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<経済指標コメント> 日本の7月実質家計消費支出は前年比-5.9%

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[日本]

実質家計消費支出(7月)は前年比-5.9%(季調済前月比-0.2%)、名目家計消費支出は前年比-2.0%

7月の実質家計消費支出は前年比-5.9%と、4月の消費税率引上げ以来4ヶ月連続で前年比マイナスの伸びに留まった。前年比の伸びがマイナスということは、消費税率引上げの影響を受けていない1年前の水準にいまだ消費が回復していないことを表している。また季節調整済前月比では-0.2%と6月の同+1.5%から反落した。6月に一時消費の増加がみられたにも関わらず7月に再び減少した要因の一部は天候と考えられる。品目別の実質消費支出の前年比増減への寄与度を見ると、交際費(実質寄与度-1.00%)、教養娯楽サービス(旅行費など、同-0.66%)、家庭用耐久財(エアコンなど、同-0.54%)など、悪天候の影響を受けやすい品目が消費支出を押し下げている。名目ベースの家計消費支出も前年比-2.0%と、前月のプラス転化から再びマイナスの伸びになった。駆け込み需要反動減の後の消費の戻りはまだ弱いと言わざるを得ず、総じて経済の再拡大ペースは筆者の予想をやや下回って推移している。
20140831b図1

完全失業率(7月)は3.8%(前月比+0.1%ポイント)

7月の完全失業率は3.8%(前月比+0.1%ポイント)と2ヶ月連続の上昇。内容を見ると、完全失業者数(季節調整値)が前月比で+1.6%増加したのに対し、労働力人口はほぼ横ばいにとどまっている。就業者数は前年比+0.7%で、7ヶ月連続で1%を下回る伸びに留まっている。筆者試算による労働力化率は59.6%と今年に入りほぼ横ばいで推移している。総じて、労働力化率にはやや頭打ち感、失業率には下げ止まり感が見られ、労働市場が飽和状態にある可能性を示唆している。
20140831b図2

全国消費者物価指数(7月):総合指数は前年比+3.4%、生鮮食品を除く総合指数は同+3.3%

7月の消費者物価総合指数は前年比+3.4%と2ヶ月連続で伸びが減速、生鮮食品を除く総合指数(コア指数)は同+3.3%と3ヶ月連続で伸び率横ばい。うちエネルギー価格の伸び率は同+8.8%と引続き高いものの2ヶ月連続で縮小している。前年比伸び率への寄与度が低下した品目は電気代0.32%(寄与度差-0.05%)、都市ガス代006%(同-0.05%)、家庭用耐久財0.06%(同-0.02%)など。消費税率引上げによる物価上昇後、インフレ率はほぼ横ばいで推移している。消費税率2%を差し引いたコア指数の伸びは+1.3%に留まる計算になり、2%のインフレ達成にはまだ時間がかかると見る。なお、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は前年比+2.3%と前月比横ばいの伸び率。また8月東京都区部消費者物価指数は総合指数が同+2.8%、コア指数が同+2.7%といずれも前月と同じ上昇率にとどまっている。
20140831b図3

鉱工業生産指数(7月)は前月比+0.2%、資本財出荷指数は同+6.7%

7月の鉱工業生産指数は前月比+0.2%と前月の同-3.4%の大幅低下からやや持ち直したものの、上昇幅は小幅にとどまり年初来の低下基調が続いている。出荷指数は6ヶ月ぶりの小幅上昇となる同+0.7%、在庫指数は3ヶ月連続上昇となる同+0.8%、在庫率は出荷増を反映して2ヶ月ぶりに低下した。消費税率引上げ後の反動減が鉱工業分野で継続していることを示唆する数字となっている。もっとも、GDP統計上の民間企業設備の先行指標となる資本財出荷は7月に同+6.7%の大幅増加となっており、7-9月期の資本財出荷は4-6月期平均に比べ+5.9%の増加でスタートした形。また、製造工業の生産予測指数は8月前月比+1.3%、9月同+3.5%と年後半の生産再加速が予想されている。7-9月期GDP統計上の企業設備投資はプラス成長に回復できる見込みだ。一方消費財出荷は同-3.1%と2ヶ月連続の低下で、家計消費の戻りが弱いことを示唆している。
20140831b図4

住宅着工戸数(7月)は前月比-5.0%(前年比-14.1%)

7月の住宅着工件数(季節調整済)は年率839千戸(前月比-5.0%)と大幅減少、消費税率引上げ前の駆け込み契約(昨年12月まで)によるピーク後、今年7月まで7か月のうち5ヶ月で前月比減少している。住宅市場においても駆け込み需要後の戻りはまだ見られない。7月の住宅着工は4-6月期平均を下回る水準で、このペースだと、7-9月期のGDP統計上の民間住宅投資は4-6月期に続いてマイナス成長になる計算になる。
20140831b図5

[米国]

新築住宅販売(7月)は年率412千戸(前月比-2.4%)、中央販売価格は前年比+2.9%、在庫期間は6.0ヶ月

7月新築住宅販売は年率412千戸(前月比-2.4%)と2ヶ月連続の減少。ただし、総じて基調はここ1年間横ばいである。販売在庫は205千戸と5ヶ月連続の増加、これに伴い在庫期間はやや長期化して6.0ヶ月(同+0.4ヶ月)となり、標準とされる6ヶ月に回帰した。新築住宅市場は供給不足もあり需給がタイトな時期が続いていたが、ここ半年ほどで供給が増加して適度な需給バランスになっている。中央販売価格は前年比+2.9%と前月の同+7.8%から大幅減速し、消費者にとっては有利な価格の伸び軟化となっている。住宅市場は昨年の需給タイト化による過熱から適度な調整が進んだことで、今後は再び堅調な販売増加に転じると見る。
20140831b図6

耐久財受注(7月)は前月比+22.6%、除く輸送関連同-0.8%、非国防資本財(航空機関連を除く)受注同-0.5%、同出荷同+1.5%

7月耐久財受注は民間航空機受注の大幅増で前月比+22.6%の大幅増。輸送関連を除くベースでは同-0.8%。民間設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機関連を除く)は、同-0.5%と前月の同+5.4%からやや反落した。GDP統計上の機器投資の基礎統計となる非国防資本財出荷(航空機関連を除く)は同+1.5%と3ヶ月連続の増加。民間設備投資は4-6月期の前期比年率+8.4%の強い伸びからはやや減速するものの、7-9月期も堅調な拡大を継続する可能性が高い。
20140831b図7

実質GDP成長率(4-6月期、改定値)は前期比年率+4.2%

4-6月期実質GDP成長率(改定値)は前期比年率+4.2%と、速報値の同+4.0%から小幅上方改訂となった。需要項目別内訳は、個人消費同+2.5%(速報値同+2.5%)、設備投資同+8.4%(同+5.5%)、住宅投資同+7.2%(同+7.5%)、政府支出同+1.4%(同+1.6%)、企業在庫寄与度+1.39%(同+1.66%)、純輸出同-0.43%(同-0.61%)。速報値との比較では、設備投資及び純輸出の上方改訂と企業在庫の下方改訂が目立つが、総じて改訂の影響は限定的である。筆者は2014年通年の成長率を前年比+1.3%程度と予想していたが、4-6月期の大幅回復で数字上は2%成長も視野に入る。もっとも4-6月期の成長は企業在庫の伸びが寄与していること、7月の個人消費が予想外に減少していることには留意が必要である。
20140831b図8

実質個人消費(7月)は前月比-0.2%、個人消費支出価格指数は前年比+1.6%、同コア指数は同+1.5%

7月の実質個人消費は前月比-0.2%と予想外に3ヶ月ぶりの前月比減少。内訳は自動車販売の軟化を反映した耐久財消費財消費が同-0.6%だったほか、非耐久消費財消費同-0.2%、サービス消費同-0.1%とすべての項目で消費が減少した。自動車販売や小売売上高の軟化からは7月の個人消費の減速はある程度予期されていたが、このペースだと8、9月が前月比横ばいだった場合、7-9月期の実質個人消費は前期比マイナスになる計算になる。個人の可処分所得の伸びからは個人消費は堅調に推移すると引き続き見るものの(8月15日付当レポート参照)、7月の名目個人所得が雇用者報酬の伸び減速を主因に前月比+0.2%にとどまっているのはリスク要因である。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年比+1.6%と5月のピーク同+1.7%からやや減速、同コア指数は同+1.5%と3ヶ月連続で伸び率は横ばい。PCEデフレーターはエネルギー価格上昇一服でいったん伸び率低下するもののその後は堅調になり、年末には同+1.7%レベルの伸びになると引続き予想する。
20140831b図9
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<経済レポート> 三つのトレンドライン~日本の消費税影響

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日本の消費税率引上げ前の駆け込み需要とその反動減が経済成長に対してニュートラルといえるためには、反動減後の戻りによりGDP水準がそのトレンドに回帰する必要がある。3通りのトレンドラインを想定して試算した結果、7-9月期にトレンド回帰するのに必要な7-9月期成長率は前期比年率+2.2%~+6.6%と幅のあるものとなった。客観的には7-9月期に2%強の成長でトレンド回帰は可能と見る。しかしながら一方で、当初想定していた年度ベースでの2%成長実現は下方リスクにさらされていると言わざるを得ない。

反動減でGDPは1年前の水準に戻っている

日本の4-6月期実質GDP成長率は前期比年率-6.8%と、1-3月期の同+6.1%成長による増加分以上の落ち込みとなり、見かけ上は駆け込み需要以上の需要減が起きている(8月16日付<経済指標コメント>参照)。駆け込み需要とその反動減はほぼ同額で消費税率引上げは経済成長に対してニュートラルであるとの見方からは、駆け込み需要と反動減による需要のブレは一時的なもので、いずれこのブレは解消されるはずである(2013年10月15日付当レポート参照)。

消費税率引上げによる一時的ブレが解消されたといえるためには、少なくともGDPが消費税引上げの影響を受ける以前の時期の状態に戻ることが必要である。シンプルには現在のGDPを駆け込み需要発生前の水準、たとえば前年同期と比較する方法がある。4-6月期の実質GDPの前年同期比の伸び率はちょうど0.0%であり[第1図]、過去1年間に駆け込み需要も含め押し上げられたGDPは、反動減により消費税影響のない1年前と同じ水準に着地したといえる。

しかし、現在のGDPが1年前と同じだということは、過去1年間経済が成長しなかったことを意味する。経済は常に成長を続けていくべきものであるから、前年同期比の成長率がゼロに回帰するだけでは消費税の影響が解消されたことにはならず、むしろ実態的には成長が抑制されたことになる。消費税率引上げの影響が解消されたというためには、消費税影響示現前から現在までに日本が実現するべき成長率を反映した水準にGDPが回帰することが必要である。いいかえれば、GDPの水準がその成長トレンドに回帰して初めて消費税率引上げによるブレが解消されたといえるわけだ。

[第1図]
20140831図1

最近の高成長トレンドへの回帰には7-9月期に6.6%成長が必要になる

[第2図]は、現在の安倍政権発足(2012年12月)時点を含む2012年10-12月期から直近の2014年4-6月期まで7四半期の実質GDP(対数値)を線形回帰することによりGDPのトレンドを抽出したものである。回帰式の係数0.004はこの期間のトレンド成長率が前期比+0.4%(年率換算すると+1.7%)であることを表す。ここからは、1-3月期に駆け込み需要でGDP実績がトレンドから大きく上方乖離したのち、4-6月期に大きく下方乖離していることがわかる。今後たとえば7-9月期に成長率がトレンドに回帰するためには、トレンドラインを7-9月期にまで延長した水準にまで実質GDPが増加する必要がある(図中の▲点)。

この点に実質GDPが到達するには、7-9月期に実質GDPが前期比+1.6%(前期比年率+6.6%)成長が必要になる計算になる。この回帰で得られたトレンド成長率である年率+1.7%は、消費税法改正法附則第18条において消費税率引上げに当たり「平成23年度~平成32年度の平均において実質の経済成長率で2%程度」を目指すとされていることとも概ね一致する水準である。しかしながら現実には、これまでの先行指標や一部の7月分経済指標からは、7-9月期の前期比年率+6.6%成長はかなり高いハードルと言わねばならない。

一方で日本経済は、安倍政権発足後アベノミクス第一の矢である金融緩和のアナウンスメント効果や第二の矢である財政出動により、従前に比べ成長ペースが急加速している。直近7四半期分のGDPから推計されるトレンド成長率である年率+1.7%は、一般に日本の潜在成長率とされる成長率よりもはるかに高い。より長期の緩やかな成長トレンドへの回帰(潜在GDPを長期トレンドととらえる考え方からは潜在GDPへの回帰)をもって消費税率引上げ影響によるブレが解消されたと考えることも可能である。そこで次に、成長トレンドをより長期の観測期間で抽出して同じ分析を試みる。

[第2図]
20140831図2

長期成長トレンドへの回帰なら2%台成長で可能

[第3図]は、実質GDP統計を連続性のある1994年1-3月期に遡り、2014年4-6月期までの82四半期の実質GDPをもとに線形回帰によりトレンドを抽出したもの、[第4図]はその2012年10-12月期以降の拡大図である。これによれば、日本の長期のトレンド成長率は前期比+0.2%(年率+0.8%)となる。年率+0.8%の成長率は内閣府が推計する日本の潜在成長率(内閣府推計では+0.6%)にほぼ近い。[第4図]によれば、[第1図]同様に1-3月期にGDPはトレンドから大幅上方乖離、4-6月期に下方乖離しているが、トレンド成長率が低く算出されているため、トレンド回帰への距離は[第1図]よりも短い。この回帰線を[第1図]と同様今年の7-9月期にまで延長し、そこに到達するのに必要な7-9月期成長率を計算すると、前期比+1.0%(前期比年率+4.4%)との結果になった。成長が加速した直近7四半期のトレンド回帰よりも、長期的な成長トレンドへの回帰の方が達成しやすいとの結果になる。

しかし、過去82四半期の直線回帰による成長トレンドをそのまま現在に当てはめるのにはやや無理がある。アベノミクスにより期待される成長率はそれ以前よりも高まっているし、消費率引上げの影響評価においては、消費税引上げとともに目指す2%成長率はその目途となる。過去の低成長が反映された年率+0.8%成長をトレンドとみなしてここへの回帰をもって消費税引上げの影響が解消されたと見なすのはやや甘い評価だといえよう。

そこで、長期かつ直近の変動を反映するトレンド抽出方法としてHPフィルターを用いてみる。HPフィルターはトレンドラインを曲線化することを許容しつつその変動を制約することで、長期の系列に対し直近の変化を反映したトレンドを抽出できるとされている。[第5図][第6図]は、上記と同じ過去82四半期のGDP実績をHPフィルターで平滑化してトレンドを抽出した結果である。これによれば、直近の4-6月期におけるトレンド成長率は前期比+0.3%(前期比年率+1.0%)となり、長期の直線回帰によるトレンド成長率よりはやや高めの結果になった。しかしながら、HPフィルターによる長期トレンドラインはこれまでの2つの方法に比べて低い位置にあり、4-6月期のGDP落ち込みによってもトレンドラインからの下方乖離幅がかなり小さくなっている。そのため、7-9月期のトレンドGDPへの回帰に必要な7-9月期成長率は前期比+0.6%(前期比年率+2.2%)で済むとの結果になった。前期比年率+2.2%の成長は7-9月期の成長率としては十分に達成可能なペースである。

[第3図]
20140831図3
[第4図]
20140831図4
[第5図]
20140831図5
[第6図]
20140831図6

消費税率引上げの評価は実体経済的観点で:ただし成長予想には下方リスクあり

以上3通りのトレンドGDP抽出方法とそこに回帰するのに必要な7-9月期実質GDP成長率をまとめたのが[第1表]である。短期の成長トレンドを線形回帰で抽出した①の場合が最も高い成長率を必要とし、長期の成長トレンドをHPフィルターで抽出した③の場合が最も低い成長率で済む。その中間が長期成長トレンドを線形回帰した②の場合ということになる。消費税率引上げの影響を考察するのにどの方法が最も適切か。消費税率引上げにおける「べき論」からは①である。消費税率引上げとともに目指す水準とされた実質2%の持続的成長が実現できることをもって消費税率引上げが正当化されるべきであり、従って消費税率引上げの影響はこの目標に照らして評価されるのが妥当である。更には消費税率の10%への引上げを可能にするにはこの2%成長が持続的であることの目途が立っている必要があることになる。

だが、現実的観点と実体経済の観点からは必ずしもかかる結論になるとは限らない。まず現実的観点からは、消費税率改正法では2%の持続的成長の実現は消費税率引上げの条件ではなく、この数値を目指した「総合的な施策の実施」が条件である。従って現実の消費税率の10%への引上げは7-9月期成長率が6%台を実現できなくても技術的には実施可能である。次に、実体経済の観点からは、①のように直近7四半期のGDP実績は成長率トレンドの抽出の期間としてはやや短すぎ、長期のサンプルに基づきかつ直近の変動を反映する③の方式が成長率トレンドの抽出方式としては最も妥当と考えられる。③の考え方に基づき7-9月期の成長率が+2.2%を確保できれば消費税のブレは解消された、つまり反動減が解消して成長が元のトレンドに戻ったと考えるのが最も客観的な評価といえる。4月の消費税率引上げが恒常的にGDPを押し下げる影響を及ぼしたかの判断は現在では時期尚早であり、これは7-9月期以降の経済の動向を見て判断することとしたい(なお技術的には、HPフィルターは直近のサンプルの変動の影響を受けやすく、東日本大震災による一時的なGDP落ち込みの影響を受けてトレンドが低めに出やすいと考えられることには留意はしておくべきだろう)。

なお、筆者自身は7月時点で2014年度の日本の成長率を前年度比+1.8%、つまり政府が目標とする2%成長がほぼ達成可能と個人的に予想していた(8月3日付当レポート7月20日付当レポート参照)。しかしこの予想は今や下方リスクにさらされていると言わざるを得ない。直近の経済指標によれば、7月実質家計消費支出は前月比-0.2%の減少、また7月鉱工業生産指数は+0.2%の上昇にとどまっており、7-9月期スタートの需要の戻りは鈍い。8月についても、内閣府「消費税率引上げ後の消費動向等について(8月第4週)」によれば、8月第4週の自動車販売、家電販売、スーパー売上、百貨店売上はいずれも前年比マイナスで、7月とほぼ横ばいの水準にとどまっている。通年の成長率の個人予想については下方修正を考慮せざるを得ない。

[第1表]
20140831表1


<経済指標コメント> 米7月CPIは前年比+2.0%

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[米国]

消費者物価指数(7月)は前月比+0.1%(前年比+2.0%)、同コア指数は同+0.1%(同+1.9%)

7月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.1%とやや弱めの伸び、前年比では+2.0%と前月の同+2.1%からやや伸びが減速した。品目別には主にエネルギー価格の上昇一服が指数押し下げ要因となっている。原油価格の軟化を反映してエネルギーが前月比-0.3%と低下、エネルギー価格の影響を受けやすい運輸サービスも同-0.7%の低下だった。食品・エネルギーを除くコア指数は前月比+0.1%、前年比では+1.9%と前月並みの伸びを維持した。エネルギー価格の安定化を背景に消費者インフレ率は一旦減速するものの、その後堅調に推移して年末はCPI前年比約+2%、個人消費出価格指数(PCEデフレーター)同約+1.7%になると個人的には予想している。来年にはFRBの目標である2%インフレ率に達し、来年半ばの利上げ開始を正当化する根拠になると見る。
20140824b図1

住宅着工件数(7月)は年率1093千件(前月比+15.7%)、着工許可件数は同1052千件(同+8.1%)

7月の住宅着工件数は3ヶ月ぶりの増加となる年率1,093件(前月比+15.7%)、昨年11月以来の水準に回復した。うち1戸建の着工件数も同656千件(同+8.3%)と3ヶ月ぶりに増加した。6月の着工減少の主因は南部の悪天候だったが、7月には南部の着工件数も同511千件(前月比+29.0%)と大幅に回復した。先行指標となる住宅着工許可件数は同1,052千件(同+8.1%)と3ヶ月ぶりに増加した。今年前半はやや低迷した住宅着工だが、年後半にかけては堅調な増加に転じると見る。
20140824b図2

中古住宅販売戸数(7月)は年率5150千戸(前月比+2.4%)、在庫期間は5.5ヶ月、中央販売価格は前年比+4.9%

7月の中古住宅販売戸数は年率5,150千戸(前月比+2.4%)と4ヶ月連続の増加、昨年9月水準以来の水準に回復した。在庫供給も6ヶ月連続で増加し在庫期間は前月並みの5.5ヶ月と標準とされる6ヶ月に近い水準にまで長期化した。中央販売価格は前年比+4.9%と適度な伸び率になっている。中古住宅市場は在庫不足と厳格住宅ローン信用条件で昨年後半より販売が減少していたが、今年前半でかなり持ち直した。販売価格の伸び率も消費者の購入意欲を回復させる水準にまで低下した。中古住宅市場は調整を終えて今後は適度な販売増加ペースと価格上昇ペースを維持すると見る。公表元の全米不動産業協会(NAR)は21日プレスリリースで、販売増加が「低金利とアパート家賃上昇が続く限り継続する」との見方を示す一方中期的には「中所得層の所得の伸びが住宅価格の伸びに追いついていない」ことと「今後金利は上昇せざるを得ない」ことで今後何年かは消費者の住宅取得能力が低下する可能性が高い、と述べている。
20140824b図3

<経済レポート> 時節到来は来年半ば~7月FOMC議事要旨

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7月FOMC議事要旨からは、失業率低下とインフレ率上昇のいずれもがFOMCの予想よりもペースが速く、利上げ時期前倒しの可能性も議論されていたことが判明した。これは来年半ばの利上げ開始との個人予想を支持する内容である。一方で、労働市場ののりしろslackについてはまだハト派的見方の意見の方が多いと見られ、これは同予想にとってのリスク要因となりうる。

7月声明文では労働市場とインフレへの見方が前進

20日に公表された7月29~30日のFOMC定例会合議事要旨からは、失業率低下やインフレ率上昇に対するFOMC内の議論、およびいわゆる出口戦略についての議論が読み取れる。去る7月30日に公表されたFOMC声明文では、3つの点に注目が集まった。まず労働市場につき「失業率は更に低下しており労働市場条件は改善した」と判断を引上げながらも「労働資源には著しい余剰underutilizationが残っている」との新たな文言が挿入されたこと。次にインフレにつき「委員会は、、インフレ率が2%を継続的に下回って推移する可能性はいくぶん後退した」との公式判断を示したこと。さらにイエレンFRB議長下のFOMCで初めて決定につき反対票が投じられたことである。

失業率低下による労働市場改善はタカ派方向の判断だが、同時にこれまでになかった「労働市場の余剰」が声明文であえて触れられたことは、表面上の失業率低下よりも実際の労働市場ののりしろslackは大きいと主張するハト派(イエレン議長もこれに含まれる)の強い意向の反映と考えられる。労働市場の改善を認めるかわりに、労働市場の余剰があることを明確にすることで全体のバランスを維持したいとする意向と考えられる。ちなみに、7月30日時点で判明していた失業率は6月分の6.1%で、米議会予算局(CBO)が推計する自然失業率(5.8~5.9%)にほぼ近いところまで低下していた。一方、6月時点のFOMC委員経済予測では、長期的な失業率予想(委員が均衡失業率と見る水準)の中心傾向は5.2~5.5%であり、CBO推計よりもやや低い。FOMC委員予測との比較ではまだ現在の労働市場には失業率で0.6~0.9%程度ののりしろslackがあることになる。

インフレ率はFOMC時点で個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)が前年比+1.8%と、FOMCの目標とする2%にほぼ接近していた。これらの状況に対して低インフレ率の継続するリスクが後退したと判断したのは自然であるといえる。また、プロッサー総裁は「資産購入プログラム終了後相当の期間」現在のFF金利誘導目標レンジを維持することが適切とのフォワードガイダンス文言に「こうした文言は時間に依存し、委員会の目標にむかっての相当な経済の進捗を反映していない」として反対した。以下ではこれらのポイントおよびいわゆる出口戦略についての議論の状況につき議事要旨を見ることにする。

労働市場ののりしろについての見方は分かれている

議事要旨によれば、労働市場の大幅な改善に参加者が総じて合意している。労働市場条件の「改善は、雇用者数増加の加速と失業率全体の目に見える低下のみならず、長期失業者やフルタイム雇用を志向するパートタイマーといったより広義の労働余剰の指標にも反映されている」として、イエレン議長らハト派が重視する労働力ののりしろに関する指標の改善が確認されている。また「2、3人の参加者は長期失業から雇用への移行率が高まった」ことを指摘した。さらに「いくらかの参加者は、求人、採用計画の増加と離職率の上昇を含む労働移動の増加というよい兆候を指摘」している。そして「参加者は総じて、最近の労働市場条件の改善と過去1年の累積的進捗は、ともに期待していたよりも大きく、労働市場条件は目に見えて長期的に正常と見られるものに近づいたことに同意した」とされた。

しかし一方で、労働市場ののりしろslackの水準とその計測方法については意見が分かれている。「何人かの参加者は失業率が労働市場状況についての信頼のおける指標である」と述べたのに対し、「多くの参加者はしかし、現在の労働市場条件と、彼らの労働市場の使用度についての正常な水準の評価と整合的な労働条件とのギャップは、失業率と長期的に正常な失業率水準の差よりも大きい」と述べている。つまりハト派と見られる多くの参加者が、自身の推計による労働市場ののりしろが、現状の失業率水準(6.1%)と長期均衡失業率水準(FOMC委員予測の中央値は5.2~5.5%)の差分(0.6~0.9%)よりも大きいと考えていることである。しかしながら一方で、「数人の参加者は最近の失業率低下は長期失業者の雇用への吸収とパートタイマーの減少に関係しており、のりしろは縮小しつつありかつ雇用機会の拡大とともに更に縮小するだろう」と述べ、タカ派と見られる参加者は、労働市場ののりしろは適切に縮小しているとの考えを示した。

筆者個人は、長期失業者は循環要因よりも構造要因の方が大きく、したがって労働市場ののりしろは表面の失業率水準よりも実際には縮小していると考えている(1月13日付及び6月18日付当レポート参照)。長期失業者数の失業者に占める割合は議事要旨にある通り低下している([第1図])。もっとも水準的には金融危機以前に比べまだ高いが、これは雇用ミスマッチなど主に構造要因と個人的には考えている。例えばその証跡は、欠員率(=(未充足求人数)/(雇用者数+求人数)が議事録の通り金融危機直前に近い水準にまで回復しているにも関わらず、失業率は同時期よりも高止まりしている状況(UV曲線の右方シフト)からも推測できる([第2図])。また就業意欲のある非労働力人口の増加ペースが、非労働力人口全体の増加ペースに概ね沿った伸びに留まっている([第3図])ことも一つの状況証拠である。議事要旨全体のトーンからは、労働市場ののりしろが循環要因かつまだ大きいと考えるハト派委員が人数的には勝っているものの、これに異を唱えるタカ派の発言も確実に増加していることが推測できる。

[第1図]
20140824図1
[第2図]
20140824図2
[第3図]
20140824図3

インフレ率は上昇を予想、利上げ時期前倒しの可能性も議論された

次に、インフレ率についてもその継続上昇を予想する委員がほとんどになっている。議事要旨によれば「ほとんどの参加者はインフレ率が委員会の2%目標に向かって上昇し続けると予想」し「ほとんどの参加者は今やインフレ率の下方リスクは低減したと判断」した。また「何人かの参加者は最近の労働市場のタイト化はインフレ率とインフレ期待の上方リスクを高めた」と発言している。「何人かの参加者はインフレ率が委員会の2%目標を継続的に下回る可能性が高い」と見ているものの、その数は少数派である。筆者個人は、現在上昇中のインフレ率は短期的にはややオーバーシュートの可能性が高く、年後半にかけて一旦緩むものの、その後堅調に推移して年末のPCEデフレーターは前年比+1.7%レベルに落ち着くと見ている。この見方はおそらくFOMC委員の多数派の見方と整合的であり、かつ来年初にインフレ率が2%に近づく可能性が高いことは来年半ばの利上げ開始を正当化する材料になる。

更に、金融政策について利上げ開始時期が従前の予想より早まる可能性を指摘する委員が出てきている。議事要旨によれば「多数の参加者は、(失業率とインフレ率の)委員会の目標への収斂が予想よりも早く起きるならば、金融緩和政策の解除を予想よりも早期に実施することが適切になるかもしれない」と述べている。6月のFOMC委員経済予測では、2015年末のFF金利誘導目標予想の中央値は1.00~1.25%で、1回あたり0.25%の利上げとして逆算するとFOMC委員は利上げ開始を8月または9月の委員会と見ていたことになる。

利上げ時期について筆者個人は、2015年半ば(来年6月または7月定例会合)を予想している。たとえば、イエレン議長が採用しているテイラー・ルール注1)をもとにした筆者試算によれば、適正な政策金利は2015年4-6月期が0.4%、7-9月期が0.7%、10-12月期が0.9%との結果になる([第4図])。ここからは適切な利上げ開始は来年6月または7月FOMCになる計算になる。7月FOMC議事要旨における利上げ前倒しの可能性はこの予想を支持する材料である。なお、「メンバーは失業率のみに言及していた最近の労働市場条件に関する(声明文の)記述を変更し、労働資源の余剰への評価についての記述にすることが適切と判断した」とされている。労働市場の改善を明示するとともに労働資源の余剰に関する記述を新たに声明文に加えた経緯はこの箇所であるが、その状況は明確ではない。この新文言が投票メンバー総体としての判断であることからは、必ずしもハト派だけの意向の反映とは言えないようでもある。FOMC委員やFRB幹部の中では依然ハト派がやや多数派であることは、利上げ時期が現実には後倒しになるリスクも孕んでいることには留意しておいてよいだろう。

[第4図]
20140824図4

金融正常化はFF金利誘導目標と超過準備預金付利金利がメイン

いわゆる出口戦略についても7月会合で更に議論がなされているが、前回6月会合の内容から大きな変化はない。7月会合では「ほとんどすべての参加者は、FF金利を主要な政策金利とすることに合意し、利上げ当初とその後しばらくの間は25bpのレンジを誘導目標とすることを支持」している。また「参加者は超過準備預金付利金利(IOER)の調整がFF金利を誘導目標に引上げる一義的な手段であることに合意」し、また「ほとんどの参加者は、限定的な規模のオーバーナイトリバースレポ(ON RRP)を一時的に使用することが市場金利に更に強固なフロアを設けることを助けるだろう」と考えている。また、FRBのバランスシートの調整開始の時期については「ほとんどの参加者が再投資の縮小または終了を最初のFF金利誘導目標引き上げの幾分あとに実施する」ことを支持、また「ほとんどの参加者は委員会が住宅ローン担保証券(MBS)の売却を実施しない」と考えている。これらは6月会合での議論とほぼ同内容である。

7月会合議事要旨から読み取れる新たな議論は「ほとんどの参加者は、少なくとも当初においては、IOERがFF金利誘導目標レンジの上限に設定され、ON RRP金利がレンジの下限に設定される」と考えているとされていることである。ここで、IOERやON RRP金利とFF金利との関係を再整理してみたい。一般的にIOERは量的緩和期に市場金利のフロア(下限)を設定する機能をもつ。量的緩和で超過準備預金残高が存在する状況では、民間銀行の準備預金調達ニーズは低く、中央銀行が政策金利の誘導目標をアナウンスしても実際の銀行間金利は誘導目標より低くなりやすい。しかし、超過準備預金に金利付利すれば、資金の出し手は市中金利が超過準備預金金利にまで下がったところで資金を市中に放出するインセンティブを失い、金利はそれ以上に下がらない。結果IOERは市場金利の下限となる。また、住宅公社など準備預金付利のされない参加者にとっては同様にON RRPが資金放出金利の下限となる。一方で一般に、ディスカウントウインドウなどの中銀貸出金利は、市中金利の上限(キャップ)の機能を果たす。資金の取り手は市中金利が中銀貸出金利まで上昇したところでそれ以上の金利で資金調達するインセンティブを失い、中銀貸出を利用すると(理論的には)考えられるからである。これらにより政策金利を一定のレンジに誘導することができる(いわゆるコリドー効果)。

しかるにFOMC委員のほとんどは、IOERが政策金利レンジのフロアでなくキャップになると考えている。このメカニズムの詳細は議事要旨からは明らかではないが、おそらく次のような考えによると思われる。量的緩和により大量の超過準備が存在する状況では、基本的に市中銀行は必要な資金を中銀オペで調達できるため、市場から資金調達をする必要は少ない。市場資金調達のインセンティブがあるのは市場調達金利を上回るIOERでこれを運用できる場合である。従って、市中金利がIOERを上回った時点で資金の取り手は調達インセンティブを失い結果IOERが市中金利のキャップとなる。これは現在のように量的緩和が極めて拡大した状況で起きる例外的なメカニズムといえる。量的緩和縮小がある程度進めば再び上記のようにIOERは市中金利のフロアになる機能を果たし始めると考えられる。IOERを誘導目標レンジの上限とすることが「少なくとも当初においては」とされているのはかかる推移を想定したものと考えられる。

以上、7月FOMC議事要旨の内容は、来年6月または7月のFOMCでの利上げ開始予想を支持するものと見て、これまでの筆者の個人予想を維持する。なお、イエレンFRB議長は22日、ワイオミング州ジャクソンホールにおける講演で「現在のFF金利誘導目標を資産購入終了後相当の期間維持するのが適切である可能性高い」とFOMC声明文を引用して発言しつつも、新たに「労働市場改善が委員会の期待よりも速くあり続けるか、インフレ率上昇が期待より速く上昇するならば、、FF金利誘導目標引き上げは現在の委員会の期待よりも早期にまた速く起こりうる」と述べている。講演の主題である労働市場ののりしろについては依然これが見かけの失業率よりも大きいとの見方をイエレン議長は崩していないものの、FOMC内では早期利上げ論がかなり高まっていることの証跡と見たい。

注1) it=2+πt+0.5(πt-π)+1.0(yt-yt*it:適切な政策金利、πt:インフレ率実績、π:インフレ率目標、yt:GDP実績、yt:潜在GDP(Janet L. Yellen, “Perspectives on Monetary Policy”, June 6, 2012 参照)

<経済指標コメント>日本の4-6月期GDPは-6.8%減

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[日本]

実質GDP成長率(4-6月期、1次速報値)は前期比年率-6.8%

4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率-6.8%と、前期の同+6.1%(2次速報値の同+6.7%から下方改訂)から大幅反落した。内訳は家計消費支出が同-19.2%(前期同+8.5%)、住宅投資が同-35.3%(前期同+8.2%)、民間企業設備が同-9.7%(前期同+34.6%)といずれも大幅に減少した。一方公的需要は同+0.8%、純輸出は寄与度+3.2%、企業在庫は同+3.4%と成長にプラス寄与した。全体に、家計消費と住宅投資については反動減が1-3月期の駆込み需要を大幅に上回った形。今後については、いくつかの経済指標で反動減緩和の兆しがみられる。新車販売台数は4月の落込みのあと5月以降3ヶ月連続で増加し、7月には285.9千台と前年同月をも上回っている(日本自動車販売協会連合会統計による)。6月の内閣府消費総合指数は前月比+0.7%と2ヶ月連続の上昇を見せている。これらより、7-9月期には再び実質GDPはプラス成長に回帰すると見る。しかし、8月は台風の影響で家電・スーパー・百貨店の売上が減少(内閣府「消費税率引上げ後の消費動向等(8月第2週)」)するなど消費反動増ペースがやや鈍っている可能性がある。一方7-9月期に家計消費が前年同期比+2.0%成長に回帰するには消費総合指数が7月以降毎月前月比+1.5%増加する必要があり、ややハードルは高い。また、7月機械受注統計では、7-9月期の受注見通しが前年同期比でマイナスとなっているなど、企業部門の反発もやや弱めの見通しである。筆者個人は2014暦年の成長率を前年比+1.8%、2014年度成長率を前年度比+1.2%と予想しているが、GDP統計公表後の指標を勘案するとやや下方リスクが出てきたと見ざるを得ない。
20140816図1

機械受注(船舶・電力を除く民需、6月)は前月比+8.8%(前月同-19.5%)

6月機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+8.8%と3ヶ月ぶりに前月比増加したが、4月の同-9.1%、5月の同-19.5%を取り返すには至らなかった。また同時に公表された7-9月期見通しは前期比+2.9%と増加見通しではあるものの、4-6月期実績の同-10.4%を取り返すには至らない水準、かつ前年同期比でも-0.3%のマイナス見通しとなっている。企業部門の駆け込み需要反動減を7-9月期で完全に取り返せるかは微妙になっている。
20140816図2

[米国]

小売売上高(7月)前月比横ばい、除く自動車関連は同+0.1%

7月の小売売上高は前月比横ばい(前月同+0.2%)と4ヶ月連続の減速、除く自動車関連でも同+0.1%(前月同+0.4%)に減速した。内訳では、新車販売の減少を背景に自動車・同部品ディーラーが前月比-0.2%、また百貨店同-0.7%、家電店同-0.1%などが売上を減少させた。GDP統計上の個人消費の基礎統計となる「自動車・ガソリン・建設資材・レストランを除く」ベースも同+0.1%(前月同+0.6%)と減速。もっとも小売売上は年初に寒波の影響で大幅落ち込んだあと、積上がり需要による反動増が3月まで続いていたため、その剥落と考えれば表面の数字ほどに悲観的になる必要はなく、個人消費は引き続き堅調と見る(8月15日付<経済レポート>参照)。仮に8月以降反発が見られないようであればこの見方に下方リスクが出てくる。
20140816図3

企業在庫(6月)は前月比+0.3%、企業売上は同+0.4%

6月の企業在庫は前月比+0.3%とやや弱めの伸び、前月分も同+0.3%と速報値の同+0.5%から下方改訂されている。3ヶ月前対比の在庫の伸びは前月に比べてやや減速している。4-6月期GDP速報値では企業在庫が実質GDPを+1.66%と大幅に押し上げたが、今後その寄与度は低下すると考えられる。
20140816図4

鉱工業生産指数(7月)は前月比+0.4%、設備稼働率は79.2%

7月の鉱工業生産指数は前月比+0.4%と堅調な伸び、内訳は製造業同+1.0%、鉱業同+0.3%、公益事業同-3.4%と、製造業の生産増が目立つ。製造業の中でも自動車・同部品が同10.1%と急増、生産者による8月以降の自動車販売増加期待の反映とみられる。7月の小売売上高の減速に関わらず今後の個人消費が堅調なことを示唆する内容と見たい。設備稼働率は79.2%(前月比+0.1%ポイント)と3ヶ月連続の上昇、ただし1972-2013年の平均である80.1%にはまだ回帰していない。米国経済にはまだ巡航速度以上ののりしろがあると考えられる。
20140816図5


<経済レポート>雇用と賃金で成長は持続できる~米国個人消費

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米国の小売売上が減速しているが、これは一時的または循環的要因とみたい。個人所得の伸びなどのファンダメンタルズは今後も米国個人消費が名目ベースで4%、実質ベースで2~3%成長が可能なことを示唆している。一方で、金利・住宅価格・金利といった要因の消費への寄与度は低下傾向にあり、資産価格や金利上昇による懸念はさほどないといえそうだ。

小売売上の減速は一時要因と見る

13日に公表された米7月小売売上高はやや失望感あるものだった。小売売上全体の伸びは前月比横ばいにとどまり、4月以降4ヶ月連続の減速となった。しかし、米国個人消費は年初に寒波の影響で大幅に落ち込んだのち、2月、3月に積み上がり需要などで大幅反動増加している。この積み上がり需要要因が4~6月に剥落したものと考えれば、7月の結果は表面の数字ほどに悲観的なものではない。天候要因などの一時要因をならすため、小売売上高の前年同月比の伸びとその12ヶ月移動平均をとってみる。すると、7月小売売上高の前年比の伸びは+3.7%、前年比の伸びの12ヶ月移動平均は+3.6%であり、ちょうどサイクルがトレンドに回帰したところである([第1図])。ここからは、4月以降の小売売上の減速は寒波による落ち込みとその反動増という一時要因の剥落にすぎないとの憶測が可能だ。

一方で、小売売上高の伸びのトレンドを示す12ヶ月移動平均線は中期的に下降している。しかし、インフレ率を1.6%とするとインフレ調整後の実質ベース小売売上は前年比で約2%の伸びがトレンドであることになり、これは米国の潜在成長率(米議会予算局推計では2014年時点で1.6~1.7%)を上回る消費拡大ペースが維持できていることを意味する。実質ベースで潜在成長率を上回る成長が持続できれば、米国経済はマイナスの需給ギャップ縮小によりデフレを回避することができる。むしろ今後この下降トレンドが実質ベースで潜在成長率を下回らないことが、今後の米国経済の持続性とマイナス需給ギャップ縮小のポイントになる。なお、昨年2013年の6月と7月は、小売売上が前年比で急増した月であり、今年の6,7月の前年比の伸び率は相対的に弱めに出やすいことにも留意が必要であろう。

小売業の業界団体は今後の売上見通しに楽観的だ。全米小売業協会(NRF)は、自動車・ガソリンスタンド・レストランを除くベースの小売売上高が6、7月合計でおおむね前年比4%の伸びを示していることで「2014年通年の売上が少なくとも前年比+3.9%の伸びを示すという期待に依然沿っている」と述べている(8月13日付NRFホームページ)。また一時的な売上減速については「小売業者は高額品とその他の必需品の間の消費のばらつきを認識している」「家計は依然として必需品と嗜好品の購入の間で判断に迷っている」「一部の消費者が買い物をするために借入れをすることに慎重であることは明らか」として、消費者心理がまだ慎重または迷いのある状態であることを観察している。実際に、消費者信用残高のうち自動車ローンなどノンリボルビング信用の残高の伸び率は高水準にあるが、クレジットカードなどのリボルビング信用の残高は伸び悩んでいる。消費者は自動車など高額商品購入の場合を除き、カード借入などには依然慎重だといえる([第2図])。

[第1図]
20140815図1
[第2図]
20140815図2

個人所得は2%台の実質成長を可能にする

一方でNRFは「所得増加、雇用、消費者信頼感など消費者に関するファンダメンタルズは相対的に頑健であり、経済と消費者は良い方向に向かっている」と判断している。そこで、個人消費のファンダメンタルズである個人所得や、その他の個人消費の決定要因が消費にどう影響を与えているかを見てみよう。まず、個人の名目可処分所得(名目個人所得から税金と社会保険料等政府宛支払を差し引いたもの)は2014年4-6月期時点で前年比+4.0%の伸びを示している。またインフレ率を差し引いた実質可処分所得も4-6月期時点で同+2.4%の伸びを示している([第3図])。つまり個人所得は、名目ベースでの消費を4%拡大させるペースで伸びていることになる。NRFが今年の小売売上高増加率として期待している3.9%はこの名目ベースの所得拡大ペースとほぼ一致している。また現在の可処分所得の伸びは、実質ベースでも2%台半ばの拡大、つまり潜在成長率を上回るペースの成長が可能な状況ということになる。

名目可処分所得の伸びをその内訳毎に示したのが[第4図]である。これによれば、可処分所得の伸びの太宗に雇用者報酬の伸びが寄与していることがわかる。政府からの移転所得は依然として個人所得の伸びを支える要因となっているものの、リーマンショック後に採用された一時的な財政政策の寄与度は逓減している。昨年12月に成立したいわゆる2013年超党派予算法において拡大失業保険給付の延長が見送られたことで、個人所得は名目GDP比0.1~0.3%押し下げられると当時見込んでいた(2013年12月15日付当レポート参照)。しかし現実には、失業者の減少により失業保険給付そのものがリーマンショック以前の水準にまで減少しており、一方でオバマケアによるメディケイド支払の増加がその減少を補って余りあるものとなっている([第5図])。また、税金による可処分所得へのマイナス効果は、2013年の給与税減税停止によるマイナス効果が今年になって剥落したことで大幅縮小している。結果、政府からの移転所得が税金によるマイナスをカバーする形で、結果可処分所得の伸びはほぼ雇用者報酬の伸びに依存している。

米労働省の雇用統計によれば、7月時点で非農業部門雇用者数は前年比+1.9%、時間当たり賃金は同+2.3%の伸びとなっている。雇用増加と賃金上昇を合わせれば個人所得は雇用者報酬のみで前年比4%強の伸びを維持できる環境にある。今後雇用はほぼ前年比+2.0%前後の伸びが期待でき、また時間当たり賃金は失業率低下に遅行して今後伸びが加速すると見込まれることから、名目個人所得は今後もおおむね4%の伸び、インフレ率を差し引いても2%台半ばの伸びが持続的に期待できる。また、個人の限界消費性向(筆者試算)は4-6月期時点で0.94とほぼ1に近い高水準にあり、所得の増加率がほぼそのまま消費の増加率になることが期待できる状況である([第6図])。

[第3図]
20140815図3
[第4図]
20140815図4
[第5図]
20140815図5
[第6図]
20140815図6

住宅価格減速、金利上昇の遅れで資産効果は逓減中

個人消費の決定要因は上記の所得要因のほか、株価や住宅価格などの資産価格要因、更には金利や物価要因がある。以下ではこれらの決定要因を説明変数とする実質個人消費の回帰分析を行い、各決定要因が今後の消費に与える影響を占うこととする。用いる説明変数(雇用・賃金・物価・金利・株価・住宅価格)と回帰式は2013年12月31日付当レポートで用いたものと同じで、各データを2014年4-6月期時点までアップデートし、推計期間は1992年7-9月期から2014年4-6月期までの88四半期とした。

今回の回帰分析による実質個人消費の各決定要因に対する弾性値は[第1表]の通りで、昨年12月時点での推計結果と大きな変化はない。各決定要因の実質個人消費への寄与度を[第7図]で見ると、雇用・賃金が最も大きな要因であることは不変である。昨年12月時点での試算との比較では、金利上昇ペースが当時の予想よりも遅いことから、金利上昇による消費へのマイナス効果はより限定的だったことがわかる。また史上最高値を更新した株価上昇が個人消費に与えるプラス効果はその弾性値の低さから限定的であることがわかる。

一方で、住宅価格の上昇加速が昨年12月時点の前提よりも減速しており、これに合わせて実質個人消費の伸びも減速している。住宅市場は一時販売在庫不足により価格上昇が加速していたが、その後供給の好転により価格上昇ペースがいったん落ち着いている状態にある。中古住宅市場では、今年1月に在庫期間が4.4ヶ月に縮小したが、その後販売減少と在庫増により6月時点で在庫期間は5.5ヶ月にまで戻している(7月26日付<経済指標コメント>参照)。これに伴い住宅価格は昨年後半に一時前年比13%台の上昇を見せたが、その後やや上昇ペースが減速して5月時点で前年比+9.4%の伸びになっている(S&Pケースシラー住宅価格指数10都市、[第8図])。

[第1表]
20140815表1
[第7図]
20140815図7

[第8図]
20140815図8

住宅価格減速でも雇用・賃金で成長は持続可能と見る

今後、2014年7-9月期、10-12月期の個人消費の伸びを占うために、株価・金利・住宅価格に一定の前提を置いて試算したのが[第6図]の「試算」の部分である。前提として、雇用は今後前年比+2%の増加、時間当たり賃金は同+2.5%の伸びが続くとした。またNYダウは2014年末に18000ドルに上昇、30年物モーゲージ金利は現在の4%台前半から年末に5%にまで上昇、住宅価格は前年比+5%の上昇を継続するとした。結果、実質個人消費は2014年4-6月期よりもやや加速して前年比3%前後の伸びが可能であるものの、住宅価格の伸びが抑制されることと金利上昇によるマイナス効果で、その加速度は限定的であるとの結果になった。

米国の住宅価格は昨年一時在庫不足による需給タイト化により前年比10%を超える上昇を見せていたが、これはやや行き過ぎ間感があったと見ている。中古住宅市場でいえば本来6ヶ月程度の在庫期間が標準とされており、住宅価格はこれに相当する5~6%の上昇ペースが最も健全ということができる。6月時点で中古住宅中央販売価格の伸びが前年比+4.3%にまで低下していることからは、今後年末にかけての住宅価格上昇率は上記前提のように5%程度を見込んでおくのが妥当であろう。もっとも、住宅価格の個人消費への波及経路は現状では明らかではない。住宅ローン残高は依然として低迷しており、ローン借入資金の一部を消費に回すという消費者行動はまだ見られないからである。FRBの資金循環統計によれば、2014年1-3月期時点の家計住宅ローン借入残高は2四半期連続減少となる9.3兆ドルで、住宅バブル末期2008年1-3月期のピーク10.7兆ドルからの減少基調は不変である。また、住宅を担保に消費資金を借り入れるホームエクイティ・ローン残高も、6月時点で4649億ドルと、2009年のピーク6111億ドルから減少を続けている。住宅価格上昇が消費に与えるプラス効果は住宅ローン延滞回避といった受動的効果または心理効果にとどまっているといえる。

以上より、個人消費が実質ベースで今後2%半ばから3%近い成長を年末にかけて続けることがファンダメンタルズ的には可能である。また、その成長は資産効果よりも所得効果による部分が大きいといえる。今年に入って見られる小売売上高の変動は主に循環要因かまたは一時要因によるものであって、中期的には個人消費の失速の可能性は低いと見たい。従って、今後のGDP統計上の実質個人消費は7-9月期、10-12月期いずれも前期比年率約2%の拡大を持続するとの個人予想を維持する。この個人予想はやや保守的なもので、上記の通り個人消費が2%台半ばの成長を実現する上方リスクを見込んでおきたい。一方で、本予想に対する下方のリスク要因は、地政学リスクや株価変動が消費者センチメントや経済ファンダメンタルズ自体を下振れさせることである。


<経済指標コメント>ISM非製造業指数は58.7%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(7月):現状判断DIは51.3(前月比+3.6ポイント)、先行き判断DIは51.5(同-1.8ポイント)

7月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する現状判断DIは51.3(前月比+3.6ポイント)と3ヶ月連続の上昇、横ばいを示す50を4ヶ月ぶりに上回り、消費税率引き上げ後の駆け込み需要の反動減が更に和らいだことを示唆する内容だった。内訳は家計動向関連が49.4(同+4.3)、企業動向関連が53.9(同+3.6)、雇用関連が57.7(同-0.2)。一方2~3ヶ月先の景気の先行き判断DIは51.5(同-1.8)と2ヶ月連続で低下。内訳は家計動向関連が50.0(同-2.3)、企業動向関連が53.0(同-0.6)、雇用関連が57.8(同-1.4)とすべての部門で前月比低下した。筆者は7月以降消費税率引上げ後の駆け込み需要反動減が特に家計消費において7月以降緩和されると見ているが、今回の先行き判断DIの低下はその反動増の持続性がさほど強くない可能性を示唆しており、予想シナリオ比やや弱めの結果である。
20140810図1

[米国]

ISM非製造業指数(7月)は58.7%(前月比+2.7%)

7月のISM非製造業指数は58.7%(前月比+2.7%)と前月の同-0.3%の小幅低下から反発した。総合DIを構成する4つのDIの内訳は事業活動DIが62.4%(同+4.9%)、新規受注DIが64.9%(同+3.7)、雇用DIが56.0%(同+1.6)、入荷遅延DIが同51.5%(同+0.5%)とすべてのDIが上昇している。4-6月期の米実質GDP成長率は主に在庫投資の加速で前期比年率+4.0%の急伸を見せたが、7-9月期は内需部分が更に成長を押し上げる可能性を示唆している。
20140810図2

<経済レポート>反動減は7月以降緩和~日本経済定点観測

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13日に日本の4-6月期GDP統計が公表される予定だ。直近の経済指標からは、駆け込み需要の反動減が予想以上に大きく、4-6月期成長率のマイナス幅は筆者の従前予想より更に悪化している可能性が高い。もっとも経済指標は反動減が6月頃に底打ちしたことをおおむね示唆しており、4-6月期の落ち込みが大きかった分7-9月期にはその反動増が期待できる。経済対策効果も合わせれば通年、年度ベースの成長は従前予想を維持できる。

4-6月家計消費は大幅マイナスも、7月以降は回復の見込み

13日に公表予定の日本の4-6月期の実質GDP成長率は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とほぼ同額の反動減により大幅なマイナス成長になった模様だ。筆者個人は4-6月期成長率を前期比年率-5.0%と予想している(7月20日付当レポート参照)が、直近の経済指標からはこれ以上にマイナス幅が悪化している可能性が高い。もっとも一部の指標からは需要減少が底入れしたことを示唆するものがあり、4-6月期の落ち込みが大きかった分、7-9月期には経済が再拡大しそうだ。以下、需要項目毎に直近の指標から4-6月期成長率を改めて予想してみる。

まず、家計消費支出を見る。内閣府の消費総合指数は、4-5月平均で1-3月期比年率-18.2%のマイナスとなっている([第1図])。6月についてはやや消費が持ち直した証跡がある。総務省家計調査によれば、二人以上の世帯の6月の実質消費支出は前月比+1.5%と3ヶ月ぶりに増加に転じている(8月2日付<経済指標コメント>参照)。従って、家計消費の反動減は5月で一服し、6月の実質個人消費は前月比でプラスになっている可能性が高いが、それでもGDP統計上の4-6月期実質家計支出は前期比年率で十数%のマイナス成長とならざるを得ないだろう。

しかし、7月以降家計消費は増加に転じる可能性が高い。日本自動車販売協会連合会によれば、7月の新車販売台数(軽自動車を除く新車登録車)は285.9千台で、4月の大幅減少後3ヶ月連続で前月比増加、前年比でも増加に転じている([第2図])。また、内閣府「消費税率引上げ後の消費動向等について(7月第4週)」によれば、7月の家電販売額は7月第3週から前年比プラスの伸びに回復している。内閣府は「天候要因が売り上げ増に寄与しつつ、全体として反動減からほぼ持ち直している、との声も聞かれた」としている。同報告書によれば、スーパーの飲食料品販売は前年比依然マイナスなるもマイナス幅は小幅に改善、サービス消費(旅行)は7月以降も堅調に推移、同(外食)は消費税率引上げの影響は軽微、としている。大手百貨店は全般に苦戦の模様で、7月第4週までで前年比の伸びは依然マイナス、ただし一部の商品には戻りがみられる模様だ。

[第1図]
20140803図1
[第2図]
20140803図2

企業設備投資は従前予想以上の落ち込みになりそ

4-6月期の企業設備投資は従前予想以上に大幅なマイナス成長になりそうだ。30日に公表された経済産業省の6月分鉱工業指数統計によれば、企業設備投資の先行指標となる資本財出荷は前月比-0.5%と4ヶ月連続の前月比減少となった。4-6月期平均では前期比で-8.0%のマイナス、これは前期の同+8.3%をほぼ打ち消す減少となり、GDP統計上の民間企業設備は1-3月期の前期比年率+34.2%に対して同-30%レベルのマイナス成長になることが示唆されている([第3図])。

一方、同統計における製造工業生産予測調査によれば、7月の製造工業生産は前月比+2.5%、8月は同+1.1%と予測されており、生産が7月以降に持ち直す可能性が高いことが示唆されている。もっとも、企業設備の先行指標となる機械受注は5月時点で大幅に減少しており、今後資本財関連の生産・出荷が持ち直すとの確証はまだないといえる。

住宅投資も4-6月期は前期比大幅マイナス成長を見込むものの、7月以降は持ち直しと見る。国土交通省の住宅着工戸数統計は6月までの月次統計が公表済である。4-6月期の住宅着工戸数は前期比-5.0%のマイナスとなっている([第4図])。住宅に関しては、昨年9月末までの契約が旧税率適用の条件だったため、駆け込み需要は家計消費に比べて早めの昨年10-12月期にピークとなり、1-3月期には既に反動減が統計に反映されている。月次の住宅着工戸数の推移を見ると、住宅着工戸数は1月から3月にかけて3ヶ月連続減少ののち、4月と6月には前月比増加するなど底入れの兆しがみられる。住宅投資は7-9月期にはプラス成長に回帰する可能性が高そうだ。

[第3図]
20140803図3

[第4図]
20140803図4

在庫・純輸出・政府支出はプラス寄与の見込み

これらに対し、企業在庫、純輸出、政府支出は4-6月期GDPにプラス寄与する見込みだ。まず企業在庫につき鉱工業指数統計を見ると、企業在庫指数は出荷減少に伴い4-6月には増加傾向にある([第5図])。在庫積み上がりは一つには出荷減少によるものではあるが、一方で反動減終了後の出荷の再増加に備えた積み上げと見ることもできる。次に純輸出について、財務省貿易統計によれば、4-6月期の合計貿易赤字は約2.5兆円で、1-3月期の5.1兆円に比べて大幅に縮小している。要因は二つある。一つは3月に駆け込み需要による輸入の大幅増が見られたが、その後その反動減で輸入の伸びが抑制されていること。次に輸出が5月、6月と連続で前年比減少していることである。

また政府支出もわずかに成長にプラス寄与する可能性が高いと見る。公共工事請負額は4-6月期に前期比+58.9%の大幅増加を見せており([第6図])、これが一部でも実現されていれば政府支出は前期比で増加している可能性が高い。もっとも、財政出動の本格的な寄与は7月以降になると見る。昨年12月5日に閣議決定、今年2月に25年度補正予算として成立した「好循環実現のための経済政策」約5.5兆円の支出が本格化するのが今年度後半と考えられるからだ。内閣府の同経済政策の「進捗状況の調査結果について(7月28日)」によれば、補正予算事業のうちの集計事業(3.2兆円)のうち88%の3.0兆円が6月末時点で民間企業等と契約締結に至った「契約開始」段階に達している。総額5.5兆円の経済対策はGDPのおよそ1%に相当し、これは消費税率引上げ後の反動減を補って余りある金額である。予算執行の遅れを勘案しても、4-6月期の民間需要の落ち込みを経済政策が十分にカバーできる可能性が高い。

以上より、4-6月期の実質GDP成長率は、筆者のこれまでの個人予想である前期比年率-5.0%は更なる下振れリスクを孕んでいるといえる。企業設備投資が6月に回復を見せなかったことが下振れの主因である。4-6月期成長率は前期比年率-7%レベルに着地する可能性が今や高いと考える。

[第5図]
20140803図5

[第6図]
20140803図6

7月以降民間内需は持ち直し、経済政策効果で再拡大へ

しかし、これは消費税率引上げの影響が想定以上に大きかったことを必ずしも意味するものではない。当初筆者は、消費税引上げ前の駆け込み需要が引上げ前2四半期にわたって発生、それと同額の反動減が引き上げ後の2四半期にわたり発生すると前提してきた。しかし実際には、駆け込み需要の多くは2014年1-3月期にまとめて発生し、その反動減は4-6月期にほぼ実現したと数値上考えられる。1-3月期の成長率実績が前期比年率+6.9%、4-6月期予想が同-7%とするとこれらがほぼ見合う形になる。上記の通り7月以降は家計部門、企業部門ともに需要が再拡大する可能性が高いことから、7-9月期には再反動による成長加速が期待できる。

上記経済対策の効果も勘案すれば、4-6月期の成長率が従前予想を下回っても、7-9月期の反動により、2014年暦年の前年比+1.8%成長、2014年度の前年度比+1.2%成長予想は維持できる。なおこの場合、4-6月期に日本のマイナスのGDPギャップは一旦拡大するものの、10-12月期にはマイナスのGDPギャップは解消する計算となる([第7図]、なお内閣府は1-3月期GDP2次速報時点のGDPギャップを-0.2%と推計している)。つまり日本経済はこれまでの需要不足から需要超過への転換過程にあり、今後持続的な成長維持のためには供給力の強化が必要になる局面にあるといえる。

[第7図]
20140803図7

<経済指標コメント>米非農業部門雇用者数は209千人増

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[日本]

実質家計消費支出(6月、二人以上の世帯)は前月比+1.5%、前年比-3.0%

6月の実質家計支出(二人以上の世帯)は前月比+1.5%と、3ヶ月ぶりにわずかに増加に転じ、消費税率引き上げによる駆け込み需要反動減がやや緩和されたことを示唆する結果になった。またトレンドを示す前年比の伸びは実質ベースで-3.0%とマイナス幅が大幅に縮まり、名目ベースでは+1.3%と3ヶ月ぶりにプラスに転じている。しかし4-6月期の実質家計支出は1-3月期を大幅に下回っており、内閣府の消費総合指数の4-5月平均は1-3月平均を年率-18.2%下回っている。GDP統計上の4-6月期家計消費は相当なマイナス成長になることを示唆している。
20140802図1

完全失業率(6月)は3.7%(前月比+0.2%ポイント)

6月の完全失業率は3.7%(前月比+0.2%ポイント)と10ヶ月ぶりにわずかに上昇した。完全失業者数(季節調整値)が前月比で増加したのが主因、労働力人口は前月比増加、就業者数は同横ばい。原数値の前年比でみると、完全失業者数は依然減少、労働力人口は増加しており、日本の労働市場はまだ拡大基調にあるといえる。筆者試算による労働力化率は6月時点で59.6%と前月比+0.1%上昇した。しかし昨年末ころから労働力化率は59%台前半から半ばで上昇に頭打ち感が見られ、労働市場が飽和状態に近づいている可能性を示唆している。
20140802図2

鉱工業生産指数(6月)は前月比-3.3%

6月の鉱工業生産指数は前月比-3.3%と大幅な低下。出荷指数は5ヶ月連続低下となる同-1.9%、在庫指数は2ヶ月連続上昇の同+1.9%。ここにも駆け込み需要反動減の大きさが示唆されている。企業設備投資の先行指標となる資本財出荷は4ヶ月連続減少となる同-0.5%、4-6月期平均は1-3月期平均に比べて-8.0%低下しており、GDP統計上の民間企業設備も4-6月期は大幅なマイナス成長になると見る。しかし、製造工業生産予測調査では、7月が前月比+2.5%、8月が同+1.1%の上昇予測となっており、反動減が6月で底入れする可能性を示唆している。
20140802図3

[米国]

実質GDP成長率(4-6月期)は前期比年率+4.0%

4-6月期の実質GDP成長率(速報)は前期比年率+4.0%と、前期の同-2.1%から大幅反発した(今回のGDP統計は年次改訂等により1999年に遡って改訂がなされている)。需要項目別内訳は、個人消費が同+2.5%、設備投資同+5.5%、住宅投資同+7.5%、政府支出同+1.6%、企業在庫寄与度+1.66%、純輸出寄与度-0.61%。筆者の個人予想(7月20日付<経済レポート>参照)との比較では、企業在庫増加が成長を大幅に押し上げたのが目立つ。個人消費も予想を上回るペースの拡大だった。個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は前期比年率+3.3%と前期の同+1.0%から伸びが加速した。総じて表面上の成長率は企業在庫により押し上げられており、内需部分は予想よりやや強めといった程度。もっとも数字上は今年の通年成長率予想から大幅に上振れるペースの成長となっており、2014年通年の成長率はこれまでの筆者予想前年比+1.3%に対し、2%レベルの成長が可能な計算になる。
20140802図4

雇用統計(7月):非農業部門雇用者数は前月比+209千人、失業率は6.2%(前月比+0.1%ポイント)

7月の米雇用統計、まず事業所調査では非農業部門雇用者数が前月比+209千人と、前月の同298千人から増加ペース減速した。それでも非農業部門雇用者数は6ヶ月連続で200千人を超える増加を継続しており、前年比の伸び率は7月時点で+1.9%と2012年3月以来の強い伸びとなっている。内訳では、小売、専門ビジネスサービスの雇用の減速が目立っているものの、循環的な要因と考えられる。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)は前年比+2.3%と、前月から伸びが+0.1%加速、賃金上昇率は決して高くはないものの着実に上昇が続いている。家計調査では、失業率が6.2%と前月比+0.1%ポイントの上昇。内容を見ると、就業者数、労働力人口のいずれもが前月比で増加しており、労働参加率は62.9%と前月比+0.1%ポイント上昇。内容的には良い失業率上昇といえる。なお、27週以上の失業率は2.0%(前月比横ばい)で金融危機以降最低の水準、26週以下の短期失業率は4.2%(同+0.1%ポイント)と4ヶ月ぶりに上昇した。これも今月の雇用市場のわずかな減速が循環要因によるものであることを示唆している。総じて労働市場は堅調な拡大をしており、失業率が自然失業率(米議会予算局推計では5.8%)に接近して、需給はタイト化方向にあると見る。
20140802図5

実質個人消費(6月)は前月比+0.2%、PCEデフレーターは前年比+1.6%

6月の実質個人消費は前月比+0.2%とまずまずの伸び、内訳は耐久消費財が同+0.4%、非耐久消費財が同+0.3%、サービス消費が同+0.1%。自動車販売の増加を反映した耐久消費財消費が消費を牽引、今年に入り低調だったサービス消費にも底入れ感がみられる。結果4-6月期の実質個人消費は前期比年率+2.5%と、前期の同+1.0%から大きく加速した。今後も堅調な雇用増を背景に個人消費は堅調に拡大すると見る。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年比+1.6%と、前月の同+1.7%からやや伸びが減速した。筆者個人は年末のPCEインフレ率を+1.7%と見ており、これまでのPCEインフレ率の伸びはこれを上回るペースであったことから、この一時的減速は予想の範囲内である。インフレ率は来年にFRBが目標とする2%にまで上昇すると見られる。FRBは年内に資産購入を停止ののち、来年半ばに利上げを開始するとの予想を維持する。
20140802図6

ISM製造業指数(7月)は57.1%(前月比+1.8%ポイント)

7月ISM製造業指数は57.1%(前月比+1.8%ポイント)と大幅反転上昇、過去6ヶ月中5ヶ月で上昇している。総合DIを構成する5つのDIの内訳は、受注63.4%(同+4.5%ポイント)、生産61.2%(同+1.2)、雇用58.2%(同+5.4)、入荷遅延54.1(同+2.2)、在庫48.5%(同-4.5)と、在庫を除く4つのDIが前月比で上昇。特に先行性のある受注DIの上昇は今後も経済拡大が加速する可能性を示唆している。
20140802図7