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<経済指標コメント> 米1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.3%

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[日本]

全国消費者物価指数(3月、生鮮食品を除く総合)は前月比-0.1%(前年比+0.9%)

3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPI)は前月比-0.1%と20ヶ月ぶりの前月比低下、前年比では+0.9%とこれも20ヶ月ぶりに伸び率を低下させた。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(いわゆるコアコアCPI)も前月比-0.1%と低下、前年比では+0.5%と前月並みの伸び率だった。前年比の伸び率の低下に寄与した品目はエネルギー(寄与度差-0.09%)、宿泊料(同-0.05%)など。需給のタイト化を背景に上昇を続けたCPIもここ数ヶ月頭打ち傾向がみられる。今後年内コアCPIインフレ率が前年比+1%前後で推移するとの見方は維持する。

20180430図1

完全失業率(3月)は2.5%

3月の完全失業率は2.5%と依然90年代以来の低水準にある。筆者試算の労働参加率は61.9%と継続的上昇傾向にある。労働需給のタイト化を労働参加率の上昇が緩和している。

20180430図11

鉱工業生産指数(3月)は前月比+1.2%(前年比+2.2%)

3月の鉱工業生産指数は前月比+1.2%(前年比+2.2%)と2ヶ月連続の前月比上昇、出荷指数は同-0.2%、在庫指数同+3.5%、在庫率指数同+3.2%。生産増加、出荷減で在庫が積み上がった形。在庫循環図は「意図せざる在庫増」局面にある。設備投資の先行指標となる資本財出荷は前月比-1.0%と3ヶ月連続の減少、1-3月期の同出荷は前期比-0.8%と4四半期ぶりにマイナスの伸びに転化した。1-3月期のGDP統計上の企業設備投資は前期比マイナスに転化する下方リスクが出てきた。公表元の経済産業省は「生産は緩やかに持ち直している」と基調判断を据え置いた。

20180430図2

住宅着工戸数(3月)は年率895千戸(前月比-3.4%)

3月の住宅着工戸数は年率895千戸(前月比-3.4%)と減少、1-3月期の着工戸数は前期比-5.9%と3四半期連続のマイナスの伸びとなった。住宅着工は継続的減少傾向にあり、成長の抑制要因となっている。特に貸家・分譲住宅の減少が全体の数字を押し下げており、マンション建設減速の影響が統計にも反映されているといえる。

20180430図3

[米国]

企業在庫(2月)は前月比+0.6%、企業売上高は同+0.4%、在庫売上高比率は1.35倍

2月の企業在庫は前月比+0.6%と強めの伸び。企業売上高は同+0.4%と増加。結果在庫売上高比率は1.35倍と前月並みの水準になった。企業在庫はここ3ヶ月間で大幅に積み上げが加速している。在庫循環図は「在庫積み上げ」局面にある。

20180430図4

住宅着工戸数(3月)は年率1319千戸(前月比+1.9%)、着工許可件数は同1354千戸(同+2.5%)

3月の住宅着工戸数は年率1319千戸(前月比+1.9%)と増加、1-3月期の着工戸数は前期比+4.9%と3四半期連続のプラスの伸びとなった。住宅着工許可件数は同1354千戸(同+2.5%)とこれも増加した。住宅着工は需給のタイト化もあり堅調に増加している。

20180430図5

小売売上高(3月)は前月比+0.6%、除く自動車関連同+0.2%

3月の小売売上高は前月比+0.6%と4ヶ月ぶりのプラスの伸びに転じた。除く自動車関連でも同+0.2%と増加を維持。業種別には、新車販売の増加を反映した自動車及び同部品ディーラーが同+2.0%、家具店同+0.7%、家電店同+0.5%などが売上を増加させた。ガソリンスタンドは同-0.3%と減少。自動車・ガソリン・レストランを除く小売売上高は同+0.2%と2ヶ月連続の増加を保った。昨年末から一時的に軟化していた個人消費に回復の動きがみられる。

20180430図6

中古住宅販売戸数(3月)は年率5600千戸(前月比+1.1%)、在庫期間は3.6ヶ月

3月の中古住宅販売戸数は年率5600千戸(前月比+1.1%)と2ヶ月連続の増加、在庫期間は3.6ヶ月と依然需給はタイトである。

20180430図7

新築住宅販売戸数(3月)は年率694千戸(前月比+4.0%)、在庫期間は5.2ヶ月

3月の新築住宅販売戸数は年率694千戸(前月比+4.0%)と2ヶ月連続の増加。在庫期間は5.2ヶ月とほぼ適正である。

20180430図8

耐久財受注(3月)は前月比+2.6%、除く運輸関連同横ばい、非国防資本財受注(航空機を除く)同-0.1%、同出荷同-0.7%

3月の耐久財受注は前月比+2.6%、除く運輸関連同横ばい。設備投資の先行指標となる非国防資本財受注(航空機を除く)は同-0.1%。GDP統計上の設備投資(機器投資)の基礎統計となる同出荷は同-0.7%と大幅減少し、1-3月期の同出荷は前期比-0.2%とマイナスに転じた。

20180430図9

実質GDP成長率(1-3月期、速報値)は前期比年率+2.3%

1-3月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+2.3%と概ね予想通りの結果。前期の同+2.9%からは減速したが、4四半期連続で同+2%を超える成長となった。需要項目別内訳は、個人消費同+1.1%、設備投資同+6.1%、住宅投資同横ばい、政府支出同+1.2%、在庫投資寄与度同+0.43%、純輸出寄与度同+0.20%。個人消費の大幅減速の一部を在庫増加が補った形。1-3月期の成長は一時的に減速したものの、個人消費は3月に回復がみられており、税制改正の効果も今後示現すると考えられる。2018年通年成長率前年比+2.8%との個人予想を維持する。

20180430図10




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<経済レポート> 巡航速度に向かい風:日本経済定点観測

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2018年の日本経済成長率についての個人予想は前年比+1%台前半を維持する。需給の引き締まりでインフレ圧力は高まり、コアインフレ率は前年比+1%前後を年内維持すると見る。しかし、中期的な景気循環の観点からは景気のピークが1年後位に訪れる可能性が否定できない。また短期的にも株価や米国通商政策、そして日本の内政など下方リスク要因が存在する。

日本経済は3四半期連続の需要超過

日本経済は2017暦年に前年比+1.7%と、潜在成長率(内閣府推計では+1.1%)を大幅に上回る成長を実現した。2018年はここからやや減速して同+1.3%と、それでもなお潜在成長率を上回る成長を継続すると個人予想する。もっとも1-3月期は個人消費や設備投資の減速で一時的に成長は軟化するだろう([第1図])。本レポートでは、日本経済についての個人予想を最近の経済指標から点検していく。

まず、日本経済の長期的立ち位置を見る。日本経済は既に需要超過となり、均衡水準からすでに過熱領域に入っている。内閣府推計によれば、2017年10-12月期現在のGDPギャップは+0.7%と、3四半期連続の需要超過となっている。筆者個人の成長率予想に基づけば、2018年末にかけてGDPギャップはほぼ横ばいで推移し、年末の水準は+0.7%となる計算になる([第2図])。直近の過去の日本経済のプラスの需給ギャップのピークは、金融危機直前の2007年第4四半期の+1.7%、ITバブル期の1997年1-3月期の+1.0%であった。現在の需要超過レベルは過去のピーク比高いものではない。しかしながら、日本経済において需要超過状態が長くつづいたことはない(直近では1996~1997年の7四半期)。中期的な景気循環の観点からは、今後1年前後の間に景気の転換期が訪れる可能性があるといえる。

より短期的には、現在前年比+1%前後で推移しているインフレ率に、需給の引き締まりによる上方圧力がかかっていく可能性が高いことを示唆している。

[第1図]
20180428図1

[第2図]
20180428図2

1-3月期成長率はやや減速の見込み

次に、直近の経済指標から1-3月期の成長率を占っていく。昨年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.6%だったが、1-3月期はやや減速して同+0.6%程度を見込む。家計消費について、GDP統計上の昨年10-12月期実質家計消費は前期比年率+2.1%と予想外に強い伸びだったが、1-3月期はやや減速すると見る。総務省の家計調査による1-3月期実質家計消費支出(二人以上の世帯)は2月までで前期比+1.4%と前期のマイナスからプラスに転じている。同じく実質総消費動向指数も2月までで同+1.0%とプラスに転じている([第3図])。しかしながら、昨年10-12月期のGDP統計上の家計消費のプラス成長は月次統計の悪化に比べてやや出来すぎ感がある。GDP統計上は前期の反動でやや成長が減速すると見ておきたい。

設備投資も昨年10-12月期の同+4.2%からやや減速すると見る。先行指標となる資本財出荷は2月までで前期比+0.6%と前期の同+1.7%から減速している([第4図])。住宅投資は更に減少して3四半期連続のマイナス成長となろう。3月までの住宅着工戸数は前期比-5.9%と3四半期連続のマイナスとなるペースである([第5図])。マンション建設の減少等が全体の戸数を押し下げている。

1-3月期の成長減速の背景には2月以降の株価急落、安倍政権の不安定化、米国の鉄鋼・アルミ輸入制限などの保護貿易策強化、などが要因の一部としてあると考えられる。これらの景気に対する向かい風要因が、消費者や企業のセンチメントを通して成長減速の一要因となっていると憶測できる。内閣府景気ウォッチャー調査のDIがここのところ低下傾向にあるのは、こうしたセンチメントの一時的な悪化を示唆している。一方で、ファンダメンタルズ的にまだ日本経済に著変は見られない。例えば労働市場では就業者数が2月時点で前年比+2.4%の強い伸びを示している。実質賃金の前年比伸び率は結果2018年通年では依然潜在成長率に近い成長が可能と見る。

[第3図]
20180428図3

[第4図]
20180428図4

[第5図]
20180428図5

インフレ率は1%前後で推移とみる

インフレ率は2018年一杯、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPI)の前年比伸び率が+1%前後で推移すると見る([第6図])。日本銀行の目標とする2%には達さないものの、需給の引き締まりは確実にインフレ圧力の高まりを示唆している。さらに現在、原油価格が1バレル=60ドル台後半に上昇していることは、このインフレ見通しに対する上ブレ要因である。

インフレ率が1%前後で推移してデフレ脱却の可能性が高まってくると、日本銀行の量的・質的金融緩和政策も緩和を縮小する方向に調整されていく可能性が高いと見たい。インフレ率が+1%レベルで安定推移する状況で現在の規模も量的・質的緩和を継続する必要性は後退していると考えられる。現在の量的・質的緩和では、日本銀行による長期国債保有残高の増加額が年間80兆円をめどとする長期国債買入れを行うこととなっているが、実際のマネタリーベース増加額は3月現在で前年比約+40兆円にまで低下している([第7図])。いわゆるステルステーパリングと呼ばれる、緩和規模縮小である。今後ありうる緩和縮小の方法としては、イールドカーブコントロールにおける10年物国債金利のコントロール水準を現在のゼロ%から引き上げる方式、コントロール対象を10年物からより短い期間にシフトする方式、などが考えられる。

一方で、日本銀行が目標とする2%のインフレ目標の達成は依然遠い道のりである。日本銀行の1月「経済・物価情勢の展望」によれば、コアCPIの前年比伸び率に関する政策委員見通しの中央値は2018年度が+1.4%、2019年度が+1.8%と、当レポート見通しよりもやや強気になっている。しかし需給ギャップとコアインフレ率との関係を示すシンプルなフィリップス曲線によれば、2%のインフレ率達成には需給ギャップが+4%を超える需要超過となる必要がある。これまでの日本の需給ギャップの推移からはこれはやや非現実的な想定といえるだろう。

[第6図]
20180428図6

[第7図]
20180428図7

[第8図]
20180428図8

株価や米国の輸入制限は下方リスク

上記個人予想に対するリスク要因は、株価の更なる下落、及び米国による鉄鋼・アルミの輸入制限などが日本経済に悪影響を与える可能性である。日経平均株価は1月下旬の24000円台の高値から3月下旬に20600円台にまで下げた後、現在そのほぼ半値戻しに当たる22000円台で推移している。今後は再び株価はじり高傾向をたどると見ているが、半値戻しをピークに再び下落に転じるというシナリオはテクニカルにもありうるところである。

米国による輸入制限に影響は日本からの対米輸出抑制を通じた日本の成長下押し要因となる。米国は現在日本を輸入制限の対象外とはしていない。また17-18日の日米首脳会談でも、通商問題を巡ってはトランプ米大統領が対日赤字の縮小と2国間交渉を強く主張したとされている(報道による)。米国の対日赤字に対するスタンスは今後も強硬なものとなる可能性があり、これは成長に対する下方リスク要因となる。

総じて2018年の日本経済は潜在成長率程度の成長を維持し、インフレには上方圧力がかかると見る。しかし、中期的景気循環はまもなく景気のピークが訪れうることを示唆しており、またかかる下方リスク要因が存在することから、筆者個人予想に対するリスクは心持ち下方と見ておきたい。

なお、筆者個人の経済・金融予想アップデートを[第1表]に示す。

[第1表]
20180428表1

<経済指標コメント> 米3月消費者物価指数は前年比+2.4%

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[日本]

機械受注(2月、船舶・電力を除く民需)は前月比+2.1%(前年比+2.4%)

2月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+2.1%と2ヶ月連続の前月比増加。前年比でも+2.4%と2ヶ月連続のプラスの伸びを維持した。2月までの1-3月期同受注は前期比+4.3%と前期の同+0.3%から伸びが加速している。1-3月期には一時的に軟化が予想される設備投資も、その後は堅調な拡大への回帰が示唆されている。

20180415b図1

景気ウォッチャー調査(3月):現状判断DIは48.9(前月比+0.3ポイント)、先行き判断DIは49.6(同-1.8ポイント)

3月の景気ウォッチャー調査3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは48.9(前月比+0.3ポイント)と4ヶ月ぶりの上昇だったが、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。2~3ヶ月先の景気の先行気に対する判断DIは49.6(同-1.8ポイント)と5ヶ月連続の低下で、10ヶ月ぶりに50を下回った。景気判断理由としては「天候がすっかり春めいている。需要期の真っ最中でもあるため、新規の来客数も例年同様に好調な状態である(東北=乗用車販売店)」「米国の通商政策などにより、株価が下がることが予想され、富裕層の購買意欲が低迷する(近畿=百貨店)」「米国の保護主義的な動きにより、円高が進行したり、株価の下落が続くと、ビジネスにも影響が出てくる(東海=電気機械器具製造業)」など、株価下落、米国通商政策への懸念が先行き判断DIを押し下げていることが示唆されている。総じて街角景気は昨年末辺りをピークに下降傾向にある。株価や米通商政策の不透明性は成長率予想への下方リスク要因となりつつある。

20180415b図2

[米国]

消費者物価指数(3月)は前月比-0.1%(前年比+2.4%)、同コア指数は前月比+0.2%(前年比+2.1%)

3月の消費者物価指数(CPI)は前月比-0.1%(前年比+2.4%)、食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比+0.2%(前年比+2.1%)と、いずれも前年比伸び率を加速させた。昨年3月の携帯電話料金値下げ要因が剥落し、同品目の前年比伸び率が-2.4%と、前月の同-9.4%から大幅にマイナス幅が縮小したことが全体を押し上げている。前月比ではガソリン(前月比-4.7%)価格低下が指数を押し下げたが、医療サービス(同+0.5%)などの上昇がコアCPIを押し上げた。携帯電話料金要因による3月CPIインフレ率上昇は想定通りであり、今後もCPIインフレ率は前年比+2%を超えて推移、年末はやや軟化して総合、コアともに前年比+2%程度に着地すると見る。需給の引き締まりでインフレ圧力は着実に高まっているといえる。FOMCが年内3回以上の利上げを決定するとの個人予想を支持する内容である。

20180415b図3



<経済レポート> インフレ圧力さらに:米経済定点観測

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米経済指標は個人消費を中心に1-3月期にやや軟化している。しかしながら減税効果が今後顕在化することで成長は今後加速しよう。インフレ率は一時要因の剥落もあり今後2%のFRB目標に近いところで推移すると見る。結果米経済が2018年に前年比+2.8%の成長を実現するとの個人予想を維持する。またFOMCは成長とインフレ率見通しの高まりにより、年内に3回以上の利上げを決定すると引き続き予想する。

米経済は需要超過へ

米経済は2017年に前年比+2.3%の成長を実現した。2018年は、昨年末に成立した大型減税(「2018年減税及び雇用法」)が実質GDPを約+0.5%押し上げ、今年の成長率は同+2.8%となると見ている([第1図])。今年に入ってからの経済指標は個人消費を中心に必ずしも芳しくはない。しかし年央から徐々に減税効果が顕在化して上記の成長率は達成可能と引き続き見る。一方で米経済は中期循環的な減速局面に入っている。減税効果を除くベースラインの成長率は前年と横ばい程度であり、減税効果が剥落する2019年からは米経済は転換点に入るリスクがあるとの見方も不変である。

まず、米経済の現在の立ち位置を確認しておく。米議会予算局(CBO)が4月に公表した「財政・経済見通し 2018-2028年」では米国の潜在GDPは前回2017年6月推計値よりも上方改訂された。結果、CBO推計米潜在GDPに基づく2017年10-12月期時点の需給ギャップは-0.3%と、依然マイナスの需給ギャップが残っているとの結果になった(これまで当レポートでは2017年6月推計値に基づき同期の需給ギャップを+0.5%と2四半期連続の需要超過と試算していた)。しかしながら、今後2018年に減税効果で前年比+2.8%の成長が実現すると、2018年末のプラスの需給ギャップは需要超過に転じ+0.5%となる見込みである([第2図])。したがって今年の米経済が均衡から過熱方向への進行が進むことを意味していることには変わりない。米経済は基本的にはタイトな需給のもと拡大ペースを加速し、結果インフレ圧力が高まる状況にあるといえる。

過去の経験則からは、米経済が需要超過にあった期間は総じて短期間である。経済が需要超過になるとまもなく景気サイクルの転換点が訪れ景気後退に入っていた。90年代以降のプラスの需給ギャップの最大値は、いわゆるITバブル期の2000年4-6月期の+1.7%である。金融危機前のプラスの需給ギャップのピークは2006年1-3月期の+0.3%であった。2018年末の米経済は既に、金融危機直前期を超える需要超過になる計算になる。一方で、現在の米経済に大幅な不均衡は見えにくい。株価はバリュエーション的に実態上ITバブル期以来の高水準の株価収益率(PE)にまで買い進まれていること、また米連邦政府財政赤字の拡大はあえて言うならば不均衡といえよう。CBO「見通し」によれば2018会計年度の財政赤字はGDP比-4.0%、2019会計年度のそれは同-4.6%に拡大の見込みである。これは金融危機後の巨額財政出動時を除くと、90年代の双子の赤字時代以来の高水準である([第1表])。しかし、ITバブルや住宅バブル比その程度は相対的に低いと見たい。結果、次回の景気サイクル転換による景気後退は浅いものにとどまると見ておく。

[第1図]
20180415図1

[第2図]
20180415図2

[第1表]
20180415表1

個人消費は一時軟化するも減税効果で今後拡大へ

以下では、2018年に入ってからの経済指標をもとに、今年の経済成長個人予想を点検していく。まず個人消費は、年初から想定外の減速が目立つ。実質個人消費は1月に前月比-0.2%、2月に同横ばいと不振だった。自動車販売が飽和状態から減速しているうえに、自動車及び同部品を除く小売売上高も、昨年12月、今年1月と連続して前月比マイナスの伸びののち3月にようやくプラスに転じた。仮に3月の実質個人消費が前月比+0.2%に回復したとしても、1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+0.9%程度にとどまる計算になる。

2月以降の株価反落も個人消費の押し下げ要因になりうる。株価と個人消費の相関関係は年々低下しているが、昨年末にかけての好調な個人消費は株式等売却に伴う消費(あるいは自動車・住宅購入)が押し上げていた可能性があるからだ。従前は1-3月期の実質個人消費を同+2%台前半とみていたが、2月までの個人消費実績に鑑みこれを同+1.0%に下方修正する([第3図])。

もっとも、個人消費をめぐる短期的な環境は悪くはない。雇用と賃金の増加に加えてインフレ率の安定で、個人の実質可処分所得の伸び率は昨年後半から上昇に転じている([第4図])。可処分所得の増加と消費の減速で、1-2月の個人貯蓄率はやや上昇した。つまり、個人消費は減速しているものの所得はほぼこれに追いつく形で拡大に転じており、また消費を減らした分は貯蓄として個人の手元に残っていることになる。個人所得税減税による可処分所得拡大への期待も個人消費の底支え要因となりそうだ。ミシガン大学調査による消費者センチメント指数は101.5ポイントと、2004年以来の高水準に上昇している。年後半にかけて、個人消費は再び+2%台の伸びに回復すると見たい。

[第3図]
20180415図3

[第4図]
20180415図4

企業の設備投資意欲は高い

設備投資については、2018年通年で前年比+6%台の堅調な拡大を引続き予想する。直近の統計によれば、GDP統計上の設備投資(機器投資)の先行指標となる非国防資本財出荷(除く航空機)は2月までで前期比+5.6%とプラスを維持している。企業景況観も好調である。フィラデルフィア連銀製造業景況感指数は3月時点で+22.3ポイントと短期的には軟化しているものの、2014年以来の高水準を維持している。同指数調査における設備投資DI(先行き)は実に80年代前半以来の高水準にあり、企業の設備投資意欲が極めて高いことを示唆している([第5図])。

一方で、2018年減税法により、企業設備投資の源泉となるネットキャッシュフローは2017年に一時的に大幅縮小していることには留意が必要である。同法により、企業の海外現地法人からの配当金への課税が将来にわたり廃止された一方で、1986年から現在までの海外収益蓄積に対し一時課税が実施された。この影響により、2017年10-12月期の企業ネットキャッシュフローは従前比約半分に落ち込んだ([第6図])。むろん2018年にはこの一時要因は解消し、かつ法人税減税効果でネットキャッシュフロー従前以上の水準に回復すれば、再び設備投資は堅調な拡大に回帰すると見る。

在庫循環は「在庫積み上げ」局面にあり、今後も在庫積み上げが成長にプラス寄与することを示唆している([第7図])。特に1月企業在庫統計によれば、企業在庫は2ヶ月連続で前月比+0.6%の大幅な増加となっている。1-3月期には、個人消費と設備投資の伸びの下ブレが在庫増加でカバーされて、従前筆者個人予想に近い成長率が維持できると見たい。

[第5図]
20180415図5

[第6図]
20180415図6

[第7図]
20180415図7

トランプ政権通商政策の影響は不確実

純輸出の成長への寄与度は、トランプ政権の通商政策如何で変動の可能性がある。輸出入ともに経済拡大に伴い増加を続けているトレンドからは、今後も財・サービス収支の赤字拡大が成長の押し下げ要因になると基本的には見ておきたい([第8図])。

一方で、トランプ政権は3月8日、通商拡大法232条に基づき鉄鋼製品・アルミニウムに対する輸入関税の引き上げを決定した。3月22日ホワイトハウスは、同輸入制限が3月23日から効力を発すること、また7ヶ国・地域(アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、メキシコ、EU、韓国)を5月1日までその適用対象外とすることを公表した。さらにトランプ政権は4月5日、通商法301条に基づく中国製品への輸入制限発動の検討を公表した。中国はこれに対し報復措置を検討しているとされる。

輸入制限政策は、一時的に米国の輸入を縮小させて貿易赤字の縮小と成長へのマイナス寄与縮小をもたらす一方で、相手国からの報復措置は米国の輸出の抑制要因となる。ここではかかる通商政策の影響の不確実性から、従前の予想を維持して純輸出が2018年一杯は成長にマイナス寄与すると見ておく。

[第8図]
20180415図8

インフレ率は2%に上昇、年内利上げは3回以上とみる

雇用市場は依然需要超過の状態がつづいている。失業率は3月時点で4.1%と、CBO推計の自然失業率4.6%を大幅に下回っている。非農業部門雇用者数は3月に前月比+103千人と大幅減速したが、雇用市場の拡大基調は不変とみたい。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)の前年比伸び率は3月時点で+2.4%と失業率低下に比して依然伸び悩んでいる。しかし労働市場需給のタイト化は今後賃金にも上昇圧力をもたらすと見ておきたい。

インフレ率は今後FRBの目標値である前年比+2%前後で推移すると見る。3月消費者物価指数は、昨年3月の携帯電話料金値下げの影響が剥落して、総合指数が前年比+2.4%と、前月の同+2.2%から大幅に伸びが拡大した。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は、2018年中に一時的に前年比+2%を超える水準にまで上昇してその後年末に同+2%に着地すると筆者個人は見ている。需給ギャップと期待インフレ率を外生変数とする推計式によれば、2017年10-12月期時時点のコアPCEデフレーターの前年比伸び率は+1.8%と推計される。同時期のコアPCEデフレーター実績値は同+1.5%程度であり、現在のインフレ率は推計値よりもかなり低い水準にあることがわかる([第9図])。今後インフレ率が均衡値に向けて上昇傾向を保ち、2018年末には+2%の水準に安定すると引き続き見ておく。

FRBの金融政策については、FOMCが年内に(3月実施済の利上げを含め)3回以上の利上げを決定するとの個人予想を維持する(3月25日付当レポート参照)。11日に公表された3月FOMC議事要旨によれば、多数の(a number of)参加者が「経済活動見通しの強まりとインフレ率が中期的に2%に回帰するとの確信の高まりは、今後数年のFF金利の適切な行程が従前期待していたよりも急(steeper)になることを示唆している」と述べている。昨年末の「減税及び雇用法」の成立と、インフレ率の3月以降の上昇は、今後のFOMCをしてよりタカ派にシフトさせる要因となるだろう。

[第9図]
20180415図9


<訂正>4月16日「トランプ政権通商政策の影響は不確実」の通商拡大法232条に関する記述を修正しました。

<経済指標コメント> 米3月非農業部門雇用者数は前月比+103千人

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[日本]

日銀短観(3月調査):大企業製造業業況判断DIは24ポイント(前月比-2ポイント)

日銀短観(3月調査)、大企業製造業業況判断DI(最近)は24ポイント(前月比-2ポイント)と8四半期ぶりの低下。先行き判断DIは20ポイントと最近からの低下を示唆している。大企業製造業は最近DIが23ポイント(同-2ポイント)、先行き20ポイントとこれも低下した。総じて金融危機前以来の高水準の企業景況観にはやや飽和感がみられるといえる。

20180407図1

実質家計消費支出(2月、二人以上の世帯)は前月比-1.5%(前年比+0.1%)

2月の実質家計消費支出(二人以上の世帯)は前月比-1.5%と前月の同+2.7%から反落。2月までの1-3月期同支出は前期比+1.4%とプラス圏にあり、1-3月期のGDP統計上の実質家計消費はプラス成長が見込める。同時に公表された実質総消費動向指数は前月比-0.1%、2月までの1-3月期同指数平均は前期比+0.3%とこれも前期比プラスを維持している。

20180407図2

[米国]

新車販売台数(3月、乗用車及び軽トラック)は年率17.40百万台(前月比+2.5%)

3月の新車販売台数(乗用車及び軽トラック)は年率17.40百万台(前月比+2.5%)と3ヶ月ぶりの前月比増加。自動車販売は総じて飽和状態にあり、長期金利も上昇傾向にあることから、今後は減速を見込んでいるが、所得税減税の効果で今年については堅調に推移しそうだ。

20180407図3


雇用統計(3月):非農業部門雇用者数は前月比+103千人、失業率は4.1%

3月の雇用統計、事業所調査による非農業部門雇用者数は前月比+103千人と、前月の同+326千人から大幅に伸びが減速した。もっとも3ヶ月移動平均は同+202千人と、前月比低下したものの2ヶ月連続で+200千人台を保っている。3月の業種別内訳は、建設業同-15千人、製造業同+22千人、小売業同-4.4千人専門ビジネスサービス同+33千人、教育・医療業同+25千人。建設業や小売業の雇用減が目立つほか、幅広い業種で雇用増加が減速した。ただ3月の減速は前月の大幅増の反動や天候による一時要因とみておきたい。時間当たり賃金(生産及び非監督雇用者)は前年比+2.4%と前月並みの伸びで、依然低位にある。家計調査による失業率は4.1%と前月比横ばい。内訳をみると、労働力人口、就業者数いずれもが前月比で減少しており、労働参加率は60.4%と前月比横ばい。総じて労働市場は、失業率が自然失業率を下回るタイトな状態が続いているといえる。

20180407図4

<経済指標コメント> 米2月PCEデフレーターは前年比+1.8%

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[日本]

完全失業率(2月)は2.5%(前月比+0.1%ポイント)

2月の完全失業率は2.5%(前月比+0.1%ポイント)と上昇したが、その水準は依然93年以来の低水準を保っており、6ヶ月移動平均は2.65%(同-0.05%ポイント)と低下している。筆者試算の労働力化率は61.4%と2002年以来の高水準に上昇した。労働市場需給のタイト化を労働力化率の上昇が緩和している構造が続いている。

20180401図1

鉱工業生産指数(2月)は前月比+4.1%(前年比+1.4%)

2月の鉱工業生産指数は前月比+4.1%と前月1月の同-6.8%の大幅低下からやや反発した。前月の生産・出荷指数の大幅低下は一時要因だった可能性が高い。前年比でも+1.4%とプラス成長を維持した。出荷指数は前月比+2.2%、在庫指数は同+0.9%、在庫率指数は同-0.1%。2月は生産と出荷の増加で在庫積み増しがやや進んだ形。在庫循環図は「意図せざる在庫増」局面に入っている。設備投資の先行指標となる資本財出荷は前月比-3.9%と2ヶ月連続の低下。ただし2月までの1-3月期平均は前期比プラスを保っている。総じて鉱工業生産は振れの大きい動きながら堅調な増加は保っているといえそうだ。公表元の経済産業省は「生産は緩やかに持ち直している」と1月に下方改訂した基調判断を維持した。

20180401図2

住宅着工戸数(2月)は年率926千戸(前月比+8.2%)

2月の住宅着工戸数は年率926千戸(前月比+8.2%)と、前月1月の同-8.6%をほぼカバーする水準に反発した。もっとも3ヶ月移動平均は3ヶ月連続で低下しており、昨年以来住宅着工の緩やかな減少基調は不変である。

20180401図3

[米国]

実質GDP成長率(10-12月期、確報値)は前期比年率+2.9%

10-12月期の実質GDP成長率(確報値)は前期比年率+2.9%と、改定値の同+2.5%から上方改訂された。需要項目別内訳は個人消費同+4.0%(改定値同+3.8%)、設備投資同+6.8%(同+6.6%)、住宅投資同+12.8%(同+13.0%)、政府支出同+3.0%(同+2.9%)、在庫投資寄与度同-0.53%(同-0.70%)、純輸出寄与度同-1.16%(同-1.13%)。個人消費、設備投資、在庫投資の上方改訂が成長率の上ブレに寄与している。2017年通年成長率は+2.3%と改定値から不変。総じて昨年末の米経済は強い拡大を続けたといえる。2018年通年成長率についての筆者個人予想前年比+2.8%は(下記個人消費の下ブレによる下方リスクはあるが)維持できる。

20180401図4

実質個人消費(2月)は前月比横ばい、PCEデフレーターは前年比+1.8%、同コア同+1.6%

2月の実質個人消費は前月比横ばいにとどまり、前月の同-0.2%に続き低調な結果に終わった。内訳は耐久財消費同+0.6%、非耐久財消費同-0.3%、サービス消費同横ばい。このペースだと1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+1%前後にとどまる計算になる。これは1-3月期成長率を前期比年率+2%台後半とみている当レポート予想に対する下方リスクである。個人所得税減税にも関わらずその効果は1-2月にはまだ見られない。ただ今後は雇用増加と減税効果により個人消費の拡大ペースは加速すると見ておく。FRBが参照するインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.2%(前年比+1.8%)と前年比の伸びを加速させた。食品及びエネルギーを除く同コア指数は前月比+0.2%(前年比+1.6%)とこれも前年比伸び率が加速。需給のタイト化によりインフレ圧力は確実に強まっている。2018年中にはPCEインフレ率前年比+2%を持続的に維持できる計算になる。FRBが年内に3回以上の利上げを決定するとの当レポートの見方を支持する結果である。

20180401図5