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<経済レポート> 安定なら進めも:FOMC展望

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1月以降の金融市場変動で米経済に下方リスクが高まったと見ていたが、これまで公表された経済指標は思いのほか堅調で、長期景気循環による減速以上に経済の悪化を示唆するものはない。この環境において3月の定例FOMC会合での利上げ決定は極めて微妙な判断となりそうだ。月利上げの可能性は相当に後退したと見ざるを得ないものの、市場がこのまま安定すれば、将来の金融政策ののりしろ確保のために利上げ実施との選択肢はまだのこっている。

1月FOMC議事要旨はハト派的な内容だった

米国の金融政策を決定するいくつかの要因のうち、主にファンダメンタルズに係る指標は1月以降の金融市場変動にも拘わらず思いのほか堅調である。一方で金融市場変動はまだ収拾されたとは言えず、中期的な経済サイクルは今後1~2年でピークになる可能性が高い。この環境において、昨年12月に7年ぶりにゼロ金利政策を解除して+0.25%のFF金利誘導目標引上げを実施したFRBの今後の利上げペース決定は極めて難しい判断となる。筆者個人はFRBが次回3月定例会合につづき、6、9、12月の定例会合でそれぞれ+0.25%の利上げを実施し、年末のFF金利誘導目標レンジは1.25-1.50%になると予想している(今後のFOMC日程は[第1表]参照)。しかしながら、1月以降の金融市場情勢や議事要旨に見られるFRB公開市場委員会(FOMC)の議論からは、この予想には下方リスクが出てきていると言わざるを得ない。

遡って1月26-27日FOMC定例会合の声明文と議事要旨を点検してみよう。1月FOMCでは予想通りFF金利誘導目標の据え置きが決定された。一方声明文は、1月初からの金融市場変動を受けて内容がハト派的なものに変更された。「委員会はグローバルな経済と金融の動向を注意深く監視しており、労働市場とインフレ並びに経済見通しに対するリスクのバランスに対するその影響を検証している」との新たな文言が挿入された。また従前の声明文にあった「委員会は経済活動と労働市場の見通しに対するリスクはバランスしていると見ている」の文言が削除された。これは、12月の利上げ決定時に比べ経済対する基調判断がやや慎重方向に振れたことの証左であった。また、次回3月会合での利上げを示唆する文言は声明文には見当たらなかった。

17日に公表された1月FOMC定例会合の議事要旨からも、金融市場変動の米経済に与える影響についてハト派的意見が主流だったことが読み取れる。参加者は「商品市場と金融市場動向といくらかの海外経済の重大な軟化の可能性は、潜在的に国内経済活動を更に抑制する可能性がある」と見ている。また「一般的には金融政策はインフレへの一時的なショックに本質的に対応しないのが望ましいが、この考えは長期インフレ期待が安定し続けていることが前提」ともされている。中期的経済見通しへのリスクのバランスについては「ほとんどの参加者が、現状ではインフレと経済成長見通しが本格的に変化したかを判断するのは困難であるが、最近の金融経済動向の結果見通しに対する不確実性は増した」としている。総じて議事要旨の内容は、利上げ開始後初回の会合にしてかなりハト派の雰囲気だったといえる。

[第1表]
20160228表1

労働市場は完全雇用、インフレ上昇はFOMC予測以上のペース

一方で、米国経済のファンダメンタルズ指標を見る限りでは、筆者個人予想の利上げペースを十分に正当化できる条件がそろっている、まず、労働市場指標は依然金融政策正常化継続を支持している。失業率は1月時点で4.9%と、FOMC委員の12月時点の長期均衡失業率予測値にまで低下している。また4.9%は米議会予算局(CBO)が推計する2015年時点の自然失業率とも一致している(CBO「財政・経済見通し」2016年1月、[第1図])。つまり労働市場はFOMCやCBOの見る完全雇用状態をほぼ実現していることになる。1月FOMC議事要旨でも「多くの参加者が、労働市場の余剰は過去1年で著しく低減したと見ており、何人かの参加者はほぼ解消したと見た」とされている。

失業率低下は、FOMCが労働市場とともに重視するインフレにも上方圧力をもたらしつつある。時間当たり賃金は失業率低下にも拘わらず過去1年ほどは上昇ペースが低迷していたが、昨年12月には時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)は前年比+2.6%、1月にも+2.5%と上昇率を急激に加速させた。賃金版フィリップス曲線によれば、失業率が5%の自然失業率レベルを割り込むと賃金上昇ペースが加速する傾向がある([第2図])。今後失業率が更に低下すれば時間当たり賃金上昇率も2%台後半に向けて加速する可能性が高いと見る。

FOMCが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の上昇率は、筆者個人予想やFOMC委員予測を上回るペースである。1月のPCEデフレーターは前月比+0.1%(前年比+1.3%)、コアPCEデフレーターは前月比+0.3%(前年比+1.7%)と、12月以降の原油価格再下落にも拘わらず堅調に上昇した。このペースだと、原油価格が1バレル=30ドル台を維持して今後推移した場合、年末のPCEインフレ率は約+1.8%、コアPCEインフレ率は+1.9%に上昇する計算になる([第3図])。これらはいずれも、12月時点のFOMC委員経済予測中央値(PCEインフレ率、コアPCEインフレ率ともに2016年10-12月期に前年同期比+1.6%)を上回っている。

[第1図]
20160228図1

[第2図]
20160228図2

[第3図]
20160228図3

需給ギャップ縮小でテイラー・ルールも利上げ継続を支持

テイラー・ルールによる適正なFF金利水準推計も年末1.5%までの利上げを十分に正当化する結果となる。CBOは2016年1月の「財政・経済見通し」で、米国の潜在GDP推計値を大幅に引き下げた(CBOは全要素生産性の推計値の下方改訂がその要因としている)。結果、米国経済の需給ギャップは2015年10-12月期時点で-2.1%と、従前のCBO推計潜在GDP(2015年8月時点)から算出される需給ギャップ(-3.2%)から+1%以上もマイナス幅が縮小した計算になる。

これをもとに、1999年半テイラー・ルール公式に基づき2016年の適正なFF金利を推計すると、2016年末の適正FF金利は1.8~2.2%との結果になった([第5図])。インフレ率の想定以上の上昇とマイナスの需給ギャップの縮小により、均衡する政策金利水準は昨年時点での推計よりも上昇していることになる。

米実質GDP成長率は10-12月期に前期比年率+1.0%(改訂値)と、潜在成長率を下回る成長にとどまった。しかしながら、個人消費は1月に予想以上の回復を見せており、自動車販売や小売売上の増加が実質個人消費を前月比+0.4%押し上げた。天候要因等で12月、1月の統計には一部歪みが見られるため個人消費の本格回復を見極めるには2月以降の統計を見る必要があることは従前の筆者の見方と不変である。しかしファンダメンタルズ的には、雇用と賃金の上昇ならびにインフレ率低下で消費者の実質購買力は1月のインフレ率上昇後もなお前年比+3%の水準を保っている([第6図])。1月FOMC議事要旨で「多数の(a number of)参加者」が指摘している通り、「最近(1月FOMC時点)の個人消費の減速は家計の実質所得の強い増加継続と整合していない」といえる。

[第4図]
20160228図4

[第5図]
20160228図5

[第6図]
20160228図6

経済見通し変更材料には乏しいが、、3月FOMCは微妙な判断へ

筆者個人は2016年の米国の通年成長率を前年比+2.0%とする個人予想を、下方リスクを認識しつつも維持している。このことはすなわち、FRBの利上げについても従前からの予想を現状では維持しておくことを意味する。実際に、今後1~2年の間に景気循環に伴う経済拡大のピークが訪れる可能性に鑑みれば、ファンダメンタルズ指標が堅調な間に利上げを実施しておくことで、景気転換時の金融政策ののりしろを確保しておくことは適切な政策行動だと考える。更に、12月に今後の連続利上げを示唆しながら金融市場変動だけを理由にその見通しを変更することは金融政策への信認を低下させる虞なしとしない。株価下落はここ1~2週間で一旦落ち着きをとりもどしており、テクニカルにはNYダウは1500ドル台の半ばで3番底をつけたようにも見え([第7図])、1月FOMC時点よりは環境は好転しているといってよい。ここからは、FOMCが3月FOMCにおいて経済予測を大幅に下方シフトさせる根拠には乏しいことになる。FOMCが3月に利上げを見送る場合には、同時に公表される四半期毎のFOMC委員経済予測の相応の下方改訂が伴われねばならないが、現状では経済見通しの下方改訂正当化の材料は少ない。

しかしながら一方で、個人消費についていえば消費者センチメント指数の軟化、企業部門ではISM製造業指数が50%を割り込む状況が続いていることなど、先行性のある景況感指標中心に軟化が見られる。総じて、遅行性のある実体経済指標は予想以上に堅調ながら、消費者センチメントや企業景況感には景気循環を反映した軟化が見られるといってよいだろう。株価についても反転上昇のシグナルが点灯したとはまだ言えない状態で、金融市場変動については引き続き不確実性が高い状況が続いているといえる。

さらに、状況証拠は3月の利上げ見送りを示唆する材料が相応にあるといわねばならない。1月FOMC声明文や議事要旨からは、次回3月利上げを示唆する材料は読み取れなかった。3月15-16日のFOMC定例会合での利上げ如何の判断は極めて微妙な判断になりそうだ。現実的には、2016年の10名のFOMC投票メンバーの内訳は依然ハト派が多数派である。投票メンバーのうちカンザスシティ連銀ジョージ総裁やクリーブランド連銀メスター総裁は従前よりタカ派と目されており、最近の発言からも利上げ継続を主張する可能性はある。しかしながら(おそらく)イエレン議長を始め、1月議事録では多くの参加者が利上げ継続に慎重ともとれる発言をしていることからは、3月利上げの可能性は今や五分五分程度に後退したと見ておきたい。市場がこのまま安定すれば、中期的視野から「金融政策ののりしろ」確保のために、当初の見通し通りの利上げ継続の可能性はまだ残っている。

[第7図]
20160228図7

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<経済指標コメント> 米1月実質個人消費は前月比+0.4%

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[日本]

全国消費者物価指数(1月、生鮮食品を除く総合)は前月比-0.7%(前年比横ばい)

1月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、いわゆるコア指数)は前月比-0.7%と2008年11月以来の大幅な低下。衣料(同-7.8%)、ガソリン(同-7.0%)、教養娯楽サービス(同-2.5%)、などの低下が指数押し下げ要因となっている。前年比の伸び率は横ばいと前月の同+0.1%から低下した。コア指数の前年比の伸び率は昨年5月以降ほぼゼロ近辺で推移している。食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(いわゆるコアコア指数)も前月比-0.7%(前年比+0.7%)と前月比で大幅低下、前年比でも2ヶ月連続で伸びを低下させた。1月単月の指標からは、1月原油価格下落によるエネルギー価格下落のみならず、相応に広い品目で物価下落がみられる。米国の1月消費者物価指数が原油価格下落にも拘わらず堅調に上昇したのとは対照的である。筆者個人は、コア指数、コアコア指数ともに今年の12月には前年比+1.2%レベルへの上昇を見込んでいるが、1月の指数の伸び減速でこの予想に下方リスクが出てきている。コアコア指数の前年比の伸び率がやや減速していることは、エネルギー価格以外の費目へのインフレ圧力の軟化の兆しを示唆する者ともいえる。

20160227図1

[米国]

中古住宅販売戸数(1月)は年率5470千戸(前月比+0.4%)、在庫期間は4.0ヶ月

1月の中古住宅販売戸数は年率5470千戸(前月比+0.4%)と、前月の同+12.1%の急回復に続いて高水準を維持する増加だった。3ヶ月移動平均も同5260千戸(同+1.2%)と2ヶ月連続の上昇に転じている。昨年11月の販売急減が制度改正による一時的なものだったことが裏付けられ、住宅販売市場は引き続き堅調に拡大しているとの結果になった。もっとも中期的には、販売戸数(3ヶ月移動平均)は昨年9月のピーク同5403千戸を下回る水準にあり、拡大ペースは減速していると言わざるを得ない。販売在庫は1820千戸(同+3.4%)と5ヶ月ぶりに増加したものの在庫不足状況は変わらず、在庫期間は4.0ヶ月と大幅に短期化したままである。在庫不足が販売の中期的減速の要因と考えられる。かかる需給のタイト化で中央販売価格は前年比+8.2%と3ヶ月連続で上昇率を高めた。公表元の全米不動産業協会(NAR)はプレスリリースで「住宅市場は健全であるが、在庫不足で住宅価格上昇が急である」「世界経済減速にも拘わらず住宅セクターは回復を続け米経済の後退回避を助けるだろう」と述べている。

20160227図2

新築住宅販売(1月)は年率494千戸(前月比-9.2%)、在庫期間は5.8ヶ月

1月の新築住宅販売は年率494千戸(前月比-9.2%)と4ヶ月ぶりの減少。6ヶ月移動平均は同497.5千戸(同-0.2%)と低下に転じ、かつ昨年5月のピーク511.2千戸を下回る水準となっている。販売在庫は238千戸(同+2.1%)と6ヶ月連続の増加で、在庫期間は5.8ヶ月と適正な水準となっている。住宅着工の増加で新築住宅市場の需給は相応にバランスをしている。中古住宅市場同様に販売拡大ペースは中期的には減速しているが、供給増と相まって販売市場も当面は堅調な拡大を見込んでおきたい。

20160227図3

耐久財受注(1月)は前月比+4.9%、除く運輸関連同+1.8%、非国防資本財受注(除く航空機関連)同+3.9%、同出荷同-0.4%

1月の耐久財受注は前月比+4.9%、運輸関連を除くベースでも同+1.8%といずれも前月のマイナスの伸びをカバーする強めの伸び。企業設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(除く航空機関連)も同+3.9%と3ヶ月ぶりかつ強めの伸びに転じた。一方で、GDP統計上の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同-0.4%と過去4ヶ月で3回目のマイナスの伸びだった。GDP統計上の設備投資(機器投資)は10-12月期に前期比年率-1.8%と4四半期ぶりにマイナスの伸びに転じ、海外景気減速やドル高による企業部門の減速が明らかになった。2016年についてもその拡大ペースは緩やかなものに留まるとの見方は不変である。1月の受注の回復は1-3月期の設備投資がプラス成長に回帰するとの見方を支持する結果であるが、出荷ベースの減速傾向からはその伸び率は低位にとどまると見る。

20160227図4

実質GDP成長率(10-12月期、改定値)は前期比年率+1.0%

10-12月期の実質GDP成長率(改訂値)は前期比年率+1.0%と、速報値の同+0.7%から上方改訂。需要項目別内訳は、個人消費同+2.0%(速報値同+2.2%)、設備投資同-1.9%(同-1.8%)、住宅投資同+8.0%(同+8.0%)、政府支出同-0.1%(同+0.7%)、企業在庫寄与度同-0.14%(同-0.45%)、純輸出寄与度同-0.25%(同-0.47%)。主な上方改訂は企業在庫と純輸出(財・サービス輸入が同-1.1%から同-0.6%に上方改訂)で、民間内需項目は個人消費が小幅下方改訂されたほかは大きな改訂はない。今回の改訂が米経済見通しに与える影響は限定的で、2016年通年成長率の個人予想である前年比+2.0%は維持できる。

20160227図5

実質個人消費(1月)は前月比+0.4%、個人消費支出価格指数は前月比+0.1%(前年比+1.3%)、同コア指数は前月比+0.3%(前年比+1.7%)

1月の実質個人消費は前月比+0.4%と強めの伸び。内訳は耐久財消費同+1.1%、非耐久財消費同+0.4%、サービス消費同+0.3%と押しなべて強い伸びで、1月の自動車販売や小売売上の増加と整合している。実質個人消費の前年比の伸びは+2.9%と4ヶ月ぶりに伸びを加速させた。1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+2%台半ばの成長を個人的には見込んでいるが、1月のスタートはこれを上回るペースである。1月単月統計を見る限りでは個人消費は昨年末にかけての減速から回復したと見ることができるが、12月、1月は天候変動等によると思われる統計のばらつきも目立つため、2月以降の統計に引き続き留意したい。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.1%(前年比+1.3%)、同コア指数は前月比+0.3%(前年比+1.7%)と、12月以降の原油価格下落にも拘わらず堅調な伸びを継続している。2014年末の原油価格急落要因が剥落して、総合PCEは2014年10月以来、コアPCEは同6月以来の前年比伸び率を回復した形。筆者個人は2016年末にかけて総合PCE、コアPCEともに前年比+1.7%の伸びに回復すると見ていたが、現在のインフレ上昇率はこれを上回るペースである。米経済のインフレ圧力は確実に加速しているといえ、この観点からはFRBの利上げ開始と継続が正当化できる状況である。

20160227図6


<経済指標コメント> 日本の10-12月期実質GDP成長率は前期比年率-1.4%

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[日本]

実質GDP成長率(10-12月期、1次速報値)は前期比年率-1.4%

10-12月期の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率-1.4%、2015暦年成長率は前年比+0.4%となった、10-12月期の需要項目別内訳は、家計消費同-3.5%、住宅投資同-4.8%、設備投資同+5.7%、公的需要同-0.3%、企業在庫寄与度同-0.6%、純輸出寄与度同+0.1%。家計消費が予想以上の大幅なマイナスの伸びで成長を押し下げたほか、住宅着工不振と企業在庫調整で住宅投資と企業在庫がマイナス寄与となった。設備投資のプラス成長だけが先行指標比上振れた形。財・サービス輸出は同-3.4%、同輸入は同-5.6%といずれも減少したが、輸入の減少が輸出減少を上回りネットで成長にわずかにプラス寄与した。総じて、家計消費中心に日本の成長は年初の筆者予想を下回って推移している。これで日本の成長率は過去2四半期中2四半期でマイナス成長。暦年成長率は2014年の前年比横ばいに続き潜在成長率を下回った。このペースだと2016暦年成長率は同+0.5%程度にとどまる計算になり、筆者個人予想の同+0.8%に下方リスクが出てきている。

20160221図1

機械受注(12月、船舶・電力を除く民需)は前月比+4.2%(前年比-3.6%)

12月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+4.2%と前月の同-14.4%からやや回復した。結果10-12月期の同受注は前期比+4.3%と前期の同-10.0%からプラス成長に回復した。しかし中期トレンドを表す前年比の伸びは12月で-3.6%とマイナスに転化、同3ヶ月移動平均も同+2.6%と低位かつ下向きに転じており、企業設備投資の先行指標としての機械受注にはまだ力強さは見られない。

20160221図2

[米国]

鉱工業生産指数(1月)は前月比+0.9%、設備稼働率は77.1%

1月の鉱工業生産指数は前月比+0.9%と4ヶ月ぶりかつ大幅な上昇となった。内訳は製造業同+0.5%、鉱業同横ばい、公益事業同+5.4%。1月の寒波による需要と思われる公益事業の大幅上昇が全体を押し上げているものの、製造業も3ヶ月ぶりの上昇、鉱業も4ヶ月連続の低下が一旦止まった形で、単月の指標としては悪くはない。もっとも鉱工業生産の水準は低位にとどまっていることには変わりない。設備稼働率は77.1%(前月比+0.7%ポイント)と6ヶ月ぶりに上昇したものの、これも依然低位にとどまっている。自動車生産(乗用車及び軽トラック)は年率11.81百万台(前月比+4.1%)と3ヶ月ぶりに増加した。総じて単月指標としては鉱工業生産の好転が見られたものの、生産水準自体が低位であることは不変、かつ企業設備投資需要や海外需要の減速からも鉱工業生産の大幅な好転は見込みにくいと言わざるを得ない。

20160221図3

住宅着工戸数(1月)は年率1099千戸(前月比-3.8%)、着工許可件数は1202千戸(同-0.2%)

1月の住宅着工戸数は年率1099千戸(前月比-3.8%)と2ヶ月連続の減少で、3ヶ月ぶりに同1100千戸を割り込んだ。6ヶ月移動平均も同1135.3千戸(同-0.8%)と2ヶ月連続の低下となった。12月着工戸数の地域別内訳は北東部同-3.7%、中西部同-12.8%、南部同-2.9%、西部同-0.4%とすべての地域で減少した。1月は一部地域の寒波が住宅着工を抑制したという一時要因が考えられる。しかしながら一方で、住宅着工の減少は昨年後半以来住宅着工ペースが横ばいに転じつつあることと整合している。住宅着工については資材や労働力などの供給が需要においついていないという事情も考えられる。住宅着工の減速が趨勢的なものになるかどうかにつき、2月以降の指標に留意したい。住宅着工許可件数は同1202千件(同-0.2%)とこれも2ヶ月連続の減少。着工許可件数が依然高位にあることから住宅着工は今後も堅調に推移するとの見方は不変であるが、経済全体の減速に鑑み下方リスクにも注意しておきたい。

20160221図4

消費者物価指数(1月)は前月比横ばい(前年比+1.4%)、同コア指数は前月比+0.3%(前年比+2.2%)

1月の消費者物価指数(CPI)は前月比横ばい、前年比では+1.4%と2014年10月以来の高い伸びに回帰した。前年比の伸びの回復は、2014年末から2015年初にかけての原油価格急落(1バレル=100ドル台から同40ドルレベルへ)要因が1年を経て剥落したことが主因である。前月比の伸びでは、ガソリン(同-4.8%)、エネルギーサービス(同-0.7%)などエネルギー関連価格が昨年12月以来の原油価格再下落(現在は1バレル=30ドルレベル)の影響を受けて低下している。一方で衣服(同+0.6%)、医療サービス(同+0.5%)、運輸サービス(同+0.4%)などの価格が前月比で上昇した。食品及びエネルギーを除くコア指数は前月比+0.3%(前年比+2.2%)と前年比の伸びは2%を超える水準で伸びを加速させている。昨年12月以来の原油価格再下落の影響は他の費目の価格上昇がこれをカバーしており、原油価格下落のCPI見通しに対する下方影響は現状意外に限定的である。失業率の自然失業率水準への低下に見られる経済全体の需給タイト化が物価上昇圧力となっている構造は原油価格下落に拘わらず継続しているとみる。

20160221図5

<経済レポート> 株安・債券高・原油安続く:米経済への影響点検続き

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株安・債券高・原油安が当レポートの想定以上に進んでいる。為替市場でも一時1ドル=110円台までの円高が進行するなど、金融市場は不確実性が高まっている。現在の米実体経済指標にはその明らかな影響はまだ見られないが、一旦下方リスクを点検しておく必要はあるだろう。現状では大幅な成長予想の修正は行わないものの、引き続き経済見通しには慎重姿勢を維持し、必要な場合は下方修正をも考慮する。

NYダウは一時8月安値を下回った:ドル安・金利低下が進行

1月分の米経済指標は一部に弱さが目立つものの、一時的な天候要因もあり総じてまだら模様といえる。マクロ経済指標の動向を見極めるには2月以降の指標を見る必要があろう。一方で、金融市場は筆者の想定以上に悪化しており、これが実体経済に想定以上の悪影響をもたらすリスクが高まりつつあると言わざるをえない。本レポートでは、金融市場とマクロ経済指標の双方の状況を確認し、筆者個人の経済・金融見通しへの影響を点検することとする。

株式市場は悪化が続いている。NYダウは12日現在で15973ドルと、昨年8月20日につけた安値15666ドルに近いところで終了した([第1図]、なお11日終値は15660ドルと、8月安値を下回った)。更に、ハイテク企業銘柄を多く含むナスダック指数は12日現在で4377ポイントと、8月安値の4506ポイントを大幅に下回っている(日経平均は12日現在で14952円と、昨年8月安値及び今年の1月安値を大幅に下回っている)。テクニカルには米株価指数は更に下方を目指す形である。NYダウの次の下値の目途は2013年央に揉み合いの下限となった15000ドル近辺となる。原油価格低下や海外景気減速が米企業収益の悪化を招いている観点からは、株価の昨年末終値以上への上昇は考えづらいことは従前の当レポートでも見てきたところである。2015年7-9月期の企業収益(資本減耗及び在庫評価調整後)は前年同期比-5.1%と6四半期ぶりの減益となった。10-12月期もおそらくエネルギーや金融分野中心に減益が継続していると見られることから、企業収益が株価押し上げ要因になるとは考えにくい。

為替市場の変動は更に波乱含みである。1月29日の日銀による「マイナス金利付き量的・質的緩和」の導入決定を受けて為替市場では一時ドル高円安が進み、ドル円は1ドル=121円台を付けた。しかしながらその後ドル円は急反落し、11日には海外市場で一時1ドル=110円台まで下落したのち12日には113円台で取引を終了している。債券市場では長期金利低下が進んだ。1月末に1.92%だった米国債10年物利回りは11日に1.66%にまで低下、その後やや上昇して12日には1.74%で引けている(日本国債10年物利回りは一時9日に初のマイナス金利-0.03%を付けた)。WTI原油先物価格は12日現在で1バレル=29.02ドルと、30ドルを割り込んで推移している。

[第1図]
20160214図1

金融市場の悪化の消費への影響は限定的

これらの金融市場の動きは、筆者個人の1月時点の金融市場予想からいずれも大幅に株安・金利低下・ドル安・原油安方向に乖離している(1月3日付当レポート参照)。筆者個人は1-3月期の成長率を前期比年率+1.7%と、10-12月期の同+0.7%よりは加速するものの、2%を下回る成長に留まると見ている。また2016年通年成長率は前年比+2%と、2015年の同+2.4%からは減速するものの潜在成長率を上回る成長を個人予想している。以下では、金融市場変動要因が実体経済に与える影響を見ていく。

まず、株価下落が個人消費に直接に与える悪影響はさほど大きくないと見る。実質個人消費の要因分析によれば、個人消費のNYダウ変化率に対する弾性値は0.01程度であり、NYダウの年初来下落率である-8%は、個人消費を-0.08%程度抑制するに過ぎない(2015年12月13日付当レポート参照)。非農業部門雇用者数は1月に前月比+151千人に減速したものの、1月の寒波による一時要因や統計の乱れがあると憶測できることから、雇用市場に現状急変があるとはいえない。雇用の拡大ペースは堅調な個人消費を支えうるペースを保っている。また、失業率低下により時間当たり賃金の上昇が加速していることも個人消費の押し上げ要因である。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)の前年比伸び率は昨年12時点で+2.5%、今年1月時点で+2.4%と、失業率が4.9%と自然失業率にほぼ達したことと平仄を合わせて急上昇している。原油安によるインフレ率低下も個人消費にとっては追い風要因となる。

もっとも個人の消費者センチメントは徐々に低下に転じつつあることから、個人消費にもある程度の下方リスクを見ておく必要はあるだろう。ミシガン大消費者センチメント指数(2月速報)は前月比-4.9ポイントと3ヶ月連続の低下で、その水準自体はまだ高水準であるものの、昨年初をピークになだらかな低下傾向を辿っていると見ざるを得ないだろう([第2図])。しかしながら総じて2016年の実質個人消費は前年比+2%半ばの伸びを示すとの見通しは維持できる。

[第2図]
20160214図2

実体経済への影響は企業部門から:企業景況感は低迷中

一方で、企業部門にとっては株安や原油安の進行は将来への不確実性を増すことから、企業景況感の悪化を通じた設備投資の抑制要因となり得る。以下の通り実際に、2015年時点から企業部門の経済指標は今後も企業部門の拡大が抑制される可能性を示唆している。企業在庫は10-12月期まで2四半期にわたり成長へのマイナス寄与をつづけており、在庫調整が成長の抑制要因となっている。しかしなお、企業在庫の売上高に対する比率は高く、今後も企業は厳しい在庫調整を強いられる可能性が高い。12月分の企業在庫統計によれば企業在庫は3ヶ月連続の減少をしているにも関わらず、企業売上高がこれを上回る減少を見せており、結果企業の在庫売上高比率は金融危機直前の2009年5月以来の高水準に上昇している([第3図]および2月13日付<経済指標コメント>参照)。筆者は在庫調整が2016年前半には概ね終了するとみて2016年成長率への寄与度は年後半からプラスになると見ているが、年前半のマイナス寄与が予想以上に大きいか、マイナス寄与が長期化するリスクが出てきている。

企業サーベイには、企業設備投資の更なる減速の可能性を示すものが出てきている。フイラデルフィア連銀製造業景況感調査における6ヶ月先の設備投資DIは1月時点で9.4ポイントと2ヶ月連続の低下、中期的にもDIの低下基調が明らかである([第4図])。またISM製造業指数が1月まで4ヶ月連続で景気判断の分かれ目を示す50%を割り込んでいることも、企業景況感の悪化を示唆する指標のひとつである。

GDP統計上、設備投資は10-12月期に前期比年率-1.8%と13四半期ぶりのマイナス成長に転化した。筆者はこれが1-3月期にはプラス成長に転じ、2016年通年のGDP統計上の企業設備投資を前年比+2.1%とプラス成長で見込んでいる。しかしながら、これに対しては実体経済指標上も下方リスクが出てきている。設備投資の先行指標である非国防資本財受注(航空機関連を除く)は12月時点で前年比-7.4%と、昨年来のマイナス圏にありかつ低下基調を維持したままである([第5図])。ここからは、1-3月期のGDP統計上の設備投資が2四半期連続のマイナス成長となるリスクが読み取れる。

[第3図]
20160214図3

[第4図]
20160214図4

[第5図]
20160214図5

成長予想と金融政策予想に下方リスク:リセッションは来年以降と見たい

以上より、金融市場の悪化から筆者の通年+2%成長予想に対し、主に企業設備投資や在庫投資といった企業部門の需要項目にいての下方リスクが出てきたと言わざるを得ない。一方でドル安は輸出の回復を促すことから、ネットでは成長率に大幅なマイナスの影響がでるとは現状では考えにくい。ここでは、成長予想への下方リスクを認識するにとどめ、今後の実体経済指標を基に必要に応じて修正を考慮することとしたい。1月24日付当レポート同様に慎重姿勢は維持しておく。

金融政策予想については下方リスクがかなり大きくなっていると言わざるを得ない。筆者個人は次回利上げを3月定例会合、以降1回会合おきに各+0.25%の利上げが年内計4回実施されると予想してきた。しかしながら、現在の金融市場の混乱が3月定例会合までに回復しない場合(定例会合は15、16日)、3月の利上げをFOMCが見送るリスクは十分にある。イエレンFRB議長が11日、12日に議会宛半期金融政策報告を行った際の証言テキストからは、1月以降の金融市場の悪化が12月時点でのFOMCの金融・経済見通しに大きな変更を与えた形跡は見当たらなかった。しかしこれに先立つ1月27日のFOMC声明文で「委員会は、グローバル経済と金融の動向を注意深く監視しており、そのインフレと労働市場、並びに見通しへのリスクのバランスへの影響を点検している」との文言が挿入されたことは市場変動への配慮と思われる。また、1月声明文において従前の「見通しへのリスクはバランスしている」との基調判断が削除されたこと、次回3月定例会合での利上げを示唆する文言が挿入されなかったことは、FOMCが3月利上げを見送る可能性を示唆する材料である。

なお、今年中に米経済がリセッション(景気後退)に入るリスクはまだ小さいと筆者は考えている。景気に先行する指標の状況や、金融市場の先行指標をみても、まだ短期的なリセッション入りを示唆するものはないからである。たとえば、米国債利回り10年-2年のスプレッドは景気後退入りの予測指標として比較的予測力のあるものとされているが、現在の同スプレッドは1%以上のプラス水準にあり、景気後退前に見られるマイナス化(逆イールド化)は見られない。ISM製造業指数の50%割れは必ずしも過去の景気後退を予測していない([第7図])。一方で、景気サイクル的には直近の景気のピークである2007年10月(全米経済研究所による)からほぼ10年となる2017年には、次の景気のピークが到来する可能性が高まると言わざるを得ない。景気後退に関しては目先の金融市場混乱よりも実体経済指標のサイクルや長期経済循環要因の方を重視しておく。

[第6図]
20160214図6

[第7図]
20160214図7

<経済指標コメント> 米1月小売売上高は前月比+0.2%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(1月):現状判断DIは46.6(前月比-2.1ポイント)、先行き判断DIは49.5(同+1.3ポイント)

1月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは46.6(前月比-2.1ポイント)、2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは49.5(同+1.3ポイント)と方向感はまちまちながら、いずれも横ばいを示す50を6ヶ月連続で下回った。総じて街角景気は低迷が続いている。景気判断の理由としては「1月になって気温が下がり、季節商材が好調(スーパー)」「株価低迷が客の消費意欲を減退(通信会社)」「近隣スキー場は1月中旬までオープンできず(観光名所)」「運輸会社では燃料コストの低下で大幅に利益が改善(金融)」など、天候要因や株価、燃料コストがまちまちな結果を各業種にもたらしている。2月以降は更なる株価低下と円高の影響が消費者心理やインバウンド消費に下方圧力となりそうだ。2月以降の方向感の出方に注目したい。

20160213図1

[米国]

企業在庫(12月)は前月比+0.1%、在庫売上高比率は1.39倍

12月の企業在庫は前月比+0.1%と3ヶ月ぶりの小幅増加となったが、3ヶ月前対比では-0.1%と2ヶ月連続の減少で、企業の在庫は調整が続いている。公表済の10-12月期実質GDP統計で企業在庫が成長率を前期比年率-0.45%押し下げたことと整合している。企業売上高は前月比-0.6%と3ヶ月連続かつ大幅な減少。結果在庫売上高比率は1.39倍と2009年5月以来の高水準に上昇した。総じて、企業売上の減少で、在庫調整進行にも拘わらず在庫過剰感は続いている。2016年も、これまでの想定以上に在庫調整が成長押し下げ要因となりそうだ。

20160213図2

小売売上高(1月)は前月比+0.2%、除く自動車関連同+0.1%

1月の小売売上高は前月比+0.2%、除く自動車関連の売上高も同+0.1%と増加した。また前月分が同-0.1%のマイナスの伸びから同+0.2%のプラスの伸びに大幅上方改訂された。1月は、自動車及び同部品ディーラー同+0.6%、衣服店同+0.2%、食料品店同+0.5%、総合商店同+0.8%等が販売を回復させた。ガソリン安でガソリンスタンドは同-3.1%の大幅減となったが、他業種がこれをカバーした。1月寒波が冬物衣服売上増に貢献するなどの効果が売上押し上げに貢献したと思われる。自動車・ガソリン・レストランを除く売上高は前月比+0.6%と、前月の同-0.1%から大幅に回復、昨年7月以来の強い伸びだった。暖冬とドル高の影響で不振だった12月の小売売上は1月に増加ペースを取り戻した形。もっとも個人消費の動向の判断は、12月、1月の天候影響変動が剥落する2月統計を待ちたい。

20160213図3

<経済指標コメント> 米1月非農業部門雇用者数は前月比+151千人

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[米国]

実質個人消費(12月)は前月比+0.1%、PCEデフレーターは同-0.1%(前年比+0.6%)、同コア同横ばい(前年比+1.4%)

12月の実質個人消費は前月比+0.1%の小幅な伸びに留まった。前月11月分が同+0.4%に上方改訂されたが、10-12月期の実質個人消費は前期比年率+2.2%と前期の同+3.0%から大幅減速し、3四半期ぶりに3%成長を割り込んだ。12月の前月比の伸びの内訳は、耐久財消費同-0.7%、非耐久財消費同-0.2%、サービス消費同+0.3%。自動車販売減少で耐久財が、12月までの暖冬とドル高によるホリデー商戦の不振で非耐久財消費がそれぞれ減少した形だ。12月の個人消費の減速は小売売上高統計や新車販売台数など先行指標の減速と整合している。もっとも2016年については、雇用拡大と賃金上昇で、前年比+2%台の堅調な拡大を継続すると見る。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比-0.1%(前年比+0.6%)、食品及びエネルギーを除くコアPCEデフレーターは横ばい(前年比+1.4%)。12月の原油価格再急落の影響はまだ12月には顕著には表れていない。1月には更に総合PCEデフレーターの前月比低下が見込まれるが、今後原油価格がWTI原油先物1バレル=30ドル台で推移すれば、2016年末にかけてPCEデフレーターの前年比の伸びは+1.5~+1.7%に加速すると見る。

20160206図1

ISM製造業指数(1月)は48.2%(前月比+0.2%ポイント)、非製造業指数は53.5%(同-2.3%ポイント)

1月のISM製造業指数は48.2%(前月比+0.2%ポイント)と8ヶ月ぶりに小幅上昇、しかし景気判断の分かれ目を示す50%を4ヶ月連続で下回った。総合DIを構成する5つのDIの内訳は、新規受注51.5%(同+2.7)、生産50.2%(同+0.3)、雇用45.9%(同-2.1)、入荷遅延50.0%(同+0.2)、在庫43.5%(同横ばい)。新規受注・生産の主要DIはいずれも前月比上昇かつ50%を上回っており、雇用DIが全体を押し下げた形で、見かけほど悪くはない結果である。製造業景況感は依然低迷しているものの今後は改善に向かう可能性がある。調査対象先からは「石油・ガスセクターは悪影響を受け続けている(石油石炭製品)」「原油価格低下が利鞘を好転させ、業況は昨年よりも良い(化学製品)」「ワイヤレスの拡販で2016年は多忙になるだろう(コンピュータ-)」などまちまちであるものの、一部業種には明るい兆しも見られる。非製造業指数は53.5%(同-2.3%ポイント)と3ヶ月連続の低下。総合DIを構成する4つのDIの内訳は事業活動53.9%(同-5.6)、新規受注56.5%(同-2.4%)、雇用52.1%(同-4.2)、入荷遅延51.5%(同+3.0)。相対的に高水準を保っていた非製造業指数も過去3ヶ月で大幅に低下している。総じて企業景況感は減速局面にあり、年末にかけての経済拡大ペース減速と整合しているが、製造業の底入れの兆しや非製造業の相対的高位の維持は、2016年の米経済が減速しつつも2%程度の拡大を続けるとの見方を支持している。

20160206図2

新車販売台数(1月、乗用車及び軽トラック)は年率17.46百万台(前月比+0.2%)

1月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率17.46百万台(前月比+0.2%)と3ヶ月ぶりの前月比増加。年率18百万台を超えるレベルではさすがに頭を押さえられたがその後は17百万台台で堅調に推移する兆しが見られる。自動車ローンの信用条件緩和と低ガソリン価格が自動車販売を押し上げている。ただし今後の更なる販売台数の増加は期待しにくく、年内は緩やかな増加ペースに留まると見たい。

20160206図3

雇用統計(1月):非農業部門雇用者数は前月比+151千人、失業率は4.9%

1月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+151千人と、前月の同+262千人から増加幅が低下し、昨年9月以来の低い伸びとなった(1月統計では年次改訂により事業所調査が2011年に遡り改訂されている)。内訳をみると、小売業(同+57.7千人)、製造業(同+29千人)等が雇用を加速させている一方、建設業(同+18千人)、運輸サービス(同-20.3千人)、専門ビジネスサービス(同+9千人、うち人材派遣業同-25.2千人)、教育サービス(同-38.5千人)が雇用を減速または減少させており、業種ごとに大きなばらつきがある。建設業、運輸サービス、教育サービスは1月の寒波の影響による建設・交通量減少や休校の影響と思われるが、人材派遣業の急減や、寒波にかかわらず小売業の雇用が急増している点にはやや違和感なしとしない。1月統計は寒波の一時影響または統計の乱れによる変動である可能性もあると見る。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)は前年比+2.5%と前月の同+2.6%からわずかに伸びが低下したものの、昨年10月以来伸びが加速する傾向は続いている。失業率低下による労働需給のタイト化が賃金にも本格的に波及を始めた模様だ。非農業部門雇用者数の前月比の伸び+1.9%と合わせ、同+4.4%の高い名目購買力、消費者物価上昇率を差し引いても約+3.7%の高い実質購買力が維持されていることになる。家計調査による失業率は4.9%(前月比-0.1%ポイント)と、2008年2月以来約8年ぶりに5%を割り込んだ。4.9%はFOMC委員が長期的な均衡失業率と予測する失業率の中央値に一致している。労働参加率は62.7%(前月比+0.1%ポイント)とわずかに上昇。総じて労働市場は、1月の寒波の影響を除いて堅調に拡大を続けており、失業率がほぼ自然失業率に達するなど需給はタイト化の方向にあると見る。今後の雇用増加ペースは前年比+2%と昨年の+2%台からやや減速するものの、賃金上昇ペース加速がこれをカバーし、合わせて+4%台半ばの消費者購買力の伸びが維持できると見る。1月雇用統計はまちまちな内容だったものの、非農業部門雇用者数の数値変動よりも、失業率低下、時間当たり賃金上昇率に見られる労働市場需給のタイト化の方を重視したい。雇用増加幅の低下が一時要因か今後の雇用減速を示唆するものかの判断ついては2月以降の統計を待ちたい。1月雇用統計の結果だけからは、雇用市場が堅調に拡大を続けていくとの見方を変更する材料はなく、米経済成長に関するこれまでの個人予想を維持する。

20160206図4