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<経済指標コメント> 日本の10月実質家計消費支出は前年比-4.0%

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[日本]

家計調査(10月):実質家計消費支出は前年比-4.0%(季節調整済前月比+0.9%)

10月の実質家計消費支出は前年比-4.0%(前月同-5.6%)と4月以来7ヶ月連続の前年比マイナスで、家計消費が消費税引上げ前の水準に回復していないとの結果になった。もっとも前年比-4.0%のマイナス幅は6月についで小さく、また季節調整済前月比では+0.9%と2ヶ月連続の増加に転じた。また名目ベースの家計消費は前年比-0.7%(前月同-1.9%)と徐々にマイナス幅を縮めている。消費税率引上げ後の反動減の影響は徐々に和らいでいるといえる。しかし、前年比の実質消費が消費税率引上げ幅を上回る減少を示していることは、消費税率引上げの影響が予想以上に大きかった可能性をも示唆している。

20141129図1

全国消費者物価指数(10月)は前年比+2.9%、生鮮食品を除く総合指数は同+2.9%

10月の全国消費者物価指数は前年比+2.9%(前月同+3.3%)と4月以降6ヶ月中4ヶ月の前月比伸び率低下。生鮮食品を除く総合指数(コア指数)は同+2.9%(前月同+3.0%)と3ヶ月連続の伸び率低下。内訳ではエネルギー価格の伸び率の低下が引き続き総合指数、コア指数の伸び率を押し下げている。消費税率引上げ影響を除くベースでは総合指数、コア指数ともに同+0.9%と1%を割り込む水準にまでインフレ率は低下している。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は同+2.1%。

20141129図2

完全失業率(10月)は3.5%

10月の完全失業率は3.5%と前月比-0.1%ポイント低下。内訳は労働力人口前月比-0.3%、就業者数同-0.2%、完全失業者同-1.3%と労働市場規模がやや縮小する中での失業率低下。中期的には失業率の6ヶ月移動平均が6ヶ月連続で3.6%と横ばいになっており、失業率は下げ止まりの傾向が続いている。一方筆者試算による労働参加率は59.6%(6ヶ月移動平均)と前月比+0.1%ポイント、再び上昇の兆しが見られる。

20141129図3

鉱工業生産指数(10月)は前月比+0.2%

10月の鉱工業生産指数は前月比+0.2%と前月の同+2.9%に続き2ヶ月連続の上昇。出荷指数は同+0.4%(前月同+4.4%)とこれも2ヶ月連続で上昇した。在庫指数同-0.4%(前月同-0.7%)は2ヶ月連続の低下で在庫調整の継続を示唆している。在庫率指数は同+0.9%(前月同-6.0%)。企業設備の先行指標となる資本財出荷は同+5.1%と前月の同+3.0%に続き2ヶ月連続上昇となる大幅な上昇。7-9月期のGDP統計上の企業設備投資は予想外にマイナス成長となったが、企業設備投資は振れを伴いながらも増加に転じており、4月の消費税率引上げ後の反動減の影響は剥落しつつあると見たい。

20141129図4

住宅着工戸数(10月)は年率904千戸(前月比+2.7%)

10月の住宅着工戸数は年率904千戸(前月比+2.7%)と3ヶ月連続の前月比増加。消費税率引上げ後の反動減の影響は徐々に解消しつつある。四半期次では10-12月期の住宅着工戸数は4四半期ぶりに前期を上回るペースである。GDP統計上の住宅投資は、10-12月期に3四半期ぶりのプラス成長への転化が期待できる。

20141129図5

[米国]

実質GDP成長率(7-9月期、改定値)は前期比年率+3.9%(速報値同+3.5%)

7-9月期の実質GDP成長率(改定値)は前期比年率+3.9%と速報値の同+3.5%から上方改訂された。需要項目別内訳は、個人消費同+2.2%(速報同+1.8%)、設備投資同+7.1%(速報同+5.5%)、住宅投資同+2.7%(速報同+1.8%)、政府支出同+4.2%(速報同+4.5%)、在庫投資寄与度-0.12%(速報同-0.57%)、純輸出寄与度同+0.78%(速報同+1.32%)。個人消費・設備投資・住宅投資の3つの民間内需項目が上方改訂され、これら3つを合わせた国内民間最終需要は同+3.0%と前期の同+3.8%に続き2四半期連続3%台成長となった。純輸出の寄与度は下方改訂となったが、これは速報で予想外の同-1.7%減少となった財・サービス輸入が上方改訂され同-0.7となったことによるもの。総じて米国経済は堅調な拡大を続けている。10-12月期はやや減速して同+3.5%の成長、2014年通年では前年比+2.3%レベルの成長を見込む。

20141129図6

実質個人消費(10月)は前月比+0.2%、個人消費支出価格指数は前年比+1.4%

10月の実質個人消費は前月比+0.2%とまずまずの伸び。内訳は自動車販売の減少を反映して耐久消費財が同-0.1%減少したものの、非耐久消費財が同+0.5%の大幅な伸び、サービス消費も同+0.1%の伸びを確保した。米国の個人の購買力は雇用増が前年比約2%弱、実質賃金が約0.5%と合計2%半ばの伸びのペースであり、実質ベースの個人消費は今後も2%台半ばの持続的成長が可能である。10-12月期のGDP統計上の実質個人は3四半期連続の2%成長となる前期比年率+2.6%レベルを見込む。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年比+1.4%と前月並みの伸び率でエネルギー価格低下を背景にインフレ率は低下傾向にある。ただし食品・エネルギーを除くコア指数は同+1.6%と6ヶ月ぶりに上昇が加速、エネルギーを除く品目のインフレ率低下に歯止めがかかる兆しがみられる。

20141129図7

耐久財受注(10月)は前月比+0.4%、除く運輸関連同-0.9%、非国防資本財受注(航空機を除く)同-1.3%、同出荷同-0.4%

10月の耐久財受注は前月比+0.4%の増加だったが、大幅に伸びたのは国防航空機及び部品で、運輸関連を除くベースでは同-0.9%の減少。企業設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機を除く)も-1.3%と2ヶ月連続の大幅減少となった。GDP統計上の機器投資の基礎統計となる同出荷は同-0.4%。総じて10月単月統計は企業設備投資の減速を示唆するものとなったが、設備投資関連指標は改訂幅も大きく月次の振れも大きいことから今後の上方改訂や回復が十分にありうる。ISM指数などに見られる企業景況感が好調であることからは、企業設備投資は今後も堅調に拡大すると見る。

20141129図8

新築住宅販売(10月)は年率458千戸(前月比+0.7%)、在庫期間は5.6ヶ月

10月の新築住宅販売は年率458千戸(前月比+0.7%)と3ヶ月連続の増加、水準は金融危機直前の2008年7月以来の水準に回復した。販売在庫は212千戸(同+1.0%)と8ヶ月連続の増加で供給も順調に増えている。結果在庫期間は5.6ヶ月と3ヶ月ぶりに長期化に転じた。総じて新築住宅市場はややタイトな需給にあるものの、適度なペースでの拡大を続けているといえる。

20141129図9


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<経済レポート> それでも時は今。。:日本の消費税率再引上げ見送り

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7-9月期成長率が予想外のマイナス成長となり、政府は消費税率再引き上げを見送った。成長の悪化からは見送りはやむなしと考える一方で、中期景気変動からはやはり現在が再引き上げの好機だったとの見方も可能である。今後については、いまや2014年度の経済成長はゼロに留まる可能性が高いものの、来年にかけては個人消費・輸出の増加と財政出動による経済の再加速を見込む。

7-9月期マイナス成長で政府は消費税率再引上げ延期を判断:個人消費の減少

17日に公表された日本の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率-1.6%と予想外の2四半期連続マイナス成長となった(11月22日付<経済指標コメント>参照)。この指標を受けて安倍首相は翌18日の記者会見で「消費税10%への引上げを法定どおり来年10月には行わず、18ヶ月延期すべきとの結論」に至ったことを表明、消費税率再引き上げは2017年4月まで先送りとなった(なお首相は同会見で21日に衆議院を解散することを表明、21日衆議院は解散され12月14日に総選挙が実施されることとなった)。筆者はこれまで当レポートで、7-9月期の成長率が前期比年率約+2.5%となり反動減によるマイナス成長から成長トレンドに回帰することで消費税率再引き上げ判断が可能と予想していた。同-1.6%のマイナス成長と消費税再引き上げ見送りはこの予想を覆す結果である。

まず、7-9月期GDP統計において予想比特に大きく下振れた需要項目が個人消費である。内閣府消費総合指数の9月までの実績から、7-9月期の実質家計消費は前期比年率+2.9%の伸びを実現すると見ていたが、GDP統計の結果はこれを大きく下回る同+1.4%だった。実質家計消費支出の前年比の推移を見ると、消費税引上げ後の2四半期の伸びはいずれも前年比-2.8%となっている([第1図])。これは4月の消費税率引上げ幅3%分だけ実質ベースの個人消費が減少していることを示唆している。消費税率引上げ前の駆け込み需要とその反動減は同額と前提してきた当レポートの考え方は修正を迫られる可能性が出てきている。

政府の消費税率引上げ延期判断も個人消費の低迷が決め手となったようだ。安倍首相は18日記者会見で「現時点では3%の消費税率引上げが個人消費を押し下げる大きな重石となっています」「本年4月の消費税率3%引上げに続き、来年10月から2%引き上げることは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断いたしました」と述べている。

[第1図]
20141123図1

GDPはトレンド回帰できず:再引き上げ見送りの判断はやむなし

次に実質GDP全体の推移を見てみる。[第2図]は1994年1-3月期~2014年7-9月期の四半期の実質GDP(対数値)の推移をHPフィルターで平滑化して中期トレンドを抽出したもの、[第3図]はその2012年10-12月期以降部分の拡大図である。これによれば、7-9月期の成長率がマイナスだったことによりGDPのトレンドラインへの回帰が実現できず、4月の消費税率引上げ後の反動減によるGDP押し下げ効果が7-9月期になってもまだ解消されていないことが読み取れる。筆者は当初7-9月期のトレンドライン回帰に必要な成長率(前期比年率+2.5%)が実現可能と見ていたがこれが実現できなかったことになる。

なお、7-9月期実績までを勘案した中期トレンドラインの傾きからは、7-9月期時点のトレンド成長率は前期比年率約+0.9%と試算できる。また10-12月期に中期トレンド回帰するのに必要な成長率は同+4.5%と試算できる。つまり、10-12月期に成長が中期トレンドに回帰するためには前期比年率4~5%の成長が実現されねばならず、7-9月期時点に比べてトレンド回帰へのハードルは更に高くなったといえる。

4月の消費税率引上げの影響が駆け込み需要と反動減で相殺されず、消費税率引上げ分の実質個人消費の減少が継続していること、また消費税率引上げ後2四半期を経てもなおGDP実績がトレンドを下回っていることからは、今回の消費税率再引き上げ見送りの判断はやむを得ないものと言わざるを得ない。

[第2図]
20141123図2
[第3図]
20141123図3

成長トレンドが上向きにある現在が消費税率再引上げの好機だった可能性は残る

しかしそれでもなお、来年10月の消費税率再引き上げが妥当と考えうるいくつかの要因がある。まず、日本経済は2四半期連続のマイナス成長にもかかわらず、中期的な成長トレンドは潜在成長率を上回っており、依然相対的には成長加速期にあることである。まず上記の通りHPフィルターを用いて抽出した中期的な成長トレンドは年率+0.9%レベルを維持しており、これは日本の潜在成長率とされる0.6%(内閣府推計)を上回っている。ちなみに、1994年1-3月期~2014年7-9月期までの四半期GDPを線形回帰した場合の長期トレンド成長率は年率約+0.8%弱と計算される。これと上記のHPフィルターから抽出された中期トレンド成長率+0.9%を比較すると、依然として中期的経済トレンド(長期サイクル)は長期トレンドを上回る位置にあるということができる(各成長トレンドの算出方法については8月31日付当レポート参照)。

これとは別な潜在成長率算出方法で同じ比較を試みてみよう。過去の実質GDP成長率実績と失業率実績をオークンの法則の等式(〔四半期実質GDP成長率前期比年率〕=α×〔失業率前期比変化〕+〔潜在成長率〕)で回帰し、失業率変化ゼロに相当する成長率を潜在成長率とする。この潜在成長率の時系列推移を40四半期ローリング回帰と20四半期ローリング回帰でそれぞれ求めたものが[第3図]である。40四半期回帰による潜在成長率は日本経済の長期トレンド成長率を、20四半期回帰による潜在成長率は中期のトレンドを表すとする。これによれば、長期トレンド(潜在成長率)はほぼ一貫して低下傾向にあり現状で約+0.4%まで低下している。一方中期トレンドは2014年1-3月期に駆け込み需要で+2.4%のピークに達したのち低下しているものの、7-9月期現在で+1.0%と、長期トレンド成長率をまだ上回る水準にある。現在の日本経済は長期トレンドに対してまだ上方の中期トレンド成長(長期トレンドに対する上方サイクル)を維持しているといえるのである。

また、企業の設備投資循環も現在は上昇のピーク近辺にあるということができる。[第4図]は企業設備投資の対GDP比率の四半期推移とその8四半期移動平均である。企業設備投資の対GDP比率は企業の設備投資循環を表す。同比率の8四半期移動平均は現在上昇から横ばいに転じつつある位置にあり、現在が設備投資循環のピークである可能性を示唆している。今後この比率が低下に転じると、丁度次回消費税率引上げ予定時期には設備投資循環が下降局面になっている可能性がある。GDP成長率や設備投資の中期トレンド(長期サイクル)は現在上昇局面からピークに近づきつつあり、今後これが低下局面に転じる可能性があることからは、現在が消費税率再引き上げの適切なタイミングであった可能性は否定できないといえる注1)

[第4図]
20141123図4
[第5図]
20141123図5

今年度はゼロ%成長に終わるも、来年は成長再加速を見込む

ともあれ、7-9月期の実質GDPがマイナス成長だったことで、今年の成長率予想は大きく下方修正せざるを得ない。筆者はこれまで、2014年暦年成長率を前年比+1.0%、2014年度を前年度比+0.4%と見ていたが、7-9月期実績をもとに試算すると、暦年成長率は同+0.6%、年度成長率はほぼゼロになる計算である。

しかしながら、今後来年にかけての日本経済については、今年以上の成長加速を見込みたい。まず、日本経済の中期的な動向を見るために内閣府の景気動向指数を見てみよう。まず景気一致指数は9月現在で109.8ポイントと3月の直近ピーク114.6ポイントを大幅に下回っている。内閣府は基調判断を「下方への局面変化を示している」としており、景気が後退局面入りする可能性を示唆している。しかし景気一致指数の3ヶ月移動平均は9月に109.3ポイント(前月比+0.1ポイント)とわずかながら上昇に転じており、一致指数には下げ止まりの兆しがみられる。景気先行指数は9月時点で105.6ポイントとこれもピークから大幅に低下しているが、3ヶ月移動平均は105.2ポイントと2ヶ月連続の上昇に転じている([第6図])。マクロ景気動向指数からは4月の消費税率引上げによる需要減少は徐々にではあるが解消しているといえるだろう。

金融市場環境や経済政策は今後の需要押し上げを支える要因である。まず、10月31日の日本銀行による追加金融緩和実施以降株価は急伸し、日経平均は17000円を超える水準にある。これは消費者センチメントの好転という形で経済を底支えることになるだろう。特に個人消費は消費税率再引上げに備えた積み上がり需要が蓄積している可能性があり、現金給与の増加とともにこれまでの買い控えからの反動増が期待できる可能性が高い。次に、追加金融緩和以降円安が進行しドル円は1ドル=117円台にまで上昇している。これは輸出の増加という形で成長を押し上げる要因である。さらに、安倍首相は消費税率再引き上げ延期とともに2~3兆円の経済対策を指示した。この規模の経済政策はGDPを約+0.5%押し上げる効果を見込むことができる。これらの要因を勘案して試算したところ、2015年暦年では前年比+2%台前半、2015年度は前年度比約+3%の成長が可能との結果になった。当面はこれを筆者の暫定予想としておくこととしたい([第7図])。

[第6図]
20141123図6
[第7図]
20141123図7

注1)もっとも、2020年の東京オリンピック需要で、2017年頃には一時的な設備投資拡大局面が示現している可能性はあり、結果的に2017年10月の消費税率再引上げによる需要押し下げ効果がオリンピック前需要で相殺されることも考えられる。

<経済指標コメント> 日本の7-9月期実質GDP成長率は前期比年率-1.6%

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[日本]

実質GDP成長率(7-9月期)は前期比年率-1.6%

7-9月期の実質GDP成長率(1次速報値)は予想外の2四半期マイナス成長となる前期比年率-1.6%となった。また4-6月期分は同-7.3%に下方改訂された。筆者個人は7-9月期成長率を同+2.5%程度のプラス成長を見ていたが大幅な下振れとなった。需要項目別内訳は、家計消費が同+1.4%(前期同-19.1%)、住宅投資同-24.1%(前期同-34.3%)、企業設備投資同-0.9%(前期同-17.9%)、公的需要同+2.8%(前期同+0.2%)、企業在庫寄与度同-2.2%(前期同+4.2%)、純輸出寄与度同+0.4%(前期同+3.1%)。家計消費は内閣府消費総合指数の動きから同+2.9%の伸びを予想していたが大幅にこれを下回った。住宅投資は住宅着工戸数の状況から2四半期連続のマイナス成長を見込んでいたがそのマイナス幅は予想以上に大きかった。企業設備投資は資本財出荷の増加からはプラス成長への回復を見込んでいたにもかかわらず2四半期連続のマイナス成長となった。企業在庫の減少が成長を-2.2%押し下げているのが目立つといえるものの、国内民間最終需要(家計消費+設備投資+企業在庫)は合わせて前期比横ばいとなっており、景気回復の遅れはあながち在庫調整のためだけともいいにくい。7-9月期成長率はトレンド回帰に必要と筆者が見ていた+2.5%を達成できない結果となった。また、前年比+1.0%と見ていた2014年通年成長率は同+0.5%程度に、前年度比+0.4%と見ていた2014年度成長率は同ゼロ成長に下振れる見込みである。なお17日に公表された本指標を受け安倍首相は18日の記者会見で、消費税率の10%への引上げを2015年10月に実施せず18か月延期すること、また21日に衆議院を解散することを表明した。

20141122図1

[米国]

鉱工業生産指数(10月)は前月比-0.1%、設備稼働率は78.9%(前月比-0.3%ポイント)

10月の鉱工業生産指数は前月比-0.1%の小幅低下。もっとも前月の同+0.8%の大幅上昇を勘案すれば総じて鉱工業生産は堅調に伸びているといえる。10月の内訳は製造業同+0.2%、鉱業同-0.9%、公益事業同-0.7%となっており、製造業は2ヶ月連続の上昇、鉱業と公益事業はいずれも前月の大幅上昇(それぞれ同+1.6%、+4.2%)からの一時的反動と見られる。しかしながら自動車生産台数(乗用車及び軽トラック)は年率11.77百万台(前月比-3.6%)と7月をピークに3ヶ月連続の減少だった。設備稼働率は78.9%(同-0.3%ポイント)と小幅低下。今年に入り設備稼働率はやや伸び悩んでいる。1972年~2013年の平均値である80.1%からやや下方に乖離している。

20141122図2

住宅着工戸数(10月)は年率1009千戸(前月比-2.8%)、着工許可件数は同1080千件(同+4.8%)

10月の住宅着工戸数は年率1009千戸(前月比-2.8%)と2ヶ月ぶりの小幅減少。ただし同6ヶ月移動平均は同1000戸と前月をやや下回ったものの2ヶ月連続で1000千戸を上回っており、また着工許可件数が同1080千戸と2ヶ月連続の増加を示していることから、住宅着工は総じて堅調といえる。

20141122図3

消費者物価指数(10月)は前年比+1.7%、同コア指数は同+1.8%

10月の消費者物価指数は前月比横ばい、前年比+1.7%と、前年比上昇率が3ヶ月連続で横ばいとなった。同コア指数は前月比+0.2%、前年比+1.8%と3ヶ月ぶりに前年比上昇率が加速した。内訳は食品前年比+3.1%、エネルギー同-1.6%(うちガソリン同-4.9%)と引き続きエネルギー価格の低下がインフレ率を抑制している。しかし、食品・エネルギーを除くコア指数は前年比の伸び率を加速させており、エネルギー等の要因を除いたインフレ率は上昇に転じつつあることを示唆している。衣服は同+0.7%と2ヶ月連続のプラスに転化、エネルギー価格の影響を受けやすい運輸サービスも同+1.8%と4ヶ月ぶりに上昇率を高めるなど、米国のインフレ率には下げ止まりの兆しがみられる。また住居家賃(同+3.3%)、住居帰属家賃(同+2.7%)は持家比率の低下を反映して高めの伸びが続いている。年央にいったん低下に転じた消費者インフレ率は、年末にかけて再び上昇に転じ年末には消費者物価指数で前年比2%程度、個人消費支出価格指数で同+1.7%の伸びになるとの見方を維持する。

20141122図4

中古住宅販売戸数(10月)は年率5260千戸(前月比+1.5%)、在庫期間は5.1ヶ月

10月の中古住宅販売戸数は年率5260千戸(前月比+1.5%)と2ヶ月連続の増加、販売戸数は昨年9月以来の水準にまで回復した。前年比の伸びは+2.5%と、昨年10月以来1年ぶりのプラスに転化した。販売在庫は2220千戸(前月比-2.6%)とやや減少、結果在庫期間は5.1ヶ月と前月の5.3ヶ月から短縮しており、中古住宅市場は適度かややタイト目な需給が続いている。もっとも中央販売価格は前年比+5.5%と適度な上昇率にとどまっており、低金利と合わせて消費者の住宅購入意欲に期待できる状況である。公表元の全米不動産業協会(NAR)は、低金利や販売価格安定に加え「強い雇用市場がここ6ヶ月の間続いており、これが堅調な需要」を生むだろうと述べている。

20141122図5

<経済指標コメント> 米10月小売売上高は前月比+0.3%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(10月):現状判断DIは44.0(前月比-3.4ポイント)、先行き判断DIは46.6(同-2.1ポイント)

10月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは44.0(前月比-3.4ポイント)と大き目の低下、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは46.6(同-2.1ポイント)と5月をピークに5ヶ月連続の低下。もっとも判断悪化方向の判断理由は「台風」「原材料価格高騰」「エボラ熱」「イスラム国の動向」など一時要因と考えられるものが多く、景気判断の低下も間もなく底入れするものと見たい。

20141115図1

機械受注(9月、船舶・電力を除く民需)は前月比+2.9%

9月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+2.9%と4ヶ月連続の増加、前年比でも+7.3%と2か月ぶりのプラスの伸びに転化した。受注額の水準は消費税率引上げ前の水準には及ばないものの、企業の設備投資意欲は確実に回復している。なお、7-9月期の受注額は前期比+5.6%と前期の同-10.4%からプラスに転化しており、7-9月期GDP統計上の企業設備投資はプラス成長への回復を見込む。

20141115図2

[米国]

小売売上高(10月)は前月比+0.3%、除く自動車関連同+0.3%

10月の小売売上高は前月比+0.3%と前月の同-0.3%をほぼ取り返す回復で、米国の個人消費が堅調であるとの結果になった。内訳を見ると、スポーツ用品及び玩具店(同+1.2%)、無店舗小売店
(同+1.9%)などが売上を伸ばしている。ガソリン価格低下を受けてガソリンスタンド(同-1.5%)売上が減少したほか、家電店(同-1.6%)が前月の増加の反動で売上減となったが、総じて各業種とも売上を伸ばしている。ホリデー商戦(クリスマス商戦)売上高のベースとなる「自動車関連・ガソリンスタンド・レストランを除く」ベースでは前月比+0.5%と筆者の想定(11月9日付<経済レポート>参照)を上回る伸びとなった。このペースだとホリデー商戦売上高は筆者予想(前年比+3.7%)上回る4%台の増加の可能性が出てきている。

20141115図3

企業在庫(9月)は前月比+0.3%、企業売上高は前月比横ばい

9月の企業在庫は前月比+0.3%とやや弱めの伸び。3ヶ月前対比では4ヶ月連続で伸びを減速させており、企業在庫は引き続き調整局面にある。7-9月期実質GDPにおいては、主要需要項目のうち在庫投資が唯一GDPを押し下げる要因になったことと整合している。企業売上高は前月比横ばいと前月の同-0.3%から回復せずやや減速感がある。

20141115図4

<経済レポート> 消費に余裕、業界に競争:米ホリデー商戦見通し

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今年の米国のホリデー商戦(クリスマス商戦)売上高は昨年を上回る前年比+3.7%の伸びを予想する。業界団体の予想も同様に強気である。一方で小売業間の競争はここ数年でもっとも激化する模様で、大手の一部が感謝祭休日夜の開店時刻繰り上げに踏み切るなど従来以上の販促策を講ずる予定だ。

ホリデー商戦の環境は昨年より良好

米国のホリデー商戦(クリスマス商戦)期間は通常感謝祭休日(今年は11月27日)の翌日の金曜日(いわゆるブラックフライデー)からクリスマスの前日までの期間をさすが、小売商戦の激化から小売業間の商戦は事実上前倒しになる傾向がここ10年以上続いている。国際ショッピングセンター評議会ICSCの調査(10月17日付)によれば、約35%の消費者はホリデーの買い物を10月中に開始するとの結果がでている。一方で統計上はクリスマス商戦売上の期間を11月-12月とするのが一般的である。小売業にとって11月-12月の売上は年間売上高の約20%~40%を占める(全米小売業協会NRF調査、なおNRFによれば2013年の小売業全体の11月-12月売上高は年間売上高の19.2%であった)ことから、ホリデー商戦売上は各小売業の決算のみならず、来年の個人消費の動向を占う重要な指標となる注1)

今年2014年のホリデー商戦は昨年に比べ良い環境での開始となる。昨年は年初に実施された給与税減税廃止の影響で個人所得の伸びが抑制されたうえ、議会内の与野党対立で2014年度政府予算が成立しないいわゆる「財政の崖」問題で10月に2週間以上にわたり政府機関一部閉鎖が実施された。いわゆる2013年超党派予算法案が成立したのは12月半ばまで、米国財政は不透明感が続いた。更に年末に米国を寒波が襲ったことも商戦に水を差した。

今年は今のところこうした政治・財政上の懸念材料がない。11月4日の中間選挙で共和党が上下両院の過半数議席を獲得したことはねじれ議会の不安定さをある程度解消したといえる。市場はこれを好感してNYダウは7日に年初来高値を更に更新した。また雇用は10月まで9ヶ月連続で前月比+200千人を超える増加を続けている。更に昨年との対比ではカレンダー要因も有利である。昨年の感謝祭は11月28日と遅めにシフトたため、感謝祭翌日からクリスマス前日までの日数が26日と極端に少なかった。今年の感謝祭は11月27日であり、同じ期間の買い物日数は27日と昨年よりも一日だけ多い。

今年のホリデー商戦は前年比+3.7%への加速を予想:可処分所得の伸びが消費を牽引

こうした状況下、筆者個人は今年のホリデー商戦売上高(自動車及び部品ディーラー・ガソリンスタンド・レストランを除く小売売上高の11月-12月合計)の伸び率を前年比+3.7%と予想する([第1図])。これはホリデー商戦売上の伸びが前年の同+3.3%から加速し、3年ぶりに伸び率が前年を上回ることを意味する。以下、小売売上高統計の推移及びその他の消費関連指標をもとに今年の年末商戦売上予想を裏付ける要因を見ていくこととする。

小売売上高統計によれば、9月時点でホリデー商戦売上ベースの売上高(3ヶ月移動平均)は前年比+3.7%の水準でほぼ安定推移している([第2図])。この推移からは11月-12月の売上もほぼ同様の伸びが期待できることになる。ところで、直近9月のホリデー商戦ベースの売上高は前月比-0.2%と減少している(小売売上高全体の前月比の伸びも-0.3%と減少)。これは10月以降への不安材料と見れなくもない。しかしながら、この9月の売上減少は更に前月の8月の大幅な売上増加の反動減と考えられる。一方で10月には小売業の雇用が前月比で増加しており、小売売上が引き続き堅調な拡大を続けていることを示唆している。よって、ホリデー商戦ベースの小売売上高が10月に前月比+0.5%とやや強めの伸びになり、11月、12月にそれぞれ同+0.2%の伸びを続けると見る。これらの前提からは、今年の11-12月のホリデー商戦売上高が上記の前年比+3.7%となる計算になる。

個人消費の源泉となる個人所得はその伸びが加速していて、ホリデー商戦売上増加を支える要因になると見る。名目個人所得から政府に対する社会保障料や税金支払いを差し引いた個人名目可処分所得は、今年の7-9期時点で前年比+4.2%の伸びを示しており、これは前年同期の同+2.1%を大きく上回るペースである。この個人可処分所得の増加要因は大きく3点ある。まず、昨年初の給与税減税廃止の影響が剥落したこと。次に雇用拡大と賃金上昇のペースが拡大したこと(雇用者数・時間当たり賃金・週平均労働時間の伸びを合わせた購買力の伸びは今年10月時点で前年比+4.7%と、昨年10月の同+4.0%を大きく上回っている)。最後に医療制度改革によりメディケイドを中心に政府から個人への移転所得が増加していることである([第3図])。

[第1図]
20141109図1
[第2図]
20141109図3
[第3図]
20141109図2

消費性向とセンチメントは上昇中:商戦予想へのリスクは上方

また、追加的な所得増加1単位に対する消費増加の割合を示す限界消費性向も昨年に比べて高水準にある。筆者試算による限界消費性向は今年の7-9月期時点で0.94であり、これは昨年の7-9月期の水準0.91から更に上昇している([第4図])。つまり消費者は所得増加の94%を消費に回す傾向があることになる。限界消費性向の上昇は、消費者の景況感に余裕ができて、収入のうち将来のための貯蓄に回す割合が逓減していることを示唆している。実際に可処分所得から消費支出を差し引いた貯蓄の可処分所得に対する割合(貯蓄率)は7-9月期時点で5%レベルにあり、昨年同時期の約6%から1%の大幅低下となっている(4四半期移動平均ベース)。

消費者のセンチメントも良好である。ミシガン大学消費者センチメント指数は10月時点で86.9ポイントと2007年以来の高水準にある。消費者センチメントを押し上げている要因としては、労働市場の条件改善や10月後半の株価反転上昇による消費者マインドの改善が考えられる。消費者センチメント指数と小売売上高の伸びの間には、一時要因を除けばある程度の連関性がみられる([第5図])。ここからは、10月以降の小売売上高の伸びが9月以前よりも更に加速することが推測できる。

以上より、今年のホリデー商戦売上高は昨年を上回るペースの増加を見せることになりそうだ。リスク要因としては、中東や東欧などの地政学リスクの高まりが消費者心理を悪化させることが考えられる。しかし、現在の米国の消費者心理モメンタムは極めて強く、米国政府による中東空爆開始や、10月前半の一時的株価急落に対しても反応薄であった。筆者個人の予想はむしろ、9月まで一時的に減速した個人消費が反動で年末にかけて再加速することによる上ブレ方向にリスクがあるといえるだろう。

[第4図]
20141109図4
[第5図]
20141109図5

業界団体も強気:競争は激化し感謝祭休日開店の小売業も

最後に、米国小売関連の業界団体によるホリデー商戦予想を見てみよう。各団体とも今年の商戦には強気で、いずれも昨年を上回る売上の伸びを予想している。まず、全米小売業協会NRFは10月初旬時点で今年のホリデー商戦売上高を前年比+4.1%(売上高合計6169億ドル)と昨年の同+3.1%からの加速を予想している(10月7日付NRFプレスリリース)。次に、国際ショッピングセンター評議会ICSCは同評議会のチェーンストアセールス指数に基づく今年のホリデー商戦売上高予想を前年比+4%とし、昨年の同+2%から大幅な加速を予想している(10月17日付ICSCプレスリリース)。これら業界団体予想は筆者個人予想に比べてやや強気であるが([第1表])、これはこれらの予想公表時期が10月15日の9月分小売売上高統計公表以前かほぼ同時であり、9月分統計の予想比の下振れ(小売売上高全体は前月比-0.3%)を反映していない可能性があることによると憶測できる。

また業界団体はいずれも、今年の商戦が早期開始の短期決戦になる可能性を見ている。ICSCは調査会社JLL社の調査結果を引用して「70%の消費は消費者が訪れる最初の2つの店で完了する」としている。さらには「ほぼ3分の1の小売店が感謝祭休日に開店する」または「ブラックフライデーの開店時刻を早める」として、「今年のホリデー商戦は過去数年で最も競争の激しい年になる可能性がある」と述べている(11月6日付ICSCプレスリリース)。実際に一部の大手小売店が感謝祭休日の夕刻に店舗を開店することを計画している。米国民にとって感謝祭休日は親族が集まる祝日であり、感謝祭休日に小売店を開店することは売上を増やす効果が期待できる一方で、モラルや従業員待遇の観点からの社会的な反発も予想されることから、感謝祭休日の開店に踏み切るか否かでは小売大手は2分されている模様だ(各種報道による)。

総じて今年のホリデー商戦は全体では昨年を上回る伸びを示すものの、小売業者間の競争は更に激化しているといえる。感謝祭前からのキャンペーン開始に加えて感謝祭休日の開店時間の繰り上げなどを動員した11月の売上結果次第では、後半の12月には更なる値引きによる拡販策が例年通り予想される。しかしながら、各種調査結果からは、消費者の節約志向はあまり見られない。ホリデー商戦は、来年の米国の個人消費が実質ベースで約2%の堅調な拡大を続けるとの見方を支持する結果になると見る。

[第1表]
20141109表1


注1)通常ホリデー商戦期間は感謝祭休日翌日のブラックフライデーからクリスマスまでの期間を指す。筆者は、自動車及び同部品ディーラー・ガソリンスタンド・レストランの売上を除く小売売上高の11月-12月分合計をホリデー商戦売上高としている。

<経済指標コメント> 米10月非農業部門雇用者数は前月比+214千人

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[米国]

新車販売台数(10月)は年率16.3百万台(前月比横ばい、前年比+7.0%)

10月の新車販売台数は年率16.3百万台と前月比横ばい。前年比では+7.0%と8ヶ月連続で前年を上回る販売となった。販売ペースは例年販売キャンペーン時期である8月の同17.4百万台をピークに反動による一服感があるが、低金利やガソリン価格低下など自動車販売は引き続き良い環境にある。今後は例年の年末にかけての販売増加に期待ができる。

20141108図1

ISM製造業指数(10月)は59.0%(前月比+2.4%ポイント)、非製造業指数は57.1%(同-1.5%ポイント)

10月のISM製造業指数は59.0%(前月比+2.4%ポイント)と前月の同-2.4%ポイント低下を取り戻す反発となった。水準的には8月とともに2011年3月以来の高水準。総合DIを構成する5つのDIの内訳は新規受注65.8%(同+5.8%)、生産64.8%(同+0.2%)、雇用55.5%(同+0.9%)、入荷遅延56.2%(同+4.0%)、在庫52.5%(同+1.0%)。前月-6.7%と大幅低下した新規受注DIの回復が目立つほか、5つのDIすべてが前月比上昇した。調査対象からの回答には「クリスマスに向けての受注が予想より多い」「原材料価格低下が好材料」といったコメントがみられる。ISM非製造業指数は57.1%(同-1.5%ポイント)と2ヶ月連続低下となったが水準は高水準を維持している。総合DIを構成する4つのDIの内訳は、事業活動60.0%(同-2.9%)、新規受注59.1%(同-1.9%)、雇用59.6%(同+1.1%)、入荷遅延49.5%(同-2.5%)。調査対象からの回答には「ビジネスは総じて見通しは良好」「ISIS、エボラなどの懸念で経済は減速しているように見える」などがみられる。総じて企業景況感には一部減速感がみられるものの引き続き年末にかけての堅調な拡大を示唆している。

20141108図2

雇用統計(10月):非農業部門雇用者数は前月比+214千人、失業率5.8%

10月分雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+214千人、前月の同+256千人からはやや増加ペースが減速したものの、2月以来9カ月連続で200千人を上回る増加ペースを維持し、堅調な雇用拡大を表す結果となった。前年比の伸び率は+1.9%と前月比横ばい。建設(同+12千人)、小売(同+27.1千人)、専門ビジネスサービス(同+37千人)、教育・医療(同+41千人)など幅広い業種で雇用が増加した。一方時間当たり賃金は前年比+2.2%と前月比横ばいの伸び率で、雇用拡大に比して賃金上昇ペースがやや遅いことは否めない。家計調査による失業率は5.8%と前月の5.9%から更に低下。内訳を見ると労働力人口・就業者数が増加し失業者数が減少するよい形の失業率低下となっている。労働参加率は62.8%(同+0.1%)とわずかに上昇した。今後も米国雇用者数は約2%の伸びを維持し、賃金上昇と合わせて個人消費を維持するとみる。また失業率が継続的に低下していること、労働参加率以外の労働市場ののりしろslackを表す指標である「経済的理由によるパートタイマー数」は前月比減少、U6失業率も11.5%(前月比-0.3%)と低下している。総じて労働市場ののりしろは減少しており、FRBが来年6月の定例FOMC会合で初回の利上げを決定するとの個人予想を維持する。

20141108図3

<経済レポート> コミットがマインドを支援する:日銀追加金融緩和

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10月31日の日本銀行による追加緩和決定は予想外のサプライズで金融市場に大きな反応を起こした。追加緩和による実体経済への働きかけの効果は従前同様に限定的と考えるが、物価安定目標達成への中央銀行の更なる強いコミットメントについての市場へのアナウンスメント効果に期待ができる。

サプライズ追加緩和で金融市場は大きく反応した

10月31日の金融政策決定会合で日本銀行は予想外の「量的・質的緩和の拡大」を決定した。内容は[第1表]の通りで、マネタリーベースの増加額を従前の年間約60~70兆円から年間約80兆円に拡大、長期国債買入れ残高増加ペースを従前の年間50兆円から80兆円に拡大、同平均残存年限を7年から7~10年に長期化した。またETFとJ-REIT買入れについてはそれぞれ保有残高増加ペースを3倍に拡大した。なお、今回の追加緩和についての政策委員会委員による採決結果はいずれも賛成5、反対4の僅差であった。

この追加緩和決定に金融市場は大きく反応、日経平均株価は31日に700円を超える上昇を見せ、為替市場ではドル円がそれまでの1ドル=109円台から一気に112円台にまで急伸した。おりしも日経平均はNYダウに比べ10月前半の急落からの反発が相対的に弱かったにもかかわらず、この追加緩和で31日にNYダウに先んじて年初来高値を更新した。

金融市場には好影響を与えた追加緩和は、特に中央銀行のコミットメントを通じて市場のマインドに働きかけることで、2%インフレ率と2%経済成長をあと押しする要因となるだろう。ただし、実体経済を通じた波及効果は限定的と引き続き個人的には考えている。以下では、これまでの量的・質的緩和の効果と拡大後の経済への影響につき考察する。

[第1表]
20141104表1

長期金利抑制は実現したが、マネーストック拡大は限定的だった

まず、2013年4月4日の金融政策決定会合で決定された「量的・質的緩和」のこれまでの実績と効果を見てみよう。当初設定された操作目標は「マネタリーベースを年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融調節を行う」ことであった。2013年4月時点のマネタリーベース残高は約150兆円、量的・質的緩和開始1年後の2014年4月の残高は222兆円と、1年で約+72兆円の増加となっており、量的・質的緩和は最初の1年でまずその操作目標を順調に達成したといえる([第1図])。今年9月時点のマネタリーベースは約246兆円であり、当初日銀がたてた2014年末の残高目標270兆円も達成可能なペースである。また「イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から」実施された長期国債買入れも効果を上げたといえる。日本国債10年物利回りは31日現在で0.5%を割り込む水準にあり、量的・質的緩和による長期金利抑制効果も実現したといえる。

一方で「量的・質的緩和」は開始後1年を経たところで技術的な課題が出てきている。まず、ほぼ一定のペースでマネタリーベースを拡大する緩和が開始後1年を経たことで、マネタリーベースの前年比の伸び率は1年目の増加効果の剥落で低下している。マネタリーベースの前年同月比の伸び率は2014年2月に+55%を超える水準でピークアウトしたのち、9月現在では約+35%に低下している。今後一定のペースで緩和を継続するとこの伸び率は更に低下することになる。

また、マネタリーベースの伸び率に比して実体経済に流通するお金の量を表すマネーストックは伸び悩んでいる。量的・質的緩和開始後マネタリーベースの前年比の伸び率は上昇し、緩和開始直前の2013年3月の+2.9%から同11月には同4.4%にまで上昇した。しかしここをピークにマネーストックの伸び率は低下に転じ、今年9月時点では緩和開始前とほぼ同じ前年比+3%に戻っている([第2図])。マネタリーベース増加は市中に流通するお金の量を増加させることに一部で寄与したもののその効果は限定的だったといえる。ちなみにマネーストックをマネタリーベースで除した貨幣乗数は緩和開始以来一貫して低下している([第3図])。

[第1図]
20141104図1
[第2図]
20141104図2
[第3図]
20141104図3

2年で2%の達成は困難と引き続き見る

次に日本銀行の本来の目標である「2%の物価安定の目標」に対する成果はどうか。緩和開始が決定された2013年4月までいわゆるコア消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)の前年比上昇率はマイナス圏にあったが、同年6月以降コア消費者インフレ率はプラスに転じ、2014年3月には前年比+1.3%にまで上昇した。量的・質的緩和は、マネタリーベースとマネーストックの増加を通じて実体経済に働きかけることでインフレ率を上昇させることに相応に成功したといえる。

しかしながらここにも課題が生ずる。まず、緩和開始1年を経てマネーストックの増加ペースがテクニカルな要因で減速を始めると、インフレ率への働きかけ効果も低減すると考えられることである。次に、2013年4月以降のインフレ率の上昇は原油価格上昇という外的インフレ要因と時期が一致していたことである。実際にマネーストック増加ペースの減速と原油価格下落により、コア消費者物価指数の前年比の伸び率は低下に転じている([第4図])。

更に重要なことは、日本銀行が掲げる「2年で2%」の物価安定目標達成は当初より筆者も指摘していた通り数字上やはり困難と言わざるを得ないことである(2013年5月18日付当レポート参照)。4月に実施された消費税率引上げの影響を除いたベースのコア消費者インフレ率は9月時点で前年比+1.0%にとどまっておりかつここ2ヶ月は低下傾向にある。失業率とコア消費者インフレ率の関係を示すシンプルなフィリップス曲線を描いてみると、2%のインフレ目標達成のためには失業率が1.7%にまで低下せねばならない計算になる([第5図])。労働市場が飽和状態に近づき、自然失業率に近いところまで失業率が低下している中(日本の自然失業率は低めの推計で約3%、高めの推計で4%強と考えられる、これに対し9月時点の完全失業率は3.6%)、1.7%までの失業率低下は現実的ではない。日本のフィリプス曲線の形状からは、失業率が自然失業率を下回るまで低下するか、需給ギャップが相当程度に需要超過にならない限り実現できないというのが回帰分析上の結果である。

[第4図]
20141104図4
[第5図]
20141104図5

実体経済よりも市場のマインドに働きかける効果

上記の観点から筆者個人は、量的・質的緩和の効果はマネタリーベース増加を通じた実体経済への働きかけよりも、中央銀行が物価安定に強くコミットすることについてのアナウンスメント効果の方がより強いと個人的には見ている(2013年4月10日付当レポート参照)。また量的・質的緩和がその直接の目標とする2%のインフレ率を2年間で実現できる可能性は低いと考えている。従って今回の追加緩和が実体経済に働きかける限界的効果は従前の緩和政策同様に限定的と考えざるを得ない。その意味では、今回の追加緩和決定に主として民間の審議委員から反対票が投じられたことには首肯しうるものがある。

一方、日銀が31日の声明文で追加緩和実施の判断理由として「短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」「こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため」としたことには合理性があるといえる。追加緩和の効果を実体経済への働きかけというよりも市場のマインドへの働きかけにおいたことは上記の考え方に沿ったものだといえよう。

今回の追加緩和では株価上昇という「資産価格のプレミアムに働きかける観点(2013年4月4日)」から即日の効果を発揮した。株価上昇は消費者マインドを向上させる効果が期待できる。また物価目標への中央銀行の更なる強いコミットは、将来の物価上昇期待を維持することで、前倒しの消費を促す効果が期待できる。今後はこのアナウンスメント効果の持続性に注目したい。なお、31日に公表された「経済・物価情勢の展望」では、2014年度の成長見通しの中央値が前年比+0.5%に(7月時点同+1.0%)、2015年度コア消費者物価指数(消費税率影響を除く)の見通し中央値が同+1.7%(同同+1.9%)にそれぞれ下方シフトした([第2表])。これらはいずれも筆者個人の個人予想に沿った方向のシフトである。

[第2表]
20141104表2

<経済レポート> 正当な正常化:米10月FOMC

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FOMCは10月定例会合で資産購入の終了を決定した。労働市場条件についての判断は大きく改善し、インフレ率上昇見通しも維持された。今後は声明文のフォワードガイダンス変更を経て、来年6月の初回利上げがなされるとの個人予想を維持する。長期金利は資産購入終了を受けて現在の低水準から徐々に正常化に向かうと見る。

FOMCはQE3終了を決定:「労働市場の余剰は低減」

FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)は10月28~29日の定例会合で、予定通り資産購入の停止を決定した。これは、前回9月FOMC定例会合後の記者会見でイエレン議長が「次回会合で停止を決定」と述べた通りの結果である。29日に公表されたFOMC声明文では「委員会は現在の資産購入プログラム開始以来、労働市場見通しには著しい改善があったと判断する」「さらに、委員会は物価安定と整合する最大雇用に向けた進捗を支える広範囲な経済の基礎的な強さは十分と引き続き見ている」として「今月で資産購入プログラムを終了することを決定」したとされた。2012年9月のFOMC決定以来約2年にわたり継続された量的緩和第3弾いわゆるQE3はここで終了したことになる。

資産購入決定のほかに声明文には大きく3点のポイントがある。第1に、労働市場条件への判断が大きく改善したこと、第2にインフレ率低下へ配慮がやや強まっていること、第3に利上げ開始時期に関するフォワードガイダンスが据え置かれたこと、である。まず労働市場についての判断は今回の声明文で大幅に改善した。冒頭の基調判断で「経済活動は適度moderateなペースで拡大している」と前回声明文の文言を据え置いた。しかし、労働市場については「堅調な雇用増加と失業率の低下」と改善の表現を強めたうえ「総じて、広範囲な労働市場指標は労働資源の余剰underutilizationが徐々に低減していることを示唆している」として、これまでの「著しい労働資源の余剰が残っている」との文言を削除した。

「労働資源の著しい余剰」は7月FOMC声明文で、インフレ見通し判断の改善といわば引き換えに新たに挿入され、それ以前にもイエレン議長が半期議会宛金融政策報告などでたびたび言及してきたものである。ただイエレン議長の最近そのトーンが徐々に低下していることは過去にも見た通りで、FOMC内ハト派も労働市場ののりしろを理由に緩和を継続することは正当化しにくくなってきたようだ。直近の経済指標では、8月分の求人労働異動調査(JOLTS)による欠員率が3.4%と、金融危機前のピークを上回るレベルに上昇していることが一つの証跡として挙げられよう。失業率は9月時点で5.9%とリーマンショック直前の2008年7月以来の5%台に低下した([第1図])。FOMC委員の経済予測における長期の均衡失業率の中心傾向は5.2~5.5%であるから、6%割れは「著しい余剰」を削除する一つの目途ともいえるだろう。

[第1図]
20141103図1

インフレ期待や短期のインフレ率低下に言及

次に、10月声明文ではインフレ率低下に配慮したと見られる言及がやや多くなっている。冒頭の基調判断では「市場のインフレ期待指標はいくぶん低下し、調査による長期インフレ期待は安定したままである」と市場のインフレ期待に初めて言及がなされた。また「短期のインフレはエネルギー価格低下と他の要因で抑制される可能性が高い」とされた。もっとも「委員会はインフレが継続的に2%を下回って推移する可能性は幾分低減した」との委員会判断文言は存置されている。

市場のインフレ期待を表すTIPSスプレッド(10年)は夏以降確かに低下しており、2%を割り込む水準になっている。一方でミシガン大学消費者センチメント調査による長期期待インフレ率は総じて安定的に推移している([第2図][第3図])。FOMCが金融市場に表れる短期的なインフレ期待の低下に言及したことは委員のインフレ率低下懸念を示唆するものともいえよう。

FOMCがインフレ指標とする個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は9月時点で前年比+1.4%にまで低下しているものの、その低下ペースは減速している([第4図])。TIPSスプレッドの低下は地政学リスク懸念の拡大に伴う質への逃避から10年物米国債利回りが一時的に急低下していることによるとも見ることができる。一方で、長期のインフレ期待が安定していることと失業率低下などに見られるマイナスの需給ギャップの縮小からは、声明文の述べる通り、一時的なエネルギー価格低下が一段落すればインフレ率は再び上昇すると見たい(10月26日付当レポート参照)。

[第2図]
20141103図2
[第3図]
20141103図3
[第4図]
20141103図4

フォワードガイダンス「相当の期間」は存置された

また、10月声明文では利上げ開始時期に関するフォワードガイダンスは実質的に存置された。「委員会は、、、今月の資産購入終了後も相当の期間FF金利を0~0.25%の誘導目標レンジに維持することが適切である可能性が高いと予想している」として、「相当の期間」という文言を従前通り維持した。さらに「入手される情報が委員会の雇用とインフレ目標へのより速い進捗を示唆するならば、、(利上げは)現在の予測よりより早く実施される可能性」があり、「逆に進捗が予測より遅いならば、、(利上げは)現在の予測より遅く実施される可能性がある」との文言新たに挿入して、利上げ時期についての中立的なスタンスを強調している。

資産購入終了に伴いフォワードガイダンスを実質的に変更しなかったことはこれまでのFOMCのスタンスに変更がないことを明示する意味で妥当なことといえよう。資産購入停止が利上げ時期の早期化を意味するものではないことを市場に改めて示すことで、市場の必要以上の反応を未然に防ぐ意図の表れである。

今後の注目は次回以降のFOMC声明文でこのフォワードガイダンスがどのように変化するかである。10月の資産購入終了を起点とした「相当の期間」は時間とともに短縮されていくはずであり、次回12月定例会合または次々回の来年1月定例会合ではこの文言も変更せざるを得ないだろう。フォワードガイダンスの変更は具体的利上げ時期の示唆と市場に受け取られる可能性が高いから、FOMCとしてはその変更時期と内容には十分に注意を払うはずである。

次回会合でフォワードガイダンス変更、来年6月に利上げ開始と見る

フォワードガイダンスには一般に、現状の「相当の期間」のように政策変更に特段の条件を定めない「オープンエンドガイダンス」のほかに、「時間条件ガイダンス」や「状況条件ガイダンス」がある。「時間条件ガイダンス」とは政策変更までの具体的な時期を提供するガイダンスである。今回の場合たとえば「2015年半ばまでは」現状のFF金利誘導目標を維持するといった方法である。「状況条件ガイダンス」はインフレ率や失業率など特定の経済指標を政策変更の条件とする方法である。FOMCによる利上げ開始が今後半年前後の比較的短期間に期待されていることを勘案すれば、オープンエンドガイダンスのままで文言をより短期的な期間を示す文言(「当面の間for some time」など)に変更する手立てが最も適切に見える。具体的な時期を示すことはその後の政策の柔軟性を損ねる畏れがある。また同じく具体的経済指標をガイダンスとすることは月次の統計のブレが政策を左右する不具合が生じる可能性がある。個人的には12月16-17日のFOMC定例会合で文言変更がなされ、会合後の議長記者会見でその説明がなされることを想定しておきたい(フォワードガイダンスの種類については2013年8月11日付当レポート参照)。

今後の金融政策について、筆者個人は2015年6月のFOMC定例会合で初回の利上げが決定され、2015年末までにFF金利誘導目標レンジが1.25~1.50%にまで引き上げられると予想している。現在のところ上記の予想を変更する材料は見当たらない。30日に公表された7-9月期実質GDP成長率は前期比年率+3.5%と好調な伸びを示した。一部の企業景況感や自動車生産などに若干の減速は見られるものの、現状では循環的なものにとどまっている。なお、前回9月FOMC後に公表された「金融政策正常化の原則と計画」によれば、金融政策はFF金利誘導目標のレンジを引き上げること、その主要な手段として超過準備預金付利金利IOERを用いることとされている([第1表])。

FRBの資産購入停止と利上げ期待が市場及び実体経済に与える影響は主に長期金利を通じたものとなるだろう。従前より10月の資産購入停止決定が予想されていたにも関わらず米国長期金利は低下傾向にあり、29日のFOMC終了後も10年物米国債利回りは2%台前半で推移している。10月5日付当レポートでの試算によれば、成長率・FF金利・長期期待インフレ率から推計される現在の長期金利の均衡水準は3%台との計算になる。現在の長期金利の推計値からの下方乖離は一つには資産購入継続のアナウンスメント効果、一つにはグローバルな地政学リスクからくる米国債のリスクプレミアムの縮小と考えられる。今後はすくなくとも前者の要因は剥落して、長期金利は徐々に上昇に向かうと考えられる。しかしながら、長期金利上昇による経済へのマイナス影響は他のプラス要因によりカバーされるだろう。例えば個人消費については、住宅価格の上昇が金利上昇要因を相殺し、結果雇用と賃金の伸びの分だけ個人消費は拡大を続けると見る。

[第1表]
20141103表1

<経済指標コメント> 米7-9月期実質GDPは前期比年率3.5%

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[日本]

鉱工業生産指数(9月)は前月比+2.7%

9月の鉱工業生産指数は前月比+2.7%と前月の同-1.9%から反転上昇した。同出荷指数も同+4.3%と前月の同-2.1%から反転上昇。生産指数・出荷指数ともに3ヶ月移動平均が3月以来の上昇に転じており、1月をピークに低下傾向にあった生産・出荷指数は底入れの兆しがみられる。在庫指数は同-0.8%と5ヶ月ぶりに低下し、意図せざる在庫増からの調整が進みつつあることを示唆している。在庫率指数は同-5.7%と2か月ぶりに低下。企業設備投資の先行指標となる資本財出荷は同+2.8%と2ヶ月ぶりに上昇。結果7-9月期の資本財出荷は前期比+2.1%の増加となり、GDP統計上の企業設備は7-9月期にプラス成長になるとの見方に沿っている。集計元の経済産業省は「生産は一進一退」としている。

20141102図1

家計調査(9月、二人以上の世帯):実質家計消費支出は前年比-5.6%(季節調整済前月比+1.5%)、名目家計消費支出は前年比-1.9%

9月の実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前年比-5.6%と4月以降6ヶ月連続で前年同月を下回った。名目ベースの消費支出も前年比-1.9%と4月以降6ヶ月のうち5ヶ月で前年同月を下回り、ほぼ消費税率引上げ分に相当する名目消費支出が減少していることになる。また勤労者世帯の収入も実質ベースで前年比-6.0%、名目ベースで同-2.3%と、家計調査の対象となる世帯では賃金引上げの効果が見られないとの結果になっている。しかしながら、季節調整済の前月比では実質家計消費支出が+1.5%と3ヶ月ぶりの増加に転じた。内閣府の消費総合指数が8月に前月比プラスに転じたことと合わせると、7-9月期のGDP統計上の家計消費支出は前期比でプラス成長に回復している可能性が高い。

20141102図2

全国消費者物価指数(9月):総合指数は前年比+3.2%、生鮮食品を除く総合指数は同+3.0%

9月の全国消費者物価指数は前年比+3.2%と、6月をピークに4ヶ月連続で伸び率が低下、生鮮食品を除く総合指数(いわゆるコア指数)は同+3.0%とこれも2ヶ月連続で伸び率が低下した。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除くいわゆるコアコア指数は同+2.3%と4ヶ月連続で伸び率横ばいだった。内訳を見ると総合指数とコア指数の伸び低下は原油価格下落に伴うエネルギー価格の伸び鈍化でほぼ説明可能である。エネルギー価格は前年比+5.2%と4ヶ月連続で伸び率低下、前年比の指数の伸び率を-0.14%押し下げている。総じてインフレ率は安定推移を続けているが、消費税率引上げの影響を除くとコア指数は前年比1%程度の伸び率に留まる計算になり、来年の2%インフレ率達成は引き続き困難と見たい。

20141102図3

完全失業率(9月)は3.6%(前月比+0.1%ポイント)

9月の完全失業率は3.6%と前月比+0.1%ポイントの上昇。内訳を見ると、労働力人口前月比+0.2%、就業者数同+0.1%、完全失業者数同+3.0%と、労働市場の拡大を伴う失業率上昇となっている。労働市場の趨勢を見ると、失業率の6ヶ月移動平均は過去5ヶ月間3.6%レベルで横ばいに転じており下げ止まり感がある。筆者の試算による労働力化率は緩やかな上昇を保っているもののそのペースは減速している。労働市場は引き続きタイト感がみられるといえる。

20141102図4

住宅着工戸数(9月)は年率880千戸(前月比+4.1%)

9月の住宅着工戸数は季節調整済年率880千戸(前月比+4.1%)と2ヶ月連続の増加。昨年12月の駆け込み需要ピーク以降減少基調にあった住宅着工戸数はようやく底入れの兆しがみられる。もっとも7-9月期の着工戸数は前期比-3.7%と3四半期連続のマイナスの伸びとなっており、GDP統計上の住宅投資は7-9月期もマイナス成長になりそうだ。

20141102図5

[米国]

耐久財受注(9月)は前月比-1.3%、除く運輸関連同-0.2%、非国防資本財受注(除く航空機関連)は同-1.7%、同出荷同-0.2%

9月の耐久財受注は前月比-1.3%と2ヶ月連続の減少、振れの大きい運輸関連を除くベースでは同-0.2%と前月の同+0.7%から小幅減に転じた。民間設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機関連を除く)は同-1.7%と減少したが、前年比の伸びは+7.6%と相対的に高い水準にある。GDP統計上の民間設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同-0.2%、7-9月期の同出荷は前期比年率11%台と4-6月期並みの伸び率を維持した。総じて企業部門の設備投資は循環的な減速をしながらも堅調な拡大基調を保っている。

20141102図6

実質GDP成長率(7-9月期)は前期比年率+3.5%

7-9月期の実質GDP成長率は前期比年利+3.5%と、筆者個人の予想同2%台前半を上回る伸びとなった。内訳は個人消費同+1.8%、設備投資同+5.5%、住宅投資同+1.8%、政府支出同+4.6%、企業在庫寄与度-0.57%、純輸出寄与度+1.32%。予想以上の伸び率ではあったものの、主に上ぶれた需要項目は政府支出の拡大と、財輸入の減少(同-2.4%)であり、個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内民間最終需要は同+2.4%とほぼ予想通りかやや弱めだった。数字の上では2014年通年の成長率は前年比2%台前半に着地する見込みであり、米国経済は循環的な減速を伴いながらも巡航速度での拡大を続けているとの見方を維持する。

20141102図7

実質個人消費(9月)は前月比-0.2%、個人消費支出価格指数は前年比+1.4%

9月の実質個人消費は前月比-0.2%と2ヶ月ぶりの前月比減少。内訳は自動車販売の減少を反映して耐久消費財が同-1.9%と大幅減、小売売上高統計でみられたように非耐久消費財も同-0.3%の減少だった。いずれも公表済の統計の結果と整合的であり特にサプライズではない。サービス消費は同+0.1%とやや弱めの伸び。結果7-9月期のGDP統計上の個人消費は前期比年率+1.8%と2%を下回る伸びに減速した。しかし、雇用拡大と賃金上昇を背景に個人消費は今後も2%程度の堅調な伸びを続けると見る。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年比+1.4%と前月並みの伸びで4月以降では最低の伸びにとどまった。主に原油価格下落によるエネルギー価格低下を反映した一時的な伸び鈍化であり、原油価格下落が一段落すれば年末にかけてPCEデフレーターの伸びは前年比+1.7%にまで再加速するとの見方を維持する。

20141102図8