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堅調な伸びがつづく~米6月雇用統計

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米国の6月雇用統計では雇用市場の堅調な拡大が確認された。企業景況感はまだまちまちで、雇用拡大ペースの急激な加速は望めない。しかし、消費が支える米経済の構造は不変、FRBの緩和縮小見通しにも支持材料である。

6月非農業部門雇用者数は195千人増加した

5日に公表された米国の6月非農業部門雇用者数は、前月比+195千人と200千人に迫る堅調な伸びだった。4月、5月分も上方改訂され、それぞれ同+199千人、+195千人となった([第1図])。内訳では小売業の増加(同+37.1千人)と娯楽・宿泊業(同+75千人)増加が目立ち、個人消費が6月も引き続き堅調に拡大していることを示唆しいている。

失業率は前月比横ばいの7.6%だった。就業者数、労働参加率ともにわずかながら増加・上昇しており、内容的にも悪くない結果だといえる([第2図])。

[第1図]
20130706図1


[第2図]
20130706図2


雇用増加ペースは回復しつつある

6月雇用統計と過去分の改訂からの示唆は大きく2点ある。第1に、雇用増加のペースが徐々に回復してきていることだ。非農業部門雇用者数の前月比の伸びが200千人を超えることが米国の雇用市場の好調さの一つの目安になる。3ヶ月連続で190千人台の増加をみせた米雇用は本来の増加ペースを取り戻しつつある。

また、非農業部門雇用者数の前年比の伸び率は昨年12月以来の+1.7%に上昇した(上記[第1図])。これは、賃金上昇率がインフレ率をカバーした場合に実質個人消費が1.7%の伸びを確保できることを示唆している。景気拡大期の米雇用の伸びは概ね2%前後である。この意味でも、米雇用市場が本来の巡航速度に回帰しつつあると言える。

実質賃金の伸びがプラス圏を維持している

次に、賃金上昇率が底入れして上昇に転じている。時間当たり賃金(製造及び非監督職)の前年比の伸びは+2.0%と、過去6ヶ月間で最も高い水準を維持した。一方、消費者物価指数の前年比の伸びは5月時点で+1.4%にまで低下している。インフレ率低下により実質賃金上昇率(名目賃金
上昇率-インフレ率)がプラスを維持する状況が3月以降5月まで続いている。2011年以降約2年間、賃金上昇率がインフレ率をカバーできていない状況がつづいていたが、これが漸く解消されつつあるといえる([第3図])。

[第3図]
20130706図3


失業率低下に遅行して時間当たり賃金は上昇する

失業率と名目時間当たり賃金伸び率との関係を示すフィリップス曲線を、過去10年間の比較的短期につき四半期毎に作成したのが[第4図]である。これによれば、時間当たり賃金上昇率は失業率の低下に遅行して昨年末から漸く拡大を始めている。現在7.6%の失業率は今後やや低下ペースを落とすと見ているが、仮に現状の失業率水準を維持することができれば、今後時間当たり賃金は前年比で2%~2.5%の上昇になることが期待できる。

そうすれば、原油価格上昇などによる一時的インフレ率の上昇も、賃金上昇でカバーできることになる。そうすれば、米国の個人消費の伸びはより安定したものになるだろう。


[第4図]
20130706図4


今後も堅調ながら加速はなし

今後の雇用市場は、概ね現在のペースである月当たり160~200千人、前年比1.5%~2.0%のペースで年内拡大していくと見る。ただし、現状以上の拡大ペースの加速はないと見たい。

企業景況感は依然まちまちである。6月ISM指数は製造業が50.9%と前月の49.0%からやや回復した一方、非製造業は52.2%と前月の53.7%から低下した。それぞれの雇用DIも異なる方向の動きとなっている。製造業の雇用DIは実に4年以上ぶりの50%割れに低下、一方非製造業の雇用DIは大幅に改善している。

欧州や新興国をはじめとする世界の経済減速感は引続き企業の雇用センチメントに対する重しとなっている。家計に比べて企業は中期的視野から景況感の改善に時間がかかると言えるだろう。このため、雇用市場の拡大ペースは年内概ね現状ペースを保つと見たい。

[第5図]
20130706図5


年内のQE3縮小予想を維持する-長期金利予想は上方修正を考慮する

FRBの金融政策に対しては、この指標は年内のQE3(量的緩和)縮小予想を支持する内容である。FOMC委員による経済予測は筆者個人の予測よりも楽観的であり、今後下方シフトの可能性がある。しかし一方で量的緩和の継続によるコスト増大への配慮を優先してFOMCは年内に資産購入ペースを縮小し、来年半ばにQE終了との見方を維持する。

直近の経済指標によれば、実質個人消費は4-6月期にその伸び率を大幅に低下させた模様だ。GDP統計上の実質個人消費は1-3月期が前年同期比+2.4%だったのに対し、4-6月期は1%台半ばにまで減速したと筆者はみている。4-5月は財の消費が伸びたにも拘わらずサービス消費が減少したことが消費減速の要因になっている。また5月で株価上昇が一服したこともあり、消費者センチメントもここからの大きな改善は見込みづらい。

しかし、ベースとなる雇用と賃金が堅調な伸びを続けることで、米国経済を消費が底支えする構造は今年いっぱい継続すると見る。

なお、5日の雇用統計を受けて、市場では長期金利が急上昇した。10年物米国債利回りはこれまでひとつの節目と見てきた2.5%を大きく上抜けて2.7%台に上昇した。これは筆者の予想を上回るペースの上昇である。年内に3%レベルまでの長期金利上昇はもはやありうるといえる。今後年内の長期金利のレンジは概ね2.5%~3%レベルとする個人予想の修正を考慮中である。


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