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<経済指標コメント> 米7月消費者物価指数は前年比+1.7%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(7月):現状判断DIは49.7(前月比-0.3ポイント)、先行き判断DIは50.3(同-0.2ポイント)

7月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは49.7(前月比-0.3ポイント)と4ヶ月ぶりの低下。家計動向関連DIは横ばいだったが、企業動向関連、雇用関連が低下した。2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは50.3(同-0.2ポイント)と反落。雇用関連DIが上昇したが、家計動向関連・企業動向関連が低下した。総じて街角景気は、年初からも持ち直しが続いているもののここ2、3ヶ月は一服感があるといえる。景気判断理由としては「気温の上昇に伴いエアコンを中心とした季節商材の販売が伸びている(家電量販店)」「宿泊については、インバウンドは引き続き好調(都市型ホテル)」などの良い要因の一方、「製品単価の値上げや工法によるコストアップ、人件費の高騰(建設業)」「人手不足(同)」などコスト増による先行き懸念を示すものがみられる。

20170812b図1

機械受注(6月、船舶・電力を除く民需)は前月比-1.9%(前年比-5.2%)

6月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比-1.9%(前年比-5.2%)と前月比で3ヶ月連続減少、前年比でも3ヶ月ぶりのマイナスとなった。結果4-6月期の同受注は前期比-4.7%と2四半期連続のマイナスとなった。経済産業省鉱工業生産指数統計による4-6月期の資本財受注は前期比プラスを確保しており、4-6月期GDP統計における設備投資は3四半期連続のプラス成長になりそうだが、受注の減少はその後の持続性に対する下方リスク要因である。

20170812b図2

[米国]

消費者物価指数(7月)は前月比+0.1%(前年比+1.7%)、同コア指数は前月比+0.1%(前年比+1.7%)

7月の消費者物価指数(CPI)は前月比+0.1%(前年比+1.7%)と3ヶ月ぶりの前月比上昇で、前年比上昇率も5ヶ月ぶりに上昇に転じた。前月比では、前月まで2ヶ月連続低下していたガソリンが7月は横ばい、衣服(同+0.3%)、医療財(同+1.0%)、医療サービス(同+0.3%)などが上昇した。一方で新車(同-0.5%)、中古車(同-0.5%)などが下落した。食品及びエネルギーを除くコアCPIは前月比+0.1%(前年比+1.7%)と4ヶ月連続上昇、前年比伸び率は横ばいだった。年初から低下傾向にあるCPIインフレ率は7月単月ではいったん低下に歯止めがかかった形である。今後原油価格が安定推移すれば、年末の総合CPIインフレ率は前年比+1.3%、コアCPIインフレ率は+1.5%程度になると見ている。これは当レポートの想定を下回るペースであるが、FOMCの金融緩和政策解除を妨げる要因にはならないと見る(8月12日付<経済レポート>参照)。

20170812b図3



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<経済レポート> 需要超過に備えよ:FRB金融政策見通し

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米インフレ率は今年に入り低下傾向が続き、7月FOMCでは利上げが見送られた。しかしながら、現在のインフレ率は金融緩和解除継続を正当化するに十分な水準にある。また景気サイクルがまもなく転換する可能性を勘案すれば、金融政策ののりしろ確保のために利上げは早期に実施するのが望ましいと引き続き見ておく。

7月FOMCではインフレ基調判断が下方修正

FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)は7月25-26日の定例会合で、FF金利誘導目標レンジを1.00-1.25%に据え置くことを決定した。会合後の声明文の内容は前回6月会合と本質的に変更はない。ただし、直近のインフレ率につき、前回声明文では「2%を幾分下回って推移している」とされていたのが、7月声明文では「いくぶん」が削除され、基調判断が下方に修正された。前回6月会合時点で判明していた個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の前年比伸び率は4月分の+1.7%、7月会合時点で判明していたそれは5月分の+1.5%であった。この実績値からは、声明文のインフレに関する基調判断がやや後退したのは自然なことといえるだろう。

また、バランスシート縮小に関するパラグラフでは、委員会がバランスシート正常化を「相対的に早期に」開始すると予想している、とされた(前回声明文では「年内に」)。これは、イエレンFRB議長が7月12日下院金融サービス委員会での半期金融政策報告の質疑で「バランスシートの正常化は相対的に早期に開始すべき」と発言した(報道による)ことと整合している。7月FOMC声明文の内容はこれ以外にこれまでの金融政策予想に影響を与える材料はない。FOMCが今後9月、12月の定例会合でそれぞれ+0.25%の利上げを決定、また9月会合ではバランスシート正常化の決定がなされるとの個人予想を維持する。

7月声明文でインフレに関する判断が下方に微修正されたこと、また遡って7月12日の半期議会証言でイエレンFRB議長が「インフレは委員会の長期目標2%を下回って推移し続けている」と証言していたことは、FOMCがハト派方向にシフトしつつある材料と市場の一部では受け取られた模様だ。結果いずれのイベントにおいても、直後に長期金利は低下、株価は上昇した。しかしながら筆者個人は、現在のインフレ率は現在の金融緩和解除を継続するに十分な水準であり、かつ今後もインフレ率はほぼ安定的に推移すると見ている。さらに、今後の景気循環見通しを勘案すれば、利上げは早期に実施したうえで将来の金融政策ののりしろを確保することが適切であると見る。

需給ギャップ縮小によりインフレ率は2%を目指す

まず、低下傾向にあるインフレ率の今後の見通しと金融政策の関係を見ていく。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は、6月時点で総合指数が前年比+1.4%、食品及びエネルギーを除くコア指数が同+1.5%で、いずれも年初をピークに今年に入り低下傾向にある。今年に入ってからのインフレ率低下要因の一つは、2015年の原油価格急落要因が2016年に剥落して前年比インフレ率を押し上げていた効果の剥落である。今後原油価格が1バレル=50ドル前後で安定推移した場合、年末のPCEインフレ率は同+1.4~+1.6%と、現状比横ばいからやや強含み推移する計算になる。なお、消費者物価指数(CPI)は7月時点で総合指数、コア指数ともに同+1.7%だった。総合CPIインフレ率は5ヶ月ぶりの上昇であり、CPIについてはインフレ率低下に一時的には歯止めがかかった形だ。

インフレ率と需給ギャップの関係からは、インフレ率は今後、FOMCが予測するとおり約2%に向けて上昇していく可能性が読み取れる。米議会予算局(CBO)の6月「財政・経済見通しアップデート」における推計潜在GDPをもとに現在の米経済のマイナス需給ギャップを計算してみると、2017年4-6月期現在で-0.3%にまで縮小している。今後仮に米経済が2%ペースで成長した場合、2018年にはマイナスの需給ギャップは完全に解消する計算になる([第2図])。なお、CBOは6月の「見通しアップデート」において潜在GDP推計値を前回1月時点の推計値にくらべ下方改訂している。米経済のマイナスの需給ギャップは従前の認識よりもさらに縮小していることになる。

コアPCEインフレ率と需給ギャップの関係を示すシンプルなフィリップス曲線を描いてみると、需給ギャップゼロ(需給均衡)状態に対応するインフレ率は約+1.8%と推計できる([第3図])。なお、需給均衡状態に対応するインフレ率の過去の推移を40四半期ローリング回帰で推計してみると、2002年以降の平均値は約+1.9%となった。現在の均衡インフレ率+1.8%は、2014年をピークに低下局面に位置しているものの、過去に比べて大きく低下しているものではない([第4図])。

[第1図]
20170812図1

[第2図]
20170812図2

[第3図]
20170812図3

[第4図]
20170812図4

テイラー・ルールは2%以上のFF金利を示唆している

テイラー・ルールによる推計では、現在のインフレ率と需給ギャップから推計される適正FF金利は2%を超える位置にある。CBOの6月時点の潜在GDP推計値と、2017年4-6月期までのGDP統計とPCEインフレ率とをもとに適正FF金利を推計してみると、2017年4-6月期の適正FF金利は2.51%(自然利子率=1.5%とした場合)、2017年10-12月期のそれは2.83%となった([第5図])。CBOによる潜在GDP推計値の下方改訂により、適正FF金利水準推計値も従前に比べて高い結果となっている。

以上より、今後米国のインフレ率は年内ほぼ現状と横ばいの水準で推移、また中期的にはFOMCの2%目標値に向かって上昇していくと見る。さらに米経済のマイナス需給ギャップ縮小により、適正なFF金利水準は今や2%を超える水準にある。したがって、FOMCが現在のインフレ率が2%を下回って推移していることを理由に、利上げペースを減速させる必要はないことになる。

なお、上記テイラー・ルール公式において、自然利子率(実質中立金利)を1.5%としている背景は以下である。実質中立金利を、①GDP実績のHPフィルター平滑化、②CBO推計の潜在成長率、③米国債10年物利回りとCPIインフレ率実績値から算出した実質長期金利実績のHPフィルター平滑化、の3通りの方法で推計すると、それぞれ①2.1%、②1.6%、③0.8%と大きなばらつきができる。ここでは、3つの推計値の中央に位置する1.5%を実質中立金利とみなしている。イエレンFRB議長の発言(7月12日議会証言など)やFOMC議事要旨からは、FOMCが現在の中立実質金利を「歴史的基準に比して極めて低い」とみている。FOMCが想定する実質中立金利水準は定かではないが「極めて低い」との語感からはおそらく1%前後とみていると憶測できる。仮に中立実質金利が1%であったとしても、現在の適正FF金利は2%水準にある計算になる。この場合実質中立金利水準の低下もFOMCが金融緩和解除を停止する材料にはならないといえる。

[第5図]
20170812図5

[第6図]
20170812図6

景気循環はまもなく下降サイクル入りの可能性がある

次に、米国の景気循環の状況を見る。景気が1、2年の間に転換する可能性を勘案すると、FF金利誘導目標は早めに引き上げておき、金融政策ののりしろを確保しておくのが妥当であることは従前より当レポートで述べてきたところである(3月5日付当レポートなど)。上述のCBO推計潜在GDPに基づけば、マイナス需給ギャップはほぼ解消しており、このまま2%程度の成長が継続すれば、2018年に米経済は需要超過状態になる。直近の直前で米経済が需要超過状態だったのは2006-2007年の2年間だけである。この間、四半期ベースでの米経済の最大のプラス需給ギャップは2006年1-3月期の+0.5%だった。米経済において需要超過状態は需要不足状態にくらべて短期間にとどまる傾向がある。つまり需要超過状態になった時点で次の景気循環の転換が1-2年以内に訪れることを想定しておく必要がある。

米経済のトレンドとサイクルを別な方法で抽出してみる。1992年~2017年の四半期実質GDPデータをHPフィルターで平滑化した結果が[第7図]である。この推計値を経済のトレンドとみなして、GDP実績値のトレンドからの乖離を需給ギャップとみなすと、米経済は既に2015年に需要超過がピークアウトしている。2017年4-6月期現在は下降サイクルにあって需給ギャップは-0.1%のマイナスとなっている([第8図])。

HPフィルターで抽出したトレンドに照らした景気サイクルは既に下降局面にあると考えると、米経済成長ペースは今後1、2年の間に減速していき、ここでも1、2年の間にマイナス成長に陥る可能性もあることになる。なお、失業率は7月現在で4.3%と、CBO推計による自然失業率4.7%をすでに大幅に下回っている。

米経済は現在決して過熱しているとは言えず、ほぼ需給均衡の心地よい状態にあるといえる。しかし、今後株価上昇等を背景に経済が潜在成長率を超えるペースの拡大を継続すれば、1、2念の間には需要超過状態になり、景気サイクルが転換する可能性がある。その際に、FF金利誘導目標引き下げによる金融緩和実施を可能にするためには、FF金利誘導目標水準を相応に高めておくことが必要となる。

[第7図]
20170812図7

[第8図]
20170812図8

[第1表]
20170812表1