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景気底入れへ~日本の10-12月期GDP統計

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日本の実質GDP成長率は10-12月期まで3四半期連続のマイナス成長となったが、今年の1-3月期からはプラス成長に戻れそうだ。ただ消費回復などは一時的なセンチメント好転に支えられている可能性もあり、ベースラインの実体経済の回復は緩やかなものと見ておきたい。

日本は3四半期連続のマイナス成長

14日に公表された日本の10-12月期実質GDP成長率は前期比年率-0.4%(前期比-0.1%)と3四半期連続のマイナス成長だった。

需要項目別内訳をみると、成長率を押し上げたのが民間最終消費支出(前期比年率+1.8%)、民間住宅(同+14.7%)、公的需要(同+2.9%)。成長率を押し下げたのが民間企業設備(同-9.9%)、民間在庫品増加(寄与度-0.6%)、純輸出(同-1.0%)だった([第1図]参照)。個人消費と政府支出が成長を押し上げたが、企業部門と輸出の減少が大きく成長を押し下げた形である。結果、日本の実質GDP成長率は3四半期連続のマイナス成長になり、10-12月期時点で依然として事実上の景気後退が継続していることが判明した。

[第1図]
20130216図1

アベノミクス期待と株価上昇で家計消費がプラスに回復した

だが、今後の見通しは暗くはない。3四半期連続のマイナス成長となったがマイナス幅は大幅に縮小した。なかでも家計最終消費支出が3四半期ぶりにプラス成長に転じたのは心強い。総選挙前の12月ころからいわゆるアベノミクスへの期待から株価が上昇基調に入った。1月以降は新政権の発足で消費者センチメントが大幅に好転している。内閣府の消費者態度指数は今年1月に大幅に好転し、2007年9月以来の水準に上昇した。このセンチメントが持続するならば、1-3月期の家計消費もプラスの伸び継続が期待できる([第2図]参照)。

[第2図]
20130216図2

センチメントだけの持続性は疑問:実体経済回復は緩やかに

しかし一方で、家計消費を構成する実体経済にはまだ大きな変化は見られない。総務省労働力調査によれば、12月時点の就業者数は2ヶ月連続の減少となる前年同月比-380千人。完全失業率も4.2%で前月比+0.1%の上昇だった。いずれもが雇用市場やこれにリンクする家計所得が、消費者センチメントほどには好転していないことを示している。

昨年末の家計消費の回復が、政策期待や株価上昇による一時的なセンチメント好転によるものである可能性は排除できない。そうだとすると、10-12月期の家計消費の伸びの持続性には疑問がでてくる。規制改革や賃金引上げなどの効果が家計に波及するには自然体では政策発動から1年以上かかるのが通常だ。雇用と賃金上昇が内需拡大を伴う経済回復の鍵である。だが企業への政治圧力ではなく、企業減税など構造的な適正化を伴う対応が必要であろう。従って、今後のベースラインの消費の加速に対してはやや慎重に見ておきたい。

企業部門は出遅れたが受注増で持ち直しへ

家計消費が少なくとも数字上は回復しているのに対し、出遅れ感があるのが企業部門である。10-12月期GDP統計では民間企業設備が4四半期連続となる大幅なマイナス成長になっている。

しかし今後は企業設備投資にも持ち直しが見込める。先行指標となる機械受注統計によれば、昨年10-12月期に機械受注は底入れし増加に転じている([第3図]参照)。また、12月の日銀短観によれば、2012年度の設備投資計画(全産業)が大企業・中小企業ともにプラスとなっている。特に中小企業の12年設備投資計画は06年度以来のプラス圏に回復してきている。アベノミクスへの期待や円安も、企業の設備投資意欲を押し上げる材料になるだろう。もっとも、設備稼働率が必ずしも高くないこと、企業の在庫率がまだ高水準で在庫調整が暫く続くであろうことから、設備投資の回復も消費同様に緩やかにとどまると見る。

[第3図]
20130216図3

円安・海外景況感の安定化で輸出増にも望みあり

純輸出は3四半期連続、過去8四半期中6四半期で成長にマイナス寄与した。主に輸出の減少が日本の成長の足を引っ張っている状況が継続中だ。しかし、輸出増加を支援する材料が昨年末から続いていることで、輸出の低迷もそろそろ終了してもいい。ひとつは昨年末以来の為替市場での円安基調、もうひとつは海外経済の見通しが悪化から安定に移行しつつあることだ。筆者は今年のドル円のレンジを85円-95円と見ているから、ここから円安が加速することは見込まない。しかし米ドルやユーロのみならず、輸出競争相手となる他のアジアの通貨に対する円安は日本の輸出にとって支援材料になろう。

財政出動効果もあり今年は1%前後の成長が可能と見る

さらに、今年は政府の財政出動が2013暦年のGDPを約+1.2%押し上げる見込みだ(1月20日付当レポート参照)。結果、今年の1-3月期には、GDP成長率は4四半期ぶりのプラス成長に回帰すると予想している。過去5年間で3回目の事実上の景気後退(2四半期以上連続のマイナス成長)は10-12月期で終了とみる。

2012年通年の実質GDP成長率は結果、前年比+1.9%に着地した。2013年通年(暦年)の成長率について、筆者は前年比+0.8%を予想している(1月13日付当レポート参照)。10-12月期成長率は概ねこれに沿っているが、予想作成時よりマイナス幅がかなり小さい結果になった。そのため計算上は13年の成長率は1%を超えることも可能な状況だ。
一方で、株価上昇の一服感が今後でてくるはずで(筆者は今年前半の日経平均のレンジ上限を11500円と見ている)、4-6月期頃には政策期待からくる景況感に息切れ感がでる可能性があると見る。今年の通年の成長率はやや上ブレの可能性がある。今後の金融環境や経済指標次第で上方修正を考慮する。

[第4図]
20130216図4




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