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寒気は一時の滞留~米12月雇用統計

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12月雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが予想を大幅に下回った。しかしこれは悪天候による一時要因で、米雇用は今後前年比1.7%程度の拡大を持続するとの見方を維持する。FOMCの資産購入ペース縮小政策見通しへの影響もなく、今後t定例会合毎に100億ドルの資産購入ペース縮小を継続すると見る。

非農業部門雇用者数は74千人増どまり

10日に公表された米雇用統計によれば、昨年12月の非農業部門雇用者数は前月比+74千人の増加にとどまった。11月までの3ヶ月平均で+200千人を超える増加を続けていた米雇用増が急減速したことになる。+74千人の増加幅は2011年1月以来の低水準となる([第1図])。なお、過去分については11月分が同+241千人と+41千人上方改訂された。

雇用増の急減速は天侯要因による一時的なものと見たい。12月の米国は東海岸と中西部中心に例年以上の寒波に見舞われた。業種別の雇用者数増減を見ると、雇用増の減速に寄与した主な業種は建設と教育・医療である([第2図])。建設業は天侯の影響を受けやすい業種で、12月に-16千人の雇用減となった。非住宅建設の契約労働者の雇用減少が全体の数字を押し下げている。しかし、昨今の住宅建設と非住宅建設の増加基調からは、建設業雇用は天候回復次第増加すると見る。教育・医療は景気変動の影響を受けにくい業種で、12月は前月比横ばいにとどまったものの再び堅調な伸びで米雇用を支えると見たい。

一方で、景気に敏感な小売業の雇用は同+55.3千人と順調に増加した。ホリデー商戦(クリスマス商戦)は12月初に一旦売上が軟化したもののクリスマスにかけて売上増が加速している。個人消費を牽引役とする経済拡大の構図が雇用市場にも見て取れる。

[第1図]
20140112図1
[第2図]
20140112図2

天候回復後は雇用増は再び1.7%ペースへ

今後の米雇用は、引き続き前年比+1.7%レベルの増加ペースを保つのとの見方を維持したい。12月の雇用ペース減速が一時的と見る背景は次の通りである。まず、企業景況感指数からは12月にも雇用増加が続いた証跡が見える。ISM製造業指数と同非製造業指数の雇用DIを、12月時点の雇用者数比(製造業:非製造業=1:9)で加重平均したDIを作成してみると、同DIは12月時点で+55.8%ポイントと前月比大幅改善している。企業の同指数は非農業部門雇用者数に約1ヶ月先行する傾向があり、他の要因を除けば1月には再び雇用者数の伸びは反転増加に転じる可能性が高い([第3図])。

次に、新規失業保険申請件数が総じて低位にあることである。直近1月4日〆週の新規失業保険申請件数は330千件、同4週移動平均は349千件と比較的低水準を保っており、12月に急激に失業者が増加した形跡は見られない([第4図])。2004年‐2013年のデータを用いて新たに試算した失業保険申請件数と非農業部門雇用者数の関係からは、直近の330千件の申請数は約190千人の月次雇用増に相当する([第5 図])。また、家計調査によれば就業者のうち悪天候のため仕事ができなかった人が12月には273千人に上り、これは12月については1977年以来の高水準となっている。これは12月の悪天候が雇用市場に与えた影響の大きさを示唆している。

なお、米国は東海岸中心に年末から1月現在にかけても寒波が滞留している。悪天候要因は1月まで継続する可能性があり、1月分雇用統計でも影響が見られる可能性があることには留意しておきたい。

[第3図]
20140112図3
[第4図]
20140112図4
[第5図]
20140112図5

失業率は6.7%に低下しFOMCの目標に接近した

家計調査では逆に、失業率が6.7%(前月比-0.3%)と大幅に低下した。水準的にはリーマンショック直後の2008年10月以来の低水準となる。就業者は前月比+143千人増加、失業者は同-490千人減少しており、実態的に労働市場が回復した内容になっている。ただ労働力人口が-347千人減少した結果労働参加率が前月比‐0.2%低下して62.8%と10月と並び2000年台以降最低水準となった([第6図])。失業率低下幅をこれらの要因に分解してみると、労働参加率低下要因が就業者数増加要因を大幅に上回り、失業率を-0.3%押し下げた形になっている([第7図])。

実際に12月には、非労働力人口に含まれる縁辺労働人口(就業意欲があり、過去12月間に求職活動をしたものの過去4週間の間停止していた人口)や求職意欲喪失者(就職見込み低下、学歴・訓練不足等の考えにより過去4週間の間求職活動を行わなかった労働者)が前月比で急増している([第8図])。しかしこの急増も、景況感悪化というより一時的増加と見るのが自然だろう。12月の失業率急低下の主因たる労働参加率低下ペースは1月以降は減速し、代わって就業者数要因で失業率は緩やかに低下、2014年末にFOMCの低金利政策見直しの閾値である6.5%に辿り着くとの予想を維持する。

なお、失業率低下が労働参加率低下を主因とすることは将来の失業率再上昇の可能性があることから、あまり良い傾向ではないとこれまで当レポートでも見てきたが、現在では、かかる長期の労働参加率低下はむしろ構造要因による部分が大きく将来の失業率再上昇のリスクは後退していると見ている。

[第6図]
20140112図6
[第7図]
20140112図7
[第8図]
20140112図8

FOMCの金融政策見通しに影響はなし

以上より、12月雇用統計の結果は今後のFOMCの資産購入縮小ペースには影響を与えないと見る。1月以降各FOMCで100億ドルずつの購入ペース縮小を決定し2014年末に購入停止を決定すると予想する。

非農業部門雇用者数増加ペースの急減速は寒気による一時要因とみなされ、資産購入縮小を見あわせる材料にはならない。失業率は、短期的には労働力人口への循環的人口再流入によって一旦7%台に上昇ののち年末にかけて6.5%に低下すると見れば、失業率が一時的に閾値に接近したことは資産購入停止時期を前倒しする材料にはなりにくい。

次回1月定例会合では12月分の改訂値と1月分の速報が既に公表済であり、12月統計の一時的なブレが判明していると思われる。単月の指標で資産購入ペースを変更することは、金融政策への信頼感維持の観点から採用しにくい選択肢である。

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