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<経済レポート> 過熱領域から減速へ:米個人消費動向

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米個人消費は好調で2017年末のホリデー商戦も予想以上の好調な結果に終わった。2018年にもトランプ減税の効果で個人消費は加速するだろう。しかしながら、景気循環の観点からは個人消費は既に減速局面にある。目先の指標は好調なるも、次の景気の転換点の到来を見据えつつ米経済を占っていくことが必要である。

好調な個人消費もベースラインは減速へ

米国の個人消費は2017年末にかけ好調に拡大した。2017年のホリデー商戦(自動車・ガソリン・レストランを除く小売売上高の11-12月合計、季節調整済)は前年比+6.0%と、金融危機前の2005年以来の伸びを示した([第1図])。これは当レポートの予想である同+4.0%を大幅に上回る結果である。11月までの実質個人消費は前期比+2.8%と、10-12月期で前期比年率+3%に加速するペースである。2017年の米経済は、個人消費が牽引して好調のうちに終わった見込みだ。さらに2018年には、トランプ政権の減税によりさらに個人消費が押し上げられると見る。12月に成立した「減税及び雇用法」によれば、2018会計年度に個人所得税がGDP比-0.4%引き下げられることになっている。ここに法人税減税に伴う賃金・配当増加を合わせると、2018年の個人消費はベースラインに対して押し上げられ、前年比+2.5%レベルの拡大を実現すると見る。

しかしながら、個人消費のベースラインは2018年には減速に入っていることに留意したい。1月6日付当レポートでみたように、雇用拡大ペースの減速、金利とインフレ率の上昇が2018年の実質個人消費のベースラインを前年比+1.8%程度に押し下げる見込みである。さらに、現在の米個人消費の加速ペースがやや過大であるとの証跡がいくつかの経済指標から読み取れる。

2017年に始まった米国の直近の景気後退からすでに10年を経過している。景気循環の観点からは、そろそろ次の景気循環の転換期に備えるべき時期といえる。本レポートでは、米個人消費の動向を中期的視点から点検して、今後の減速の可能性を見ていく。

[第1図]
20180121図1

個人の消費動向は住宅バブル期以来のペースになっている

現在の個人消費加速がやや過熱気味であることを表象する指標の第1は、貯蓄率の低下である。2017年7-9月期現在で米個人の名目可処分所得の伸びは前年比+2.6%となっている。これに対し同時期の名目個人消費の伸びは同+4.2%と、可処分所得の伸びを大幅に上回っている。結果、個人貯蓄率は低下傾向にある。貯蓄率は金融危機後に大幅上昇して2012年にピークをつけたのち景気回復に伴い低下に転じた。現在(2017年7-9月期)の貯蓄率は3.3%と、金融危機直前の2007年10-12月期以来の低水準にある([第2図])。米家計は現在、所得の伸び以上に消費を拡大させていることになる。

第2に、限界消費性向が歴史的水準に上昇していることがあげられる。所得の伸び以上の消費を拡大させていることは、限界消費性向の上昇を意味する。可処分所得の増加に対する個人消費の増加割合をあらわす限界消費性向の推計値の推移を見ると、2017年7-9月期現在で1.01と、所得の伸び以上に消費する米家計の行動が示唆されている。この限界消費性向の水準も金融危機前の2006年以来の高水準にある([第3図])。

つまり、米個人消費は既に、金融危機直前の住宅バブル期と同等のペースに達していることになる。この伸びが今後も持続的とは考えられず、したがって今後個人消費は徐々に減速方向に向かうとの見方を支持する指標である。

[第2図]
20180121図2

[第3図]
20180121図3

労働市場需給や株価もバブル期の水準にある

次に、いくつかの経済指標が既に金融危機前の水準にまで上昇していることを示す。失業率は12月現在で4.1%と、実にITバブル終期の2000年以来の低水準にある。自然失業率と失業率実績の差分も-0.6%と、2000年以来の拡大幅となっている([第4図])。米労働市場は既に、金融危機前の住宅バブル期を上回る需給ひっ迫状態にあることになる。消費者センチメントも好調であるがlこれも過去の景気過熱期の水準にまで上昇していることは警戒すべきであろう。ミシガン大学消費者センチメント指数は、概ね2003年以来の高水準にある([第5図])。同指数は2017年10月に100.7ポイントのピークをつけたのち1月には94.4ポイントに低下しており、頭打ち感もみられ始めている。

個人消費拡大や消費者センチメントの上昇の一つの要因がトランプ政権発足以来の株価上昇であることは想像に難くない。しかしながら現在の株価指数バリュエーションは、歴史的にかなりの割高水準まで株価が買い進まれていることを示唆している。S&P500指数の株価収益率(PE)は2017年7-9月期現在で21.2倍と、8四半期連続で20倍台を維持している。金融危機直後の外れ値を除けば、S&P500のPEが20倍を示現したのは2003年以来のことである([第6図])。

米経済のマイナスの需給ギャップが解消して需要超過になったことは、景気サイクルがまもなく転換期に差し掛かりうることを示唆している。のみならず上記の通り、米経済がやや過熱領域に入りつつあることを示す指標が散見される。2018年には減税効果による+3%弱の成長を見込むも、経済のベースラインが循環的な減速に入っていることは、むしろ中期的な経済を占ううえで留意しておくべきであろう。

[第4図]
20180121図4

[第5図]
20180121図5

[第6図]
20180121図6

米連邦政府閉鎖について

米議会上院は19日、2018年歳出継続法の延長法案(H.R.195)の審議打切り動議(60票の賛成が必要)を50-49で否決した。法案には共和党の大多数が賛成したが、民主党の大多数と一部の民主党議員が反対に回り、予算法は成立しなかった。結果、米政府は20日より予算執行が不可能となり一部政府閉鎖となった。

米連邦政府予算は2017年9月に「2018年歳出継続法及び2017年災害救済要請のための補正歳出法(H.R.601)」により、従前から継続する歳出を2018会計年度につき12月8日を期限に可決していた(2017年9月10日付当レポート参照)。その後同法は2度にわたり短期間の延長がなされ、直近の期限が1月19日となっていたものである。同法の延長法案の可決がなされなかったことで、20日より米政府は一部閉鎖状態となった。米連邦政府閉鎖はオバマ政権時代の2013年10月1日~17日以来のことである。報道等によれば、民主党はトランプ大統領が廃止を表明済の若年不法移民保護制度の継続を要求しているとのことである。共和党マコネル上院院内総務は早ければ歳出継続法案の修正案を週明け早々に審議にかけて政府閉鎖の早期解消を狙う意図だ。なお、政府債務上限は上記2018年歳出継続法により、年12月9日以降20.5兆ドルに凍結されている。

前回2013年においては、約1ヶ月の政府閉鎖は実質GDPを約-0.2%押し下げると計算されていた(2013年10月6日付当レポート参照)。結果的に2013年の政府閉鎖は2週間強で解消し、米経済への影響は限定的であった。この経験則からは、今回も政府閉鎖は1ヶ月以内には解消されて経済への影響は最小限にとどまると憶測しておきたい。

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