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来年の成長に朗報~米議会超党派予算案合意

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米議会超党派予算案合意により来年の暫定予算失効リスクが後退、政府支出の増加により米国経済成長が予想比上ぶれる可能性が高まった。同予算案の成立を前提に、直近の経済指標上ブレも勘案して来年の筆者個人の成長予想を暫定的に引き上げる。下方リスク要因は、予算案の上院採決、拡大失業保険給付継続如何、来年2月7日の政府債務上限不適用期限などである。

議会下院が超党派予算案可決~予算期限延長と歳出削減緩和

米議会下院は12日、新たな予算法案である2013年超党派予算法案The Bipartisan Budget Act of 2013 HJ Res 59を332‐59で可決し上院に送付した。同法は、10月16日に2014年歳出継続法Continuing Appropriation Act , 2014による来年1月15日までの暫定予算成立ののち、ライアン下院予算委員長(共和党)とマレー上院予算委員長(民主党)らによる両院合同予算委員会Budget Conference-Committeeで合意された内容を反映したものである(10月20日付当レポート参照)。

この法案は、2014‐2015会計年度に亘る予算決議の形をとり、来年1月15日期限の現行暫定予算の期限切れを回避するとともに、2011年財政管理法Budget Control Act of 2011で定められた裁量的支出上限を2014‐2015会計年度に限り引き上げて歳出削減を一部緩和することが盛り込まれている。

法案成立には今後米議会上院での可決が必要だが、これが成立すれば、米財政問題に関わる不透明要因の一つであった来年1月15日の予算失効リスクは払拭される。また従前比の連邦政府歳出増加は来年の経済成長見通しを引き上げる要因になる。以下、同法案が成立するとの前提で、米連邦政府財政支出と米国経済見通しへの影響を考察する。

2013年超党派予算法案の内容

2011年財政管理法では、会計年度毎の裁量的支出の上限(キャップ)引下げと、義務的支出と裁量的支出についての自動歳出削減sequestrationが定められていた。同法では主に裁量的支出に自動削減を定めている他、義務的支出であるメディケア支出に一定の削減を求めていた(2月10日付当レポート参照)。同法によるキャップと歳出削減は、当初実施日の2013年1月から2ヶ月延期され、2013年3月1日より発効、実施されている(末尾[第6表]参照)。

2013年超党派予算法案の骨子は[第1表]の通り。今後2年間の裁量的支出のキャップを引き上げる代わりに、義務的支出の自動削減(メディケア支出等)の延長などの財政赤字削減策が示されている。しかし、赤字削減策の効果は10年に亘り850億ドルにとどまる(議会予算局のコスト試算による)もので、同法による追加的財政赤字削減効果は限定的である。同法は主に向こう2年間の財政支出の柔軟性を重視したものと言える。

[第1表]
20131215表1

裁量的支出増加は来年のGDPを約+0.2%押し上げる

2013年超党派予算法案の定める裁量的支出の上限(キャップ)一時引上げの内容は[第2表]の通りである。12月11日付議会予算局の同法案に関するコスト見積もりによれば、従来の財政管理法下でのベースライン財政見通しに比べ、2014会計年度に447億ドル、2015会計年度に184億ドルの裁量的支出予算の増加が見込まれる。これはそれぞれ2013年名目GDP(筆者見通し)の0.3%、0.1%に相当する。実際の歳出増加の見通しは、同じく議会予算局コスト見積もりによれば[第3表]のとおりで、2014会計年度の歳出増加は約263億ドル(名目GDP比約0.2%)、2015年度は約216億ドル(同約0.1%)と見積もられている。

超党派予算法案が成立すれば、こうした裁量的支出が当初見込みより増加することで、2014年の米実質GDP成長率見通しの上ブレ要因になる。上記の歳出増加見通しを暦年ベースに直し、さらに乗数効果を勘案すると、2014年暦年の実質GDP概ね+0.2%ほど押し上げる可能性が高いと見ておく。

なお、5月時点の議会予算局財政経済見通し”Updated Budget and Economic Outlook: Fiscal Years 2013 to 2023”によれば、一部メディケア支払いなどの自動削減にも拘らず義務的支出は2014会計年度に大幅増加する見通しとなっている。

[第2表]
20131215表2

[第3表]
20131215表3

拡大失業給付延長見送りはGDPを最大-0.3%押し下げの可能性

今回の超党派予算法案には、連邦政府による拡大失業保険給付の延長が盛り込まれていない。米国の失業保険給付は、州による失業保険給付regular UI(最大26週間)、連邦政府による緊急失業給付EUC(最大34週間)、連邦政府・州による延長失業給付EB(最大20週間)からなる。このうちEUCとEBを合わせた拡大失業保険給付は、2008年に成立した時限措置であるが、成立後何度か延長され、直近では1月2日に成立した財政の崖回避法American Taxpayer Relief Act of 2012において、2014年1月初まで1年間の延長がなされたものである。今回の予算措置で拡大失業保険給付の延長が見送られ、来年1月に同給付が停止された場合、個人消費への影響を通じて経済へのマイナスの影響も考えられる。

米労働省の報告書 ”The Economic Benefits of Extending Unemployment Insurance, December 2013” によれば、拡大失業保険給付の延長見送りにより今年の年末時点で1.3百万人が失業保険給付受給資格を喪失、2014年末にはその数が4.9百万人に増加すると試算されている。2014年の平均受給喪失者数をこれらの平均である約3.1百万人とし、一人当たりの受給額を6,681ドル(同報告書による)とすると、2014年の個人所得は約209億ドル減少、名目GDP比で約-0.12%の所得減少につながる計算になる。別の計算では、一人当たりの平均受給額を週当たり300ドル(Center on Budget and Policy Prioritiesによる)とし、年間(52週間)の受給額を15600ドルとすると、GDPへの影響は約-0.3%に拡大する計算になる([第4表])。

かように、拡大失業保険給付停止の経済へのマイナスの影響は相応に大きいといえる。しかし、同給付がこのまま停止されるとは考えにくい。国民感情への政治的配慮から引き続き同給付の延長措置が議会で成立すると見ておきたい。

[第4表]
20131215表4

直近の指標好転も勘案し来年の成長率予想を暫定的に2%台に引き上げる

超党派予算法案の成立を前提に、これまでの米経済統計の予想比上ブレも勘案して、筆者個人の2014年の米国実質GDP成長率予想を従前の前年比+1.8%(10月13日付当レポート参照)から同+2.3%に暫定的に引き上げる。今年の予想は同+1.5%から同+1.7%とする([第1図])。

上方修正の理由はまず、10月の政府一部閉鎖のマイナスの影響が予想以下だったことである。10月の予想では、7-9月期、10-12月期の成長率を政府一部閉鎖の影響もあり1%台にとどまると見ていた。しかし、7-9月期の成長率実績は、企業在庫増加要因等もあり前期比年率+3.6%と予想を大幅に上回る結果だった。10月の実質個人消費は前月比+0.3%と予想以上に強く、自動車販売台数も11月に年率16百万台台を回復するなど、政府閉鎖の個人消費への影響は10月予想時点での見方より僅少だったと考えられる。10-12月期の実質個人消費は3四半期ぶりの2%台成長が見込めるペースである。

次に、超党派予算法案が成立すれば財政問題の不透明感が解消し、さらに政府支出の従前予想比の増加が見込めることである。従前の予想では来年1月15日期限暫定予算延長の議会合意は13日の期限内になされないリスクが高いと見ていた。しかし今回の合意は予想以上のスピード感である。さらに裁量支出を中心に政府支出増が来年の成長を0.2%ほど押し上げると見込める。更に義務的支出の増加はさらに政府支出の経済への寄与を高めうる。

上記修正予想に対する下方リスクシナリオは次の通りである。まず、超党派予算法案が上院で可決されず再び来年1月15日の予算失効リスクが高まるケースである。次に、拡大失業保険給付の延長措置がこのまま見送られ、目先の経済成長に下方リスクをもたらすケースである。前者の場合は再び来年の成長率予想は1.8%程度に戻すこと、後者の場合は最大‐0.3%の下方修正を考慮することになる。さらに来年2月7日には、再び政府債務上限の不適用期限が到来することにも留意が必要である。

[第1図]
20131215図1

[第5表]
20131215表5

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