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<経済指標コメント> 米6月中古住宅販売戸数は年率5490千戸

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[米国]

中古住宅販売戸数(6月)は年率5490千戸(前月比+3.2%)、在庫期間は5.0ヶ月

6月の中古住宅販売戸数は年率5490千戸(前月比+3.2%)と2ヶ月連続の増加、水準は2007年2月以来の高水準となった。販売在庫は2300千戸(同+0.9%)と緩やかな増加にとどまり、在庫期間は5.0ヶ月と2ヶ月連続短期化した。中央販売価格は前年比+6.5%と前月の同8.0%から上昇率はやや低下した。中古住宅販売は引き続き順調なペースで増加しており、需給は依然タイトである。公表元の全米不動産業協会は「需要は1年以上の堅調な雇用増加と経済改善により加速している」「6月の販売増は住宅ローン金利上昇開始によっても後押しされている可能性がある」としている。年内のFRB利上げ開始をにらんで、金利上昇前の一時的駆け込み需要もみられるようだ。

20150725図1

新築住宅販売戸数(6月)は年率482千戸(前月比-6.8%)、在庫期間は5.4ヶ月

6月の新築住宅販売戸数は年率482千戸(前月比-6.8%)と2ヶ月連続の減少、販売在庫は215千戸(同+3.4%)と4ヶ月連続増加した結果、在庫期間は5.4ヶ月と昨年11月以来の水準に長期化した。中古住宅販売と対照的に新築住宅販売は2月をピークに減少に転ずる兆しが見られる。しかし、新築住宅市場は住宅市場の約10分の1にすぎず、中古を合わせた住宅販売は依然好調である。また在庫不足による消費者の選択余地の低下が新築市場にはより強く表れている可能性がある。在庫積み上げによる需給の緩和は、今後消費者の購買意欲を刺激して再び住宅販売を上向かせる要因と見たい。

20150725図2

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<経済レポート> 需給は徐々に緩和へ:米住宅市場

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米住宅市場は依然タイトな需給で、住宅価格上昇には加速の傾向がある。しかしながら、需要面からは住宅バブル期のような住宅ローン増加はみられず、供給面では着工の増加に緩和の兆しがある。今後米住宅市場は適正な需給に回帰して堅調な拡大を続けると見る。

住宅販売戸数は急増、価格上昇は加速中

米国の住宅販売需給は依然タイトな状況にある。住宅販売市場の約9割を占める中古住宅販売戸数は、5月に年率5350千戸と2013年7月以来の高水準に増加した。これに伴い中央販売価格の上昇率は5月時点で前年比+7.9%と、昨年4月をボトムに上昇傾向にある([第1図])。住宅価格上昇加速の背景には、住宅市場の需給のタイト化がある。中古住宅販売の増加傾向にも拘わらず中古住宅の販売在庫は過去2、3年の間概ね横ばいで推移しており、在庫期間(販売在庫/月間販売戸数)は5月時点で5.1ヶ月と、標準とされる6ヶ月をおよそ2年半にわたり下回っている([第2図])。

住宅市場の需給がタイトであることと、住宅価格上昇が加速していることは、過去の住宅バブルの再来を思わせるものがないとは言えない。FRBの金融緩和による低金利が株価を押し上げているのと同様、緩和政策が住宅価格を押し上げているとの連想はありうべしである。

しかしながら以下に見るように、米住宅市場は需要過多によるバブルの様相はなく、むしろ供給側の要因によって一時的に価格上昇が加速しているに過ぎないとみたい。

[第1図]
20150720図1

[第2図]
20150720図2

在庫期間との相関からは住宅価格上昇率は2桁に加速する可能性

住宅価格上昇率は住宅の在庫期間と強い逆相関がみられる。[第3図]はS&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)と、中古住宅販売在庫期間(2四半期ラグ)との相関関係を見たものである。これによれば、住宅価格は在庫期間が短期化するとこれに約2四半期遅行して上昇が加速する傾向がみられる。

5月時点の中古住宅販売価格は前年比+8%近い上昇を見せている一方で、全米主要都市の住宅販売価格を示すS&Pケース・シラー住宅価格指数は4月時点で同+4.9%の伸びに留まっている。

しかし、上記の相関関係からS&Pケース・シラー住宅価格指数の4月時点の伸び率を推計してみると、理論上は主要20都市の住宅価格は前年比+10.4%の上昇率となる計算になる([第4図])。つまり、現在の住宅価格の伸び率は理論値よりもやや弱めの伸び率となっており、今後タイトな需給の効果が遅行して住宅価格に反映されると、住宅価格上昇率は2桁レベルに加速する可能性があるということになる。

[第3図]
20150720図3

[第4図]
20150720図4

需要面では住宅市場にバブル要素は見られない

しかしながら、住宅市場には2000年代前半の住宅バブル期のような過熱感は見られない。FRBの資金循環統計によれば、2015年1-3月期時点の家計住宅ローン残高は約9.37兆ドルと、住宅バブル期の2008年の10.7兆ドルを依然大幅に下回っている。住宅バブル崩壊後現在に至るまで住宅ローン残高は減少基調をたどっている。これは、自動車ローン等の消費者ローン残高が2010年以降増加に転じて住宅バブル期を大幅に上回っているのと対照的である([第5図])。住宅ローン残高が依然減少傾向にあることは、住宅需要が借入によるレバレッジで加速拡大しているのではなく、実需に伴う堅調な需要増加にとどまっていることを示唆している。これは、住宅ローンの信用条件緩和による家計バランスシートのレバレッジ拡大で住宅需要が拡大したバブル期の状況とは異なっている。

不動産業者から見た住宅市場の需要も概ね適正な水準にあるといえる。全米建設業協会(NAHB)が公表する住宅市場指数は7月時点で60ポイントと、横ばいを示す50ポイントを13ヶ月連続で上回っている。同指数は2004年の住宅バブル期には71ポイントにまで上昇していたが、これに比べると現在の指数は適正な水準である。また全米不動産業協会(NAR)が公表する住宅取得能力指数は7月時点で159.7ポイントと、家計が住宅ローン借入返済に十分な所得を有していることを示している。2006年の住宅バブル崩壊前夜にはこの指数が100ポイント近くにまで低下しており、住宅価格が家計所得に比べて過大に上昇していたのとは対照的である([第6図])。

もっとも、住宅ローン残高は長期にわたる家計バランスシート調整を経て今後拡大に転ずる兆しもみられる。FRBのシニア・ローン・オフィサー・サーベイ(4月)によれば、住宅ローンの需要が増加したと回答した銀行が34行、と減少したと回答した銀行3行を大幅に上回っている。住宅ローンの信用条件も2014年から緩和傾向がみられる。

[第5図]
20150720図5

[第6図]
20150720図6

住宅着工の増加で供給にも明るさが見える

住宅供給にも明るい材料がみられる。住宅着工戸数は6月に年率1174千戸と、4月につけた2007年以来の高水準に近い水準を維持したうえ、先行指標となる着工許可件数も2007年以来の高水準に急増している(7月19日付<経済指標コメント>参照)。住宅着工戸数は変動の大きい指標であるが、これをならした6ヶ月移動平均は6月時点で年率1061千戸と3ヶ月連続で上昇している([第7図])。

結果、4-6月期の住宅着工戸数は前期比+17.0%と2000年代以降では最大の伸び率となり、4-6月期のGDP成長率を押し上げる要因となる見込みである([第8図])。

新築住宅建設はこれまで供給側の建設業者の人的物的資源の制約や、昨年末からの一時的な悪天候により伸び悩んできたと見られる。しかしながら、冬の悪天候要因が解消され、資源価格の低下により資材調達が容易になれば、住宅建設にとっては追い風となるはずである。住宅建設の増加は住宅市場の需給を緩和させ、住宅価格を適正な伸び率にとどめる効果がある。住宅価格の伸び率が適正であれば消費者需要も堅調に喚起されて更なる供給の動議となる。米住宅市場はかかる適正な成長スパイラルにあると見たい。これが維持できる鍵は需要よりも供給力である。

[第7図]
20150720図7

[第8図]
20150720図8


<経済指標コメント> 米6月小売売上高は前月比-0.3%

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[米国]

小売売上高(6月)は前月比-0.3%、除く自動車同-0.1%

6月の小売売上高は前月比-0.3%と期待を下回る結果となった。新車販売の減少は新車販売統計から想定通りだったが、自動車を除くベースでも同-0.1%の減少、ガソリン価格上昇を反映したガソリンスタンド売上の増加を勘案するとコア部分の売上は更に減少しており、自動車・ガソリンスタンド・レストランを除くいわゆるコア小売売上高は同-0.2%の減少となった。業種別内訳は自動車及び同部品ディーラー同-1.1%、家具店同-1.6%、建設資材店同-1.3%、衣服店同-1.5%、百貨店同-0.6%などが売上減少。売上増加したのはガソリンスタンド同+0.8%、家電店同+1.0%など一部の業種にとどまった。雇用・賃金の増加やインフレ率低下、高い消費者センチメントなど個人消費拡大を示唆する他経済指標の動きからは意外な売上減少である。4-6月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+3%の成長を個人予想しているが、これに対する下方リスク要因である。

20150719図1

企業在庫(5月)は前月比+0.3%、企業売上高は同+0.4%、在庫売上高比率は1.36倍

5月の企業在庫は前月比+0.3%と通常並の増加、企業売上高は同+0.4%と強めの伸びとなった。結果在庫売上高比率は1.36倍と3ヶ月連続で横ばいにとどまったものの依然高水準である。高水準な在庫売上高比率と在庫循環図からは、企業在庫は調整局面に入っていると考えられる。しかしながらこれまでのところ在庫調整はほとんど進んでおらず、企業在庫の3ヶ月前対比の増加幅は4ヶ月連続で拡大すしており在庫積み上がりペースはむしろ加速している。4-6月期GDP統計では企業在庫調整によるマイナスの寄与を個人予想しているがむしろ企業在庫はプラス寄与に上振れする可能性が高い。

20150719図2

鉱工業生産指数(6月)は前月比+0.3%、設備稼働率は78.4%(同+0.2%ポイント)

6月の鉱工業生産指数は前月比+0.3%と3ヶ月ぶりに小幅上昇した。内訳は製造業同横ばい、鉱業同+1.0%、公益事業同+1.5%。原油価格の下げ止まりを反映した鉱業と電力・ガスなどの公益事業の上昇が指数を押し上げており、製造業は2ヶ月連続の横ばいにとどまっている。設備稼働率は78.4%(同+0.2%ポイント)とこれも3ヶ月ぶりに上昇したが、その水準は約1年前に相当する低水準にとどまっている。総じて鉱工業生産はまだ軟化基調にあり、底入れの兆しは見えない。なお、自動車生産台数(乗用車及び軽トラック)は年率11.53百万台(同-5.7%)と4ヶ月ぶりの減少。原油価格下落や海外景気減速を背景に企業部門の回復ペースは緩やかにとどまりそうだ。

20150719図3

消費者物価指数(6月)は前月比+0.3%(前年比+0.1%)、同コア指数は前月比+0.2%(同+1.8%)

6月の消費者物価指数は前月比+0.3%と5ヶ月連続の前月比上昇、ガソリン(同+3.4%)は2ヶ月連続上昇で指数を押し上げたほか、食品(同+0.3%)、運輸サービス(同+0.4%)などが指数を押し上げた。前年比では+0.1%と依然ゼロ近辺での推移となっている。しかし、総合インフレ率は原油価格がこのまま安定すれば年末にかけ前年比+1%強、来年初には同+2%にまで上昇すると個人的には見ている。食品及びエネルギーを除くコア指数は前月比+0.2%と引続き堅調に上昇しており、前年比でも+1.8%とFRBのインフレ目標である2%にほぼ近い水準で安定推移している。原油価下落影響の他の品目への波及や、ドル高によるデフレ圧力拡大は限定的で、需給ギャップ縮小に伴うインフレ圧力がインフレ率を適正な水準に回帰させると引き続き見る。

20150719図4

住宅着工戸数(6月)は年率1174千戸(前月比+9.8%)、着工許可件数は同1343千戸(同+7.4%)

6月の住宅着工戸数は年率1174千戸(前月比+9.8%)の大幅増加、前月の大幅減少をほぼ取戻し、4月の同1190千戸(2007年以来の高水準)に迫るペースとなった。結果4-6月期の住宅着工戸数は前期比+17.0%の急増となった。4-6月期GDP統計上の住宅投資が前期比年率2桁の伸びを示すという筆者個人の予想を支持する結果である。住宅着工許可件数は同1343千戸(同+7.4%)と3ヶ月連続の大幅増加で、今後も住宅着工のペースは加速する可能性を示唆している。総じて需給がタイトな状況が続く住宅市場において、着工がやや遅れて拡大ペースを急加速している。このペースで住宅着工が進めば需給緩和から住宅価格上昇ペースも適正に調整されて、住宅市場は適度な拡大を継続すると見る。

20150719図5

<経済指標コメント> 日本の5月機械受注は前月比+0.6%

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[日本

景気ウォッチャー調査(6月):現状判断DIは51.0(前月比-2.3ポイント)、先行き判断DIは53.5(同-1.0ポイント)

6月景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは51.0(前月比-2.3ポイント)と2ヶ月連続の低下。家計動向関連(同-3.2)、雇用関連(同-3.8)DIの低下で大幅低下となり、横ばいを示す50に接近した。判断低下の理由には「円安による物価上昇(家計動向関連)」「雨天の継続(同)」などがあげられている。2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは53.5(同-1.0)と7ヶ月ぶりの低下。これらの低下は4-6月期に一時的に日本の景気拡大ペースが低下しているとの他の実体経済指標と整合する結果である。円安影響が景況感減速の基調要因といえるが、雨天など一時要因もある。また現状判断DIは低位になったものの先行き判断DIは依然相対的には高水準にあり、今後の経済見通しに対する大きな影響はないと考える。

20150711図1

機械受注(5月、船舶・電力を除く民需)は前月比+0.6%(前年比+19.3%)

5月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+0.6%と3ヶ月連続の増加。企業部門がやや減速しつつも回復を続けていることを示唆する結果だった。5月までの4-6月期同受注は前期比+5.6%と前期の同+6.3%からやや減速しているものの高水準の受注の伸びを見せている。4-6月期のGDP統計上の企業設備は前期比横ばい程度の伸びを予想しているが、5月の受注増はこれに対する上ぶれ要因である。なお5月同受注は前年比では+19.3%と、1年前の消費税率引上げ後大幅減との比較で大幅増加となっている。

20150711図2

[米国]

ISM非製造業指数(6月)は56.0%(前月比+0.3%ポイント)

6月のISM非製造業指数は56.0%(前月比+0.3%ポイント)と前月の同-2.3%ポインとからやや持ち直した。総合DIを構成する4つのDIの内訳は、事業活動61.5%(同+2.0)、新規受注58.3%(同+0.4)、雇用52.7%(同-2.6)、入荷遅延51.5%(同+1.5)。雇用DIを除く3つのDIが前月比で上昇した。総じて非製造業景況感は高水準にあり、製造業指数の回復とともに企業部門の緩やかな拡大を示唆している。もっとも非製造業指数の3ヶ月移動平均は3ヶ月連続で低下しており、昨年11月に現行統計開始後最高値をつけた非製造業指数もやや減速感がみられる。なお、調査対象の回答には鳥インフルエンザの悪影響を指摘するものが複数みられた。

20150711図3

<経済レポート> ひとときの休息:日本経済定点観測

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日本経済は1-3月期に4%近い成長加速のあと、4-6月期はそのペースをいったん減速させそうだ。もっとも今後来年にかけては引き続き潜在成長率を上回る成長が継続すると見る。マイナスの需給ギャップは徐々に縮小して、デフレ圧力は後退するだろう。もっとも2%成長及び2%インフレ率の持続的実現は今後1~2年の間は困難と引き続き見たい。

家計消費は5月に大幅減少、4-6月期は横ばい程度

1-3月期に前期比年率+3.9%の成長拡大となった日本経済だが、4-6月期はその反動もありやや拡大ペースが減速している模様である。本レポートでは、直近の基礎統計等をもとに4-6月期の実質GDP成長率についての筆者個人予想を見直していく。

家計消費は、昨年7-9月期から今年の1-3月期まで3四半期連続でプラス成長を続け、消費税率引上げ後の経済回復の牽引役となってきた。しかしながら4-6月期のGDP統計上の実質家計消費は、前期比ほぼ横ばい程度に減速する可能性が高い。内閣府の消費総合指数は4月に前月比-1.1%の大幅低下となり、1-3月期平均を下回る水準になった([第1図])。総務省家計調査によれば、実質家計消費(2人以上の世帯)は4月に前月比-5.5%の大幅減少ののち5月には同+2.4%と反発したが、まだ前月の低下をカバーできていない。4-6月期の消費総合指数が前期比横ばいになるためには、5月、6月でそれぞれ前月比+0.5%の指数上昇が必要な計算になる。これは経験則的にはかなり達成が難しい数字といえる(6月27日<経済指標コメント>参照)。

一方、家計消費を巡る環境が従前に比べて悪化しているわけではない。内閣府消費者態度指数は4月時点で41.4ポイントと消費税率引上げ前に相当する高水準にある。現金給与総額の前年比伸び率は昨年3月以来概ねプラスを維持している。原油価格下落によるインフレ率低下も個人消費の押し上げ要因といえる。以上より、5月、6月には家計消費が再び増加に向かうとみて、4-6月期の実質家計消費は前期比概ね横ばい程度になると見込む。

[第1図]
20150705b図1

設備投資も前期の反動で横ばい成長に、住宅投資は堅調

企業部門は家計消費に遅れて回復が始まり、GDP統計上の企業設備は1-3月期には前期比年率+11.0%の大幅な成長となった。しかし、その後の先行指標となる資本財出荷の動きからは、この成長加速は一時的なものであった可能性が高い。4-6月期の資本財出荷は5月までで前期比-0.1%と2四半期連続のマイナスの伸びに位置している([第2図])。1-3月期のGDP統計上の企業設備の急成長はそれ以前の資本財出荷増とこれらのGDP統計への計上とのラグによるものである可能性がある。また、鉱工業生産指数全体が5月にかけて低下傾向に転じており、生産面の一時的軟化が示唆されている(7月5日付<経済指標コメント>参照)。従って、4-6月期のGDP統計上の実質企業設備は、家計消費と同じく前期比横ばい程度に見ておきたい。

住宅投資は4-6月期に2四半期連続となるプラス成長が見込めそうだ。4-6月期の住宅着工戸数は5月までで前期比+1.8%と、ほぼ前期並みの増加ペースを維持している([第3図])。GDP統計上の住宅投資は1-3月期に4四半期ぶりのプラス成長に回帰したが、4-6月期も同水準の成長が込める。

中期的観点からは、家計消費・企業設備・住宅投資の内需項目はいずれも消費税率引上げ前の水準に回帰していないことには留意が必要だ。それぞれの需要項目の前年同期比の伸び率は企業設備を除いて1-3月期まで4四半期連続でマイナスが続いている。一方企業設備は駆け込み需要の大きさに比して反動減が少なかったこともあり、昨年10-12月期までは前年同期比ではプラス成長が続いていた。筆者の個人予想によれば、これら3つの需要項目を合わせた国内最終民間需要が消費税率引上げ前の水準を超えるには2016年1-3月期を待たねばならない計算になる。経済のマイナスの需給ギャップが解消するのは2016年半ば以降になる計算である。消費税率引上げによる需要の下押し効果は当初予想以上に大きかったと言わざるを得ないだろう。

[第2図]
20150705b図2

[第3図]
20150705b図3

通年成長率は1%レベル、年度ベースでは2%弱の成長を個人予想する

企業在庫は4-6月期に成長にマイナス寄与となると見る。1-3月期には企業在庫が成長率を年率+2.0%押し上げたが、その後在庫水準は5月に入り低下に転じている。在庫循環図によれば、現在は「意図せざる在庫増」局面から「在庫調整」局面への移行期に位置する。5月の鉱工業生産統計からは、鉱工業が生産を調整して在庫を削減始めた動きが明らかに見られる。6月においても更なる在庫調整が行われると見たい。また数字上も、1-3月期のGDP統計上の在庫の成長へのプラス寄与の反動減が十分に考えられる。

財・サービス収支については、輸出・輸入双方の減速という趨勢は不変であるものの、1-3月期の一時的な輸入急増要因からの反動で、4-6月期には純輸出が成長にプラス寄与すると見ておきたい。5月までの貿易収支統計によれば、4-6月期の貿易収支赤字は前期に比べてわずかに縮小するペースである([第5図])。

以上より、4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+1%台前半に留まると個人的に予想する。これは4月時点での同+2%台半ばという筆者個人予想からは相応の下方修正となる。主な下方修正の背景は、家計消費の減速が想定以上であったこと、また輸出の伸び減速が予想以上に継続していることである。一方で、1-3月期成長率実績が4月時点の筆者個人予想を大きく上回った結果、新たな2015年通年(暦年)の成長率予想は前年比+1.2%、2015年度の成長率予想は前年度比+1.9%と、いずれも4月時点の予想から上方修正となる。

[第4図]
20150705b図4

[第5図]
20150705b図5

今後も潜在成長率を上回る成長が継続すると見る

今後については、日本経済は今年後半も潜在成長率(約+0.6%)を上回る成長を継続すると見る。家計消費・企業設備・住宅投資の内需項目は4-6月期にはいったん減速するものの、雇用の堅調な拡大や、日銀短観に見られる企業景況感の改善、さらに消費税率引上げ後の反動減要因の剥落により、成長ペースは高水準を維持するだろう。もっともアベノミクス開始直後の2013年のような2%成長を持続することは難しそうだ。アベノミクス開始直後の高成長はそのアナウンスメント効果が多分に寄与していたと憶測できるからである。潜在成長率を超える成長継続シナリオに対する主なリスク要因は、海外経済の想定以上の減速による輸出の想定以上の減少である。

潜在成長率を上回る成長継続により日本経済全体のマイナスの需給ギャップは徐々に解消しよう。内閣府は1-3月期時点の日本の需給ギャップを-1.6%と推計している。ここから筆者個人の今後の成長率予測に基づく需給ギャップの推移を試算すると、2016年1-3月期に需給ギャップは-0.5%にまで縮小する計算になる。2016年の半ばまたは後半には需給ギャップは解消する計算になる。

インフレ率については、生鮮食品を除く総合消費者物価指数(コア指数)は5月時点で前年比+0.1%とほぼゼロ近辺にある。原油価格下落の一服で今後コアインフレ率は徐々に上昇方向に転じると見る。また、食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)の前年比上昇率が4月、5月に前年比+0.4%と安定する兆しを見せている。これらの現況に加え、上記の通り需給ギャップが徐々に縮小して経済の余剰が解消されることで、デフレ圧力は今後徐々に後退していくだろう。もっとも、日本のフィリップス曲線の形状からは、2%のインフレ率の達成は今後2年では困難との見方は不変である。

[第1表]
20150705b表1

<経済指標コメント> 米6月非農業部門雇用者数は前月比+223千人

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[日本]

鉱工業生産指数(5月)は前月比-2.2%

5月の鉱工業生産指数は前月比-2.2%と、前月の同+1.2%から大幅反落。出荷指数も同-1.9%と前月の同+0.6%から反落。在庫指数は同-0.8%と低下したが、出荷減少で在庫率指数は同+1.9%と大幅上昇した。5月は生産抑制で在庫調整が進んだものの出荷の減少により在庫率が上昇した形になっている。また、生産指数の3ヶ月移動平均が2ヶ月連続の低下に転じている。企業設備投資の先行指標となる資本財出荷は同+0.1%と3ヶ月連続増加したもののそのペースは減速した。4-6月期資本財出荷は前期比-0.1%とマイナスに転化し、GDP統計上の企業設備投資の2四半期連続プラス成長は微妙になってきた。総じて企業部門は回復ペース減速が目立ち、また在庫調整圧力による生産下押しがみられる。なお、公表元の経済産業省は「生産は一進一退」として、前月までの「緩やかな持ち直し」から5ヶ月ぶりに下方修正した。

20150705図1

住宅着工戸数(5月)は年率911千戸(前月比-0.2%)

5月の住宅着工戸数は年率911千戸(前月比-0.2%)と2ヶ月連続の減少。2月から3月にかけ一時住宅着工に持ち直しの動きが見られたが、その後再び住宅着工は減速している。もっとも5月までの4-6月期住宅着工戸数は前期比+1.7%と3四半期連続プラスを維持するペースであり、GDP統計上の住宅投資も4-6月期に2四半期連続のプラス成長を維持できる見込みはある。季節調整前の5月着工戸数は71720千戸(前年比+5.8%)と前年比で大幅増加したがこれは昨年の消費税率引上げ後の反動減との対比での増加に過ぎない。

20150705図2

日銀短観(6月調査):大企業製造業業況判断DIは15ポイント(3月調査比+3ポイント)

日銀短観(6月調査)、大企業製造業の業況判断DIは15ポイント(3月調査比+3ポイント)と消費税税率引上げ直前の2014年3月調査以来の高水準に回帰した。大企業非製造業の業況判断DIも23ポイント(同4ポイント)と3四半期連続の上昇で、金融危機前の2007年以来の水準に回復した。先行き判断DIは大企業製造業が16ポイント、同非製造業が21ポイントといずれも高水準を維持している。企業生産はやや減速がみられるものの、景況感は悪くはなく、今後企業部門も緩やかながら拡大ペースを維持する可能性が高いことを示唆している。

20150705図3

[米国]

新車販売台数(6月)は年率17.1百万台(前月比-0.6%)

6月の新車販売台数は年率17.1百万台(前月比-0.6%)と前月の17.7百万台から減少したものの、2ヶ月連続で17百万台台を維持した。自動車販売は引き続き好調といえる。低金利とローン条件の緩和、ガソリン価格下落等が自動車販売の押し上げ要因になっていると考えられる。個人消費が拡大ペースを維持し3%レベルの成長を続けるとの見方を支持する結果である。

20150705図4

ISM製造業指数(6月)は53.5%(前月比+0.7%ポイント)

6月のISM製造業指数は53.5%(前月比+0.7%ポイント)と2ヶ月連続の上昇、1-3月期に一時低下した企業景況感の回復を示唆している。総合DIを構成する5つのDIの内訳は新規受注56.0%(前月比+0.2%ポイント)、生産54.0%(同-0.5)、雇用55.5%(同+3.8)、入荷遅延48.8%(同-1.9)、在庫53.0%(同+1.5)。4月に景気判断の分かれ目となる50%を一時割り込んだ雇用DIの大幅回復が目立つ。調査対象先の回答には「自動車産業が強く、今年一杯強くあり続けるだろう(非鉄金属工業)」「住宅着工増加が売上を押し上げている(家具関連産業)」といったコメントがみられる。4-6月期以降の米経済成長の堅調な回復予想と整合する結果である。

20150705図5

雇用統計(6月):非農業部門雇用者数は前月比+223千人、失業率は5.3%

6月雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+223千人と予想をやや下回る結果になった。前月分も下方改訂されて同+254千人(速報は同+280千人)。しかしながら雇用増は2ヶ月連続で+200千人を超え、また前月比増加幅の3ヶ月移動平均も221千人と4ヶ月ぶりに200千人を超えるなど、雇用拡大ペースは依然堅調といえる。業種別内訳では、小売業(同+32.9千人)の増加が目立つほか、専門ビジネスサービス(同+64千人)、教育・医療(同+50千人)など主要産業が雇用を増加させている。原油価格下落の影響を受けた鉱業は同-3千人と減少継続、また建設業も6月は同横ばいにとどまった。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)は前年比+1.9%と前月の同+2.0%からわずかに伸びが減速した。しかし、雇用者数同+2.1%、週平均労働時間同-0.3%と合わせ名目ベースで同+3.8%の購買力の伸び(前月は同+3.9%)が維持されている。インフレ率を差し引いた実質購買力は同3%台半ばを維持している計算。米国の実質個人消費が3%近い伸びを続けるという見方を支持するものである。家計調査による失業率は5.3%(前月比-0.2%ポイント)と低下。もっとも5月単月では労働力人口が前月比減少、労働参加率は62.6%(同-0.3%ポイント)と大幅低下しており、労働市場の縮小が失業率を押し下げる要因となっている。総じて雇用市場は堅調な拡大を継続して労働力の余剰は縮小継続しているといえる。

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