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<経済指標コメント> 米10-12月期実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+2.6%

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[日本]

全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、12月)は前月比横ばい(前年比+0.9%)

12月の全国消費者物価指数、生鮮食品を除く総合(いわゆるコアCPI)は前月比横ばい、前年比では+0.9%と前月並みの上昇率だった。生鮮食費及びエネルギーを除く総合指数(いわゆるコアコアCPI)は前月比横ばい、前年比+0.3%とこれも前月並みの伸び率。前月比ではエネルギー(前月比+0.5%)、家庭用耐久材(同+0.4%)などが上昇、宿泊料(同-3.9%)などが下落した。需給のタイト化でインフレ圧力は上昇中で、今後CPIインフレ率は上昇基調を保つと見る。2018年末にはコアCPI上昇率は前年比+1.2%レベルに着地すると見る。

20180127図1

[米国]

中古住宅販売戸数(12月)は年率5570千戸(前月比-3.6%)、在庫期間は3.2ヶ月

12月の中古住宅販売戸数は年率5570千戸(前月比-3.6%)と減少。12月に米国を襲った寒波の影響があると思われる。販売在庫は1480千戸(同-11.4%)と大幅減少し、在庫期間は3.2ヶ月とさらに短期化した。2017年通年の販売戸数は5510千戸(前年比+1.1%)と2006年以来の高水準となった。公表元の全米不動産業協会(NAR)はプレスリリースで「中古住宅販売は年末に軟化して終わったが、2017年の1年間は雇用増と消費者の需要で販売増となった」「しかし、市場条件は完璧には程遠い、在庫は縮小し価格上昇で消費者は手を出しにくくなっている」と述べている。

20180127図2

新築住宅販売戸数(12月)は年率625千戸(前月比-9.3%)、在庫期間は5.7ヶ月

12月の新築住宅販売は年率625千戸(前月比-9.3%)と大幅減少。中古住宅販売同様に寒波の影響があったと思われる。在庫期間は5.7ヶ月と長期化し、ほぼ適正水準にある。

20180127図3

実質GDP成長率(10-12月期、速報値)は前期比年率+2.6%

10-12月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+2.6%。結果は当レポート予想を下回ったが、内容を見ると成長を押し下げたのは在庫投資と純輸出であり、内需は極めて強い伸びを示している。見かけの数字よりはるかに良い内容である。需要項目別内訳は、個人消費同+3.8%、設備投資同+6.8%、住宅投資同+11.6%、政府支出同+3.0%、在庫投資寄与度同-0.67%、純輸出寄与度同-1.13%。個人消費・設備投資・住宅投資を合わせた国内最終民間需要は同+4.6%と2014年7-9月期以来の強い伸びとなった。内需項目のプラス成長と在庫のマイナス寄与は予想通りだが、内需の伸びは予想を上回った。財・サービス輸入の急増(同+13.9%)が財・サービス収支赤字を大幅に拡大させた形。結果、2017年通年の成長率は前年比+2.3%と、前年の同+1.5%から加速した。2018年に減税効果で拡大ペースは加速し、前年比+2.8%の伸びを実現すると引き続き個人予想する。

20180127図4

非国防資本財受注(航空機を除く、12月)は前月比-0.3%、同出荷は同+0.6%

12月の非国防資本財受注(航空機を除く)は前月比-0.3%と6ヶ月ぶりに小幅減少、しかし10-12月期通期では前期比年率+12.0%と強い伸びになり、今後の設備投資も好調に拡大することを示唆している。GDP統計上の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は前月比+0.6%の強い伸びで、10-12月期は前期比年率+12.5%となった。結果10-12月期GDP統計上の設備投資(機器投資)は同+11.4%と大幅な拡大となった。

20180127図5

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<経済レポート> 過熱領域から減速へ:米個人消費動向

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米個人消費は好調で2017年末のホリデー商戦も予想以上の好調な結果に終わった。2018年にもトランプ減税の効果で個人消費は加速するだろう。しかしながら、景気循環の観点からは個人消費は既に減速局面にある。目先の指標は好調なるも、次の景気の転換点の到来を見据えつつ米経済を占っていくことが必要である。

好調な個人消費もベースラインは減速へ

米国の個人消費は2017年末にかけ好調に拡大した。2017年のホリデー商戦(自動車・ガソリン・レストランを除く小売売上高の11-12月合計、季節調整済)は前年比+6.0%と、金融危機前の2005年以来の伸びを示した([第1図])。これは当レポートの予想である同+4.0%を大幅に上回る結果である。11月までの実質個人消費は前期比+2.8%と、10-12月期で前期比年率+3%に加速するペースである。2017年の米経済は、個人消費が牽引して好調のうちに終わった見込みだ。さらに2018年には、トランプ政権の減税によりさらに個人消費が押し上げられると見る。12月に成立した「減税及び雇用法」によれば、2018会計年度に個人所得税がGDP比-0.4%引き下げられることになっている。ここに法人税減税に伴う賃金・配当増加を合わせると、2018年の個人消費はベースラインに対して押し上げられ、前年比+2.5%レベルの拡大を実現すると見る。

しかしながら、個人消費のベースラインは2018年には減速に入っていることに留意したい。1月6日付当レポートでみたように、雇用拡大ペースの減速、金利とインフレ率の上昇が2018年の実質個人消費のベースラインを前年比+1.8%程度に押し下げる見込みである。さらに、現在の米個人消費の加速ペースがやや過大であるとの証跡がいくつかの経済指標から読み取れる。

2017年に始まった米国の直近の景気後退からすでに10年を経過している。景気循環の観点からは、そろそろ次の景気循環の転換期に備えるべき時期といえる。本レポートでは、米個人消費の動向を中期的視点から点検して、今後の減速の可能性を見ていく。

[第1図]
20180121図1

個人の消費動向は住宅バブル期以来のペースになっている

現在の個人消費加速がやや過熱気味であることを表象する指標の第1は、貯蓄率の低下である。2017年7-9月期現在で米個人の名目可処分所得の伸びは前年比+2.6%となっている。これに対し同時期の名目個人消費の伸びは同+4.2%と、可処分所得の伸びを大幅に上回っている。結果、個人貯蓄率は低下傾向にある。貯蓄率は金融危機後に大幅上昇して2012年にピークをつけたのち景気回復に伴い低下に転じた。現在(2017年7-9月期)の貯蓄率は3.3%と、金融危機直前の2007年10-12月期以来の低水準にある([第2図])。米家計は現在、所得の伸び以上に消費を拡大させていることになる。

第2に、限界消費性向が歴史的水準に上昇していることがあげられる。所得の伸び以上の消費を拡大させていることは、限界消費性向の上昇を意味する。可処分所得の増加に対する個人消費の増加割合をあらわす限界消費性向の推計値の推移を見ると、2017年7-9月期現在で1.01と、所得の伸び以上に消費する米家計の行動が示唆されている。この限界消費性向の水準も金融危機前の2006年以来の高水準にある([第3図])。

つまり、米個人消費は既に、金融危機直前の住宅バブル期と同等のペースに達していることになる。この伸びが今後も持続的とは考えられず、したがって今後個人消費は徐々に減速方向に向かうとの見方を支持する指標である。

[第2図]
20180121図2

[第3図]
20180121図3

労働市場需給や株価もバブル期の水準にある

次に、いくつかの経済指標が既に金融危機前の水準にまで上昇していることを示す。失業率は12月現在で4.1%と、実にITバブル終期の2000年以来の低水準にある。自然失業率と失業率実績の差分も-0.6%と、2000年以来の拡大幅となっている([第4図])。米労働市場は既に、金融危機前の住宅バブル期を上回る需給ひっ迫状態にあることになる。消費者センチメントも好調であるがlこれも過去の景気過熱期の水準にまで上昇していることは警戒すべきであろう。ミシガン大学消費者センチメント指数は、概ね2003年以来の高水準にある([第5図])。同指数は2017年10月に100.7ポイントのピークをつけたのち1月には94.4ポイントに低下しており、頭打ち感もみられ始めている。

個人消費拡大や消費者センチメントの上昇の一つの要因がトランプ政権発足以来の株価上昇であることは想像に難くない。しかしながら現在の株価指数バリュエーションは、歴史的にかなりの割高水準まで株価が買い進まれていることを示唆している。S&P500指数の株価収益率(PE)は2017年7-9月期現在で21.2倍と、8四半期連続で20倍台を維持している。金融危機直後の外れ値を除けば、S&P500のPEが20倍を示現したのは2003年以来のことである([第6図])。

米経済のマイナスの需給ギャップが解消して需要超過になったことは、景気サイクルがまもなく転換期に差し掛かりうることを示唆している。のみならず上記の通り、米経済がやや過熱領域に入りつつあることを示す指標が散見される。2018年には減税効果による+3%弱の成長を見込むも、経済のベースラインが循環的な減速に入っていることは、むしろ中期的な経済を占ううえで留意しておくべきであろう。

[第4図]
20180121図4

[第5図]
20180121図5

[第6図]
20180121図6

米連邦政府閉鎖について

米議会上院は19日、2018年歳出継続法の延長法案(H.R.195)の審議打切り動議(60票の賛成が必要)を50-49で否決した。法案には共和党の大多数が賛成したが、民主党の大多数と一部の民主党議員が反対に回り、予算法は成立しなかった。結果、米政府は20日より予算執行が不可能となり一部政府閉鎖となった。

米連邦政府予算は2017年9月に「2018年歳出継続法及び2017年災害救済要請のための補正歳出法(H.R.601)」により、従前から継続する歳出を2018会計年度につき12月8日を期限に可決していた(2017年9月10日付当レポート参照)。その後同法は2度にわたり短期間の延長がなされ、直近の期限が1月19日となっていたものである。同法の延長法案の可決がなされなかったことで、20日より米政府は一部閉鎖状態となった。米連邦政府閉鎖はオバマ政権時代の2013年10月1日~17日以来のことである。報道等によれば、民主党はトランプ大統領が廃止を表明済の若年不法移民保護制度の継続を要求しているとのことである。共和党マコネル上院院内総務は早ければ歳出継続法案の修正案を週明け早々に審議にかけて政府閉鎖の早期解消を狙う意図だ。なお、政府債務上限は上記2018年歳出継続法により、年12月9日以降20.5兆ドルに凍結されている。

前回2013年においては、約1ヶ月の政府閉鎖は実質GDPを約-0.2%押し下げると計算されていた(2013年10月6日付当レポート参照)。結果的に2013年の政府閉鎖は2週間強で解消し、米経済への影響は限定的であった。この経験則からは、今回も政府閉鎖は1ヶ月以内には解消されて経済への影響は最小限にとどまると憶測しておきたい。

<経済指標コメント> 米12月住宅着工戸数は年率1192千戸(前月比-8.2%)

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[日本]

機械受注(11月、船舶・電力を除く民需)は前月比+5.7%(前年比+4.1%)

11月の機械受注、船舶・電力を除く民需は前月比+5.7%(前年比+4.1%)と2ヶ月連続の前月比増加、前年比でも2ヶ月連続のプラスを維持した。設備投資の先行指標となる機械受注は回復の兆しがあり、2017年10-12月期に前期比横ばい程度にとどまると見られる設備投資も、2018年にはやや加速しそうだ。

20180121図1


[米国]

住宅着工戸数(12月)は年率1192千戸(前月比-8.2%)、住宅着工許可件数は同1302千戸(同-0.1%)

12月の住宅着工戸数は年率1192千戸(前月比-8.2%)と大幅減少。もっともこれは、過去2ヶ月の急増の反動とみられ、6ヶ月移動平均は同1221.3千戸(同-0.3%)とほぼ横ばいである。住宅着工許可件数は同1302千戸(同-0.1%)と微減だったが、同6ヶ月移動平均は同1274.7千戸(同+0.4%)と3ヶ月連続上昇している。住宅市場の需給はタイトで、引き続き着工需要は強いとみたい。なお、10-12月期の住宅着工戸数は前期比+6.7%と大幅増加しており、10-12月期GDP統計上の住宅投資は成長にプラス寄与すると見る。

20180121図2

<経済指標コメント> 米12月小売売上高は前月比+0.4%

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[日本]

景気ウォッチャー調査(12月):現状判断DIは53.9(前月比-0.2ポイント)、先行き判断DIは52.7(同-0.7ポイント)

12月の景気ウォッチャー調査、3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは53.9(前月比-0.2ポイント)と5ヶ月ぶりに低下。しかしながら同DIは依然消費税率引き上げ直前の2014年3月以来の高水準にある。2~3ヶ月先の景気の先行きに対する判断DIは52.7(同-0.7ポイント)と低下。景気判断理由は「少し単価の高いこだわり消費の売行きが良くなっている(スーパー)」「アメリカ向けが好調であることに加え、新興国向けの需要が回復(金属製品製造業)」など内需・外需双方の好調さが反映されている。一方で「人手不足の改善傾向がみられないなか、賃金上昇に伴う人件費の増加と求人に係る経費の増加で求人意欲が低下している業種があり(求人情報誌制作会社)」など人手不足による供給力低下を懸念する声もみられる。総じて街角景気は好調であるが、需給の過熱感の兆しがあるといえる。

20180114図1

[米国]

企業在庫(11月)は前月比+0.4%、企業売上高は同+1.2%、在庫売上高比率は1.33倍

11月の企業在庫は前月比+0.4%と堅調な伸び、一方で企業売上高が同+1.2%とさらに強い伸びとなり、在庫売上高比率は1.33倍と10月以降大幅低下基調となっている。在庫循環は依然在庫積み増し局面にあるが、内外需の増加に伴う売上増で、在庫はややタイトになりつつある。11月の企業在庫の3ヶ月前対比の増加幅は9月のそれを下回っており、企業在庫は当レポート予想とおり、10-12月期のGDP成長率にマイナス寄与となる可能性が高い。

20180114図2

消費者物価指数(12月)は前月比+0.1%(前年比+2.1%)、同コア指数は前月比+0.3%(前年比+1.8%)

12月の消費者物価指数(CPI)は前月比前月比+0.1%(前年比+2.1%)と、前年比伸び率を前月の同+2.2%からやや低下させたものの、4ヶ月連続で+2%台を維持した。食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比+0.3%(前年比+1.8%)と、前年比伸び率を前月の同+1.7%から上昇させた。需給のタイト化によるインフレ圧力が継続していると見られる。前月比のCPI上昇に寄与した費目は灯油(前月比+3.0%)、中古車(同+1.4%)、医療品(同+1.0%)など。1月以降は原油価格上昇がインフレを加速することが予想される。総じて米インフレの状況は、FRBによる金融緩和解除継続予想を支持する内容である。

20180114図3

小売売上高(12月)は前月比+0.4%、除く自動車関連同+0.4%

12月の小売売上高は前月比+0.4%と前月の同+0.9%から減速したものの堅調。除く自動車関連も同+0.4%と堅調。業種別では、新車販売の増加を反映した自動車及び同部品ディーラーが同+0.2%、建設資材店同+1.2%、食品店同+0.5%などが売上増。ガソリンスタンドは同横ばい。家電店同-0.2%、衣服店同-0.3%、スポーツ用品店同-1.6%などは売上を減少させた。コアとなる「自動車・ガソリン・レストランを除く」売上高は同+0.4%と、前月の同+1.3%から減速したものの堅調な増加を保った。結果、ホリデー商戦売上高(同売上高の11-12月合計)は前年比+6.0%と、当レポート予想の同+4%を大幅に上回る結果となった(季節調整済計数)。米個人消費は依然好調である一方、個人所得統計に見られる貯蓄率低下は、現在の個人消費が所得に比べてやや過大の拡大になっていることを示唆している。

20180114図4

<経済指標コメント> 米12月非農業部門雇用者数は前月比+148千人

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[米国]

新車販売台数(12月、乗用車及び軽トラック)は年率17.8百万台(前月比+2.1%、前年比-1.6%)

12月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率17.8百万台(前月比+2.1%)と3ヶ月ぶりに前月比増加。9月以降のハリケーン買替需要の影響が一服して巡航速度に回帰したと見える。2017年通年の販売台数は同17.2百万台(前年比-1.7%)と8年ぶりに前年を下回った。新車販売台数は年率18百万台レベルで飽和状態にあり、今後もベースラインの販売は金利上昇や原油価格上昇を背景に減速が続くと見たい。トランプ政権の税制改革による減税効果がここに上乗せになる可能性はある。

20180107図1

雇用統計(12月):非農業部門雇用者数は前月比+148千人、失業率は4.1%

12月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+148千人と前月の同+252千人から大幅減速した。3ヶ月移動平均は同+204千人と+200千人台を回復した。業種別内訳は、建設業同+30千人、製造業同+25千人、小売業同-20.3千人、専門ビジネスサービス業同+19千人、教育・医療業同+28千人と、小売業の雇用減少が全体を押し下げている。ホリデー商戦の好調さからはやや違和感なしとせず一時要因と見ておきたい。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)は前年比+2.3%と引き続き伸び悩んでいる。家計調査による失業率は4.1%と前月比横ばいで、2000年以来の低水準にある。内訳は、労働力人口、就業者数いずれも増加している。労働参加率は62.7%と前月比横ばい。総じて、12月は一時的に雇用増加ペースが鈍化したものの、雇用市場の基調は依然堅調であり、失業率は自然失業率を大幅に下回って労働市場が需要超過にあると見ておきたい。もっとも非農業部門雇用者数の前年比伸び率は12月時点で+1.4%と、前年同月の同+1.6%から減速している。これは労働市場のタイト化に伴う循環的減速であり今後もこの傾向は続くだろう。

20180107図2

<経済レポート> 減税効果で加速する:米経済定点観測

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2018年の米経済は、ベースラインの循環的減速にも関わらず、税制改革法成立による減税効果で前年比+2.8%の強い成長を実現すると個人予想する。これに伴い、インフレ率は2%に達してFOMCは年内3回またはそれ以上の利上げを実施すると見る。もっとも米経済は既に需要超過状態にあり、減税効果がこれに拍車をかけることで、2019年以降には景気の転換期が訪れる可能性がある。

2017年10-12月期は高成長継続へ

2017年の米経済成長率は、ほぼ年初の予想通り前年比+2.3%レベルに着地した模様だ。2018年は、12月に成立した税制改革の効果で成長が一時的に+0.5%程度押し上げられると見たい。しかしながら米経済はすでに需要超過の状態にある。2007年の景気後退始期から10年が経過していることも合わせると景気循環的には近々景気の転換期が訪れうる状況である。本レポートでは、米2017年10-12月期、及び2018年の成長率を各種指標等から占っていく。

2017年10-12月期の実質GDP成長率は予想以上に拡大ペースを維持し、前期比年率+3%レベルの成長になったと見る。好調な年末商戦のスタートを反映して10-12月期の実質個人消費は11月までで前期比年率+2.8%の位置にある。12月の同消費が前月比+0.2%を確保すれば、10-12月期のGDP統計上の実質個人消費は同+3%台になる計算になる。

設備投資の先行指標となる非国防資本財出荷も11月までで同+11.6%の高い位置にある。住宅着工戸数も11月までで同プラスの位置にある。企業在庫は一時的に売上増加により10-12月期は圧縮されそうだが、内需項目の好調さからは、10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+3%近い成長が見込める。そうなった場合、2017年4-6月期から3四半期連続で+3%台の成長が実現することになる。

税制改革は2018年成長率を+0.5%押し上げる:通年成長率は+2.8%を予想

2018年の成長率予想の前に、米国の税制改革の影響を見ておく。2017年12月22日「減税及び雇用法(Tax Cuts and Jobs Act, H.R.1)」の米議会両院協議会案が上下院の可決を経て大統領署名により成立した、税制改革法案はもともと上院と下院がそれぞれの案を可決し、その後に両院協議会による一本化が図られた。両院協議会案は12月2日に上院可決(51 – 49)、20日に下院可決(224 - 201)されて大統領署名に至った。なお、同法案は上院において過半数の賛成で予算案可決が可能なreconciliationの手続きに則るため、多くの減税措置が2027年までの時限措置とされた(米議会上院では通常審議打切りに3分の2の賛成が必要)。

同税制改革法の骨子は[第1表]の通り。個人所得税の税率区分・課税所得区分の見直しと、法人税の21%への大幅引き下げ、また海外法人からの受取配当の非課税化が大きな減税項目である。一方で、海外における企業収益への見なし税率適用が増税項目となる。総じて、国内の個人・法人に対しては減税を、海外に滞留する法人収益については課税強化することで、所得の国内還流を図る形となっている。また減税の実施時期は個人所得税、法人税とも2018年とされた(上院案では法人税減税実施時期を2019年としていた)。

この税制改革は大幅に2018年の成長率を押し上げる可能性が高い。本改革の減税効果の名目GDPに対する割合は[第2表]の通りである。2018年の減税効果はネットで名目GDPの0.7%になる。これら減税による所得増がすべて消費や投資に回るとは考えにくい。しかし、現状の米個人の貯蓄率は低下中、つまり所得増以上の消費を行う傾向が続いている。法人については、設備投資の急激な加速は見込みにくいものの、企業の賃上げや配当増を通じて個人消費を加速する経路が考えられる。本レポートでは、2018年の減税効果による成長押し上げ効果を+0.5%と見ておくこととする。

[第1表]
20180106表1

[第2表]
20180106表2

経済は既に需要超過になっている

上記の減税効果も勘案して、2018年の米実質GDP成長率は前年比+2.8%を個人予想する([第1図])。これは、2015年の同+2.9%以来の高成長率となる。トランプ政権の成長政策の目玉の一つであった大型減税がようやく実現したことで、大統領のプロビジネスな政策効果が就任2年目で効果を発揮することになる。

しかしながらこれは、2019年以降の米経済が同様に成長を加速することを意味するものではない。景気循環からはベースラインの経済拡大ペースは2018年にすでに減速局面に入る可能性が高いと考える。米議会予算局(CBO)推計による米国の潜在GDPをもとに米国の需給ギャップを計算してみると、2017年10-12月期で既に+0.2%の需要超過となっている。米経済において需給ギャップがプラス(需要超過)になっているのはむしろ例外的である。直近では金融危機前の住宅バブルの時期である2006年1-3月期に+0.5%の需要超過になっていたのが最大である。減税効果により2018年の成長が加速すると、2018年10-12月期に需給ギャップは+1.5%と、ITバブル終期の2000年以来の需要超過幅になる計算になる([第2図])。米経済において需要超過の時期はむしろ例外的である。90年代後半のITバブル期、2007年にかけての住宅バブル期は需要超過の時期であったが、その後に景気後退期が訪れている。

失業率は12月時点で2000年以来の低水準にあること、自動車販売台数が2016年をピークに2017年には減少に転じたことなどは、現在の経済がピークにある可能性を示唆する経済指標である。また、直近の景気後退の始期である2007年第4四半期から現在で既に10年が経過している。景気サイクルを概ね10年とすると、まもなく景気の転換点が訪れてもおかしくはない日柄にある。景気循環の状況からはベースラインの成長率は2018年にすでに減速局面に入っていると見ておきたい。以下では需要項目ごとの2018年の成長を見ていく。

[第1図]
20180106図1

[第2図]
20180106図2

消費の減速を減税がカバー、インフレ率は2%台へ

減税効果を勘案しないベースラインの実質個人消費は、2018年にはさらに減速する見込みだ。GDP統計上の実質個人消費は、2015年前年比+3.6%、2016年同+2.7%ののち、2017年も同+2.7%程度に着地した見込みである。2018年のベースラインの実質個人消費は同+2%台前半に減速するが、ここに減税効果が上乗せになって結果同+2.5%の拡大を見込む。ベースラインの実質個人消費の減速の背景は、雇用増加ペースの減速、金利上昇、そしてインフレの進行である。雇用・賃金・物価・株価・金利・住宅価格を決定要因とする実質個人消費の要因分解によれば、雇用と賃金の増加ペースの減速が中期的な個人消費の減速要因となっている。非農業部門雇用者数の前年比の伸びは2017年12月現在で+1.4%と、2016年末の同+1.6%レベルからさらに減速している。これは、失業率が自然失業率を下回る完全雇用のもとでの循環的な雇用拡大ペースの減速である。2018年にも雇用拡大ペースの減速が続くことに加えて、インフレの進行と、FRBの利上げ継続に伴う金利上昇が更に個人消費を減速させると見る([第3図])。

設備投資は2018年にベースラインで前年比+5~6%の拡大に加速すると見る(2017年は同+4%レベル)。設備投資の月次の先行指標は好調、10-12月期の非国防資本財受注(航空機を除く)は11月現在で前期比+8.1%の高水準にあり、設備投資が今後半年ほどは強い伸びを示すことを示唆している。フィラデルフィア連銀製造業景況感指数の設備投資DIは90年代以降でほぼ最高の水準にあり、企業の設備投資意欲が極めて高いことを示唆している([第4図])。在庫循環は現在「在庫積み増し局面」にあり、年前半は成長にプラス寄与すると見る。年後半は在庫調整局面入りで成長抑制要因になるだろう([第5図])。

インフレについては、需要超過の拡大により2018年にはインフレ圧力が高まると見る。需給ギャップとコア個人消費支出価格指数(コアPCEデフレーター)とのシンプルな相関によれば、2018年末のプラスの需給ギャップ見込み+1.5%に対応するコアPCEインフレ率は約+2.1%と推計できる([第6図])。2018年にはFRBが目標とする2%インフレ率が達成できる環境にある。実際にはPCEデフレーターは2018年に前年比2%前後で推移、コアPCEデフレーターはやや遅行して2018年末に同+1.8%までの上昇を見込む([第7図])。

[第3図]
20180106図3

[第4図]
20180106図4

[第5図]
20180106図5

[第6図]
20180106図6

[第7図]
20180106図7

FRBの年内3回の利上げを見込む:リスクは上方

FRBの金融政策については、2018年中に3回の利上げが決定され、年末のFF金利誘導目標は2.00-2.25%になると個人予想する。利上げ時期としては、2018年3月、6月、9月の定例会合にそれぞれ+0.25%の利上げが決定されると予想する。これは、12月のFOMC委員による経済予測によるFF金利予測中央値と整合するものである([第3表][第4表])。ただし、この予想は上方リスクを孕んでいる。場合によっては12月会合でも年内4回目の利上げ決定される上方リスクを見ておく。まず、テイラー・ルールに基づき、上記の筆者個人の成長・インフレ予想から2018年末の適正FF金利を推計すると、実に4.8%との計算になる(テイラー・ルール公式は99年版、自然利子率=1.5%)。テイラー・ルール公式のインフレギャップがインフレ実績2%によりほぼゼロとなる一方、需給ギャップが+1.5%と大幅にプラスになることが適正FF金利水準を押し上げる要因となっている。

FOMC委員予測中央値によれば、長期的な均衡インフレ率は2%、FF金利の長期的な均衡水準は2.8%とされている。ここからはFOMCの見る自然利子率が約+0.8%であることになる。2018年のインフレ率予測中央値は1.9%、成長率予測中央値は+2.5%(9月時点の+2.1%から、おそらく減税法案成立を勘案して上方シフト)と、筆者予想よりも幾分低めである。また、イエレン議長が採用する99年版テイラー・ルール公式では需給ギャップがインフレギャップの2倍勘案されているが、2018年のイエレン議長退任後は需給ギャップとインフレギャップを均等に勘案する93年版公式をベースとすることも考えられる。93年版テイラー・ルール公式に基づき、経済成長とインフレ率をFOMC委員予測中央値、自然利子率+0.8%を適用した場合でも、2018年の適正FF金利は3%レベルとなる計算になる。

2月3日のイエレンFRB議長任期終了後に議長就任予定のパウエル氏は、基本的にイエレン路線を継承すると見る。一方で2018年のFOMCの地区連銀総裁投票メンバーについては、クリーブランド連銀メスター総裁、サンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁という2名のタカ派が2017年のタカ派(フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、ダラス連銀カプラン総裁)に代わる一方、2017年のハト派投票メンバー(シカゴ連銀エバンス総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁)に代わる2名のメンバーは中立スタンスとみられる([第5表])。また、現在副議長(フィッシャー前副議長後任ポスト)を含む合計3名の理事ポストが空席であり、議長任期終了とともに理事退任が考えられるイエレン氏の後任も含めると年内に合計4名の理事ポストが交代になる。うち理事1名には、ルールベースの金融政策を主張するグッドフレンド氏が候補指名されている。こうしたFOMC内勢力図からは、2018年の金融政策はよりタカ派またはルールに基づく金利引き上げ加速方向の政策がとられる可能性が高いとみる。

[第3表]
20180106表3

[第4表]
20180106表4

[第5表]
20180106表5

[第6表]
20180106表6

<経済レポート> 需給タイト化が進む:日本経済定点観測

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2018年の日本経済成長率は、2017年からやや減速して潜在成長率に近いペースになると個人予想する。しかしその間プラスの需給ギャップは拡大し、コアインフレ率は+1%台に上昇すると見る。経済が需要超過になったことで、次の景気サイクルの転換期を見極める時期に来ている。経験則からは今後2年以内にその転換が来る可能性が高いと見ておきたい。

10-12月期は+1%割れに減速した模様

2017年に+2%に迫る成長に回復した日本経済は、2018年にはやや減速して+1%台前半の潜在成長率に近い成長に減速していくと見る。2017年10-12月期は、過去2四半期の強い成長率の反動で+1%割れの成長にいったん減速するも、2018年1-3月期には再び+2%台の成長に再加速しそうだ。しかしながら、プラスの需給ギャップの拡大と中期的な景気循環は、日本経済の循環的転換前の減速局面入りが近いことを示唆している。2018年後半には再び成長ペースはやや鈍化し、通年の成長率は前年比+1.5%になると見る([第1図])。本レポートでは、2017年10-12月期、及び2018年にかけての日本経済の状況を展望し、筆者個人の予想を立てていく。

2017年の日本の実質GDP成長率は前年比+1.7%程度に着地したと見る。4-6月期に前期比年率+2.9%、7-9月期に同+2.5%と、2四半期連続で+2%台に成長を実現した。しかし、これまでの基礎統計や先行指標によれば、10-12月期の成長率は同+1%割れにまでいったん減速した模様である。総務省家計調査による10-12月期の実質家計消費(二人以上の世帯)は11月までで前期比-0.3%と2四半期連続のマイナスの伸び。経済産業省鉱工業生産指数統計による資本財出荷は同じく前期比-0.3%。住宅着工戸数も同じく-同1.4%と、内需関連指標がいずれも前期を下回っている。

企業在庫指数は11月時点で9月に比べ、3ヶ月前対比の上昇ペースが加速しており、また在庫循環図は在庫積み増し局面にある。国際収支統計によれば、10月時点で輸出の伸び拡大により財・サービス収支黒字が前期比拡大している。在庫投資と純輸出は10-12月期にも成長にプラス寄与しそうだ。ただ上記の内需の低迷により10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+1%弱に減速すると見る。

[第1図]
20180102図1

2018年は1.5%成長を見る:経済は需要超過が進む

次に、2018年の日本経済を占っていく。2018年暦年成長率は、2017年の成長からやや減速して前年比+1.5%、2018年度は前年度比+1.3%を筆者個人予想とする。最初に、需給ギャップの状況から見た現在の日本経済の立ち位置をみる。内閣府推計によれば、2017年7-9月期時点での日本経済の需給ギャップは+0.7%で、2四半期連続の需要超過となっている。内閣府推計の現状の潜在成長率は+1.1%である。上記の筆者個人の2018年成長予想をこれらに当てはめると、2018年度末時点の日本経済の需給ギャップは+0.9%の需要超過になる計算になる([第2図])。ところで、GDP統計の連続性のある1994年以降で、需給ギャップが最も長く連続してプラス(需要超過)となったのは、2006年10-12月期~2008年1-3月期の8四半期である。経験則的には日本経済(先進国経済)は需要不足状態にあることが多く、需要超過はむしろ例外的な状況である。日本経済も今後2年以内に景気サイクルの転換点が来る可能性が高いと見たい。

実質GDPのトレンドをHPフィルターで抽出し、トレンドと実績値の乖離状況を見たのが[第3図]である。これによっても、現在の日本の実質GDPはトレンドを上回る水準にあることがわかる。このトレンドを潜在GDPとみなした場合、やはり日本経済は需要超過の状態にある。

内閣府は、現在の日本の潜在成長率を+1.1%としている。上記HPフィルターによるトレンドから算出したトレンド成長率(潜在成長率)は現状で約+1.25%と計算される。HPフィルターの特性から、直近の成長加速がトレンドに反映しやすいため、HPフィルター推計による潜在成長率の方が現状ではやや高めに出ている。いずれにしても日本の潜在成長率は現在+1.1%前後にあり、これを上回る成長が続けばプラスの需給ギャップ(需要超過)は拡大していくと考えられる。

[第2図]
20180102図2

[第3図]
20180102図3

[第4図]
20180102図4

限界消費性向の低下で家計消費はやや減速へ

家計消費は2018年も堅調に拡大するものの、その拡大ペースはやや鈍化すると見る。2017年にGDP統計上の実質家計消費は前年比約+1%の拡大で、成長を約+0.6%押し上げる見通しで、内需項目としては成長の牽引役となった。家計消費の源泉である雇用者報酬(実質)はこれを上回る約+1.5%の拡大となる見込みだ。家計所得の増加ペースが家計消費増加ペースを上回っている環境は家計消費にとって不悪といっていい。

しかしながら、2014年の消費税率引き上げ以降、家計の限界消費性向が低下する傾向にある。[第5図]によれば、2014年以降、実質雇用者報酬の増加に対して、実質家計消費支出がほぼ横ばいの動きに転じているのがわかる。実質雇用者報酬と実質家計消費支出の関係から限界消費性向をローリング回帰した結果が[第6図]である。これによれば、現状において家計の限界消費性向は0.16にまで低下している。つまり、所得の増加に比べて消費拡大ペースはわずかなものにとどっているということである。

2017年現在で、総務省労働力調査による就業者数は前年比約+1%増加している。今後もこの拡大が続くとして、2018年も家計消費支出の伸びは+1%程度を見込むことができる。しかしながら、賃金上昇による限界的な所得増加分の家計消費への効果は見込みにくい。そこで、2018年の実質家計消費支出拡大ペースは毎四半期毎に前期比年率+1%程度を見込むこととする。2017年後半の消費減速による発射台の低下で、2018年の実質家計消費は前年比で+0.6%レベルに減速すると見たい。

[第5図]
20180102図5

[第6図]
20180102図6

2018年後半は在庫調整局面へ

企業部門は設備投資と輸出の堅調な拡大が成長を底支えするが、年後半には在庫調整が成長を抑制しそうだ。設備投資は2017年に前年比+3%弱の成長で、成長率を+0.4%程度押し上げる見通しである。先行指標である機械受注は循環的な減速から底入れの兆しがみられる。また、企業部門では引き続き生産能力拡大が抑制されており、余剰設備の解消が進んでいる。結果、製造工業稼働率は金融危機以降の期間の中では比較的高水準に維持されている([第7図])。こうした環境は、今後も堅調な設備投資の拡大ペースが維持されることを示唆している。これらより、2018年において設備投資は前期比年率+2%台半ばの成長を見込む。

鉱工業の在庫循環は現在「在庫積み増し」局面にあり、2018年前半は引き続き成長にプラス寄与すると見る([第8図])。海外景気の回復による輸出の拡大が鉱工業出荷を押し上げており、在庫積み増しのための鉱工業生産が持ち直している。しかし、年後半に在庫循環は「意図せざる在庫増」から「在庫調整」局面入りする可能性が高く、年後半には在庫調整が成長を抑制する要因になると見る。

海外景気の好調な拡大を背景に、純輸出は引続き成長にプラス寄与すると見る。輸出にとっての好材料は、米国経済、欧州経済が2018年も強い成長を実現するであろうこと、また中国を除くアジアの成長率も極めて堅調な状況が続いていること、また今後日米金利差の拡大により為替レートが再び円安に転じる可能性が高いことである。輸出によっての悪材料は、中国が2018年に本格的に資本ストック調整やシャドーバンキング規制強化による経済成長ペースの調整を実施するであろうことである。総じて輸出と輸入がこれまでのトレンドの延長上の拡大をつづけることができれば、2018年の成長率へのプラス成長が可能である。本レポートではこの見方をメインシナリオとしておく。

[第7図]
20180102図7

[第8図]
20180102図8

コアインフレ率は+1%台に上昇を見込む:日銀金融政策はステルス調整へ

インフレ率については、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPI)の前年比伸び率が前年比+%台前半に上昇すると見る([第8図])。11月現在でコアCPIは前年比+0.9%の位置にある。今後原油価格が安定推移し、前月比+0.1%程度のインフレ率の上昇が続けば、2018年は概ね+1%台のコアCPIインフレ率維持が可能である。

経済のプラスの需給ギャップ拡大もインフレ率押し上げ要因である。上記で見たように、今後日本経済は需要超過が進むと見られる。需給ギャップと失業率との相関からは、需給ギャップ1%の需給ギャップ拡大(需要超過進行)は、失業率を約-0.3%押し下げる。2018年の需給ギャップ拡大は約+0.2%と見ているから、2018年中の失業率低下幅は高々-0.1%程度となる計算になる。11月現在の完全失業率は2.7%であるから、2018年末の失業率は約2.6%と見る。失業率とコアCPIインフレ率の関係を示すシンプルなフィリップス曲線によれば、2.6%の失業率に対応するインフレ率は約+0.8%と計算される([第10図])。ただし、失業率が自然失業率を下回って推移した場合のインフレ率上昇加速、また現在の失業率が需給ギャップとの関係から推計されるよりもさらに加速して低下している状況を勘案し、2018年のインフレ率は推計値よりもやや高めに推移すると見たい(需給ギャップとコアインフレ率との関係については2017年12月3日付当レポート参照)。

日本銀行の金融政策はしたがって、インフレ率の上昇とともに緩和ペースの調整を必要とすることになろう(本件については2017年12月3日付当レポートでも論じたがここに再度整理する)。現在の「長短金利操作付き量的・質的緩和」は、日銀当座預金マイナス金利付与、10年物国債金利ゼロ%への操作、長期国債買入れによる保有残高増加額年間80兆円、を掲げている。さらに日銀は「オーバーシュート型コミットメント」として「マネタリーベースを消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続する」ことをコミットしている(2016年9月21日付日本銀行「金融緩和強化のための新しい枠組み」、2016年9月25日付当レポート参照)。同緩和政策導入前にはマネタリーベース年間80兆円増加が数値目標であったが、2016年9月の同緩和政策導入時に数値目標を廃止し、長期国債の保有残高増加額年間約80兆円をもってこれに代えている。オーバーシュート型コミットメントの内容からは、インフレ率が「安定的に2%台を超える」以前においても、インフレ率実績や見通しの上昇に合わせて長短金利操作の水準を引き上げるか、資産買入れペースを減速させることで、徐々に金融緩和の水準と規模を縮小していくことが可能である。

今年4月に任期を迎える黒田日銀総裁は、次期も続投することの市場の見方が強い。もし黒田総裁が続投となった場合、「長短金利操作」と「量的・質的緩和」自体を2%インフレ率達成前に解除することは、市場との対話の観点から日本銀行のコミットメント低下のいう逆アナウンスメント効果を生む可能性があり、早期の実施は困難であろう。その場合、同操作と緩和の政策や操作水準自体は維持した上で、実際の国債購入額の減額を実施するいわゆる「ステルス・テーパリング」による可能性が高いと見る。10年物国債金利の操作目標水準の明示的な変更(引き上げ)も国債市場に予期せぬ影響を与える可能性があるために採用には十分な慎重さが必要になることから、何等かのステルス的な手法が用いられる可能性が高いと見ておきたい。

[第9図]
20180102図9

[第10図]
20180102図10