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<経済レポート> 寒波の後は再拡大へ~米国経済定点観測

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1-3月期の米国の成長率は1%台半ばにとどまった模様だ。しかしこれは寒波による消費と住宅への悪影響が主要因で、自動車販売増加など3月以降再び経済が堅調な拡大に回帰する兆しが見えている。今年通年の成長率は2%台前半~半ばに加速するとの見方を維持する。

2月までの指標悪化は一時的な悪天候要因

昨年10-12月期の米実質GDP成長率は前期比年率+2.6%と前期の同+4.1%から大幅減速したが、主な減速要因は企業在庫増加ペースの減速と政府支出の減少であり、国内民間最終需要(個人消費・民間設備投資・住宅投資の合計)は寧ろ加速した。しかし1-3月期は、寒波の影響もあり個人消費や住宅投資中心に内需が大幅に減速した模様だ。

1-3月期の個人消費の悪化を示す証左として小売売上高統計を見てみる。GDP統計の個人消費のうち財消費の基礎統計となる、自動車・ガソリン・建設資材・レストランを除くベースでの小売売上高は1‐2月平均で10-12月期に比べ-0.4%減少した([第1図])。このベースでの小売売上高が前月比でマイナスになるのはリーマンショック後のリセッション期である2009年4-6月期以来の事である。1-3月期には財消費が景気後退期並に落ち込んだことが分かる。

しかしこの落ち込みは寒波による一時的なものだといえる。まず、月次の実質個人消費統計を見ると、財消費が12月、1月に急減したのに対し、同時期にサービス消費が急増しているのが分かる([第2図])。サービス消費の多くは電力・ガスなどのエネルギー関連の消費だ。寒波の影響で消費者が買物に出る事が出来ず財消費が減少したのに対し、暖房関連のサービス消費が増加していることは、この状況が天候要因による一時的なものであることを示唆している。

[第1図]
20140405図1
[第2図]
20140405図2

個人消費は3月以降改善の兆しがある

次に、消費者センチメントと小売売上の比較からも小売売上減少が一時的なものであることが示唆されている。小売売上高の前年比の伸びは昨年末から急減速して2月時点では+1.5%とこれも2009年以来の低水準に急減速した。一方ミシガン大学消費者センチメント指数は今年に入りやや低下傾向にあるものの水準自体は高水準を保っている([第3図])。これは消費者センチメントの安定にも拘らず悪天候のため消費が一時的に抑制されていることを示唆している。

2月分個人消費統計によれば、財・サービスを合わせた実質個人消費は前月比+0.2%とまずまずの伸びを示した。ただ、3月の実績が2月比横ばいだった場合、1-3月期のGDP統計上の実質個人消費は前期比年率+1.5%となり、10-12月期の同3.3%からは大幅に減速する計算になる。これは主に12月(前月比-0.1%)と1月(同横ばい)の消費の停滞が数字上の1-3月期の伸びを押し下げているもので、上記のとおりこれが一時要因ならば4-6月期以降は再び消費拡大は加速するはずだ。なお、3月の個人消費に関する最も早い統計である3月新車販売台数は、年率16.3百万台(前月比+6.9%)と大幅に増加し、寒波到来前の11月の水準に回復した([第4図])。

個人消費を支える雇用も堅調だ。1、2月の雇用統計は寒波による統計ノイズもあり一時的に雇用増加ペースが減速したが、3月の非農業部門雇用者数は前月比+192千人と順調な増加に回復し、1、2月分も上方改訂された。週平均労働時間が1、2月に大幅に減少したが、3月には昨年11月並の水準(33.7時間)に回復した。これらは雇用統計の悪化が天候要因による一時的なものだったことを示唆している。今後非農業部門雇用者数は巡行速度で前年比1.5~2%の伸び、時間当たり賃金は2%台半ばから更に伸びの加速が期待できる。インフレ率を差し引いても実質個人消費は2%台の巡航速度を維持できる計算になる。なお、拡大失業保険給付失効の影響も結果的に限定的なようだ。2月個人消費統計によれば、拡大失業保険給付失効による政府からの給付額は1月が前月比-167億ドル、2月が同-25億ドル減少したのに対し、政府からのメディケイド給付増は1月が同+193億ドル、2月が同+114億ドル増加した。拡大失業保険給付失効による所得減は、メディケイド給付増により相殺されてあまりあり、今年の名目個人所得の伸びを加速させている。

[第3図]
20140405図3
[第4図]
20140405図4

設備投資は依然低水準だが徐々に拡大へ

これに対し、企業部門の設備投資の伸びは低調になりそうだ。GDP統計上の民間設備投資のうちの機器投資の基礎統計となる非国防資本財出荷(航空機関連を除く)は、1-2月平均で前期比年率+0.2%の伸びにとどまっている([第5図])。機器投資は10-12月期に前期比年率+10.2%と2桁成長を見せたが、1-3月期は再び1ケタ台の伸びに低迷しそうだ。

民間設備投資のうちの構造物投資も1-3月期は低成長にとどまりそうだ。基礎統計となる民間建設支出(非住宅)は1-3月期2月までで前期比年率+8.9%と僅かながらも前期の同+10.5%から減速している。もっともGDP統計上10-12月期の構造物投資は同-1.8%と想定外のマイナス成長になっている。これが統計上の期ブレであるならば、1-3月期の構造物投資は反動で2桁成長もありうることになる。

企業の設備投資意欲はしかし総じて高水準にある。フィラデルフィア連銀企業景況感調査の設備投資(将来)DIは3月に31.3%(前月比+11.4%ポイント)と3年ぶりの高水準に急伸した。1-3月期平均では前期の一時的低下から前々期並みに回復しており、今後企業設備投資が徐々に拡大することを示唆している([第6図])。鉱工業の設備稼働率も10-12月期平均で78.7%と2四半期連続で78%台を維持している。しかし、企業キャッシュフローが10-12月期に前期比でやや減少するなど、企業設備投資を決定する要因にはまだばらつきがあるため、設備投資には個人消費ほどの成長加速は期待しにくい。

[第5図]
20140405図5
[第6図]
20140405図6

悪天候で住宅建設は低迷した:市場需給は引続きタイト

住宅市場も悪天候の影響で一時的な減速を強いられている。GDP統計上の住宅投資の基礎統計となる住宅着工件数は、1-2月平均で10-12月期比-10.0%と3四半期ぶりの減少に転じている([第7図])。これは1-3月期のGDP統計上の住宅投資が2四半期連続のマイナス成長になる可能性を示唆している。ただし、10-12月期GDP統計では、住宅着工件数の増加にも拘らず住宅投資が予想外のマイナス成長となった。構造物投資同様にこれが統計の期ブレならば数字上は1-3月期に住宅投資がプラス成長になる可能性があり、筆者個人は1-3月期の住宅投資は統計上はプラスに転じると見ておきたい。

中期的にも住宅建設の増加ペースには減速感がある。住宅販売が悪天候の影響で減少したことで、中古住宅・新築住宅ともに販売在庫がやや増加している。中古住宅の在庫期間(販売在庫/月次販売戸数)は2月現在で5.2ヶ月と昨年4月以来の水準にまで上昇した。こうした販売市場の需給の若干の緩みが住宅建設需要を押し下げる要因となっている([第8図])。中古住宅販売戸数が昨年7月をピークに中期的な減少基調にあることも住宅市場見通しにとっての悪材料の一つである。

もっとも悪天候の影響は徐々に剥落しつつあるようだ。住宅着工の先行指標となる住宅着工許可件数は、3月に4ヶ月ぶりの前月比増加に転じた。また、住宅販売の在庫期間5ヶ月台は歴史的には極めて低い水準にあり、販売需給は依然としてタイトだといえる。むしろ供給が需要に追い付かないことが住宅販売戸数の減少要因だと考えることが自然である。従って住宅建設需要は引続き強く、3月以降は再び住宅建設は加速すると見たい。

[第7図]
20140405図7
[第8図]
20140405図8

1-3月期は1%台半ば、2014年通年は2%台前半~半ばの成長を予想する

企業の在庫循環は浅めの調整局面にあり、1-3月期のGDP統計では成長にマイナスの寄与となりそうだ。米国の売上高・在庫比率は極めて安定しており、過去2年間概ね1.3前後で推移している。企業売上高が年末にかけやや減少したことで同比率は2月に1.32に上昇した。これに合わせて企業は在庫積み上げペースを1月にかけ徐々に縮小している([第9図])。1-3月期のGDP統計上の企業在庫は前期に続き成長にマイナスの寄与になると見る。もっとも2月の製造業在庫統計によれば2月には在庫積み上げペースが前月比+0.7%と強めの伸びになっていることは上方リスク要因である。

政府支出は10-12月期まで5四半期連続で減少して成長にマイナスの寄与を続けてきたが、今後はこの成長抑制効果も逓減しそうだ。米議会は2月11日に、米連邦政府の債務上限を2015年3月16日まで不適用とする法案Temporary Debt Limit Extension Actを可決した。昨年12月の超党派予算合意と併せ、当面政府の財政支出継続が担保されたことで、政府支出が今後は成長にプラスの寄与をすることが期待できる。

以上より、1-3月期の米国実質GDP成長率は、寒波による悪影響を反映して前期比年率+1.5%に減速すると見る。これは1月時点の筆者個人の予想(1月4日付当レポート参照)からは-0.5%の下方修正となる。しかしその後は堅調な雇用を背景とした個人消費が牽引役となって成長は加速し、2014年通年の成長率は前年比+2.4%と個人的に予想する。これは1月時点の筆者個人予想に比べ+0.1%の上方修正となるが、基本的には1月時点の予想から見方は不変である。米国を含めた筆者個人の経済・金融予想を[第1表]に示す。

[第9図]
20140405図9
[第1表]
20140405表1
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