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<経済レポート> 踊る、されど進まず:米トランプ政権の100日

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トランプ米大統領就任100日が経過した。当初順調に見えた政策の実施は、オバマケア廃止法案撤回を機にやや足踏み状態にある。米経済成長ペースは1-3月期に大幅減速した。総じて、トランプ大統領の政策効果が実体経済に直接与える効果は年内には期待しにくい状況は不変である。2017年の成長予測にはやや下方リスクがでてきているが、それでも通年2%成長は可能な状況と見ておきたい。

オバマケア廃止法案でつまずき

トランプ米大統領が1月20日に就任してから、4月29日で100日が経過した。トランプ氏は自身のHPで「就任以降500千人の雇用増」「ダコタ・アクセス・パイプライン建設許可」など多くの実績を100日間の実績として挙げた。実際、トランプ氏が当選後に掲げた100日計画の多くは実施または大統領令等により指示がなされている([第1表])。一方で、オバマケア廃止法案の廃案などとん挫した選挙戦時公約もある。また財政については、2月に公表した「大統領予算教書ブループリント」以来、最終的な教書は公表されていない。3月21日付当レポートでは、トランプ政権の政策を「シナリオ通りの進行」としていたが、その後の動向からはこの見方をやや修正する必要がありそうだ。本レポートでは、トランプ政権の100日のうち主に3月21日付当レポート以降の動向を検証し、米経済見通しへの影響を探る。

トランプ氏のいわば最初のつまずきともいえる事態が、3月24日のオバマケア廃止法案撤回である。米議会下院共和党は3月6日、オバマケアの代替案である”American Health Care Act of 2017(H.R.1628)"を公表、20日に議会に提出した。同法案は、2010年にオバマ政権下で成立した医療保険制度改革法(Patient Protection and Affordable Care Act)による制度の廃止を謳ったものである。同法案では、医療保険未加入者宛罰金、拡大メディケイド(低所得者等向医療保険)、個人医療保険加入者宛税還付、州医療保険安定化基金宛補助、医療品メーカー・保険会社・高額所得者増税、等が廃止される予定であった。同法案が実施された場合、10年間に3370億ドルの財政赤字削減効果と3月13日に米議会予算局(CBO)が試算していた。

報道等によれば、共和党内で拡大メディケイド廃止への反発があった模様で、その後メディケイド縮小幅を緩和した修正案が提示された。3月23日のCBO試算では、財政赤字削減効果は10年間で1500億ドルに縮小していた。しかしながら、共和党内での同法案に対する支持が十分に得られず、3月24日、ライアン下院議長はトランプ大統領との協議の結果、同法案の採決を無期限延期することを表明した。

[第1表]
20170430b図1

税制改革案は項目のみ

日本との関係においては4月18日、麻生副総理とペンス米副大統領の第1回日米経済対話が開催された。共同プレスリリースによれば、①貿易及び投資のルール/課題に関する共通戦略、②経済及び構造政策分野における協力、③分野別協力、の3つの政策の柱につき合意した。特に注目の高い「貿易及び投資のルール」については、「高い貿易及び投資に関する基準についての二国間枠組み」について取り上げることで一致したとされ、TPP脱退後の米トランプ政権が選好する2国間の通商協定が基軸になることが明確化された。2月10日の日米首脳会談では、主に安全保障について日本側が米国のコミットを引き出したが、経済対話では通商問題につきあくまで二国間の交渉を基礎とするという米国側の意向が再確認された形だ。

税制改革については、4月26日「経済成長と米国雇用のための2017年税制改革(2017 Tax Reform for Economic Growth and American Jobs)がホワイトハウスから公表された([第2表])。この改革案はほぼトランプ氏のこれまでの公約に沿ったものである。しかし公表文は1ページの箇条書きにすぎず、具体的な改正案とは言い難い。例えば個人所得税の税率区分の課税所得額が明示されていないなど、税制としての必要要件が満たされていない。3月16日に公表された大統領予算教書の簡易版ともいえる「米国を再び偉大にする予算のブループリント」も、従来の予算教書の冒頭部分のみからなるシンプルなもので、具体的数値のないものであった。財政に関するトランプ大統領の政策の具体化は、想定よりも遅れていると言わざるを得ない。

また、米政府財政は法律上の困難に直面している。まず、3月15日時点で政府債務上限の不適用措置が期限を迎えており、政府は債務を増加できない状態にある。政府債務上限は2015年超党派予算法により3月15日まで不適用とされていたがその期限が到来している。また、2016年10月に開始された2017会計年度予算はまだ正式成立しておらず、暫定法による4月28日までの暫定予算にとどまっている。米議会は28日、予算を5月5日まで1週間延長する法案を急きょ可決し、政府閉鎖は免れた。米議会における暫定予算延長法案の成立がギリギリまでずれ込んだ背景には、トランプ大統領が「メキシコとの国境の壁」関連予算を盛り込むことを主張したことがあるとされる。最終的には大統領がこの提案を撤回したことで予算延長は成立した(各種報道による)。基本的に、軍事関連を除いて政府支出はこうした制約下での運営を強いられている。予算執行にかかる不安定感は続きそうだ。また、同超党派予算法では、2017会計年度予算までに限定して裁量支出上限を引き上げている。さらに、2018会計年度以降は、2011年予算管理法に基づく歳出自動削減が再開される。トランプ大統領はこの自動削減を撤回する法案を議会で成立させる意図である(「ブループリント」)。しかしその法案はまだ具体化されておらず、同政策の見込みは立っていない。

[第2表]
20170430b図2

米経済は1-3月期に減速:政策効果は限定的

米経済成長の実績は当レポートの個人予想をやや下回って推移している。1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.7%の成長にとどまった(4月30日付<経済指標コメント>参照)。成長減速の主因は個人消費の減速である。1-3月期の実質個人消費は同+0.3%の伸びにとどまった。内訳は耐久財消費同-2.5%、非耐久財消費同+1.5%、サービス消費同+0.4%で、これまで消費をけん引してきた耐久消費財特に自動車販売の減速が消費減速の主因であることがわかる。3月時点で雇用増加ペースは前年比+1.5%程度、賃金上昇率を加えた名目購買力は同+3.6%の伸びとなっている。インフレ率が2%に接近していることを勘案すれば、実質ベースの消費者購買力の伸びはすでに2%を割り込むまでに減速していることになる。

一方で企業部門は回復を続けている。1-3月期GDP統計における設備投資は同+9.4%と、2013年10-12月期以来の強い伸びに回復した。背景には在庫調整の終了と海外景気の安定化がある。総じて、個人消費も7-9月期以降2%弱のペースに回復すれば、通年で2%の成長はまだ可能な状況である。1-3月期の減速の要因には留意しつつも、米経済見通しを大きく引き下げる必要は現状ないと見ておきたい。

トランプ政権発足後、そのプロ・ビジネスな政策を好感して株価は上昇、消費者センチメントや企業景況感指数も上昇している。トランプ政権の経済政策は主に金融市場とセンチメント面ではその効果が目に見えているといえる。しかし、実体経済に働きかける政策の見通しは上述の通りまだ不透明である。トランプ政権の政策が米実体経済に直接与える影響についての試算はまだ困難である。政策が予定通り実施されればネットで経済にプラスの影響との見方は維持するが、少なくとも2017年の成長率に与える影響は極めて限定的となるだろう。

内外にリスク要因あり:政策効果は来年以降に

経済関連以外では内外に様々な不安定要素があることは従前と変わらず、定点的な観測が必要である。トランプ大統領はシリアの化学兵器使用の情報を機に4月6日にシリア空爆を開始した。また、北朝鮮の度重なる核実験実施やミサイル発射に対し、日本近海への空母派遣や日米合同軍事演習を開始するなど牽制を強めている。国外では、3月29日に英メイ首相がEU離脱を正式に通知、さらに4月18日にメイ首相は6月8日に総選挙を前倒し実施することを表明した。フランスでは23日に大統領選挙第1回投票が実施され、中道独立系のマクロン氏と極右派のルペン氏が7日の決戦投票に進むこととなった。

トランプ政権と中国との関係は、選挙戦時に比べてやや緩和方向にシフトしている模様だ。4月6、7日には米中首脳会談が実施された。その後14日に公表された半期毎の議会宛為替報告書において米財務省は、中国や日本を含むいずれの主要貿易相手国をも「為替操作国」に認定しないとした。ただし同報告書では中国につき「10年にわたる為替介入で人民元の上昇を阻止」「中国の為替政策は米国雇用者と企業に長きにわたり著しい困難をもたらした」「中国通貨のため、米国との間に極めて大きな貿易黒字が続いている」などと批判的な分析を行っている。一方で最近の中国の為替介入が「人民元の減価を予防する」方向でなされていることを評価、「米財務省は中国の通商と為替政策を注意深く監視する」としている。なお、トランプ大統領はこれに先立つ3月31日に、「重大な貿易赤字に関する総括的報告」との大統領令に署名、米国が貿易赤字を有する主要貿易相手国の貿易保護政策や不公正な通商制度等についての報告書を90日以内に提出するよう商務長官と通商代表に指示した。

トランプ政権発足100日で、当初のプロ・ビジネスな政策の実施スピードにやや陰りがみられることは否定しえない。トランプ氏のパフォーマンスに比して、特に財政政策の具体化が進展しないことで、実態的な政策運営が「踊る、されど進まず」という状況になりつつある。また、議会共和党との不協和も今後の法案成立に向けた新たな課題である。2月時点で「シナリオ通り」とみていたトランプ氏の政策運営がそのペースをやや落とし、実体経済への効果は少なくとも来年位にまで先延ばしになる可能性が高い。当レポートの2017年米経済成長予想にはいまだトランプ政策効果は反映していない。その意味ではこれまでの予想の前提は維持することができそうだ。

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<経済指標コメント> 米1-3月期実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+0.7%

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[日本]

実質家計消費支出(3月、二人以上の世帯)は前月比-2.0%(前年比-1.3%)

3月の実質家計消費(二人以上の世帯)は前月比-2.0%と3ヶ月ぶりの減少、前年比では-1.3%と2016年3月以来のマイナスの伸びが続いている。家計消費は依然低迷が続いているが、1、2月の消費回復の結果1-3月期の実質家計消費は前期比+0.9%と3四半期ぶりのプラス成長に転じた。GDP統計上の実質家計消費の伸びが前期比加速することを示唆する結果である。勤労世帯の実質実収入は前年比-1.4%と5ヶ月ぶりに低下に転じたが3ヶ月移動平均は同+0.1%とプラスの伸びを維持している。

20170430図1

全国消費者物価指数(3月、生鮮食品を除く総合)は前月比横ばい(前年比+0.2%)

3月の全国消費者物価指数、生鮮食品を除く総合指数(いわゆるコアCPI)は前月比横ばい、前年比では+0.2%と前月並みの伸び率で3ヶ月連続プラスの伸びを維持した。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(いわゆる新コアコアCPI)は前月比-0.1%、前年比では-0.1%と2013年7月以来の前年比マイナスの伸びに転化した。費目別の前年比の伸び率は、エネルギー+3.9%、家庭用耐久財同-1.6%、教育娯楽用耐久財同-4.6%など、原油価格回復でエネルギーが2月以降インフレ率上昇に寄与を始めた一方で、上記の耐久消費財や、携帯電話機(同-26.6%)の価格低下がインフレ率を押し下げている。もっとも原油価格が今後安定すれば2017年末にはコアCPIは前年比+0.9%程度に上昇する見通しである。

20170430図2

完全失業率(3月)は2.8%

3月の完全失業率は2.8%(前月比横ばい)と依然1994年以来の低水準にある。内訳は就業者数前年比+1.1%、労働力人口同+0.6%と、労働市場の拡大を伴う失業率の低位安定である。筆者試算の労働力化率は60.2%と2016年6月以来連続で60%を超えている。労働市場は依然タイトであるが労働力人口の増加がこれを緩和している。もっとも1-3月期の労働力人口の前年比伸び利率は+0.5%と前期の同+0.9%から減速している。労働市場の拡大ペースも一服感が出てきており、更に労働市場のタイト化が進む可能性もある。

20170430図3

鉱工業生産指数(3月)は前月比-2.1%(前年比+3.2%)

3月の鉱工業生産指数は前月比-2.1%と反落、しかし季節調整前前年比の伸び率は+3.3%と、前月の同+3.7%から伸び率が低下したものの5ヶ月連続でプラスの伸びを維持した。鉱工業生産が持ち直しを続けていることを示唆する結果である。出荷指数は前月比-1.1%(前年比+3.2%)、在庫指数は同+1.6%(同-3.9%)、在庫率指数は同+0.5%(同-4.7%)。総じて前月比では生産と出荷の減少で在庫が増加している。在庫循環図は「在庫積み増し局面」にある。公表元の経済産業省は「生産は持ち直しの動き」と従前の基調判断を維持している。企業設備投資の先行指標となる資本財出荷は前月比-2.2%と2ヶ月連続の減少、1-3月期の同出荷は前期比-0.4%と4四半期ぶりのマイナスの伸びに転化した。1-3月期のGDP統計上の設備投資がマイナスの伸びになる下方リスクが出てきている。総じて企業部門は昨年半ばから回復を始めたが、そのペースはやや一服感の兆しがみられる。

20170430図4

住宅着工戸数(3月)は年率984千戸(前月比+4.7%)

3月の住宅着工戸数は年率984千戸(前月比+4.7%)と増加。1-3月期の住宅着工戸数は前期比+2.3%と3四半期ぶりのプラス成長となった。1-3月期GDP統計上の住宅投資は5四半期連続のプラス成長となりそうだ。住宅着工戸数は依然高水準にある。もっともその伸び率が減速しつつあることには留意が必要である。

20170430図5

[米国]

新築住宅販売戸数(3月)は年率621千戸(前月比+5.8%)、在庫期間は5.2ヶ月

3月の新築住宅販売戸数は年率+621千戸(前月比+5.8%)と3ヶ月連続かつ大幅な増加。販売在庫は268千戸(同+1.1%)、在庫期間は5.2ヶ月と前月の5.4ヶ月から短期化した。中古住宅販売戸数同様に新築住宅販売も好調に増加している。在庫期間は5ヶ月強と適正な水準にある。

20170430図6

耐久財受注(3月)は前月比+0.7%、除く運輸関連同-0.2%、非国防資本財受注(航空機を除く)は同+0.2%、同出荷同+0.4%

3月の耐久財受注は前月比+0.7%、除く運輸関連同-0.2%。設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機を除く)は同+0.2%と6ヶ月連続の増加。GDP統計上の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同+0.4%と2ヶ月連続の増加。結果1-3月期の同出荷は前期比年率+7.5%と2四半期連続のプラスの伸びとなった。同出荷、同受注ともに昨年後半以来堅調な増加を続けており、企業部門は回復過程にあるといえる。

20170430図7

実質GDP成長率(1-3月期、速報値)は前期比年率+0.7%

1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.7%と、前期の同+2.1%から減速した。需要項目別内訳は個人消費同+0.3%、設備投資同+9.4%、住宅投資同+13.7%、政府支出同-1.7%、在庫投資寄与度同-0.93%、純輸出寄与度同+0.07%。個人消費の減速と、設備投資の力強い加速、在庫投資の減少が目立つ。先行指標や基礎統計との比較では、個人消費の減速と設備投資の増加はほぼ想定通り、一方で在庫投資増加ペースの低下はやや予想外である。3月分の企業在庫統計でここは改訂の可能性もある。個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は同+2.2%と前期の同+3.4%から減速したものの、依然2%を超える成長を継続している。個人消費の減速に代わり企業部門と住宅が成長を支えている形。2017年通年成長率は前年比+2%を割り込む計算になり、筆者個人の予想である同+2%台前半からやや下振れた推移になっている。雇用増加ペースは堅調であり、米経済成長ペースの基調に著変は見られないが、自動車販売の飽和常態化、実質可処分所得の伸び率低下は個人消費の中期的な減速要因であることには変わりない。

20170430図8

<経済指標コメント> 米3月中古住宅販売戸数は前月比+4.4%

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[米国]

住宅着工戸数(3月)は年率1215千戸(前月比-6.8%)、着工許可件数は同1260千件(同+3.6%)

3月の住宅着工戸数は年率1215千戸(前月比-6.8%)の大幅減。1-3月期の着工戸数は前期比+0.4%にとどまり、前期の同+9.0%から大幅に減速した。1-3月期のGDP成長率予想への下方リスク要因である。しかし6ヶ月移動平均は同1250.5千戸(同+2.2%)と上昇を続けており、中期的な住宅着工の増加基調は不変といえる。住宅着工許可件数は同1260千件(同+3.6%)と過去6ヶ月で4回目の増加、6ヶ月移動平均も上昇しており、先行指標からみても住宅建設は今後も堅調に増加しそうだ。

20170423図1


鉱工業生産指数(3月)は前月比+0.5%、設備稼働率は76.1%

3月の鉱工業生産指数は前月比+0.5%と2ヶ月連続の上昇。内訳は製造業同-0.4%、鉱業同+0.1%、公益事業同+8.6%。振れの大きい公益事業の上昇が全体を押し上げている。前年比の伸率は、全体が+1.5%、製造業+0.8%、鉱業+2.9%、公益事業+4.6%と、製造業は5ヶ月連続の堅調な上昇継続、鉱業が原油価格の回復で2ヶ月連続の増加に転じたことが目立つ。鉱工業の設備稼働率は76.1%(前月比+0.4%ポイント)と上昇。1972年~2016年の平均である79.9%にはまだ及ばない。総じて鉱工業生産は、在庫調整完了や原油価格回復で回復基調にあるが、設備稼働率の低さは企業部門に相応の余剰生産能力が残っていることを示唆している。

20170423図2



中古住宅販売戸数(3月)は年率5710千戸(前月比+4.4%)、在庫期間は3.8ヶ月

3月の中古住宅販売戸数は年率5710千戸(前月比+4.4%)と、前月の同-3.9%から反発した。3ヶ月移動平均も同5623.3千戸(同+1.2%)と上昇に転じた。販売在庫は1830千戸(同5.8%)と3ヶ月連続で増加したが、在庫期間は3.8ヶ月と前月比横ばいで依然需給はタイトである。中央販売価格は前年比+6.8%と3ヶ月連続で6%を超えるやや強めの上昇となっている。公表元の全米不動産業協会(NAR)はプレスリリースで「3月の販売回復で春の販売シーズンの見通しが良好になった」「消費者にとり購入可能物件探しはまだ困難だが、3月には販売物件が十分に増加した」と述べている。

20170423図3

<経済指標コメント> 米3月小売売上高は前月比-0.2%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(3月):現状判断DIは47.4(前月比-1.2ポイント)、先行き判断DIは48.1(同-2.5ポイント)

3月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは47.4(前月比-1.2ポイント)と3ヶ月連続低下で、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。家計動向・企業動向・雇用動向関連のすべてのDIが前月比低下した。2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは48.1(同-2.5ポイント)と反落した。家計動向・企業動向・雇用動向関連のすべてのDIが前月比低下した。街角景気は昨年末あたりをピークに一服感がある。景気判断理由には「燃料価格上昇(輸送業)」「電気料金の値上げや為替変動等による輸入原材料の値上げが予想される(スーパー)」「原材料価格が上昇(化学工業)」など、原油高のマイナス面が目立っている。

20170416図1

機械受注(2月、船舶・電力を除く民需)は前月比+1.5%(前年比+5.6%)

2月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+1.5%(前年比+5.6%)と増加に転じた。前年比伸び率の3ヶ月移動平均は+1.4%とやや低下傾向にある。2月までの1-3月期同受注は前期比-2.1%と3四半期ぶりのマイナス成長に転化するペースである。昨年後半に底入れした企業部門の先行指標はややその増加ペースを減速させている。

20170416図2

[米国]

企業在庫(2月)は前月比+0.3%、企業売上高は同+0.2%、在庫売上高比率は1.35倍

2月の企業在庫は前月比+0.3%と堅調な積み上がり、3ヶ月前対比の伸び率は+1.0%と前月よりややペースを落とした。企業売上高は前月比+0.2%と堅調な増加。結果在庫売上高比率は前月並みの1.35倍で2014年12月以来の低水準にある。在庫循環図は「在庫積み増し局面」にあり、売上増と低い在庫率の中生産増加による在庫積み上げが進んでいる状況である。

20170416図3

小売売上高(3月)は前月比-0.2%、除く自動車関連同横ばい

3月の小売売上高は前月比-0.2%。前月分も速報値の同+0.1%から大幅下方改訂されて同-0.3%となり、2ヶ月連続のマイナスの伸びとなった。自動車関連を除くベースでは2ヶ月連続の前月比横ばいにとどまった。内訳は、新車販売の減少を反映した自動車及び同部品ディーラーが同-1.2%、ガソリン価格の低下を反映したガソリンスタンド同-1.0%となったほか、家具店同-0.3%、建設資材店同-1.5%などが売上を減少させた。一方、家電店同+2.6%、衣服店同+1.0%などが売上増加し、総じてまちまちな内容である。自動車・ガソリン・レストランを除く売上高は同+0.3%と7ヶ月連続の増加。また2月までの1-3月期同売上高は前期比+1.4%と前期の同+1.1%からむしろ加速しており、コアの小売売上高は決して悪くはない状況である。ただし、実質個人消費が2月まで2ヶ月連続でマイナスの伸びに転化しており、3月小売売上高統計からは3月もマイナスの伸びになるリスクが出てきている。その場合、1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比横ばい程度に大幅下振れするリスクがある。また、中期的にみて実質可処分所得の伸び減速による個人消費の減速の可能性は見ておきたい。

20170416図4

消費者物価指数(3月)は前月比-0.3%(前年比+2.4%)、同コア指数は前月比-0.1%(前年比+2.0%)

3月の消費者物価指数(CPI)は前月比-0.3%と13ヶ月ぶりの前月比低下、食品及びエネルギーを除くコア指数も同-0.1%と実に2010年1月以来の前月比低下となった。内訳は、ガソリン同-6.2%、新車同-0.3%、中古車同-0.9%、衣服同-0.7%など幅広い品目で価格が低下した。しかしながら、前年比の伸び率は総合CPIが+2.4%、コアCPIが+2.0%といずれも2%を上回る伸び率を維持している。単月の指標としてはややインフレ上昇が一服した形だが、物価をめぐる環境に著変はなく、今後もCPIインフレ率は+2%前後で推移すると見たい。

20170416図5

<経済指標コメント> 米3月非農業部門雇用者数は前月比+98千人

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[日本]

日銀短観(3月調査):大企業製造業業況判断DIは12ポイント(12月調査比+2ポイント)

3月の日銀短観、大企業製造業業況判断DIは12ポイント(12月調査比+2ポイント)と2四半期連続の上昇。大企業非製造業業況判断DIは20ポイント(同+2ポイント)と6四半期ぶりに上昇した。両指標がそろって上昇したのは7四半期ぶりになる。米トランプ政権誕生後の株高、円安を好感したものと考えられる。しかし、先行き判断DIは大企業製造業が11ポイント、同非製造業が16ポイントと業況判断比低下しており、その持続性には疑問がもたれているようだ。

20170409図1

[米国]

新車販売台数(3月、乗用車及び軽トラック)は年率16.53百万台(前月比-5.5%)

3月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率16.53百万台(前月比-5.5%)と大幅減少、昨年3月以来の低水準となった。自動車販売は2016年に一時同18百万台を超える増加を見せる飽和状態にあり今年は減速を見込んでいたが、これに整合する結果である。もっとも単月の減少は一時要因とも考えられることから、今後は同17百万台前後で推移すると見る。

20170409図2

雇用統計(3月):非農業部門雇用者数は前月比+98千人、失業率は4.5%

3月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数の伸びは前月比+98千人に急減速した。建設業(同+6千人)、小売業(同-30千人)、教育・医療(同+16千人)など広い業種で雇用が減速または減少した。時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)は前年比+2.3%と前月の同+2.5%から上昇ペースが減速。週平均労働時間(同)は33.5時間(前月比-0.1時間)と2014年以来の低水準となった。3月雇用統計の事業所調査は単月では大きな下方サプライズといえる。しかし、過去にも2016年5月(同+43千人)、2015年3月(同+86千人)など単月のみの雇用統計悪化の例はあり、今回の雇用悪化も天候要因や統計のブレによる一時要因と見たい。新規失業保険申請件数が4月1日〆週時点の4週移動平均で250千件の低位にとどまっていること、米ADP社調査の3月民間就業者数が前月比+263千人の増加を見せていることからは、雇用市場に著変があったとは考えにくい。家計調査による失業率は4.5%(前月比-0.2%ポイント)と2007年5月以来の水準に低下した。内訳は労働力人口と就業者数の前月比増加を伴うよい失業率低下である。総じて雇用市場は完全雇用状態にあり、むしろ需給はタイトである。雇用は今後も堅調な拡大が見込まれることから、FOMCが今後年内2回以上の利上げを実施するとの個人予想を維持する。

20170409図3

<経済指標コメント> 米2月実質個人消費は前月比-0.1%

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[日本]

実質家計消費支出(2月、二人以上の世帯)は前月比+2.5%(前年比-3.8%)

2月の実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比+2.5%と2ヶ月連続かつ大幅な増加。前年比では前年同月の増加の反動で-3.8%のマイナスの伸びとなった。2月までの1-3月期実質家計消費は前期比+1.2%と3四半期ぶりのプラス成長となるペースである。10-12月期に前期比年率+0.1%の伸びにとどまったGDP統計上の実質家計消費は、1-3月期には強めの伸びが期待できる。日本経済が+1%強の成長を継続するとの見方を支持する結果である。勤労者世帯の実質実収入は前年比+0.7%と4ヶ月連続の前年比増加で、家計消費の拡大を支える要因となっていると考えられる。

20170407図1

全国消費者物価指数(2月、生鮮食品を除く総合)は前月比横ばい(前年比+0.2%)

2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合=いわゆるコアCPI)は前月比横ばい、前年比では+0.2%と前月の同+0.1%に続き2ヶ月連続でわずかながらプラスの伸びに回帰した。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(いわゆる新コアコアCPI)は前月比横ばい(前年比+0.2%)。エネルギーの前年比伸び率が+1.6%と2014年12月以来のプラスの伸びに転じた。今後エネルギー価格が安定推移すれば、年末にはコアCPI、新コアコアCPIともに前年比+0.7%程度に上昇する計算になる。1年前の原油価格急落要因の剥落で、表面上のインフレ率は今後上昇に転じ、日本銀行の追加緩和の必要性は後退していくと見る。

20170407図2

完全失業率(2月)は2.8%

2月の完全失業率は2.8%と実に1994年6月以来の低水準に低下した。内訳は、就業者数前年比+0.8%、労働力人口同+0.4%と、ややペースを落としながらも労働市場の拡大を伴う失業率低下が続いている。労働市場はタイトであるが労働力人口の拡大がこれを一部カバーしている。筆者試算による労働力化率は60.1%と、2008年の金融危機直前の水準に回帰した状態を保っている。

20170407図3

鉱工業生産指数(2月)は前月比+2.0%(前年比+4.8%)

2月の鉱工業生産指数は前月比+2.0%と強い伸び。前年比でも+4.8%と4ヶ月連続のプラスの伸びに回復した。出荷指数は前月比-0.1%、在庫指数は同+0.9%、在庫率指数は同-0.1%。単月では生産増で在庫の積み増しが進んだ形。在庫循環図は「意図せざる在庫増」局面から「在庫積み増し」局面に入っており、在庫調整の終了が生産の回復を促している。ただし設備投資の先行指標となる資本財出荷指数は同-1.9%と低下、2月までの1-3月期の同出荷は前期比-1.5%と4四半期ぶりのマイナス成長になるペースである。しかしこれはこれまでの出荷増の反動ともいえる。公表元の経済産業省は「生産は持ち直しの動き」と基調判断を維持している。

20170407図4

住宅着工戸数(2月)は年率940千戸(前月比-6.1%)

2月の住宅着工戸数は年率940千戸(前月比-6.1%)と反落。内訳は持家同+6.1%、貸家同+2.2%、分譲住宅同-26.4%と、振れの大きい分譲住宅の減少が全体を押し下げている。住宅着工戸数全体の3ヶ月移動平均は同954.7千戸とわずかに低下に転じており、昨年をピークに住宅着工戸数は高水準ながらやや減速の兆しがあるといえる。

20170407図5

[米国]

実質GDP成長率(10-12月期、確報値)は前期比年率+2.1%

10-12月期の実質GDP成長率(確報値)は前期比年率+2.1%と改定値の同+1.9%から上方改訂。需要項目別内訳は個人消費同+3.5%(改訂値同+3.0%)、設備投資同+0.9%(同+1.3%)、住宅投資同+9.6%(同+9.6%)、政府支出同+0.2%(同+0.4%)、財・サービス輸出同-4.5%(同-4.0%)、同輸入同+9.0%(同+8.5%)、在庫投資寄与度+1.01%(同+0.94%)。個人消費の大幅上方改訂が全体の上方改訂の主因。2016年通年成長率は前年比+1.6%。輸出の減少を主因に米経済成長率は3四半期ぶりの減速となったが、依然堅調な成長ペースを保っている。2017年通年成長率前年比+2%台前半~半ばの予想は維持できる。

20170407図6

実質個人消費(2月)は前月比-0.1%、PCEデフレーターは前年比+2.1%、同コアは同+1.8%

2月の実質個人消費は前月比-0.1%と2ヶ月連続のマイナスの伸び。内訳は、新車販売の減少を反映した耐久財消費が同-0.1%、非耐久消費財が同+0.1%、サービス消費が同-0.1%。過去分の上方改訂で10-12月期の実質個人消費は前期比年率+3.5%と力強い伸びとなったが、一方で1-3月期はこれが前期比年率+1%を割り込む下方リスクがでてきた。1、2月の公表済指標である新車販売、小売売上高がともにやや低調だったこととは整合している。一方で、個人の実質可処分所得の伸び率が低減している(2月現在で前年比+2.3%)していることが個人消費の減速につながる可能性は当レポートでも過去に指摘したところである(2016年8月14日付当レポート参照)。しかし、+2%台の消費の伸びは潜在成長率を上回る経済成長を十分に可能にする伸びであり、またサービス消費の減速は一時的なものとも考えられる。中期的には減速しつつも引き続き個人消費は堅調な拡大を続けると見たい。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.1%(前年比+2.1%)、同コア指数は前月比+0.2%(前年比+1.8%)と、FOMCのインフレ目標である同+2%近辺に位置している。FOMCが年内合計3回以上の利上げを実施するとの予想を支持する結果である。

20170407図7