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<経済指標コメント> 米4月中古住宅販売戸数は年率5570千戸(前月比-2.3%)

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[日本]

全国消費者物価指数(4月、生鮮食品を除く総合)は前月比横ばい(前年比+0.3%)

4月の全国消費者物価指数、生鮮食品を除く総合指数(いわゆるコアCPI)は3ヶ月連続となる前月比横ばい、しかし前年比では+0.3%と4ヶ月連続でプラスの伸びを維持した。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(いわゆる新コアコアCPI)は前月比+0.1%、前年比横ばい。コアCPIの前年比伸び率にはエネルギー(前年比+3.9%)の上昇が寄与し、インフレ率を同+0.32%押し上げている。原油価格が今後安定推移すれば、年末にはコアCPI、新コアコアCPIインフレ率ともに前年比+1%程度に上昇する計算になる。しかし、エネルギー価格に左右されない新コアコアCPIインフレ率の低下はやや気になるほか、インフレ率の上昇ペースはこれまでの当レポートの見方を下回っていると言わざるを得ない。

20170528図1

[米国]

新築住宅販売戸数(4月)は年率569千戸(前月比-11.4%)、在庫期間は5.7ヶ月

4月の新築住宅販売戸数は年率569千戸(前月比-11.4%)と4ヶ月ぶりかつ大幅な減少。6ヶ月移動平均は590.7千戸(同-0.2%)とわずかに下向きに転じた。販売在庫は268千戸(同+1.5%)と増加を続け、結果在庫期間は5.7ヶ月と2014年11月以来の水準に長期化した。新築住宅販売戸数は月次の振れが大きく、6ヶ月移動平均のわずかな下降は販売市場の著変を表すものとは言いにくい。しかし中古住宅販売と合わせ住宅販売戸数増加ペースが今年に入り徐々に減速していることには留意しておきたい。

20170528図2

中古住宅販売戸数(4月)は年率5570千戸(前月比-2.3%)、在庫期間は4.2ヶ月

4月の中古住宅販売戸数は年率5570千戸(前月比-2.3%)と反落、3ヶ月移動平均は同5580千戸(同-0.7%)と下降に転じている。販売在庫は1930千戸(同+7.2%)と大幅増加し、結果在庫期間は4.2ヶ月と、依然タイトながら昨年10月以来の水準にまで長期化した。中央販売価格は前年比+6.0%と、高めの上昇率ながら2ヶ月連続で伸び率を低下させた。総じて中古住宅販売市場はまだタイトな需給にあるが、販売の減速で需給はやや緩和されつつある。公表元の全米不動産業協会(NAR)はプレスリリースで「3月の強い販売増からは4月の減少は予想されていた」「需要が供給を上回っていることで、消費者が購入物件を探せない状態」と述べており、販売減速はあくまで供給要因と見ている模様だ。

20170528図3

耐久財受注(4月)は前月比-0.7%、除く運輸関連同-0.4%、非国防資本財受注(除く航空機)同横ばい、同出荷同-0.1%

4月の耐久財受注は前月比-0.7%、除く運輸関連は同-0.4%。設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(除く航空機)は同横ばい。GDP統計の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同-0.1%。1-3月期のGDP統計で前期比年率+7.2%と大幅に回復した機器投資だが、4月は受注、出荷ともにやや一服感がある。海外景気の回復と在庫調整の終了で回復した設備投資だが、設備稼働率がまだ低位であることもあり、今後の拡大ペースは緩やかにとどまりそうだ。

20170528図4

実質GDP成長率(1-3月期、改定値)は前期比年率+1.2%

1-3月期の実質GDP成長率(改定値)は前期比年率+1.2%と、速報値の同+0.7%から上方改訂された。需要項目別内訳は個人消費同+0.6%(速報値同+0.3%)、設備投資同+11.4%(同+9.4%)、住宅投資同+13.8%(同+13.7%)、政府支出同-1.1%(同-1.7%)、在庫投資寄与度同-1.07%(同-0.93%)、純輸出寄与度同+0.13%(同+0.07%)。個人消費と設備投資の上方改訂が主因である。今後の米経済見通しへの影響はさほど大きくはなく、2017年通年の成長率は引き続き前年比+2%程度を見込む。

20170528図5



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<経済指標コメント> 日本の1-3月期実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率+2.2%

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[日本]

機械受注(3月、船舶・電力を除く民需)は前月比+1.4%(前年比-0.7%)

3月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+1.4%と2ヶ月連続の前月比増加、しかし前年比では-0.7%とマイナスの伸びになった。前年比伸び率の3ヶ月移動平均は-2.3%と8ヶ月ぶりにマイナスの伸びに転化した。回復基調にあった企業部門にやや減速の兆しがみられる。

20170522図1

実質GDP成長率(1-3月期、1次速報値)は前期比年率+2.2%

1-3月期の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率+2.2%と2四半期連続で加速、2016年1-3月期以来の2%成長に回帰した。結果、2017年度の成長率は前年度比+1.3%となり、前年度と同じ成長率を維持した(2016暦年成長率は前年比+1.0%)。1-3月期の需要項目別内訳は、家計消費同+1.4%、住宅投資同+3.0%、設備投資同+0.9%、公的需要同+0.4%、在庫投資寄与度同+0.5%、純輸出寄与度同+0.5%。すべての需要項目が成長にプラス寄与するバランス良い成長となった。家計調査による家計消費支出の増加からGDP統計上の家計消費の加速は順当なところ。住宅投資のプラス成長も住宅着工戸数の増加と整合しており、在庫積み増しの加速で在庫投資もプラス寄与となった。1-3月期の資本財出荷は前期比マイナスの伸びだったが、GDP統計上の設備投資はわずかながら2四半期連続でプラス成長となった。1-3月期の成長率は筆者個人の予想をやや上回るペースである。現在のところ、2017暦年成長率は前年比+1%前半、2017年度成長率は前年度比+1%程度となり、いずれも潜在成長率を上回る拡大が維持できる計算になる。

20170522図2

[米国]

住宅着工戸数(4月)は年率1172千戸(前月比-2.6%)、着工許可件数は同1229千戸(同-2.5%)

4月の住宅着工戸数は年率1172千戸(前月比-2.6%)と2ヶ月連続の減少、住宅着工許可件数も同1229千戸(同-2.5%)と反落した。着工戸数の6ヶ月移動平均は同1219.3千戸、許可件数は同1254.8千戸といずれも低下に転じているが、着工許可件数のそれは着工戸数を上回っており、今後着工が再び増加に転じる可能性を示唆している。

20170522図3

鉱工業生産指数(4月)は前月比+1.0%、設備稼働率は76.7%

4月の鉱工業生産指数は前月比+1.0%と3ヶ月連続の上昇。内訳は、製造業同+1.0%、鉱業同+1.2%、公益事業同+0.7%とすべての業種で指数が上昇した。鉱工業生産指数の前年比の伸び率は昨年12月以来概ねプラスの伸びを保って上昇しており、企業部門の生産が回復期にあることを示唆している。設備稼働率は76.7%(前月比+0.6%ポイント)と2ヶ月連続上昇。ただしその水準は、1972-2016年平均の79.9%を依然大きく下回っており、鉱工業設備の余剰はまだ相応に存在しているといえる。

20170522図4

<経済レポート> 経済は平時に回帰:米経済定点観測

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米経済成長率は1-3月期に一時的に低下したが、今後は再び+2%台の成長に回帰すると見る。個人消費は中期的な減速に入っているが潜在成長率を超える成長には十分な雇用の伸びがある。企業収益や景況観も回復した。インフレ率は今後もFRBの目標である2%近辺で推移すると見る。FRBの金融政策については、従前の個人予想を上方修正し、実施済の3月利上げを含め年内合計4回(+1.00%)の利上げが決定されると今や個人予想する。

今後2%台に回復を見込む:消費は中期的に減速へ

米実質GDP成長率は1-3月期に前期比年率+0.7%(速報値)に減速した。主因は個人消費の同+0.3%への減速と、在庫積み上げペース減速による成長へのマイナス寄与(寄与度同-0.93%)であった。しかし、個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は同+2.2%と、前期の同3%台から減速はしたものの2%台の成長を維持している。1-3月期の成長減速は個人消費の一時的軟化と在庫要因による一時的なものと見たい。本レポートでは各経済指標を基に、4月以降の米経済成長予想を点検していく。

個人消費のベースとなる個人の購買力の伸びは減速を続けている。非農業部門雇用者数の伸び率は1-3月期時点で前年比約+1.6%と、1年前の同+1.8%、2年前の同+2.2%から減速が続いている。これは、失業率が自然失業率に接近したことに伴う中期循環的な減速といえる。現在の非農業部門雇用者数は約146百万人であるから、年率2%の雇用増を達成するには月間+243千人の雇用増が必要になる計算で、月間+200千人の雇用増では2%の雇用増加ペースを実現できないことになる。また、インフレ率を差し引いた実質ベースの時間当たり賃金は、インフレ率の上昇により今年の1、2月に一時前年比マイナスの伸びに転化した。結果、雇用者数、実質賃金、週平均労働時間の伸びを合わせた実質購買力の伸びは1月時点で前年比+1.2%と2013年以来の低い伸びに低下した([第1図])。

今後雇用が前年比+1.6%、インフレ率が同+1.7%程度で推移するとした場合、実質ベースで+2%の購買力の伸びを確保するためには、名目時間当たり賃金が同+2.1%上昇すれば足りる。名目時間当たり賃金の伸び率は想定以上に低位ではあるが、4月時点で同+2.3%は確保している。ここからは、今後も個人消費は前年比+2%の成長は十分に可能である。4月までの小売売上高統計なども勘案し、4-6月期以降のGDP統計上の個人消費は前期比年率+1.8%の成長を継続すると見る([第2図])。

[第1図]
20170521図1

[第2図]
20170521図2

設備投資は大幅に回復した

1-3月期には設備投資が個人消費に代わり回復を見せた。1-3月期のGDP統計上の設備投資は前期比年率+9.4%と、13四半期ぶりの強い伸びとなった。うち機器投資は同+9.1%と2四半期連続のプラス成長で、それまでの4四半期連続のマイナス成長から脱却した。この背景には、企業の在庫調整の終了、海外景気の回復による輸出財の生産回復があると考えられる。企業設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機を除く)は1-3月期に前期比年率+6.0%と前期比伸びが加速、かつ2四半期連続のプラスの伸びとなっており、4月以降の設備投資もこの増加基調を維持できることを示唆している。

株価上昇、海外景気の回復で、企業収益も回復している。2016年10-12月期企業収益(在庫評価及び資本減耗調整後)は前年比+9.3%と2四半期連続プラスの伸びかつ2012年7-9月期以来の高い伸び率に回復した。内訳は、国内金融機関同+21.0%、国内非金融機関同+3.0%、海外部門同+14.5%と、金融機関と海外部門の回復が目立つ。これに伴い、設備投資の源泉となる企業ネットキャッシュフローも10-12月期には同+10.9%と2四半期連続のプラスの伸びに回復した。企業景況観も不悪である。ISM製造業指数はトランプ米大統領当選後上昇基調にあり、4月時点で54.8%と8ヶ月連続で景気判断の分かれ目を示す50%を超えている。フィラデルフィア連銀製造業景況感調査における設備投資DI(6ヶ月先)は4月時点で36.5ポイントと、昨年後半以降上昇ペースの加速が著しい([第3図])。こうした背景から、GDP統計上の企業設備投資は4-6月期以降もプラス成長を継続できると見る。

もっとも企業部門の回復ペースは緩やかなものにとどまり、今後は前期比年率1桁の伸びになりそうだ。鉱工業設備稼働率は3月時点で76.1%と、1972-2016年平均の79.9%に比べ依然低水準にある。

[第3図]
20170521図3

住宅は今後も堅調に、輸出は拡大へ

住宅市場の需給は依然タイトであり、今後も住宅投資は堅調に増加して成長にプラス寄与を続けると見る。GDP統計上の住宅投資は1-3月期に前期比年率+13.7%の強い拡大だった。住宅販売市場では、中古住宅販売の在庫期間が3.8ヶ月と、極めてタイトな需給になっている。全米住宅建設業協会(NAHB)の住宅市場指数は5月時点で70ポイントと、実に2005年7月以来の高水準にある([第4図])。4月時点の住宅着工許可件数の6ヶ月移動平均は年率1254.8千戸と、住宅着工件数のそれ(同1219.3千戸)を上回っており、今後も住宅着工件数が堅調に増加することを示唆している。GDP統計上の住宅投資は4-6月期以降も前期比年率約+8%程度の拡大継続を見込む。

企業在庫は、現在在庫循環図が在庫積み上げ局面にあることから、今後年内は成長にプラスの寄与を続けると見る([第5図])。企業の在庫売上高比率は3月時点で1.35倍と、2014年末以来の低水準にまで低下しており、昨年初からの在庫調整が一巡したことを示唆している。純輸出は今後年内成長にプラスの寄与をすると見る。財・サービス収支は米ドル高にも関わらず強い拡大を続けている([第6図])。財輸出の拡大ペースは現状輸入の増加ペースを上回っている。内需が徐々に減速するのに対して、欧州他海外景気の回復ペースは速く、今後はわずかながら貿易収支赤字は縮小の方向にあると見たい。

以上から、4-6月期以降も米経済は前期比年率+2%台半ばも成長を継続し、2017年通年成長率は前年比約+2%と個人予想する。この予想は、1月時点の個人予想(1月9日付当レポート参照)であった同+2.4%からは若干の下方修正となる。これは主に1-3月期の成長率の予想比下振れを背景とするものであり、米経済に対する見通しの大きな変更を伴うものではない。

[第4図]
20170521図4

[第5図]
20170521図5

[第6図]
20170521図6

FOMC利上げ個人予想を上方修正する:政治的なリスクは継続

インフレ率は今後、FRBの目標である2%に近いかややそれを下回る水準での推移を個人予想する。失業率とインフレ率の関係を示すシンプルなフィリップス曲線によれば、現在の失業率4.4%は、コア個人消費支出価格指数(コアPCEデフレーター)の前年比約+1.9%のインフレ率に相当する([第7図])。現在のコアPCEインフレ率は3月現在で同+1.6%と、フィリップス曲線による推計値をやや下回っているものの概ね近い水準である。インフレ率が失業率に対して相対的に低めである背景として、一般的なインフレの失業率に対する遅行性に加え、賃金上昇ペースが低位にとどまっていることがあげられる。しかしながら、今後原油価格が安定推移した場合、PCEインフレ率、コアPCEインフレ率はいずれも、2017年末に前年比+1.7%程度に着地する見込みである([第8図])。また、賃金上昇率、インフレ率ともに、失業率が自然失業率(米議会予算局推計では4.7%)を下回ったところから上昇ペースが加速することは十分に考えられる。非農業部門雇用者数は今後も前月比+150千人~+200千人ペースの増加を続け、失業率は自然失業率を下回る水準を維持すると見る。

FRBの金融政策については、上記の通りインフレ率が政策目標の2%近辺で推移し、失業率が自然失業率を下回るとの見通しのもと、3月に実施された利上げを含め年内に4回、合計+1.0%の利上げが決定される(2017年末のFF金利誘目標レンジは1.50-1.75%)と個人予想する。今後の利上げ決定は6月、9月、12月のFRB連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合においてなされると見る。これは1月時点の筆者個人予想に比べ、年内利上げペースを3回から4回に上方修正したことになる。1-3月期の実質GDP成長率下振れにも関わらず、テイラー・ルールによれば、2017年末の適正FF金利は約2.2%と推計される(5月5日付当レポート参照)。市場へのショックを緩和するために金融緩和政策の解除を漸進的に実施するとのFOMCスタンスの下でも、年内合計+1%の利上げは十分に正当化しうること、雇用市場とインフレ率がほぼFOMCの見通しに沿って推移していることが個人予想上方修正の背景である。

上記の予想に対するリスク要因は、主に政治要因となる。当レポートでは、トランプ米大統領の経済政策を潜在的に経済に対する上振れ要因と見てきた。しかしながら、就任100日以上を経ても、トランプ氏の経済政策が具体化される見込みは立っていない。3月16日に公表された大統領予算教書(ブループリント)、4月26日に公表された「経済成長と米国雇用のための2017年税制改革」はいずれも従前からのトランプ氏の公約の概要にすぎず、具体的な政策の数値化や行程が示されていない。トランプ大統領の経済・財政政策が実現した場合でも、成長への効果を発揮は2018年以降とならざるを得ない。成長見通しへの上方リスク要因は徐々に縮小しているといえる。オバマケア代替法案は3月にいったん採決を断念したのち5月4日に米議会下院で可決された。しかし、上院での成立の目途はまだ立たず、トランプ氏の政策遂行にはまだ不確定要素が多い。さらに、米司法省は17日、ロシアが昨年の米大統領選に影響を及ぼしたとされる疑惑につき、米連邦捜査局(FBI)捜査を監督する特別検察官にロバート・ミュラー元FBI長官を任命すると公表した。これは、トランプ政権維持そのものにすら影響を与えかねない下方リスク要因である。

[第7図]
20170521図7

[第8図]
20170521図8

<経済指標コメント> 米4月小売売上高は前月比+0.4%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(4月):現状判断DIは48.1(前月比+0.7ポイント)、先行き判断DIは48.8(同+0.7ポイント)

4月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは48.1(前月比+0.7ポイント)と5ヶ月ぶりに上昇したが、4ヶ月連続で横ばいを示す50を下回った。2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは48.8(同+0.7ポイント)と反転上昇したが、2ヶ月連続で横ばいを示す50を下回った。景気判断の理由としては「外国人観光客に引っ張られている、、が国内の客の動きも手ごたえ(都市型ホテル)」「インバウンドの好調もさることながら、来客の固定客が進〔んでいる〕(百貨店)」「6月後半からはボーナス商戦が始まり良くなる(乗用車販売店)」といったインバウンドと内需双方の好調さに対し「4月からエコカー減税の基準が厳しくなっており、新車の販売量が伸び悩んでいる(乗用車販売店)」「人手不足や原料の仕入価格アップ(一般レストラン)」といったネガティブ要因もみられる。年初からの街角景気の低下は一服したようだが、人手不足と原油に代表される原材料価格上昇が依然景気の足かせとなっている。

20170514図1

[米国]

企業在庫(3月)は前月比+0.2%、企業売上高は同横ばい、在庫売上高比率は1.35倍

3月の企業在庫は前月比+0.2%の増加、企業売上高は同横ばい。在庫売上高比率は1.35倍と3ヶ月連続横ばいとなったが、2014年12月以来の低水準を維持している。在庫循環図は在庫積み増し局面にあるが、1-3月の在庫増加額は、10―12月のそれを下回った。1-3月期GDP統計(速報)では在庫投資が予想外に成長に大幅マイナス寄与したが、3月在庫統計はこれを裏付ける結果となった。GDP統計改定値でも在庫投資の寄与度は上方改訂されずマイナスになる可能性が高い。

20170514図2

小売売上高(4月)は前月比+0.4%、除く自動車関連同+0.3%

4月の小売売上高は前月比+0.4%と3ヶ月ぶりの強い伸びとなった。自動車関連を除く売上も同+0.3%と堅調。業種別内訳は、新車販売の増加を反映した自動車及び同部品ディーラーが同+0.7%、家電店同+1.3%、建設資材店同+1.2%、薬局同+0.8%、ガソリンスタンド同+0.2%など、多くの業種が売上を伸ばした。変動の大きい自動車・ガソリン・レストランを除く売上高は同+0.3%と引続き堅調である。2月、3月に大幅に下振れた小売売上は、4月に巡航速度に回帰したといえる。1-3月期に減速した個人消費は4-6月期には回復が見込める。

20170514図3

消費者物価指数(4月)は前月比+0.2%(前年比+2.2%)、同コア指数は前月比+0.1%(前年比+1.9%)

4月の消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%と3月のマイナスの伸びからプラスに転化した。前年比の伸びは+2.2%と2ヶ月連続で伸び率を低下させたが、5ヶ月連続で2%以上の伸びを維持した。食品及びエネルギーを除くコア指数は前月比+0.1%とこれもプラスの伸びに転化、前年比では+1.9%と2015年10月以来の2%割れとなった。エネルギー(前月比+1.1%)、家賃・宿泊費(同+0.3%)などが前月比のCPI上昇に寄与した一方、中古車(同-0.5%)、医療器具(同-0.8%)などが前月比で低下した。総合CPI、コアCPIともに1年前の原油価格上昇要因の剥落もあり上昇ペースがやや鈍化しており、年末のCPIインフレ率は総合、コアともに前年比+1.7%程度になる計算になる。これは当レポートの見通しよりやや下振れた推移である。しかし、失業率の低下に代表される需給引き締まりによりインフレ圧力は相応に継続すると見たい。

20170514図4

<経済レポート> 半歩前進:オバマケア代替法案下院可決

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米議会下院は一転してオバマケア代替法案を僅差で可決した。同法案は、国民皆保険制度や企業増税を含むオバマケアのほぼすべての政策を撤廃する内容である。トランプ大統領及び共和党の悲願達成に半歩前進した形だが、上院での可決にはハードルが残るうえ、財政・経済への効果はネットでは限定的であり、経済的観点からはオバマケアの廃止は同制度の成立と同じく象徴的存在にとどまる可能性もある。

米議会下院は代替法案を可決:上院可決にはまだ道のり

米議会下院は4日、オバマケア代替法案(American Healthcare Act of 2017 H.R.1628)を可決した。去る、3月24日に共和党のライアン下院議長は同法案採決の無期限延期を発表していた。報道等によれば、拡大メディケイド撤廃など一部の条項につき共和党内の支持が得られなかったことがその背景とされているようだ。この延期表明からちょうど6週間の間に党内調整がなされ、過半数の賛成票が獲得できると読んだ時点での採決実施だった模様だ。ただし、採決結果は217-213の僅差だった。民主党議員193名は全員が反対票、また共和党議員のうち20名も反対票を投じた。

同法案は次に米議会上院に送付される。しかし上院の採決ルールでは、採決実施のための審議打切り動議可決に60の賛成票が必要となる。現在の上院の勢力図は共和党52議席、民主党46議席、独立系2議席で、共和党は審議打切り可決に必要な多数を有していない。さらに上院共和党内に同法案に反対の立場をとる議員も存在することを勘案すれば、上院での可決には相当の党内調整、または修正法案の提出が必要となる可能性が高い。

報道によれば、マコネル上院院内総務率いる上院共和党のワーキンググループでは、特に高齢者の医療保険料を相対的に高額にする同法案の条項の変更等を中心に、修正案の起草が開始される見込みである(5月5日付WSJ紙)。さらに、上院での審議打切り動議可決に60票の賛成を必要としない方策を同時に探る必要がある。例えば、2010年3月のオバマケア法案成立の際、当時の政権党であった民主党は、予算にかかわる法案は過半数の賛成で審議打切りが可決できるという上院ルールを適用して、オバマケア法案と同時に予算和解案(Reconciliation Bill)を提出することで同法案を可決した。4月30日付当レポートで「踊る、されど進まず」としたトランプ大統領の政策は、オバマケア廃止については半歩前進したといえるが、法案成立までにはまだハードルが残っているといえる。

オバマケアと同代替法案の概要

ここで、いわゆるオバマケアとその代替案の内容を概観する。いわゆるオバマケアは2010年3月に成立した医療保険制度改革法(Patient Protection and Affordable Care Act =ACA)を根拠法とする。同法は原則として米国の個人の医療保険加入を義務付けることをその主たる趣旨としている。当時の米国には、先進国では珍しく国民皆保険制度がなかった。個人は各自の判断で保険会社の提供する(または雇用主が指定する)医療保険に加入する制度だった。その為国民の約16%(48.6百万人)が保険未加入であった(米保険福祉省National Health Interview Surveyによる)。多くの保険未加入者の存在を民主党は大きな社会問題とみていた。無保険者は十分な医療を受けられず、また緊急医療措置に対する医療費支払が滞るなどの問題があった。オバマケアはかかる事態の改善を意図して設立された国民皆保険制度である(その骨子は[第1表])。その内容は、個人に対する保険加入義務と違反への罰金、個人が保険を比較の上加入できるための医療保険取引所の開設、などからなっている。結果、2016年9月時点で米国民の保険未加入率は8.8%(28.2百万人)にまで低下した(米保険福祉省)。

一方で、オバマケアには反対意見も根強く、共和党は成立以来同法の廃止を党政策に掲げてきた。国民皆保険実現のための低所得者宛補助金制度に伴う財政支出拡大といった財政問題がその要因のひとつである。また、国民の間にも、医療保険拡充による保険料の上昇に伴う不公平感からオバマケアに反対する論調があった。また。オバマケアは取引所改設補助やメディケイド拡充に伴う財政支出拡大を、保険会社・医療関連企業・高額所得者等への増税で賄う仕組みとなっており、民主党オバマ政権の再配分重視政策が強く反映されていた。

オバマケア代替法案は、これらオバマケアの主要政策をほぼ廃止する内容である。個人の保険非加入者への罰金廃止による国民皆保険制度の事実上の停止、オバマケアに伴い導入された企業増税の停止などがその骨子である。さらに同法案では、取引所外での保険加入者に対する税還付実施など、オバマケアによらない保険加入を促進する内容となっている。一方で、オバマケアが掲げたメディケイド拡大条項の停止は、共和党議員の一部から、有権者の支持を失う虞があるとして反対があった。その為、メディケイド縮小の規模を緩和した修正法案が呈示されるに至ったが、3月の同法案採決延期決定は主にかかる共和党内反対派の支持を取り付けるにいたらなかったことが背景であった。

[第1表]
20170513図1


代替法案は財政赤字削減と企業キャッシュフロー改善に効果あり

オバマケア代替法案が財政と経済に与える影響をみる。同法案は、財政赤字削減を標榜する共和党の政策に合致したものといえる。ただし、メディケイドなど医療制度の後退は一部共和党議員からも反対が出ていることから、今後の上院での修正案次第では財政への影響は変動しうる。同法案は、オバマケアによる連邦政府の医療費支出、特に保険加入促進のための補助金やメディケイド支出に関する財政支出削減効果がある。一方で、企業や個人に対する増税を撤廃することで歳入の減少をもたらす。同法案が施行された場合、財政赤字のネット削減効果があると試算されている。米議会予算局(CBO)は3月13日時点で、同法案(当初案)が実施された場合、10年間に3370億ドルの財政赤字削減効果があると試算していた。しかし、メディケイド縮小内容を緩和するなどした修正案に基づく3月23日のCBO試算では、財政赤字削減効果は10年間で1503億ドルに縮小している([第2表])。

オバマケア代替法案は、政府支出がネット削減される一方、民間の税負担軽減による成長への寄与が期待できる。CBOによる財政影響見積もりの内訳は、歳出減が10年間で1兆1498億ドル、歳入減が9995億ドルとなっている。10年間で1兆1498億ドルの財政支出削減は1年当たり1149.8億ドル、これは2016年の米国の名目GDP総額18兆5691億ドルの約0.6%に相当する。一方で、増税撤廃等による民間の税負担減少は10年で9995億ドル、1年当たり999.5億ドルで、これは同じく名目GDPの約0.5%に相当する。ネット財政赤字削減は成長に対して年間約-0.1%程度の押し下げ効果が発生する計算になり、乗数効果による成長へのマイナスの効果が出ることになる。

オバマケア代替法案単独では、財政・経済に対してネットではほぼニュートラルの影響にとどまるとみておく。民間部門に限って言えば、オバマケアで賦課された増税が緩和されることで、成長へのプラスの貢献が期待できる。業種としては、増税の対象となっている保険会社、薬品会社、医療品メーカーなどがその恩恵を受けるだろう。一方で、オバマケアが国民の医療保険加入者数を拡大したことは事実であり、オバマケア廃止による保険会社の加入者減や、医療サービス提供の減少に伴う医薬品販売減などのマイナス影響もこれらの業種にはありうるところである。また、トランプ政権は別途インフラ投資や国防費などの歳出増や、税制改革による減税を政策に掲げている。これらインフラ投資や税制改革による財政・経済への影響の方が、オバマケア廃止による影響よりも相対的にはかなり大きそうだ。


[第2表]
20170513図2


ネットでは経済への影響は限定的:政府は8月以前に上院採決を目指す

一方で、オバマケア廃止に伴う個人への減税については、これが主に高額所得者に恩恵をもたらすものであるとの見方もある。米調査会社Tax Policy Centerの推計によれば、オバマケア廃止に伴い、所得額上位約13%の個人に対しては2022年時点で年間約2830ドルの連邦所得税減税効果があるのに対し、所得額下位約27.4%の個人に対しては、年間10ドルの増税効果があるとされている(3月22日付Tax Policy Center推計)。この結果は、低所得者への補助金配賦の廃止や、高額医療保険への消費税廃止などの政策内容と整合している。また、一般に高額所得者に有利とされる共和党の政策とも整合する結果である。

オバマケア代替法案の下院可決は、トランプ大統領の従前からの公約実現と、共和党の政策実現とに一つの前進をもたらす大きな契機だといえる。トランプ大統領にとっては、就任前の目玉政策が一度は頓挫したものの見事にリカバリーした。共和党にとってはオバマケア成立以来の悲願だがようやく現実的になった。しかし、CBO推計による同法案の財政赤字削減効果は現状のところ限定的である。減税による成長押し上げ効果も、医療支出削減により概ね相殺される可能性がある。オバマケア自体が民主党オバマ大統領の政策の象徴的存在であったように、その撤廃も共和党トランプ大統領の政策の象徴的存在にとどまる可能性はある。

さらに、同法の完全成立にはまだハードルが残る。上述の通り、米議会上院では共和党による修正案の起草と、同法成立のための審議打切り動議をクリアする方策が立てられねばならない。しかし共和党政府は同法成立に極めて意欲的である。報道によれば、プライス米保健福祉長官は、議会が休会になる8月以前に上院で同法を採決することは可能との見通しを示した(5月12日付The Hill)。

<経済指標コメント> 米4月非農業部門雇用者数は前月比+211千人

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[米国]

実質個人消費(3月)は前月比+0.3%、個人消費支出価格指数は前月比-0.2%(前年比+1.8%)、同コア指数前月比-0.1%(前年比+1.6%)

3月の実質個人消費は前月比+0.3%と3ヶ月ぶりのプラスの伸び。内訳は、自動車販売の減少を反映した耐久財消費が同-0.7%、非耐久財消費同+0.3%、サービス消費同+0.4%。耐久財消費が大幅減少したが、非耐久財とサービス消費が巡航速度に回帰した形だ。1、2月の消費減少の影響で1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+0.3%の伸びにとどまった。4-6月期については、毎月前月比+0.15%程度の伸びを想定して前期比年率+1.8%への回復を見込む。個人消費の減速は一時的なものとみるが、自動車販売の飽和状態化と、中期的な実質可処分所得の伸び減速は、個人消費が循環的減速局面に入っていることを示唆している。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比-0.2%と13ヶ月ぶりの前月比低下で、前年比の伸び率は+1.8%。食品及びエネルギーを除く同コア指数も前月比-0.1%と、実に2001年9月以来の前月比低下で、前年比伸び率は+1.6%となった。PCEインフレ率はいずれも前年比+2%のFRB目標を下回っているが、今後原油価格が安定推移すれば年末にかけいずれも同+1.7%水準で安定推移すると見る。

20170506図1

新車販売台数(4月、乗用車及び軽トラック)は年率16.81百万台(前月比+1.8%、前年比-3.1%)

4月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率16.81百万台(前月比+1.8%、前年比-3.1%)と、4ヶ月ぶりに前月比で増加したが、4ヶ月連続で前年を下回った。2016年12月の同18.31百万台をピークに自動車販売は飽和状態からのピークアウトの傾向がみられる。今後も販売台数は平均して同17百万台前後で推移しそうだ。

20170506図2

雇用統計(4月):非農業部門雇用者数は前月比+211千人、失業率は4.4%

4月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+211千人と、前月3月の同+79千人から大幅に回復した。3月の雇用急減速は一時的なものだったといえる。同3ヶ月移動平均は+174千人と低下しているが、巡航速度の雇用増加を何とか維持している。業種別には、小売業同+6.3千人、専門ビジネスサービス同+39千人、教育・医療同+41千人、娯楽・宿泊同+55千人など主要業種で雇用が回復または増加した。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)は前年比+2.3%と前月比横ばいの伸び。時間当たり賃金上昇率は2016年9月の同+2.7%をピークに、失業率低下にも拘わらず低下に転じている。非農業部門雇用者数の前月比の伸び率は+1.6%、週平均労働時間は同+0.3%、時間当たり賃金上昇率と合わせ名目ベースで同+4.2%の購買力が確保されている計算になる。家計調査による失業率は4.4%(前月比-0.1%ポイント)と、金融危機前の2007年5月以来低水準に低下した。これは米議会予算局の推計する自然失業率4.7%を-0.3%ポイントも下回っている。労働参加率は62.9%(前月比-0.1%ポイント)とやや低下したが、最近のピークである63%近辺での横ばい推移は維持している。総じて、米国はほぼ完全雇用状態にある。雇用拡大ペースには循環的な減速がみられ、賃金上昇率も鈍化しているものの、雇用増加・賃金上昇・労働時間増を合わせた購買力は実質ベースで+2%以上を確保しており、今後も個人消費は減速しつつも堅調に推移する可能性が高いと見る。FOMCが6月の定例会合で追加利上げを決定するとの個人予想を支持する結果である。

20170506図3

<経済レポート> 利上げ継続スタンスは不変:5月FOMC

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FOMCは5月定例会合でFF金利誘導目標レンジの据置きを決定した。FOMCの判断では、第1四半期の成長減速は一時的であるとされている。筆者個人も、年内合計3回以上の利上げがあるとの予想を維持し、次回6月定例会合では追加利上げが決定されると見る。年後半にはFRB保有資産再投資の終了も見込む。下方リスク要因は、個人消費の中期的な循環的減速と、国内外の政治的・地政学的リスクである。

5月FOMCはFF金利据置き:「第1四半期の減速は一時的」

FRB連邦公開市場委員会(FOMC)は3-4日の定例会合で、FF金利誘導目標レンジを0.75-1.00%に据置くことを決定した。前回3月定例会合で3ヶ月ぶりの追加利上げを決定したのち、再び利上げに間を置いた形である([第1図])。会合後に公表された声明文の基調判断のパラグラフでは、1-3月期の実質GDP成長率の前期比年率+0.7%への減速を反映し「経済活動の成長が減速」「家計消費は緩やかに(modestly)上昇したのみ」といった修正がなされている。しかし、経済見通しのパラグラフでは「委員会は第1四半期の成長減速が一時的なものである可能性が高いと見て」いるとの文言が挿入され、今後の経済見通しは、従前の声明文と同じ「経済活動は適度なペースで拡大し、労働市場は更にいくぶん強化され、インフレ率は中期的には2%付近で安定する」に維持された(末尾[第2表])。FRBの保有資産の再投資政策も維持された。金融政策据置きの決定は全会一致でなされた。なお、FRBタルーロ理事は4月で辞任しており、5月定例会合の投票メンバーから外れている。

利上げペースが「漸進的(gradual)」になるとの従前からのフォワードガイダンスからは、今回の利上げ見送りは予想通りである。1-3月期の実質GDP成長率は個人消費の減速を主因に減速したが、4-6月期以降前期比年率+2%成長を継続すれば2017年に+1.7%(第4四半期前年同期比)の成長が可能なペースである。3月の非農業部門雇用者数は前月比+98千人に減速していたが、3ヶ月移動平均では同+177.7千人の雇用増が確保されていた。失業率は3月時点で4.5%と2007年以来の低位にあった。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の伸び率は3月時点で前年比+1.8%と、2月の同+2.1%から低下したが、筆者個人の見通しでは2017年末に同+1.7%程度の伸びを維持する見込みである。

3月時点のFOMC委員経済予測によれば、2017年の成長率(同上)は+2.1%、PCEインフレ率は+1.9%、失業率は4.5%となっており、1-3月期の成長とインフレの鈍化は、実績値がこの予測を若干下回るペースで推移していることになる。しかしながら、上記の個人見通しをテイラー・ルール公式に当てはめて推計した2017年末の適正FF金利は2.24%(自然利子率=1.5%の場合)となる([第3図])。これは、1-3月期の成長とインフレの減速にかかわらず、年内3回以上の利上げが適切との当レポートの見方を支持するものである。ついては、今後6月、9月の定例会合で各+0.25%の利上げが実施されるとの個人予想を維持、更に12月にも追加利上げが決定される上方リスクを引き続き見ておく。

[第1図]
20170505図1

[第2図]
20170505図2

[第3図]
20170505図3

保有資産再投資終了タイミングは年後半

遡って、+0.25%の利上げが決定された前回3月FOMC定例会合の議事要旨から、3月の利上げに至った議論をさらっておこう。3月14-15日の定例会合議事要旨によれば、金融政策に関する議論の中で「ほとんどすべての参加者は、入手されたデータが今会合におけるFF金利誘導目標の25bpsの引上げと整合的である」としていた。また「ほとんどすべての参加者は米経済が最大雇用近辺で推移していると判断した」とされた。一方で「対照的に、委員会のインフレ目標について参加者は異なる見解を持っていた」とされた。「多数の(a number of)参加者はコアインフレ率が将来の総合インフレの有用な指標であり、直近のコアインフレの12ヶ月上昇率は総合インフレ率が2%に持続的に上昇するには幾分の時間がかかることを示唆している」と述べた。しかし「数人の(several)参加者は、1月時点で総合インフレ率が2%近くに上昇しコアインフレ率が1.75%近くに上昇していることから、委員会は実質的にインフレ目標を達成しているかまたは年後半に達成しつつある」とのべ、これらの参加者は「金融緩和の解除を、FOMC委員経済予測で示されたよりも速いペースで実施することを正当化しうる」と述べたとされる。一部のFOMC委員の中では、年3回を超える利上げ実施を主張する意見が3月時点で出ていたことになる。

3月FOMCでは、FRBの保有資産の再投資の終了のタイミングに関する議論も行われていた。2014年FOMCが公表した「金融政策正常化の原則と計画(2014年9月17日FRBプレスリリース)」によれば、「FRBの証券保有を一義的には償還金の再投資停止により縮小する」「再投資終了または縮小開始はFF金利誘導目標レンジの引上げを開始したのちに実施する」とされている。3月の会合ではこの「原則と計画」が再確認されたうえで、実際の再投資終了の時期が議論された。「数人の参加者は、(再投資終了の)時期は数値的閾値またはFF金利誘導目標レンジに連関したトリガーに基づくべき」と述べた一方、「他の幾人か(some)の参加者は、その時期は質的な判断に依存するべき」と主張した。その上で「政策担当者は、委員会の再投資政策変更が適切となるFF金利の水準を議論」した。その結果「ほとんどの参加者は、FF金利の漸進的な引き上げを予想し、委員会の再投資政策への変更は今年の後半になりそうだと判断した」とされた。

3月会合の議事要旨には、再投資政策を変更するトリガーとなる具体的なFF金利誘導目標の水準については記載がない。しかし、ほとんどの参加者が再投資政策変更を年後半とみていたこと、また声明文が「FF金利水準の正常化が十分に進行するまで」同政策を続けると表明していることから、その水準はレンジの下限が1%をこえてくるレベルと憶測できる。金融緩和政策解除ペースがあくまで「漸進的」であることから、再投資政策解除は9月または12月の定例会合で決定される可能性が高いと現状では見ておきたい。これについては後日公表される5月定例会合の議事要旨で再投資政策終了に関する議論の内容を確認することとしたい。

バランスシート縮小は10年がかり

ところで、FRBのバランスシート縮小は数年以上にわたる作業になる見込みである。FRBは2008年の量的緩和実施以来、それまでの1兆円弱だった総資産残高を約4.5兆円にまで拡大させてきた([第4図])。現在の約4.5兆円のバランスシートのうち約4.3兆円が保有有価証券、うち米国債が約2.5兆円、住宅ローン担保証券(MBS)が約1.8兆円である。FRBの保有する有価証券の残高を残存期間別に見たのが[第5図]である。これによれば、米国債の保有年限は1~5年が最も多い約1.2兆円、MBSは1.8兆円の保有のほとんどが10年超である。
FRBは上記2014年の「計画」において「現在では、住宅ローン担保証券(MBS)の売却は予定しない」としている。これは、FRBがMBSを売却することによる住宅ローン金利上昇などの悪影響を排除する趣旨と考えられる。MBSの売却の可能性を前提としていた2011年6月のFOMC定例会合の議事要旨でも「住宅ローン担保証券の売却は3~5年かけて解消する」とされており、FRBのバランスシート縮小は当初より相応の時間をかけて実現することが想定されていた。仮にバランスシート縮小を再投資停止のみで実施した場合、1.2兆円の縮小を実現するのに1~5年がかかり、MBS残高の1.8兆円は10年以上残存することになる。

FRBのバランスシート残高の長期金利水準への直接影響の程度は必ずしも明かではない(FRBバランスシートの対GDP比率と長期金利の関係について、2015年4月29日付当レポート参照)。しかし現在の長期金利の低位安定に、FRBの拡大したバランスシート残高と再投資政策が寄与していることは間違いない。FRBが保有資産の再投資を開始した時点でそれは長期金利上昇要因となりうる。現在米国債10年物利回りは2%台前半に抑制されているが、再投資政策の終了はこれを本来の均衡水準と筆者がみる3%台半ばレベルに上昇させる契機となりうるだろう。

[第4図]
20170505図4

[第5図]
20170505図5

次回6月追加利上げ個人予想維持:1-3月期の景気減速の波及如何に留意

今後のFRB金融政策については、上述の通り年内に合計3回の利上げが実施されるとの筆者個人予想を維持し、この予想に対するリスクは上方すなわち合計4回の利上げが決定される可能性を見ておく。一方で、1-3月期の経済指標が予想比下振れたことは、この上方リスクを若干緩和する材料となりうるものである。従前より当レポートでみてきたように、個人消費のファンダメンタルズである個人所得の伸びは、悪化はしていないものの中期的な循環的減速局面に入りつつある。個人所得統計によれば、実質個人所得の伸びは3月に前月比+0.3%と3ヶ月ぶりのプラス成長に回帰した。しかし、実質可処分所得の伸び率はここ約2年間低下傾向にある([第6図])。個別品目としては、新車販売台数(乗用車及び軽トラック)が1月以降4ヶ月連続で前年同月を下回るなど、自動車販売の減速がかなり明かになっている。

トランプ政権の経済・財政政策はいまだ経済成長予想に十分に勘案できるほどには具体化していない。大統領予算教書はいまだ正式版がリリースされておらず、4月26日に公表されたトランプ政権の税制改革案も極めてハイレベルな項目呈示にとどまっている。前回3月のFOMC定例会合では「ほとんどの参加者はより拡大的な財政政策は経済予測への上方リスク」とみていた。当レポートでも同様の見方をとっている。しかし、最近のトランプ政権の政策具体化の遅れは、政策効果が2017年には示現しない可能性を更に高めているといえる(4月30日付当レポート参照)。

現状予見しうる材料で予想する限りにおいては、米経済はほぼ2%成長を今年も実現し、金融政策は着実に正常化されていくであろう。予見しにくい材料としてはトランプ大統領の政策の他、海外の政治的・地政学的リスクがある。ただ、米国内のファンダメンタルズが、当レポートや5月FOMC声明文で判断するように「堅調」であることは、4月分以降の経済指標で確認していくこととしたい。

[第6図]
20170505図6

[第1表]
20170505表1

[第2表]
20170505表2