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<経済指標コメント> 米4-6月期実質GDP成長率(改訂値)は前期比年率+3.7%

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[日本]

全国消費者物価指数(7月)は前月比-0.1%(前年比+0.2%)、生鮮食品を除く総合指数は前月比横ばい(前年比横ばい)

7月の全国消費者物価指数は前月比-0.1%と2ヶ月連続の低下、前月比の低下に寄与した費目は電気代(同-2.6%)、家庭用耐久財(同-1.6%)など。ガソリンは同+0.4%と原油価格の下げ止まりを反映して上昇した。生鮮食品を除く総合指数(コア指数)は2ヶ月連続となる前月比横ばい、前年比でも横ばいと前月の同+0.1%から更に伸び率を低下させた。前年比で見ると、電気代(同-3.8%)やこれを含むエネルギー全体(同-8.7%)が引き続き指数を押し下げている。2%のインフレ目標は原油価格の下落もあり更に遠くなった模様だ。一方で、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は前月比+0.1%、前年比+0.6%と、前年比の伸び率をじりじりと上昇させている。経済回復によるマイナスの需給ギャップの縮小により、エネルギーを含まないコアコアのインフレ率は徐々に高まっているといえる。

20150829図1

実質家計消費(7月、二人以上の世帯)は前月比+0.6%(前年比-0.2%)

7月家計調査、二人以上の世帯の実質家計消費は前月比+0.6%と上昇したが、前月の同-3.0%の大幅減少をカバーできず。引き続き家計消費は軟調との結果になった。前年比でも-0.2%と消費税率引上げ後の消費反動減の時期を下回る水準である。勤労者世帯の名目実収入は前年比+5.4%、同可処分所得も同+5.0%と、4月以降プラスの伸びを拡大させているにも関わらず家計消費の伸びが振るわない背景は定かではない。7月の実質家計消費指数は4-6月期平均を下回っており、このペースでは、2四半期連続でGDP統計上の家計消費がマイナス成長になる計算になる。

20150829図2

完全失業率(7月)は3.3%(前月比-0.1%ポイント)

7月の完全失業率は3.3%(前月比-0.1%ポイント)と、依然1997年以来の低水準にある。季節調整前の前年比で見ると、労働力人口は横ばいとここ数ヶ月はほぼ横ばい傾向が続いているのに対し、就業者数は同+0.4%と着実に増加している。非労働力人口は同-0.2%と2ヶ月連続の減少。総じて労働力人口の伸びが減速傾向にあり、労働市場のタイト感は増しているといえる。

20150829図3

[米国]

新築住宅販売戸数(7月)は年率507千戸(前月比+5.4%)、在庫期間は5.2ヶ月

7月の新築住宅販売戸数は年率507千戸(前月比+5.4%)と増加、過去4ヶ月で3回目の年率500千戸を超える高水準の販売戸数となった。増加ペースにはここ数ヶ月減速感が見られ、6ヶ月移動平均は507.8千戸(同-0.5千戸)と2ヶ月連続で下向きになっている。しかしそれでも6ヶ月移動平均は4ヶ月連続で500千戸を超える水準にあり、新築住宅販売市場は依然活況といってよい。一方で販売在庫は218千戸(同+1.8%)と販売増加を下回る増加ペースにとどまり、結果在庫期間は5.2ヶ月と前月比-0.1ヶ月短縮、引き続き標準とされる6ヶ月を大きく下回っている。一方で、住宅着工戸数の増加ペースが4月以降急加速していることは販売市場にとっても朗報で、着工による供給が増えれば新築販売市場のタイト感も緩和され、住宅価格の過度な上昇も回避できると見る。

20150829図4

耐久財受注(7月)は前月比+2.0%、除く運輸関連同+0.6%、非国防資本財受注(除く航空機関連)は同+2.2%、同出荷は同+0.6%

7月の耐久財受注は前月比+2.0%の大幅な伸び、振れの大きい運輸関連を除くベースでも同+0.6%と強い伸びだった。企業設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機関連を除く)は同+2.2%と2ヶ月連続増加かつ大幅な伸びを示した。またGDP統計上の機器投資の基礎統計となる同出荷も2ヶ月連続増加かつ同+0.6%の強めの伸び。結果、7月までで7-9月期の同受注は4四半期ぶりの増加、同出荷は2四半期連続マイナスのあと4-6月期の小幅増加ののち大幅に増加するペースである。4-6月期GDP統計上で機器投資は前期比年率-0.4%のマイナス成長に終わったが、7-9月期は大きく回復しそうだ。企業部門の減速も一時的なものとの見方に沿った指標である。

20150829図5

実質GDP成長率(4-6月期、改定値)は前期比年率+3.7%

4-6月期実質GDP成長率(改訂値)は前期比年率+3.7%と、速報値の同+2.3%から大幅に上方改訂され、米国経済の拡大ペースが想定以上に加速しているとの結果になった。需要項目別内訳は、個人消費同+3.1%(速報値同+2.9%)、設備投資同+3.2%(同-0.6%)、住宅投資同+7.8%(同+6.6%)、政府支出同+2.6%(同+0.8%)、在庫投資寄与度同+0.22%(同-0.08%)、純輸出寄与度同+0.23%(同+0.13%)。すべての需要項目が上方改訂されたうえ、設備投資、政府支出、在庫投資が速報値比成長率をそれぞれ+0.48%、+0.33%、+0.30%押し上げている。設備投資のうち、速報値で予想外のマイナス成長だった構造物投資がプラス成長(同+3.2%)に上方改訂されたのは順当。資本財出荷の状況からマイナス成長を見込んでいた機器投資も、資本財出荷統計の上方改訂通りに改訂値でマイナス幅が縮小(同-0.4%)した。また速報値でマイナスの伸びだった在庫投資も、企業在庫統計による在庫増加ペース加速から想定していた通りプラス成長に上方改訂された。総じて7-9月期実質GDP成長率は、前期の同+0.6%というソフトパッチを大幅に跳ね返す拡大で、2015年通年成長率前年比+2%台半ばの個人予想が維持できる計算になる。

20150829図6

実質個人消費(7月)は前月比+0.2%、個人消費支出価格指数は同+0.1%(前年比+0.3%)、同コア指数は同+0.1%(前年比+1.2%)

7月の実質個人消費は前月比+0.2%と堅調な伸び。自動車販売の増加を反映して耐久消費財消費が同+1.3%と強い伸び、非耐久消費財消費も同+0.1%と小売売上高の増加と整合的に増加、サービス消費も同+0.1%と堅調だった。雇用拡大とインフレ率低下で個人消費は引き続き堅調に拡大しており、7-9月期のGDP統計上の実質個人消費は、筆者個人予想である前期比年率+3.0%が十分に狙える位置にある。個人消費支出価格指数は前月比+0.1%、前年比+0.3%と原油価格の下落を反映して依然低位な伸び率にあるが、食品及びエネルギーを除くコア指数は前月比+0.1%、前年比では同+1.2%と引き続き相対的には堅調である。上記のGDP成長率、個人消費、インフレ率はFRBによる利上げ条件を満たしつつあるといえる。

20150829図7

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<経済レポート> ここまでなら悲観せず:世界株価同時急落

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世界の株価同時下落は主に中国のファンダメンタルズ悪化を背景にした同国為替政策や株価下落を契機として、米国を初めとする先進国の株価にもこの影響が波及したものと見ることができる。テクニカルには株価は週央の安値から持ち直す可能性があると見たい。株価が現状水準ならば米国経済ファンダメンタルズへの影響は限定的である。米国経済個人予想は現状変更しないものの、FOMCの利上げ時期には後倒しリスクを見ておきたい。下方リスク要因は新興国・資源価格を通じた金融市場の更なる悪化と、中国・アジア経済悪化のファンダメンタルズを通じた波及である。

中国発の世界同時株価下落

株価下落が世界市場を席巻している。NYダウは8月17日の終値17545ドルの翌日18日から25日にかけて6日続落、25日の終値は15666ドルで、この間に約-10.7%の下落を見せた。その後26日にはやや値を戻して16285ドルで引けている([第1図])。同じ期間に日経平均は20620円から17806円へと約-13.6%の下落を見せた。その後26、27日と日経平均は反発続伸し、27日は18574円で引けた。為替市場では一時ドル安が急激に進み、17日に1ドル=124円レベルだったドル円は25日に同118円台に、ユーロ/ドルは1ユーロ=1.110ドルから同1.16ドルレベルに、それぞれドルが急落した。

株価急落のきっかけは、11日から13日にかけて3日連続で中国人民銀行が人民元の対米ドル売買基準値を合計約4.5%切り下げたことに遡る。人民元の切り下げは、通貨安政策により中国経済の悪化を食い止めようとする動きと受け取られた。このあたりから中国発の世界経済ファンダメンタルズに対する市場の懸念が広がり始めたといっていい。18日には中国の上海・深圳CSI300指数が前日の4077ポイントから3825ポイントに急落したことをきっかけに世界同時株安が始まった。同指数は26日に3025ポイントと18日から7日間で実に約-25.8%下落した。中国人民銀行は25日、政策金利の-0.25%の引き下げと預金準備率の-0.5%引き下げによる金融緩和を決定、これにより市場では株価下落がいったん収拾されつつある。

今回の株価同時急落は、先進国の経済にとっても突然の不安材料であると言わざるを得ない。しかし、今回の株価急落は、先進国のファンダメンタルズが直接の契機でなく、中国株の下落と中国経済への懸念がその契機であったことが特徴である。そのため先進国経済への影響は、株価下落に伴う資産効果や景況感への影響と、中国のファンダメンタルズを通じた影響とに分けて考える必要があるだろう。以下では米国について、株価下落が米国の個人消費や企業景況感を通じて経済に与える影響を考察する。

[第1図]
20150827図1

NYダウ15000ドルを下回らないことが相場回復の目途値

まず、この株価下落の要因と下値目途を想定する。これまでの米国株はバリュエーション的にやや割高感があったといえる。8月初時点でS&P500の株価収益率(PE)は21倍に達していた。これは金融危機以降での最大値である([第2図])。これを益回り(PEの逆数)に直してみると約4.74%となる。この益回りと米国債10年物利回りとの格差は2.42%となり、これは2010年半ば以来では最低の水準となる([第3図])。つまり、米国株のリスクフリー資産に対する相対価格は、過去10年間との比較ではやや割高だったと考えられる。その意味では、中国株の下落という外部要因を契機にバリュエーション調整が行われたとの説明は可能である。10%下落後のS&P500のPEは19倍程度に低下している計算になり、何とか持続的上昇を維持できる水準である。

また、今回の株価急落には、2010年5月6日のいわゆるFlash Crashのような要因も手伝っていたのではないかと憶測できる。24日にNYダウは寄り付きから-1000ドル以上急落して15370ドルまで下げたのち、日中一時約+1000ドルの戻しがあった。こうした動きは株価下落にシステム売買等の現代トレード手法固有の一時要因を連想させる。結果、テクニカルには24日の長い下ヒゲが相場の底入れを示唆するシグナルとなっている。また、中国株自体は6月の5300ポイントレベルをピークに既に大幅下落が進んでいたことを勘案すれば、18日の下落もその延長に過ぎないといえ、18日以降の急落についてはバリュエーション以外の市場需給要因もあったと見たいところである。

テクニカルには、今回の下げがNYダウで15000ドルを大きく下回らない限り、株価は現在の水準でいったん底入れする可能性を見たい。最近の株価急落の例としては、昨年10月に17000ドル台から16000ドル割れまでの下落があったが、このケースでは株価は同月内に元の水準に回復している。一方、2011年5月から9月にかけ、主にギリシャ財政問題を契機に13000ドル台から11000ドル割れまでの下落したケースでは、元の水準への回復には約半年を要した。今回は短期間の急落という意味で持ち直しもそれなりのスピードで起きると見たい。テクニカルにNYダウの下値の目途としては、昨年10月の16000ドル割れレベル、更にその下は2013年の揉み合いレンジの下限である15000ドルレベルが想定できる。ここでは15000ドルを一つの下値の目途とみて、ここを下回らない限り株価は再び上昇基調に回帰すると見たい。

[第2図]
20150827図2

[第3図]
20150827図3

ここで下げ止まりなら米国経済への影響は限定的

次に、株価下落の米経済ファンダメンタルズへの影響を考察してみよう。まず、株価が資産効果やセンチメントを通じて個人消費に与える影響が考えられる。しかし、過去に筆者が推計したところでは、個人消費の株価に対する弾性値は0.02と相対的に低く、株価10%の下落に対して個人消費の減少は-0.2%程度にとどまる計算になる([第1表]及び2014年8月15日付当レポート参照)。金融危機以降の個人消費は雇用や賃金の伸びに依存する割合が高く、住宅や株価の資産効果や心理効果は相対的には低減していると考えられる。筆者個人は年後半の実質個人消費が+2%前半の堅調な拡大を継続すると個人予想している。株価が現状の水準にとどまったとしても個人消費への影響はさほど大きくはないと見たい。

企業景況感に株価が直接与える影響も限定的と見ておきたい。ISM製造業指数は株価の継続的上昇にも拘わらず昨年末をピークに低下をしている。これは企業景況感が株価そのものよりも海外経済の減速に敏感に反応している可能性を示唆している([第4図])。その意味では今回の株価急落に表象される海外特に中国経済の悪化は企業景況感には織り込み済で、むしろ株価がファンダメンタルズに合わせて調整されたと見るのが妥当であろう。

寧ろ企業にとっては株価急落と同時に起きたドル安による輸出の増加というメリットを享受できる可能性が高い。今年に入ってから米国の実質ベースの財・サービス輸出の減速は鮮明である。昨年1年間は前年比+3.5~4.5%の伸びを続けていた実質輸出は、今年に入り減速をはじめ、7月時点では前年比ほぼ横ばいにまで減速している。輸出減速の傾向は特に昨年後半から米ドルの対広域追加に対する為替レートの上昇開始以降にその傾向が強まっている([第5図])。

[第1表]
20150827表1

[第4図]
20150827図4

[第5図]
20150827図5

FRB利上げ予想に対しては後倒しリスク

最後に、今回の株価急落のFRB金融政策への影響を見る。筆者個人は従前より、9月のFRB公開市場委員会(FOMC)定例会合で利上げ開始が決定されると予想してきた。先週公表された7月28-29日の定例会合議事要旨でも「ほとんどの参加者は引締め政策への条件はまだ達成されていないものの、その地点に近づいている」と述べたとされ、9月利上げ開始を支持する内容が多かった。また、27日に公表された4-6月期実質GDP成長率(改定値)は前期比年率+3.7%と、米経済の拡大ペースが1-3月期の同+0.6%から大幅に加速したとの結果になった。雇用統計でも非農業部門雇用者数は7月時点で3ヶ月連続+200千人を超える増加を示し、労働市場の余剰を表す指標も着実に改善している(8月11日付当レポート参照)。

しかしながら今回の株価急落は9月利上げ予想に対する新たな下方リスク要因になり得ると言わざるを得ない。ダドリ―NY連銀総裁は、26日の講演で記者の質問に答えて「現在のところ、金融政策正常化のプロセス開始を9月会合で決定することは、私にとって数週間前ほどには必須でなくなったと見える」「正常化は我々が追加的な情報を得られる時期に会合においてより必須なものとなり得る」と述べ、個人的には9月利上げの可能性が低下したとの見方を示した。ダドリ―総裁は「追加的情報」を得るまで様子見とのスタンスをとっている。しかし、8月株価急落の影響がわかる経済指標は9月定例会合の行われる9月15-16日時点ではまだ十分ではない。8月中に株価が下げ止まったとしても株価のファンダメンタルズへの影響を見極めるには、10月分位までの経済指標を確認する必要があろう。ダドリ―総裁の言に従えば年内利上げ開始の如何は微妙ということになる。もっともダドリ―総裁はFOMC委員の中でもハト派で知られる人物であり、同氏の個人見解をのみをもって金融政策を占うことはできない。しかし、7月会合に比べ金融市場に悪化が認められた場合に利上げを見送るリスクはあるといえる。また、9月会合時点において依然今後の金融市場の不確実性がある場合、利上げ実施により金融市場に更に悪影響を及ぼすリスクを勘案してFOMCが利上げ開始決定を見送る可能性もある。もっともその場合でも上記の通り10月位までの経済指標を確認の上ファンダメンタルズへの影響が軽微と確認できれば、年内の利上げ開始は可能と見たい。

以上より、世界同時株価下落の米国ファンダメンタルズへの影響は、株価がNYダウで15000ドルを大きく下回らない限り限定的と見ておきたい。ただしFRBの金融政策については、9月利上げ開始に後倒しリスクを見る。これらのシナリオに対する下方リスクシナリオは、まず中国の株価下落がBRICS等の新興国金融市場に波及して、先進国をも巻き込んだ更なる世界株価下落をもたらす場合、次に中国やアジアのファンダメンタルズ悪化の顕在化で資源価格の下落を通じて米国ファンダメンタルズやインフレ率への下方リスクが示現する場合、最後に、中国・アジアの景気減速が同地域への輸出の更なる減速を招いて、実体経済を通じた成長押し下げとなる場合である。

<経済指標コメント> 日本の4-6月期実質GDP成長率(1次速報)は前期比年率-1.6%

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[日本]

実質GDP成長率(4-6月期、1次速報)は前期比年率-1.6%

4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率-1.6%と3四半期ぶりのマイナス成長。需要項目別内訳は、家計消費同-3.1%、住宅投資同+8.0%、企業設備同-0.3%、公的需要同+3.1%、企業在庫寄与度同+0.3%、純輸出寄与度同-1.6%。家計消費が4四半期ぶりに大幅にマイナス成長になったことと、輸出の大幅減少(財・サービス輸出は同-16.5%、同輸入は同-9.8%)で純輸出が成長を-1.6%押し下げたのが目立つ。家計消費が、雇用の増加やインフレ率の低下にも拘わらず減少した背景は定かでない。特に持家帰属家賃を除くベースでの家計最終消費支出は前年比横ばいと、消費税率引上げ直後の反動減のあった時期の水準に戻っている。一方で住宅投資は住宅着工の急回復を反映して2四半期連続のプラス成長、企業設備は3四半期ぶりのマイナス成長となった。今後の成長率回復の鍵はやはり家計消費と輸出となる。家計消費は今後再び堅調な拡大に転じると見る。輸出は海外経済減速の影響を受けつつも円安効果で減少ペースは緩やかになると見る。今回のマイナス成長で、年後半の成長率は+1%台半ばへの回復を見込んでも、2015年暦年の成長率は+1%をやや割り込み、年度成長率も+1%台前半に留まる計算になる。

20150823図1

[米国]

住宅着工戸数(7月)は年率1206千戸(前月比+0.2%)、着工許可件数は同1119千件(同-16.3%)

7月の住宅着工戸数は年率1206千戸(前月比+0.2%)と2ヶ月連続で年率1200千戸を超える水準を維持し、住宅建設が依然活況であるとの結果になった。着工許可件数は同1119千件(同-16.3%)と大幅減少したが、6ヶ月移動平均は1163.7千件と高水準にあり、着工戸数の6ヶ月移動平均1087.9千戸を上回っている。景気回復による住宅需要の拡大と住宅市場のタイトな需給を背景に、住宅建設は今後も堅調に増加を続けると見る。

20150823図2

消費者物価指数(7月)は前月比+0.1%(前年比+0.2%)、同コア指数は前月比+0.1%(前年比+1.8%)

7月の消費者物価指数は前月比+0.1%と6ヶ月連続のプラスの伸びとなったが、そのペースはやや低下してきている。内訳はエネルギーが同+0.1%(うちガソリンは同+0.7%)と上昇幅を縮めたほか、運輸サービスが同-0.2%と低下している。前年比では+0.2%とほぼゼロに近いところでインフレ率は推移している。7月以降原油価格が再び下落に転じており、今後消費者物価の上昇ペースはまた減速する可能性はある。しかし原油価格の低下が1バレル=40ドル程度に留まれば、来年後半には総合インフレ率は前年比+2%に近いところまで上昇すると見る。食品及びエネルギーを除くコア指数は前月比+0.1%、前年比+1.8%と引き続き堅調である。

20150823図3

中古住宅販売戸数(7月)は年率5590千戸(前月比+2.0%)、在庫期間は4.8ヶ月

7月の中古住宅販売戸数は年率5590千戸(前月比+2.0%)と過去6ヶ月で5回目の前月比増加、水準は2007年2月以来の高水準となった。一方で販売在庫は前月比-0.4%と減少しており、結果在庫期間は4.8ヶ月と2ヶ月連続で短期化した。中古住宅市場は依然としてタイトな需給にあるといえる。もっとも、中央販売価格の上昇ペースは前年比+5.6%と適度なものにとどまっている。住宅販売市場はタイトではあるものの、価格上昇ペースに今のところ過熱感はない。新築市場で着工が増加すれば需給は徐々に緩和すると見る。なお、公表元の全米不動産業協会(NAR)はプレスリリースで「雇用の堅調な増加と、住宅ローン金利上昇見通しと住宅価格の減速が消費者の購入意欲を高めている」としている。「現在の持家保有者は純資産を、次回の住宅購入の頭金に充てている」とも述べている。雇用増加と金利上昇前の駆け込み需要に加え、価格の適度な上昇によりプラスのエクイティを保有者にもたらすなど、住宅市場は健全な正のスパイラルに入りつつある。

20150823図4


<経済指標コメント> 米7月小売売上高は前月比+0.6%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(7月):現状判断DIは51.6(前月比+0.6ポイント)、先行き判断DIは51.9(同-1.6ポイント)

7月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは51.6(前月比+0.6ポイント)と3ヶ月ぶりに小幅上昇。家計動向関連・企業動向関連・雇用関連のいずれのDIも前月比上昇した。しかしその水準はまだ高いとはいえず、横ばいを示す50に近いところに位置している。判断理由のうち「やや悪」の理由として「天候不順」「輸入原材料の平均価格上昇」などがあげられている。一方「やや良」判断の理由として「猛暑日の増加によるエアコン販売回復」などがあげられている。前月と比較しての先行き判断DIは51.9(同-1.6ポイント)と2ヶ月連続の低下。判断悪化理由には「地方で収入が増加しない一方で値上げが続いている」「円安による原材料価格上昇」等が挙げられている。一方で先行き判断「やや良」の理由として「中国連休によるインバウンド消費」への期待があげられている。総じて街角景況感はまだ弱含みで推移していると言わざるを得ない。日本の実質GDP成長率は4-6月期に一時的にマイナス成長ののち再び堅調な拡大に回帰すると筆者個人は見ているが、今のところ回復が生活感をもって感じられることを強く示唆する材料はこの景況感指標からは見出しづらいと言わざるを得ない。

20150816図1

機械受注(6月、船舶・電力を除く民需)は前月比-7.9%

6月の機械受注、船舶・電力を除く民需は前月比-7.9%と、過去3ヶ月連続の増加を打ち消す大幅減少となった。6月時点の3ヶ月移動平均も同-1.3%と7ヶ月ぶりに低下に転じた。もっとも4-6月期の同受注は前期比+2.9%と、前期の同+6.3%からは減速したものの4四半期連続プラスの伸びを維持し、企業部門が拡大を継続していることを示唆している。本来振れの大きい指標であり、6月単月の受注減はこれまでの受注増加からの一時的な調整と見たい。4-6月期のGDP統計上の企業設備は資本財出荷の減少でマイナス成長となりそうだが、7-9月期以降は受注の積み上がりから再び緩やかな拡大に回帰するとの見方を維持したい。

20150816図2

[米国]

小売売上高(7月)は前月比+0.6%、除く自動車関連同+0.4%

7月の小売売上高は前月比+0.6%と強い伸び、自動車関連を除いても同+0.4%の堅調な伸びとなった。また予想外のマイナスの伸びだった前月分も上方改訂されて前月比横ばいとなっている。内訳は自動車及び同部品ディーラー同+1.4%、家具店同+0.8%、建設資材店同+0.7%、ガソリンスタンド同+0.4%などが売上を増加させた。一方で家電店同-1.2%、百貨店同-0.8%等は売上を減少、まだ業種的にはばらつきがみられる。しかし総じて米個人消費は雇用拡大とインフレ率低下を背景に堅調な拡大を継続しているといってよく、7-9月期以降のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+2%台の巡航速度の拡大を継続するとの見方を支持する結果である。

20150816図3

企業在庫(6月)は前月比+0.8%、企業売上高は同+0.2%、在庫売上高比率は1.37倍

6月の企業在庫は前月比+0.8%とやや強めの伸び、小売業の売上減少で企業売上高が同+0.2%の伸びに留まったことで在庫の積み上がりが加速している。結果在庫売上高比率は1.37倍と2009年以来の高水準に上昇した。総じて在庫循環は意図せざる在庫増の局面にあると考えられる。4-6月期GDP統計(速報値)では企業在庫が成長を-0.08%押し下げたが、改定値ではこれが上方改訂される可能性がでてきた。今後は在庫調整圧力が生産に対する抑制要因となる可能性があるが、7月には小売売上の回復しており、在庫調整が売上増加で進行すれば生産への影響は限定的になるだろう。

20150816図4

鉱工業生産指数(7月)は前月比+0.6%、設備稼働率は78.0%(前月比+0.3%ポイント)

7月の鉱工業生産指数は前月比+0.6%と、5ヶ月連続低下ののち2ヶ月連続で上昇、設備稼働率は78.0%と8ヶ月ぶりの小幅上昇となった(なお、鉱工業生産統計は7月分において年次改訂により過去にさかのぼり改訂されている)。鉱工業生産の内訳は製造業同+0.8%、鉱業同+0.2%、公益事業同-1.0%と、製造業が大幅な上昇を見せたほか、原油価格低下の影響を受けた鉱業が2ヶ月連続の上昇に転じている。自動車生産台数(乗用車及び軽トラック)は年率13.29百万台(同+15.6%)の大幅増加。自動車販売の好調さが鉱工業の回復を牽引していることが読み取れる。国内個人消費は堅調であるものの、企業部門の回復はまだ緩やかで、鉱工業生産指数の水準自体はまだ低位である。企業部門の拡大ペースは海外景気減速、ドル高などの影響でまだ緩やかなものに留まる可能性が高い。

20150816図5

<経済レポート> 9月に照準:FOMC展望

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米4-6月期実質GDP成長率、7月雇用統計はいずれも堅調な結果だった。インフレ指標もほぼFOMC委員の予測通りの推移になる見込みだ。イエレン議長が重視する労働市場の余剰に関する指標もここ数ヶ月で急改善している。これらはいずれも、9月定例FOMC会合で利上げ開始という当レポート予想を支持するものである。

成長率・失業率・インフレ率はFOMC予測通りの進捗

米4-6月期の実質GDP(速報)と7月雇用統計が公表された時点で、9月16、17日開催予定のFRB連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合での金融政策判断材料は事実上出そろった。今後は8月27日公表予定の同GDP統計改訂値、そして9月4日公表予定の8月分雇用統計が最終的な判断材料となる。しかし、GDP改訂値と8月雇用統計が想定外の下振れを示さない限り、既報指標で金融政策判断をなすことは可能と考えてよいだろう。

筆者個人は従前より、9月FOMC定例会合で利上げ開始が決定されると予想してきた。4-6月期実質GDP統計と7月雇用統計はいずれもこの予想を支持する結果だったといえる。4-6月期実質GDPは前期比年率+2.3%の拡大を見せた。このペースだと、2015年10-12月期の成長率(前年同期比)は、+1.9%程度に着地すると筆者は試算している。これは6月時点のFOMC委員経済予測の中心傾向である同+1.8~+2.0%の範囲内である。また、非農業部門雇用者数は7月に前月比+215千人の堅調な増加、失業率も5.3%とFOMC委員予測中心傾向の範囲内となっている(8月1日付8月8日付<経済指標コメント>参照)。インフレ指標も同様に、FOMC委員の予測に沿ったものになっている。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は7月時点で前年比+0.3%とわずかなプラスの伸びに留まっているが、10-12月期には昨年末からの原油価格急落要因が剥落することから、PCEインフレ率は同+0.8%レベルに上昇すると見る。これは6月時点のFOMC委員経済予測の中心傾向同+0.6~0.8%の上方に位置する。

6月FOMC委員経済予測では、年末のFF金利誘導目標レンジ予測の中央値が0.50-0.75%となっており、これは年内に0.25%ずつ2回の利上げが行われることを示唆している。成長率・失業率・インフレ率が委員予測通りであることは、9月に初回+0.25%の利上げが決定され、その後1会合おきに0.25%ずつの利上げが行われ、年末のFF金利誘導目標レンジは0.5-0.75%となる可能性が高いことを示唆している。

「労働市場の余剰」指標も急改善している

上記の経済予測対象指標のほかに、イエレンFRB議長が重視するとされる雇用市場関連の指標を見てみよう。イエレン議長は従前より「労働市場の余剰を表す指標」、またそのうちの「循環的要因」を重視してきた。7月29日のFOMC定例会合声明文では、労働市場に更に「いくらかの」改善が見られることを利上げ開始の条件として示した(「いくらかの」は7月声明文で新たに追加)。7月会合以降にいくらかの労働市場の改善が見られたとするためには、これらの労働市場余剰関連指標も改善していることがイエレン議長の認識からは必要であろう。

7月10日のオハイオ州クリーブランド市での講演、及び7月15日の半期議会宛金融政策報告でイエレン議長が取り上げた労働市場の余剰を示す指標を以下の通り検証すると、労働市場の余剰もここ数ヶ月で急速に縮小したことがわかる。

まず、求職意欲喪失者の推移を見る。求職意欲喪失者(非労働力人口のうち、自分に見合う職がないとの考えから現在求職活動を行っていない者)は過去2ヶ月間で大幅減少している。振れの大きい指標であることからその3ヶ月移動平均をとってみると、5月時点で747千だった求職意欲喪失者は7月時点で608千人と、2ヶ月で実に-18.6%の減少となっている([第1図])。また、求職意欲喪失者を含む縁辺労働者(非労働力人口のうち、職に就くことが可能で過去12ヶ月以内に求職活動を行ったが過去4週間以内に求職活動を行わなかったために労働力人口に計上されない者)も、過去6ヶ月で-13.6%減少している([第2図])。また、経済的理由でパートタイマーとして働いているが、本来はフルタイムの職を希望する者の数も、過去1年間ほぼ一貫して減少トレンドを保っている([第3図])。

[第1図]
20150811図1

[第2図]
20150811図2

[第3図]
20150811図3

賃金上昇率は低迷も今後急上昇の可能性がある

次に、これもイエレン議長がほぼ常に引用する(直近の7月15日議会証言でも触れられた)労働参加率を見る。労働参加率は中期的に継続的下降トレンドにあり、これは上記の求職意欲喪失者などを含む非労働力人口が増加し、労働力人口(現在職に就いているかまたは過去4週間以内に求職活動をした者)の人口に対する割合が低下していることを表している。しかしながら、直近の1年間は労働参加率が低下から横ばいに転じる傾向が明らかである([第4図])。これは労働力化率に表象される労働市場の余剰のうち循環要因による余剰がほぼ解消されつつある可能性を示唆している。

もっとも筆者自身は、労働参加率の低下は主に構造要因によるものであり、中長期的には引き続き労働参加率は低下すると見ている。その背景は、人口動態に加え、高等教育の充実により最初の就職の年齢が上昇していること、男女別では、男性の労働参加率がこの高等教育充実により継続的低下をしているのに加え、女性の労働参加率が2000年のIT革命のピーク時をピークに低下に転じていることがある。女性の社会進出は、2000年をピークにその後のITバブル崩壊を機に低下に転じている。これは女性の家庭復帰がITバブル崩壊でより強く志向されるようになったことが背景と憶測できる。

最後に、時間当たり賃金の伸び率は、イエレン議長が7月15日付議会証言で述べたように7月時点でも前年比+1.8%とまだ低い。これは唯一イエレン議長の条件を満たしていないともいえる労働市場指標である。MUFGの賃金版のフィリップス曲線([第5図])を見ると、確かに7月時点の時間当たり賃金上昇率(生産及び非監督労働者)は、失業率が同レベルだった2004年時点と比べても低めの位置にある。しかし、失業率が今後5%を下回って改善すると、時間当たり賃金上昇ペースは急激に加速する可能性がある。失業率実績が自然失業率を下回ると賃金上昇率が高まる効果(フィリップス曲線のフラット化)を勘案すれば、今後インフレ率も上昇ペースを加速する可能性が高いと見る。

[第4図]
20150811図4

[第5図]
20150811図5

9月利上げ開始予想を維持する:中立派委員の一人は利上げに回った

最後に、実質GDP成長率に表象される経済活動全体の拡大状況を見てみよう。実質GDP成長率は前期比年率で見るとここ数四半期の間かなりの振れがみられる。しかし、これを前年同期比で見ると、5四半期連続で同+2%台の安定した拡大を継続している([第6図])。これは米国経済が潜在成長率をやや上回るペースで持続的な成長を継続していること、これに伴い経済の余剰(マイナスの需給ギャップ)が着実に縮小していることを示唆している。

適正な政策金利を推計するテイラー・ルールによっても、年内2回の利上げが正当化できる。これは6月21日付当レポートで見た通りである。なお、GDP統計の年次改訂により現時点の需給ギャップの推計はやや困難になっており、正確に見積もることは難しいが、筆者は2015年4-6月期時点のマイナスの需給ギャップを約-2%と推測している。

以上より、9月のFOMC定例会合で0.25%の利上げが決定され、その後10月の定例会合を挟んで12月に2回目の利上げが行われるとの筆者個人の予想を維持する。リスク要因は経済指標というよりもFOMC内のハト・タカ派のバランスに依存する可能性が高い。しかし、中立派とされるアトランタ連銀ロックハート総裁(今年のFOMC投票メンバー)が9月の利上げを個人的に支持する旨を表明したこと(8月4日付WSJ紙インタヴュー)は、このバランスがより利上げ方向に傾きつつあることの証左といえるだろう。

[第6図]
20150811図6

<経済指標コメント> 米7月非農業部門雇用者数は前月比+215千人

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[米国]

実質個人消費(6月)は前月比横ばい

6月の実質個人消費は前月比横ばい、内訳は自動車販売の減少を反映した耐久財消費が同-1.1%と大幅減少、非耐久財消費は横ばいにとどまり、サービス消費が同+0.2%(なお、GDP統計の年次改訂に伴い個人消費統計も2012年に遡り改訂されている)。しかしながら4-6月期の実質個人消費は前期比年率+2.9%(前期は同+1.8%)と好調な伸びとの結果になった。年後半も実質個人消費は2%台後半~3%の好調な拡大を続けると見る。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年比+0.3%と前月の同+0.2%からわずかながら伸び率を高めている。食品及びエネルギーを除くコアPCEデフレーターは同+1.3%と6ヶ月連続伸び率横ばいで、相対的に堅調な伸びとなっている。

201508008図1

ISM製造業指数(7月)は52.7%(前月比-0.8%ポイント)、非製造業指数は60.3%(同+4.3%ポイント)

7月のISM製造業指数は52.7%(前月比-0.8%ポイント)と4ヶ月ぶりの小幅低下。総合DIを構成する5つのDIの内訳は、新規受注56.5%(同+0.5)、生産56.0%(同+2.0)、雇用52.7%(同-2.8)、入荷遅延48.9%(同+0.1)、在庫49.5%(同-3.5)。雇用DIが3ヶ月ぶりの低下を示しているのと在庫DIが在庫調整で低下しているほかは、受注・生産・入荷遅延とも堅調である。非製造業指数は60.3%(同+4.3%ポイント)と2ヶ月連続となるかつ大幅な上昇。DI内訳は事業活動64.9%(同+3.4%)、新規受注63.8%(同+5.5)、雇用59.6%(同+6.9%)、入荷遅延53.0%(同+1.5)とすべてのDIが大幅上昇している。総じて米経済は7-9月期に入っても堅調な拡大を継続するとの見方を支持する内容である。

201508008図2

新車販売台数(7月)は年率17.5百万台(前月比+0.5%)

7月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率17.5百万台(前月比+0.5%)と増加、3ヶ月連続で17百万台の大台を維持し、かつ6月の一時減少をほぼ取り返した。ガソリン価格低下、インフレ率低下、雇用拡大、自動車ローンの拡大により自動車販売は今後も堅調に推移すると見る、ただし年率17百万台半ばの売上は過去のピークにほぼ近く、売上増加ペースは今後落ち着いたものになりそうだ。

201508008図3

雇用統計(7月):非農業部門雇用者数は前月比+215千人、失業率は5.3%

7月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+215千人と前月の同+231千人からやや減速したものの3ヶ月連続で200千人を超える堅調な増加ペースを維持した。3ヶ月移動平均も+235千人と2ヶ月連続で上昇。業種別の雇用者数は、建設同+6千人、製造業同+15千人、小売同+35.9千人、専門ビジネスサービス同+40千人、教育・医療同+37千人と押しなべて堅調。特に小売の雇用増が堅調なのは個人消費の持続的増加を示唆している。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)は前年比+1.8%とまだ低い伸び率であるが、雇用者数増加前年比+2.1%を加えれば雇用者の購買力は名目ベースで同+3.9%と高い伸びを維持している。インフレ率低下勘案すれば消費者購買力の伸び率は十分。家計調査による失業率は5.3%(前月比横ばい)と引き続き低位。総じて7月雇用統計は、FRBの9月利上げ開始予想を支持する内容である。

201508008図4

<経済レポート> 積み上げの行く末:米企業設備投資

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米国では労働生産性に比して資本生産性の伸びは常に劣後している。資本生産性の低下は、新たな設備投資意欲を抑制し、今後の設備投資拡大ペースを緩やかなものにとどめる要因となる可能性がある。一方で労働市場はその余剰がほぼ解消し、労働需給は引き続きタイトになると見る。

米国の潜在成長率は長期的に低下トレンド

米国の企業設備投資の伸び率は、金融危機からの回復後も緩やかなものにとどまっている。また長期的に見ても、設備投資(フロー)の対GDP比率の長期トレンドは低下方向にある([第1図])。これは、経済拡大における設備投資の重要度が下がってきた可能性を示唆する現象である。この背景として、過去に比べ現在では生産の資本への依存度合が低下し、代わって労働への依存度合が高まってきたという説明が考えられる。産業が資本集約的な生産から労働集約的な生産に転化してきたことがその背景といえる。本レポートではいくつかのマクロ指標から、資本集約的生産から労働集約的生産への転換の背景を概観する。

産出のための生産要素は通常、労働投入量と資本蓄積(設備投資のストック)の2つがあげられる。国が生産要素を最大限に活用した場合の潜在産出量つまり潜在GDPは、労働投入量・資本蓄積により決定され、潜在成長率はこれに全要素生産性を加えた3つの要素により決定されるとされる。労働投入量に労働生産性を、資本蓄積に資本生産性をそれぞれ乗じたものの伸び率に、全要素生産性の伸び率を加えたものが潜在成長率ということになる。

まず、米国の潜在成長率の推移を見る。米国の潜在成長率は長期的に低下トレンドにある。実質GDP成長率と失業率の四半期データに基づき、オークンの法則を用いて米国の潜在成長率を推計してみると、2015年4-6月期時点で約2%との結果になった([第2図])。もっともこの推計による潜在成長率は2000年をピークに長期的には低下トレンドにあり、2008年の金融危機を経て2013年に1%台前半にまで低下しており、その後やや上昇に転じた位置にあるにすぎない。これは、米議会予算局(CBO)の推計(CBO「財政・経済見通し2015-2025」2015年1月)による米国の潜在成長率が、長期的低下して2010年にボトムに達し、その後やや上昇に転じているのとほぼ整合している。

次に、生産における労働力と資本の寄与を見るために、潜在成長率をこれらの要素に分解した結果を見る。CBOの潜在成長率推計(非農業部門)によれば、70年代から2001年にかけては労働投入量の潜在成長率への寄与度が継続的に低下する一方で資本蓄積の寄与度はほぼ一定、その後2007年の金融危機直前にかけて資本蓄積の寄与度が低下していることとなっている([第1表])。

[第1図]
20150802図1

[第2図]
20150802図2

[第1表]
20150802表1

資本蓄積増加ペースは労働投入量を常に上回っている

以上の潜在成長率とその内訳の推計に対し、以下では実績ベースの労働投入量と資本蓄積の状況と生産性を見る。まず。1970年以降の実績ベースの長期的な実質GDPと労働投入量及び資本蓄積(ストック)の推移が[第3図]である(ここで、労働投入量は非農業部門雇用者数に週平均労働時間を乗じたもの、資本蓄積は2009年基準で実質化した民間非住宅固定資産に鉱工業設備稼働率を乗じたものを用いる)。これによれば、70年以降、資本蓄積はほぼ実質GDP増加と同じペースで増加し、90年代後半からそのペースをやや落としている。一方労働投入量の増加ペースは実質GDPの増加ペースに比べてはるかに遅い。

[第4図]は、実質GDP、労働投入量、資本蓄積の前年比の伸び率を比較したものである(各数値はHPフィルターで平滑化後前年比伸び率を算出)。これによれば、成長率、資本蓄積、労働投入量いずれもが90年代以降伸びを減速させていることで共通している。一方、労働投入量の伸びは常に資本蓄積の伸びを下回っている。

これらは、CBOの潜在GDP推計において資本蓄積の寄与度が2000年までほぼ潜在GDPに一定の寄与を続けたのち2000年代以降寄与度を低下させていること、また労働投入量の寄与度はほぼ一貫して低下していることと整合している。労働投入量の伸びには人口動態や労働力人口、また就業時間などの外的制約があるため、資本蓄積ほどに拡大ができないことが上記の要因の一つであろう。一方でかかる制約の少ない資本蓄積が90年代以降急激にその拡大ペースを落としていることには、企業の設備投資意欲を減退せしめる内的要因があったと考えられる。

[第3図]
20150802図3

[第4図]
20150802図4

資本生産性の伸びは労働生産性の伸びを常に下回っている

次に、実績ベースでの労働生産性と資本生産性の推移を見る。上記のデータから、シンプルに労働生産性と資本生産性を算出した結果が[第5図][第6図]である(労働生産性=実質GDP/労働投入量、資本生産性=実質GDP/資本蓄積、いずれもHPフィルターで平滑化)。これによれば、労働生産性の伸び率、資本生産性の伸び率いずれも2000年頃をピークに低下傾向にある。これは、米国の潜在成長率が2000年以降低下を続けていることとも整合している。

また、労働投入量の伸びが資本蓄積の伸びを常に下回っていることから、おのずと労働生産性の伸び率は資本生産性の伸び率を常に上回っている。更に注目すべきは、資本生産性の伸び率は80年代及び2010年代においてマイナスに転化していることである。ここからは、単に算術上の計算のみならず、資本の生産性が労働生産性に劣る構造がある可能性が示唆されている。

ここで、労働投入量、資本蓄積、及びトレンド変数を外生変数とする以下のコブ・ダグラス型生産関数を想定し、各変数に対する実質GDPの弾性値を推計する。

ln(Y)=α+β1*ln(L)+β2*ln(K)+ɤ(T)

Yは実質GDP、Lは労働投入量、Kは資本蓄積、Tはトレンド変数。β1とβ2はそれぞれ、労働投入量と資本蓄積に対する実質GDPの弾性値である。推計は1967~1990年の24年間と、1991~2013年の23年間に分けて行った。結果は[第2表]の通りである。ここからはまず、主に60年代後半~90年においては労働投入量と資本蓄積が実質GDPに寄与しており、その弾性値は資本蓄積に対しての方が大きかった(実質GDPの労働投入量、資本蓄積に対する弾性値はそれぞれ0.299、0.378)ことがわかる。つまりこの期間においては、資本蓄積を1単位増加させることの方が労働投入量1単位を増加させるよりも高い生産の伸びを実現できたことになる。一方90年代から現在に至る時期においては、資本蓄積は実質GDP決定要因として有意でなく、その弾性値もわずかにマイナスになっている。一方で労働投入量に対する実質GDPの弾性値が大幅に高まっている。つまり90年代以降においては資本よりも労働投入量増加の方がより高い生産を挙げることができる状況になったことになる。

[第5図]
20150802図5

[第6図]
20150802図6

[第2表]
20150802表2

生産性低下と余剰資本が設備投資拡大ペースを抑制、労働市場はタイト化へ

以上の分析から次のことが憶測できる。すなわち、90年代初までは資本蓄積1単位の産出への寄与が労働投入1単位の産出への寄与よりも大きく、企業にとっては雇用増加よりも設備投資拡大の方がより効率的な生産拡大をもたらしていたこと。しかし次に、90年代以降はこの関係が逆転して資本生産性が大幅に低下し、企業にとっては設備投資よりも雇用拡大の方がより効率的な生産拡大をもたらすようになったことである。

資本生産性が低下し、労働生産性が上昇した背景としては、産業のサービス化、なかんずく90年代のIT革命により、資本集約的産業(製造業など)中心の産業構造から労働集約的な産業(情報技術など)中心の産業構造への転換が起きたことが考えられる。重厚長大な生産設備による生産拡大よりも、熟練した情報技術者の採用と安価なIT投資によりIT企業等はより効率的なサービス生産を拡大できるようになったと考えられる。

これが正しいとすると、以下のインプリケーションが考えられる、第1に、資本生産性の低下により米国の潜在成長率はトレンド比いくぶん低い可能性があること。第2に、資本生産性低下は今後企業の設備投資意欲を抑制し、雇用拡大を選好する背景となる可能性が高いこと。第3に、米国におけるこれまでの資本蓄積の継続は現在の需要に対して依然過大であること。実際に、上記では資本蓄積に含まれない企業設備の余剰は大きい。鉱工業設備稼働率は現在78~79%の水準で推移しており、1972年から現在までの平均である80.1%を大幅に下回っている。米経済全体のマイナスの需給ギャップはこの資本の余剰が相応に寄与していると思われる。これらからも、米企業設備投資の拡大ペースは成長トレンドを超えない緩やかなものに留まる可能性が高い。最後に、企業の設備投資に対する雇用の選好が続けば、設備稼働率とは逆に雇用市場は需給が更にタイト化するであろうこと。実際に設備稼働率の低さとは対照的に失業率は既に自然失業率(CBO推計によれば2015年時点で5.4%)にまで低下している。もっとも雇用市場タイト化により賃金上昇圧力が高まるであろうことが、労働投入量の調整と設備利用への回帰をもたらす可能性はある。

<経済指標コメント> 米4-6月期実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+2.3%

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[日本]

鉱工業生産指数(6月)は前月比+0.8%

6月の鉱工業生産指数は前月比+0.8%、出荷指数は同+0.3%と小幅上昇したが、いずれも前月の大幅低下(それぞれ同-2.1%、同-1.9%)をカバーできなかった。GDP統計上の企業設備の先行指標となる資本財出荷指数は同-2.7%と大幅低下、4-6月期の資本財出荷は前期比-1.0%のマイナスとなり、4-6月期GDP統計上の企業設備投資は筆者予想の同横ばいを下回りマイナス成長になる可能性が高くなった。在庫指数は同+1.3%と、出荷減少に伴い在庫が一時的につみあがっていることを示唆している。4-6月期GDP統計上の企業在庫は成長にマイナス寄与とみていたがこちらはやや上ぶれる可能性がでてきた。総じて鉱工業生産は経済産業省の基調判断の通り「一進一退で推移」である。

20150801図1

実質家計消費支出(6月、二人以上の世帯)は前月比-3.0%(前年比-2.0%)

6月の実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比-3.0%と前月の同+2.4%を上回る大幅低下となった。4-6月期の季節調整済実質指数は前期比-3.2%と大幅なマイナスとなっている。内閣府消費総合指数も5月に前月比+0.6%と上昇したものの、6月が横ばいでも4-6月期平均は前期比年率-1.4%のマイナス成長となる計算になる。4-6月期GDP統計上の実質家計消費は筆者個人予想の前期比横ばいから大きく下振れ、今や前期比年率-5%レベルの大幅マイナス成長になる可能性が高い。実質家計消費支出は前年比でも-2.0%と、消費税率引上げ後の反動減のあった昨年6月を更に下回る水準である。家計消費を巡る外部環境は悪くないにも関わらず、個人消費は予想外の低迷と言わざるを得ない。

20150801図2

全国消費者物価指数(6月)は前月比-0.2%(前年比+0.4%)、生鮮食品を除く総合指数前月比横ばい(前年比+0.1%)

6月の全国消費者物価指数は前月比-0.2%と4ヶ月ぶりの小幅低下。生鮮野菜等の食料が前月比の低下に寄与した。エネルギーは前月比-0.6%と低下、うち電気代(同-1.8%)、都市ガス代(同-2.8%)が前月比低下したのに対し、ガソリン(同+2.0%)は前月比で上昇した。生鮮食品を除く総合指数(コア指数)は前月比横ばい、前年比でも+0.1%と原油価格下落の影響で前年比ほぼゼロの伸びが続いている。しかしながら、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は前月比横ばい、前年比では+0.6%と、前年比での伸び率が徐々に上昇してきている。食料やエネルギーの変動を除くコアコアのインフレ率は、経済の余剰の縮小にともない緩やかながら上昇に転じていく可能性がでてきている。

20150801図3

完全失業率(6月)は3.4%(前月比+0.1%ポイント)

6月の完全失業率は3.4%(前月比+0.1%ポイント)とわずかに上昇したが、依然低水準にある。内訳をみると、2ヶ月連続で就業者数、労働力人口が増加しており、これに伴い6月には完全失業者数増加している。短期的には労働市場の拡大を伴う失業率上昇である。

20150801図4

住宅着工戸数(6月)は年率1033千戸(前月比+13.4%)

6月の住宅着工戸数は季節調整済年率1033千戸(前月比+13.4%)と急増、水準的には消費税率引上げ前の駆け込み需要のあった2013年12月以来の着工戸数となった。足踏みのみられる日本経済の中で住宅着工のみが好調である。4-6月期GDP統計では、家計消費・企業設備のいずれもがマイナス成長となる可能性が高くなった中、住宅投資のみ大幅プラス成長が見込まれる。

20150801図5

[米国]

耐久財受注(6月)は前月比+3.4%、除く運輸関連同+0.8%、非国防資本財出荷(航空機関連を除く)同+0.9%、同出荷同-0.1%

6月の耐久財受注は前月比+3.4%と前月の同-2.1%から反発。変動の大きい運輸関連を除くベースでも同+0.8%と前月の同-0.1%から反発した。設備投資の先行指標となる非国防資本財受注も同+0.9%と強めの伸びで、今後の設備投資の回復の可能性を示唆する結果となった。もっとも、GDP統計上の設備投資のうちの機器投資の基礎統計となる同出荷は同-0.1%と2ヶ月連続のマイナス、4-6月期の同出荷は前期比年率-0.8%と3四半期連続のマイナス伸びに終わった。後日公表されたGDP統計では予想通り機器投資が同-4.1%と2四半期連続のマイナス成長に終わっている。受注の単月の増加で7-9月期は設備投資もプラス成長への回復を見込むが、企業部門の拡大ペースは依然として緩やかなものに留まりそうだ。

20150801図6

実質GDP成長率(4-6月期、速報値)は前期比年率+2.3%

4-6月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+2.3%と、筆者個人の予想同+3%レベルを下回る結果となった。内訳は個人消費同+2.9%、設備投資同-0.6%、住宅投資同+6.6%、政府支出同+0.8%、企業在庫寄与度同-0.08%、純輸出寄与度同+0.13%。予想比下振れた需要項目は設備投資で、構造物投資の予想外のマイナス成長が主因。筆者個人予想との乖離はほぼこれで説明できる。需要項目別には、個人消費が下振れリスクあったにもかかわらず予想通り3%近い堅調な拡大を見せ、住宅投資も予想通りに堅調に拡大した。設備投資のうちの機器投資は同-4.1%と予想通りのマイナス成長。構造物投資のマイナス成長同-1.6%が主因で、これが個人予想比成長率を約-0.6%押し下げる結果となった。純輸出は、前期大幅減少した輸出が4-6月期は増加に転じ、実質ベースの財・サービス収支赤字は縮小して成長にプラス寄与した。総じて米経済は堅調な巡航速度での拡大を続けているといえる。1-3月期のソフトパッチから個人消費中心に成長ペースは回復している。2015年通年成長率は前年比+2%台半ばとの個人予想を維持できる状況である。なお、GDP統計は年次改訂により主に過去3年に遡り改訂されており、2012年、13年の通年成長率が下方改訂されたが、2014年は従前比不変の前年比+2.4%。2015年については1-3月期が上方改訂(同-0.2%から同+0.6%のプラス成長に改訂)されており、4-6月期の下振れと合わせ総じて今後の成長率予想への影響は限定的である。

20150801図7