<経済レポート> タカ派色鮮明:1月FOMC議事要旨

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1月FOMC定例会合の議事要旨の内容は、FOMC委員の成長とインフレに関する見通しが上方シフトしており、タカ派色の強いものだったといえる。FRB理事や投票メンバーの交代もあり、FOMCのスタンスは昨年以上にタカ派スタンスにシフトすると見たい。年内に3回またはそれ以上の利上げが決定されるとの個人予想を維持する。

1月FOMC議事要旨はタカ派色が強かった

FRB連邦公開市場委員会(FOMC)は、昨年12月定例会合でFF金利誘導目標レンジを1.25-1.50%に引き上げたのち、1月30-31日定例会合ではこれを据え置いた。しかし、21日に公表された同会合の議事要旨からは、FOMCの金融政策に関する議論がかなりタカ派にシフトしていたことが読み取れる。

FOMC参加者による議論では「経済活動と労働市場に関する入手された情報は、トレンドを上回る経済成長と更なる労働市場の強まりと整合的である」とされ、米経済が潜在成長率を上回る成長を継続していることが確認された。また「緩和的な金融条件、最近成立した税制法、そして好転したグローバルな経済見通しが、今後数四半期の経済成長を支持するだろう」とされ、昨年末に成立した大型減税法案が成長を押し上げる可能性が確認された。

個人消費や企業部門が好調であることも確認された。個人消費について参加者は「最近の堅調な個人消費が、更なる雇用と所得増加、資産価格上昇からくる家計資産増加、高い消費者信頼感に支持されて継続するだろうと予想した」と指摘した。また2、3人の参加者は「家計の貯蓄率が2005年以来の低水準に低下」していることを指摘した。企業部門につき、コンタクト先が「減税とグローバル経済見通しの改善がポジティブな要素」として「総じて経済に対し上向きである」とされた。労働市場については「多くの参加者が労働市場条件はタイト」であると述べた。

成長率とインフレ率の上ブレを見る参加者がみられた

一方で、賃金上昇率については様々な意見が述べられた。「幾人かの(some)参加者は、彼らの地区のコンタクト先企業からより多くの賃金上昇圧力を聴取した」が「参加者は総じて広範囲な賃金上昇の兆候を少ししか見出さなかった」として、賃金上昇圧力が依然低位であると認識された。しかし「多数の(a number of)参加者は労働市場の継続的なタイト化がいずれかの時期に賃金上昇加速をもたらすだろう」と判断したとされ、全体としては今後賃金上昇率が上昇するとの予想が示唆された。

インフレ率については「参加者は、資源利用が更にタイトになり賃金圧力がより明かになるにつれインフレ率が徐々に上昇を続けると予想した」とされた。また「数人の(several)参加者は米ドル価格の低下がインフレ率の2%目標への回帰を支援する」と考えたとされ、今後のインフレ率上昇の可能性が示唆された。もっとも「何人か(a few)」の参加者は「法人税減税により、企業が競争力維持のための価格引き下げ」を行い、これが一時的にインフレ率を押し下げる可能性に言及した。また、数人の参加者は「委員会の2%インフレ目標に向けた更なる進捗見通しへの自信を高めた」と述べ、また2,3人の参加者は「経済成長ペースの高まりは労働市場条件を現在の予想以上にタイト化させ、完全雇用を超えることでインフレと金融安定にリスクをもたらす」可能性を述べた。総じて、インフレについては上方リスクを見る参加者の意見が複数出されたことがわかる。もっとも幾人かの参加者は「インフレ率が委員会の目標を下回り続ける目に見えるリスクを見た」とされた。これらの参加者は「賃金上昇率の上昇の証跡がみられないことをその背景として挙げ、FF金利引き上げに慎重であるべきと述べたとされた。

金融政策に関する参加者の議論において参加者は「2018年の経済成長率は、持続的な長期ペースを上回り、労働市場条件は更に強まるだろう」と予想したとされた。また多数の参加者は「12月会合時点の短期経済予測に比べて彼らの予測を引き上げたことを示唆した」とされ、12月定例会合以降の経済予測が上ブレしていることを示唆した。また数人の参加者は「短期的な経済活動見通しの上方リスクが高まったことを示唆」した。投票メンバーによる金融政策行動に関する議論では、ほとんどのメンバーが「2018年にインフレ率が上昇し、中期的に委員会目標の2%近辺に安定する可能性が高い」と述べ、FF金利誘導目標を1.25-1.50%に据え置くことを全会一致で決定した。ただし2,3人のメンバーはインフレ率に関し(下方への)懸念を表明した。

今後FOMC委員予測も上方改訂の可能性が高い

こうした議論を見ると、FOMC委員が1月に入り従前に比べてよりタカ派にシフトしていることがわかる。昨年12月時点のFOMC委員経済予測中央値によれば、2018年の実質GDP成長率は前年比+2.5%(第4四半期前年同月比)とされていた。しかしこの予測は概ねこれまでの巡航速度の成長率であり、減税法案が成立した今となってはやや保守的すぎるというべきであろう。議事要旨で多数の参加者が述べていたように。今後FOMC委員の経済予測は上方シフトする可能性が高い。

2018年の利上げ回数も、昨年12月時点では3回(中央値)であったが、これも今後上方改訂される可能性が高いと見る。テイラー・ルール公式に2018年の成長率とインフレ率予想を当てはめてみると、自然利子率を0.8%と低めに見積もった場合でも、2018年末の適正FF金利は3.3%と推計できる。これは昨年12月現在のFOMC委員予測中央値である2.1%を大幅に上回る。

FOMC委員の交代もFOMCが今後さらにタカ派に転ずる要因である。新たに就任したクォールズ副議長は2月22日の東京における講演で、最近の株価下落にかかわらず「米国の基礎的なファンダメンタルズは健全」と述べ「インフレ率の(FOMC)目標に対する現在の下振れは一時的な要因によるもので2018年には解消するだろう」と述べている。


年内3回以上の利上げ予想を維持する

以上から、当レポートにおけるFRBの金融政策予想すなわち、FOMCが年内に3回もしくはそれ以上の利上げを決定するとの個人予想を維持する。1月FOMC議事要旨に見られる、経済成長の加速とインフレ率上昇見通しは、当レポートのこれまでの見方とほぼ同様のものである。当レポートでは、減税の効果で2018年の成長率はベースライン比+0.4~0.5%程度押し上げられ、通年で前年比+2.8%になると個人予想している。インフレ率については、個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の前年比伸び率が年内に一時+2.0%を超えて推移し、年末には+1.8%に着地すると見ている([第1図])。

米国経済は2017年7-9月期に需要超過に転じており、上記当レポート予想を前提とした2018年末の需給ギャップは+1.5%の需要超過になる計算になる。これは、金融危機前の需要超過の水準を上回り、2000年のITバブルの終期の水準に匹敵する([第2図])。需給ギャップとコアPCEデフレーターの関係を示すシンプルなフィリップス曲線によれば、需給ギャップ+1.5%に相当するコアPCEインフレ率は約+1.9%と推計できる([第3図])。ここからは、2018年末にかけてコアインフレ率が+2%に近いところにまで上昇して安定的に推移するシナリオが十分に予想できる。

次回のFOMC定例会合は3月20-21日に予定されている。そこでは+0.25%のFF金利誘導目標レンジ引き上げが決定されると個人予想する。また声明文と同時に公表されるFOMC委員の四半期経済予測では、2018年の成長率と適切なFF金利の予測中央値が上方にシフトすると見ておく。

[第1図]
20180226図1

[第2図]
20180226図2

[第3図]
20180226図3

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