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政府とマクロが重しになる~米国成長予想引下げ

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今年の米国の経済成長率個人予想を引き下げる。新たな成長予想は前年比+1.6%と、これまでの同+1.9%から大幅に下方修正する。株価上昇などで個人のセンチメントは好転しているものの、米政府財政支出削減、グローバルなマクロ経済環境への懸念から企業部門の回復が遅れそうだ。

4-6月期の成長率は大幅減速を予想する

4-6月期の米国実質GDP成長率(7月31日公表予定)の筆者個人予想を前期比年率+1.2%とする。これは前期の同+1.8%から大幅に減速する結果になる。これを中期的な趨勢を表す前年同期比の伸びになおすと前年比+1.6%となり、前期とほぼ横ばいの成長を維持していることになる。しかし、1.6%の成長率は米国の潜在成長率をやや下回る水準である 。成長ペースは底堅いながらも加速感は見られないといっていい([第1図]) 。

また、2013年通年の成長率についての予想を前年比+1.6%に引き下げる。これは5月時点の予想(5月21日付当レポート参照)である同+1.9%から‐0.3%の大幅下方修正となる。この下方修正の要因のひとつは、GDP統計上の1-3月期の成長率が4月の速報値2.4%から、6月の確報値にかけて1.8%と大幅に下方改訂されたことである。もうひとつの要因は、4月以降の個人消費、設備投資、住宅投資関連の経済指標が伸び悩んでいることである。

[第1図]
20130713図1


個人のサービス消費が減少するも自動車販売は好調

1-3月期まで米国の成長を安定的に牽引してきた個人消費にやや減速がみられる。月次の個人所得統計によれば、実質個人消費は4月に6四半期ぶりの前期比マイナス成長となった([第2図])。6月の実質個人消費の伸びをやや強めの前月比+0.3%としても、4-6月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+1.7%の伸びにとどまる計算になる。これは1-3月期の同+2.6%と比較すると大幅な減速になる。

しかし、個人消費の減速は一時的なもので、6月以降は再び堅調な増加を期待してよさそうだ。個人消費統計の詳細計数から個人消費減速の要因を見てみると、主にサービス消費、特に電力・ガスなどの公益サービス消費と娯楽・運輸サービス消費が4月、5月に減少している。一方で、自動自動車などの耐久財消費と、衣服などの非耐久財消費は4月に減少したものの5月には大幅に増加している。

特に新車販売台数は4月に年率14.9百万台と6ヶ月ぶりに15百万台台を割り込んだものの、その後反発して6月には同15.9百万台と、実に2007年11月以来約5年半ぶりの水準にまで増加している([第3図])。

消費に先行する指標の状況も悪くはない。消費者センチメントを表す指標としては、ミシガン大学消費者センチメント指数が7月まで3ヶ月連続で80ポイント台の高水準を維持している。金融市場ではNYダウが7月に入り史上最高値を更新している。

以上より、個人消費は4-6月期に一旦減速するものの、7-9月期以降は再び2%台の成長に回帰すると予想する。

[第2図]
20130713図2

[第3図]
20130713図3


増税による抑制効果をセンチメントと信用回復がカバー

富裕層を中心とした実質的な個人所得税増税と、給与税減税廃止が年初に実施された。筆者は当初これらにより今年の個人消費が約-1%押し下げられ、通年の個人消費は1%台半ばの伸びにとどまると見ていた(1月13日付当レポート参照)。しかしその後の個人消費は現在の一時的減速を除いて堅調に伸びている。現在では通年の実質個人消費は約2%の成長が可能とみている。

この原因は主に、金融市場の回復などによる消費者センチメントの回復にあるといってよい。その結果家計貯蓄率は5月時点で3.2%と、前年同月の3.9%から大幅に低下している。家計は収入のより多くの部分を消費に回すようになっている。消費者信用の伸びも堅調である。FRB統計による消費者信用残高(クレジットカード借入、自動車ローンなどの合計)は5月時点で前年比+5.8%と、前年同月の同+5.1%からこれも伸びを加速させている。

設備投資はマイナスに転化を見込む: 企業景況感には回復の兆し

企業設備投資も4-6月期は不振で、GDP統計上の実質設備投資は3四半期ぶりのマイナス成長になると見る。設備投資の基礎統計となる非国防資本財出荷は、5月までで1-3月期にくらべ前期比年率-1.2%の減少となっている([第4図])。米国歳出削減、欧州財政問題、アジアの景気減速といったマクロ要因が企業の設備投資を慎重にさせていると考えられる。

企業景況観を表す指標はまちまちである。ISM製造業指数は過去12ヶ月間で2回、いずれも一時的ながら50%を割り込んだ(直近では5月に49.0%に低下したのち6月に50.9%に回復した)。一方ISM非製造業指数は50%以上を維持しつつも3月以降は50%台前半にとどまっている。株価上昇などに比較的反応しやすい個人の景況感にくらべ、企業はより中期的な観点から景況感を完全には好転させていない。

しかし、企業設備投資にも明るい材料がある。企業設備投資に対する先行性が高いフィラデルフィア連銀の製造業景況感指数によれば、企業の6ヶ月先の設備投資DIは4月~6月の3ヶ月連続で上昇し、6月には2011年3月以来の水準となる27.3にまで上昇した。これを四半期ベースでみると。4-6月期の設備投資DI(6ヶ月先)はほぼ1年前の水準に回復している([第5図])。

従って、4-6月期に一旦マイナス成長を見込む企業設備投資も、7月期以降再び5~10%の底堅い伸びに回帰する可能性が高いと見る。

[第4図]
20130713図4

[第5図]
20130713図5


金利上昇が住宅投資の向かい風になる

住宅投資も設備投資と同じく4-6月期に一時的にマイナス成長になりそうだ。6月30日付当レポートで見たように、住宅着工件数が今年に入って頭打ちになっている。住宅着工統計によれば、4-5月の住宅着工件数平均は前期のそれを2年ぶりに下回っている。5月以降の住宅ローン金利の上昇は更に住宅投資には向かい風になる可能性がある。

しかし、現在住宅販売在庫はかなりタイトな状況にあり、潜在的な住宅需要に対する供給は今後も継続する可能性が高い。住宅投資も4-6月期に一旦マイナス成長になったあと7-9月期以降は5~10%の堅調な成長に回帰すると見る。

歳出自動削減と政府債務上限は政府支出を押し下げる

さらに、米予算管理法に基づく政府歳出自動削減と、政府債務上限が、政府支出を引続き減少させるだろう。2月末の一時凍結期限終了後3月以降連邦政府の歳出自動削減が適用されている。また政府債務上限も、5月19日までの暫定撤廃措置が終了後、その時点の債務残高である16.7兆ドルの上限が引続き適用されている。これらから、政府支出は4-6月期及びそれ以降もマイナスの伸びが続くと見る。

以上より、米国の実質GDP成長率予想を4-6月期につき前期比年率+1.2%、2013年通年につき前年比+1.6%とする。総じて米国経済は潜在成長率並のペースでの成長を維持しながらも、需給ギャップを縮小させるような成長加速は見られない。この原因は主に米国歳出削減や世界景気減速などのマクロ要因にあり、企業の景況観回復の足取りが重いことにある。引続き個人消費が景気を支えつつも、企業部門の景況感を回復させるに足りる世界経済ファンダメンタルズの回復が成長加速には必要だろう。

なお、筆者個人の米国を含む7月13日時点の経済・金融予想を以下の[第1表]にまとめる。

[第1表]
20130713表1

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