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<経済レポート> 短期決戦へマインド良好:米ホリデー商戦予想

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2016年の米ホリデー商戦売上高は前年比+4.0%と、昨年の同+3.0%からの大幅加速を個人予想する。個人所得の伸び率は低減しているものの、長めの商戦期間、直近の小売売上の加速、高い限界消費性向、そして米大統領選挙後の消費者センチメントの上昇が、短期決戦であるホリデー商戦の強い追い風になると見る。各業界団体も同様に、今年の商戦は昨年以上の伸びを予想している。

米ホリデー商戦始まる

2016年のホリデー商戦(クリスマス商戦)が本格的に開始された。ホリデー商戦は米国の個人消費の動向を占う重要な商戦とされている。同商戦は通常、感謝祭翌日の金曜日(=ブラックフライデー、今年は11月25日)からクリスマス前日(12月24日)までの期間を指す。今年の場合この期間の日数は昨年より2日多い30日間である。ホリデー商戦の期間としては標準的な長さであり、2012年以降では最も長い商戦期間である。

報道等によれば、小売業はこのホリデー商戦期間にかかわらず販促を早期に開始する傾向が数年間続いており、ホリデー商戦期間やブラックフライデーの意義は年々薄れているともされる。早期の値引き販売、オンラインショッピング拡大、感謝祭休日の開店の拡大などがその背景である。

しかしながら、今年のブラックフライデーの動向はまずまずだったようだ。米調査会社ShopperTrakは、ブラックフライデーの翌日26日のプレスリリースで「2016年の感謝祭とブラックフライデーを合わせた集客数は前年比-1%の減少、ブラックフライデー1日の買物客数は前年比横ばい」「ここ数年、感謝祭休日の開店がブラックフライデーの買物客数を減らしてきた」「しかし、今年は感謝祭開店の減少などでその反動があった」「ブラックフライデーが依然無視し得ない重要な意義のある日であることをデータは示しており、総じてポジティブなメッセージである」と述べている。

10月の小売売上増加は商戦への好材料

筆者個人は、2016年のホリデー商戦売上高を前年比+4.0%と、前年の同+3.0%から大幅に加速すると予想する([第1図])。以下では直近の小売り売上動向、個人所得や消費性向の動向、消費者センチメントの観点から、この予想の背景を見ていく(筆者は、ホリデー商戦期間売上として「自動車・ガソリンスタンド・レストランを除く小売売上高の11月、12月合計」という定義を用いている。また後に述べる米小売業界団体もそれぞれやや異なる小売売上の範囲による11月、12月売上合計をホリデー商戦売上としている)。

まず、小売売上高の増加が直近の月において加速していることはホリデー商戦へのプラスの要素である。10月小売売上高(自動車・ガソリン・レストランを除く)は前月比+0.9%と2015年7月以来の強い伸びだった。同前年比の伸び率も+4.3%と、過去2年間の伸び率のレンジの上限レベルにまで回復している([第2図])。7、8月に一時小売売上高の伸びは大幅に減速したが、9、10月でこれらを十分カバーする回復を見せた。

このペースだと、自動車・ガソリン・レストランを除く小売売上高が11、12月にそれぞれ前月比+0.2%増加すれば、2016年のホリデー商戦売上高は前年比+4.0%となる計算になる。前月比+0.2%の同売上高増加は現在の小売売上増加ペースからは十分に可能なものである。また、ホリデー商戦期間の日数が前年に比べ2日間長いことも、商戦にとっては有利である。ついてはこれを持って当レポートの個人予想とする。

[第1図]
20161127図1
[第2図]
20161127図2

可処分所得の伸びは減速も、消費者意欲は強い

一方で、個人所得の動向はホリデー商戦にとっては向かい風と言わざるを得ない。個人の実質可処分所得の前年比伸び率は9月時点で+2.1%と、ここ2年間ほぼ一貫して低減傾向にある([第3図])。これに応じて実質個人消費の伸び率も減速を続けている。前年比+2%レベルの実質可処分所得の伸びは、個人消費の巡航速度といえる前年比+2%の伸びを何とか維持できるギリギリの水準である。

実質可処分所得の伸び率低下の要因をみるために、名目ベースの個人可処分所得の伸びの要因分解を行ったのが[第4図]である。これによれば、雇用増加ペースの減速で雇用者報酬の寄与度が昨年の前年比+3%台から今年は+2%台に低減したこと、また、失業保険給付や社会保障などの移転所得の寄与度が低減したことが、全体の可処分所得の伸びを低下させていることがわかる(利子・配当所得の伸び低減は税金の低減でほぼ相殺された形)。ここに、今年に入ってからの消費者インフレ率の上昇という要因が加わった結果、実質可処分所得の伸び率が低下したと考えられる。

ただし、貯蓄率や限界消費性向の動向を見ると、消費者が所得の伸び低減に対して消費に慎重になっている様子は見られない。貯蓄率は7-9月期現在で5.7%と、ここ2年間はほぼ横ばいにとどまっている([第5図])。限界消費性向(所得の増加1単位に対する消費の増加)は現状約0.9と計算され、消費者は所得増加のほぼ9割を消費に振り向ける傾向がある([第6図])。個人の消費意欲はまだ強いといえる。

[第3図]
20161127図3

[第4図]
20161127図4

[第5図]
20161127図5

[第6図]
20161127図6

消費者センチメントは大統領選後に上昇

最後に、消費者センチメントが極めて高い水準にあることは、商戦にとっての強い好材料である。ミシガン大学消費者センチメント指数(確報)は11月に93.8ポイント(前月比+7.6%)と大幅上昇した([第7図])。同指数は、11日の速報値では87.2ポイントだったが、米大統領選挙結果を反映した23日の確報値で大幅に上方改訂された。これは、トランプ氏の次期大統領当選を消費者がまずはポジティブに受け止めていることを示唆している。消費者センチメント指数と実質個人消費の伸び率の間には相応の相関関係がみられるが、ここ1年ほどは、消費者センチメントの安定に比べて実質個人消費の伸び率が下方乖離する傾向にある([第7図])。これは言い換えれば、今後実質個人消費が消費者センチメントに合わせて伸びを加速する可能性を示唆している。

各種業界団体も同様に今年のホリデー商戦の加速を予想している。全米小売業連盟(NRF)は、10月4日のプレスリリースで、2016年のホリデー商戦売上高を前年比+3.6%(昨年実績は同+3.2%)と予想している。この背景としてNRFは「堅調な雇用と所得増加は消費者信頼感の高まりと消費者信用の増加をもたらしており、これはホリデーシーズンの消費増加の前兆である」としている。また、国際ショッピングセンター評議会(ICIS)は、同じく10月4日のプレスリリースで、今年のホリデー商戦売上を前年比+3.3%(前年実績同+2.2%)への加速を予想している。

消費者センチメント指数の公表元のミシガン大学は「トランプ氏のポピュリスト政策見通しに照らせば、選挙後の消費者の経済見通しの急好転は驚くに当たらない」「この好転は、同氏のサプライズ勝利と、選挙が終了したとの安堵感からおそらく誇張されているだろう」と述べている。確かに、消費者センチメントの上昇や、直近の小売売上高の増加加速の持続性には疑問が残る。雇用増加率の低減や自動車販売台数の飽和水準への増加から、個人消費の伸びは来年にかけては減速せざるを得ないと筆者は見ている。しかしながら、11、12月の短期決戦であるホリデー商戦にとっては、一時的であるにせよ現在の消費者センチメントの上昇は強い追い風になるだろう。

[第7図]
20161127図7


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