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<経済レポート> 3年ぶりの好成績:米ホリデー商戦結果

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米国の2014年ホリデー商戦は3年ぶりの好調な結果に終わった。ここ数年の傾向として商戦の早期化と売上日の分散化がみられる。昨年12月の小売売上高の予想外の減少など昨年末にかけて経済指標の軟化がみられるものの、一時要因または循環的要因と見たい。個人消費及び経済は持続的ペースで拡大を続けるとの見方を維持する。

2014年ホリデー商戦は前年比+4.2%の伸びに加速した

昨年の米国ホリデー商戦は好調に終了した。14日に公表された12月小売売上高統計から筆者が集計した2014年ホリデー商戦売上高(自動車・ガソリンスタンド・レストランを除く小売売上高の11-12月合計、季節調整済)は前年比+4.2%と、2011年以来3年ぶりに前年の伸び率を上回り、かつ3年ぶりに+4%台の伸びに回帰した([第1図])。もっとも12月単月の小売売上は全体で前月比-0.9%、自動車・ガソリン・レストランを除くベースでも同-0.5%と予想外の不振であった(1月17日付<経済指標コメント>参照)。結果+4.2%の前年比伸び率は筆者の直近予想+4.8%を下回る結果となった。12月の小売売上減の原因は、ロシア・ギリシャ問題などによる景況感悪化や米西海岸港湾の業務停滞による物流停滞などが考えられるものの定かではない。

12月単月の小売売上が前月比で不振だったにも関わらず商戦売上全体の伸びが好調だったのは、商戦までの個人消費拡大により既に10月時点で商戦ベースの小売売上高が前年比+4.0%にまで伸びていたことが数字上の要因である。中期的な雇用拡大や株価上昇による消費者センチメントの向上をベースとした個人消費拡大を反映した結果といえる。また、前年2013年末に見られた「財政の崖」懸念などのネガティブ要因が2014年にはなかったこと、感謝祭日付シフトにより感謝祭翌日のブラックフライデーからクリスマスまでの商戦期間が前年より1日多かったことも要因として考えられる。さらに、ブラックフライデー売上高が前年比を下回るなど(全米小売業連盟の昨年11月30日プレスリリースによれば、2014年のブラックフライデー週末の売上は前年比-6.2%減の233.3百万ドル、国際ショッピングセンター評議会の11月27日プレスリリースによれば感謝祭とブラックフライデーの売上合計は前年比-0.5%減)当初は不振な兆しがあったにも関わらず全体売上が伸びたことは、売上が特定日に集中せず分散する傾向が顕著だったことを示唆している(後述)。

一方で、消費者センチメントの上昇は1月に入っても継続している。ミシガン大学消費者センチメント指数は1月速報で98.2と10年ぶりの高水準に上昇した([第2図])。12月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比+252千人の堅調な伸びを示している。株価も1月に入りやや値動きが大きくなっているものの、総じて高水準を保っている。これらからは、12月の小売売上不振は一時的なものと見たい。12月分の上方改訂の可能性もあり、1月分以降の指標を待つこととしたいが、総じて個人消費が堅調な拡大を続けるとのこれまでの見方は維持したい。

[第1図]
20150118図1

[第2図]
20150118図2

業界団体も商戦結果に高評価

調査会社や各小売業界団体の評価も極めて高い。米調査会社ShopperTrak社は1月8日付レポート”Annual Holiday Review 2014”で、2014年のホリデー商戦売上結果を同時点で前年比+4.6%と推計し同社予想を上回る結果となったことを報告している(同社の事前予想は同+3.8%)。同レポートは、消費者の買物の早期化が進み、買物の比重が12月から11月にシフトする傾向が過去10年年間顕著であることを指摘している。ここからは12月の売上が11月に比べて減速することはトレンドに沿った動きともいえる。また同レポートは、ブラックフライデーなど特定日の売上が全体の売上に占める重要性が低下していることも合わせて報告している。同社は「ブラックフライデーやスーパーサタデーは依然として商戦期間の売上高上位2日であるが、消費者はこの2日間の値下げ価格よりも、商戦期間を通じた販促活動により関心を示しているように見える」としている。

全米小売業協会(NRF)は14日のプレスリリースで、2014年のホリデー商戦売上集計結果を6161億ドル(前年比+4%)と公表した(NRFの事前予想は同+4.1%)。NRF「ホリデー小売売上の結果は小売業界と米国経済にとり歓迎すべきニュース」と述べている。12月単月の不振についてNRFは「12月は季節調整の難しい月であることがこの変動要因の一部であろう」としている。

国際ショッピングセンター評議会(ICSC)は15日のプレスリリースで、2014年ホリデー商戦売上結果を4871億ドル(前年比+3.6%)と公表し、2011年以来の高い売上の伸びになったことを報告した。なお、ICSCは、1月半ば時点の調査で、42%の消費者がガソリン価格低下に伴い消費に回すお金が増えたと感じていることも報告している。業界団体、筆者個人ともにホリデー商戦結果は予想をやや下回ったものの2011年以来の好結果であったこと、また12月の一時的不振は消費トレンド上昇の見方に影響しないことを示唆している([第1表])、なおホリデー商戦売上高は調査会社・団体毎に定義や集計方法が異なるため数字は一致しない)。

[第1表]
20150118表1

一部経済指標の軟化は一時要因と見たい

一方で、12月分にかけて米国経済指標の一部に鈍化が見られるのも事実である。小売売上高のほかに大きな下方サプライズだった12月指標は、まず雇用統計における時間当たり賃金の低下である。12月の時間当たり賃金(生産及び非監督労働者)は20.68ドル(前月比-0.06ドル)と極めてまれな前月比大幅減少だった。金融危機の時期においてもかかる賃金低下は見られなかった。前年比では+1.6%と前月までの同2%台の伸びから大幅に伸び率が低下した。基本的にはこの単月の賃金係数は一時要因によるはずれ値と見たい。また仮に単月の賃金低下が起きていたとしても、インフレ率が12月には更に低下していることから、実質賃金の伸びは昨年半ばに比べてむしろ加速している計算になる([第3図])。

ISM指数は製造業、非製造業ともに大き目の低下を示した。調査対象の回答結果によれば、西海岸港湾の業務停滞が主因なようで、これも一時要因といえる。一方、同指数の3ヶ月移動平均をとってみると、製造業・非製造業いずれも昨年半ばをピークに緩やかな低下サイクルに入っているようにも見える([第4図])。しかしこれもあくまで循環的変動であり、トレンドの変化というものではなさそうだ。特に非製造業指数は昨年8月に2008年の現状指数計測開始以来の最高値を付けている。年後半にかけての指数低下はその一時的反動と見るのが自然であろう。

中古住宅販売戸数も昨年11月にかけて上昇モメンタムの剥落がみられる([第5図])。ただしこれも、10月の一時的な株価下落や、中古住宅販売取引が全体に減少する冬場の季節調整の困難さからくる一時的変動と見る。住宅在庫の供給や消費者の住宅購入活動が春に再開すれば、低金利を背景に引き続き住宅市場は堅調な拡大に回帰すると見る。

[第3図]
20150118図3

[第4図]
20150118図4

[第5図]
20150118図5

10-12月期GDPは3%成長を予想:外部リスク要因の米国への波及は限定的

企業設備投資の先行指標となる資本財受注及び出荷も10月、11月までは減速感がある。10-12月期のGDP統計上の機器投資の基礎統計となる非国防資本財出荷(航空機関連を除く)は11月までで前期比ほぼ横ばいの伸びに留まっている([第6図])。このため、2四半期連続で2桁の伸びを示した機器投資は10-12月期には大幅に減速することとなると見込んでいる。設備稼働率が上昇する一方で、企業ネットキャッシュフローが伸び悩んでいることから、企業設備投資は今後も緩やかな伸びに留まることは既に筆者予想には織り込み済である。

以上より、12月の小売売上減少を含め昨年末にかけての経済指標の軟化は一時要因によるものまたは想定内の動きと考えられることから、現在のところ筆者個人の2015年経済予想(1月7日付当レポート参照)に大きな変更は不要である。また10-12月期の実質個人消費は12月の下振れを見込んでも前期比年率+4%台の成長となる見通しだ。実質GDP全体では設備投資の減速や在庫調整による成長押し下げ要因を勘案して、10-12月期の成長率を同+3.0%レベルと見込む。これは前期の同+5%成長からは大幅な減速となるが、依然潜在成長を超えるペースの成長維持となる。また2015年通年については引き続き10年ぶりの3%成長への回帰を予想する。

外部のリスク要因として、ロシアやギリシャ問題による世界的景況感の悪化や、原油価格下落に伴うデフレ懸念が考えられる。世界的景況感悪化の場合は株価下落や消費者センチメントの悪化を通じた実体経済への悪影響が考えられる。またデフレ懸念は消費者物価指数の前年比の伸びが12月に1%を割り込んだことがその発端となる可能性なしとしない。しかし米国に関する限り消費者センチメントはロシア・ギリシャ問題にかかわらず上昇を続けている。また総合インフレ率の低下に対してコアインフレ率は1%台半ばの伸びを維持しており、エネルギー以外の物価への波及は今のところ顕著ではない。

[第6図]
20150118図6

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