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<経済レポート> ひとときの休息:日本経済定点観測

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日本経済は1-3月期に4%近い成長加速のあと、4-6月期はそのペースをいったん減速させそうだ。もっとも今後来年にかけては引き続き潜在成長率を上回る成長が継続すると見る。マイナスの需給ギャップは徐々に縮小して、デフレ圧力は後退するだろう。もっとも2%成長及び2%インフレ率の持続的実現は今後1~2年の間は困難と引き続き見たい。

家計消費は5月に大幅減少、4-6月期は横ばい程度

1-3月期に前期比年率+3.9%の成長拡大となった日本経済だが、4-6月期はその反動もありやや拡大ペースが減速している模様である。本レポートでは、直近の基礎統計等をもとに4-6月期の実質GDP成長率についての筆者個人予想を見直していく。

家計消費は、昨年7-9月期から今年の1-3月期まで3四半期連続でプラス成長を続け、消費税率引上げ後の経済回復の牽引役となってきた。しかしながら4-6月期のGDP統計上の実質家計消費は、前期比ほぼ横ばい程度に減速する可能性が高い。内閣府の消費総合指数は4月に前月比-1.1%の大幅低下となり、1-3月期平均を下回る水準になった([第1図])。総務省家計調査によれば、実質家計消費(2人以上の世帯)は4月に前月比-5.5%の大幅減少ののち5月には同+2.4%と反発したが、まだ前月の低下をカバーできていない。4-6月期の消費総合指数が前期比横ばいになるためには、5月、6月でそれぞれ前月比+0.5%の指数上昇が必要な計算になる。これは経験則的にはかなり達成が難しい数字といえる(6月27日<経済指標コメント>参照)。

一方、家計消費を巡る環境が従前に比べて悪化しているわけではない。内閣府消費者態度指数は4月時点で41.4ポイントと消費税率引上げ前に相当する高水準にある。現金給与総額の前年比伸び率は昨年3月以来概ねプラスを維持している。原油価格下落によるインフレ率低下も個人消費の押し上げ要因といえる。以上より、5月、6月には家計消費が再び増加に向かうとみて、4-6月期の実質家計消費は前期比概ね横ばい程度になると見込む。

[第1図]
20150705b図1

設備投資も前期の反動で横ばい成長に、住宅投資は堅調

企業部門は家計消費に遅れて回復が始まり、GDP統計上の企業設備は1-3月期には前期比年率+11.0%の大幅な成長となった。しかし、その後の先行指標となる資本財出荷の動きからは、この成長加速は一時的なものであった可能性が高い。4-6月期の資本財出荷は5月までで前期比-0.1%と2四半期連続のマイナスの伸びに位置している([第2図])。1-3月期のGDP統計上の企業設備の急成長はそれ以前の資本財出荷増とこれらのGDP統計への計上とのラグによるものである可能性がある。また、鉱工業生産指数全体が5月にかけて低下傾向に転じており、生産面の一時的軟化が示唆されている(7月5日付<経済指標コメント>参照)。従って、4-6月期のGDP統計上の実質企業設備は、家計消費と同じく前期比横ばい程度に見ておきたい。

住宅投資は4-6月期に2四半期連続となるプラス成長が見込めそうだ。4-6月期の住宅着工戸数は5月までで前期比+1.8%と、ほぼ前期並みの増加ペースを維持している([第3図])。GDP統計上の住宅投資は1-3月期に4四半期ぶりのプラス成長に回帰したが、4-6月期も同水準の成長が込める。

中期的観点からは、家計消費・企業設備・住宅投資の内需項目はいずれも消費税率引上げ前の水準に回帰していないことには留意が必要だ。それぞれの需要項目の前年同期比の伸び率は企業設備を除いて1-3月期まで4四半期連続でマイナスが続いている。一方企業設備は駆け込み需要の大きさに比して反動減が少なかったこともあり、昨年10-12月期までは前年同期比ではプラス成長が続いていた。筆者の個人予想によれば、これら3つの需要項目を合わせた国内最終民間需要が消費税率引上げ前の水準を超えるには2016年1-3月期を待たねばならない計算になる。経済のマイナスの需給ギャップが解消するのは2016年半ば以降になる計算である。消費税率引上げによる需要の下押し効果は当初予想以上に大きかったと言わざるを得ないだろう。

[第2図]
20150705b図2

[第3図]
20150705b図3

通年成長率は1%レベル、年度ベースでは2%弱の成長を個人予想する

企業在庫は4-6月期に成長にマイナス寄与となると見る。1-3月期には企業在庫が成長率を年率+2.0%押し上げたが、その後在庫水準は5月に入り低下に転じている。在庫循環図によれば、現在は「意図せざる在庫増」局面から「在庫調整」局面への移行期に位置する。5月の鉱工業生産統計からは、鉱工業が生産を調整して在庫を削減始めた動きが明らかに見られる。6月においても更なる在庫調整が行われると見たい。また数字上も、1-3月期のGDP統計上の在庫の成長へのプラス寄与の反動減が十分に考えられる。

財・サービス収支については、輸出・輸入双方の減速という趨勢は不変であるものの、1-3月期の一時的な輸入急増要因からの反動で、4-6月期には純輸出が成長にプラス寄与すると見ておきたい。5月までの貿易収支統計によれば、4-6月期の貿易収支赤字は前期に比べてわずかに縮小するペースである([第5図])。

以上より、4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+1%台前半に留まると個人的に予想する。これは4月時点での同+2%台半ばという筆者個人予想からは相応の下方修正となる。主な下方修正の背景は、家計消費の減速が想定以上であったこと、また輸出の伸び減速が予想以上に継続していることである。一方で、1-3月期成長率実績が4月時点の筆者個人予想を大きく上回った結果、新たな2015年通年(暦年)の成長率予想は前年比+1.2%、2015年度の成長率予想は前年度比+1.9%と、いずれも4月時点の予想から上方修正となる。

[第4図]
20150705b図4

[第5図]
20150705b図5

今後も潜在成長率を上回る成長が継続すると見る

今後については、日本経済は今年後半も潜在成長率(約+0.6%)を上回る成長を継続すると見る。家計消費・企業設備・住宅投資の内需項目は4-6月期にはいったん減速するものの、雇用の堅調な拡大や、日銀短観に見られる企業景況感の改善、さらに消費税率引上げ後の反動減要因の剥落により、成長ペースは高水準を維持するだろう。もっともアベノミクス開始直後の2013年のような2%成長を持続することは難しそうだ。アベノミクス開始直後の高成長はそのアナウンスメント効果が多分に寄与していたと憶測できるからである。潜在成長率を超える成長継続シナリオに対する主なリスク要因は、海外経済の想定以上の減速による輸出の想定以上の減少である。

潜在成長率を上回る成長継続により日本経済全体のマイナスの需給ギャップは徐々に解消しよう。内閣府は1-3月期時点の日本の需給ギャップを-1.6%と推計している。ここから筆者個人の今後の成長率予測に基づく需給ギャップの推移を試算すると、2016年1-3月期に需給ギャップは-0.5%にまで縮小する計算になる。2016年の半ばまたは後半には需給ギャップは解消する計算になる。

インフレ率については、生鮮食品を除く総合消費者物価指数(コア指数)は5月時点で前年比+0.1%とほぼゼロ近辺にある。原油価格下落の一服で今後コアインフレ率は徐々に上昇方向に転じると見る。また、食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)の前年比上昇率が4月、5月に前年比+0.4%と安定する兆しを見せている。これらの現況に加え、上記の通り需給ギャップが徐々に縮小して経済の余剰が解消されることで、デフレ圧力は今後徐々に後退していくだろう。もっとも、日本のフィリップス曲線の形状からは、2%のインフレ率の達成は今後2年では困難との見方は不変である。

[第1表]
20150705b表1
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