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<経済指標コメント> 米8月CPIは前年比+1.7%

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[米国]

鉱工業生産指数(8月)は前月比-0.1%、設備稼働率は78.8%(前月比-0.3%ポイント)

8月の鉱工業生産指数は7ヶ月ぶりに小幅低下し前月比-0.1%。内訳は製造業同-0.4%、鉱業同+0.5%、公益事業同+1.0%。製造業生産指数の低下は自動車及同部品の生産指数の低下(同-7.6%)が主因。もっとも自動車及同部品の生産指数は前月に同+9.3%と大幅上昇しており、8月の低下はその調整と考えられる。自動車生産台数(乗用車及び軽トラック)は、7月の8.09百万台(前月比+1.08百万台)から8月は同7.16百万台(同-0.93百万台)に大幅減少しており、また8月雇用統計で自動車及び同部品製造業の雇用者数が8月に前月比-4.6千人と前月の同+12.8千人から減少に転じたこととも整合している。しかしながら、8月の新車販売台数は年率17.4百万台と実に8年ぶりの年率17百万台台に急増しており、今後自動車生産需要は再び増加すると考える。総じて8月鉱工業生産の低下は一時的なものと見る(9月6日付<経済指標コメント>参照)。9月の企業景況感指数を見ると、NY連銀製造業指数の出荷DI、フィラデルフィア連銀製造業景況感指数の出荷DIともに前月比上昇しており、9月には再び生産の再拡大が見込める。

20140921b図1

消費者物価指数(8月)は前年比+1.7%、同コア指数は同+1.7%

8月の消費者物価指数は昨年4月以来の前月比低下となる前月比-0.2%、前年比では+1.7%と5月のピーク同+2.1%から3ヶ月連続で伸び率が低下した。同コア指数は前月比横ばい、前年比+1.7%とこちらも5月ピーク同+2.0%から3ヶ月連続で伸び率が低下。インフレ率低下の主因はエネルギー価格低下と関連サービスの価格低下。ガソリン価格は前月比-4.1%(前年比-2.8%)、またエネルギー価格の影響を受けやすい運輸サービスが前月比-0.6%(前年比+1.5%、直近ピークは6月の同+3.2%)と価格低下している。エネルギー価格低下により年後半にインフレ率は一時的に低下し、その後再び堅調な伸びを見せるとの個人予想に沿った動きであり、来年にかけて再び米国のインフレ率は上昇に向かうとの見方は維持したい。

20140921b図2

住宅着工件数(8月)は年率956千戸(前月比-14.4%)、住宅着工許可件数は同998千件(同-5.6%)

8月の住宅着工件数は年率956千戸(前月比-14.4%)と大幅減少、前月の同+22.9%増から反落した。もっとも着工が大幅減少したのは集合住宅で、一戸建て住宅の着工件数は同643千戸(同-2.4%)と小幅減少にとどまっている。住宅着工許可件数も同998千件(同-5.6%)と前月の同+8.6%から減少に転じた。しかし総じて住宅着工件数はゆるやかな増加基調を保っており(6ヶ月移動平均は上向き)、7-9月期の住宅着工件数は8月までの平均で4-6月期に比べ+5.2%増加している。7-9月期のGDP統計上の住宅投資は2四半期連続のプラスの伸びになる見込みだが、そのペースは前期よりもやや減速するリスクが出てきている。

20140921b図3

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<経済レポート> 利上げの準備は整った~9月FOMC

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9月FOMC声明文は予想外にハト派的内容だったが、委員の経済予測による利上げ開始時期はタカ派方向にシフトした。出口戦略の原則と計画も公表され、利上げの準備は整ったといえる。筆者個人の金融政策予想を、2015年6月定例会合で初回利上げ決定、2015年末のFF金利誘導目標レンジを1.25-1.5%とする。

声明文はハト派、利上げ予測はタカ派

16-17日のFRB連邦公開市場委員会(FOMC)では、資産購入の月150億ドルへの縮小が決定されたほか、いくつかの注目点があった。声明文の文言、FOMC委員経済予測、同時に公表された「金融政策正常化への原則」、である。まず声明文の内容を見てみよう。冒頭の基調判断は「経済活動は緩やかなペースで拡大している」とされ、前回7月会合声明文の「第2四半期に反発した」からやや後退している。労働市場条件は「幾分改善した」との表現にとどまり、「労働資源の著しい余剰が残っている」との表現が存置された。一方インフレについては「インフレが継続的に2%を下回って推移するリスクは今年前半に後退した」として、前回の「いくぶん後退」から更に判断を改善させている。

また「委員会」を主語とするフォワードガイダンスでは「極めて緩和的な金融政策スタンスが適切であり続ける」「現在のFF金利誘導目標を資産購入終了の後も相当の期間維持することが適切である可能性が高い」「雇用とインフレが使命と整合的な水準に近づいたあとも、経済条件は当面の間委員会がFF金利を委員会が長期的に正常と見る水準より低く維持することを正当化すると期待する」との文言が存置された。なお、声明文のフォワードガイダンスについては、ダラス連銀フィッシャー総裁とフィラデルフィア連銀プロッサー総裁が反対票を投じた。前回7月会合でイエレン議長の下ではじめての反対票がプロッサー総裁により投じられたが、9月会合では同総裁を含め反対票が2票に増えたことになる。

同時に公表されたFOMC委員による9月時点の経済予測においても、2014年の成長率予測の中心傾向が2.0-2.2%(第4四半期前年同期比)、2015年が2.6-3.0%に下方シフトしている([第1表])。しかしながら、適切な利上げについては委員の予測が大幅に前倒しにシフトした。適切な利上げ時期として2015年のとの予測をした委員が14人と6月予測の12人から増加した。また2015年末のFF金利誘導目標レンジ中心の適切な水準としては1.875%(1.75-2.0%の誘導目標レンジに相当)を予測する委員が4人と最も多く、中央値は1.375%(1.25-1.5%の誘導目標レンジに相当)と6月時点予測の1%から上方シフトした([第1図])。

[第1表]
20140921表1
[第1図]
20140921図1

出口戦略:IOERを主な手段に、再投資停止は利上げの後

また、FOMCは同時に「金融政策正常化の原則と計画」と題するプレスリリースを行った。これは、これまでFOMC内で検討されてきた金融政策正常化(出口戦略)の詳細につき年後半に公表すると議長が従前より述べていたことが実現したものである。同「原則と計画」によれば、2011年6月の正常化原則(7月13日付当レポート参照)の多くは採用可能であるものの、その後のFRBの証券ポートフォリオ変化や新たな政策手段に鑑みいくらかの観点で変更を加えたとされる。新たな「原則と計画」のポイントは、①FF金利誘導目標をレンジとすること、②FF金利の誘導の手段として一義的には超過準備預金付利金利(IOER)を用いること、③オーバーナイトリバースレポ(RRP)は補完的手段にとどめること、③保有資産の再投資停止は利上げの後に行うこと、④住宅ローン担保証券(MBS)の売却を行わないこと、にまとめられる([第2表])。これらはいずれも、6月、7月のFOMC議事要旨において委員の多数意見とされていたもので大きなサプライズはない。(8月24日付当レポート参照)むしろこの「原則と計画」の公表が9月に行われたことがやや想定よりも早めだったといえる。

なお、イエレン議長は、会合後の記者会見冒頭発言で、失業率やU-6失業率の低下、労働参加率の下げ止まりは労働市場が委員会の目標に向かって改善しつつあることを示しているとしつつも労働市場の回復は「完全に回復はしていない」とし、また極めて多くの人が「職を探しても見つけられず、フルタイム職を選好してもパートタイム職で働き、労働市場が強ければ職探しをするであろうが現在は職探しをしていない」と述べて、労働市場の回復が十分でないことを強調している。また、10月のFOMCで資産購入終了を決定する見込みであること、準備預金が潤沢にある間はIOERがFF金利誘導目標のレンジ上限として機能することを委員会が想定していると述べている。

[第2表]
20140921表2

来年6月FOMCでの初回利上げ決定、来年末FF金利は1.25-1.5%と見る

FOMC声明文の内容が予想以上にハト派的である一方でFOMC委員の利上げ開始や時期の予測が前倒しになっていることは、FOMC内で多数派と思われるハト派がややタカ派方向にシフトし、さらに本来のタカ派が更に緩和的金融政策の早期解除を強く主張するようになったことが背景だと考える。声明文で「著しい労働資源の余剰」「相当の期間」などの文言を存置したことには、イエレン議長をはじめとするハト派の強い意向が反映されていると引き続き見ることができる。ハト派代表であるイエレン議長自身のハト派的発言が後退を始めていることは9月14日付当レポートで見たとおりであるが、労働市場の条件について議長の表現も変化している。今回の記者会見で議長は労働市場条件が「完全には回復していない」と述べており、これは8月22日のジャクソンホールでの講演での表現と同じであるが、以前の7月17日の米議会宛半期金融政策報告における「満足できるには程遠い」との表現からは明らかに改善している。また9月FOMCで2人のタカ派委員(フィッシャー総裁、プロッサー総裁)が声明文のフォワードガイダンス文言に反対票を投じたことは、タカ派の意見が更に強くなったことを表している。

一方で利上げ時期については2015年を予測する委員が17人中14人とほぼ大多数を占めたうえ、2015年末のFF金利誘導目標レンジ予測1.25~1.5%は、利上げを開始時期が来年6月とする意見が全体の中央値であることを示唆している。これらは、来年半ばの利上げ開始を予想する当レポートの見方を更に支持するものである。成長率・失業率・インフレ率を示す指標は明らかに利上げ開始時期の前倒しを示唆することはハト派といえども認めざるを得ない状況であり、これが経済予測におけるFF金利水準の上方シフトに反映されているといえる。声明文のハト派文言は経済的観点の判断というよりも社会的リベラルな主張者の証跡の色彩が濃くなっているといえる。現実の金融政策は経済学的判断に基づいて実施されるべきものであるから、結果金融政策は委員の経済予測に基づき従前の想定よりいくぶん前倒しになる可能性が高いといえるだろう。

これらを総合して、筆者のFRB金融政策予想を「2015年6月定例会合で0.25%の利上げ開始を決定、年末のFF金利誘導目標レンジ1.25-1.50%」を新たな筆者個人の予想とする。イエレン議長の採用するテイラールール公式注1)を用いて適正なFF金利水準を試算すると、2014年10-12月期に適正FF金利がプラスに転じ、2015年10-12月期に約1.5%に上昇するとの結果になった([第2図]、なお前提として2014年成長率とPCEデフレーターは筆者個人暫定予想、2015年はPCEデフレーター前年比+2.0%、成長率3%とした)。テイラールールからは2015年1-3月期時点で既に0.75%レベルまでの利上げが正当化される計算になるが、FOMC声明文が資産購入停止後「相当の期間」現在のゼロ金利を維持するとの見通しを依然明記していることから、ほぼ半年の間は利上げを実施しないとする。また初回利上げは議長記者会見の実施される定例会合で決定する可能性が高いことから、10月以降6ヶ月を経過した直後の記者会見付定例会合である6月を最初の利上げ決定と予想する。当初の利上げは6月定例会合を含め以後2015年内に5回予定されている定例会合([第3表])毎に0.25%ずつの慎重なペースで実施されるとし、結果2014年末のFF金利誘導目標レンジ予想は1.25-1.5%とする。これは上記のテイラールールによる均衡政策金利試算結果ともほぼ一致するものである。

[第2図]
20140921図2
[第3表]
20140921表3

リスク要因は8月分以降の経済指標の軟化

上記予想に対するリスク要因は、利上げペース前倒し(加速)方向と後倒し(減速)方向の双方向がある。まず利上げペースが予想よりも速くなるリスク要因として、4名のFOMC委員が2015年末のFF金利誘導目標レンジを1.75-2.0%と予測していることである。これは初回利上げ開始を来年前半に前倒しするかまたは1会合毎の利上げペースを0.25%より大きな幅にすることを想定した予測と考えられる。しかし、ハト派委員の数が人数上は多いことから、この方向のリスクは相対的には小さいと見る。利上げ開始後の利上げペースについてはおそらく9月会合の議事要旨でなんらかの議論がなされている可能性があるため、議事要旨公表後に確認することとしたい。

一方、利上げペース後倒し方向のリスク要因は、まずFOMC内でハト派が相対的に多数であることと、経済活動が来年にかけて減速するリスクである。公表済の8月分経済指標は、雇用統計、住宅着工、消費者物価指数などがやや軟化しているものがみられる。これらの軟化は一時的要因と筆者個人は考えているが、9月以降経済指標の好転が見られなかった場合、来年半ば利上げ開始が見送られる可能性なしとしない。現在筆者は暫定的に2014年通年の成長率を前年比+2.0%(第4四半期前年同期比では+1.9%)と試算しており、FOMC委員の成長予測はこれよりもいくぶんながら楽観的である。

注1)it=2+πt+0.5(πt-π)+1.0(yt-yt*、it:適切な政策金利、πt:インフレ率実績、π:インフレ率目標、yt:GDP実績、yt*:潜在GDP。(Janet L. Yellen, “Perspectives on Monetary Policy”, June 6, 2012参照)