<経済指標コメント> 米1-3月期実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+0.5%

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[日本]

全国消費者物価指数(3月、生鮮食品を除く総合)は前月比+0.1%(前年比-0.3%)

3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPI)は前月比+0.1%と5ヶ月ぶり小幅上昇。衣料(同+5.4%)などの価格が上昇した一方、ガソリン(同-1.5%)の下落幅が縮小した。しかし、前年比の伸びは-0.3%と2013年4月以来の大幅なマイナスの伸びとなった。食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(いわゆるコアコアCPI)は前月比+0.3%と上昇を続けたが、前年比の伸びは+0.7%とここ数ヶ月の間やや伸びが減速している。コアCPI、コアコアCPIの前年比の伸び率低下は、前年同月のエネルギー価格上昇に対し今年は低下を続けたという比較要因によるところが大きく、3月以降の原油価格持ち直しで再びCPIインフレ率は上昇に転ずる可能性が高い。しかしながら3月のCPI上昇ペースは想定よりも遅く、今年末のコアインフレ率は前年比+0.3%、コアコアインフレ率は同+0.6%程度にとどまる計算になる。

20160430図1

実質家計消費支出(3月、二人以上の世帯)は前月比+0.5%(前年比-5.3%)

3月の実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比+0.5%と2ヶ月連続の増加。しかし、前年比では前年同月の大幅増加との比較もあり-5.3%と大幅減少となった。1-3月期の実質家計消費支出は前期比+0.6%とプラス圏に浮上しており、1-3月期のGDP統計上の家計消費支出にとっては筆者個人予想比やや上振れ要因である。しかしながら、2月の増加には閏年要因による押し上げが含まれている上、実質家計消費水準指数の6ヶ月移動平均はまだ下向きで、消費の推移はまだ底入れしたとは言いにくい。なお、内閣府の消費総合指数は2月までで前期比年率+0.4%となっており、3月分が更に上昇すればGDP統計上の家計消費が上ブレするとの見方に整合している。

20160430図2

完全失業率(3月)は3.2%(前月比-0.1%ポイント)

3月の完全失業率は3.2%(前月比-0.1%ポイント)と低下。内訳をみると、完全失業者数が同-2.3%と大幅減少している一方、労働力人口も同-0.3%と減少。筆者試算による労働力化率は59.6%(同-0.2%ポイント)と2ヶ月連続で低下した。もっとも総じて労働市場は、失業率の低位安定に表象されるように、依然タイトな状況にあるといえる。

20160430図3

鉱工業生産指数(3月)は前月比+3.6%

3月の鉱工業生産指数は前月比+3.6%と前月の同-5.2%の大幅減から反発した。3ヶ月移動平均も上昇に転じている。しかし中期的な生産の下降トレンドはまだ継続していると言わざるを得ない。出荷指数は同+1.4%、在庫指数は同+2.8%、在庫率指数は同+3.5%といずれも反発。在庫循環図は依然在庫調整局面にあり、かつ在庫調整ペースは遅いことを示唆している。在庫調整と海外需要の低迷で今後も生産の拡大は見込みにくい状況であることは不変である。企業設備投資の先行指標となる資本財出荷は同+1.1%と5ヶ月ぶりに上昇したが、1-3月期の同出荷は前期比-4.2%と3四半期連続の減少となった。1-3月期GDP統計上の企業設備がマイナス成長に転じるとの個人予想に沿う結果である。

20160430図4

住宅着工戸数(3月)は年率993千戸(前月比+2.0%)

3月の住宅着工戸数は年率993千戸(前月比+2.0%)と3ヶ月連続の増加。内訳は持家同+4.6%、貸家同-4.4%、分譲住宅同+12.5%と分譲住宅の増加が全体を押し上げた。結果、1-3月期の住宅着工戸数は前期比+9.1%と大幅な増加となった。1-3月期GDP統計上の住宅投資が前期のマイナス成長から大幅プラス成長に転じるとの個人予想に沿う結果である。

20160430図5

[米国]

新築住宅販売(3月)は年率511千戸(前月比-1.5%)、在庫期間は5.8ヶ月

米3月新築住宅販売は年率511千戸(前月比-1.5%)と3ヶ月連続の減少。しかしながら趨勢を表す6ヶ月移動平均は513.2千戸(同+1.8%)と上昇中。販売在庫は246千戸(同+2.1%)と8ヶ月連続の増加。結果在庫期間は5.8ヶ月と2014年7月以来の長さに長期化した。住宅建設の増加で新築住宅市場の需給はほぼ適正なレベルにあり、依然堅調な販売が続いているといえる。もっとも中古住宅販売が横這い基調にあることから、今後増加ペース低下の可能性が高いと見る。

20160430図6

耐久財受注(3月)は前月比+0.8%、除く運輸関連同-0.2%、非国防資本財受注(航空機を除く)は同横ばい、同出荷同+0.3%

3月の耐久財受注は前月比+0.8%、除く運輸関連同-0.2%。設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機を除く)は同横ばいにとどまった。GDP統計上の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同+0.3%と3ヶ月ぶりに増加したが、1,2月の減少が響いて1-3月期の同出荷は前期比-9.6%の大幅減となった。低い設備稼働率、原油安、海外需要の低迷で設備投資は依然低迷している。この傾向は当面続きそうだ。

20160430図7

実質GDP成長率(1-3月期、速報値)は前期比年率+0.5%

1-3月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+0.5%と、1%を割り込む減速との筆者個人の直近の見方に沿った結果となった。結果米成長率は3四半期連続で減速、+1%を割り込むのは4四半期ぶりとなる。需要項目別の内訳は個人消費同+1.9%、設備投資同-5.9%、住宅投資同+14.8%、政府支出同+1.2%、民間在庫寄与度同-0.33%、純輸出寄与度同-0.34%。個人消費は予想通り2%を下回る成長に減速、設備投資も直近の資本財出荷の減少と整合する形で2四半期連続のマイナス成長となった。住宅投資は住宅着工の増加を反映して唯一2桁の成長。企業在庫は在庫調整局面の継続を反映して成長にマイナス寄与となった。総じて直近の基礎統計等と整合する結果でおおきなサプライズはない。今後については、個人消費は統計上一時的な減速となったが、堅調な雇用と賃金上昇を背景に今後も堅調に拡大すると見る。企業部門は今後も急反発は見込みにくく、設備稼働率の低さと企業収益減速が設備投資を抑制、高い水準にある在庫調整が成長抑制要因とならざるを得ない。現状の計算では2016年通年の成長率は前年比+1.7%との見方を維持する。

20160430図8

実質個人消費(3月)は前月比横ばい、PCEデフレーターは前月比+0.1%(前年比+0.8%)、同コアは前月比+0.1%(前年比+1.6%)

3月の実質個人消費は前月比横ばい。内訳は耐久財消費同-0.3%、非耐久財消費同+0.7%、サービス消費同-0.1%。自動車販売の減少を反映した耐久財消費が減少、小売売上の増加で非耐久財消費が増加した形。1-3月期の実質個人消費は前期比年率+1.9%と前期の同+2.4%から減速した。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.1%(前年比+0.8%)、同コアは前月比+0.1%(前年比+1.6%)。前年比の伸び率はほぼ筆者の個人見通しに沿った動きである。年末のPCEインフレ率は総合PCEが前年比+1.5%、コアPCEが同+1.9%程度にまで上昇する計算になる。総じて、個人消費は1-3月期に一時的な減速をしたものの、雇用と賃金を背景とした所得増加で今後も堅調に推移すると見る。なお、実質可処分所得は前期比+0.3%、前年比+3.1%の強い伸びとなっている。インフレ率は今後も堅調に上昇を続けると見る。原油価格の持ち直しに加え、労働市場の余剰の縮小が今後もインフレ圧力となるとみたい。

20160430図9

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<経済レポート> 過熱なき減速:米景気サイクル

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リーマショックによる前回のリセッションの開始から今月で丁度100ヶ月になる。景気サイクルの経験則からはそろそろ次を視野に入れるべき時期にも見える。しかし、雇用市場や経済全体の需給はまだ過熱感なく、これらの指標を見る限りは次のリセッションは2年以上先であることを示唆している。もっとも海外経済などの外部要因とこれが企業部門に与える影響からは、今後成長ペースは減速していかざるを得ない。その場合でも過熱なき分減速や下降の程度は緩やかなものに留まると見たい。

過去3回の景気サイクルは100ヶ月強

全米経済研究所(NBER)によれば、米国の直近の景気の山(景気後退の始期)は2007年12月、景気の谷(景気後退終期)は2009年6月であり、この間はサブプライムローン問題やリーマンショックに端を発する景気後退(リセッション)期間であった。その前の景気の山(2001年3月)から2007年12月の景気の山までの期間は81ヶ月、それ以前に遡ると景気の山から山までの期間は128ヶ月(1990年7月~2001年3月)、108ヶ月(1981年7月~1990年7月)となっている([第1図])。1945年から2009年までの同期間の平均は68.5ヶ月、上記の過去3回の景気の山から前回の景気の山までの期間の平均は105.7ヶ月となる。景気の山と山の間の期間は年を経るにつれていくぶん長期化する傾向にある。ちなみに今年の4月は、直近の景気の山である2007年12月からかぞえて丁度100ヶ月になる。過去3回景気後退が概ね100ヶ月強のサイクルで始まっていることを考えれば、経験則的にはそろそろ次の景気の山が視野に入る時期ということになる。

また、景気後退の終期から次の景気後退の始期までの期間は、直近3回の景気後退において古い順にそれぞれ92ヶ月、120ヶ月、73ヶ月であった。この期間の1945年~2009年の平均は58.4ヶ月、直近の過去3回の平均は95.0ヶ月である。直近の景気後退の終期である2009年6月から今年の4月で82ヶ月となる。ここからも、あと1年前後の間に次の景気後退が訪れる可能性を勘案しておく必要はありそうである。

本レポートでは、いくつかの観点から米国経済の景気循環上の位置づけを探る。景気循環を測る指標としては、まず設備投資の循環、次に労働市場の雇用ギャップ、そして経済全体の需給ギャップの3つを取り上げることとする。

[第1図]
20160425図1

設備投資サイクルはピークアウトした

まず設備投資循環の状況を見る。名目設備投資の名目GDPに対する比率の推移を示したのが[第2図]である。これによれば、設備投資のGDP比率がピークアウトした直後には経済がリセッションになり、同比率がそのトレンドである20四半期移動平均を下回っている時期には既にリセッション入りしていることが過去2回のリセッションの経験則から読み取れる。

2015年10-12月期現在の設備投資の対GDP比率は12.7%で、2014年7-9月期のピーク12.9%からいくぶん下降傾向にある。また現在の同比率の20四半期移動平均は12.5%と、実績値とこのトレンドとの乖離は+0.2%にまで縮小している。今後も企業設備投資が減速するとの見通しに立てば、設備投資実績は近々トレンドを下回ってくる可能性が高そうだ。ここからは、設備投資循環は既にピークアウトしている可能性が高いといえそうだ。

企業設備投資は、低い設備稼働率や企業ネットキャッシュフローの伸び悩みからここ数四半期の間減速傾向にあり、2015年10-12月期には、GDP統計上の実質設備投資が13四半期ぶりにマイナス成長となった。その後の非国防資本財出荷の月次統計からは、1-3月期にも設備投資はマイナス成長になるリスクが高まっている。一方で先行性のある企業景況感は相対的に低位にある。この背景には、海外景気の減速とドル高による外需の低迷、および原油安によるエネルギーセクターの産出減少がある。設備投資が循環的なピークを過ぎたとの見方は、サイクルの分析のみならず、企業の内的要因及び外的要因からも正当化しうるといえる。

[第2図]
20160425図2

雇用市場はほぼ均衡

次に、雇用市場と景気循環の関係を見る。[第3図]は、失業率と時間当たり賃金との関係を表すシンプルなフィリップス曲線である。2016年3月期現在の失業率は4.9%と、米議会予算局が推計する自然失業率と同水準にある。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)の前年比の伸び率は3月現在で+2.3%となっている。失業率が現在と同じ4.9%だった2005年に同+3%台の賃金上昇率を示現していたのと比較すると、現在の賃金上昇率は失業率に比してまだ低いといえる。一方で、2005年から2007年にかけて失業率が5%から4%台前半にまで低下するにつれ、賃金上昇率は急速に高まり、ピークには同+4%にまで上昇した。失業率に対する賃金上昇率の遅行性と、失業率が自然失業率を下回ると賃金上昇ペースが加速する傾向(フィリップス曲線のフラットニング)を勘案すれば、今後失業率が自然失業率を下回って更に低下すれば、賃金上昇ペースも加速する可能性が高いと見る。

ところでこの図によれば、2005年に失業率が5%を下回ってから、約1年半後には2007年12月の景気の山が訪れている。この経験則に従うならば、今回も同様に失業率が5%を下回った2016年初から数えて1~2年後には景気の山が訪れる可能性が考えられることになる。雇用の拡大で失業率が低下し、雇用が過熱状態になったところで景気が転換するサイクルは、失業率が自然失業率を下回った時点であらかじめ想定しておく必要はありそうだ。

厳密には失業率から景気サイクルを見るには、失業率の絶対水準ではなく、自然失業率との関係において雇用の過熱度を見る必要がある。自然失業率と失業率実績の差を自然失業率で除したものを「雇用ギャップ」として、その推移を見たものが[第4図]である。60年代以降のリセッションの前には必ず雇用ギャップがプラス、つまる均衡水準を超える雇用の過熱状態が示現していた(2回のリセッションがほぼ連続して起きた81年のリセッション期を除く)。その意味では、現在の失業率は自然失業率と同じ、つまり雇用ギャップがゼロの状態であり、雇用は過熱のない均衡水準にある。過去の実績では、雇用ギャップがプラスに転じてからリセッション開始までの期間は平均で2年を超えている(直近の2007年からのリセッション前は8四半期と例外的に短かった)、その意味では雇用市場のタイト化状況だけからは、次のリセッションが訪れるまでにはまだ2年以上の期間がある可能性が高いことになる(なお、雇用ギャップをもとに2四半期後のリセッション確率をプロビットモデルを用いて試算したところ、およそ20~22%との結果を得た)。

[第3図]
20160425図3

[第4図]
20160425図4

経済全体は供給超過:過熱なきままに減速の可能性がある

経済全体の需給ギャップも同様に、次の景気の山までにはまだ相応の期間がある可能性が高いことを示唆している。[第5図]は、米議会予算局推計による潜在GDPをもとに、米国のGDPギャップの推移を見たものである。これによれば、雇用ギャップと同様に、過去リセッション入り前には需給ギャップがプラス、つまり需要が供給を超過する状態になっている。需要超過で景気が過熱するとその反動で景気が後退するといるサイクルがここでも見てとれる。一方で、2015年10-12月期時点の需給ギャップは-2.1%と依然マイナス圏(供給超過)にある。労働市場がほぼ均衡状態にあるのに対し、財生産市場では設備稼働率の低下に表象されるように余剰設備がまだ存在することが、経済全体の供給超過状態を作り出しているといえる。

筆者個人の成長率予想によれば、米国のマイナスの需給ギャップは2016年中には解消せず年末時点でも-2.0%の水準にある計算になる。マイナスの需給ギャップが解消するためには、その後仮に+3%成長が続いたとしても2018年を待たねばならない計算になる。経済全体の需給ギャップからは、次回のリセッション到来にはまだ2年以上の期間があることになる。

以上を総じていえば、米経済はまだ景気の過熱はなく、労働市場のタイト化が進んでいる以外にはまだ経済の余剰がある状態だといえる。その意味では、過去に見られた景気過熱からの反動によるリセッションの兆しは現状では見られないことになる。一方で、成長のペースは今後減速していかざるを得ない。筆者個人予想では、2016年通年の成長率は前年比約+1.7%と3年ぶりに2%を割り込む見通しである(直近の経済指標からはこの個人予想に更に下方リスクが出てきている)。雇用市場は堅調な拡大を続けているものの、その拡大ペースは減速しつつある。2016年1-3月期の非農業部門雇用者数の前年比の伸び率は+1.9%と、7四半期ぶりに+2%を割り込んだ。月次の非農業部門雇用者数の増加幅は+200千人台と堅調を保っているものの、同じ増加幅だと伸び率は低減する。これは堅調な雇用が循環的な減速局面に入りつつあることを示唆するものである。これらの要因に海外景気減速等の外部要因が加わると、今後米経済は過熱なき減速に入る可能性がある。ただし、過熱がなかった分減速の程度は緩やかなものに留まり、仮に次回のリセッションが到来してもその深度は浅いものにとどまると見ておきたい。

[第5図]
20160425図5

<経済指標コメント> 米3月住宅着工戸数は前月比-8.8%

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[米国]

住宅着工戸数(3月)は年率1089千戸(前月比-8.8%)、着工許可件数は同1086千戸(同-7.7%)

3月の住宅着工戸数は年率1089千戸(前月比-8.8%)と前月の同+6.9%から反落。地域別には、北東部同+61.3%、中西部同-25.4%、南部同-8.4%、西部同-15.7%と、年初の寒波の反動と見られる北東部以外の3地区で着工が減少した。着工戸数の3ヶ月移動平均は同1134.3千戸(同-1.7%)と下向きに転じており、住宅着工が高水準ながらここ半年ほどほぼ横ばい傾向であることを示唆している。1-3月期の着工戸数は前期比-0.2%のマイナスの伸びとなった。1-3月期GDP統計上の住宅投資は前期比年率2桁のプラスの伸びを見込んでいたが、3月の着工減はこの予想に対する下方リスク要因である。住宅着工許可件数は同1086千戸(同-7.7%)とこれも減少。住宅着工はタイトな需給に支えられて堅調な拡大を継続するとの見方は不変であるが、先行きにはやや下方リスクの兆しも見られる。

20160423図1

中古住宅販売戸数(3月)は年率5330千戸(前月比+5.1%)、在庫期間は4.5ヶ月

3月の中古住宅販売戸数は年率5330千戸(前月比+5.1%)と前月の同-7.3%から反発。北東部同+11.1%、中西部同+9.8%、南部同+2.7%、西部同+1.8%とすべての地区で販売が増加した。販売戸数の3ヶ月移動平均はしかし同5290千戸(同-0.8%)とわずかに低下に転じ、中古住宅販売戸数も高水準ながら横ばい基調であることを示唆している。販売在庫は1980千戸(同+5.9%)と3ヶ月連続で増加し、結果在庫期間は4.5ヶ月4ヶ月連続で長期化したものの依然標準とされる6ヶ月を大きく下回っている。中央販売価格は前年比+5.7%と適度なペースで上昇している。公表元の全米不動産業協会(NAR)はプレスリリースで「主に北東部と中西部で消費者が在庫不足と価格上昇を乗り越えて契約が回復した」「消費者の需要は堅調で中価格帯市場は極めて好調」「しかし、低価格帯と高価格帯市場は供給不足と住宅取得能力の問題でやや販売が減速している」と述べている。総じて住宅販売はタイトな需給に支えられつつも、価格帯や所得レベルごとにばらつきが出てきている模様だ。

20160423図2

<経済レポート> 非対称性の考え方:3月FOMC議事要旨

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3月FOMC定例会合の議事要旨からは、世界経済金融の悪化が利上げ見送りの主な理由であったことが読みとれる。また参加者の多くは4月利上げの可能性をもあまり高くは見ていない。これは筆者の直近の個人予想とも整合している。一方で興味深いのは、利上げペースを緩めるべき根拠として、ゼロ金利制約下の金融政策の非対称性を多くの参加者があげていることである。

3月FOMC議事要旨の3つのポイント

FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)は3月15、16日の定例会合で追加利上げを見送った。その議事要旨が先々週の6日に公表されている。本レポートでは、3月FOMC定例会合の議事要旨と、3月定例会合後に行われたイエレンFRB議長講演の内容から、今後のFRBの金融政策を占い、筆者個人の予想を点検する。

ちなみに、3月FOMC以降の米経済指標は概ね筆者の直近の予想(3月30日付当レポート参照)に沿ったものといえる。3月の非農業部門雇用者数は前月比+215千人と堅調に増加、コアCPIインフレ率は前年比+2.2%と2%を上回って推移している。3月小売売上高は自動車・ガソリン・レストランを除くベースで前月比+0.3%と強めの伸びを維持した。もっとも筆者は4月に米成長率個人予想を大幅に引き下げており、今や2016年第4四半期の前年同期比成長率は+1.7%と見ている。これは3月FOMC時点でのFOMC委員経済予測の中央値(同+2.2%)を大きく下回っている。

さて、3月FOMC定例会合の議事要旨では大きく3つのポイントが指摘できる。まず、グローバ金融経済動向が米国経済に与える影響判断、次に今後の金融政策の見通し、そして、ゼロ金利制約下における金融政策の非対称性(asymmetry)の考え方である。

海外金融経済動向が米国に与える下方リスクが主な利上げ見送り理由

まず、年初からの海外経済の悪化が利上げ見送りの主な理由だったことが議事要旨から読み取れる。グローバル経済金融動向についての議論において、これが米国経済に与える影響について参加者は「異なる考え」を表明したとされている。多くの(many)参加者はこれが「国内経済見通しに明らかな下方リスクを依然もたらしている」と述べた。一方で逆に、何人かの(a few)参加者は、多くの海外中銀が過去数週間で実施した追加金融緩和政策がグローバル経済見通しへの下方リスクの解消を助けた」と述べている。

しかしながら「ほとんどの(most)参加者は海外の金融政策の上方効果の可能性を認めながらも、海外経済成長は従前予想よりもいくぶん遅いペースで推移し、これはおそらく米国の輸出の伸びを更に抑制し、総需要を押し下げるだろう」と判断した。その結果多くの参加者は「12月に予測したよりもいくぶん遅いペースでのFF金利推移が今や最も適切である可能性が高い」として利上げが見送られた。

なお、イエレンFRB議長は3月30日の講演においても同様に、「特に海外の動向は、我々の雇用とインフレという目標に対し、12月に予想されたよりもいくぶん遅いペースでのFF金利推移を要請することを示唆した」として、海外経済動向が利上げ見送りの主要な理由であることを述べている。

4月利上げの可能性は低い

次に、今後の金融政策について3月FOMC議事要旨では、「今後入手される情報が、次回(4月)会合時点で(利上げ実施による金融政策)調整を適切なものにする可能性については、広範囲な意見」が示されたとされた。多数の(a number of)参加者は「成長を抑制し自然利子率を押し下げる向い風の低減は遅い可能性が高い」とし、数名の参加者は「4月に誘導目標レンジを引き上げる緊急性は適切ではないと考える」と述べた。一方で、いくらかの他の参加者は「委員会の次回会合で誘導目標を引き上げることは十分に正当化されるだろう」と述べ、その理由として「入手される情報は産出の適度な成長と労働市場の更なる強化、そしてインフレ率が中期的に2%に上昇するとの予想に整合する」であろうことを述べている。

経済見通しと今後の利上げペースについては多くの異なる意見が出された模様であるが、総じてFOMC内では世界金融経済の米国経済に与える影響について慎重な見方、また利上げについても次回4月ではなく最速でも次々回6月定例会合での実施が適切との見方が支配的であったといえる。これは、直近の筆者個人の金融政策予想(6月、12月に+0.25%ずつの利上げ)に整合した内容である。

上記に示したように、3月FOMC以降の経済指標は筆者個人の4月初時点の個人予想にほぼ沿ったものである。しかし、3月FOMC以降には大幅に見通しが下方シフトしている。3月28日に公表された実質個人消費の過去分の大幅下方改訂(4月3日付<経済指標コメント>参照)は、計算上今年の成長率に関する3月時点のFOMC委員経済予測中央値(前年同期比+2.2%)の達成が困難になったことを示唆している。これは、金融政策が上振れる可能性を後退させた要因といえる。

ゼロ金利制約下における金融政策の非対称性

最後に、利上げペースを緩めるべき理由として、ゼロ金利制約下における金融政策の非対称性(asymmetry)を根拠に挙げている参加者が多数いたことを見ておきたい。議事要旨によれば、多くの参加者は「FF金利誘導目標レンジがゼロをわずかに上回っているに過ぎないことから、もし経済活動やインフレが予想以上に著しく弱いことが判明した場合に、FOMCは金融政策を伝統的な手段で緩和する余地が依然少ない」「しかし、経済が過熱したりインフレが予想より著しく急速に上昇した場合には、FOMCは金利を速やかに引き上げることができる」「この非対称性から、追加的な緩和解除の前に、基礎的な経済活動とインフレ見通しの強さについて追加的な情報を待つことがより健全である」と述べている。イエレン議長も3月30日の講演で同趣旨の発言をしており、その際にはゼロ金利制約下の金融政策についてのFRBなどのいくつかの研究成果に触れている。

ここでFOMCは、ゼロ金利制約下でFF金利がほぼゼロに近い状態では、金利引上げはより慎重に行うべきであるとしている。景気過熱やインフレ高進のリスクが顕在化した場合には、利上げを速やかに行えばこのリスク拡大を防止できるとしているのである。

当レポートではこれまで、これとは異なる考え方をとってきた。すなわち、金利引上げが可能な時期に利上げを相当程度に実施しておくことで、その後の循環的な景気減速に対して伝統的な利下げができる余地を残しておくべきとの考え方である。FOMCが(イエレン議長が3月FOMC後の定例記者会見で述べたように)マイナス政策金利導入の可能性を見ていないとすれば、ほぼゼロ金利政策の元では伝統的手段による金融緩和の余地がより少ないとの考え方は妥当である。一方でその場合、利上げペースを緩めることにより均衡的な持続を図るべきとの見方は、経済が循環的な減速局面に入りつつある現状では妥当しにくいと見る。約1年後に景気が減速局面に入り得る状況では、寧ろ伝統的手段による金融緩和の余地を拡大おくことが中期的な金融政策の観点からはむしろ好都合であり、米経済が世界経済の影響をまだ受けていないうちに利上げを実施しておくのが現環境下では望ましいと個人的には考えている。

<経済指標コメント> 米3月小売売上高は前月比-0.3%

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[日本]

機械受注(2月、船舶・電力を除く民需)は前月比-9.2%(前年比-0.7%)

3月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比-9.2%と、前月の同+15.0%の大幅増の反動で3ヶ月ぶりに減少した。内訳をみると製造業が同-30.6%と前月の同+41.2%から反動減、うち鉄鋼業が同-92.7%と前月の同+928.5%の急増から反落した。機械受注(同)の3ヶ月移動平均の前年比の伸びは+2.5%と低位にある。総じて、設備投資の先行指標となる機械受注は緩やかな増加にとどまっているといえる。もっとも、2月までの1-3月期の前期比の伸びは1月の急増要因で+6.6%と強い伸びになっており、今後の企業設備投資が数字上は一時的に回復する可能性を示唆している。

20160417図1

[米国]

企業在庫(2月)は前月比-0.1%、企業売上高は同-0.4%、在庫売上高比率は1.41倍

2月の企業在庫は前月比-0.1%と2ヶ月連続の減少、前月分は同-0.1%とマイナスに下方改訂されている。3ヶ月前対比でも-0.2%と3ヶ月連続で減少となった。一方で、企業売上高も同-0.4%と5ヶ月連続の減少。結果在庫売上高比率は1.41倍と前月比横ばい、2009年以来の高水準となっている。企業在庫は大幅な削減が続いているもののこれを超える売上高の減少で在庫水準は依然高いままだといえる。1-3月期のGDP統計では企業在庫が成長に一時的にわずかにプラス寄与と見ていたが、1月分の下方改訂でこれがマイナスとなるリスク可能性があり、1-3月期成長予想にとっては下振れ要因である。在庫循環図はまだ在庫調整局面にあり、高い在庫売上高比率を勘案しても、4月以降も在庫調整が成長押し下げ要因となるとの見方は不変である。

20160417図2

小売売上高(3月)は前月比-0.3%、除く自動車関連同+0.2%

3月の小売売上高は前月比-0.3%、前月分は同横ばいと速報値の同-0.1%からわずかに上方改訂された。除く自動車関連では同+0.2%と前月の同横ばいからプラスの伸びに転じた。内訳は新車販売の減少を反映して自動車及び同部品ディーラーが同-2.1%の大幅減、ガソリン価格上昇を反映してガソリンスタンドが同+0.9%の増加。他には薬局(同+1.0%)、建設資材店(同+1.4%)、などが売上を伸ばした。GDP統計上の個人消費の基礎統計となる「自動車・ガソリン・建設資材・レストランを除く」売上高は同+0.2%と3ヶ月連続の増加、ただし、1-3月期の同売上高は前期比+0.5%にとどまり、自動車販売の減少を勘案すれば、1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期よりも減速せざるをえず、筆者個人予想の前期比年率+1.7%から更に下振れる可能性もでてきた。もっとも趨勢的には個人消費は堅調な拡大といってよく、自動車・ガソリン・レストランを除く売上高の前年比の伸びは+3.6%と高水準にある。

20160417図3

消費者物価指数(3月)は前月比+0.1%(前年比+0.9%)、同コア指数は前月比+0.1%(前年比+2.2%)

3月の消費者物価指数(CPI)、総合指数は前月比+0.1%と4ヶ月ぶりの上昇。原油価格の持ち直しで、ガソリン(同+2.2%)価格が上昇に転じた。ほかには医療器具(同+0.3%)、運輸サービス(同+0.2%)等が上昇、食品(同-0.2%)、衣服(同-1.1%)、などの価格が低下した。前年比の伸び率は+0.9%と前月の同+1.0%から上昇率が低下した。一方、食品及びエネルギーを除くコア指数は前月比+0.1%と堅調で、前年比伸び率は+2.2%と5ヶ月連続で2%を上回って推移している。コアCPIインフレ率の高位安定は、労働市場や経済の余剰の縮小により、インフレ圧力が継続していることを示唆している。原油価格が現状の通り1バレル=30ドルを上回って推移すれば、2016年末のCPIインフレ率は、総合CPIが前年比+1.3%、コアCPIが同+2.0%程度になると見ている。

20160417図5

鉱工業生産指数(3月)は前月比-0.6%、設備稼働率は74.8%

3月の鉱工業生産指数は前月比-0.6%と2ヶ月連続の低下。内訳は製造業同-0.3%、鉱業同-2.9%、公益事業同-1.2%とすべての業種で指数が低下した。設備稼働率は74.8%(前月比-0.5%ポイント)と低下、水準は2010年8月以来の低位にある。自動車生産台数(乗用車及び軽トラック)は年率11.80百万台(同-1.7%)と4ヶ月ぶりに減少に転じた。総じて鉱工業生産は海外景気減速、原油安、在庫調整により低迷が続いている。昨年まで個人消費を牽引してきた自動車販売にもピークアウト感が見られることから、自動車生産台数も増加ペースを徐々に減速せざるを得ないだろう。

20160417図4

<経済指標コメント> 米3月ISM非製造業指数は54.5%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(3月):現状判断DIは45.4(前月比+0.8ポイント)、先行き判断DIは46.7(同-1.5ポイント)

3月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは45.4(前月比+0.8ポイント)と3ヶ月ぶりの上昇。家計動向関連、企業動向関連のDIが上昇した。しかしながら、横ばいを示す50を8ヶ月連続で下回っている。2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは46.7(同-1.5ポイント)と2ヶ月連続の低下、かつ横ばいを示す50を8ヶ月連続で下回っている。家計動向関連、企業動向関連のDIの低下が要因。総じて街角景気は減速状況が続いている。景気判断理由は「マイナス金利政策により住宅ローン金利低下が追い風(住宅販売会社)」「先行きへの不安感で購買意欲が上向かない(百貨店)」「金融市場の急変による株安と円高が企業マインドに影響(金融業)」などまちまちとなっている。1-3月期の成長率が前期比ほぼ横ばいに留まるとの見方にほぼ整合する結果である。

20160409図1

[米国]

ISM非製造業指数(3月)は54.5%(前月比+1.1%ポイント)

3月のISM非製造業指数は54.5%(前月比+1.1%ポイント)と5ヶ月ぶりの上昇。総合DIを構成する4つのDIの内訳は、事業活動59.8%(同+2.0)、新規受注56.7%(同+1.2)、雇用50.3%(同+0.6)、入荷遅延51.0%(同+0.5)とすべてのDIが上昇かつ景気判断の分かれ目を示す50%を上回った。調査先の回答は「全国的に事業は1年前より強い(企業経営支援)」「マクロ経済、原油価格下落、FRB金融政策、外貨下落、中国経済減速、ドル高が輸出とくに食品に影響(食品サービス)」「事業条件は遅いが上向きのペース(金融)」などまちまち。総じて、製造業指数の上昇転換と合わせ企業景況感には底入れの兆しも見られる。もっとも景況感の底入れが設備投資拡大に波及するには時間差があり、設備投資は当面強い拡大は見込みにくい状況は不変と見る。

20160409図2

<経済レポート> 反発力は弱い:日本経済定点観測

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日本経済は10-12月期のマイナス成長の後、1-3月期の反発は弱いものに留まりそうだ。筆者個人の成長予想を下方修正し、1-3月期は前期比横ばい、2016暦年は前年比+0.3%とする。特に、企業部門の設備投資の大幅減少が今後の成長の大きな抑制要因になると見る。家計消費は、賃金が失業率に見合った上昇を見せれば回復の余地があるが、賃上げが滞れば下方リスクにもなる。見通しに対する不確実性リスクは依然残る。

家計消費はまだ弱い:実質賃金の減少が主因

日本経済は10-12月期に、過去3四半期で2回目のマイナス成長となり、実質GDP成長率は前期比年率-1.1%に転化した。1-3月期についても、月次の経済指標を見る限りではその反発力は弱いと言わざるを得ない。本レポートは日本経済の定点観測として、主に1-3月期の実質GDP成長率個人予想を需要項目毎に点検していく。

総務省家計調査による実質家計消費は、1月に前月比-0.6%と減少したのち2月に同+1.7%の大幅増となった。結果2月までの1-3月期実質家計消費は前期比+0.1%と前期のマイナスの伸びからわずかにプラスに転じている([第1図])。このペースだと、1-3月期のGDP統計上の実質家計消費は前期比年率+0.5%とわずかにプラス成長への回帰を見込むことができる。もっとも、2月の家計調査のうち「食料」「光熱・水道」「交通・通信」などの項目は閏年要因で押し上げられている可能性が高い。月次のうるう年要因による押し上げを3.6%(=1日/28日)とした場合、実態的な2月の実質消費は前月比でマイナスである可能性も高い。

家計消費が伸び悩んでいる背景は主に賃金上昇率の低迷にあると見る。総務省労働力調査によれば、就業者数は2月までの第1四半期で前年比+1.0%の増加を示している([第2図])。しかしながら、名目賃金(所定内給与)は1月時点で前年比-0.1%、実質賃金(きまって支給する給与)も前年比-0.1%のマイナスの伸びに留まっている(内閣府家計調査によれば、2月時点の2人以上の世帯の実質実収入は前年比-2.1%)。結果、実質ベースの消費者の購買力の伸びは計算上+1%を割るレベルでの伸び、もしくはマイナスの伸びである可能性がある。失業率と賃金の関係を示す新シンプルなフィリップス曲線によれば、現在の失業率水準であれば前年比約+0.9%の賃金上昇があってしかるべきである([第3図])。賃金上昇は労働市場の需給タイト化を十分に反映していないといえる。今年の企業のベアによりこれが一部修正される可能性はあり、家計消費を取り巻く環境は今後好転も見込まれる。4月以降の個人消費は概ね前期比年率+1%強のペースで拡大すると見ておきたい。

[第1図]
20160403b図1

[第2図]
20160403b図2

[第3図]
20160403b図3

設備投資は大幅減少の見込み

企業設備投資は更に減少ペースが加速している。経済産業省の鉱工業生産指数統計によれば、2月までの1-3月期資本財出荷は前期比-4.4%と大幅にマイナス幅を拡大させた([第4図])。このペースだと、1-3月期のGDP統計上の企業設備投資は前期比年率-3~-5%のマイナス成長になる計算になる。10-12月期には資本財出荷統計のマイナスにも拘わらずGDP統計上の設備投資はプラス成長という上方サプライズだったが、1-3月期はマイナス転化が避けられない模様だ。

設備投資は今後も減速を見込む。企業在庫はいまだ調整局面にあり、生産調整にも拘わらず出荷の低迷で在庫削減は進んでいない。2月までの1-3月期の鉱工業在庫指数は前期比+0.2%とむしろ増加しており、数字上は企業在庫が1-3月期の成長にプラス寄与すると見る。在庫循環図上在庫調整局面からまだ脱していない状況では今後も在庫調整が生産抑制要因となるだろう。製造鉱業の稼働率もまだ相対的には低位にある。企業は2011年の東日本大震災による景気後退以降継続的に設備投資を抑制して生産能力を下方に調整してきたが、それでも稼働率は十分に上昇していない([第5図])。余剰生産能力の存在も今後の設備投資の抑制要因であり続けるだろう。

住宅投資は唯一好調な需要項目である。2月までの1-3月期住宅着工戸数は前期比+6.4%と大幅なプラスに転化しており([第6図])、1-3月期GDP統計上の住宅投資は前期比年率約+8%レベルのプラス成長に回帰出来ると見る。

[第4図]
20160403b図4

[第5図]
20160403b図5

[第6図]
20160403b図6

2016暦年成長率は前年比+0.3%に留まると見る

純輸出は1-3月期に成長にプラス寄与すると見る。財・サービス収支は輸出、輸入ともに減少傾向にあるが、輸出の減少よりも輸入の減少ペースが大きく、結果財・サービス収支は昨年11月から黒字に転換している(季節調整済、[第7図])。

以上より、1-3月期の実質GDP成長率は主に設備投資のマイナスが成長を押し下げ、他の需要項目のプラス成長幅は小幅にとどまることで、前期比ほぼ横ばいにとどまると今や個人予想する。ッその後は循環的な成長加速で成長率は徐々に上昇するものの、2016暦年の成長率は前年比+0.3%程度にとどまると予想する。これは1月時点の予想同+0.8%からは大幅な下方修正となる([第8図])。

なお、当レポートでは消費税率引上げが法定通り来年4月に10%に引き上げられることを前提とした予想を引き続き維持しており、2017年1-3月期には消費税率引上げ前の駆け込み需要が成長を一時的に押し上げ、結果2016年度の成長率は前年度比+0.9%としておく。しかしながら現実には、こうした成長のもたつきから消費税率引上げ延期のリスクが高まっていると言わざるを得ない。当初2015年10月に予定されていた同率への引上げ延期を政府が判断したのはその約1年前の2014年11月だった。消費税率変更に伴う準備期間を考慮すれば、引上げ是非の判断は遅くとも半年前にはなされてしかるべきだろう。1-3月期のGDP統計公表予定は1次速報が5月18日、2次速報が6月8日である。仮に1-3月期成長率がマイナスに転じた場合は6月頃に政府が延期判断をする可能性がある。プラス成長に転化した場合は4-6月期GDP統計公表の8、9月にまで判断を引き延ばす可能性があると見る。本レポートでは当面、法定通りの消費税引上げを前提とした個人予想を継続する。

[第7図]
20160403b図7

[第8図]
20160403b図8

引き続き不確実性は高い

インフレについては、2016年末時点で消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、いわゆるコアCPI)は前年比+0.2%、食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(いわゆるコアコアCPI)は同+0.6%になると個人予想する。原油価格が1月以降再下落したが、3月以降には持ち直していることから、コアCPIは3月以降上昇に転ずるだろう。しかしながらこの予想は従前において年末+1%台のCPIインフレ率を見ていたことからは大幅な下方シフトとなる。CPIインフレ率が1%を超えるのは今や2017年を待つ必要が出てきた([第9図])。

金融政策について、日本銀行は1月19日に導入を決定した「マイナス金利付き量的・質的緩和」の効果を当面見守ると見る。上記でみた成長率予想、インフレ予想はいずれも1月時点の日銀「展望レポート」における政策委員の見通しの中央値を既に下回っている。その意味では、年内に追加緩和措置が実施される可能性は見ておく必要があるだろう。一方で、マイナス金利導入による効果と副作用はまだ十分に検証されているとは言いにくい。1月の金融政策決定会合におけるマイナス金利導入決定が5対4の僅差で決定されたことは、追加利下げの実施には更に慎重な議論がなされる可能性が高いことの状況証拠でもある。1月31日付当レポートで見たように、マイナス金利政策にはまだ調整の余地があることも事実である。個人的には追加利下げの限界的効果はアナウンスメント効果を除いて限定的と見ていることから、年内の追加利下げは実施されないと予想上はしておきたい。

上記個人予想に対するリスクは上下いずれにもあり、見通しは不確実と言わざるを得ない。上方リスクとしては、個人消費が上記の好転要因で拡大に転じるケースのほか、現在1ドル=111円台のドル安・円高にある為替レートが、米FOMCの利上げ期待回復により円安に転じ、未だ年初来-15%の下落圏にある日経平均が上昇、企業景況感が回復して設備投資が増加に転ずるシナリオが考えられる。下方リスクとしては、賃金上昇が進まず消費がこのまま景況感悪化とともに減少し、成長率がマイナスを続けてテクニカル・リセッションに陥るシナリオが考えられる。今後は、金融市場動向はもとより、回復の可能性のある家計消費動向が数字上の景気の鍵となるだろう。

尚、筆者個人の経済金融予想を[第1表]に示す。

[第9図]
20160403b図9

[第1表]
20160403b表1


<経済指標コメント> 米3月非農業部門雇用者数は前月比+215千人

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[日本]

実質家計消費支出(2月)は前月比+1.7%(前年比+1.2%)

2月の実質家計消費支出は前月比+1.7%と大幅増加、前年比でも+1.2%と6ヶ月ぶりのプラス成長となった。前年比の増加に寄与した項目は授業料等(寄与度+0.61%)、通信(同+0.40%)、保険医療サービス(同+0.37%)など。1-3月期の実質家計消費支出は2月までで前期比+0.1%とわずかにプラスに転じており、10-12月期に同-0.9%のマイナス成長になったGDP統計上の実質家計消費の、2四半期連続マイナス成長のリスクは後退した。もっとも2月の統計はうるう年の影響を受けて高めになっている可能性が高く、実態的には前月比マイナス成長である可能性が高い。また勤労者世帯の実質実収入は前年比-2.4%と6ヶ月連続の減少となっている。雇用拡大、低インフレ率は家計消費の追い風要因ではあるが、収入の伸び悩みが個人消費の抑制要因となっている。

20160403図1


完全失業率(2月)は3.3%(前月比+0.1%ポイント)

2月の完全失業率は3.3%(前月比+0.1%ポイント)と小幅上昇したものの依然低位にある。内訳をみると、労働力人口が同-0.8%、就業者数同-0.9%、完全失業者数同+1.9%と、労働力人口減、失業者数増をともなうやや悪い形である。筆者試算の労働力化率は59.8%(同-0.4%ポイント)と大幅に低下した。ただしいずれも前月の大幅好転の反動と考えられ、労働市場のタイト化の趨勢には変化なきものと見たい。

20160403図2

鉱工業生産指数(2月)は前月比-6.2%(前年比-1.5%)

2月の鉱工業生産指数は前月比-6.2%(前年比-1.5%)の大幅低下。前月の同+3.7%を大幅に打ち消す低下となった。水準は93.6と2012年11月以来の低水準となった。内訳は、輸送機械工業(同-10.2%)、電子部品・デバイス鉱業(同-14.7%)等の指数が低下している。生産指数の3ヶ月移動平均も96.5と2013年6月以来の低水準に低下した。公表元に経済産業省は基調判断を「一進一退」に据え置いた。出荷指数は同-4.6%の大幅低下。在庫指数は同-0.1%、在庫率指数は同+0.5%。総じて、生産大幅減少にも拘わらず出荷減少により在庫調整は進行していない構図が読み取れる。企業設備投資の先行指標となる資本財出荷は前月比-1.9%と4ヶ月連続の低下。1-3月期のGDP統計上の企業設備はマイナス成長になる可能性が高くなってきた。海外景気減速と在庫調整を背景に、鉱工業生産は今後も減速基調が続くと見られる。

20160403図3

住宅着工戸数(2月)は年率974千戸(前月比+11.6%)

2月の住宅着工戸数は年率974千戸(前月比+11.6%)の大幅増。内訳は、持家(同+5.6%)、貸家(同+10.9%)、分譲住宅(同+15.0%)と分譲住宅の着工増が全体を押し上げている。1-3月期の住宅着工戸数は2月までで前期比+6.4%と3四半期ぶりのプラス成長に回帰するペースである。GDP統計上の住宅投資も1-3月期にはプラス成長への転化が見込まれる。

20160403図4

日銀短観(3月調査):大企業製造業業況判断DIは6ポイント(12月調査比-6ポイント)

日銀短観(3月調査)、大企業製造業の業況判断DIは6ポイント(12月調査比-6ポイント)の大幅低下。大企業非製造業の業況判断DIは22ポイント(同-3ポイント)とこれも低下した。これまで上昇基調にあった非製造業も6四半期ぶりに低下に転じるなど総じて企業景況感は減速が続いている。先行き判断DIは大企業製造業3ポイント、大企業非製造業17ポイントといずれも現況からの悪化を示している。

20160403図5

[米国]

実質個人消費(2月)は前月比+0.2%、PCEデフレーターは前月比-0.1%(前年比+1.0%)、同コアは前月比+0.1%(前年比+1.7%)

2月の実質個人消費は前月比+0.2%と堅調な増加。内訳は耐久財消費同+0.3%、非耐久財消費同-0.3%、サービス消費同+0.3%。しかしながら、前月1月分が同横ばいに大幅下方改訂された(速報は同+0.4%)。総じて1月分の大幅下方改訂には失望感がある。この指標を受けて筆者は1-3月期のGDP成長率予想を下方修正した(3月30日付<経済レポート>参照)。もっとも12月、1月の天候変動を受けて過去分の改訂幅が極めて大きく、また2月分も自動車販売の減少や小売売上の増加と比して個人消費統計の内訳の動きはやや不整合が見られ、今後も改訂の可能性があることには留意が必要である。個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比-0.1%(前年比+1.0%)と、原油価格再下落を受けてやや低下したものの、3月以降は原油価格の持ち直しで再び上昇が期待できる。同コア指数は前月比+0.1%(前年比+1.7%)と堅調に加速を続けている。成長の下振れにかかわらずインフレ率は上昇を続け、年末には総合PCEデフレーターは前年比+1.5%、コアPCEデフレーターは同+1.9%にまで上昇すると見る。

20160403図6

雇用統計(3月):非農業部門雇用者数は前月比+215千人、失業率は5.0%

3月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+215千人と堅調な拡大を継続した。もっとも増加幅は前月の+245千人を下回り、増加幅の3ヶ月移動平均は+209.3千人と3ヶ月連続で低下しているなど、雇用拡大ペースの減速感は否めない。3月非農業部門雇用者数の内訳は、建設業前月比+37千人、小売業同+47.7千人、教育・医療同+51千人と、内需関連業種の雇用が安定して増加。一方で海外景気減速を反映して製造業は同-29千人の減少。内需堅調、外需減速という現在の米経済の形が反映されている。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)は前年比+2.3%と、12月の同+2.6%以来3ヶ月連続で伸び率が低下した。家計調査による失業率は5.0%と前月の4.9%から+0.1%ポイントの上昇。内訳をみると、労働力人口、就業者数、失業者数のいずれもが増加しており、労働市場拡大を伴う失業率上昇となっている。労働参加率は63.0%と2014年3月以来の水準に上昇した。総じて労働市場は拡大ペースの減速を伴いつつも堅調な拡大を続けており、労働需給はタイト化してほぼ完全雇用の状態にあるといえる。

20160403図7

ISM製造業指数(3月)は51.8%(前月比+2.3%ポイント)

米3月ISM製造業指数は51.8%(前月比+2.3%ポイント)と3ヶ月連続の上昇で、6ヶ月ぶりに景気判断の分かれ目を示す50%を超えた。内訳は新規受注58.3%(同+6.8%ポイント)、生産55.3%(同+2.5)、雇用48.1%(同-0.4)、入荷遅延50.2%(同+0.5)、在庫47.0%(同+2.0)。先行性のある新規受注指数と生産指数の上昇は朗報である。調査先のコメントには「失業率が低く労働者を見つけるのが困難(プラスチック・ゴム製品)」「通信ビジネスが好調(化学製品)」「資本財売上が堅調(非鉄金属)」「新規機器の提案依頼は極めて強い(機械)」など、需要の回復を示唆するものが多い。

20160403図8

新車販売台数(3月、乗用車及び軽トラック)は年率16.46百万台(前月比-1.0%)

3月新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率16.46百万台(前月比-1.0%)と前月比急減、11ヶ月ぶりに同17百万台を割り込んだ。前年比でも-3.5%と約2年ぶりに前年同月比を下回った。報道ではイースター休暇中の売上が減少した模様だ。従前の当レポートの見方通り、自動車販売は昨年一時年率18百万台台を超えたところでやや飽和感が見られ、その後は減速が見られる。数字上は1-3月期成長率に更に下方リスク要因となる。

20160403図9