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<経済指標コメント>日本の2月全国CPI(生鮮食品を除く総合)は前年比+1.3%

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[日本]
完全失業率(2月)は3.6%(前月比-0.1%ポイント)
2月の完全失業率は前月比-0.1%ポイント低下の3.6%、2007年7月以来の低水準にまで低下した。内訳を見ると、就業者数が前月比+0.2%増、完全失業者数が同-3.7%減と、就業者数増加と失業者数減少を伴う失業率の低下となっている。ただし、労働力人口は12月、1月と2ヶ月連続で減少ののち2月は前月比横ばいにとどまった(季節調整値)。また労働力人口(季節調整前)の前年比の伸びは2月で+0.3%と12月の同+0.8%をピークに2ヶ月連続で増加ペースを減速させた。また筆者試算による労働参加率は59.3%と、12月のピーク59.6%以降伸びが頭打ちになっている。失業率は低下を続けているものの、労働市場のダイナミクスはやや減速が見られる。
20140329図1
全国消費者物価指数(2月)、総合指数は前年比+1.5%、生鮮食品を除く総合指数は同+1.3%
2月の全国総合消費者物価指数は前年比+1.5%と前月の同+1.4%から伸びが加速、しかし生鮮食品を除く総合指数(コア指数)は同+1.3%と前月並の伸びに留まった。品目内訳を見ると、エネルギーの寄与度が+0.51%と引き続き高く、うち電気代が前年比+9.3%と高い伸びを続けていて総合指数の前年比の伸びを+0.32%押し上げている。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は同前年比+0.7と前月の同+0.6%からやや伸びが加速した。総じて消費者物価指数の伸びはやや減速していると見られる。
20140329図2
[米国]
新築住宅販売(2月)は年率440千戸(前月比-3.3%)、在庫期間は5.2ヶ月
2月の新築住宅販売は年率440千戸(前月比-3.3%)、また1月分も速報の同468千戸から大幅下方改訂され同445千戸となった。販売戸数の水準自体は高水準にあるもののその伸びは減速しており、前年比の販売戸数の伸びは-1.2%と2011年9月以来のマイナスの伸びに転化した。また販売減少に伴い在庫期間も3ヶ月連続で5ヶ月を上回る5.2ヶ月となった。しかし、引き続き住宅販売の需給はタイトかつ天候要因が一時的に販売を抑制しているまでと見る。3月以降の再加速に期待する。
20140329図3
耐久財受注(2月)は前月比+2.2%、非国防資本財(航空機関連を除く)は同-1.3%、同出荷は同+0.5%
1月の耐久財受注は3ヶ月ぶりの増加となる前月比+2.2%。しかしこれは振れの大きい航空機受注の増加によるもので、企業設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機関連を除く)は同-1.3%と過去3ヶ月間で2回目の前月比マイナスの伸びとなった。またGDP統計上の機器投資の基礎統計となる同出荷は前月比+0.5%と前月の同-1.4%からやや回復したもののその伸びは弱く、1-3月期の同出荷は前期比年率-0.1%のマイナスになるペース。民間設備投資のうちの機器投資は10-12月期に2桁の伸びを見せたが、1-3月期の機器投資は大幅減速になりそうだ。
20140329図4
実質GDP成長率(10-12月期確報値)は前期比年率+2.6%(改訂値同+2.4%)、同2013年通年は前年比+1.9%
10-12月期の実質GDP成長率(確報値)は前期比年率+2.6%と、改訂値の同+2.4%から上方改訂。全体の改訂幅は小幅だったが需要項目別では大幅改訂も見られる。実質個人消費は前期比年率+3.3%と改訂値の同+2.6%から大幅上方改訂され、ほぼ速報値当初と同じ伸びとなった。ただし実質個人消費の上方改訂は10,11月分で、12月はマイナスの伸びになっている。一方民間設備投資は同+5.7%と改訂値の同+7.3%から大幅下方改訂。また企業在庫の伸びも下方改訂され、寄与度は改訂値の+0.14%から確報値では-0.02%のマイナスになった。1-3月期の実質GDP成長率は2%程度の伸びを見ているものの引続き下方リスクがある。なお、2013年通年の成長率は前年比+1.9%で改訂値と不変。
20140329図5
実質個人消費(2月)は前月比+0.2%、個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年比+0.9%、同コアは同+1.1%
2月の実質個人消費は前月比+0.2%と、寒波にも拘らずまずまずの伸び。内訳は耐久消費財が同+0.1%、非耐久消費財が同+0.3%、サービスが同+0.2%となっている。1月は寒波の影響で財消費が大幅減少、電力などサービス消費が大幅増加という異例の形だったが、2月にはその影響も安定したと見れる。また、10月、11月分の実質個人消費が上方改訂されており、10-12月期のGDP統計(確報値)上の実質個人消費は前期比年率+3.3%と強い伸びに上方改訂された。しかし、3月が前月比横ばいだった場合1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は同+1.5%にとどまる計算になり、1-3月期の消費は寒波の影響で一時的に減速しそうだ。消費者インフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年比+0.9%と4ヶ月ぶりに1%を割り込んでおり、統計上はデフレ圧力が続いている。しかし、需給ギャップに比して現在の米インフレ率は低すぎ、年末にかけてPCEデフレータは前年比+1%台後半に伸びを加速させると見る。
20140329図6


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<経済レポート> 継続性重視で来年利上げへ~3月FOMC

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イエレン議長最初のFOMC定例会合は、議長が金融政策の継続性を重視しているとの結果になった。フォワードガイダンス文言の変更は政策意図の変更を伴うものではなく、これまでの筆者個人の金融政策予想は維持できる。年内に資産購入停止、来年に利上げ開始と引続き見る。

資産購入縮小と新フォワードガイダンスは政策の継続性を重視

3月18-19日に開催されたFRB連邦公開市場委員会(FOMC)は、イエレンFRB新議長にとって最初の定例会合だった。19日の声明文では、予想通り資産購入ペースを合計100億ドル縮小して4月から合計550億ドルとするが決定が公表された。また、失業率が低下して従前のFOMCの閾値6.5%に接近したことから、声明文では利上げに関するフォワードガイダンス文言が変更された([第1表])。

3月FOMC声明文におけるフォワードガイダンス文言変更は、一言でいえば失業率に関する数値基準の削除である。従前の「少なくとも失業率が6.5%を上回り、1-2年後のインフレ率が委員会の2%長期目標を0.5%以上上回らず、長期インフレ期待が抑制されている限り」現在の0-0.25%のFF金利誘導目標を維持するとの文言を一旦削除し、代わって従前の「労働市場・インフレ率、インフレ期待・金融市場動向」に関する指標の考慮に関する文言を一部修正して、「現在のFF金利誘導目標0-0.25%をどれほどの期間維持するかの決定に当たっては、委員会は―実績と期待の双方につき―その雇用最大化と2%インフレ目標に向かっての進捗を評価する」「この評価は、労働市場条件の指標、インフレ圧力指標、インフレ期待指標、金融市場動向の指標を含む広い範囲の情報を考慮する」とした。さらに「委員会は現在、雇用とインフレが使命と整合的な水準に近づいた後も、当面の間委員会がFF金利を委員会が長期的に正常と見る水準より低く維持することを経済条件が正当化すると期待する」との新たな文言を追加した。

このフォワードガイダンス文言変更は、声明文にもあるように「委員会のいかなる政策意図の変更を示唆するものではな」い。失業率が従前の閾値である6.5%に接近したことから、閾値接近後の政策決定プロセスを明確化したものにすぎなない。新たに設定されたフォワードガイダンスは従前の数値基準に比較してやや定性的表現に留まっているともいえる。しかし「労働条件・インフレ圧力・インフレ期待・金融市場動向」に関する指標について新たな数値基準を設けることは「政策意図の変更」とみなされることで中銀政策の信頼感低下のリスクなしとしない。今回のフォワードガイダンス文言変更は政策意図の継続性重視というスタンスの反映と考えられる。従って、今回のフォワードガイダンス文言変更はFOMC金融政策についての予想に変更を要するものではない。2014年内に資産購入停止、2015年に利上げ開始との筆者の個人予想を維持したい。

[第1表]
20140323表1

イエレン新議長の労働市場評価はポジティブ:委員の太宗は2015年利上げを予測

イエレンFRB議長の会合後の記者会見冒頭発言テキストでは、声明文同様にフォワードガイダンス文言変更が政策意図の変更ではないことを改めて強調したうえで、雇用最大化と2%インフレ率という政策目標に対する進捗は「総じて不変」とし、従前のFOMCの判断との継続性を強調した。今年に入ってからの経済指標の軟化については声明文で「一部に悪天候条件により、経済活動は冬季に減速した」とした通り、天候による一時要因との見解を示した。

労働市場に関するイエレン議長の評価は概してポジティブである。「労働市場条件は改善を続けた」「縁辺労働者や経済的理由からパートタイム労働に従事する労働者は失業率以上に低下」「労働参加率は上昇」として、議長が重視する労働市場指標の改善を述べている。これは昨年12月の定例記者会見での評価からは明らかに好転している。12月の定例記者会見で当時のバーナンキ議長は「労働参加率の低下」と「求職意欲を喪失した潜在的な労働者」の存在を労働市場の懸念事項として挙げていた。労働市場重視のリベラル派であるイエレン議長が現在の労働市場をかようにポジティブに評価したことは今回のFOMCの数少ないサプライズの一つとも言える。ここには、個人の学説よりも金融政策の継続性を重視するイエレン氏の議長としての配慮がうかがわれる。ただし声明文にもあるように失業率は「高い水準にある」ことは記者会見でも改めて強調された。

なお、3月定例会合では、ほぼ四半期毎に行われるFOMC委員の経済予測が公表された([第2表])。実質GDP成長予測は前回12月時点からほぼ不変で、中心傾向は2014年が2.8-3.0%(第4四半期前年同期比)とされた。一方で失業率については2月までの予想以上の失業率低下を反映して委員予測も下方シフトし、2014年予測の中心傾向(第4四半期)は6.1-6.3%となった。インフレ率については12月予測とほぼ不変で、2014年のPCEインフレ率予測の中心傾向は1.5-1.6%となった。なお、適切な利上げ時期については、2015年の利上げを予測する委員が12月時点より1人増加して13人となり、ほぼ大多数の委員が2015年の利上げを予測するという結果になっている。

[第2表]
20140323表2

成長は上ブレリスクあり、6.5%の失業率は持続的に維持可能

以下、FOMC委員予測と筆者個人の予想を対比しながら金融政策の行方を検証してみる。まず実質GDP成長率のFOMCの予測は、筆者個人の予測に比べてやや楽観的である。筆者は2014年第4四半期の成長率(前年同期比)を+2.4%レベルと見ている。これに対しFOMC委員予測の中心傾向2.8%-3.0%はかなり意欲的な予測といえる([第1図])。しかしながら、米国のGDP統計はここのところ予想比上ブレの傾向があるため、委員予測の実現もあながち非現実的とは言えない。10月の政府機関一部閉鎖の悪影響は予想より小さかっ上、年末から2月にかけての寒波の影響も統計をさほど悪化させているようには見えない。実際、9月時点の2013年成長率予測2.2-2.3%がかなり楽観的に見えたにも拘らず、結果的に同期の成長率が前年同期比+2.5%に着地したことは、引き続き米国経済が上ブレリスクを孕んでいることを示唆する挿話といえる。

次に、失業率についてはほぼFOMC委員の予測とおりの低下が見込めるとみてよいだろう。米国の需給ギャップと失業率との相関から推計される今後の米国失業率は、今後米国が3%成長を継続した場合に2015年初に6.5%にまで低下する計算になる([第2図])。実際の失業率は2月時点で6.7%の水準にあり、この推計値をやや下回るレベルにある。今後労働参加率の持ち直しにより失業率低下ペースはやや減速する可能性が高いものの、FOMCの従前の閾値である6.5%レベルの失業率は概ね今年一杯で持続的に維持できると考えるのが自然であろう。

なお、米議会予算局CBOは2014年2月の「経済・財政見通し」において、米国のマイナスの需給ギャップ推計値を大幅に縮小方向に改訂した(2月1日付当レポート参照)。従前のCBO需給ギャップ推計値からは6.5%の失業率達成は2016年中でも困難との計算であったが、需給ギャップがこれまでの想定より小さかったことからら、失業率の低下予測はより正当化されやすくなったといえる。

[第1図]
20140323図1
[第2図]
20140323図2

インフレ率は今後上昇へ:資産購入の年内停止と来年の利上げ予想を維持する

更に、インフレ率も現在はFOMCの2%目標を大幅に下回っているものの、年内には概ねFOMC委員の予測(中心傾向1.5-1.6%)に沿った水準に回帰すると見る。FOMCが参照するインフレ率である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の前年比の伸びは1月時点で+1.2%と、2%目標を大幅に下まわっている([第3図])。しかしながらこの水準は、需給ギャップとインフレ期待から推計されるインフレ率を大幅に下回っており、いずれは上方に回帰していくと筆者は考えている。[第4図]は、失業率と期待インフレ率(ミシガン大学消費者センチメント調査における12ヶ月後期待インフレ率)とを変数とする回帰分析によるコアPCEデフレーターの前年比の伸び率の推計値とその実績値である。これによれば、現在のコアPCEインフレ率は1.8%レベルが適正との計算になる。FOMCが予測する通り、今後1年間はインフレ率は2%目標を下回るもののその水準に向かって徐々に上昇していくとみておきたい。

今後のFOMC金融政策について、2014年内に資産購入停止を決定し、2015年半ばに利上げ開始するとの筆者個人の予想を維持する。定例会合毎に100億ドルの縮小ペースだと、遅くとも今年12月の定例会合までにはFOMCは資産購入の終了が決定される計算になる。10-12月期の米国成長率(改訂値)は前期比年率+2.4%と速報値から大幅下方改訂となったものの、筆者の当初予想より上ブレた(3月2日付<経済指標コメント>参照)。今年に入ってからの経済指標も寒波の影響はさほど大きくはなさそうである。従って米国経済・労働市場・インフレ率は概ねFOMC委員予測の中央値に整合する形で推移する可能性が高い。イエレン議長は19日の記者会見の質疑応答で、成り行きでの資産購入停止時期を「今年の秋」と述べた。また同じ質疑応答で「資産購入終了後相当の期間」につき「定義はしにくいが恐らく6ヶ月位」と回答したこともこの見方を支持している。

[第3図]
20140323図3
[第4図]
20140323図4

<経済指標コメント>寒波で生産指標はまちまち

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[米国
鉱工業生産指数(2月)は前月比+0.6%、設備稼働率は78.8%(前月比+0.3%ポイント)
2月の鉱工業生産指数は1月の前月比-0.2%低下から反転して+0.6%の上昇。内訳は製造業同+0.8%(前月同-0.9%)、鉱業同+0.3%(前月同+0.5%)、公益事業同-0.2%(前月同+3.8%)。製造業が前月の大幅低下から反発した一方、電力・ガスなどの公益事業は前月比やや低下したものの前月の大幅上昇を受け依然として高水準にある。製造業生産のブレと公益事業の高水準はいずれも天候要因による変動と考えられる。昨年末からの鉱工業全体の生産指数のトレンドは前年比+2.8%と4ヶ月連続減速方向にある。天候回復後の指標回復に期待したい。
20140322図1
住宅着工件数(2月)は年率907千戸(前月比-0.2%)、着工許可件数は同1,018千戸(同+7.7%)
2月の住宅着工件数は前月比微減の年率907千戸(前月比-0.2%)、恐らく悪天候の影響で3ヶ月連続の減少となったが、下げ止まりの兆しが見られる。着工許可件数は前月比大幅増の年率1,018千戸(同+7.7%)と、今後住宅着工が再び増加に転じることを示唆している。ただし1-2月の平均住宅着工件数は10-12月期比-9.9%のマイナスで、1-3月期GDP統計上の住宅投資は2四半期連続のマイナス成長になる可能性がでてきた。
20140322図2
消費者物価指数(2月)は前月比+0.1%(前年比+1.1%)、同コア指数は前月比+0.1%(同+1.6%)
消費者物価指数は総合指数、コア指数ともに前月比+0.1%のやや弱めの伸び。品目別にはエネルギーが前月比-0.5%と総合指数を押し下げた一方、食品が同+0.4%と指数を押し上げた。ただしエネルギーの内訳は、ガソリン価格が同-1.3%と下落した一方で暖房油が同+4.1%と大幅上昇している。これは寒波の影響でガソリン需要が低下、暖房油需要が上昇したことを反映している。前年比の伸びは総合指数が+1.1%と依然としてFRBの政策目標を大きく下回っている。しかし、現在の需給ギャップとの相関による推計値から現在のインフレ率は大幅下方乖離しており、年後半にかけてインフレ率は1%台後半に上昇すると見る。
20140322図3
中古住宅販売戸数(2月)は年率4,600千戸(前月比-0.4%)、在庫期間は5.2ヶ月(前月比+0.3ヶ月)、中央販売価格は前年比+9.1%
中古住宅販売戸数は2ヶ月連続減少となる年率4,600千戸(前月比-0.4%)、2013年6月をピークにその後7ヶ月中6ヶ月で前月比減少という低下サイクルにある。販売減少に伴い在庫期間は5.2ヶ月と3ヶ月ぶりに5ヶ月を超えた。中央販売価格は前年比+9.1%と伸び率は低下傾向にある。公表元の全米不動産協会は悪天候が「販売契約を遅延させており」「今後は販売の好転が見込める」としつつも「在庫不足と住宅ローン貸出条件は昨年にくらべ悪い条件」であることは不変、としている。天候回復後は一旦販売は増加するものの、その反発力は信用条件と在庫状況にかかっているといえる。
20140322図4

<経済レポート> 下方リスク抱えつつ拡大へ~日本経済定点観測

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日本の2014年度の成長率は前年度比2%台前半に留まる見込みで、当初予想の2.7%から大きく下ぶれることになる。消費税引上げを前に景況感も一時的と見られる低下を示している。しかし、雇用拡大ペースの加速と賃金上昇が家計消費の伸びを支えるだろう。また、駆け込み需要が予想比少なかったことは反動減もその分緩和されると見ることができる。2014年の日本経済は消費税引上げによる一時後退後は再び拡大に向かうと見る。

駆け込み需要は今のところ想定以下にとどまっている

10日に公表された日本の10-12月期実質GDP成長率(2次速報値)は前期比年率+0.7%と、1次速報値の同+1.0%から下方改訂、2四半期連続の減速となった([第1図])。2013年(歴年)の成長率は前年比+1.5%に着地した。1月時点の筆者個人予想(1月4日付当レポート参照)では、消費税引上げ前の駆け込み需要と財政出動による公的需要により10-12月期の成長率を数%台とみていたが、結果はこれを大きく下回った。また2013年通年の成長率は筆者予想2%から下ブレ、2013年度の成長率も筆者予想の前年度比+2.7%の達成は困難で、2%台前半に留まる見込みである。

10-12月期の成長率下ブレ要因は大きく2つある。ひとつは財貨・サービス収支赤字の拡大で純輸出が成長を-1.7%押し下げたこと。因みに、財貨・サービス輸出入の伸びの内訳は輸出が前期比年率+1.7%、輸入が同+14.7%と、主に輸入の急増と輸出の軟化が表面上の成長率を押し下げた結果となっている。これは内需の増加を示唆する好材料ともいえる。ちなみに、個人消費・企業設備投資・住宅投資を合わせた国内民間最終需要の伸びは前期比年率+2.4%とむしろ前期より加速している。

次に、内需加速とはいえそのペースが予想よりも弱かったことである([第2図])。成長率に対する家計消費支出の寄与度は消費税引上げ前の駆け込み需要期に寧ろ伸びが軟化している。消費税引上げ前の駆け込み需要につき筆者は、消費税引上げ後に起きる需要縮小をGDPの-0.45%(消費税1%当たり-0.15%=内閣府短期マクロ計量モデル2011年版による)とし、それと同額の駆け込み需要が引上げ直前の2四半期に創出されるとして10-12月期、1-3月期の成長率を前期比年率でそれぞれ約+2%強押し上げると見ていた(2013年11月17日付当レポート参照)。しかしながら10-12月期に関する限りその結果は予想を大きく下回っている。また、財政出動に伴う公的需要の伸びは、総額10.3兆円の「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が閣議決定された2013年1月以降その伸びが一時的に加速したが、すでにその効果は逓減している。

[第1図]
20140316図1
[第2図]
20140316図2

消費税引き上げ前の景況感悪化は一時的:1月の消費は好調、反動減も緩和方向と見たい

4月に実施される消費税率引上げを前に、家計関連の景況感は既に低下している。内閣府景気ウォッチャー調査によれば、2月の先行き判断DIは前月比-9.0ポイントの大幅低下となる40.0ポイントで、2ヶ月連続で横ばいを示す50ポイントを下回った(3月15日付<経済指標コメント>参照)。先行き判断DIの内訳を見ると、特に家計動向関連DIの低下が目立ち36.7ポイント(前月比-10.1ポイント)となっている([第3図])。家計動向関連DIの分野別DIで低下が目立つのは、小売関連特に「衣料品」「家電」「自動車」などの項目で、主に耐久消費財など消費税の影響を受けやすい分野に集中している。

また、内閣府消費者態度指数は2月時点で38.3ポイントと3ヶ月連続低下している。内訳を見ると、「耐久消費財の買い時判断」が前月比前月比-4.0ポイント低下の32.7となっており、ここにも消費税引上げが消費者景況感に影響を与えていることが示唆されている。また消費者態度指数の四半期平均の推移は2013年4-6月期をピークに低下に転じており、今後の家計消費支出が更に減速に向かうことを示唆している([第4図])。

もっとも、これらの景況感悪化は、内容を見る限りでは消費税引上げを主因とするものであって、想定の範囲内かつ一時的なものだといえる。また、筆者は、消費税引上げ前の駆け込み需要とその反動減は同額であり、結果的に消費税引上げは総需要額に対してニュートラルであると前提している。駆け込み需要が予想比小さかったことは消費税引上げ後の需要反動減もその分小さいと考えることができるから、消費税引上げ後の家計消費への一時的なマイナス影響が却って緩和されたと見ることが可能である。また足元では、内閣府消費総指数が1月に前月比+1.1%の強い伸びを見せており、10‐12月期に低迷した家計消費が1-3月期には大きく反発する可能性が高いことを示唆している。従って1-3月期の成長率は消費税引上げ前に数字の上では再び加速している可能性が高い。

[第3図]
20140316図3
[第4図]
20140316図4

雇用拡大ペースは加速中、労働需給からは賃金上昇も期待できる

中期的にも日本の家計消費は消費税引上げ直後の一時的減少の後は再び堅調に推移すると見る。ひとつは賃金が漸く上昇の兆しを見せてきたことである。1月厚生労働省「毎月勤労統計」によれば、現金給与総額のうち所定内給与の前年比の伸びが+0.1%と、2012年3月以来約2年ぶりにわずかながらプラスに転じている([第5図])。2012年3月のプラス転化は前年の東日本大震災による現金給与減少の反動増であるから、この要因を除けば実態的な所定内給与の伸びのプラス転化はリーマンショック直前の2008年8月以来のこととなる。更に今年は複数企業において給与ベースアップ実施が見込まれており、賃金上昇は今後加速することが十分に期待できる。

また雇用も拡大が加速している。総務省「労働力調査」によれば、就業者数の前年比の伸び率のトレンドは1月現在で約+1%レベル、労働力人口のそれは約+0.6%レベルにある([第7図])。日本の労働力化率は2012年にかけて低下トレンドにあったが、2013年以降現在まで反転上昇に転じている。労働参加率の低下が続く米国と異なり、新たな労働力が労働市場に参入しつつ失業率が低下するという良い形になっている。もっとも、消費者物価指数の前年比の伸びが1%を超えて上昇している現在では、1%の雇用の伸びでは実質ベースの消費拡大につながる購買力の確保は困難である。持続的な実質ベース購買力上昇のためには、雇用拡大または賃金上昇ペースの更なる加速が必要である。

失業率と所定内給与の関係を示すシンプルなフィリップス曲線によれば、現在の完全失業率3.7%は、所定内給与の約+0.6%の上昇に相当する水準である([第6図])。政府要請によるベースアップ実施によらずとも、労働市場の需給関係からも賃金上昇は十分に正当化できるが、一方で失業率が日本の自然失業率とされる3%にまで低下しても所定内給与上昇率は1.3%に留まる計算になり、これは現在のインフレ率をほぼカバーできる水準にすぎない。総需要の拡大による雇用拡大ペースの加速が家計消費の持続的拡大の鍵となる。

[第5図]
20140316図5
[第6図]
20140316図6
[第7図]
20140316図7

反動減後は再び潜在成長率を上回る拡大へ:外需と株価は下方リスク要因

他の内需関連需要項目も堅調な推移を予想する。企業設備は10-12月期まで3四半期連続のプラス成長を実現するまでに回復した。家計部門の景況感減速とは対照的に企業部門の先行指標は好調で、企業設備投資の堅調な回復は継続しそうだ。内閣府機械受注統計によれば、1月の船舶・電力を除く民間内需の機械受注は10-12月期比+4.0%の伸びを示しており、現在では前期を上回るペースを維持している([第8図]、3月15日付<経済指標コメント>参照)。また、昨年12月に成立した平成25年度補正予算には「好循環実現のための経済対策」合計約5.5兆円が盛り込まれた。緊急経済対策の成長押し上げ効果が剥落しつつある中、引き続き新たな経済対策が成長を底支えするだろう。筆者概算では、この新たな経済対策の効果は、消費税引上げ後の一時的な需要減を補ってやや余りあるものとみている。

総じて2014年は1-3月期に駆け込み需要で成長はやや加速、4-6月期には駆け込み需要の反動減で一時的なマイナス成長になるものの、その後再び経済は堅調な拡大に転ずると見る([第9図])。2013年度の成長率は1月時点での予想を下回る前年度比+2.2%に留まりそうだが、それでも3年度ぶりの2%超成長を実現できる。2014年暦年の成長率は1月時点の予想とほぼ変わらず前年比+1.9%、2014年度成長率は前年度比やや上方修正して前年度比+1.5%を新たな筆者予想とする。この結果日本は潜在成長率レベルかそれを上回る成長を3年連続で実現し、マイナスの需給ギャップ縮小によりデフレ圧力は更に逓減することになる。

この予想はしかし、相対的には下方リスクの方が上方リスクよりも大きいといわざるを得ない。リスク要因は、地政学リスク拡大懸念による外需の更なる軟化と、地政学リスクに加え所謂アベノミクスのアナウンスメント効果逓減による株価下落である。後者について筆者は日経平均が年末にかけて上昇することをメインシナリオとしている。しかしながら現在の株価は筆者予想を下回って推移しており、テクカルにも消費税導入時期にかけて更に下方リスクが高まっている。消費者の景況感が株価下落により更に悪化すると2014年についての上記予想が下ぶれる可能性には留意する必要がある。

[第8図]
20140316図8
[第9図]
20140316図9


<経済指標コメント>米2月小売上高は前月比+0.3%

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[米国]
小売売上高(2月)は前月比+0.3%、同除く自動車・同部品は同+0.3%
2月小売売上高は3ヶ月ぶりの前月比増加となる前月比+0.3%。内訳ではスポーツ用品・玩具・書籍店(同+2.5%)、薬局(同+1.2%)、無店舗小売店(同+1.2%)などが売上を伸ばした。寒波の影響を受けた12月、1月から持ち直した形ではある。ただし前年比の伸びは+1.5%と2009年以来の低い伸びにとどまっており、また12月、1月分は大幅に下方改訂され、それぞれ同-0.3%、-0.6%となった。個人消費統計の基礎統計になる、自動車・ガソリンスタンド・建設資材を除くベースでは前月比+0.3%と前月の同-0.6%からやや回復。このベースでは、3月の売上が2月並だった場合1-3月期売上は前期比-0.4%と、10-12月期の+0.8%からマイナスに転化する見込み。1-3月期のGDP統計上の個人消は前期比年率2%レベルの成長を予想するも下方リスクがでてきた。
20140315図1
企業在庫(1月)は前月比+0.4%、企業売上は同-0.9%
1月の企業在庫は前月比+0.4%の増加。3ヶ月前対比の在庫増加ペースは2ヶ月連続で減速した。10-12月期までは企業在庫の積み上げ加速がGDPを大きく押し上げたが、1-3月期は成長への寄与度は低下すると見る。企業売上は悪天候の影響で2ヶ月連続減少となる前月比-0.9%の大幅減、これにより在庫売上高比率は2ヶ月連続上昇し1.32となった。在庫循環図上は在庫調整局面とみられ、今年後半にかけて企業在庫増加ペースは減速すると見る。
20140315図2
ミシガン大学消費者センチメント指数(3月速報)は79.9ポイント(前月比-1.7ポイント)
ミシガン大学消費者センチメント指数は2ヶ月ぶりの低下。ただし中期的には相対的に高水準で推移している。株価上昇がセンチメント押し上げ要因、悪天候が押し下げ要因となっていると考えられる。今のところは個人消費の堅調な推移を支持する内容といえる。
20140315図3

[日本]
景気ウォッチャー調査(2月)、現状判断DIは53.0(前月比-1.7ポイント)、先行き判断DIは40.0(同-9.0ポイント)
景気ウォッチャー調査によるDIは現状・先行きともに低下。特に先行き判断DIは前月比-9.0ポイントの大幅低下となる40.0ポイントと、横ばいを示す50ポイントを2ヶ月連続で下回った。水準的には東日本大震災直後の2011年4月以来の低水準となった。公表元の内閣府は「消費税引上げ後の需要の反動減やマインド定価への懸念」が主要因としている。消費税引上げが主因であれば景況感低下は一時的なものと見ることができる。ただし日本経済の指標は10-12月期実質GDP成長率が大幅下ブレ(2次速報値は前期比年率+0.7%と2四半期連続で1%を下回った)するなど下方リスクを抱えていると見る。
20140315図4
機械受注(船舶・電力を除く民需)(1月)は前月比+13.4%
1月機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+13.4%の大幅な伸び、前月の同-15.7%から反発した。前年比の伸びも+26.6%、同3ヶ月移動平均も+16.7%と高い伸び率にある。企業部門の需要は消費税前の駆け込み需要もあり加速しており、1-3月期のGDP統計上の民間設備投資は4四半期連続のプラス成長を見込む。ただし2月以降の景況感の軟化と4月の消費税引上げによる需要反動減はリスク要因である。
20140315図5

<訂正>「小売売上高(2月)」内の数値・記事に誤記があり、3月30日に訂正しました。

<経済レポート> 残るは住宅ローン~米国家計バランスシート調整

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米国の家計バランスシートは金融危機後の調整ののち拡大に転じ、現在家計の純資産額は金融危機前を大幅に上回っている。しかしこのバランスシート改善は主に株価や住宅価格の上昇に依存している。一方、住宅ローン返済による債務圧縮(デレバレッジ)はまだ十分ではなく、ローン延滞率も高水準にある。住宅の資産効果が消費に波及するには、今後も住宅価格上昇と併せ住宅ローン延滞の解消が必要である。

家計純資産は金融危機前の水準以上に回復している

米国の家計バランスシートは確実に改善している。6日に公表されたFRBの資金循環統計Financial Accounts of the United Statesから作成した、2013年10-12月期までの家計の資産・負債の推移が[第1図]である。まず、家計の総資産額はリセッション入り直前の2007年にピークをつけた後住宅バブル崩壊や金融危機により急落し2009年にボトムを付けた。その後株価・住宅価額の回復で資産価額は上昇、現在の資産価額は既にリセッション前の水準を上回っている。

次に家計負債額は、住宅バブル期に住宅ローン借入で増加し2008年にピークを付けた後、住宅バブル崩壊で住宅ローン借入の伸びが頭打ちになり負債額はゆるやかに減少を続け、ボトムを付けたのは2012年だった。その後家計負債残高はやや持ち直して現在までに僅かに増加に転じつつある。

これらに伴い、家計純資産額(家計資産額-家計負債額)は2007年に約69兆ドルでピークアウトののち2009年にかけ約56兆ドルにまで減少したが、その後再び増加して現在では約80兆ドルと2007年の水準を大幅に上回っている。また、家計純資産の家計総資産に占める割合も現在では約85%強と、リセッション前のピークである約84%を上回っている([第2図]。ここからは、2007年からの住宅バブル崩壊と金融危機を契機に始まった家計のバランスシート調整は既に終了しているといえる。

[第1図]
20140309図1
[第2図]
20140309図2

住宅関連バランスシートはデレバレッジ途上にある

ただし、このバランスシート調整にはある顕著な傾向がある。家計純資産の回復は主に資産価額の上昇によるところが大きいことだ。また負債額は金融危機後も大きな調整は進まず、その後の増加ペースも力強いものとは言えないことだ。[第3図]によれば、現在の家計総資産額は金融危機前を大きく上回っているが、家計負債額は金融危機後も余り減少せず、その後の増加ペースも遅い。また家計資産の増加には金融資産価額の上昇が大きく寄与している。

資産サイドでは、NYダウ平均が2013年に史上最高値を更新したのに比べ、S&Pケースシラー住宅価格指数はまだ金融危機前の水準に戻っていない。家計負債増加の内訳をみると、自動車ローンやクレジットカードなどの消費者ローン残高は2010年から増加に転じ、現在では金融危機前の水準を大幅に上回って増加しているのに対し、住宅ローン残高は未だに減少基調が継続している([第4図])。

以上から、家計のバランスシート調整は全体としては終了しているものの、住宅ローンに関する限りまだ調整局面つまりデレバレッジ途上にあり、住宅ローン借入増加によるレバレッジ拡大開始には至っていないことが分かる。家計のレバレッジ再拡大は主に金融資産や消費者ローン借入の増加によるもので、金融危機以前のバランスシート拡大の牽引役であった住宅価格と住宅ローンに関わる部分は未だ調整過程にあると言える。

[第3図]
20140309図3
[第4図]
20140309図4

まだ高水準のローン延滞率

住宅に関わる家計バランスシート調整がまだ途上であることは以下の指標からもわかる。まず、家計の不動産価額(主に住宅)から住宅ローン残高を差し引いた持家純資産額(オーナーズエクイティ)は住宅バブル期に13兆ドルを超えていたが、現在では約10兆ドルと、まだピーク時の水準に達していない。持家純資産額を家計不動産価格で除した比率は、金融危機前には概ね60%台で推移していたが、現在までの回復は50%レベルまでにとどまっている([第5図])。米CoreLogic社の調査レポート”CoreLogic Equity Report, Fourth Quarter 2013”によれば、2013年10-12月期時点で約6.5百万戸の住宅の価額が住宅ローン残高を下回る状態(つまり持家純資産額がマイナス、所謂underwater状態)にあり、これは住宅ローン件数全体の13.3%に相当するとされている。米国全体での持家純資産額は改善しているものの、その内訳にはマイナスの持家純資産物件が相当に残存していることになる。

次に、家計の住宅ローン返済が進んでいない証左として、現在でも住宅ローンの延滞率が高水準にあることがあげられる。金融危機以前には2%前後で推移しいていた延滞率は、金融危機後に10%を超える水準に上昇した。その後も延滞率は大きくは低下せず現在でも8%レベルまでの低下にとどまっている([第6図])。

金融危機後、米国政府は住宅ローン延滞や差し押さえ防止のための政策を打ち出した。その当初は2009年2月の住宅市場安定化計画に遡る。そこでは、住宅ローンの月次の返済に困った消費者のための借換やローンの条件変更のガイドラインが定められた。具体的には、住宅ローンの借換に際しての担保余力の緩和のほか、ローンの返済条件変更(更改)に際しての金利減免や変更後の返済負担率の目処値を定めた。またローン更改に当たっては、1件ごとに政府から金融機関に金銭的インセンティブの支払いや、また金融機関に発生する損失を一部政府が負担することなどが定められた。現在ではこのプログラムはMaking Home Affordable=MHAとして住宅ローン借換や返済条件更改などが政府・民間金融機関を交えたスキームとして継続している。米財務省によれば、1月までに1.9百万人以上の持家保有者がこのプログラムを利用したとされている。しかしながら上記のとおり、6.5百万件のunderwater物件に対しするプログラム利用実績はまだ低い。住宅ローン延滞率で見る限りはこれらの政策も状況を金融危機以前の状態に戻すまでには至っていないといえる。

[第5図]
20140309図5
[第6図]
20140309図6

住宅価格は上昇、延滞率は低下が期待できる

今後も引き続き家計の住宅関連バランスシートは改善を続けると見る。まず、住宅価格は今後もタイトな需給と名目個人所得の増加を主因に上昇を続けるだろう。現在の中古住宅販売在庫期間(約5ヶ月)、名目個人所得の伸び(約3%とする)、及び住宅ローン金利水準(4.4%)が維持できれば、住宅価格は前年比12%レベルの上昇を今後も続ける計算になる(2013年7月7日付当レポート参照)。

次に、失業率低下により住宅ローンの延滞率は引続き低下すると考えられる。上記[第6図]によれば、2013年に入って失業率低下が加速するとともに延滞率低下も加速している。失業率を説明変数とする単回帰分析によれば、現在の失業率6.7%に対応する住宅ローン延滞率は約5%となる計算になる([第7図])。失業率の水準に比べて現在の延滞率はやや高めとなっていることから、今後今後失業率低下に伴い延滞率低下ペースは加速すると考えられる。また上記CoreLogic社レポートによれば、underwater状態の住宅ローン件数6.5百万件は依然高水準ではあるものの、2010年第4四半期の12.0百万件からはほぼ半減している。住宅価格上昇が続けば持家純資産価値は更に上昇し、ローン借換や条件更改が進むことで延滞率低下が促進されよう。

更に、住宅ローンが以前より借りやすくなったことを示す指標がある。家計における債務返済額の可処分所得に対する割合を示すデット・サービスレシオは既に金融危機以前の水準を下回っている([第8図])。つまり所得の拡大とある程度の債務返済進行や更改により、家計における債務返済負担はかなり軽減されたことになる。

[第7図]
20140309図7
[第8図]
20140309図8

住宅関連バランスシートの改善ペースは遅い

もっとも、今後FRBの資産購入縮小につれて長期金利はじり高傾向になり、これが住宅価格の伸びを抑制する要因になるだろう。また延滞率が金融危機前の2%レベルに低下するには計算上失業率が自然失業率である5%にまで低下する必要がある。現在の米国の需給ギャップは約-3.8%のマイナスと推計できるが、この需給ギャップを解消するには毎四半期3%成長が継続しても2019年までかかる計算になる(2月16日付当レポート参照)。その意味では、住宅関連バランスシートの調整は今後も遅いペースになりそうだ。

以上より、家計のバランスシート改善は主に株価などの金融資産価額上昇が要因で、住宅などの実物資産価格はまだ今後上昇の余地があること、また住宅ローンを中心に債務返済進行はまだ十分でなく、住宅ローン借入の拡大が始まるには相当の期間が必要になるということになる。鍵になるのは住宅ローン延滞率の低下である。経済拡大ペースが現状よりやや早まれば、失業率低下を背景に延滞率低下は可能である。別な波及経路からは所得増加や住宅価格上昇も延滞率低下に寄与すると考えられる。

筆者は、住宅価格1%の上昇は実質個人消費を約0.1%押し上げる資産効果を持つと推計している(2013年12月31日付当レポート参照)。しかし、住宅価格上昇が住宅ローンの増加につながらないとこの資産効果も推計値以下にとどまる可能性がある。住宅ローン返済の推進状況は米国の個人消費見通しにも影響するため留意が必要である。なお現在、筆者は2014年の実質個人消費を、2013年とほぼ同じ前年比+2%レベルの伸びと見ている。



<経済指標コメント>米国雇用は堅調

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[米国]
実質個人消費(1月)は前月比+0.3%、個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.1%(前年比+1.2%)
1月実質個人消費は寒波に拘らず前月比+0.3%の強めの伸び。しかし内訳を見ると、耐久消費財が前月比-0.6%、非耐久消費財が同-0.2%といずれも大幅減少し、サービス消費の増加(同+0.8%)が消費を押し上げた形。寒波の影響で暖房用のエネルギー消費が増加したことが消費増加の主要因で、消費財の売上は寒波の影響を大きく受けている。また11月、12月分が大幅下方改訂され、10-12月期の実質個人消費はGDP速報時の前期比年率+3.3%から改訂値で同+2.6%に大幅下方改訂となった。寒波の影響が剥落すれば財消費が再び増加し、1-3月期の実質個人消費は前期比年率2%台を維持できると見る。リスク要因は寒波の長期化による消費抑制継続である。個人消費支出価格指数は前月比+0.1%の伸び。前年比では+1.2%と3ヶ月連続で伸びを加速させた。FOMCが目標とする2%に比べると消費者インフレ率は極めて低位であるが、失業率に代表される需給ギャップとの相関では現在のインフレ率は推計値よりもかなり下ブレしている。失業率低下が維持できれば、PCEデフレータの前年比の伸びは今年中に+1.7%レベルにまで上昇すると見る。なお、1月の個人所得統計には1月から施行された政府給付増減が反映されている。移転所得のうちオバマケアによるメディケイド給付増(前月比+193億ドル)が名目所得増加要因、拡大失業給付の年初失効による失業保険給付減少(前月比-155億ドル)およびは所得減少要因。その他要因を合わせネットでは名目個人所得は前月比+439億ドル、前年比では+4.1%と堅調な伸びとなっている。
20140308図1
ISM製造業指数(2月)は53.2%(前月比+1.9%ポイント)
2月ISM製造業指数は前月比+1.9%ポイントの53.2%と、前月の-5.2%ポイント低下からやや回復した。総合DIを構成する5DIの内訳は、新規受注54.5%(前月比+3.3%)、生産48.2%(同-6.6%)、雇用52.3%(同横ばい)、入荷遅延58.5%(同+4.2%)、在庫52.5%(同+8.5%)。生産DI低下・入荷遅延DI上昇、在庫DI上昇は悪天候の影響と見られる。一方で先行性のある新規受注DIが上昇していることは、企業景況感が一旦は下げ止まったことを示唆している。
20140308図2
ISM非製造業指数(2月)は51.6%(前月比-2.4%ポイント)
2月ISM非製造業指数は製造業指数とは逆に前月比-2.4%ポイントの51.6%。2010年2月以来の低水準となった。経済活動の縮小を報告した業種は、鉱業・娯楽・不動産・小売など8業種でいずれも天候の影響を受けやすい業種となっている。総合DIを構成する4DIの内訳は、事業活動54.6%(前月比-1.7%)、新規受注51.3%(同+0.4%)、雇用47.5%(同‐8.9%)、入荷遅延53.0%(同+0.5%)で、雇用DIの低下が目立つ。もっとも2月分雇用統計ではサービス業雇用は+140千人と増加ペースを拡大させており、ISM非製造業指数の低下も一時要因によるものと憶測出来そうだ。
20140308図3
雇用統計(2月)、非農業部門雇用者数は前月比+175千人(前月同+129千人)、失業率は6.7%(前月比+0.1%ポイント)
2月の非農業部門雇用者数は前月比+175千人と2ヶ月連続で増加ペースが加速、11月、12月分もそれぞれ上方改訂された。2月時点の前年比の伸びは+1.6%と過去1年のレンジの下限だが、伸びは堅調を保っていると言える。業種別内訳は、民間非農業部門が同+162千人、政府部門が+13千人と政府部門が州・地方政府中心に3ヶ月ぶりの増加に転じた。民間部門では建設業が天候要因で+15千人と前月の同+50千人から増加ペースを減速させたが、専門ビジネスサービスが同+79千人と前月の同+42千人から大幅加速した。週平均労働時間は33.3時間と前月比-0.2時間の大幅短縮となったがこれも天候要因と推測できる。一方時間当たり賃金は20.50ドルと前年比+2.5%の伸びで、失業率低下とともに賃金が着実に上昇していることが分かる。失業率は6.7%と前月の6.6%から上昇したが、内訳を見ると労働力人口の増加(前月比+264千人)と就業者数増加(同+42千人)を伴う失業率上昇で内容は悪くないと言える。労働参加率は63.0%と前月比横ばい。今後非農業部門雇用者数は前年比1.5%~2.0%の伸びを維持、時間当たり賃金は2.5%~3%に伸びを加速させると見る。失業率は2月にわずかに上昇したものの労働市場の拡大基調は変わらない。FOMCは今後も毎月100億ドルずつ資産購入ペースの縮小を決定し、年内に購入を停止すると見る。
20140308図4

<経済指標コメント>米国GDPは大幅下方改訂

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[米国]
新築住宅販売(1月)は年率 468千戸(前月比+9.6%)、在庫期間4.7ヶ月(前月5.2ヶ月)
1月新築住宅販売戸数は年率468千戸、前月比+9.6%の大幅増だった。販売戸数水準は08年7月以来の高水準。販売在庫期間は4.7ヶ月に低下し11年11月以来連続で6ヶ月を下回っている。販売在庫戸数は184千戸と前月並で、12年7月をボトムに漸増傾向にはあるものの販売戸数の伸びに追い付かないペースとなっている。新築住宅販売の需給が依然タイトであることを示唆していると見たい。もっとも中央販売価格は260.1千ドル(前年比+3.4%)とやや伸びを減速させておりまた1月は悪天候要因で統計に歪みも生じている可能性がある。また、販売戸数の6ヶ月移動平均は年率430千戸と、昨年6月の445千戸をピークに低下傾向にある。住宅販売が既に昨年半ばからやや減速していることは否めない。供給要因・天候要因のほかに住宅ローン信用条件が依然タイトであることも住宅市場の向かい風になっている可能性がある。悪天候回復後の指標に引き続き注意したい。
20140302図1
耐久財受注(1月)は前月比-1.0(前月同-5.3%)、非国防資本財(除く航空機関連)受注は同+1.7%(前月同-1.8%)、同出荷は同-0.8%(前月同+0.3%)
1月耐久財受注は前月比-1.0%と2ヶ月連続の減少、ただし1月は振れの大きい民間航空機の受注減が主要因で、輸送関連を除く耐久財受注は同+1.1%と前月の同-1.9%から反転増加している。民間設備投資の先行指標となる非国防資本財(除く航空機関連)の受注は同+1.7%とこれも前月の同-1.8%から反転増加している。GDP統計上の民間機器投資の基礎統計となる非国防資本財(除く航空機関連)の出荷は前月比-0.8%と3ヶ月ぶりに減少。2月、3月の同出荷が前月比横ばいだった場合、1-3月期の同出荷は前期比年率+1.0%と前期の同+7.5%から大幅減速する計算になる。民間設備投資の拡大は依然として緩慢で、今年の設備投資の伸びは前年を下回るとの筆者予想に整合した動きとなっている。
20140302図2
実質GDP成長率(10-12月期改訂値)は前期比年率+2.4%(速報値同+3.2%)
実質GDP成長率改訂値は前期比年率+2.4%と速報値の同+3.2%から大幅下方改訂となった。下方改訂された需要項目は個人消費同+2.6%(速報値+同+3.3%)、政府支出同-5.6%(速報値同-4.9%)、企業在庫寄与度+0.14%(速報値同+0.42%)、純輸出寄与度+0.99%(速報値同+1.33%)。速報値での悪天候下での個人消費3%台成長、在庫調整局面での企業在庫増加ペースはともにやや出来すぎ感もあったことから、改訂値での下方改訂はより実感に沿ったものになっている。総じて個人消費は悪天候影響もあり前期比減速ながらも堅調、企業在庫は今後調整局面で成長への寄与度は低下すると見る。速報値時点では2014年の実質GDP成長率は2%台後半に上ブレする見込みだったが今回の下方改訂で2%台半ばになる計算になる。1-3月期は引き続き悪天候影響で雇用、個人消費や住宅投資が減速しているため、目先の成長にはやや下方リスクはある。1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率2%レベルと見ているが、これまでの基礎統計や今回の10-12月期下方改訂により、1%台への下ブレリスクがあるとみておきたい。
20140302図3

[日本]
完全失業率(1月)は3.7%(前月比横ばい)
1月の完全失業率は3.7%と前月比横ばい、07年12月以来の低水準を保っている。内訳をみると1月は完全失業者数と非労働力人口は前年同月比でいずれも減少、就業者数は前年同月比で増加との傾向が継続しており、雇用市場拡大を伴う失業率低下となっている。
20140302図4
全国消費者物価指数(1月、生鮮食品を除く)は前年比+1.3%(前月同+1.3%)
1月の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年比+1.3%と前月並の伸びとなった。内訳をみると引き続きエネルギーの寄与度が0.59%と高く、電気代が0.30%、石油製品が0.25%上昇率を押し上げている。また食品とエネルギーを除くコアコア指数は前年比+0.7%とこれも上昇が一服している。今後も成長加速による需給ギャップ縮小と、インフレ期待維持によりインフレ率の上昇が継続すると見る。ただしエネルギー上昇という一時要因を除けばそのペースは緩慢であり、量的・質的緩和開始後2年での2%インフレ率達成(消費税増税による押し上げ効果を除く)は困難と引き続き見ておきたい。
20140302図5