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経済対策効果は1.2%:2013年日本成長率予想

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政府の緊急経済対策と平成24年度補正予算が11日と15日に閣議決定された。これらを踏まえた筆者個人の日本の2013年の成長率予想を前年比+0.8%とする。経済対策実施前のベースライン成長率は2013年にマイナスになる計算だが、経済対策による押上げ効果で+0.8%のプラス成長が可能、また年度ベースでは来年初に消費税引上げ前駆込み需要による押上げもあり約2%の成長が可能だろう。

経済対策財政支出は10.3兆円

政府の緊急経済対策(1月11日閣議決定)及び平成24年度補正予算(15日閣議決定)の概要は[第1表]の通り。ほぼ前評判通り、経済対策に関する政府財政支出は約10.3兆円、事業規模は約20.2兆円となった。真水の政府財政支出増は「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」の3大項目からなっている。

事業規模全体の20.2兆円と政府財政支出の10.3兆円は日本の名目GDP(2011年約471兆円)のそれぞれ約4.3%、2.2%に相当する。政府は「実質GDP押し上げ効果は概ね2%程度、雇用創出効果は60万人程度」と見積もっている。

しかしこの見通しはやや楽観的なようだ。緊急経済対策の中身を見てみると必ずしも支出が確定したものばかりではない。また、政府財政支出の拡大はその分民間支出をクラウドアウトする可能性がある。従ってこの経済対策の効果は表面の数字よりかなり保守的に見ておく必要があるだろう。

[第1表]
20130120第1表


2013暦年成長率への寄与は約1.2%と見る

ここでは、事業規模のうち政府財政支出以外の部分は財政出動に拘わらず存在する需要と考えて、経済成長押し上げ効果を政府財政支出部分に限ってみてみる。

平成24年度補正予算の概要によれば、政府財政支出は「Ⅰ.復興・防災対策」3兆7889億円の中にインフラ整備関連の公共事業が集中している。これらの公共事業は環境さえ整えば実際の支出が予算通りに執行される可能性が高いと言える。一方それ以外の「Ⅱ. 成長による富の創出」3兆1373億円と「暮らしの安心・地域活性化」3兆1024億円は、民間設備投資の支援、研究開発、医療等の人材確保など、民間需要の増加を前提とした項目が多く、実際の支出の可能性が相対的に低いものと言える。

ここでは、10.2兆円の政府財政支出のうちインフラ関連公共事業中心に全体の約4分の3が予算通り執行されさらにその4分の3が2013年(暦年)の経済成長に寄与すると想定した。すると結果、2013通年で成長率を約+1.2%、2013年度ベースでは約+1.5%押し上げるとの結果になった。

下向きの経済に底入れの兆し

さて、日本経済のベースラインはどのような状況か。経済全体はまだ後退局面にある。成長率は、2012年4-6月期が前期比年率-0.1%、7-9月期が同-3.5%と、すでに2四半期連続のマイナス成長つまり実質的にはリセッションのさなかだ。マイナス成長が2四半期以上続くのは、リーマンショックを挟む2008年と、東日本大震災を挟む2010~2011年とに続き、過去5年間で既に3回目である。

10-12月期の経済統計の状況も芳しくなくマイナス成長となりそうだ。内閣府の景気一致指数は4月から11月まで8カ月連続低下している(第1図参照)。同指数の10-11月平均は7-9月平均に比べ年率で-2.5%の低下となっている。これは10月以降も経済活動が回復せず、10-12月期のGDP成長率も前期比年率-2%を超えるマイナスである可能性を示唆している。

特に企業部門の指標が思わしくない。鉱工業生産指数は11月まで5ヶ月のうち4ヶ月で低下、10月には一時的には持ち直したものの、11月時点で7-9月期の水準を取り戻すに至っていない。

また、鉱工業の生産者在庫率の上昇が著しく、11月現在でなお震災直後の在庫率を上回る水準にある。欧州やアジアなど海外の需要減速による在庫の積上がりで、この在庫調整にはしばらく時間がかかりそうだ。経済産業省の鉱工業生産指数統計のうちの生産者在庫指数は11月までで4ヶ月連続の低下をしめしており、GDP統計上の民間在庫品が10-12月期のGDPに大幅マイナス寄与することを示唆している。

外需も低迷がつづいている。輸出の減少が止まらず、財務省統計によれば輸出数量は9月以降も11月まで連続して減少している。財・サービス収支は10月も前年同期比で赤字が拡大している。もっとも輸入数量が一時的に10月に大幅減少しており、10-12月期のGDP統計では純輸出が一時的に成長にプラス寄与する可能性なしとせず、これは成長率の上方リスク要因である。

しかし、消費は減少から横ばいに転じる兆しがみられる。内閣府消費総合指数は7-9月期平均が105.9、10-11月期平均が106.9と、このペースなら10-12月期に家計消費は前期比年率で約1%ほど増加する計算になる。
これらより、昨年2012年10-12月期の実質GDP成長率は3期連続となるマイナス成長、また2012年通年(暦年)の成長率は前年比+2%に着地したと見る。

一方今後を占う景気の先行きを表す経済指標には底入れの兆しがみられる。内閣府の景気先行指数は8月以降11月まで4カ月中2カ月で前月比プラスの動きになっている([第1図]参照)。また、米国の「財政の崖」回避や、日本の安倍新政権の政策(いわゆるアベノミクス)への期待で市場で今年の金融市場は円安株高ではじまっていて、市場センチメントや景況感は好転の方向にあると推察できる。

総合的には、日本経済は昨年末時点でまだ後退状況にあるが、2013年からは徐々に持ち直しに向かう、というのがベースラインのシナリオと言ってよさそうだ。

[第1図]
20130120第1図


経済対策で2013年は0.8%成長と見る

ただその場合でも、昨年後半のマイナス成長のせいで、経済対策前のベースラインでは2013年通年の成長率は前年比でわずかにマイナスになる計算になる。

ここに上記の経済対策効果+1.2%を勘案し、筆者個人の2013年通年の実質GDP成長率予想を前年比+0.8%とする([第2図]および1月13日付当レポートの[第1表]参照)。前年比+0.8%の成長率は前年の2%成長(予想)からは見かけ上大幅な減速になるが、すくなくとも景気の谷を昨年末か今年初に終了して三たび経済が拡大期に入る重要な転換点の時期になる。

2013年度(2013年4月~2014年3月)ベースの成長率は、経済対策の残りの予算執行を1-3月期に織り込むと、前年度比で約+1.7%の伸びになる計算になる。

ここに2014年4月に予定されている消費税引上げ前の駆け込み需要が1-3月期に上載せになる。内閣府の「短期日本経済マクロ計量モデル(2011度版)の構造と乗数分析」によれば、消費税率の1%の引上げは1年目の実質GDP成長率を-0.32%抑制するとされている。ここでは、消費税引上げ後の1年目の成長抑制と同額の駆け込み需要が引上げ前の2四半期に起きると想定する。消費税引上げ幅の3%(5%→8%)に相当する実質GDPの抑制が2014年4-6月期以降に起きるとして、それと同額の駆け込み需要を、2013年7-9月期に3分の1、同10-12月期に3分の2配分した。結果、2014年1-3月期の成長押し上げ効果が寄与して2013年度の成長率を約+0.3%押し上げ、前年度比+2.0%の成長が可能との結果になった。

[第2図]
20130120第2図


駆け込み需要前提に年度で2%成長は可能

ここで課題になるのが現実の消費税引上げの有無である。1月に発足した安倍新政権は2014年4月からの消費税引上げには慎重なスタンスを示している。また、消費税引上げ法(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律)では、「平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度」の見通しが立つことが事実上の税率引上げの条件になっている。一時的な財政出動を上乗せしてもなお上記の成長率(2013年+0.8%、2014年+1.7%)では客観的には2014年4月の消費税引上げの条件を満たせるとは言いにくいだろう。そうなると駆け込み需要は見込めず、年度ベースで2%成長は困難になる。ただ一方で、消費税引上げの延期が早期に決定した場合はこれを好感した金融市場や消費者センチメントの好転で経済のベースラインの成長が上方シフトすることも考えられる。

総合的に消費税引上げを前提に2013年度の2%成長を筆者個人の予想とするが、引上げ見送りのお場合は1.7%レベルへの下方リスクシナリオに移行することとしたい。

リスクは上方・下方双方にあり

リスク要因は上下双方にある。まず、2012年10-12月期の成長率は上ブレの可能性がある(1次速報は2月14日公表予定)。中でも民間消費支出と純輸出は上ブレの可能性のある需要項目だ。この場合2013年の成長率を最大+0.6%上方修正する可能性がある。 一方、消費税率引き上げが見送られると前の駆け込み需要による押し上げ分要因がなくなることで、年度の成長率を最大-0.3%下方修正することになる。


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