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消費と経済対策が牽引する~日本成長予想引上げ

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筆者個人の2013年(暦年)の日本の成長率予想を引上げ、前年比+1.9%とする。好調な家計消費に加え、今後は緊急経済対策による公共事業等が成長を押し上げるだろう。政府支出による成長押し上げは持続的とはいえないが、2014年4月からの消費税引上げはより現実的になってきていると見たい。

今年の日本の成長予想を+1.9%に引き上げる

日本経済は、昨年の7-9月期に一時マイナス成長に転化していたことから、年初時点では今年の成長率は昨年を下回る1%台にとどまると予想していた。しかし、その後の日本経済は年初想定以上のペースで拡大している。1-3月期の実質GDPは前期比年率+4.1%という大幅な伸びを見せた。5月に公表された1次速報値は同+3.5%と予想以上の伸びだったが、6月公表の2次速報値では更に同+4.1%に上方改訂された。

1-3月期までの成長加速を牽引したのは家計消費だ。GDP統計上の家計最終消費支出は昨年10-12月期、今年1-3月期にそれぞれ実質GDPを約+1.0%、+2.1%押し上げた。今後は、消費に加え政府の緊急経済対策に基づく財政支出が更に成長を押し上げると見る。さらに、企業設備投資にも漸く底入れの兆しが見える。7-9月期は、4-6月期を更に上回る前期比年率+5%台の成長を見込む([第1図])。

結果、筆者個人の2013年(暦年)の日本の実質GDP成長率予想を従来の前年比+1.7%から同+1.9%に引き上げる。今年の成長率は昨年と同ペースを維持する見込みになる([第2図])。なお、年度ベースでは、2013年度の成長率予想を前年度比+2.4%とする(7月13日付当レポート[第1表]参照)。

[第1図]
20130715図1

[第2図]
20130715図2

金融市場好転が家計消費を押し上げている

1-3月期は家計最終消費支出が同+3.5%の強い伸びでGDPを約+2%押し上げた。4-6月期もこれとほぼ同水準の伸びを見込む。内閣府の消費総合指数は4月に前月比+0.2%、5月に同+0.6%の伸びを見せた。6月が仮に5月比横ばいとしても4-6月期の前期比年率の伸びは+3.1%を確保できる水準だ。

家計消費拡大の要因は強い消費者センチメントだ。内閣府の消費者態度指数は、4月以降やや上昇ペースが鈍ったものの、4-6月期平均では前期比+12.1%と2四半期連続で2ケタの伸びで、その水準は2007年以来の高水準だ([第3図])。政府の緊急経済対策や日銀の量的・質的緩和のアナウンスメント効果、及びこれに伴う株価上昇等が消費者センチメントを押し上げていると考えられる。

賃金も家計消費の追い風になりつつある。現金給与総額は、2011年度、2012年度とも年間平均で前年度を下回っていた。しかし、今年に入り4月、5月時点でそれぞれ前年比横ばいに回帰している(厚生労働省毎月勤労統計調査による)。アベノミクスが目指す賃金上昇は徐々に実現しつつあり、家計消費による経済牽引を後押しする可能性が高い。

[第3図]
20130715図3

設備投資は低迷も機械受注に回復の兆し

好調な家計消費に対し、企業設備投資は低迷している。GDP統計上の民間企業設備は2012年1-3月期以来5四半期連続でマイナス成長になっている。民間企業設備に先行する鉱工業出荷指数の4-5月平均は1-3月平均を下回っている([第4図])ことから、民間企業設備は4-6月期もマイナス成長の可能性が高い。

しかし、他の経済指標からは企業設備投資にも明りが見え始めている。まず、大企業の景況感が大幅に好転している。日銀短観(6月調査)における大企業・製造業の業況判断DIは+4と、3月調査の-8から大幅に好転した。同DIがプラスに転じるのは2011年9月調査以来、またその水準は2011年3月調査以来である。

また機械受注がここもと急増している。内閣府の機械受注統計によれば、5月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+10.5%の大幅な伸びを見せ、4月の同-8.8%減を十分にとりかえした。4-5月の機械受注額平均は1-3月平均に比べ+6.0%増と、5四半期ぶりのプラスかつ大幅な伸びに転じている([第5図])。

家計消費に比べ企業設備投資が低迷しているのは米国と同じ傾向である。家計が株価上昇等に比較的反応しやすいのに対し、企業の設備投資計画は、グローバル経済成長減速というマクロ要因を勘案してより慎重になっていると考えられる。また日本の場合、製造工業の稼働率がいまだ東日本大震災前の水準に戻っていないため、持続的な受注増が見込めない限り設備拡大に踏み切りにくいという事情がある。

しかし、稼働率も水準は低いが継続的に改善していることや、昨年来の企業在庫調整もほぼ終了したと考えられることから、年後半にかけて民間企業設備もプラス成長に回帰していくと見る。

[第4図]
20130715図4

[第5図]
20130715図5

緊急経済対策の本格化も成長を押し上げよう

4-6月期以降は政府支出が家計消費とともに経済を牽引すると見る。10.3兆円の緊急経済対策のGDP押し上げ効果は2013年通年で約+1.2%と筆者はみている(1月20日付当レポート参照)。これらの支出が4月以降本格化していると考えられる。

公共工事請負金額は、1-3月期まで2四半期連続で減少し3兆円を割り込むまでになっていたが、4-6月期には4兆円台に急増している([第6図])。1-3月期には公的需要(政府最終消費支出・公的固定資本形成・公的在庫品増加の合計)の実質GDP成長率への寄与度は前期比年利率+0.4%にとどまった。しかし、4-6月期以降は公共事業の本格化等により、政府支出による成長押し上げが加速しよう。

[第6図]
20130715図6

消費税引上げ見通し

2013年の実質GDP成長率予想+1.9%(年度ベースで同+2.4%)は、アベノミクスが掲げる実質2%成長を初年度において達成することを意味する。しかしながら筆者予想では、+2.4%成長のうち約1.4%が政府支出に依存している。政府支出が押し上げた2%成長は持続的とはいえないだろう。従って単年度の2%成長達成だけでは、2014年4月からの消費税引上げについて消費税等改正法が定める「平成23年度~平成32年度の平均において名目3%、実質2%成長(同法附則第18条)」の目途が立ったことにはならないだろう。

一方で同条(いわゆる景気弾力条項)によれば、消費税引上げに当たっては「経済状況を好転させることを条件として実施する」とはしているものの、これらの数値を「目指した望ましい経済成長の在り方の早期に近づけるための総合的な施策の実施その他必要な措置を講ずる」としている(同法附則第18条)のみで、実質2%成長見通しを消費税引上げの直接の数値条件とはしていない。

更に、昨年6月の同法成立前に交わされたいわゆる3党合意では、附則第18条について「第1項の数値は、政策努力の目標を示すものであること」が明記されている。つまり、持続的な実質2%成長見通しが完全には立たなくとも技術的には2014年4月からの消費税引上げは可能である。

筆者は今後の成長予想に、2014年4月からの消費税引上げを前提とした事前駆け込み需要と事後の反動需要減を織り込んでいる。持続的成長の可否はともかく、年初の1%台から2%成長に成長見通しが好転したことは、同時に消費税引上げの仮定がより現実的に近くなりつつあることを意味する。

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