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<経済指標コメント> 米1-3月期実質GDP成長率(改定値)は前期比年率-0.7%

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[日本]

全国消費者物価指数(4月)は前月比+0.4%(前年比+0.6%)、生鮮食品を除く総合指数は前月比+0.3%(前年比+0.3%)

4月の全国消費者物価指数は前月比+0.4%(前年比+0.6%)と2ヶ月連続の前月比上昇。生鮮食品を除く総合指数(コア指数)は前月比+0.3%(前年比+0.3%)とこれも2ヶ月連続で前月比上昇した。生鮮野菜、被服及び履物等が前月比の指数上昇に寄与、一方エネルギーは前月比-0.5%と前月の同+1.7%からやや反落した。コア指数の前年比の伸び率は+0.3%と、消費税率引上げ影響を除いたベースでは2月の同横ばいをボトムに2ヶ月連続上昇となっている(4月より前年比の伸び率から、1年前の消費税率引上げ要因が剥落)。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は前月比+0.3%(前年比+0.4%)とこれも2ヶ月連続で前年比の伸び率が上昇した。総じてエネルギー価格下落のインフレ率低下影響は低減してきており、インフレ率には引き続き底入れの兆しがみられる。もっとも、2%のインフレ目標にはまだ遠い道のりが予想される状況は不変である。

20150530図1

完全失業率(4月)は3.3%(前月比-0.1%)

4月の完全失業率は3.3%(前月比-0.1%)と3ヶ月連続の低下で1997年4月以来の低水準となった。ただし内容を見ると、就業者数、労働力人口ともに2ヶ月連続の減少を示しており労働市場の拡大がやや頭打ちになっている可能性を示唆している。筆者試算による労働力化率は59.2%(前月比-0.3%)と2ヶ月連続かつ大幅に低下した。総じて労働市場の拡大ペースには飽和感があり、労働需給は依然タイトであるといえる。

20150530図2

実質家計消費支出(4月、二人以上の世帯)は前月比-5.5%(前年比-1.3%)

4月の家計調査、実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比-5.5%と3ヶ月ぶりに大幅減少となった。前年比の伸び率(消費税率引上げによる反動減のあった昨年4月との比較)-1.3%と減少、やや期待外れの結果となった。失業率低下、株価上昇等の環境下での消費減速の要因は定かではない。基本的には家計消費は拡大ペースを維持するとみており、来月以降は前年比でプラスの伸びに回復するとみておきたい。

20150530図3

鉱工業生産指数(4月)は前月比+1.0%

4月の鉱工業生産指数は前月比+1.0%と3ヶ月ぶりに上昇に転じた。出荷指数は同+0.4%とこれも3ヶ月ぶりの上昇、在庫指数は同横ばい、在庫率指数は同-1.4%と出荷増を反映して3ヶ月ぶりに低下した。過去数ヶ月間の生産低下と在庫増加には歯止めがかかりつつある。企業設備投資の先行指標となる資本財出荷は同+1.5%と2ヶ月連続の増加。四半期ベースでは、前期比-0.8%に終わった1-3月期にくらべ4月単月で同-0.3%とマイナス幅が縮小している。4-6月期の資本財出荷は前期比でプラスに転じるペースであり、GDP統計上の企業設備も1-3月期の4四半期ぶりプラス成長に続き4-6月期もプラス成長になると見る。企業部門は家計部門に遅れて拡大基調に入りつつある。一方で、在庫率指数は依然として高水準にあり、在庫循環図上は「意図せざる在庫増」局面から「在庫調整」局面への移行期にある。

20150530図4

住宅着工戸数(4月)は年率913千戸(前月比-0.7%)

4月の住宅着工戸数は年率913千戸(前月比-0.7%)と3ヶ月ぶりに小幅減少した。しかし昨年7月のボトム以降の増加基調はまだ維持しており、4月の水準は消費税率引上げ前の駆け込み需要依然の水準を概ね回復しているといえる。四半期ベースでは、住宅着工戸数は昨年10-12月期に前期比でプラスの伸びに転じたのち1-3月期もプラスの伸びを続けた。4-6月期も3四半期連続の着工増加となるペースである。GDP統計上の住宅投資は1-3月期に4四半期ぶりにプラス成長に回帰したのち、4-6月期以降もプラス成長を続けると見込む。

20150530図5

[米国]

耐久財受注(4月)は前月比-0.5%、同除く運輸関連同+0.5%、非国防資本財受注(航空機関連除く)同+1.0%、同出荷同+0.8%

4月の耐久財受注は前月比-0.5%と前月の同+5.1%から反落、ただしこれには振れの大きい航空機関連受注の減少が寄与しており、運輸関連を除くベースでは同+0.5%と2ヶ月連続増加した。企業設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機関連を除く)は前月比+1.0%と強い伸び、のみならず不振だった3月分が同+1.5%に大幅上方改訂された(速報値同+0.1%)。またGDP統計上の機器投資の基礎統計となる同出荷も同+0.8%の強い伸び、同じく3月分が同+1.5%に大幅上方改訂(速報値同-0.4%)された。非国防資本財出荷は4-6月期に3四半期ぶりにプラス成長に回帰するペースである。GDP統計上の設備投資もここ2四半期ほど不振が続いているが、4-6月期には前期比年率数%の巡航速度に回帰すると見る。今回の資本財関連指標の加速と上方改訂は、昨年末からの企業部門の減速が一時的なものであり今後再び緩やかな拡大に向かうことを示唆している。

20150530図6

新築住宅販売(4月)は年率517千戸(前月比+6.8%)、在庫期間は4.8ヶ月

4月の新築住宅販売は年率517千戸(前月比+6.8%)と前月の同-10.0%の大幅減から持ち直した。トレンドを示す6ヶ月移動平均は500.7千戸と5ヶ月連続で上昇かつ2008年7月以来の500千戸台を回復しており、新築住宅販売の増加基調は継続している。販売在庫は205千戸(同+0.5%)と微増にとどまり、結果在庫期間は4.8ヶ月と再び5ヶ月を割り込んだ。総じて住宅販売市場は依然需給がタイトな中販売増加基調が継続しているといえる。

20150530図7

実質GDP成長率(1-3月期、改定値)は前期比年率-0.7%

米1-3月期実質GDP成長率(改定値)は前期比年率-0.7%と速報値の同+0.2%から大幅下方改訂され、昨年1-3月期以来のマイナス成長となった。需要項目別内訳は個人消費同+1.8%(速報値同+1.9%)、設備投資同-2.8%(同-3.4%)、住宅投資同+5.0%(同+1.3%)、政府支出同-1.1%(同-0.8%)、企業在庫寄与度同+0.33%(同+0.74%)、純輸出寄与度同-1.90%(同-1.25%)。下方改訂の主因は純輸出で、財・サービス輸入が前期比年率+5.6%と速報値の同+1.8%から大幅に上方改訂されて速報値比成長率を-0.65%押し下げた。また企業在庫も下方改訂されて速報値比成長率を-0.41%押し下げ。速報値から-0.9%の下方改訂はほぼこの2つの需要項目で説明できる。一方で、設備投資と住宅投資の上方改訂で民間内需は速報値比むしろ上振れし、個人所費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は前期比年率+1.2%と速報の同+1.1%から上方改訂となった。総じて今回の下方改訂は見かけほど悪い内容ではない。また純輸出や企業在庫の下振れは基礎統計から既に予想できていたことである。なお、大幅減少した財・サービス輸出は同-7.6%と速報値の同-7.4%に比べ小幅下方改訂にとどまっている。1-3月期GDP統計の下方改訂にかかわらず、その内容は内需の持続的なペースでの拡大を示唆していること、また1-3月期は天候や西海岸港湾スト等の一時的な成長押し下げ要因があったことから、FOMCが9月に利上げ開始を決定するとの個人予想は維持したい。ただし数字上、今年の成長率(第4四半期前年同期比)は+1.9%程度と、3月時点のFOMC委員予測の中心傾向(+2.3~+2.7%)を相当に下回る計算になる。金融政策予想に対するリスクは下方と言わざるを得ない。

20150530図8

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<経済レポート> 時は間近だが、、:4月FOMC議事要旨とイエレン議長講演

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4月FOMC定例会合の議事要旨と、22日のイエレンFRB議長講演からは、FRBの金融政策についてのいくつかの示唆が読み取れる。総じてFRBの経済に対する見方は筆者個人の見方と整合しており、またイエレン議長の「年内利上げが適切」発言も筆者個人の9月利上げ開始予想をサポートする材料である。一方で利上げペースについてはイエレン議長の「漸進的」発言が下方リスク材料となる。現状の予想は維持するものの、今後の経済指標によっては下方修正をも考慮する必要が出てきている。

1-3月期の景気減速は一時的との見方がFOMCでは支配的

20日に公表された4月28-29日FRB連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合の議事要旨には大きく3つのポイントがあった。まず、1-3月期の米成長率鈍化に関する議論、次に、前回3月会合の議事要旨で示された利上げ開始判断のための3つの指標(労働市場の更なる改善、原油価格の安定、米ドル為替レートのピークアウト)についての評価、そして今後の金融政策に関する示唆である。また22日にはイエレンFRB議長が講演を行い、米国経済見通しについて述べるとともに年内の利上げ開始を強く示唆する発言を行った。本レポートではこれらの内容を分析し筆者個人のFRB金融政策予想を点検する。

まず、1-3月期の成長率鈍化に関するFOMCの議論を見る。4月FOMC時点で判明していた米1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.2%と前期の同+2.2%から大きく減速していた(5月3日付<経済指標コメント>参照)。議事要旨によれば、「参加者は総じて第1四半期の民間消費のデータは失望させるものだったと判断」した。この経済の弱さが一時的なものか長期的な経済モメンタム喪失を示唆するものかについて議論がなされた。まず、第1四半期の経済の弱さは一部にまたは多分に一時的なものであるとの理由が多数提出された。特に悪天候と西海岸港湾ストが経済と供給チェーンに悪影響を及ぼしたとされた。さらに、季節調整後の第1四半期の成長率は軟化する傾向があるとされた。また、多数のファンダメンタルズ要因も個人消費の追い風であるとされ、低金利、高い消費者信頼感、上昇する個人所得などがあげられた。結論としては「ほとんどの参加者は依然経済と労働市場成長に関する見通しは概ねバランスしている」と判断した。

個人消費の1-3月期の減速が一時的であるとのFOMC参加者の見方及びその理由は、筆者の見方と整合的である(5月19日付当レポート参照)。個人消費の伸びが今年に入って減速したのは、主に時間当たり賃金の上昇率低下と、3月の雇用拡大ペースの一時的な鈍化が要因であると見る。また、議事要旨にも述べられているように、雇用拡大により個人所得の伸びは堅調である。インフレ率調整後の実質可処分所得の伸び率はやや低下したとはいえ3月時点で前年比+3.3%の高い水準にある。これに対し実質個人消費の伸びは3月時点で同+2.7%にとどまっている。家計には今後消費を拡大する余力が残っているといえる([第1図])。

[第1図]
20150526図1

ドル高と原油安の影響長期化を懸念する意見がでた

次に、前回3月会合で示された利上げ判断のための3つの指標(4月12日付当レポート参照)に関する4月FOMCの議論を見る。米ドル為替レートと原油価格について「多数の参加者」が「これまでの米ドルの上昇の純輸出に対する悪影響と、これまでの原油価格の低下が企業設備投資に与える悪影響は従前予想されていたよりも大きくまた長期化する可能性があることを示唆」し、ドル高と原油価格下落の米経済に対する影響についての参加者の見方はやや弱気方向にシフトしている。

労働市場については「ほとんどの参加者は労働条件改善のペースは鈍化した」と判断した。これは主に3月の雇用増加幅が期待を下回りかつ失業率がほぼ横ばいにとどまったことが背景にあり、エネルギー関連企業が原油価格下落に対応してレイオフを行ったことが報告されたとされた。しかしながら一方で、コンタクト企業からはよりポジティブな情報もあり、「労働市場のタイト化」「いくらかの地域で賃金の大幅上昇」が報告されたとされた。

米ドル為替レートの純輸出に与える悪影響の拡大と長期化懸念は、指標を見る限りでは首肯しうるものがある。米ドルが上昇を始めた昨年後半から貿易赤字の拡大は顕著で、直近では3月の実質ベース財輸出は前年比+0.3%に減少する一方同輸出は同+10.1%と大幅に伸び、単月の実質貿易赤字は67.2兆ドルと2007年3月以来の水準となった。1-3月期の実質ベースの財・サービス収支赤字は2007年10-12月期以来の高水準に回帰した。1-3月期GDP統計では、財輸出の減速が成長率を-1.26%押し下げており、ドル高が輸出減速を通じて成長抑制要因となっているとの見方はできる。

4月FOMC以降状況は再び改善している

しかしながら個人的には、ドル高は利上げの大きなハードルにはなりにくいと見ておきたい。過去5年の中期的な動きを見ると、四半期ベースの実質財輸出の伸び率は上下動しているのに対し、実質財輸入増加ペースは継続的に加速している([第2図])。前者は主に海外経済変動の影響を受け、後者は内需の継続的拡大の反映とも推測できる。貿易赤字の拡大は輸出減速というよりも輸入の急激な拡大を主因とするものであって、寧ろ内需の拡大を反映した好材料と見るべきであろう。実際に、貿易収支と米ドルレートの間には明確な連関性は見出しにくく、寧ろ輸出は海外経済に、輸入はコ国内経済成長にリンクしているというのが経験則である。貿易加重平均米ドルレート(対広域通貨)は3月をピークにいったん低下に転じており、昨年後半からの急激なドル上昇ペースは一旦収束したといえる([第3図])。

次に、原油価格は3月の1バレル=40ドル台をボトムに底入れして、現在では60ドル近辺にまで上昇していることで、原油価格の安定は概ね示現されたと見たい。原油価格下落によるエネルギー産業の設備投資減速は顕著であり、鉱工業生産指数の5ヶ月連続の低下の主因となっていることは事実である。しかし、のちに述べる22日のイエレンFRB議長の講演での発言にもあるように、米国は原油のネット輸入国であり、原油価格の下落は総合的には米国経済にプラスの影響を与えると見る。

労働市場について、4月FOMC時点で入手可能であった3月分雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが前月比+126千人に急減速しており、労働条件の改善ペースは鈍化していたといえる。しかし、その後の指標では、4月分雇用統計では雇用者数の伸びは同+223千人に改善、3ヶ月移動平均も+191千人と前月比上昇しており、3月の鈍化が一時的なものである可能性が高いことが示唆された。4月FOMC時点よりも現在は労働市場の指標は改善方向に回帰していると見たい。

[第2図]
20150526図2

[第3図]
20150526図3

議事録には9月利上げ開始予想を変更する材料は見当たらない

インフレについて議事要旨では、「ほとんどの参加者は、(原油価格下落という)一時的な要因が剥落して労働市場と経済全体が改善するに伴い、インフレ率は委員会の2%目標に向けて中期的に上昇すると引き続き予想した」とされた。

これらの議論を踏まえ4月FOMCでは、適切な金利引上げの時期について「様々な意見」が出されたとされた。「何人か」の参加者は6月会合時点での情報は利上げを正当化する可能性が高いと述べたものの、「多くの」参加者は「6月に入手可能なデータがFF金利誘導目標レンジを引き上げる条件を満たす十分な確証を供与する可能性は低い」と考えたとされた。結果、4月FOMC声明文ではフォワードガイダンスが実質的には変更されず、「労働市場の更なる改善が見られ、インフレが2%の中期目標に回帰すると合理的に確信したときに、FF金利誘導目標レンジを引き上げるのが適切と委員会は予想する」との文言に据え置かれた。

4月FOMC議事要旨では一部にハト派的な意見は見られたものの、これまでの筆者個人の金融政策予想である9月利上げ開始を変更する材料は見当たらず、この予想を維持することが妥当だと考える。

イエレン議長は年内利上げ開始を明示的に示唆

4月議事要旨公表後の22日に行われたイエレンFRB議長の講演は、上記の個人予想を更に支持する内容であった。「経済の見通し」と題するこの講演でイエレン議長は「表面上の景気減速は主に、、、同時に起きた様々な一時的要因の結果であると推測する」「したがって経済データは改善すると予想する」としたうえで、2つの注目すべき発言を行っている。

ひとつは、「金融政策の経済への効果には相当な時差があることから、我々は金融政策をフォワードルッキングな方式で実施せねばならない」「したがって、経済が私の予想する通りに改善するならば、今年のどこかの時点でFF金利誘導目標を引き上げる最初のステップを踏み、金融政策を正常化する過程を開始することが適切であると考える」との発言。もう一つは「FF金利引上げ開始後も正常化のペースは漸進的であると私は予想する」「FF金利が長期的な正常水準に回帰するには数年を要すると予想する」との発言である。

これらの発言には2つのインプリケーションがある。前者は、筆者個人の9月利上げ開始予想を支持するものである。一方で後者は、初回利上げ後も必ずしも毎回会合毎に利上げが行われない可能性が高いと議長が見ている点で、筆者個人予想への下方リスク要因である。3月時点のFOMC委員経済予測によれば、長期的なFF金利水準の予測中央値は3.75%であり、ここに達するのに数年を要するとすると、1年当たりの利上げは4回程度、つまりほぼ1会合おきに0.25%の利上げ実施、との計算になる。

9月利上げ開始予想は維持するも下方リスク

以上より、筆者個人の9月利上げ開始予想は維持するも、その後の利上げペース予想には下方リスクが出てきたと言わざるを得ない。その他のリスク要因としても次のものが考えられる。まず、議事要旨で支持された「ドル高と原油価格下落の経済への悪影響の長期化」のリスクは否定しえないことである。また、テイラー・ルールによる適正FF金利の水準を1-3月期までの成長率とインフレ率を用いて改めて計算すると、仮に4-6月期以降のPCEインフレ率が前年比+0.7%に上昇したとしても、年末のFF金利は高々0.5%程度が正当化されるのみであることである([第4図])。今後は、1-3月期GDPの改訂状況やインフレ率の推移に留意しつつ、場合によっては利上げ時期や利上げペース予想の後倒しを考慮する必要が出てくる可能性がある。

なお、4月FOMC議事要旨においては、均衡実質金利の低下の可能性の議論が行われた。また22日イエレン議長講演においては生産性向上の必要性が説かれた。今後これらの議論が金融政策予想に影響を与える可能性もあることから最後に付言しておく。

[第4図]
20150526図4


<経済指標コメント> 日本の1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.4%

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[日本]

機械受注(3月、船舶・電力を除く民需)は前月比+2.9%(前年比+2.6%)

3月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+2.9%と前月の同-1.4%から反発した。内訳は製造業同+0.3%、非製造業同+4.7%。前年比では+2.6%と12月以来4ヶ月連続でプラスの伸びを維持した。結果1-3月期の機械受注は、前期比+6.3%と強い伸びかつ3四半期連続で増加した。1-3月期GDP統計で企業設備投資が4四半期ぶりにプラス成長に転じたことは先行指標である受注の増加と整合している。企業部門は家計部門にやや遅れて消費税率引上げ後の反動減から回復に転じたことになる。受注の増加は今後も設備投資が成長にプラス寄与を続けることを示唆している。

20150523図1

実質GDP成長率(1-3月期、1次速報)は前期比年率+2.4%

1-3月期の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率+2.4%と、前期の同+1.1%に続き2四半期連続のプラス成長となった。需要項目別内訳は家計消費同+1.5%、住宅投資同+7.5%、設備投資同+1.4%、公的需要同-0.7%、企業在庫寄与度+1.7%、純輸出寄与度-0.1%。筆者個人は事前に2%割れの成長率を予想していたが、これを上回る結果になった。大きく上振れした項目は企業在庫で、在庫圧縮ペースの大幅減速により成長率を+1.7%と大幅に押し上げた。次に家計消費は1%割れを予想していたものの予想以上の同+1.5%に上ブレした。住宅投資、企業設備は先行指標である住宅着工と資本財出荷の増加と整合するプラス成長で、いずれも4四半期ぶりのプラス成長となった。純輸出は、実質財・サービス輸出が同+9.9%と減速、輸入が同+12.0%と大幅拡大し、成長をわずかに押し下げた。企業在庫が押し上げた成長は今後持続的とはいいにくい。しかし、一方で内需の拡大は堅調であり、家計消費・住宅投資・企業設備を合わせた国内民間最終需要は同+1.6%と3四半期連続プラス成長かつペースが加速している。家計部門・企業部門ともに消費税率引上げ後の反動による減少は終了して拡大局面に入ったといえる。前年比の実質GDPは-1.4%と、駆け込み需要のあった1年前との比較でマイナスにとどまっている。しかし、4-6月期からは前年比成長率もプラスに転じると見る。総じて日本経済は堅調な拡大が続いているといえる。2015年通年成長率は前年比1%前後、2015年度は前年度比1%台半ばという筆者個人の予想にほぼ沿った動きである。

20150523図2

[米国]

住宅着工戸数(4月)は年率1135千戸(前月比+20.2%)

4月の住宅着工戸数は年率1135千戸(前月比+20.2%)の急増。過去2ヶ月の不振をほぼ取り返す増加となった。トレンドを表す6ヶ月移動平均も1024千戸と4ヶ月ぶりに上昇に転じかつ8ヶ月連続で1000千戸を上回った。地域別では、年初に寒波の影響を受けた北東部が同184千戸(同+85.9%)と急回復しているのが目立つ。2月、3月の住宅着工の不振は天候要因による一時的なものだったといえる。着工許可件数は同1143千戸(同+10.1%)と増加、今後の着工も堅調に増加する可能性を示唆している。総じて住宅着工市場は一時要因が解消して再び堅調な増加ペースに回帰したといえる。

20150523図3

中古住宅販売戸数(4月)は年率5040千戸(前月比-3.3%)、在庫期間は5.3ヶ月

4月の中古住宅販売戸数は年率5040千戸(前月比-3.3%)と過去2ヶ月の大幅回復から一服した形。もっとも3ヶ月移動平均は5046千戸と2ヶ月連続で上昇しており、増加モメンタムは保っている。販売在庫は2210千戸(同+10.0%)と3ヶ月連続で増加、結果在庫期間は5.3ヶ月(前月4.6ヶ月)と7ヶ月ぶりの水準に長期化した。中央販売価格は前年比+8.9%と、2014年1月以来の上昇率に加速した。販売戸数自体は増加基調を保っており、在庫も順調に増加していることで、中古住宅市場のタイト化は徐々に解消される形で市場が拡大しているといえ、4月の販売減と在庫増加はむしろ健全な調整といえる。公表元の全米不動産業協会(NAR)は「4月の軟化は需要に対する供給の遅れと価格上昇圧力」「購入意欲は1年前よりも高く、価格上昇が加速しない限り低金利と雇用拡大でより多くの購入者が市場に参入するだろう」と述べている。総じて住宅市場は堅調な拡大を継続しており、需給タイト感も徐々に薄れていると見る。今後も住宅販売は堅調に増加し、また供給が安定しつつあることから価格上昇も1桁に留まると見る。

20150523図4

消費者物価指数は(4月)は前月比+0.1%(前年比-0.2%)、同コア指数は前月比+0.3%(前年比+1.8%)

4月の消費者物価指数は前月比+0.1%と3ヶ月連続で前月比上昇、前年比では-0.2%と4ヶ月連続でマイナスの伸びとなったがその低下ペースは減速している。内訳ではガソリン価格が予想外に前月比-1.7%と低下したが、中古車(同+0.6%)、医療サービス(同+0.9%)等が前月比で上昇した。食品及びエネルギーを除くコア指数は前月比+0.3%と引き続き堅調に上昇、前年比では+1.8%と伸びが加速し、2%に近づく動きとなっている。エネルギー価格下落の他の費目への波及は限定的であり、原油価格が上昇に転じた今後、総合指数は前月比で上昇を継続すると見る。原油価格下落要因が剥落する今年末までは総合指数の前年比の伸び率はゼロ近辺で推移するものの、失業率低下や成長による需給ギャップの緩やかな解消により、コアインフレ率は年後半にかけ2%レベルに上昇すると見る。

20150523図5

<経済レポート> 「ソフトパッチ」にすぎない:米個人消費動向

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米経済拡大ペースは年初以降大幅に減速している。個人消費についても、4月小売売上高の予想外の不振や消費者センチメントの急落など、懸念材料が目立つことは確かである。しかし、雇用拡大と賃金上昇率を背景とする個人の実質購買力はまだ十分な拡大ペースを保っており、また消費に慎重な消費者のスタンスも堅調な消費拡大を妨げるほどのインパクトはない。2015年における2%台後半の個人消費拡大を見込む筆者個人の予想は維持しておきたい。

年初から米経済指標の軟化が続く

今年に入り米経済指標の軟化が顕著である。1-3月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+0.2%と、前期の同+2.2%から大幅に減速した。速報後に公表された3月分経済指標では、貿易赤字の拡大と企業在庫の積み上げペース減速が明らかになり、1-3月期成長率は今後マイナス成長に下方改訂される可能性が高い。4月に入っても軟化は継続している。まず企業部門では、ISM製造業指数は3月まで5ヶ月連続で低下ののち4月も51.5%と前月比横ばいにとどまり、2013年3月以来の低水準となっている。4月鉱工業生産指数は前月比-0.3%と5ヶ月連続の低下を示した。

また、家計部門も減速を示す指標が続いている。直近の経済指標でネガティブサプライズとなったのが4月小売売上高である。4月小売売上高は前月比横ばい、自動車・ガソリン・レストランを除くいわゆるコア小売売上も同+0.1%にとどまった。昨年末に始まった原油価格下落によるインフレ率低下も名目売上高の減速の一要因であることは確かであるが、消費者物価指数を用いて実質化した実質ベースの小売売上高も、1月の前年比+4.9%をピークに4月時点で同+1.1%にまで伸び率が低下している([第1図])。

更に、消費者センチメントも低下に転じている。ミシガン大学消費者センチメント指数は1月に98.1ポイントでピークアウトしたのち下降に転じ、4月には前月比-7.6%の大幅低下で88.6ポイントとなり、昨年10月以来の低水準となった。筆者個人は、2015年通年の実質個人消費を前年比+2.8%と予想している。実質ベースの小売売上高が前年比+1%台にまで減速したことや消費者センチメントの低下は、この見通しに対する下方リスク要因といえる。

[第1図]
20150519図1

賃金上昇率軟化とインフレ率底入れが実質購買力の伸び鈍化要因

しかしながら、筆者個人は米国経済成長がこのまま年末まで軟化を続けるとは見ていない。1-3月期の成長鈍化の背景には、悪天候や西海岸港湾スト等の一時要因が含まれている。これらの要因は企業部門特に製造業の景況感悪化や設備投資の減速の要因でもある。家計部門については、雇用拡大ペースが4月にほぼ巡航速度に回帰したほか、NYダウは4月~5月を通じ概ね18000ドル前後の高水準を維持するなどむしろ追い風となる要因が多い。かかる状況証拠からは、個人消費が大きく鈍化する理由は見当たらない。以下では、個人消費を中心に指標軟化の要因と今後の見通しを考察する。

まず、足元の消費者センチメントの軟化の要因を見てみよう。ミシガン大学消費者センチメント指数は過去約1年半の間消費者の実質購買力の伸び加速と軌を一にして上昇してきた。実質購買力の伸びは1月に前年比+5.0%でピークに達したのち4月には同+4.0にまで伸び率が低下している。これは消費者センチメント指数の1月ピークアウトと整合している([第2図])。センチメントの悪化の背景は消費者の実質購買力の拡大が一服したことと考えられる(なお、ここでいう実質購買力とは、雇用の伸び、週平均労働時間、及び実質賃金の伸びを合わせたものであり、これら3つの構成要素の推移は[第3図]の通りである)。

次に、センチメント悪化の要因と思われる実質購買力の伸び鈍化の要因を見る。実質購買力の主要構成要素といえる実質時間当たり賃金の伸び率は、約1年半の上昇基調ののち今年1月をピークに低下に転じている。実質賃金の伸びを名目時間当たり賃金と消費者物価上昇率に分解したのが[第4図]である。名目時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)の前年比伸び率は昨年8月にピークの+2.1%にまで上昇し、実質ベースの時間当たり賃金を押し上げてきた。その後名目時間当たり賃金の伸び率は緩やかに低下に転じたが、ほぼ同時に原油価格の急落でインフレ率が急低下したことで実質賃金の伸び率は上昇を継続した。今年に入ってからはインフレ率が低下から横ばいに転じるも名目時間当たり賃金上昇率は低下傾向を維持しており、結果実質時間当たり賃金は今年に入って伸び率が低下に転じている。名目時間当たり賃金の伸び悩みをインフレ率低下がカバーしていたが、今年に入りインフレ率が前年比ほぼゼロで下げ止まったことで、実質時間当たり賃金伸び率が下降に転じたわけだ。

[第2図]
20150519図2

[第3図]
20150519図3

[第4図]
20150519図4

購買力伸び率と消費性向からは消費回復が期待できる

消費者センチメントの悪化の背景に、中期的な名目時間当たり賃金の伸び鈍化があることが上記から推測できる。一方、消費者センチメントと小売売上高にはある程度の連動関係がみられることから、5月の消費者センチメント低下は今後の小売売上と個人消費の更なる悪化を示唆するものともみられうる。

しかし以下の通り、足元の消費者センチメント悪化が主に実質購買力の伸び率低下であるならば、今後個人消費は再び2%台の伸びへの回復が十分に可能である。まず、実質購買力の伸び率は足元低下したとはいえ、前年比+4.0%の高水準を保っている。これは数字の上では実質ベースの個人消費が4%成長を続けることも可能であることを示唆している。今後インフレ率が上昇に転じれば実質購買力の伸びは更に低下することが考えられるが、雇用拡大ペースの再加速当を勘案すれば、原油価格下落前の伸び率である2%台半ば~3%の伸びは十分期待できる。

消費者が消費拡大に過度に慎重になっているとの証跡も消費関連指標からは見られない。貯蓄率は2015年1-3月期時点で5.5%と、前期の4.6%から上昇しており、物価下落によるメリットを貯蓄に回している可能性も示唆されている。しかし、5%台の貯蓄率は過去の動きに照らせば決して高い水準ではない([第6図])。また筆者推計によれば、追加的な可処分所得のうち消費に振り向ける所得の割合を示す限界消費性向は2015年1-3月期時点で約0.9の高水準にある。計算上は、2%台半ば~3%の実質購買力の伸びがあれば、限界消費性向勘案後でも2%台の実質個人消費の伸びは十分期待できることになる。

[第5図]
20150519図5

[第6図]
20150519図6

2015年通年の個人消費2%台成長予想を維持する

以上より、賃金上昇と雇用拡大を背景とした個人の購買力拡大ペースと消費性向からは、米国の個人消費が今後趨勢的に減速する可能性は低いといえる。足元の消費減速の理由は、悪天候等の外的要因やインフレ率低下に対する一時的貯蓄率上昇に見られる消費者の相対的に慎重な消費態度であって、今後解消が十分に考えられるものである。足元の消費鈍化はいわゆる「ソフトパッチ」に過ぎない可能性が高い。今年通年の実質個人消費を前年比+2%台後半とする筆者個人の予想は維持しておきたい。

一方で、今後更に消費拡大ペースが加速するためには、個人の借入拡大が必要になる。実際に、消費者信用残高は3月時点で前年比+6.9%の強い伸びを示している。うち自動車ローンは1-3月期時点で前年比+9%増加しており、これが高水準の自動車販売を支えている。しかし、住宅ローンの信用条件は引き続き厳格で、住宅ローン残高は金融危機以降2014年まで依然前年比減少を続けている。住宅を担保に消費のための借入をするいわゆるホームエクイティローンが拡大する環境にはない。今後の消費拡大ペースはあくまで雇用と賃金を背景にした、健全な家計バランスシートの下での堅調で持続的なものとなるだろう。

以上の予想に対するリスク要因は次の通りである。まず、4月に回復した雇用拡大ペースが今後再び鈍化すること。ISM製造業指数の雇用DIが4月までで4ヶ月連続で低下し、4月には判断の分かれ目を示す50%を割り込んだことはこのリスクの顕在化を示唆するものである。次に、4月の新車販売台数の減少が示唆するように、自動車販売の牽引する消費拡大の息切れリスクである。自動車ローン拡大に支えられた消費拡大は、信用条件がひとたび厳格化されればその底支え要因を失う可能性なしとしないことには留意しておくべきであろう。

<経済指標コメント> 米4月小売売上高は前月比横ばい

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[日本]

景気ウォッチャー調査(4月):現状判断DIは53.6(前月比+1.4ポイント)、先行き判断DIは54.2(同+0.8ポイント)

4月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは53.6(前月比+1.4ポイント)、2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは54.2(同+0.8)と、いずれも5ヶ月連続上昇かつ横ばいをしめす50を3ヶ月連続で上回った。現状判断では家計動向・企業動向関連のDIが前月比上昇した。とくに家計動向関連53.2(同+2.3)、うち小売関連が53.5(同+4.6)と大幅上昇しているのが目立つ。先行き判断では、家計動向・企業動向・雇用同動向いずれも前月比上昇した。街角景気は駆け込み需要前の2013年央の水準に回復しており、景気回復感がようやく街角にも浸透したといえる。特に小売に代表される家計消費の回復は心強い。ただし、昨年10-12月期のGDPのプラス回復に比べて回復は遅い。

20150516図1

[米国]

小売売上高(4月)は前月比横ばい、自動車関連を除く小売売上高は同+0.1%

4月の小売売上高は前月比横ばいとやや弱めの結果となった。新車販売の減少を反映して自動車及び同部品ディーラーが同-0.4%だったのが全体の売上高を押し下げているが、自動車関連を除く売上でも同+0.1%とわずかな増加にとどまった。その他の業種別内訳は、家具店同-0.9%、家電店同-0.4%、ガソリンスタンド同-0.7%、百貨店同-2.2%などで売上が減少。一方薬局同+0.8%、衣服店同+0.2%、スポーツ用品店同+0.8%などで売上増加。下方サプライズはガソリンスタンド売上の減少である。変動の大きい自動車・ガソリンスタンド・レストランを除く小売売上は同+0.1%とわずかな伸びにとどまった。4月の小売売上高は1-3月平均を下回っており、4-6月期GDP統計上の個人消費の下振れリスクが出てきている。もっとも、インフレ率の低下を除いて個人消費が大きく減速する要因は見当たらず、4月の不振は好調だった3月からの反動という一時要因と見たい。今後も個人消費は堅調な拡大を続けるとの見方は維持する。ただし、5月のミシガン大学消費者センチメント指数が88.6ポイント(前月比-7.6%)と昨年10月以来の低水準に急落していることなどはこの見方に対する下方リスク要因であると言わざるを得ない。

20150516図2

企業在庫(3月)は前月比+0.1%、企業売上高は同+0.4%、在庫売上高比率は1.36倍

3月の企業在庫は前月比+0.1%と前月の同+0.2%に引き続き小幅な伸びに留まった。企業売上高は同+0.4%と8ヶ月ぶりの増加。内訳では製造業同+0.5%、小売業同+1.2%、卸売業同-0.2%と、3月の小売売上の急増と整合する内容である。結果在庫売上高比率は1.36倍とこれも8ヶ月ぶりにわずかながら低下した。しかし、企業在庫積み上げペースはまだ低調で、在庫売上高比率の水準もまだ高いことから、企業の在庫循環はまだ調整局面にあるといえる。なお、3月時点の3ヶ月前対比の在庫増加幅は12月時点のそれを下回っている。1-3月期GDP統計(速報)では企業在庫は成長にプラス寄与したが、これは改訂値以降で下方改訂となる可能性があり、1-3月期成長率の下振れ要因である。

20150516図3

鉱工業生産指数(4月)は前月比-0.3%、設備稼働率は78.2%(前月比-0.4%ポイント)

4月の鉱工業生産指数は前月比-0.3%と5ヶ月連続の低下で、鉱工業生産が昨年末をピークに引き続き軟化しているとの結果になった。内訳は製造業同横ばい、鉱業同-0.8%、公益事業同-1.3%と、低下要因は原油価格低下の影響を受ける鉱業と振れの大きい公益事業である。しかし製造業もその生産拡大ペースは一進一退で、前年比の伸び率は+2.3%と、1月の同+4.7%から大幅低下している。自動車(乗用車及び軽トラック)生産台数は年率11.71百万台と2ヶ月連続増加しているのは唯一の朗報である。設備稼働率は78.2%(前月比-0.4%ポイント)とこれも5ヶ月連続の低下。ここでも設備稼働率が大幅に下がっているのは鉱業84.0%(同-0.9%)で、製造業は77.2%(同-0.1%)と小幅な低下にとどまっている。米国企業部門は、1-3月期GDP統計上の設備投資が16四半期ぶりのマイナス成長になるなど減速がみられるが、4月に入っても減速傾向は継続しているといえる。天候要因は西海岸港湾ストなどの一時要因解消後は、企業部門が再び緩やかな拡大に回帰するとの見方は継続するが、これにはやや下方リスクが出てきていると言わざるを得ない。

20150516図4


<経済レポート> 生産性とインフレ低下が重石:米賃金上昇率再考

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米国の労働生産性伸び率の長期的な低下トレンドと、インフレ率の短期的な低下は、伸び悩む米国の賃金上昇率にとっての向い風要因である。失業率低下にも拘わらず賃金上昇率が伸びないのは、これらの構造的要因ならびに短期的変動要因がある。もっとも中期的には労働需給が賃金を決定する可能性が現実には高いとみて、時間当たり賃金の伸びがまもなく2%台に回復するとの見方は現状維持しておきたい。

1-3月の労働生産性は前年比上昇、単位労働コストの伸び低下でインフレ圧力は低下

6日に公表された米1-3月期労働生産性統計によれば、非農業企業部門の労働生産性の伸び率は前年比+0.6%と、前期の同-0.1%からわずかに改善した([第1図])。労働生産性は一単位の労働投入量(総労働時間)で産出される実質産出量であり、その伸びは〔産出量の伸び〕-〔労働投入量の伸び〕であらわされる。1-3月期は前期に比べ産出量の伸びが拡大、一方で3月の非農業部門雇用者数の伸びの急減速が寄与して労働投入量の伸びがやや減速した結果、労働生産性の伸びが加速した(1-3月期実質GDP成長率は前期比年率では+0.2%にとどまり、前期比の労働生産性は-1.9%と2四半期連続マイナスの伸びとなったが、前年同期比の同成長率は1年前のマイナス成長との比較で+むしろ3.0%に成長が拡大しているため、トレンドを表す前年比の労働生産性はむしろ伸びが加速している)。

1-3月期は、労働生産性の伸びが加速したことがインフレ圧力の低減要因ともなっている。単位労働コストは前年比+1.1%と前期の同+2.6%から大幅に減速した([第2図])。単位労働コストは一単位の産出に必要な労働コストであり、単位労働コスト上昇率は時間当たり報酬の伸び率から労働生産性の伸び率を差し引いたものに等しい。時間当たり報酬が上昇しても、時間当たりの産出量が増加すればその分一単位当たりの労働コストは低減されることになる。1-3月期は前期に比べて時間当たり報酬の伸びが減速しかつ労働生産性が上昇したことで、単位労働コストの伸びが減速したことになる([第3図])。

一般に、企業は単位労働コストの上昇を回収するためにこれを販売価格に転嫁する必要がある。しかし、+1.1%の単位労働コスト上昇は、現状のコア消費者物価上昇率の範囲内であり、企業にとっては労働コストを現状以上に価格転嫁する必要はないことになる。

[第1図]
20150511図1

[第2図]
20150511図2

[第3図]
20150511図3

労働生産性伸び率のトレンドは主に非製造業で低下している

次に、中期的な米国の労働生産性の推移を見る。総じて米国では労働生産性の伸び率が90年代後半のIT革命による生産性上昇ののち、2000年以降はほぼ一貫して低下トレンドにある。

その内訳をみると、製造業の労働生産性の伸び率が非農業企業部門全体の労働生産性伸び率を総じて上回っている([第4図])。この背景としては、労働集約的な非製造業よりも、資本集約的な製造業において雇用の抑制と合理化が相対的に容易であることが考えられる。実際、労働投入量の伸びを非農業企業部門全体とうち製造業で比較すると、ほぼ一貫して製造業の労働投入量の伸びは非農業企業部門全体を下回っている([第5図])。

しかしながら、米GDPに占める製造業の割合は2014年10-12月期で12%にすぎない。製造業の労働生産性上昇も、経済全体への寄与は極めて限定的である。先進国においては、資本集約的な製造業がその生産拠点を賃金の安い海外に移転し、国内は専門ビジネスサービス等労働集約的なサービス業が主に拡大している。知的労働を中心とするサービス業の産出維持のためには、製造業に比べて雇用をより高水準に維持することが必要だと考えられる。非製造業主体の産業構造の帰結として、製造業が労働生産性を向上させても米経済全体の労働生産性の伸びは抑制されやすくなっているといえる。

[第4図]
20150511図4

[第5図]
20150511図5

時間当たり賃金は労働生産性とインフレ率の制約を受ける

さて、上記で見たように米国の労働生産性の伸び率は、2008年の金融危機後の一時的な上昇(産出量の減少を上回る雇用減少が主因)ののち2000年以降総じて低下する傾向にある。一方で単位労働コストの伸びも2012年以降はほぼ前年比約+1%の低水準にとどまっている([第5図])。労働生産性の伸びの低下にも拘わらず単位労働コストの上昇が限定的であるのは、労働生産性の伸び低下に合わせて企業が賃金の伸びを抑制してきたことがその背景と考えられる。

4月の雇用統計では、時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)の前年比の伸びは+1.9%と、2月のボトムである同+1.7%から底入れの兆しがみられた。しかしながら中期的には失業率の低下に比べて時間当たり賃金の伸び率はまだ相対的に低水準である。失業率と時間当たり賃金伸び率の関係を示すシンプルなフィリップス曲線によれば、現状の賃金上昇率は失業率の低下にも拘わらずむしろ昨年から低下に転じている([第7図])。ここからは現在の賃金上昇率は失業率以外の要因によっても決定されていることが推測できる。

90年代前半からの労働生産性の伸びと時間当たり賃金の伸びを比較してみると、両者の間には長期的に連動関係がみられる。労働生産性の上昇は単位労働コスト引き下げ要因であり企業にとり賃金を引き上げて雇用を拡大し産出を増やすインセンティブとなる。逆に労働生産性の低下は単位労働コストの押し上げ要因であり企業にとり賃金を抑制するインセンティブになる。時間当たり賃金上昇を労働生産性上昇でカバーした残り(単位労働コスト)が外生要因としてのインフレ率の範囲内で価格転嫁できることが時間当たり賃金引上げの条件だとすれば、時間当たり賃金の伸び率は、労働生産性の伸び率にインフレ率を加えた水準に制約されるはずである([第8図])。

[第6図]
20150511図6

[第7図]
20150511図7

[第8図]
20150511図8

賃金上昇率は今年2%台に回復との見方はまだ維持する

ここで、インフレ率・労働生産性・失業率の3つを決定要因とする時間当たり賃金の要因分解を改めて行う(3月11日付当レポート参照)。観測期間は1993年1-3月期から2014年10-12月期までの88四半期、3つの決定要因は時間当たり賃金に対し4四半期先行させた。結果は[第9図][第1表]の通りである。これによれば、失業率の低下が2011年以降時間当たり賃金の押し上げ要因になっているものの、労働生産性の伸び低下が時間当たり賃金上昇率を抑制する要因となっていることがわかる。この動向は[第10図]でより明らかである。

この分析によれば、2015年の各四半期の時間当たり賃金上昇率は10-12月期に同+1.6%に低下する計算になる。これはいうまでもなく、昨年末の原油価格下落によるインフレ率の低下が1年のラグを伴って賃金上昇の抑制要因となる結果である。これは、失業率低下に遅行して時間当たり賃金上昇率もまもなく2%に向けて上昇するとの当レポートの見方に対する下方リスク要因である。また上記の通り、産業のサービス化や先進国への労働集約産業集中という構造要因でもある労働生産性の伸び低下も長期的に賃金上昇率の抑制要因となるだろう。

しかし、労働生産性上昇率低下は10年単位の長期のトレンドであり、原油価格下落は逆に月単位の短期的変動である。今後1年程度の中期の賃金は、現実的には失業率低下による労働市場のタイト化により決定される可能性がまだ高いと見ておきたい。下方リスクは認識しつつも、賃金上昇率の2%への加速という当レポートの見方は今しばらく維持しておきたい。

[第9図]
20150511図9

[第1表]
20150511表1

[第10図]
20150511図10

<経済指標コメント> 米4月非農業部門雇用者数は前月比+223千人

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[米国]

ISM非製造業指数(4月)は57.8%(前月比+1.3%ポイント)

4月のISM非製造業指数は57.8%(前月比+1.3%ポイント)と過去6ヶ月で4回目の上昇。総合DIを構成する4つのDIの内訳は事業活動61.6%(同+4.1)、新規受注59.2%(同+1.4)、雇用56.7%(同+0.1%)、入荷遅延53.5%(同-0.5)。調査対象からのコメントには「消費は改善(小売)」「燃料価格低下が好材料(運輸)」「事業は引き続き強い(卸売)」などポジティブなものが目立つ。一方で「精油関連顧客は原油価格低下で設備投資を縮小中(科学技術サービス)」と原油価格下落の影響も一部に見られる。総じてISM非製造業指数は高水準で推移しており、製造業指数の低迷とは対照的である。製造業指数が西海岸港湾ストの影響や外需の減速の影響を受けているのに対し、非製造業は力強い内需が追い風となっていると憶測できる。

20150509図1

雇用統計(4月):非農業部門雇用者数は前月比+223千人、失業率は5.4%(前月比-0.1%ポイント)

4月分雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+223千人と堅調な伸びで巡航速度の200千人増ペースに回帰した。業種別内訳では、建設業前月比+45千人、小売業同+12.1千人、専門ビジネスサービス同+62千人、教育・医療サービス同+61千人と、景気敏感セクターとディフェンシブセクターのいずれもが増加している。前月3月分は更に下方改訂されて同+85千人となったが、3月の雇用減速の要因の一つは建設業が前月比-9千人の減少だったことで、これは天候等による一時要因と憶測できる。なお建設業は4月に同+45千人に回復した。非農業部門雇用者数の前月比の伸びの3ヶ月移動平均は191千人と4ヶ月ぶりに上昇。同4月単月の前年比の伸び率は+2.2%と巡航速度を保っている。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)の伸び率は前年比+1.9%と依然低位だが、2月のボトム同+1.7%からは底入れの兆しがみられる。雇用者数・時間当たり賃金・週平均労働時間の伸び率を合わせた消費者の購買力は前年比+4.0%となる計算で、総合インフレ率約0%の現在では実質+4%、コアインフレ率1%台半ばを勘案しても2%台半ばの堅調な購買力拡大が続いていることになる。家計調査による失業率は5.4%(同-0.1%ポイント)と、2008年5月以来の低水準に低下した。内訳をみると、労働力人口増加、就業者数増加、失業者数減少を伴うよい失業率低下。労働参加率は62.8%と依然低位乍ら前月比では+0.1%ポイント上昇した。総じて4月の雇用統計は、3月の不振が一時要因であった可能性が高いことを示唆するものであり、米国労働市場は堅調な拡大を継続していると言える。

20150509図2

<経済レポート> 企業の設備投資拡大は緩やかに:米国内部門ISバランス

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米国では昨年後半以来財・サービス赤字の拡大傾向が続いているが、赤字の規模は過去に比べれば相対的に低水準である。経常収支赤字拡大要因として、企業部門の貯蓄・投資バランスが2014年に投資超過に転じていることがあげられる。この背景は企業の設備投資意欲拡大とも見られるが、企業収益の伸び減速も要因の一つである。今後も企業の設備投資拡大ペースは緩やかにとどまり、住宅投資の急激な拡大や財政政策の急拡大がない限り、経常赤字の拡大ペースは緩やかなものに留まると見たい。

経常赤字は歴史的には低水準にある

[第1図]は米国の経常収支の推移とその内訳である。経常収支は財・サービス収支、所得収支、経常移転収支からなり、財・サービス収支がその太宗を決定する。米国の経常収支赤字の対GDP比率は金融危機前の住宅バブル期である2005年に-6%を超える最大レベルとなり、その後内需の縮小により大幅縮小したのち、現在に至るまで-2%台と相対的に低位で安定している。

2014年の後半から輸出の伸び悩みと輸入の増加により財・サービス収支赤字は拡大を始めている([第2図])。輸出伸び悩みの要因としては海外経済の減速、輸入拡大の要因としては内需の拡大が考えられる。また最近のドル高も輸出減速と輸入拡大の要因と憶測できる。しかし、為替レートと米国の貿易収支の関係の証跡は明確ではない。今後も海外経済減速と国内需要の拡大により財・サービス赤字は拡大が続くとは見るものの、そのペースは2005年の国内景気過熱期ほどにはならないと個人的には見ている。

経常収支赤字を別な側面から見てみよう。[第3図]は、米国の国内の経済主体別の貯蓄・投資バランス(ISバランス)の推移である。国内の経済主体である家計・企業・政府部門の貯蓄と投資の差額(バランス)合計は経常収支に等しいという恒等関係がある。米国の場合ISバランスのマイナス(投資超過)つまり経常収支赤字が海外部門のISバランスのプラス(貯蓄超過)により賄われるという傾向が続いている。[第3図]によれば、金融危機後の大幅な財政出動により拡大した政府部門の投資超過は、歳出増加要因の剥落と景気回復による税収増で縮小が続いている。また家計部門は金融危機前には一時投資超過となっていたのが、金融危機以降は貯蓄超過に転じたまま現在に至っている。また注目すべきは、政府部門の投資拡大によりクラウドアウトされていた企業部門が、政府部門の投資超過縮小とともに2014年には投資超過に転じていることである。

[第1図]
20150506図1

[第2図]
20150506図2

[第3図]
20150506図3

家計部門は貯蓄超過が続こう

家計部門が現在でも貯蓄超過になっている要因は二つある。一つは金融危機前に比べ現在の家計貯蓄率が相対的に高いことである。金融危機前の住宅バブル期には住宅を担保にした借入で家計が消費を拡大し、貯蓄率は2%台にまで低下していた。金融危機後は住宅担保借入が困難になり家計が借入を返済するバランスシート調整に入ったことから貯蓄率は上昇し、現在では約5%前後の水準にある。

家計部門が貯蓄超過を続けているもう一つの要因は住宅建設の減速である。家計部門の投資の太宗は住宅投資である。2014年の住宅着工戸数は年率1001千戸と7年ぶりの1000千戸台を回復したものの、その水準はピークである2005年の2073千戸の半分にも満たない。住宅ローン残高は金融危機以降現在もなお減少を続けている。低金利にも関わらず住宅ローン残高が増加しないのは、住宅ローン返済軽減にための更改に伴う金融機関のコスト上昇や、金融機関の信用基準が依然厳格であることが背景と考えられる。

上記の通り、政府部門のISバランスと企業部門のISバランスは相互補完的に動く傾向があるため、米国全体のISバランスつまり経常収支は主に家計部門のISバランスに依存する傾向が強い。現在の住宅着工ペースが今後住宅バブル期のペースに再拡大するとは当面考えにくい。家計貯蓄率は物価下落のメリットをとる消費拡大がインフレ率低下にやや遅行して発生することにより今後はやや低下に転じると見る。しかしネット見た場合、家計の貯蓄超過は今後しばらく継続すると考えられる。

企業部門は投資超過に転じたが今後の投資拡大は限定的と見る

次に企業部門のISバランスの内訳をみる。企業部門は金融危機直後より設備投資を縮小して手元資金を厚めに持つことにより2008年以降大幅な貯蓄超過に転じた。その後2009年をピークに設備投資の回復とともに貯蓄超過幅は縮小が続いていた。2014年に入りそのバランスは逆転して投資超過に至っている([第4図])。

企業部門のISバランスが投資超過方向に転じた要因は二つある。一つは設備投資が緩やかながら継続的に拡大を続けていること。ここには政府部門の投資拡大ペースの低下にともない政府部門を代替する投資が企業部門に移転したことが考えられる。次に、企業の貯蓄すなわち外部流出しない企業収益の伸びが鈍化していることである。

外部流出しない企業収益に設備投資の資本減耗を加えた企業ネットキャッシュフローと名目設備投資の推移をみたのが[第5図]である。これによれば、企業ネットキャッシュフローは2010年をボトムに回復に転じているものの、その伸びは2012年頃から鈍化しており、総じて横ばい傾向が続いている。これに対し企業設備投資は一貫して増加を続けている。2014年には設備投資が企業キャッシュフローを上回る水準となっている。設備投資/キャッシュフロー比率は歴史的には、好景気時には100%を超える傾向があるが、総じて同比率は長期的には低下傾向にある([第6図])。また[第4図]に見られるように企業部門の純投資の対GDP比率は既に3%台と金融危機以前のピークに程近いところにまで達している。

[第4図]
20150506図4

[第5図]
20150506図5

[第6図]
20150506図6

経常赤字の悪化は悲観するレベルにはならないと見る

従って、企業部門の投資超過傾向が今後更に拡大ペースを速めるとは考えにくく、米国全体のISバランスも政府支出の大幅拡大政策がとられない限り更なる投資超過の拡大は考えにくいことになる。米議会予算局(CBO)の「財政・経済見通し(2015年3月)」によれば、現行法制下での米財政赤字の対GDP比率は2014年の-2.8%から2017年には-2.3%に縮小すると推計されている。その背景は、景気の拡大により歳入増加ペースが歳出増加ペースを上回ることである。CBOの前提とする経済成長率は2015年、2016年いずれも+2.9%(第4四半期前年同期比)であり、これは筆者個人の予想と概ね整合するものである(実際には1-3月期GDP成長率の予想比下振れで、筆者予想は現在2%台前半レベルになる計算になる)。

ドル高がこのまま財・サービス赤字の拡大をもたらすというよりもむしろ輸出企業の収益を圧迫し、企業キャッシュフローを悪化させる方向に働くと仮定すれば、今後企業設備投資が緩やかな拡大ペースに留まるとの筆者個人の見方とも一致する。昨今の企業景況感の悪化の背景には、ドル高による企業収益悪化があることがISM製造業指数の調査結果からも読みとれる(5月3日付<経済指標コメント>参照)。海外経済の減速と国内需要の拡大で結果的には財・サービス赤字の拡大は今後1年続くと見る。しかしこれによる経常収支の悪化は歴史的には低水準であり悲観に及ぶレベルにはならないと見る。

<経済指標コメント> 米1-3月期実質GDP(速報)は前期比年率+0.2%

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[日本]

鉱工業生産指数(3月)は前月比-0.3%

3月の鉱工業生産指数は前月比-0.3%と2ヶ月連続の低下。出荷指数は同-0.3%とこれも2ヶ月連続低下、在庫指数は同+0.3%、在庫率指数は同+0.4%といずれも2ヶ月連続上昇。生産・出荷が減少し在庫が増加する傾向が続いている。公表元の経済産業省は「生産は緩やかな持ち直しの動き」と基調判断を据え置いている。設備投資の先行指標となる資本財出荷は同+1.7%と上昇したものの、前月の同-8.9%の大幅低下をカバーできず、結果1-3月期の資本財出荷は前期比マイナスの伸びとなった。GDP統計における1-3月期企業設備投資は前期比プラスの伸びを見込んでいるが、これに対する下方リスクである。

20150503図1

住宅着工戸数(3月)は年率920千戸(前月比+1.7%)

3月の住宅着工戸数は年率920千戸(前月比+1.7%)と2ヶ月連続の前月比増加。住宅着工戸数の水準は消費税率引上げ前の駆け込み需要前の水準に概ね回帰しており、また基調には底入れの兆しが見られるといってよい。1-3月期の住宅着工戸数は前期比+1.8%と2四半期連続のプラスとなっており、1-3月期GDP統計上の住宅投資は4四半期ぶりのプラス成長に回帰することが期待できる。

20150503図2

完全失業率(3月)は3.4%(前月比-0.1%ポイント)

3月の完全失業率は3.4%(前月比-0.1%ポイント)2ヶ月連続の低下。内訳をみると、労働力人口が前月比減少する一方で完全失業者も2ヶ月連続で減少している。筆者試算による労働力化率は59.5%と前月比-0.2%ポイント低下したものの、中期トレンドはほぼ安定かやや上昇傾向にある。失業率低下と労働力化率上昇基調は不変であるもののそのスピードはやや減速しており、労働市場は引き続きタイトな状況にあるといえる。

20150503図3

全国消費者物価指数(3月)は前年比+2.3%、生鮮食品を除く総合指数は同+2.2%

3月の全国消費者物価指数は前月比+0.4%、前年比+2.3%。生鮮食品を除く総合指数(コア指数)は前月比+0.4%、前年比+2.2%と、5ヶ月ぶりに前月比上昇、前年比の伸び率も10ヶ月ぶりに小幅上昇に転じた。ガソリン価格が前月比+4.4%と前月比の伸びに+0.10%寄与している。前年比の伸び率に対してはエネルギーが+0.10%寄与している。原油価格の下落一服でインフレ率にも底入れの兆しがみられる。もっとも消費税率引上げ影響を除くとコア指数の前年比伸び率は+0.2%にとどまっており、引き続き2%のインフレ目標達成には長い道のりが予想される。なお、食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は前月比+0.4%、前年比+2.1%。

20150503図4

実質家計消費支出(3月、二人以上の世帯)は前月比+2.4%、前年比-10.6%

3月の家計調査、実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比+2.4%と2ヶ月連続増となる大幅増加。前年比では昨年3月の駆け込み需要との比較で-10.6%と大幅減少となっている。家計消費支出の水準は駆け込み需要前の水準に概ね近づいてきており、消費税引上げ後の反動減がようやく剥落してきたところである。なお、内閣府の消費総合指数は2月に前月比-0.1%と2ヶ月連続の低下となっており、3月に上昇したとしても1-3月期の個人消費は前月比わずかなプラスに留まる計算になる。資本財出荷の減少と合わせ個人消費の減速は、1-3月期の実質GDPが筆者個人の予想である前期比年率+2.8%から相応に下振れる可能性が高まってきていることを示唆している。

20150503図5

[米国]

実質GDP成長率(1-3月期、速報)は前期比年率+0.2%

1-3月期の実質GDP成長率(速報)は前期比年率+0.2%と、前期の同+2.2%から2四半期連続となる減速、また事前の筆者個人予想の同+1.0%をも大幅に下回る結果となった。需要項目別内訳は個人消費同+1.9%、設備投資同-3.4%、住宅投資同+1.3%、政府支出同-0.8%、在庫投資寄与度同+0.74%、純輸出寄与度同-1.25%。予想比下振れたのは設備投資、政府支出、純輸出の3項目。設備投資は前期比横ばい程度の伸びを見込んでいたが、構造物投資が同-23.1%の大幅減少で全体もマイナス成長となった。財輸出は同-13.3%の大幅減少で、純輸出が成長を-1.25%押し下げる結果になった。一方在庫投資は在庫調整進行中にもかかわらず予想外に成長にプラス寄与した。個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は同+1.1%と前期の同+4.5%から大幅減速した。総じて成長の減速が顕著な指標ではあるが、1-3月期は悪天候や西海岸港湾スト等の一時要因もあり、また構造物投資の大幅減は統計上のブレと考えられる。また昨年半ばの高成長からの循環的な減速と見れば成長率低下も悲観には及ばない。4-6月期からは再び2%台の巡航速度の成長に回復すると見る。もっとも2015年通年の成長率は前年比+2%台半ばと予想しているが、今回の下振れはこれを2%台前半に下振れさせる計算になる。

20150503図6

実質個人消費(3月)は前月比+0.3%、個人消費支出価格指数は前年比+0.3%、同コアは同+1.3%

3月の実質個人消費は前月比+0.3%と堅調な伸び。内訳は、自動車販売増加を反映して耐久財消費が同+2.0%と強い伸び、非耐久消費財は同+0.2%、サービス消費は同横ばいにとどまった。1-3月期の実質個人消費は前期比年率+1.9%と筆者の従前予想比やや弱めにとどまり、また前期の同+4.4%からは大幅減速となったが、概ね2%成長の巡航速度は維持しているといえる。4-6月期の実質個人消費は同+2%台半ばへの回復を見込む。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)はガソリン価格の回復を反映して前月比+0.2%と2ヶ月連続上昇、前年比では同+0.3%と前月並みの伸びを維持した。食品及びエネルギーを除くコアPCEデフレーターは前月比+0.1%とプラスの伸びを維持、前年比でも+1.3%と4ヶ月連続伸び率横ばいを維持し、相対的に堅調である。

20150503図7

ISM製造業指数(4月)は51.5%(前月比横ばい)

4月のISM製造業指数は51.5%(前月比横ばい)と、6ヶ月ぶりに低下に歯止めがかかったものの水準的には51.5%のISM指数は概ね1%台前半の成長率に相当する低水準になっている。。総合DIを構成する5つのDIの内訳は新規受注53.5%(前月比+1.7%ポイント)、生産56.0%(同+2.2)、雇用48.3%(同-1.7)、入荷遅延50.1%(同-0.4)、在庫49.5%(同-2.0)。調査対象先のコメントは「エネルギーコスト低下が収益を押し上げ」「自動車産業は依然極めて強い」等のポジティブなコメントと「為替レートで収益悪化」「西海岸港湾ストが輸出に影響」等のネガティブなコメントの双方がみられる。また雇用DIが4ヶ月連続低下し2013年5月以来の50%割れになったのも目立つ。総じて企業景況感は一時要因で軟化しているものの企業部門が緩やかな拡大を継続すると見ている。しかし資本財出荷の減少や3月雇用の急減速と整合した企業景況感の軟化は依然下方リスク要因である。

20150503図8