回帰することによる労働参加率の上昇余地は1%に満たず、これによる失業率再上昇はたかだか7%台前半位までと見る。

FOMCは2012年12月会合以来声明文で「少なくとも失業率が6.5%を超えている限り」例外的な低金利政策を継続することが適切としている。1月の失業率6.6%はこの閾値にあと0.1%にまで接近したことになる。ただし声明文は、6.5%以下の失業率をゼロ金利政策解除の自動トリガーとはしていない。寧ろそうした憶測を防ぐため、資産購入ペース縮小開始を決定した2013年12月定例会合の声明文で「失業率が6.5%以下に低下して十分な時間が経過する間」現在のゼロ金利政策を継続することが適切との文言が新たに追加された。従って、6.6%までの失業率低下は、FRBの緩和縮小ペースを直ちに加速させる材料にはならないと見るのが適切だろう。

[第5図]
20140210図5
〔第6図〕
20140210図6

緩和縮小ペースには変更なしと見る

以上から、1月雇用統計結果は、筆者のFOMCの金融政策予想に影響を与える材料にはならない。今後もFOMCは定例会合毎に100億ドルの資産購入ペース縮小を決定し、今年中に資産購入の停止を決定するとの予想を維持する。

確かに、非農業部門雇用者数の増加ペース減速は縮小ペース減速の材料になりうるし、失業率の低下は縮小ペース加速の材料ともなりうる。しかし、FOMCが単月の経済指標で金融政策スタンスを大きく変更するとは考えにくい。特に3月18-19日のFOMCはイエレン新議長にとって最初の定例会合となる。イエレン議長はバーナンキ前議長にくらべてハト派色・リベラル色に極めて強い人物ではある。しかし経済・金融環境に著しい変動がない限り、初回会合は前任者の政策との継続性を重視して市場にサプライズを与えない配慮をすると見るのが自然であろう。

雇用市場のいくつかの脆弱さがリスク要因

上記予想に対するリスク要因はいくつかある。米国労働市場は、雇用重視のハト・リベラルの観点からはまだ脆弱とみなしうるポイントがいくつかある。まず、労働市場の流動性がまだ完全に回復していない。米労働省の求人労働異動調査JOLTSによれば、雇用市場における採用数と離職者数の水準が金融危機前に比べてまだかなり低水準にある([第7図])。景気が拡大し雇用市場が活性化されている時期においては、採用数・離職者数のいずれもが高い水準にあり、かつ採用数が離職者数を上回る傾向がある。採用と離職の双方が高水準にあることはそれだけ自発的離職や転職が多く発生していることを意味する。その意味では現在の米雇用市場にはまだ十分な活力に乏しいといえる。

次に、求人率に対して失業率が相対的にまだ高いことである。欠員率=〔(求人数)/(就業者数+求人数)〕を縦軸に、失業率を横軸にとった所謂UV曲線は金融危機以降右にシフトしており、同じ労働市場需給状況でも高い失業率になる傾向がある([第8図])。また、上記で述べた労働参加率低下の原因についても、ハト派・リベラル派はこれを構造要因でなく循環要因と見る傾向がある。つまり現在の労働参加率低下は景気がまだ十分に回復していないことが背景であり、労働参加率の改善までは緩和政策を停止すべきでないとの考え方が提出されうる。

さらに雇用の絶対水準についても議論の可能性があろう。民間非農業部門雇用者数は金融危機によるリセッション開始月である2007年12月時点での水準にほぼ回帰している。業種別に見ると小売業は民間非農業部門全体と同様の回復を見せている。また長期的に米雇用を牽引している業種である専門ビジネスサービスはリセッション前の水準を上回っている。構造的に雇用が拡大している教育・医療はリセッション期にも雇用が拡大した([第9図])。しかし、民間非農業部門雇用者数が約6年前と同水準への回帰にすぎないことはハト派にとり物足りない可能性がある。また与党民主党の政策である製造業の雇用が増加こそすれリセッション前の水準に遥かに及ばないことは、リベラル派をして金融緩和の長期化を主張する心理的背景にもなりうる。こうした点をハト派のイエレン新議長が重視するならば、緩和長期化のリスクが浮上してくることになる。

[第7図]
20140210図7
[第8図]
20140210図8
[第9図]
20140210図9




消費意欲が経済を加速~米10-12月期GDP統計

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米国の10-12月期GDP統計は予想以上に好調で、四半期成長率は3.2%、2013年通年の成長率は1.9%との結果だった。個人への実質増税や連邦政府財政問題を巡る混乱にも拘らず内需が拡大していることは米国経済の底力と言える。2014年の成長率は2%台後半に上ぶれる可能性が出てきた。

10-12月期成長率は+3.2%、2013年通年は+1.9%

1月30日に公表された米国10-12月期GDP統計(速報)によれば、実質GDP成長率は前期比年率+3.2%と、筆者予想を上回る好結果となった([第1図])。前期の同+4.1%から4四半期ぶりに減速したが、前年同期比では+2.7%と3四半期連続の加速で、経済成長が加速サイクルにあることを示唆している。2013年通年の成長率は前年比+1.9%と前年の同+2.8%から減速した。しかし2010年以降4年間の平均成長率は約+2.3%と、米議会予算局の推計する潜在成長率(2010年から2013年は約+1.5%~1.7%)を上回る成長をほぼ安定的に継続している。

2013年は、年初に成立した「財政の崖」回避法で富裕層所得税増税と給与税2%減税廃止が決定され、個人消費への影響が成長押し下げ要因となると見ていた。更に10月には政府一部閉鎖が実施されるなど財政問題中心に不安定要素が大きかった。これらの向かい風を勘案すれば、通年1.9%の成長は上々の出来で、米国経済の底力を示したと言える。

2013年の成長が強いペースで終了したことは、2014年の成長率予想に対する上方リスク要因となる。筆者は2014年の成長率を前年比+2.3%と予想している(1月4日付当レポート参照)が、今回の結果からはこの予想が同+2.6%に上ブレる計算になる。ただし後述のように10-12月期の成長率は今後改訂の可能性があることから、現状では予想の上方修正を考慮するにとどめる。

[第1図]
20140202図1
[第2図]
20140202図2

個人消費と企業在庫が上ブレ、設備投資と住宅は下ブレ

10-12月期の成長率の需要項目別内訳をみると、成長の主な押上げ要因となったのが個人消費と純輸出、押下げ要因となったのが政府支出と住宅投資だった(上記[第1図])。個人消費は前期比年率+3.3%と前期の同+2.0%から大幅に加速して成長率を+2.26%押し上げた。また純輸出は輸出の増加を主因に財・サービス赤字が縮小したことで成長率を+1.33%押し上げた。一方で政府支出は歳出自動削減効果で前期比年率-4.9%の大幅減少で成長を-0.93%押し下げ、住宅投資は前期比年率-9.8%と13四半期ぶりのマイナス成長となった。民間設備投資は前期比年率+3.8%の小幅成長にとどまり、企業在庫は予想外に増加ペースが加速して成長を+0.42%押し上げた。

事前の筆者個人予想との比較では、個人消費と企業在庫が主な上ブレ要因だった。11月までの個人消費統計では、10-12月期の実質個人消費は前期比年率4%に達する強いものだったが、その後11月分の小売売上高統計が大幅下方改訂され、また12月には米国を襲った寒波の影響から消費減速が予想された。しかし、GDP統計並びに31日に公表された12月個人消費統計によれば、実質個人消費の下方改訂は10月分のみで、10-12月期の実質個人消費は前期比年率+3.3%の強い伸びであったことが判明した。

企業在庫は、7-9月期に大幅な積み増しとなり成長率を実に1.67%押し上げる要因となったことから、10-12月期にはその反動で成長にマイナス寄与することを予想していた。また在庫循環図からも企業在庫は在庫調整局面にある。しかし、企業在庫は10-12月期にもその増加ペースを加速させて成長率押し上げ要因となった。

総じて、米国経済は堅調な成長を続けていると評価できる。米国の内需を表す需要項目(個人消費・設備投資・住宅投資)の合計である国内民間最終需要の伸びは10-12月期で前期比年率+2.9%と、3四半期連続で加速している([第3図])。成長の撹乱要因となりやすい輸出・在庫・政府といった需要項目を除いたコアの国内需要は確実に拡大ベースを加速させていると言える。

[第3図]
20140202図3

貯蓄率は低下、限界消費傾向は高水準にあり、今年も消費が成長を牽引する

個人消費については、2014年も2013年並の2%成長を見込める。雇用の堅調な拡大と時間当たり賃金上昇率からは、名目の家計購買力は前年比+3%台半ばの伸びが期待できる。インフレ率を差し引いても2%の実質購買力の伸びになる計算だ。更に住宅価格上昇と株価上昇が継続すれば資産効果から更に消費の伸びが期待できる。金利上昇は消費へのマイナス要因となるが、住宅価格上昇がほぼこれを打ち消すことができれば資産効果が金利上昇をカバーできることは2013年12月31日付当レポートで見たとおりである。

更に、個人の消費意欲が個人消費拡大を支えるだろう。可処分所得から個人消費支出を差し引いた個人貯蓄の可処分所得に対する割合である貯蓄率は、2009年以降ほぼ一貫して低下基調にある([第4図])。また、個人消費支出変化幅の可処分所得変化幅に対する割合である限界消費性向は高水準にある。比較的短期期間による(8四半期)推計を行うと、限界消費性向は2013年10-12月期現在で0.98の高水準にある。2010年以降の限界消費性向はときに1を超えることがある([第5図])。消費者センチメントや消費者信用残高の回復により、消費者は可処分所得の増加分をほぼ消費に充てる傾向が続いている。これらの状況が続く限り個人消費は米経済の牽引役であり続けると見る。

ただし、堅調な個人消費には政府による家計支援が効果をあげていることは今後の消費への一つのリスク要因である。[第6図]によれば、家計の名目可処分所得は政府からの移転所得を除く名目個人所得を上回る状況が続き、金融危機以降はその乖離が拡大している。これは、個人が支払う税金以上に政府からの移転所得(失業保険給付、社会保障等)が家計所得を押し上げていることを表している。今年初に拡大失業給付が失効したことにより政府からの移転所得が年間200億ドル~490億ドル減少する計算になる(2013年12月15日付当レポート参照)。筆者予想では拡大失業給付は今年のいずれかの時点で再開されることを前提としている。従って拡大失業給付の再開如何は個人消費予想にとっての下方リスク要因である。

[第4図]
20140202図4
[第5図]
20140202図5
[第6図]
20140202図6

企業の設備投資への慎重姿勢は当面継続しそう

民間設備投資は3四半期連続のプラス成長となったものの10-12月期も前期比年率+3.8%と低成長にとどまった。内訳は構造物投資が同-1.2%と3四半期ぶりにマイナス成長になったほか、機器投資同+6.9%、知的財産投資同+3.2%といずれも一桁の伸びにとどまっている。機器投資の基礎統計である非国防資本財出荷は10-12月期に前期比年率+6.5%と3四半期ぶりのプラスの伸びを示していた。従って機器投資のプラス成長幅はほぼ予想通りといえる。しかし、好景気時には2ケタの伸びを示す民間設備投資が一桁の伸びにとどまっていることは、企業部門がまだ設備投資各台に慎重姿勢にあり、経済への企業部門の寄与度はまだ低い。

2014年も民間設備投資は1ケタ台の成長にとどまると見る。2013年11月30日付当レポートで、設備投資の決定要因として設備稼働率と企業キャッシュフローを見た。特に金融危機以降企業設備投資は企業キャッシュフローの範囲内に収まる傾向がある([第7図])。2013年(7-9月期まで)の企業キャッシュフローの前年比の伸びは+3.8%にとどまっており、これは2011年の同+9.1%、2012年の同+8.8%から大幅な減速になっている。企業キャッシュフローの伸びの鈍化は2014年の企業設備投資の大幅な加速が望みにくいことを示唆している。

また企業サーベイによる設備投資意欲も循環的な低下サイクルに入っているようだ。フィラデルフィア連銀の企業アウトルックサーベイにおける「6ヶ月後の設備投資」DIは、10-12月期平均で18.4%ポイントと前期の24.2%から大幅低下、また今年1月時点でも15.1%ポイントと低下基調にある([第8図])。

[第7図]
20140202図7
[第8図]
20140202図8

住宅投資マイナス成長はサプライズ、引き続きタイトな需給で住宅投資は堅調を見込む

住宅投資は前期比年率-9.8%と13四半期ぶりのマイナス成長となった。基礎統計である住宅着工件数は、10-12月期に前期比+13.5%と大幅な増加を示していたことからは、GDP統計上のマイナス成長は下方サプライズである([第9図])。もっとも過去3四半期において住宅着工件数の伸びとGDP統計上の住宅投資の伸びが反対の方向を示すことがしばしばあった。また特に12月は寒波の影響で住宅着工が減少している可能性が十分にある。ただ住宅投資については今後数値の上方改訂がある可能性もあると見ておきたい。

通年では住宅投資は前年比+12.0%と2年連続で2桁の成長率となった。2014年は主に循環要因から通年の住宅投資はやや減速するも、需給の引き締まりから10%に近い堅調な拡大を予想する。昨年末にかけては住宅販売戸数がやや伸び悩むなど住宅市場に若干の軟化が見られた。しかし中古住宅販売在庫期間は12月時点で4.9ヶ月と標準とされる6ヶ月を大幅に下回っている。住宅市場全体で在庫不足状態にあることには変わりない。むしろ供給側の要因で住宅建設が需要に追い付かない可能性があり、これが住宅投資の伸びを抑制する可能性がある。ただしその場合は住宅価格の伸びが更に加速する結果になるだろう。

[第9図]
20140202図9

政府支出は大幅マイナスだったが、2014年は超党派予算で歳出削減は緩和

政府支出は前期比年率‐4.9%と大幅なマイナス成長で、成長率を-0.93%押し下げた。内訳は連邦政府支出が同-12.5%の大幅減少に対し、州・地方政府は同+0.5%と僅かながらプラス成長になっている。財政管理法による連邦政府歳出自動削減と、10月の連邦政府一部閉鎖が主要因と考えられる。連邦政府支出と州・地方政府の実質支出額の推移をみると、州・地方政府支出が経済回復に伴い漸く底入れの兆しを見せているのに対し、連邦政府支出は2010年以降ほぼ一貫して減少している([第10図])。

2014年については政府支出の経済押し下げ効果は低減していくと見る。昨年12月18日に成立した超党派予算法により、裁量的支出の上限が緩和され、かつ2会計年度分の予算法が成立した。これにより裁量支出予算は2012年度比増加することが議会予算局により試算されている(2013年12月15日付当レポート当レポート参照)。2月7日に政府債務上限不適用の期限が到来し、2月中には政府資金が枯渇する可能性があることから、財政問題は依然リスクを孕んでいる。しかし、野党共和党は、オバマケア停止を予算成立の交換条件とするなどの強硬策が10月の政府一部閉鎖を招いたことが世論の反発につながったことから、2月の債務上限交渉はより妥協されやすい環境にあると見る。

[第10図]
20140202図10