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<経済指標コメント> 米2月新築住宅販売戸数は前月比+6.1%

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[米国]

中古住宅販売戸数(2月)は年率5480千戸(前月比-3.7%)、在庫期間は3.8ヶ月

2月の中古住宅販売戸数は年率5480千戸(前月比-3.7%)と反落。3ヶ月移動平均も同5560千戸(同-0.7%)と5ヶ月ぶりに低下に転じた。しかしながら中古住宅販売戸数の水準は依然高水準にあり、前年比では+5.4%と増加基調を保っている。販売在庫は1750千戸(前月比+4.2%)と2ヶ月連続で増加したものの、販売在庫期間は3.8ヶ月と引き続きタイトな需給が続いている。中央販売価格は前年比+7.7%と2015年5月以来の伸びに加速した。供給不足とこれに伴う価格上昇もあり、中古住宅販売の増加には一服感がある。しかし、米住宅市場は引き続き堅調に拡大すると見たい。公表元の全米不動産業協会(NAR)はプレスリリースで「販売物件の不足と、住宅取得能力の低下」を指摘しており、在庫不足による価格上昇が中古住宅販売の抑制要因になるとやや慎重な見方を示している。

20170325図1

新築住宅販売戸数(2月)は年率592千戸(前月比+6.1%)、在庫期間は5.4ヶ月

2月の新築住宅販売戸数は年率592千戸(前月比+6.1%)と2ヶ月連続の増加。販売在庫は同+1.5%と7ヶ月連続の増加で、結果在庫期間は5.4ヶ月と適正な水準にある。新築住宅販売市場は、供給不足の中古住宅販売市場に比べて順調な拡大である。住宅着工増加による販売物件の増加も消費者の選択幅を広げることで、販売増に寄与していると見る。

20170325図2

耐久財受注(2月)は前月比+1.7%、除く運輸関連同+0.4%、非国防資本財受注(除く航空機)は同-0.1%、同出荷同+1.0%

2月の耐久財受注は前月比+1.7%、除く運輸関連は同+0.4%。設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(除く航空機)は同-0.1%と反落したものの2月までの1-3月期同受注は前期比年率+4.7%と3四半期連続プラスの伸びになるペースである。GDP統計上の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同+1.0%と強い伸び。2月までの1-3月期同出荷は前期比年率+6.1%と2四半期連続プラスの伸びを維持している。米企業部門が在庫調整終了と海外景気の安定化で回復に向かっていることが読み取れる結果である。

20170325図3


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<経済レポート> シナリオ通りの進行:トランプ大統領就任2ヶ月

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トランプ米大統領の就任から2ヶ月が経過した。この間金融市場では株価が上昇、経済指標も雇用を中心に順調である。トランプ氏は就任後日米首脳会談、施政方針演説、予算教書(概要)の提出などをこなし、更に多数の大統領令に署名した。これまでの動きはほぼ就任前の公約に沿ったもので、いわばシナリオ通りの進行といえる。しかし各政策は具体化には至っておらず、経済効果の年内発現は依然困難とみる。

就任以来経済・金融は好調

ドナルド・トランプ氏が1月20日に米大統領に就任して2ヶ月が経過した。現在のところ選挙前に懸念されていた経済・金融・政治上の大きな混乱はない。NYダウは1月の就任時点で19800ドルレベルにまで上昇していたが、その後にさらに上伸し17日現在20914ドルにある。ミシガン大学消費者信頼感指数は3月速報値で97.6ポイントと、昨年11月の大統領選挙直後の93.8ポイントから上昇した位置にある([第1図])。実体経済指標にはまだトランプ大統領の政策影響は反映されていないが、非農業部門雇用者数が2月まで2ヶ月連続で前月比+200千人を超える増加を見せるなど好調に推移している。本レポートでは、1月22日付当レポートでみた大統領就任演説以降の同氏の動向を振り返るとともに、今後の米経済への影響を見ていく。

トランプ大統領就任後の日本にとって最初の大きなイベントは、2月にワシントンDCで行われた安倍首相との日米首脳会談だった。外交・経済問題いずれにおいてもこの会談は日本にとり有効な結果をもたらしたといえる。2月10日に公表された共同声明では、普天間飛行場代替施設の辺野古地区への建設、尖閣諸島への日米安全保障条約の適用、という2つの大きな軍事上の確認がなされた。経済関係においては、「自由で公正な貿易のルール」との文言が明記されたうえ、米国の環太平洋パートナシップ協定(TPP)からの離脱をふまえて日米間の二国間協議(日米経済対話)の設置が合意された([第1表])。

トランプ大統領は、選挙期間中に米国軍事外交における日本の位置づけを見直すともいえる発言をしていた(日米安保における日本への負担増要求発言-2016年5月5日付共同通信報道等)。これに対して、首脳会談において米国による日本の安全保障へのコミットを引き出し日本の立場を確認させた意義は大きい。また、保護主義を標榜するトランプ政権から共同声明において「自由で公正な貿易」の文言を引き出したことも同様に日本にとり大きな意義である。一方で米国のTPPでの多国間協議離脱を踏まえ、ただちに二国間協議を設置する方針に切り替えたことは、極めて機動的な対処といえる。TPP離脱や在日米軍費用の負担などのトランプ氏の方針に違わぬよう配慮しつつも、策定された合意事項は日本にとり外交上の一つの収穫だったといえる。

トランプ大統領は日米首脳会談において、その保護主義政策や「ジャパン・パッシング」的な考え方を少なくとも一時的に封印した。共同記者会見でトランプ氏は「経済について、我々は自由・公正・互恵的な通商関係を追求する」と明言した。日本の製造業は対米輸出や米国現地生産にその事業の多くを依存していることから、「米国第一」を標榜するトランプ政権との関係において、日系企業が必要以上のデメリットを蒙らないことが重要である。同会談は少なくとも日米通商関係において日本側がまず機先を制したといえる。今後については、(安倍首相が記者会見で複数回に亘り言及した)麻生副首相とペンス副大統領の下の日米経済対話において自由で公正な二国間交渉が行われるかを点検していくこととする。

[第1図]
20170321図1

[第1表]
20170321表1

上下両院会議演説では従前の政策を主張

2月28日、トランプ大統領は米議会上下院合同会議で(施政方針)演説を行った。これは、就任2年目以降の大統領が行う一般教書演説に相当する(就任直後の大統領の同演説は一般教書演説と称さないのが慣例)。この演説でトランプ大統領は、就任演説と同様過激な発言を慎重に避けた。また、一部の政策(移民政策改革、オバマケア廃止)については共和党・民主党の協調を呼びかけるなど、米国大統領としての立場を踏まえた演説を行ったといえる。一方で「私の仕事は世界を代表することではない、私の仕事はアメリカ合衆国を代表することだ」とナショナリスト的な考えを表象する発言もしている。

総じて同演説で表明された政策群は、これまでのトランプ大統領の政策と整合する内容である([第2表])。トランプ氏は演説の前半で、昨年の11月の当選以来の実績を述べた。それらの中には、複数の大企業が米国への投資を表明したこと、当選以来の株価の上昇、のほか、就任以来の大統領令で指示された諸事項が含まれている。主な実績として、行政機関高官の退任後のロビイング活動の禁止、1つの新規規制導入毎に2つの既存規制禁止、ダコタ・アクセスパイプライン建設の認可方針などのエネルギー政策、TPPからの離脱、移民の入国制限(1月27日大統領令で指示されるも米国第9巡回区控訴裁判所により差止め)、メキシコ国境への壁建設開始、などが述べられた。

演説の後半では、「次のステップ」として「税制改正」「移民受け入れ政策の転換」「1兆円のインフラ投資」「オバマケアの廃止」「軍備の拡張」などの今後の政策が述べられた。特に税制改正とオバマケア廃止については演説テキスト上相応の紙数を割いてこれらにかける意気込みを示した。税制については、米ハーレー・ダビッドソン社との会話を引用して、米国への輸入関税と輸出関税の不公平により米企業の海外事業が抑制されていることを主張。また医療保険制度については、「5つの原則」をしめして国民が自由に医療保険を選択できるべきことを主張した。「次のステップ」で示されたこれらの政策の一部はすでに、下院共和党による法案や、16日に議会に提出された大統領予算教書のブループリントによりある程度具体化されつつあるものもある。

総じてトランプ大統領の施政方針演説は、これまでの同氏の政策と整合する内容だった。しかし、トランプ氏が「次のステップ」と称した施策のうち、年内の実現が見通せる程に具体化しているものはない。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉はまだ具体的な大統領令や法案の形になっていない。NAFTAの相手国であるメキシコに対してトランプ氏は壁の建設を引き続き主張するなど強硬姿勢を続けている(メキシコのペニャニエト大統領は1月25日の大統領令を受け、予定されていた米墨首脳会談をキャンセルした)が、もう一つの相手国であるカナダに対しては、2月14日のトルドー加首相との会談において友好関係を演出し、通商問題への重要な言及はなかった。税制改正は、法人税・所得税減税とこれを補完する国境税の創設が主たるアジェンダであり、これらを含む包括的税制改正については既に昨年2016年6月24日に下院共和党がブループリントを公表している。しかしトランプ政権自身による具体的改正案はまだ公表されていない。オバマケア廃止については、3月6日に下院共和党が代替法案たる米国ヘルスケア法案(American Health Care Act)を公表しているが、本案の審議はこれからである。

[第2表]
20170321表2

予算教書ブループリントは具体性に欠ける

16日に米行政管理予算局(OMB)は、大統領予算教書の簡易版ともいえる「米国を再び偉大にする予算のブループリント」”A Budget Blueprint to Make America Great Again”を議会に提出した。大統領予算教書は毎年2月頃に提出されるのが慣行である。トランプ大統領はこれを3月に後倒しかつこれを簡易な「ブループリント」の形で公表した。この手続きは慣行に照らし異例であるのみならず、その内容は、トランプ政権の財政政策がいまだ具体的な数値の積み上げで裏付けられていないことを示唆するものであった。

「ブループリント」の巻頭言においてトランプ大統領は「政府債務増加を伴わない防衛費大幅拡大」「移民統制予算の著しい増加」「メキシコ国境の壁や警備等への追加措置」「凶悪犯罪対応予算の拡大」「米国内の税収増加」の5つを同書の主要な政策として挙げている。しかしこれに続く本文には、通常の予算教書に見られる、経済財政分析や大統領予算案の概要を解説する章がなく、巻頭言の後すぐに省庁毎の予算の記述に入っている。またその予算案は主に歳出面のみで成り立っており税収入など歳入面の数値記載がない。また歳出についても国防費など裁量的支出に関する事項に限られており、社会保障費などの義務的支出については多くが語られていない。

「ブループリント」に見られる財政政策案は以下に要約できる。すなわち、国防費を大幅増加させる一方でその他の裁量的支出を削減し、ネットで裁量的支出を削減するというものである。同案によれば、2018財政年度において、国防省(前年度比+523億ドル)、国土安全保障省(同+28億ドル)、退役軍人省(同+44億ドル)などの予算を増額するとされている。これは国防費の大幅増加というトランプ氏の公約の反映である。一方で保健福祉省、教育省、国際開発庁などその他のほとんどの省庁の予算削減を謳っている。結果ネットで-136億ドルの裁量的支出の削減を要請している([第3表])。なお、国防予算の増額に当たっては、従前のトランプ氏の公約通り、2011年財政管理法による国防支出上限と削減義務を撤廃することが謳われている(1月22日付当レポート参照)。総じてこの予算案はこれまでのトランプ氏の発言や政策に整合するものである。特に国防と退役軍人に手厚い予算を配賦する一方で、保険、教育、対外開発援助に関する予算を削減していることは、同氏の政策をよく反映している。

「ブループリント」は大統領予算教書としては未完成であり、これまでのトランプ大統領の発言等から大きく踏み込んだ具体策が示されたとは言いにくい。同書はトランプ氏の政策の特徴を明瞭に反映したシンプルな構成である。しかし、具体的な政策の実現に向けては、マクロの観点からの分析影響分析の裏付けを十分に手当てしたうえで、最終的な大統領予算教書の提出に進むことが必要であろう。その為には、連邦行政機関等の高官任命やスタッフ人事の整備を早期に実施することが必要となろう。「ブループリント」はトランプ氏の財政政策の年度内の実現は困難との当レポートの見方を支持する内容だったといえる。

[第3表]
20170321表3

成長見通しへの反映は時期尚早:ネットで押し上げ効果との見方は維持

以上、就任以来のトランプ大統領の主に経済に関する政策の動向を見てきた。ここまでのトランプ氏の動きには大きな政策転換などのサプライズはなく、概ねシナリオ通りの進行だったといえる。しかし、同氏の政策は、いまだこれらを米国の成長予想に反映するほどには具体化されていない。筆者個人は従前より、トランプ氏の政策が結果的にネットで米経済成長にプラスの効果をもたらすと見ており、現状ではその見方を維持する。しかし、FRB連邦公開市場委員会(FOMC)がいまだ新政権の政策の経済見通しへの影響の反映を見送っているように、詳細な影響分析に耐える定量的材料をまだトランプ政権は提供していないといえる。現状では、今後具体化が見込まれその経済的影響が大きいと見込まれる政策として、①税制改正、②オバマケア廃止、③1兆円のインフラ投資、を挙げておきたい。

①税制改正、は大きく法人税・所得税減税と国境税導入に分かれる。トランプ大統領は2月9日に「意欲的な税制改革プランを数週間以内に公表する」ことを表明した(各種報道による)が、その後具体的な公表は大統領からは聞かれない。また予算教書「ブループリント」においても税制に関する記述は見られなかった。しかし、筆者個人はこの税制改正が米経済成長に最も大きな押し上げ効果をもつ政策だと見ている。包括的な税制改正案として2016年6月24日に下院共和党が税制改革案”A Better Way-Our Vision for a Confident America”を公表済である。今後議会では本案を中心に審議がなされるだろう。

②オバマケア廃止については、3月6日に下院共和党が代替法案たる米国ヘルスケア法案”American Health Care Act”を公表している。オバマケア廃止には法令改正の他、オバマケアで構築した国民皆保険に関する各種制度やインフラの改廃が必要であり、これも1年程度での実現は難しそうである。しかしオバマケア廃止は従前からの共和党議員の政策であり、トランプ大統領と議会が一致する政策の一つである。したがって同法案の審議は予想以上に早期に進む可能性はある。

③1兆円のインフラ投資についてトランプ大統領は選挙期間中の公約からほとんど具体的な踏み込んだ内容がみられない。むしろインフラ投資は野党の民主党の政策に整合するものである。上院民主党は1月24日に、10年間で1兆ドルのインフラ投資計画案”A Blueprint to Rebuild America’s Infrastructure”を公表している。

なお、就任以来これまでにトランプ大統領が署名した大統領令・大統領覚書の一覧を[第4表]に示す。

20170321表4

<経済レポート> +0.25%の追加利上げ決定:3月FOMC

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FOMCは14-15日の定例会合で、3ヶ月ぶりとなる+0.25%の追加利上げを決定し、FF金利誘導目標レンジを0.75-1.00%とした。声明文などからは利上げペースの加速を明示的に示唆する情報はなく、市場はこれをハト派と受け止めたようである。筆者自身も年内利上げは今回を含め合計+0.75%との個人予想を維持するが、労働市場ギャップとインフレギャップが解消した現状では、FF金利の中立水準への引上げを早期に実施すべきとの見方が自然であり、利上げ予想には引き続き上方リスクを見ておく。

FOMCは3ヶ月ぶりの利上げ決定:インフレ率2%安定の見通し

FRB連邦公開市場委員会(FOMC)は3月14-15日の定例会合で、FF金利誘導目標レンジを+0.25%引上げ0.75-1.00%とすることを決定した。FOMCの追加利上げは2016年12月定例会合以来3ヶ月ぶり、また実質ゼロ金利政策以降では、2015年12月の最初の利上げを含め3回目の利上げとなる([第1図])。本レポートでは、3月FOMC会合の声明文、FOMC委員の四半期経済予測、イエレンFRB議長の会合後の定例記者会見の内容をもとに、今回の利上げの背景と今後の金融政策予想を点検する。

まず、会合後に公表された声明文の内容を見ていく(末尾[第3表])。3月FOMC声明文の内容は前回2月のそれに比べて経済成長やインフレにつき判断が好転していることが読み取れるが、経済見通しに本質的な変更は見られない。今回の利上げが従前の利上げ見通しに基づき済々と決定されたことがうかがえる(ただし1名の反対票あり)。基調判断のパラグラフでは「インフレ率は最近の数四半期に上昇し委員会の2%の長期目標に接近しつつある」とされ、従前の「依然委員会の2%の長期目標を下回っている」から上方改訂された。設備投資も「いくぶん強まったように見える」とされて、従前の「軟化したまま」から判断が引き上げられた。経済見通しのパラグラフにおいては「インフレ率は中期的には2%付近で安定するだろう」とされ、従前の「中期的には2%に上昇するだろう」から判断が引き上げられている。これは、会合時点で公表されていた個人消費価格指数(PCEデフレーター)の前年比伸び率が+1.9%にまで上昇したことの反映であるとともに、インフレ率が2%に到達後、これが一時的なものでなく持続的になるとFOMCが見通していることが示唆されている。

これらの基調判断と見通しを踏まえ、FOMCは「FF金利誘導目標レンジを0.75-1.00%に引き上げることを決定した」。また、フォワードガイダンスのパラグラフでは「委員会はその対称的なインフレ目標との関係においてインフレ実績と予想を注意深く監視していく」とされた。ここでは、従前の「現在のインフレ率の2%からの下方乖離に鑑み」の文言が削除されるとともに、インフレ目標が「対称的(symmetric)」であることを確認する文言が挿入された。これはのちに見るイエレン議長の記者会見での発言にもあるように、これまでのインフレ率下振れ状態から、今後はインフレ率が一時的に2%を超える上方リスクをもFOMCが勘案し始めたことを示唆している。しかし、総じて声明文の内容は前回2月声明文と比較して大きな変化はなく、特にフォワードガイダンスのパラグラフにおいて今後の利上げペース加速を示唆する文言変更はなされていない。なお、今回の決定においては、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、FF金利誘導目標レンジの現状維持を主張して反対票を投じている。

[第1図]
20170319b図1

委員予測は不変:3年後には需要超過を示唆している

次に、声明文と同時に公表されたFOMC委員の四半期毎の経済予測の内容をみる。3月時点のFOMC委員の経済予測のうち、実質GDP成長率、失業率、PCEインフレ率の予測中央値は前回12月時点の予測と比べてほとんど変化はなかった。実質GDPの長期均衡成長率は+1.8%、今後2019年間でこれをやや上回る前年比+2%前後の成長が続くと予想されている。失業率は2019年まで、長期均衡水準(4.7%)を下回る4.5%で推移。PCEインフレ率は長期均衡水準と同じ+2%で推移するとされた。

適切なFF金利予測の中央値も大きな変化はなく、2017年末のそれは前回同様1.4%つまり2017年内に合計+0.75%の利上げが実施されるとの結果になっている。また長期的均衡FF金利水準は3.0%と前回予測比不変である([第1表])。今後の利上げペースに関する予測の分布は、2017年末に1.375%(年内合計+0.75%の利上げ)を予測する委員が9名と、前回の6名から増加した([第2図])。2017年末FF金利水準予測の平均値は、前回12月予測の1.375%から今回は1.404%に上昇しており、利上げ加速方向にややシフトしているといえる。また長期均衡水準である3.0%にFF金利誘導目標を引き上げるのは12月予測同様2019年とされている。

FOMC委員経済予測に大きな変化は見られなかったが、この予測は今後の利上げペースが現状の委員予測よりも加速する可能性を示唆している。委員予測中央値によれば、米国経済は今後約3年間潜在成長率を上回るペースで成長し、失業率は自然失業率を下回る水準に低下すすることになっている。これは、2019年に米国経済は需要超過の状態になっていることを意味する。祖の場合、物価上昇率は現状よりも加速するはずである、つまり今後3年の間にインフレ率は2%を超えて上昇する可能性があることをこの予測自体は示唆しているといえる。その場合、FF金利を中立水準よりも低いレベルに維持することがインフレの目標値以上への加速リスクをもたらす可能性がでてくる。

[第1表]
20170319b表1

[第2図]
20170319b図2

“gradual”は”measured”にあらず

更に、会合後に実施されたイエレン議長の定例記者会見の内容を見る。記者会見の冒頭発言でイエレン議長は、今回の利上げ決定の背景につき声明文とほぼ同内容の基調判断と見通しを述べた。さらに議長は冒頭発言で「漸進的な」利上げが正当であるとの声明文の背景につき「中立名目金利が歴史的基準に照らし極めて低い」ことを挙げている。中立金利の低下はイエレン議長がこれまでにもしばしば触れていたことである(3月3日シカゴ講演など)。ただし今回はこれに加えて「我々はFF金利の中立水準は今後いくぶん上昇すると予想している」と述べ、これが「今後何年かの間の漸進的な追加利上げが適切」であることの背景であるとしている。

また、FRBの保有資産の再投資政策については「我々は本会合で再投資政策の最終的な変更に関する多数の課題につき議論した」「我々のバランスシートを正常化する手続きは漸進的で予測可能との我々の減速を守るため、我々は可能な時点で更なる情報を提供する」と述べた。これは、2017年9月17日にイエレン議長のもとFRBが公表した「金融政策正常化の原則と計画」([第2表])の中で「FRBの証券保有の縮小は漸進的に予測可能な方法で、一義的には償還金の再投資停止により実施する」としていることを踏まえたものである。またこれは、前回2月定例会合の議事要旨で今後再投資政策の変更につき会合で議論していくとされていたこととも整合している。

記者会見の質疑応答でイエレン議長はいくつかの興味深い発言を行っている。まず「漸進的な(gradual)」利上げペースの意味についての質問に答えて議長は、過去2004年半ばからの金融引締め局面で「金利がすべての会合毎に引き上げられた」ことに言及、これが「漸進的かつ一定のペース(measured pace)」であったと見られたのに対し「我々は決してかかるやり方を展望していない」と述べた。”Measured pace”は、2004年からの利上げ局面で、当時のグリーンスパンFRB議長が声明文等で用いていた今後の利上げペース示唆文言である。これに対しイエレン議長は、今後の利上げペースを「一定の」ペースとせず、会合毎に利上げ要否を判断するとの姿勢を確認したものといえる。また、トランプ大統領の経済政策につきイエレン議長は記者の質問に対し「我々は潜在的な政策変更を詳細には議論していない」と述べて、現在の金融政策がトランプ大統領の今後の政策を反映していないことを述べた。これは前回2月定例会合の議事要旨でみられた、経済政策は詳細を待つとの方針が本会合でも踏襲されたことを示唆している。中立実質金利については、FOMC委員経済予測中央値からはこれが約1%とみられることを再び述べている(イエレン議長は3月3日のシカゴ講演でも同様の見解を述べている)。また、声明文に新たに挿入された「対称的な」インフレ目標文言については、これをFRBの「長期目標と金融政策戦略」の文言からの引用であることを説明するとともに、「これまではインフレ率の2%目標からの下方乖離があった」が「現在ではインフレ率はほぼ2%に上昇した」ことを同文言の声明文への採用の背景としている。

[第2表]
20170319b表2

利上げ予想へのリスクは引き続き加速方向

3月FOMCの利上げ決定は当レポートの予想通りであった。公表された声明文やFOMC委員経済予測に大きな変化がなかったことから、市場はこれをハト派的な内容と受け止めた模様である。市場ではFOMC結果を受けて長期金利が低下、FOMC前の14日に2.6%まで上昇していた米国債10年物利回りは結果公表後の15日には2.49%に低下した。イエレン議長自身も今後の利上げペースが「漸進的」でありその目途はFOMC委員予測中央値の年内合計+0.75であることを暗示する発言をしている。筆者個人もFRBの金融政策につき、年内合計+0.75%の利上げ、年末のFF金利誘導目標レンジを1.25-1.50%とする個人予想は維持しておく。

しかしながら、利上げペースが年3回を超える上方リスクは引続き考慮しておくこととする。その理由の第1は、米国の実質中立金利はFOMCの想定する1%よりも高いかまたは早晩上昇する可能性が高いと見ることである。筆者の試算によれば米国の潜在成長率は1.5%程度とみられる。中立実質金利を1.5%とした場合のテイラー・ルール公式による2017年末の適正FF金利水準は約2.8%と試算される(2月5日付当レポート参照)。仮に中立実質金利をFOMCの見る1%としても、年末の適正FF金利は約1.8%と計算される。中立実質金利が1%の低位にあること自体は、FOMC自身が予測する長期均衡FF金利3%への到達ペースを遅くする理由にはならない。失業率ギャップとインフレギャップが解消しかつこれが持続的とFOMC自身が予測している現状では、FF金利の中立水準への回帰をいち早く進めることがビハインド・ザ・カーブ回避に必要というのが本来は自然な帰結であろう。第2は、現在FOMCの経済見通しに織り込まれていないトランプ大統領の経済政策が成長加速期待をもたらす可能性があることである。

一方で、FOMCの利上げペースに係る下方リスク要因は大きく2つある。1つは短期的に、1-3月期の実質GDP成長率の下振れリスクである。1月の実質個人消費は前月比マイナスの伸びにとどまり、1-3月期のGDP統計上の実質個人消費の伸び率は前期比年率+2%を下回るリスクが出てきている。第2に、トランプ大統領の政策や欧州政治動向などの不確定な要因が今後の米経済成長を下振れさせるリスクである。ただ、前者はおそらく統計上の要因にとどまる可能性が高く、また後者は現状の予測が困難な政治要因であるため、現状ではこれらの下方リスクを認識しておくにとどめておきたい。

[第3表]
20170319b表3c

<経済指標コメント> 米2月小売売上高は前月比+0.1%

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[米国]

企業在庫(1月)は前月比+0.3%、企業売上高は同+0.2%、在庫売上高比率は1.35倍

1月の企業在庫は前月比+0.3%と強めの伸び。企業売上高は同+0.2%、前年比の伸び率は+6.4%と2012年2月以来の高水準にある。一方で在庫売上高比率は1.35倍と前月比横ばい、2014年12月以来の低水準にある。売上と在庫の増加で在庫循環図は在庫積み増し局面にある。総じて、企業売上の回復により在庫調整が終了して企業在庫はタイトな状態にあり、在庫積み上げペースは加速している。企業部門が生産拡大局面に入っていることを示唆する内容である。

20170319図1

消費者物価指数(2月)は前月比+0.1%(前年比+2.7%)、同コア指数は前月比+0.2%(前年比+2.2%)

2月の消費者物価指数は前月比+0.1%と上昇、前年比では+2.7%と2012年3月以来の上昇率に加速した。食品及びエネルギーを除くコア指数は前月比+0.2%、前年比では+2.2%と堅調な上昇率を保っている。費目別には、原油価格低下でガソリンが前月比-3.0%と低下したが、電力・ガスなどエネルギーサービス(同+1.0%)、及び運輸サービス(同+0.7%)などは遅行的に上昇を続けている。前年比伸び率ではガソリンが同+30.7%と大幅上昇しているほか、運輸サービス(同+3.6%)、住居家賃(同+3.9%)が強い伸びを継続、衣服(同+0.4%)、新車(同+0.5%)などの価格も前年比で上昇を続けている。総合インフレ率の上昇は2015年初の原油価格急落要因の剥落によるところが大きい。一方、コアインフレ率は家賃等の伸びにより+2%近辺の安定的な上昇率を保っている。米国のインフレ率はFRBの目標とする+2%の伸びを持続的に維持できる環境に回帰しつつある。もっともコアインフレ率の上昇を支えているのは依然家賃関連で、食品・エネルギー・住居を除くインフレ率は前年比+1.3%の上昇にとどまっていることには留意したい。

20170319図2

小売売上高(2月)は前月比+0.1%、除く自動車関連同+0.2%

2月の小売売上高は前月比+0.1%と弱めの増加にとどまった。自動車関連を除くベースでも同+0.2%の伸び。業種別には、新車販売の減少を反映した自動車及び同部品ディーラーが同-0.2%、ガソリン価格低下を反映したガソリンスタンドが同-0.6%と売上減少したほか、家電店(同-2.8%)、衣服店(同-0.5%)、スポーツ用品店等(同-0.4%)などの売上が減少。一方で家具店(同+0.7%)、建築資材店(同+1.8%)などの売上は増加した。総じて2月の小売売上は単月でまちまちな内容となった。もっとも、自動車・ガソリン・レストランを除くコア小売売上高は同+0.3%と比較的堅調である。2月の小売売上全体の減速は1月の急増(同+0.6%)の反動とも見られ、また2月までの1-3月期小売売上高は前期比+1.1%と前期の同+0.9%から加速している、総じて個人消費は堅調な拡大を続けているといってよい。ただし、GDP統計上の実質個人消費は1月分が前月比-0.3%と減少したことから、1-3月期の実質個人消費は数字上予想比下振れて推移している。

20170319図3

住宅着工戸数(2月)は年率1288千戸(前月比+3.0%)、着工許可件数は同1213千件(同-6.2%)

2月の住宅着工戸数は年率1288千戸(前月比+3.0%)と反転増加、6ヶ月移動平均は同1222.5千戸(同+1.7%)と5ヶ月連続の上昇で、住宅着工は月毎の振れを伴いながらも堅調な増加ペースを保っている。2月までの1-3月期着工戸数は前期比+1.8%とプラスの伸びを保っており、1-3月期GDP統計上の住宅投資が2四半期連続プラスの伸びになるとの見方に整合している。住宅着工の先行指標となる住宅着工許可件数は同1213千件(同-6.2%)と3ヶ月ぶりに減少したが、6ヶ月移動平均は1238.5千件(同+0.8%)と6ヶ月連続上昇かつ着工戸数の6ヶ月移動平均を上回っている。今後も住宅着工は堅調に増加すると見る。

20170319図4

鉱工業生産指数(2月)は前月比横ばい、設備稼働率は75.4%

2月の鉱工業生産指数は前月比横ばい。しかし内訳をみると、製造業同+0.5%、鉱業同+2.7%、公益事業同-5.7%と、ガス・電力の公益事業の指数低下が全体を押し下げている一方で、製造業は堅調な上昇基調を維持、鉱業は大幅な回復ペースにあるといえる。設備稼働率は75.4%(前月比-0.1%ポイント)と低下。ここでも製造業と鉱業は上昇、公益事業の低下が全体を押し下げた形。総じて、振れの大きい公益事業を除いて鉱工業生産は回復局面にあるといってよい。これは在庫循環における在庫積み増しや海外景気減速の一服といった状況とも整合している。

20170319図5

<経済指標コメント> 米2月非農業部門雇用者数は前月比+235千人

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[日本]

実質GDP成長率(10-12月期、2次速報値)は前期比年率+1.2%

10-12月期の実質GDP成長率(2次速報値)は前期比年率+1.2%と、1次速報値の同+1.0%から上方改訂された。需要項目別内訳は家計消費同+0.1%(1次速報値同-0.1%)、住宅投資同+0.5%(同+0.7%)、設備投資同+8.4%(同+3.8%)、公的需要同-1.1%(同-0.2%)、在庫投資寄与度同-0.9%(同-0.6%)、純輸出寄与度同+0.8%(同+0.8%)。家計消費と設備投資の上方改訂が全体を押し上げた形。特に設備投資の回復は成長率を+1.3%押し上げ、外需回復による純輸出の伸びとともに成長のけん引力となった。在庫調整の進捗で企業部門がようやく回復してきたことが反映されている。一方家計消費は1次速報値のマイナス成長からプラス成長に改訂されたものの、その拡大ペースはまだ強くない。家計消費・住宅投資・設備投資を合わせた国内最終民間需要は同+1.8%と、前期の同+1.3%から加速、住宅と企業部門中心に内需も成長を押し上げている。結果、日本の実質GDP成長率は前期の同+1.2%並みの成長を持続、かつ4四半期連続で潜在成長率(内閣府推計では同+0.9%)を上回る成長を維持したことになる。外需と設備投資の回復で日本経済が堅調に成長している構図は不変で、2017暦年成長率を前年比+1%レベルとみる当レポートの予想を維持する。

20170312図1

景気ウォッチャ―調査(2月):現状判断DIは48.6(前月比-1.2ポイント)、先行き判断DIは50.6(同+1.2ポイント)

2月の景気ウォッチャ―調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは48.6(前月比-1.2ポイント)と2ヶ月連続低下かつ3ヶ月連続で横ばいを示す50を下回った。家計動向関連・企業動向関連・雇用関連のすべてのDIが前月比低下した。一方、2~3ヶ月先の景気の先行きに対数判断DIは50.6(同+1.2ポイント)と3ヶ月ぶりに上昇、かつ横ばいを示す50を3ヶ月ぶりに上回った。家計・企業・雇用関連すべてのDIが上昇した。景気判断理由には「訪日外国人客の販売が良く、、、法人では年末からの需要が続いている(旅行代理店)」「プレミアムフライデーを一つの起爆剤として、、これを定着させたい(スーパー)」「インバウンドが来客数や売上をけん引しているが、つられて買物をする日本人の客も多くなっている(観光名所)」など、インバウンドのみならずプレミアムフライデーなどによる国内消費需要の増加への期待が高まっている。一方で「前月同様に今月も平日を中心に暴風雪が多かった、、、ため、客足に大きな影響(スーパー)」といった天候要因が現状判断を下げている。総じて、1月にかけてトランプ大統領当選決定後の街角景気上昇は一服して不透明感が景況観を抑制し天候など一時要因でDI一時下がったものの、先行き春にかけては家計・企業ともに期待を持つ向きが多いといえる。今後の街角景気への影響要因はトランプ大統領政策のほか為替レートである。

20170312図2

[米国]

雇用統計(2月):非農業部門雇用者数は前月比+235千人、失業率は4.7%

2月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+235千人と好調な伸び。前月改定値同+238千人に続き2ヶ月連続で+200千人を超える増加となった。同3ヶ月移動平均は同+209.3千人と2ヶ月連続上昇かつ5ヶ月ぶりに+200人を超えた。業種別内訳は、建設業同+58千人、製造業同+28千人、専門ビジネスサービス同+37千人、教育・医療同+62千人など、建設業の増加が目立つほか、専門ビジネスサービスや教育・医療といった米国雇用の基幹業種が雇用を増加させている。一方で小売業は同-26千人と雇用を減少させた。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者、季節調整済)は前年比+2.5%と、前月の同+2.3%から上昇ペースが加速、依然賃金上昇率の上昇ペースは遅いが、今後失業率低下に遅行して上昇が加速する可能性を示唆している。雇用者数の伸び前年比+1.6%、週平均労働時間同横ばいと合わせて雇用者の名目購買力は前年比+4.1%の伸び、インフレ率を差し引いても実質ベースで同+2%の実質購買力が確保されている。家計調査による失業率は4.7%と前月の4.8%から低下。内訳をみると、労働力人口と就業者数の増加を伴う良い失業率低下である。結果労働参加率は63.0%と前月の62.9%から上昇し昨年3月以来の水準に上昇した。失業率は自然失業率(米議会予算局推計では4.7%、昨年12月時点のFOMC委員経済予測では4.8%)と同じ水準にあり、米雇用市場はほぼ完全雇用にあるといえる。総じて米雇用市場は予想以上に好調な拡大を続けており、3月FOMCでの追加利上げ個人予想を支持する結果である。もっとも、雇用者数の前年比伸び率+1.6%は、昨年初の同+2%レベルからは低減しており、雇用市場が循環的な減速局面にあることには変わりない。

20170312図3

<経済レポート> 引き締め加速の可能性②:FOMC見通し

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2月のFRB関連のイベントと経済指標は、いずれも年内の利上げが筆者の個人予想比加速する可能性を示唆するものだった。イエレン議長は講演等で利上げ加速の可能性を暗示、インフレ率も1月時点でFRBの目標である2%にほぼ接近した。次回3月14-15日のFOMC定例会合で+0.25%の利上げが決定されるとの従前からの個人予想を維持する。またこれと合わせて年内合計3回の利上げとの個人予想には上方リスクを引き続き見ておきたい。

2月FOMC議事要旨はタカ派的内容だった

2月5日付当レポートでは、FRBによる利上げペースが予想以上に加速し今年の利上げ回数が3回を超える可能性を見た。その後の経済指標やFRB高官発言はこの見方をさらに裏付けるものとなっている。以下本レポートでは2月に公表されたFRB関連情報、イエレンFRB議長発言、経済指標を点検していく。

まず、2月のFRB連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合の内容をみる。22日に公表された1月31日―2月1日FOMC(金融政策維持を全会一致で決定)の議事要旨によれば、「参加者は彼らの経済・金融政策予想は12月会合からほとんど変わっておらず」「本会合ではFF金利誘導目標レンジを0.5-0.75%に維持するのが適切と考えた」とされており、2月の利上げ見送りについては比較的たやすく合意された模様である。

しかしながら、今後の金融政策緩和解除の行程についてタカ派的意見が多かったといえる。金融政策見通しに関する議論の中で、多くの(many)参加者が「今後入手される労働市場とインフレに関する情報が彼らの現在の予想と整合またはより強い場合、または委員会の雇用最大化とインフレ目標がオーバーシュートするリスクが高まった場合は、FF金利をかなり早期に(fairly soon)再び引き上げることが適切かもしれないとの考えを強調した」とのべた。また、何人かの(a few)参加者は「緩和政策解除を継続することで、委員会は将来の経済条件の変動により柔軟に対応できる」と述べた。また数人の(several)参加者は「特に経済成長が現状期待より加速した場合に、長期的な均衡失業率が下方に大きくオーバーシュートするリスクは高いと判断した」「その状況が進めば、インフレ圧力を抑制するために委員会はFF金利を現在の予想よりも速く引上げる必要が出てくるかもしれない」と述べている。さらに参加者は、保有する国債等の満期における再投資政策の変更を今後の会合で議論すべきことで総じて合意した、ともされている。また2-3人の(a couple of)参加者は「金融政策の漸進的な解除」との文言が年間1-2回のみの利上げをコミットしたものと誤解される可能性に懸念をしめした、とされている。

イエレン議長は議会証言でも早期の利上げを暗示

2月FOMC議事要旨からは、FOMC委員の中で、継続的な金融緩和解除の方針がおそらく過半数の参加者で合意されている。議事要旨をみる限りでは3月定例会合での利上げを示唆する文言はない。しかし、インフレと失業率のオーバーシュート懸念が複数の参加者から示されていることは、利上げペース加速の可能性を示唆している。なお、何人かの参加者から示された「利上げ継続により将来の経済変動への柔軟な対応が可能になる」との見方は、従前より当レポートで主張してきた「早期の利上げが将来の金融政策ののりしろとなる」との考え方に類似するものである。また、トランプ新大統領の政策について「ほとんどの参加者は、政府の財政政策等の規模、構成、変更時期については不確実性が高いとの見方を継続した」とされている。

次に、2月14、15日に行われた、イエレンFRB議長による議会宛半期金融政策報告の冒頭証言の内容をみる。議会上院の銀行・住宅・都市委員会(14日)と、下院の金融サービス委員会(15日)で行われた証言のテキストによれば、議長はFOMCの経済基調判断及び見通しと、12月の利上げ実施及び2月の利上げ見送りについての説明ののち、「従前にも述べた通り、緩和政策解除を長く待ちすぎることは賢明でなく、潜在的にFOMCの利上げペースを速くせねばならない結果となり、金融市場を混乱させ経済をリセッションに陥らせるリスクとなりうる」と述べ、利上げ開始の遅れが結果的に後の利上げペース加速により経済・金融を混乱させるリスクに言及した。また、中立金利の低下についても「現状の中立金利が金融危機前よりかなり低いことは、遅い生産性上昇、海外経済の減速、長期安全資産への強い需要や他の要素の反映かもしれない」としたうえで、「委員会は(中立金利を)押し下げている効果は今後いくぶん減退して、中立金利を引き上げ」うるとも述べている。また今後の金融政策について「来る会合〔複数形〕において、FOMCは雇用とインフレがこうした予想に沿って推移しているかを評価し、沿っている場合はFF金利の更なる調整が適切となる可能性が高い」と述べ、近い会合での追加利上げの可能性を示唆した。

なお、イエレン議長は新大統領の政策につき「財政政策や他の経済政策の変更は潜在的に経済見通しに影響を与える」「もちろん、如何なる政策変更が実施されるか、またその経済効果を知るには現在は時期尚早である」と述べ、2月FOMCの見方を踏襲している。さらにイエレン議長は「特定の税制や財政提案に意見を述べるのは私の意図ではないが、長期的な経済成長ペース改善と米国民生活水準の上昇と生産性向上を目指す政策で実施することの重要性を指摘したい」「財政政策は米国財政を持続的軌道に乗せることと整合的であることを望む」として、トランプ大統領の政策に一部コメントしている。

シカゴ講演では利上げ加速の可能性を示唆

次に、イエレン議長が3日にシカゴで行った「緩和の追加から縮小へ」と題する講演の内容をみる。同講演でイエレン議長は、金融危機後、2014年の量的緩和解除、2015-2016年の利上げ開始、の3期に分けてFRB金融政策の変化を振り返ったうえで今後の金融政策について論じている。まず議長は、金融政策の緩和度合を計るのに有用な概念としての「中立実質金利」をここでも論じている。ここ数年の間に中立実質金利は大幅に低下したと述べたうえで、現状のFOMC委員経済予測から導出できる長期均衡中立実質FF金利は約1%(12月FOMC委員経済予測における長期均衡FF金利中央値と長期均衡インフレ率の差)としている。一方、現在の中立実質金利は、ある研究によればほぼゼロ%と推計されていることと比較し、現在の実質FF金利実績が約-1%であることは、現在の金融政策が適度に緩和的であることを示しているとしている。

またイエレン議長は、2014年10月にFRBが量的金融緩和政策の手段としての資産購入を停止して以来、利上げが2015年と2016年のそれぞれ1回にとどまり、2014年時点のFOMC予測よりもペースが遅くなったのは、2015年の原油価格急落やドル高、経済成長とインフレ率の下ブレ、中国経済減速や英国EU離脱選択などの予期せぬ事象のためだと述べた。また、中立実質金利の低下や、長期均衡失業率予想の低下(12月時点のFOMC委員経済予測による長期均衡失業率は4.75%)が、2014年時点のFOMC委員予想よりも金融緩和政策が長期化したことの背景であると述べている。

しかし、2016年半ば以降の動向についてイエレン議長は強気の評価をしている。議長は「2016年半ば以降の動向は、法律が付与した委員会の目標(雇用最大化とインフレ安定)の達成に向けた軌道にあるとの委員会の確信をさらに強めた」と述べた。背景として失業率がFOMC委員予測による上記の長期均衡水準である4.8%に低下したこと、FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の前年比伸び率が+2%に接近したこと、を挙げている(1日に公表された1月PCEインフレ率は前年比+1.9%と、2月会合時点で判明していた12月の同+1.6%からさらに上昇している)。

インフレギャップと需給ギャップは解消へ:新FRB理事ポストもタカ派の可能性

今後の金融政策について講演で議長は12月時点のFOMC委員予測中央値である「2016年に合計0.75%の利上げ」が「今年については適切である可能性が高い」、また「FRBがビハインド・ザ・カーブになっているとの証跡は現状ない」と述べており、あくまで今年3回つまり+0.75%の利上げがFOMCの現状のメインシナリオであることを強調している。しかし冒頭証言の最後には「経済見通しに下方影響を与える予期せぬ動向がなければ、緩和政策の解除のプロセスは過去2年ほどには遅くない可能性が高い」と述べた。イエレン議長の一連の発言は、3月定例会合での利上げを直接示唆するものはなく、また今年の利上げ幅が3回合計+0.75%を超えることを直接に示唆するものもない。失業率の低下やインフレ率の上昇により、イエレン議長の発言が微妙にタカ派方向にシフトしていることは読み取れる。

最後に、2月FOMC定例会合以降の経済指標を見る。これらも今年のFRB利上げペースの加速の可能性を示唆している。上記の通りPCEインフレ率は1月時点で既に2%に接近している。現状ペースだと、2017年末には総合PCEインフレ率、コアPCEインフレ率ともに前年比+2%レベルになると見る([第1図])。また、10-12月期の実質GDP成長率は速報値と同じ前期比年率+1.9%を維持、結果10-12月期時点のマイナスの需給ギャップは約-0.9%、筆者個人の成長予想によれば2017年末には概ね解消する計算になる([第2図])。2017年末にインフレ・ギャップと需給ギャップが解消した場合、中立実質金利をFOMC委員予測に従い+1.0%とした場合でも、テイラー・ルールによる同時期の適正FF金利水準は約3%となる計算になる。つまり、年末のFF金利誘導目標レンジを1.4%とするFOMC委員予測中央値は需給ギャップとインフレ率から与えられる適正FF金利水準に比べて著しく緩和的といえることになる。

以上より、次回3月14-15日の連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合での+0.25%の利上げ決定との個人予想を維持し、これを合わせ年内3回の利上げとの個人予想には上方リスクを引き続き見ておく。

なお、今年の金融政策を占うに当たり重要な一つの要素は、トランプ新政権により任命されるであろう空席のFRB理事ポストである。FRB理事ポストは7席(議長・副議長を含む)あるが、現在就任中の理事は5名、2名が空席である。現在の5名の理事はいずれも民主党オバマ大統領に指名された人物であり、政治的には民主党に近いリベラル派かつ金融政策についてはハト派の人物が約半数を占めている([第1表])。イエレン議長、タルーロ理事、ブレイナード理事はいずれもリベラルなハト派、一方でパウエル理事のみは共和党のブッシュ(父)大統領政権下で財務次官補を務めた経験がある。FRB理事ポストの空席が続いたのは、2015年以降民主党大統領と共和党上院のねじれが続いたことが一つの背景である。議会と大統領がいずれも共和党になった今年は、空席理事の指名承認が進む可能性がある。さらに10日、ハト派のタルーロ理事は4月5日頃をもって理事を辞任すると公表した。これで少なくとも3つの理事ポストがトランプ新政権により指名される可能性があることになる。トランプ大統領指名かつ共和党が多数を占める上院の承認による新理事はタカ派よりの人物になる可能性が高そうだ。こうした状況証拠も、今年の利上げペースが現在予想比加速する可能性を示唆する材料の一つである。

[第1図]
20170305b図1

[第2図]
20170305b図2

[第1表]
20170305b表1

<経済指標コメント> 日本の全国CPI(生鮮食品を除く総合)は前年比+0.1%

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[日本]

鉱工業生産指数(1月)は前月比-0.8%(前年比+3.2%)

1月の鉱工業生産指数は前月比-0.8%と6ヶ月ぶりの反落、しかし3ヶ月移動平均は6ヶ月連続で上昇しており、生産の上昇基調は不変である。出荷指数は同-0.4%、在庫指数同横ばい、在庫率指数同+1.7%。出荷の減少で在庫率が上昇した形である。在庫循環図は「意図せざる在庫減」から「在庫積み増し」局面に入りつつある。設備投資の先行指標となる資本財出荷は同-0.3%と2ヶ月連続低下した。総じて企業部門の生産は、在庫調整終了と海外景気安定化で昨年初以来回復局面にある。公表元の経済産業省は基調判断を「持ち直しの動き」に維持している。

20170305図1

住宅着工戸数(1月)は年率1001千戸(前月比+8.4%)

1月の住宅着工戸数は年率1001千戸(前月比+8.4%)と4ヶ月ぶりかつ大幅な増加。内訳は持家同-0.6%、貸家同+9.8%、分譲住宅同+18.0%と、貸家及び分譲住宅が全体を押し上げた形。持家は3ヶ月連続の減少で、前年比では-0.2%と12ヶ月ぶりのマイナスの伸びとなった。年後半より高水準からの減速が続いていた住宅着工戸数は1月単月では持ち直しているものの、持家着工の減少が続いていることからは、今後の持続性はまだ確実とは言いにくい。

20170305図2

実質家計消費支出(1月、二人以上の世帯)は前月比+0.5%(前年比-1.2%)

1月の実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比+0.5%と4ヶ月ぶりの増加。10-12月期にGDP統計上の実質家計消費は4四半期ぶりのマイナス成長となったが、1月はやや持ち直しのスタートである。しかし、前年比では-1.2%と11ヶ月連続マイナスの伸び、消費の水準は2014年の消費税率引き上げ前の水準を約-5%したまわっており、趨勢的な家計消費の減少傾向は不変である。勤労者世帯の実質実収入は前年比+1.0%と3ヶ月連続で増加に転じている。所得の増加傾向からは、消費支出も今後持ち直しが期待できる。

20170305図3

完全失業率(1月)は3.0%

1月の完全失業率は3.0%と前月の3.1%から低下、依然95年以来の低水準にある。内訳は、労働力人口前年比+0.5%、就業者数同+0.7%と、労働力人口の増加が労働市場のタイト化を緩和している状況は不変である。筆者試算の労働力化率は1月時点で60.3%と、昨年6月以降60%台を維持して上昇基調にある。

20170305図4

全国消費者物価指数(1月、生鮮食品を除く総合)は前月比+0.3%(前年比+0.1%)

1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPI)は前月比+0.3%と4ヶ月連続の上昇、前年比では+0.1%と2015年12月以来13ヶ月ぶりのプラスとなった。生鮮食品及びエネルギーを除く総合CPIは前月比+0.2%、前年比では横ばいに低下した(1月分より公表元の総務省は、従来の「食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数」〔いわゆる従来のコアコアCPI〕に加え「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」をメインの指標として公表開始した。これを新コアコアCPIと呼ぶことにすると、新コアコアCPIは従来のコアコアCPIよりも前年比の伸び率がいくぶん高めに算出される傾向があるようだ)。前年比の伸び率への寄与度を項目別に見ると、エネルギーが寄与度-0.06%とマイナス寄与度を大幅に縮小、一方で宿泊料、外国パック旅行費などが寄与度を高めている。2014年末の原油価格急落の影響が剥落したことで、エネルギー価格のマイナス寄与が解消したことがコアCPIインフレ率の上昇要因といえる。新たなコアコアCPIインフレ率は依然昨年初をピークに低下傾向をたどっている。しかし、このまま原油価格が安定推移すれば、2017年末にはコアCPIインフレ率、新コアコアCPIインフレ率ともに前年比+0.8%程度にまで上昇すると見る。日本銀行の2%インフレ目標にはまだ距離があるが、少なくとも表面上インフレ率は今年いっぱい上昇基調となり、追加緩和の必要性は後退してくると見る。

20170305図5

[米国]

耐久財受注(1月)は前月比+1.8%、除く運輸関連同-0.2%、非国防資本財受注(航空機を除く)同-0.4%、同出荷同-0.6%

1月の耐久財受注は前月比+1.8%の大幅増加、ただし変動の大きい航空機受注の増加が全体を押し上げており、除く運輸関連では同-0.2%の減少。設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機を除く)同-0.4%と4ヶ月ぶりの減少、GDP統計上の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同-0.6%と3ヶ月ぶりの減少。しかし、企業設備投資は昨年後半からの持ち直し基調を現状では保っているといえる。

20170305図6

実質GDP成長率(10-12月期、改定値)は前期比年率+1.9%

10-12月期の実質GDP成長率(改定値)は前期比年率+1.9%と速報値から不変。需要項目別内訳は個人消費同+3.0%(速報値同+2.5%)、設備投資同+1.3%(同+2.4%)、住宅投資同+9.6%(同+10.2%)、政府支出同+0.4%(同+1.2%)、財・サービス輸出同-4.0%(同-4.3%)、同輸入同+8.5%(同+8.3%)、在庫投資寄与度+0.94%(同+1.00%)。設備投資・住宅投資・政府支出の下方改訂を個人消費の上方改訂がカバーした形。個人消費は上方改訂により前期並みの同+3.0%の高い伸びを維持した結果になった。輸出の減少を主因に米経済成長率は3四半期ぶりの減速となったが、依然堅調な成長ペースを保っている。2017年通年成長率前年比+2%台前半~半ばの予想は維持できる。

20170305図7

実質個人消費(1月)は前月比-0.3%、PCEデフレーターは前月比+0.4%(前年比+1.9%)、同コアは前月比+0.3%(前年比+1.7%)

1月の実質個人消費は前月比-0.3%と5ヶ月ぶりの前月比減少。ただし過去分が上方改訂されて10-12月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+3.0%の強い伸び(7-9月期比横ばいの伸び)となった。1月の内訳は自動車販売の減少を反映した耐久財消費が同-0.8%、非耐久財消費が同横ばい、サービス消費が同-0.2%のマイナス。1月小売売上高の好調さに比して実質非耐久財消費の減少はやや下ブレ。サービス消費の振れの大きさを勘案すれば、個人消費は依然堅調と言える。もっとも、雇用増加ペースの減速は中期的な個人消費の減速要因となりうることは不変である。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.4%と強い伸び、前年比では+1.9%と2012年10月以来の高水準になり、FRBのインフレ目標である2%に急接近した。食品及びエネルギーを除くコアPCEデフレーターは前月比+0.3%、前年比+1.7%。2014年末の原油価格急落要因の剥落がインフレ率上昇の主因であるが、これはFOMCが3月14-15日の定例会合で追加利上げを決定するとの当レポートの予想を支持する結果である。なお現状ペースだと、2017年末には総合PCEインフレ率、コアPCEインフレ率ともに前年比+2%レベルになると見る。

20170305図8

新車販売台数(2月、乗用車及び軽トラック)は年率17.47百万台(前月比-0.1%、前年比-0.7%)

2月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率17.47百万台(前月比-0.1%、前年比-0.7%)と、2ヶ月連続の前月比減少、2ヶ月連続で前年同月を下回った。自動車販売台数は昨年の一時同18百万台越えで飽和状態にあり今後減速をみこんでいたが、2月までの結果はこれに沿ったものとなった。原油価格の安定化と金利上昇で自動車販売は今後も拡大ペースは弱いものにならざるを得ないと見る。

20170305図9